私は日本共産県会議員団を代表して、請願第41号、第42号、第43号、第44号の4件について「不採択」でなく、「採択」を、請願第24号について「継続」でなく「採択」を主張し、討論を行います。
非核三原則の法制化を
まず、請願第41号「非核三原則の法制化を求める件」についてです。
本請願は、今、世界で核兵器廃絶への様々な努力が行われている中で、唯一、被爆国である日本が、国是としてきた核兵器を「持たない」「作らない」「持ち込ませない」という「非核3原則」を「法制化」することによって、さらに実行あるものとし、核兵器廃絶、恒久平和の実現のために、世界に率先して行動することを求めるものです。
国連では、「核兵器のない世界」をめざし、その達成手段として「核兵器禁止条約」の交渉を行うことが提案され、その実現に向けた努力が行われています。4日前の去る10月22日には、国連において、スイスなど34か国が「「核兵器が使用されない唯一の保証は全面廃絶だ」として、「全ての国は核兵器を非合法化する努力を強めなければならない」という共同声明を発表しました。声明は、「もし核兵器が意図的であれ、偶発的であれ、使われれば、計り知れない人道的結果は避けられない」と強調し、「核兵器を非合法化し、核兵器のない世界を樹立するための努力を強めなければならない」と訴えています。
ところが日本は、この声明への参加を打診されたのに対し、「我が国の安全保障政策の考え方と合致しない内容が含まれていた」として拒否しました。
また、国連で核兵器禁止条約の交渉を行うことについても、核兵器保有国であるアメリカが反対しており、日本もアメリカに追随し反対の立場をとっています。
このように、今、日本がとっている態度は核兵器禁止に向けた国際的な努力に対し、まさに逆行する立場であります。
日本政府が、こうした立場をとる背景には「世界と日本の平和と安全は、アメリカの核抑止力によって守られている」という誤った考え方に今なお固執しているからであります。
しかし、核兵器の使用を重要な柱にしているアメリカの先制攻撃政策のもとで、被爆国日本が核戦争政策に組み込まれ、「核の傘」どころか、逆に国民を危険にさらすことになりかねません。
こうした日本政府の立場を改め、核兵器廃絶のために誠実に努力することこそが世界中から求められています。
また、国是としてきた「非核三原則」は、守られているという議論もありますが、1960年の安保改定時に、日本がアメリカの核搭載船や航空機の寄港や飛来を黙認する「核密約」の存在が明らかになっており、「持ち込ませない」という原則が守られているという保証はまったくありません。
いまこそ、「非核三原則」を「法制化」することによって、法的拘束力を持たせ、さらに実効あるものとし、核廃絶を世界に働きかけていくことが、「核兵器のない世界」を願う人々に対して応える被爆国・日本のとるべき道だと考えます。
よって、本請願の「採択」を主張するものです。
オスプレイの配備中止を
次に、請願第42号、「米軍輸送機オスプレイの配備中止、低空飛行訓練計画の中止を求める件」です。
日米両国政府は、沖縄県民と国民の大きな反対の声を押し切って、アメリカ海兵隊の輸送機オスプレイを岩国基地に陸揚げし、その後、沖縄・普天間基地への配備を強行しました。日本政府は、オスプレイの本格運用を否定するものの、米海兵隊はすでに、通常計画通りの訓練・飛行運用を行っていると明言しています。この強行配備に先立つ、9月19日日米合同委員会が合意した安全対策「可能な限り、飛行は人口密集地を避けること」「ヘリモードでの飛行は基地内に限定すること」など、ことごとく無視され、人口密集地・住宅地上空、小学校上空での低空飛行が傍若無人に行われ、夜間飛行訓練も開始されています。事故や騒音に対する住民の不安を無視し、なし崩しの訓練強化が進行しています。
オスプレイは、開発段階から、墜落事故を繰り返し、36人の死者をだしている危険な欠陥機です。今年になってからもモロッコとフロリダで墜落しています。
また、オスプレイはエンジン停止の際の安全装置(オートローテーション)もありません。
野田内閣は、アメリカからの情報として「機体に機械的欠陥はなかった」と説明していますが、住民や自治体が懸念する安全性については未だに確認されていません。
この危険なオスプレイ配備に対し、沖縄では、沖縄県と41の全自治体が反対し、9月9日には、10万人以上が参加して「県民大会」が開かれ、正に島ぐるみの配備中止を求める取り組みが続けられ、女性集団暴行事件と合わせ、沖縄県民の怒りは頂点に達しています。
また、オスプレイは、沖縄と日本全国で低空飛行訓練と夜間訓練を行うとしており、反対の声は全国に広がっています。
兵庫県も人事ではありません。米軍はブラウンルートでも訓練を行うことを明言しています。
このブラウンルートは、岩国基地などを飛び立った軍用機が広島県の千代田町付近から、日本の航空法に違反し、地上150メートル以下で低空侵入し、鳥取、岡山を通過し、兵庫県の氷ノ山付近から角度を変えて生野ダムで急旋回して帰還していく訓練ルートです。
この訓練は、但馬や西播地方の自治体が確認し、県に報告されているだけでも、1994年から開始され、2004年度までは年20回、それ以後も毎年確認されており、今年もすでに2回、爆音を響かせながら低空で飛行する米軍機が目撃されています。
この訓練は、米軍が他国を攻撃する場合の標的を電源施設、即ちダムと定め、生野ダムを攻撃想定目標として、2機の戦闘機が、レーダーをかいくぐるために超低空で侵入し、1機がレーダーを攪乱する間に、2機目がその目標物を攻撃するという訓練です。
