私は、日本共産党県会議員団を代表して、請願第33号ないし第37号、第39号、第40号は、不採択ではなく採択を、請願第24号は継続ではなく採択を求め、以下その主な理由を述べます。
大飯原発の再稼働させない意見書を
■質問■ まず、請願第33号「大飯原発再稼動に関して国の慎重な対応を求める意見書提出の件」、第34号「大飯原発再稼動をしないことを求める意見書提出の件」についてです。
野田首相が、「国民の生活の安全をまもるため」などといって原発再稼動の決断をくだそうとしていることは、原発再稼動をしないよう求める強い国民の声を無視し、国民のいのちと安全を危険にさらす判断といわざるを得ません。
5月30日、関西広域連合が出した「原発再稼動に関する声明」は、「政府の暫定的な安全判断であることを前提に、限定的なものとして適切な判断」を求めるとしています。実質、大飯原発再稼動を容認したものであり、政府の決断を後押ししたもので、関西広域連合長として「声明」を取りまとめた井戸知事の責任は重大です。
全国で50基の原発すべてが停止しているのは、なにより原発を安全に運転する保障がないからです。
そもそも、福島原発事故の原因究明もつくされておらず、政府自らが指示した30項目のとりあえずの「安全対策」である「免震事務棟」や「フィルター付きベント」などが建設されるのは3年先です。また、万一の場合の避難計画も、新たな規制機関もできていない状況の下で原発を安全に運転できる保障はありません。これではあらたな「安全神話」でしかないと言わざるをえません。
井戸知事も以前認めておられたように、そもそも電力不足の問題と原発再稼動とは切り離して考えるべき問題です。
しかし、野田首相は、電力不足や料金値上げになれば、「国民の安心が脅かされる」と述べ、再稼働が必要と強調しました。
いま検討されている節電や電力のピークカット、電力融通など、さまざまな対策が検討されている中で、再稼働を強行することは、その努力を打ち切ることになります。電力需給の問題では、必要な電力需要を猛暑のデータで「過大」に見積もりし、火力や水力、融通電力の供給の側での数値は「過小」に見積もっているとの指摘もあります。より立ち入った検証が必要です。この間、とるべき対策を怠ってきたのは政府と関西電力です。
結局、原発ゼロを目指す立場ではなく、福島事故の反省なく、「原発は重要な電源」として、原発を将来も存続することを前提にした再稼働に他なりません。
広範な県民の声を受け止め、原発再稼働への道を止める、本請願の採択を強く求めるものです。
県立こども病院のポーアイ移転計画の撤回を
■質問■ つぎに、請願第37号「県立こども病院のポーアイ移転計画の撤回を求める件」についてです。
この問題について我が会派は、議会の中でも一貫してとりあげてきました。県立こども病院は建築から40年経ち、老朽化、狭隘化のため建替えは必要なものの、病院機能を保障する根幹である移転場所が問題だからです。
ポートアイランドへの移転を知った患者家族・県民から出される驚きの声は「なぜ、阪神・淡路大震災時にアクセスが途絶え、液状化を起こした人工島に移すのか」「東日本大震災の教訓はどうなっているのか!?」ということです。県民に向けては、ポートアイランドという移転地については隠したまま、昨年八月にパブリックコメントを行い、その後説明会を行う予定もありません。
また、医師会をはじめとする医療関係者の間では、地域医療再生計画の検討を始めた昨年の6月当初から、防災面を主な理由として異論が出されていたにも関わらず、それを無視して、厚労省に対しては「医師会の同意も得ている」と地域医療再生臨時特例交付金を申請したことも大問題です。
兵庫県県土整備部が平成八年(一九九五年)に出版した「兵庫の地質」では、阪神・淡路大震災時、「ポートアイランドではほぼ全域で液状化が発生し、それに伴う噴砂現象によって一面が“泥の海”の様な状況を呈した」「液状化に伴った地盤沈下によって構造物と周辺地盤との間に大きな落差が生じ、ライフライン関係の配管等が多くの被害を受けたこと、連絡橋の損傷に伴い一時孤立状態になったことなど人工島に特徴的な被害も発生した」と記載されています。このことで、当時ポートアイランドT期にあった神戸中央市民病院が、地震発生直後、一番必要とされた時に負傷者を受け入れられなかった事実を過小評価することは絶対に許されません。
