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本会議 第312回本会議一般質問 宮田しずのり
2012年2月27日

パナソニック生産停止問題

大企業誘致補助は廃止を

■質問■ 質問の第一は、パナソニックの尼崎工場生産停止問題についてです。
兵庫県は上限なしの企業立地補助制度をつくり、パナソニック尼崎工場にはすでに3つの工場合わせて80億円を支払っています。そのパナソニックが、昨年10月末、第1・第3工場を生産停止すると発表し、すでに千人を超える人員整理を行っていると思われます。鳴り物入りで進出して6年、第3工場は建設して2年で企業の都合で縮小・撤退するのは、あまりにも身勝手ではありませんか。
尼崎第1工場で、請負会社従業員として時給950円、雇用は1ヶ月更新で1年4ヶ月働いてきたAさんは、昨年六月、朝礼で「10月いっぱいで全員やめてもらいます」ときかされ、9月で辞めましたが、あとの仕事は見つかりません。100人程度いた現場はほとんど辞め、尼崎ハローワークには、多くの従業員が1月中旬に雇用保険の手続きにきています。
また、尼崎商工会議所では、パナソニックが短期に生産縮小することに、尼崎のものづくり中堅企業が、いずれ国内ではやっていけないと海外進出を真剣に考えるのではないかと心配されていました。
わが日本共産党県議団はこれまで、大企業を誘致しても、地域の雇用や経済への効果はうすく、大企業に多額の補助をする必要はないと繰り返し議会でも指摘し、さらに、パナソニック尼崎工場の生産停止が発表された直後に、雇用を守り、すでに支払った補助金の返還を求めるよう知事に申し入れも行ってきました。
県は2月7日、今になって企業立地補助制度の補助対象企業等が休止等を行った場合の「取り扱い要領」を制定し、パナソニックに12億6千万円の返還を請求すると発表しました。
県が補助金の返還を求めることは当然であり、私たちの主張が一定反映されたものと考えますが、今回のパナソニックの件で、大企業の誘致に多額の補助金を出しても雇用、地域経済、税収にもほとんど効果がないことがはっきりしたのではありませんか。
県下の経済や財政を立て直すためには、事業所数の99%、雇用の7割を支えている中小企業への支援を抜本的に強化し、内需を活発にすることが重要です。
そこで、県として、パナソニック社に対し、人員整理など計画の全容を明らかにさせ、雇用や地元中小企業等に対する社会的責任を果たすよう求めるべきです。そして今後、大企業への誘致補助はきっぱりと廃止し、誘致補助金制度を抜本的に見直し、中小企業への支援を強化する方向へ転換することこそ重要だと考えますがいかがですか。答弁を願います。

▼答弁▼井戸知事:パナソニックが世界戦略としてパネルの生産拠点を見直すということを発表されました。これに伴い、パナソニックプラズマディスプレイの今回の事業規模の縮小が生じたわけです。これにより生ずる雇用や地元経済の影響については、まだ全体のつまびらかな影響が明らかではありませんが、雇用者としていは、報じられたところでは、「1000人を超える規模の人員削減が行われる」ということですが、これは他府県の工場を含めたパナソニックのテレビ事業全体の雇用調整人数であると受け止めています。現時点では、地元ハローワークや商工会議所からは、生産の一部縮小に伴う地域への影響はみられないと聞いていますが、今後尼崎の3工場の生産が1つに集約されるなかで、一定の影響が生じてくると考えられます。県としては、同社にたいし、休止施設の再開や新事業展開を働きかけるとともに、雇用維持の努力や地域経済への配慮を働きかけています。今後とも引き続き、情報提供を求めるとともに、関係機関と連携して地域経済の雇用への影響の把握につとめ、必要に応じて相談窓口を設けるなどの対応を行ってまいります。
 わたくしとしては、せっかくパナソニックが拠点工場として整備された工場だけに、パナソニックの世界戦略のもと、基幹施設として新たな展開を期待しております。
 企業立地支援制度については、産業集積条例が制定された平成14年度から22年度までに補助金交付の対象とした92件について、土地をのぞいた直接投資額が9600億円、操業開始時の雇用者数は、1万1000人、うち新規地元雇用者数は約5000人であります。直接効果だけでも、本県経済への大きな影響があったと考えています。海外生産の伸展や国内工場の再編がすすむなか、誘致競争もますます激化しており、昨年は本県が最多立地県でありました。これは、これらの誘致制度も効果があったのではないか、このように考えます。今後とも本県の立地優位性をアピールし、企業立地支援制度を活用しながら、さらに積極的に企業誘致にとりくんでまいります。