最も危険な航空機オスプレイによる、こういう危険な訓練が朝来市の上空で行われようとしているのです。もう一つ大きな問題は、公立豊岡病院に配置されているドクターヘリが昨年1年間で、訓練ルートに係る旧生野町、朝来町に計60回も出動していることです。
もし、この訓練が行われれば、直接県民を危険にさらすことになります。
オスプレイの配備は、日本の「防衛」とは何の関係もありません。米軍の「殴り込み部隊」と言われる海兵隊が、迅速に海外の「敵地」に侵入し、戦闘作戦を実施する「侵略力」を高めることがその目的であります。
米国政府は、「配備は安保条約上の権利だ」と公言し、日本政府は「条約上の日本の権限はない」と言う、安保を盾に、配備を強行すればするほど安保条約の是非を問う声も強まっています。
県民の命を危険にさらすオスプレイの配備中止、訓練中止を求めることは兵庫県政にとっても極めて重要な課題です。
よって本請願の採択を強く主張するものです。
UR借上げ住宅の継続入居を
次に、請願第43号「借り上げ復興住宅への継続入居策と早期解決を求める件」です。
借り上げ公営住宅は、そもそも阪神淡路大震災で住宅を失った被災者に対し、県が県営住宅を建てて対応すべき所を、建設を抑制するためにUR、当時の(住宅・都市整備公団)等から借り上げ、災害公営住宅として入居を認めてきたものです。
本請願は、この入居者に対し、県が20年の入居契約を盾に住み替えを迫っていることに対し、希望する人には、今後も継続入居を認めるよう求めているものです。
借り上げ公営住宅の入居者は、17年余前に自宅を失い、直後の避難所、次に仮設住宅、そしてやっとの思いで災害公営住宅に入居できました。当時は、当局の十分な説明も行われないまま、多くの人が「終の棲家」として移り住んだのです。
しかし、もし今回、住み替えとなると、17年余の間に4回も転居することになります。
その転居の度に、コミニュティが断ち切られて、今やっと日常を取り戻した所です。そこでまた、県の行革、財政健全化の名で、入居者の孤立化やコミニュテイ破壊を助長することは絶対に許されません。
また、入居者の高齢化の問題も深刻で、借り上げ公営住宅入居者の約2000世帯の内、世帯主が66歳以上64%、単身世帯が70%を占めています。
高齢に加え、病気、障害、体調不良、様々な生活困難をかかえる高齢者にとって生活環境の変化が精神的にも身体的にも悪影響を与えると言われます。
経済的な問題でも、殆どの入居者が国民年金で、ちょっとした変動でも大きな負担となります。
現在、県は今年1月設置した「検討会」において、高齢者や障害者など配慮の必要な方への対応方法について検討されているところですが、今住んでいる住宅にそのまま住み続けたいという、せめてもの願いに応えて、希望する全ての人に継続入居を認めるべきです。
以上の理由から本請願は、「不採択」でなく採択を強く主張するものです。
充実した中学校給食を
請願第44号「県下の中学校で充実した完全給食の実施を求める件」です。
中学校給食は、全国ではすでに82%の学校で実施されておりますが、県下では未だに実施率51%と、きわめて遅れているのが現状です。
しかし、未実施の各地域で給食実施を求める声が高まり、神戸市、芦屋市、明石市などで給食導入の是非も含めて検討が行われています。
ところが、財政難などが強調され、全員に同等の給食を提供するのでなく「選択制の業者弁当」方式などが議論されています。
これまで選択制の弁当方式を採用した自治体では、弁当を持参できる子どもとそうでない子どもで食の内容に差が生じるなど、食育どころか、逆に教育上弊害が生まれてしまい、全員喫食に見直すところも出ています。
県は、「学校給食を通じて、小・中の9年間、体系的、継続的に指導を行うことは、食育の推進に当たる」として、取り組んでいます。
この立場からも、業者弁当などではなく、生徒全員で食べる、自校調理方式など充実した給食が実施されるよう県の援助を求める請願は、妥当なものであり、「採択」を主張します。
最後に、継続審査 請願第24号「社会保険診療報酬に係る消費税非課税制度の税制を求める意見書提出の件」です。
公的医療は「高度の公共性を持つ」との観点から、医療費に対する消費税は非課税とされています。一方で医療機器や薬品の購入、病院施設の増改築などには消費税がかかり、その分は医療費に上乗せできない事から医療機関の自己負担、損税となり、病院経営を圧迫しています。
それは、地域医療の確保さえ脅かすものとなっており、早急な対策が必要です。国は1989年の消費税導入時、また1997年の5%へ引き上げる際に、それぞれ診療報酬に上乗せしていると言いますが、損税に対する補てんとしては極めて不十分であり、かつ患者の医療費負担を増やすもので、根本的な解決にはなっていません。
そして今年3月に可決された「社会保障の安定財源の確保等を図る、税制の抜本的な改革を行うための消費税の一部改正法」では、“医療機関における高額の投資に係る消費税の負担に関し、一定の基準を設けて措置を講ずる”ことが盛り込まれたものの、“高額以外の医療機関等の仕入れに係る消費税”については、診療報酬の上乗せで手当てをするという従来通りの方向であり、損税が全額補てんされることはなく、この問題の解決にはつながりません。
損税の発生が税制上の欠陥である以上、税制によってのみ抜本的に解消されることから、本請願が求める仕入れにかかった消費税を全額控除する「ゼロ税率の」導入が相応しいと考えます。消費税率10%への引き上げ法が成立した今、継続ではなく今議会で「採択」されることを強く主張いたします。
以上で、私の反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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