県の基本計画は、神戸大橋も今は耐震化されており、液状化防止のためにポートアイランドU期の移転予定地を十億円以上かけて今後地盤改良するとしています。しかし、今後想定される揺れは、直下型の阪神淡路大震災より長い揺れが想定されることや、2倍想定の津波高では、
阪神淡路大震災後につくられた港島トンネルについても、両側のトンネル取り付け部が浸水する可能性があり、その浸水を排除する対策がたてられていないこと。また、神戸市のみなと総局も、移転予定地の北部に位置するポートアイランドT期が再び液状化を起こすかも知れないとする見解を出しており、ポートアイランドへの移転は避けるべきです。
そもそも3連動などの巨大地震が起きた時でも、十分な地盤高があるから大丈夫というのは、あくまで「地震想定通り」だった場合であり、実際どの程度の津波が襲来するか分からない沿岸部に向かって負傷者を運ぶことになる立地は、決してふさわしいとはいえません。
もともと、神戸市が県立こども病院を誘致した理由は、医療産業都市構想と一体にした、ポートアイランド用地の販売促進であり、兵庫県は、このような神戸市とともに、国への特区申請などをすすめています。医療の観点から出発したものではありません。
県立こども病院の役割である、小児医療の「最後の砦」を守る観点から出されている、本請願の趣旨は当然のことで、採択を強く主張するものです。
被災者の「追い出し」やめて、継続入居を
■質問■ 次に、請願第39号「借り上げ公営住宅住み替え」撤回を求める件についてです。
借り上げ公営住宅は、そもそも阪神淡路大震災で住宅を失った被災者に対し、県が県営住宅を建てて対応すべき所を、建設を抑制するためにUR等から借り上げ、災害公営住宅として入居を認めてきたものです。
本請願は、県がこの入居者に、20年の入居契約を盾に住み替えを迫っていることに対し、撤回を求めているものです。
借り上げ公営住宅の入居者は、17年余前に自宅を失い、避難所、次に仮設住宅、そしてやっとの思いで災害公営住宅に入居できました。入居許可書には契約期限を記入していないものもあり、当局の十分な説明も行われないまま、多くの人が「終の棲家」として移り住んだのです。
しかし、もし今回住み替えとなると、17年余の間に4回も転居することになります。その転居の度に、人と人、人と地域の繋がりが断ち切られ、今やっと日常を取り戻した所です。そこでまた、県の政策によって入居者の孤立化やコミュニティー破壊を助長することは絶対に許されません。
高齢化の問題も深刻です。借り上げ公営住宅入居者の約2000世帯の内、世帯主が66歳以上が64%、単身世帯が70%を占めています。高齢に加え、病気、障害、体調不良、様々な生活困難をかかえる高齢者にとって、生活環境の変化が精神的にも身体的にも悪影響を与えることは必至です。
また、経済的な問題でも、殆どの入居者が国民年金で生活しており、最高でも、月・六万四千九百円、ちょっとした生活の変化でも大きな負担です。
さらに、県が今年1月に設置した「検討会」が、入居者の生活に重大な影響を及ぼす問題の議論であるにもかかわらず、完全な非公開で行われていることも問題です。
こうした被災者に対して住み替えを迫るということは、まさに、憲法に保障された生きる権利、生存権を保障するという点から大きな問題であり、住み替え案は撤回すべきです。よって、本請願の採択を求めます。
高校教育の無償化の前進と給付制奨学金の実現を
■質問■ つぎに、請願第35号・第36号「教育費無償化の前進を求める意見書提出の件」についてです。
二〇一〇年度から「公立高校授業料不徴収、私立高校就学支援制度」がはじまり、高校無償化の第一歩として、大いに歓迎されているところです。
しかし、制度の見直しの中で、授業料不徴収に所得制限の導入が検討されていますが、高校授業料無償化に逆行するものであり導入すべきではありません。