津波対策の強化を

■質問■ 次に津波対策について質問します。
 東日本大震災は、改めて津波の恐ろしさと、備えの重要さを浮き彫りにしました。
 私の地元尼崎市は、かつて大企業が工業用水として長年地下水を汲み上げたため、約2メートル地盤が沈下し、海抜ゼロメートル地帯が多く、標高5b以下の所に数10万人が住む人口密集地帯を抱えています。
 1950年のジェーン台風に伴う高潮で甚大な被害を受けた事から、その後、高さ7bの海岸防潮堤が築かれています。
 こうした尼崎市の特殊な状況から、津波対策のいっそうの強化が求められています。
県は、昨年10月、東日本大震災の発生を受け、東海、東南海、南海3連動地震に伴う津波防災対策を実施すると発表しました。
そこで問題の1つは、62年前から順次築かれた高さ7メートルの防潮堤についてです。
県は、マグニチュード8・4、百年に一度程度の津波は、門扉や防潮堤などの整備等により、被害を生じさせないよう「防御」し、またマグニチュード9.0、千年に一度程度の津波に対しては、越流は許容した上で、既存施設を強化し、早期復旧可能な被災に留める粘り強い構造にするとしています。
しかし、現在の防潮堤は、最初の建設から約60年経過しその劣化や上部2メートルほど継ぎ足しされていることによる強度、防潮堤の基礎部分の液状化などが懸念されます。そこでまず目視による点検だけでなく、本格的な総点検・調査を行い、液状化対策を含めて実施可能な最大限の防潮堤強化策を講ずるべきと考えます。
その2つは、防潮堤に設置されている、尼崎市域だけで39カ所の閘門、水門、門扉などの開口部を地震発生直後に一斉に全て閉められるかどうかです。
県の策定した「津波被害警戒区域図」でも、想定津波高2倍、5bの津波が襲来した場合、もし門扉が全部閉まらなければJR線まで浸水することになっています。
しかし、現在の39カ所の内、電動化され、遠隔操作出来るものは、閘門と水門の6カ所のみ。あと10カ所は電動化されているものの現場に行ってスイッチを押さなければならず、地震で停電すれば重量6トンもの門扉を手でハンドルを回して閉めなければなりません。残りの23カ所は横開きや片開きなどで、すべて手動です。
また、全体39カ所の内28カ所は県職員が出動して閉めることになっています。
こうした門扉等の設備の状況や職員の体制から到底一斉に閉めることなど極めて困難です。特に夜間、休日の場合など不可能と言わざるを得ません。
東北3県では、消防団員が防潮堤門扉等を閉めに行って70人以上が犠牲になっています。
そこで本県として、現在、電動化されているものの現場にスイッチのある10箇所の門扉は直ちに遠隔操作出来るシステムを導入すると同時に、比較的開口部の大きい手動の門扉についても電動化、遠隔操作できるシステムへ転換して行くべきと考えますがいかがでしょうか。
その3は、武庫川における津波の遡上対策については、県はその危険性はないとして全く対策がとられていません。この対策も是非検討し具体策を盛り込むべきと考えます。防潮堤の強化策、門扉の電動化、遠隔操作化と合わせて答弁願います。

