当初予算議案反対討論
私は、日本共産党県会議員団を代表し、ただいま上程中の第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第8号議案、第11号議案、第16号議案ないし第18号議案、第20号議案、第23号議案、第26号議案、第28号議案、第29号議案、第34号議案、第39号議案ないし第42号議案、第46号議案、第47号議案、第49号議案ないし第65号議案、第72号議案、第73議案、第75号議案ないし第86号議案について反対の立場から討論を行います。
政権交代から2年半、民主党政権は、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の廃止、労働者派遣法の抜本的改正、大型開発の見直しなどの公約を次々と破り、「国民の生活が第一」というスローガンにそむいて国民を裏切り続けてきました。
さらに、260兆円もの内部留保を持つ大企業や、2012年の世界長者番付に入った24人の日本人だけで6兆106億円の資産を持つなどしている大富裕層には、税金を優遇し続けておきながら、消費税の10%への引き上げと社会保障の切り下げを行う「社会保障と税の一体改革」で、国民のくらしをこわそうとしています。
このようななかで、地方自治体には、住民の命とくらしを何よりも優先する姿勢が求められますが、知事提案の新年度予算はそうではなく、福祉とくらしを切り捨て、大企業優遇と大型開発を優先するものです。
わが党は、予算特別委員会で、12年連続となる予算組み替え案を提案し、くらし優先の予算編成が可能であることを示したところです。
そのような立場から、まず、第1号議案「平成24年度兵庫県一般会計予算」など、新年度予算関係議案について反対理由をのべます。
第1に、8年間で主な事務事業だけで101億円、年間12億円余を削減し、一般事務費などをあわせて行政経費420億円の削減をおこなう第2次行革を引き続き実施し、県民にいっそうの犠牲をおしつけていることです。
県民の強い反対で実施延期となっていた、乳幼児・子ども・障害者の福祉医療費助成の所得制限を強化し、約5万7千人が制度の対象外となります。子育て支援、ユニバーサル社会づくりに逆行するものです。
また、障害者の自動車税・自動車取得税の免除を、重度者に限定するなどの改悪で、1万8000人が免除を受けられなくなるなど、影響を受けます。わずか1000万円ほどの増収のために、障害のある人が日常生活を営むのに欠かせない手段に対して増税することは認められません。
あわせて、第46号議案「第2次行財政構造改革推進方策変更の件」についても、このような犠牲を変わらず押し付けるもので賛成できません。
第2に、国の社会保障切り捨てから県民を守るのでなく、福祉・医療・くらしの予算を減らしていることです。
次期介護保険料の見込みは、県内平均で4998円、平均で16%もの引き上げで、高齢者の負担は限界を超えようとしています。
今回、市町の介護保険財政が困難になった際などに貸付けを行う県財政安定化基金を、新年度に限り取り崩し、保険料の抑制に活用することができるようになったにもかかわらず、県は、取り崩し額72億円のうち県拠出分24億円について、保険料引き下げに使おうとしていません。県下の40市町の要望にもこたえ、保険料軽減にあてるべきです。また、基金に残す47億円についても、過去6年間の活用は4億7000万円しかなく、もっととりくずすべきです。
後期高齢者医療の保険料も、6.1%の引き上げが予定されています。県内でも保険料が払えないなど、2010年度で51人が財産を差し押さえられ、3662件が短期保険証しか発行されていません。県として軽減を図るべきです。
あわせて第5号議案「平成24年度県営住宅事業特別会計予算」は、低所得者むけの住宅が大幅に不足しているなか、新規建設がなく、行革により建て替え戸数を減らすとともに、「借り上げ復興公営住宅」の居住者に「住み替え」を迫るもので反対です。
第3に、「行革」による3割の人減らしを続け、人勧による職員の給与カットを行っていることです。