平成二十二年度の文科省の子どもの学費調査でも、公立高校で二十三万七千円、私立高校では六十八万五千円と、依然として家計に大きな負担となっているのが現状です。
経済的に困窮している生徒は増え続けており、二〇一〇年度に就学援助制度の対象となった公立小・中の児童生徒は前年度比六万人以上も増えて、過去最多の百五十五万人あまりにものぼります。就学援助受給者の九割を占める準要保護世帯の子どもたちは、高校に入学すると、「就学援助」はうけられなくなり、授業料の負担がなくとも、学校納付金の滞納率が高くなっています。
また、大学を卒業しても若者の労働環境は厳しく、奨学金の返済が困難で、社会への第一歩から借金を背負うことが大きな負担となっているのが実態です。
世界では、大学などの高等教育にいたるまで、教育費は無償というのが大きな流れです。OECD加盟三〇カ国の中で、すでに半分の国で大学の授業料が無償化され、二十八カ国で経済的困難な学生には返済の必要のない給付制奨学金制度があり、高学費負担となっているのは日本だけです。
経済的理由で教育を受ける機会が左右されることのないよう、憲法
二十六条にもとづく教育の機会均等の原則の観点からも、高校無償化の維持・拡充と給付制の奨学金制度の創設を求める本請願の採択を求めます。
いまこそ、取り調べ可視化を
■質問■ 次に、請願第40号「取り調べの可視化など刑事訴訟法の改正を求める意見書提出の件」ですが、裁判員制度が導入され、さらなる刑事裁判での改革として、自白の強要や冤罪をふせぎ、違法・不当な捜査を抑止するため、取り調べ「可視化」が求められています。そのためには、いま検察が試行している取り調べの一部の録画だけでは不十分で、都合のよい部分だけが録画される危険もあり、どうしても「すべての事件」で、「全過程の可視化」が不可欠です。
兵庫県下では、昨年6月、全国ではじめて、すべての市町議会で可視化を求める意見書が提出されました。しかし、県議会では、前期、可視化を求める同趣旨の請願にたいし、二年もの間、継続審査にしたままで、最後に「結論をださない」という扱いをしました。その時も、「各党と議会の責任が問われている」と指摘しましたが、今回の請願にたいしても、県議会として、不採択にするのではなく、ぜひ採択すべきです。
病院の消費税率ゼロへ
■質問■ 最後に、継続審査となっていた請願第24号「社会保険診療報酬に係る消費税非課税制度の税制を求める意見書提出の件」についてです。
公的医療は「高度の公共性を持つ」との観点から、医療費に対する消費税は非課税とされている一方で、医療機関が医療機器や薬品を購入したり、病院施設の増改築の時には消費税がかかり、その分は医療費に上乗せできない事から医療機関の自己負担となっています。その解消が求められることから、我が会派は12月議会、2月議会で本請願の採択を強く主張してきた所です。
従来国は、この損税に対して、その分診療報酬に上乗せして補てんしていると説明してきましたが、この間の「社会保障と税の一体改革」の議論の中で補てんが極めて不十分であることを認め、検証の場を設けるとしているところです。しかし検証の方向は基準・区分を決めて診療報酬の中で対応するという従来の延長線上であり、損税を全額補てんするものではありません。
日本医師会の試算では医療機関の損税は二千三百三十億円にのぼり、仮に全額診療報酬で補てんしようとすると、とんでもない患者負担増になり、事実上患者に消費税の負担を求めるものとなります。
損税の発生が税制上の欠陥である以上、税制によってのみ抜本的に解消されることから、本請願が求める仕入れにかかった消費税を全額控除する「ゼロ税率の」導入が相応しいと考えます。消費税率十%への引き上げが強行されようとしている今、国の議論を待っている状況ではないことから、継続ではなく今議会で本請願の採択を強く主張し、私の討論を終わります。
ありがとうございました。
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