▼答弁▼浜田県土整備部長:本県では、平成17年から21年に実施しました防潮堤の耐震診断調査にもとづきまして、100年に1度とされるレベル1の地震時の液状化も考慮した津波防御機能を検証しておりまして、この結果、強度不足となります西宮地区、今津地区の2箇所について、補強・対策工事をすすめております。
 また、東日本大震災後に行いました目視等による緊急点検の結果もふまえまして、クラックの補修など、防潮堤の当面の機能保持に必要な補修工事を順次実施していくことにしております。
なお、ご指摘のございました尼ロック付近の一部かさ上げした防潮堤でございますが、当時必要な堤体の厚みを有する改良工事を行っておりますし、その後の点検・調査からも、防災上の問題はないと考えております。
 尼崎等の門扉等におきましては、39箇所のうち、その設置高さから、津波が侵入する恐れがあり、閉鎖を要する施設は26箇所で、そのうち、遠隔操作の6箇所と、電動化の10箇所を除く、残り10箇所は手動で閉鎖を行っておりますが、今後順次電動化をすすめますとともに、限られた人数で確実に閉鎖が行えるよう、遠隔操作化につきましても、検討してまいります。
なお、武庫川を遡上する津波につきましては、県が暫定的に想定しております、二倍津波よりも、堤防が高いことから、越水はしないと考えております。今後は、津波対策のさらなる強化を図るため、防潮堤基礎部の潜水調査等の本格的な点検調査を行いまして、近々国から示されます1000年に1度、レベル2の津波高さや技術指針等をふまえまして、防潮堤の補強対策を行うとともに、液状化対策や遡上津波対策の必要性を検討するなど、尼崎市域の安全安心な社会基盤づくりに取り組んでまいります。

武庫川 流域対策の強化で将来もダムなしの総合治水を

■質問■ つぎに、武庫川の総合治水についてです。
 日本共産党県議団は、当初から、一貫してダムをつくらない総合治水を提案し続け、2000年には知事が「総合治水をゼロから検討する」ことを表明。2004年に設置された武庫川流域委員会の提言をうけて、当面20年間のダム建設なしの武庫川水系河川整備計画が策定されたことは一定の評価をするものです。
この計画は、河川・流域・減災の3つの対策を柱とする総合治水対策と、自然環境の保全の2つの大きな特徴から成り立っています。
総合治水対策のひとつである「河川対策」の河道掘削、堤防強化などの具体的対策に関し、西宮、尼崎で住民説明会がすでにおこなわれたところです。
ところが、学校の校庭・公園・ため池などの雨水を一時的に貯めて流域からの流出を減らす「流域対策」については、わずか毎秒30トン、将来目標でも毎秒80トン減らす計画にしかなっていません。
日本共産党県議団は、新規ダム建設をきっぱり中止するためにも、雨水を貯留する対策に真剣に取り組むべきだと強く求めてきました。
ところが知事は、今回の各対策を行っても将来の洪水の規模から見るとまだ毎秒1180トンの流量を確保することが必要であり、「ダムが必要になると考えている」と新規ダム建設に固執しています。
水田の貯留について県は、田んぼを乾かす時期が必要だから年間を通じて雨水を貯めることは困難という理由で計画では付け足し的な位置づけしかしていません。
新潟県見附市では、2004年の豪雨被害を受けて河川改修に加え、941fの田んぼダムを整備し遊水地にしたところ、昨年7月、過去最大の記録的豪雨にみまわれた際にも、2004年の被害額より低くおさえることができたとの報告があります。
また、住民参加の対策として雨水貯留タンクも有効です。
民家の雨水貯留タンクについては、雨水の流出抑制や節水対策として助成事業を行っている自治体もありますが、さらに大型のタンク設置研究も進められています。福岡大学・渡辺准教授の研究によると、各家庭等に6トンタンクを設置し地域世帯数に対する普及率が40%になれば、1時間雨量100ミリの雨の17%が低減できるとしています。
 個人住宅で敷地内の降雨を一時的に貯溜し時間差放流する、地中に浸透させることで、大雨が降ったとき河川の流量のピークカットができることを明らかにしています。
そこで、県として雨水タンクへの助成制度をつくり普及を進めるべきではありませんか。また、思い切った水田の活用や千苅ダムなどの活用に本格的に取り組み、ダム建設に頼らない総合治水対策を進めるよう求めますが、お答えください。