住民の安全を守り、くらしに密着したサービスを提供する公務員の役割の重要性が、東日本大震災でも明らかになりました。マンパワーが確保されなければ県民の安全を守ることはできません。また、職員給与は4月から、年間1万8000円が引き下げられ、行革による影響分を含めると、全一般職員 平均で年間32万4000円もの引き下げとなります。県の職員給与は行革による独自カットのため民間に比べすでに1万9402円低くなっており、「公民較差の是正」という引き下げ理由には道理がありません。また、民間給与カットの連鎖を引き起こし、購買力の低下、税収の減少で財政悪化とさらなる景気の冷え込みをもたらすことからも反対です。
あわせて、第29号議案「平成24年度兵庫県職員定数条例等の一部を改正する条例」も、人員削減を行うもので反対です。庁用自動車運転手の給与カットを行う第8号議案「平成24年度兵庫県庁用自動車管理特別会計予算」にも反対です。
また、第11号「平成24年度母子寡婦福祉資金特別会計」は、人減らしのために、償還金の回収を民間委託し、昨年、生活保護を受給中で少額返済していた女性に、全額一括返済を迫った事例が明らかになっています。福祉的な貸付金の返済金回収を民間委託すべきではありません。
第4に、破綻した大企業呼びこみ型の経済対策により、大企業への補助金を継続する一方、中小企業や農林水産業への支援・雇用対策が少ないことです。
県が「雇用が拡大し、経済効果が期待できる」として多額の補助金を出してきたパナソニックが、短期間で尼崎工場を生産停止・縮小し、雇用拡大どころか、千人ものリストラを行っており、県民の怒りを呼んでいます。しかし県は、その反省もなく、パナソニックを含め約24億円の補助金を予算に計上しています。
一方、中小企業向けの予算は、ほとんど融資ばかりです。県議会で請願が採択されるなど、要望の強い住宅リフォーム助成制度も予算化されていません。
また、中小企業の仕事起こしにもつながると期待の大きい住宅用太陽光発電設置補助は、補助単価が昨年の半分に引き下げられ、件数も昨年実績より1300件も少ない予算しか盛り込まれていません。設置費用は2割ほどしか下がっておらず、その分住民の費用負担が増え、原発に頼らない自然エネルギー普及にもブレーキをかけることになります。
農林水産業では、TPPや輸入拡大で切り捨てられることになる大多数の小規模農家を支援するのでなく、「国際競争に勝てる」ことに県の支援を特化し、集約化・大規模化のみを推し進める方向です。農林水産業と食料自給率、食の安全安心を守る立場がありません。
第5に、不要不急の大型開発を進めるとともに、これまでの破綻のつけを県民におしつけていることです。
6キロに660億円をつかう東播磨南北道路や、余部道路、新名神など、高速・高規格道路や大規模林道の建設、三菱電機に対する過剰な移転補償を含む園田西武庫線、但馬空港の赤字補てんや神戸空港への補助、金出地、西紀、与布土ダムの本体工事など、不要不急の事業に多額の税金をつぎ込もうとしています。さらに、事業費6千億円の播磨臨海地域道路や、名神湾岸連絡線の建設などについて調査費を計上し、いっそうムダづかいを広げようとしています。
第2号議案「平成24年度兵庫県県有環境林等特別会計予算」では、計画が破綻し、塩漬け土地になっていた三木新都市や、淡路多賀用地などの取得費用の償還のため公債費を繰り出すとともに、さらなる取得を目的につみおくものです。当初の開発計画の破綻についての説明や時価を明らかにしないまま、失敗のつけを県民に押しつけようとするものです。
第4号議案「平成24年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」も、小野長寿の郷や宝塚新都市など無駄な用地取得による借金返済の増大があり、反対です。
第20号議案「平成24年度地域整備事業会計予算」についても、大規模プロジェクトなどの行き詰まりを事業ごとに明らかにし、縮小すべきであることから反対です。
第6に、合意のない「高校教育改革」を押し付け、教育予算を削減していることです。
昨年、公立高校の「通学区域拡大」に県下各地で強い反対の声があがったにもかかわらず、県教育委員会は、新年早々、16学区から5学区への統合・拡大案の決定を強行しました。