▼答弁▼井戸知事:武庫川では、本定例会に提案した「総合治水条例」に先駆け、流す・貯める・備える、の総合的な治水対策を推進しています。そのうち、貯めるの流域対策では、学校・公園・ため池、防水調整池を対象に河川基本整備基本方針では、330箇所で約200万トン、河川整備計画では約100箇所で約60万トンの雨水を貯留することとしております。あわせてご指摘の各戸貯留や水田貯留、森林保全などにも取り組んでまいります。水田貯留につきましては、見附市の事例がご紹介いただきましたが、見附市の事例では河川からあふれさせた洪水を堤防の下の水田に貯める遊水地に取り組んでおられます。しかし、武庫川上流域では、堤防と水田の高さがほぼ同じ高さにあります。したがって、水田をそのまま遊水地として活用することができないので、堰板を設置して雨水をためる、いわゆる田んぼダムに取り組むことにしています。すでに上流域にモデル事業を実施しており、その実施状況や条例にもとづく、総合治水推進協議会での協議をふまえて、地元の理解と協力のもと、水田貯留に取り組んでいきます。
また、各戸貯留については、流域全体が市街化した河川での研究事例と比べまして、山地流域を多く含む武庫川では、大雨時の河川流量のピークカット効果があらわれにくいということになりますが、初期降雨を貯留することによる流出抑制や内水氾濫には、一定の効果が期待できます。このため、流域7市のうち、4市が助成制度を設けておりまして、県としては、未実施の市に制度の創設を働きかけてまいりますとともに、流域全体で取り組みがすすむよう普及拡大に努めてまいります。
 また千刈ダムの治水活用や、新規ダムの建設は、合意形成や完成までに多大な時間がかかります。その間は整備効果を発揮できない課題もあります。これはダムの整備にともなう宿命です。基本方針の目標まで治水安全度を高める選択肢としては、必要性・実現可能性の検討を継続してまいります。
今後は「総合治水条例」をよりどころとして、河川・下水道対策・流域対策・減災対策にいっそう取り組んで、武庫川の治水安全度の早期向上を図ってまいります。

福井の原発再稼動させるな

■質問■ 原発再稼働問題と原子力災害への備えについてです。
 大震災、原発事故から1年、いまだに避難者は10万人にもおよび、原発災害の特別な被害実態が明らかになっています。
 去る20日には、高浜3号機の定期点検により、関西電力の全原発が停止しました。
 野田首相は、昨年9月、国会で「福島原発事故の原因究明がすべてのスタートの大前提」と答弁しましたが、「事故原因の究明なし」、「まともな規制機関なし」の状態で、収束宣言、そして再稼働の手続きをすすめようとしています。
その「妥当性」が問題となっている「ストレステスト」は、わが党の国会議員が明らかにしたように、コンピューターの解析で、未だ、大型振動台をつかった実証実験は行われていません。これで国民が安心できるでしょうか。
そもそも、福井の原発群14機は、地震の専門家からも「とくに危険な地域」と警告されているように活断層が密集している地域にあります。
兵庫県としても、政府にたいし、再稼働すべきでないことを強く申し入れるべきです。
 また、原子力災害についての備えも問題です。
 兵庫県は、関西広域連合の防災担当として、「関西・防災・減災プラン案」や「原子力災害対策編」の骨子案をすすめています。
 そこでは、「原子力災害の特殊性」をうたい、「被ばく低減化」「安定よう素剤」などの対策なども書かれていますが、肝心の被害想定は、福井の原発群の特別な危険性を直視せず、「福島第一原発事故と同程度の規模を想定」、「避難指示は、概ね半径30キロ以内の県域(UPZ)と想定」としています。
この避難指示区域に、兵庫県はまったく入っていません。福島の事故でも風向きなどで影響地域が変わり、政府の同心円での避難区域が問題視されましたが、この案での区域は同心円のままとなっています。
「なぜ14基もある福井で、福島と同程度なのか」というのは、だれもが思う疑問であり、最悪の事態から住民の安全と琵琶湖の汚染を防ぐための対策が必要です。
さらに、全国で原発依存が一番高い近畿でこそ、再生可能エネルギーへの転換が強く求められます。県は昨年、中断していた「住宅用太陽光発電設備設置補助制度」を復活しましたが、来年度の予算案で、補助単価を半分にしており、これでは普及の足かせとなりかねません。再生可能エネルギーへの予算の増額や専門の体制強化が必要です。
 知事、住民の安全最優先で、福井の原発群の再稼働をさせないことを政府、関西電力に申し入れを行い、福井原発14機の過酷事故を想定し、琵琶湖汚染対策も含めた「原子力災害対策」をつくることを求めますが、いかがですか。

▼答弁▼井戸知事:福島第1原子力発電所の事故から1年が経過し、その影響がきわめて深刻、広範かつ長期におよぶ実態が明らかになるにつけ、原子力災害が絶対にあってはならないことを痛感しています。この間災害発生一ヶ月後の、昨年4月に、関西広域連合におきまして、関西電力等におきまして、まず原子力発電所の安全確保、第二に原子力災害の対策のための体制整備、第三に自然エネルギー導入への積極的取り組みを柱とする申入れを行いました。近くこれに関する覚書を締結する予定です。その内容として、安全確保についての通報・連絡、情報共有体制の構築と、再生可能エネルギーの導入促進を定めてまいっています。
 また、国に対しましても、7月と11月に安全対策の強化や自然エネルギー導入促進などを提案しました。
一方、万が一の災害に際しまして、関西広域連合として、関西防災・減災プラン、原子力災害対策編の策定をすすめています。今年度は骨格的・概括的なプランとしてとりまとめたうえで、新年度には本格的なプランとして策定します。そのなかで、今後の国の福島原発事故の検証や、原子力防災指針、防災基本計画の見直しなども踏まえながら、SPEEDYによるシミュレーションなども活用し、避難対象地域や被害想定等を見直し、広域避難や放射性モニタリング体制などを整備していきます。また、万が一琵琶湖が汚染された場合の対応についても、明らかにすることとしています。
 原子力発電所の再稼働については、事故原因が検証され、専門的・科学的な知見のもとに、追加的な安全基準が設定され、その基準が十分に満たされた上で、立地県である福井県の同意をもとに、国が判断するものであると考えています。現状では、本県として、国に働きかける状況ではないと考えています。福井県の西川知事も同様の考えを表明されておられますので、その考えを尊重したいと考えます。
 なお、再生可能エネルギーの導入促進については、あらたに住民出資型太陽光発電設備の導入事例の検討や、太陽光発電相談指導センターの機能強化、地熱によるバイナリー発電の導入計画の策定、再生可能エネルギーを活用した発電ビジネスの事業化可能性調査などにも取り組んでまいります。なお、住宅用太陽光発電設置補助制度の単価をさげた理由は、発電設備のコストが下がり、原価の回収が従来よりも容易になったということが言えるからであります。