競争を拡大し、通学費・通学時間の拡大を押し付ける学区拡大計画は撤回すべきです。
さらに、教育委員会は、これまで「検討委員会」という住民が参加も傍聴もできない場所で、高校の統廃合、入試制度の変更、通学区域拡大などを決めてきましたが、新年度も今後の「高校改革」についてこうしたやり方で検討する予算が含まれています。密室での検討はやめるべきです。
また、公立高校の授業料無償化で公私間格差がひろがるなか、私立高校の平均授業料は就学支援金制度がスタートした一昨年度より約7万円も上がっているのに、授業料補助単価は見直されておらず、生活保護世帯でさえ実質無償化に届いていません。国からの修学支援基金を活用すべきですが、ほとんど使われていません。
そのほか、第16号議案「平成24年度兵庫県病院事業会計予算」は、行革による人員削減を行っているほか、批判の強い「県立こども病院」のポートアイランドへの移転を進める予算が盛り込まれています。移転先であるポートアイランドは、人工島で、阪神・淡路大震災のとき、液状化が起こり、「陸の孤島」になりました。津波への備えについても、護岸が高いから大丈夫と説明されていますが、長時間の揺れに対する護岸や地盤の耐震性に不安が残されているなど、どんな災害が来ても病院の機能が発揮されると保障できる場所ではありません。県内の団体や県民から、移転に強い反対の声が出されています。
そもそも、昨年の建て替え計画についてのパブリックコメントの際には、移転先はまったく示されておらず、移転先について県民に一度も意見を聞いたことがないことからも反対です。
第17号議案「平成24年度兵庫県水道用水供給事業会計予算」、は、高い県水を市町に押し付けていることから、第18号議案「平成24年度兵庫県工業用水道事業会計予算」は新日鉄の水道料金を不当に安くしていることから反対です。
次に条例関係議案についてです。
第23号議案、義務付け及び枠付けの見直し並びに権利移譲に伴う関係条例の整備に関する条例については、国の地域主権改革第2次一括法により、これまで市町が「特例」として行っていた知事の事務を、「特例」でなくするというもので、その意味においては現状と変わらないものですが、都市計画法とか老人福祉法に基づく届け出の受理に関する事務など、本来、広域的に監視すべき内容が監視できなくなったり、市町の財政状況によって差が生じたりする可能性がある事務を「特例」としてではなく、普遍的に行わせることは問題で反対です。
第26号議案、使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例については、保険業法の「改正」にあたり自主共済に対する規制に、各分野から反対運動がおこり、その後、任意団体の自主共済なども一般財団法人となり、許可を受ければ事業を継続できることになりました。そのこと自体は賛成ですが、その認可手続きの手数料が15万円と一般の保険と同じ高額にすることは反対です。
また、災害医療センターが利用料金制を導入することは、県民の命を守る施設にふさわしくありません。 県の公的支出の引き下げにつながるおそれがあります。通訳案内司の登録については県が行うべきであり、事務を関西広域連合に移譲すべきではありません。
家畜保健衛生所の検査手数料は、条例上金額を示していたものを「農業災害補償法施行規則の規定により算定した額」とするものですが、金額の変更は条例改正を通じておこなうべきです。
建築確認申請手数料の値上げは、住民の負担増となり、認められません。また、道路上に食事施設や購買施設など店舗を設置したときの道路占有料の設定については、民主党政府の新成長戦略により、都市の国際競争力の強化のため道路占有許可基準や、道路の上空利用について規制緩和することによって追加されるものですが、道路上の安全が守れなくなり反対です。
第28号知事の権限に関する事務に係わる事務処理の特例に関する条例の一部改正する条例について、 介護、障害サービスを提供する指定業者の管理を中核市などに移譲するものですが、県民の健康・くらしに深く関わるもので、業者への立ち入り調査など、十分な体制と広域的な監視が必要です。県として行うべきであり、反対です。