園田競馬場ナイター計画の中止を

■質問■ 次に園田競馬場におけるナイター計画について質問いたします。
 兵庫県競馬組合は、去る2月2日、今年9月から園田競馬場でナイター競馬を実施すると発表しました。  
計画では、現行の水・木曜日の昼間の開催に加え、毎週金曜日、午後2時から9時の時間帯で平均11レースを実施し、仕事帰りの会社員や若ものへ客層を広げ、毎年右肩上がりに黒字が増えていく収支試算を出しています。
園田競馬場は阪急園田駅から直線で北へ約2qに位置し、その間に1万5500世帯・3万3千人の人口が密集する住宅街があり、競馬場への来場者は、送迎バス、自家車、徒歩等で住宅街の中を通って行き来します。ナイター競馬の実施は、周辺の住環境に直接大きな影響を及ぼすだけに、住民合意は不可欠です。
地元では、現段階でも、地元自治会12地区中3地区が反対しており、また、賛成を表明している地区の中にも「条件付き賛成」もあり、個々の住民の中には多くの不安、反対の声が根強く聞かれます。
 ところが、組合管理者である金沢副知事は、記者会見で「住民合意は得られていない」が「決断を長引かせる訳にいかない」と述べ、9月実施方針を表明されました。しかし、決して見切り発車で強行することは 許されません。
昨年から行われた地元説明会でも、競馬ファンから受けた被害の実例として、「家の中に男が入ってきて娘が暴力行為を受けた」「自転車が2台盗まれた」「家のベルを鳴らされ「電車賃を貸してくれと言われた」などと訴えられました。
ナイターが終わる午後9時前後に競馬場で飲酒した人を含め競馬ファンが帰途に着き、路上や園田駅で住民や勤め帰りの女性、塾帰りの子どもと出会うことも考えられます。昼間の開催でさえ、心無い一部の行為とは言え、多くの被害や迷惑行為を現実に受けているのにナイターともなればどうなるのか。
ある高齢の女性は、私に、「ナイターの日は早く戸締りして電気を消して寝るようにします」と言われ、またある若い子育て中の女性は、「安全で平穏なまちにしてください」と切々と訴えられました。
 競馬組合は、新たに周辺地域に巡回警備員を導入、街路や・駅前等にガードマンの増員配置、来場者送迎バスの増便などの追加策を打ち出しています。
しかし、閑静な住宅街に、防犯カメラが設置され、夜の9時、10時まで多くのガードマンや警察官が警備しているだけで異様な光景であり、いくら警備を厳重にしても、元々住宅街の中を通る競馬場でのナイター計画そのものが、住民生活とは相容れないものです。
 そこで、地域の住環境を守り、周辺住民の理解を得て事業を続けるために、このナイター計画は撤回し、昼間の開催で魅力あるレースを創設するなど、他の方法で経営改善を図るよう再検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事の決断を求めます。

▼答弁▼金澤副知事:競馬事業につきましては、県として競馬事業活性化委員会を平成18年に設置し、活性化方策と今後のあり方について検討をいたしました。競馬組合では、この委員会報告をふまえまして、外部有識者等で構成する経営管理委員会を設置し、様々な助言を得ながら、場外発売所の設置拡充やインターネット投票の充実など、各種の売り上げ向上対策に取り組むとともに、経営合理化策として、職員数の削減や賞金等の削減に取り組んできておりますが、平日の昼間開催によるファン層の固定化、高齢化が進行しまして、なお経営収支は改善されてはおりません。
こうしたなかで、平成22年度決算において、5億5000万円の単年度収支赤字となり、委員会報告に記載されている競馬事業の存廃について判断する「見極め期間」がスタートしました。競馬組合においては、この期間に可能な限りの努力を行い、収支を改善する唯一の方策としてナイター開催計画がすすめられています。県としても、競馬事業は関係者の多い、裾野の広い事業でありますので、その存続を図るために、新しいファン層の開拓や在宅投票の増により、収支改善が期待できるナイター競馬を開催することが必要であると考えております。競馬組合では、地元住民の不安を払しょくすべく、メインレース以降は、正門閉鎖と市街地内道路の通行規制によって、競馬所に来場されたファンが住宅地に立ち入らないようにするなど、環境対策に最大限の努力を行っておりまして、ナイター実施を容認する意見も相当程度いただいていると聞いておりますが、引き続き地元住民の理解を深めるべく努力をつづけていくように、県の立場からも十分に指導していきたいと存じます。
なお、ご質問にありました、暴行・窃盗等の犯罪行為等があれば、警察に捜査をいただいて、断固とした処置をとるべきだと思っております。いまのところ、競馬組合には具体的な通報は入っていないようですが、そうした訴えの声を耳にした際には、聞き置くだけではなく、ぜひ通報いただくようにお願いいたします。