第34号議案、兵庫県立こども発達支援センターの設置及び管理に関する条例については、
設置には賛成ですが、同時に指定管理者に管理をさせるのは反対です。県民の福祉、安全、健康にかかわる施設は県が直接的に責任をもち運営すべきです。
第39号 兵庫県立都市公園条例の一部を改正する等の条例について 第2次行財政構造改革推進方策に基づいて市町に譲渡するものですが、東はりま日時計の丘公園は、利用者は地元西脇市よりもむしろ市外の人が多く、県として維持すべきです。
また、西はりま天文台公園も、全国に誇る望遠鏡が設置されるなど、県がもともと責任をもって管理すべき施設であり、独立行政法人となる県立大学に移譲すべきでありません。
また、西武庫公園は、住民参加で今後のあり方について検討され、当面の整備費用が交付されて尼崎市に移譲し、明石西公園は廃止し緑地をがんセンターに、テニスコートを教育委員会の管理にして開放することなど、県民の反対運動のなかで、一定、県民の声が反映されたことと評価しますが、元々、県立公園として維持すべきものであり、反対です。
第40号 兵庫県立高校の設置および管理に関する条例の一部改正について 高校「改革」第1次実施計画に基づいて、新宮高校を平成20年に開設した龍野北高校へ統合したことに伴い、この3月に在校生が卒業することから新宮高校を廃止するものです。もともと、新宮高校と龍野実業高校の統廃合は、看護・福祉と工業という異質な学校を統合し、生徒や地域の十分な合意もないものであったことから、わが党は、当初から反対してきました。
第41号 兵庫県学校教職員定数条例の一部改正について、 全体としては、現行定数40,867人から41,213人と児童生徒数の増減で新年度は、346人増えていますが、内、県単独の教職員が行革で13人削減されています。また、小学校9校の統廃合に伴う定数減が含まれていることや少人数学級を拡大すべきとの立場から反対です。
第42号 兵庫県立体育施設の設置及び管理に関する条例については、今回新たに明石西公園にある神戸西テニスコートを県立体育施設として設置し、指定管理とし、すでに設置されている5施設を条例改正で一本化しようとするものですが、利用料金制をとり、議会のチェックなしで、一定範囲で値上げが可能になることから反対です。
第47号 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対する出資の件について、本四架橋等に多額の出資を行うもので反対です。
次に、公の施設の指定管理者の指定についての議案です。「公の施設」とは、「住民の福祉を増進する目的」で利用する施設であり、むやみに指定管理者に運営をゆだねるべきではありません。
第49号議案、第54号議案、第57号議案〜第65号議案、第72号議案、第73号議案、第75号議案〜第78号議案、第82号議案、第83号議案については、県の施設でありながら議会の承認なく、一定の範囲内で値上げが可能な利用料金制があることから反対です。
また、第50号議案〜第53号議案、第55号議案、第56号議案、第79号議案〜第81号議案については、県立子ども発達支援センターや県営住宅など、県民の命、福祉、生活、安全を守るための施設は、直接県が責任を持って運営すべきであることから指定管理に反対です。 また、第84号議案の兵庫県災害医療センターや第85号議案の兵庫県立リハビリテーション中央病院、兵庫県立リハビリテーション西播磨病院については、県民の命を守るための施設であり、かつ利用料金制も導入していることから反対です。
最後に第86号議案 関西広域連合規約の変更については、 関西広域連合について、もともと反対であり、政令市の大阪市と堺市が入ることによる拡大にも賛成できません。議員定数の議論において、滋賀県議会が、大都市以外の意見が反映されにくくなることについて懸念を示しました。関西広域連合は、関西財界が唱える大阪の大都市部を中心とした大型開発をすすめようとしており、今回の議論はその矛盾を示しているのではないでしょうか。今、必要なことは、憲法と地方自治法に基づいて、県民の命を守り、福祉向上に努める県政にすることです。よって、本議案に反対です。
以上で、私の議案に対する反対の討論を終わります。
|