介護保険料の軽減、特養ホームの増設を

■質問■ つぎに、介護保険についてです。
 政府は、「社会保障と税の一体改革」の名の下、軽度者のサービス切り捨て、「在宅移行」を名目にした1800億円の公費削減などを計画し、公的介護をいっそう後退させようとしています。
こうしたもとで策定される新年度からの第5期介護保険事業支援計画案は、国の給付削減を先取りするものです。
特に、特養ホームは、入所対象者を、原則要介護3〜5にしぼるとともに、2025年度末までの整備数を8千床も減らす計画です。この方針なら、全県で年平均550床しか増えません。
今でも、県下の特養ホーム待機者は2万5100人、県が緊急度が高いとしている人だけでも3500人にのぼり、入所まで2年待ちがざらなのに、どう解消するというのでしょうか。しかも、代わりに充実するとしている「24時間巡回」の訪問サービスは、1回たった20分で、関係者から「安否確認しかできない」と批判が強まっています。
一方、次期介護保険料の見込みは、ついに県内平均で5108円、私の地元尼崎でも5257円と、もはや限界を超えようとしています。
現在69歳のAさんの場合、介護保険料は年5万5千円、医療費の窓口3割負担で17万円、両方で年金収入の15%にものぼり、これ以上の負担はできないと訴えておられました。
今回、市町の介護保険財政が困難になった際などに貸付けを行う県財政安定化基金を、新年度に限り取り崩し、保険料の抑制に活用することができるようになりました。
県は、基金残高約122億円のうち、72億円を取り崩し、3分の1ずつの拠出率に応じて、国・県・市町にそれぞれ約24億円を返還するとしています。市町拠出分は保険料抑制につかわれ、平均1人あたり年間576円が引き下げられます。
ところが県は、県拠出分24億円については、
12億円を一般財源に組み入れるなど、保険料引き下げには一切使わない方針です。
「10円でもいいから返して」というのが高齢者の切実な声です。厚生労働省は、県拠出分を「保険料軽減のための市町への交付金とすることが可能」としており、県下の28市12町も、そのように要望しているではありませんか。
さらに、基金に残す49億円についても、近年、貸付し活用した実績は少なく、取り崩し額を増やして、保険料軽減にあてるべきです。
そこで、県の特養整備などの基本方針は撤回し、市町が必要に応じて整備できるよう、抜本的増設の計画とし、財政安定化基金は、県に返還される24億円はもちろん、残す49億円についてもさらに取り崩し、保険料軽減に当てること。また、低所得者のための県独自の保険料減免制度の創設を求めますがいかがですか。

▼答弁▼久保健康福祉部長:県が市町に示した基本指針では、後期高齢者人口の伸び等にもとづき推計した数値をもとに、入所対象者の重度者への重点化や、在宅サービスの充実による在宅移行により、2025年までに必要な特養の整備数を見込んだ上で、具体的な整備ペースについては、各市町が、地域の実情に応じて、柔軟に設定できることとしております。この結果、第5期の整備数は、開設ベースで年平均1150床、3年間で計3449床の見込みとなっているところでございます。
財政安定化基金の取り崩しにつきましては、介護保険法では、1号保険料が税源である市町分は、保険料の軽減に使い、一般財源である国分・県分は、「介護保険に関する事業に要する経費に充てるよう努めるものとする」と規定されておりまして、国分につきましては、全額一般財源にあてる方針であると聞いております。また、県分につきましては、24億円のうち2分の1は、介護給付費県費負担金に充当し、残り2分の1の12億円は、地域振興基金に積み立てて、高齢者の在宅生活を支援するため、安心地区整備推進事業や、高齢者安心県営住宅等整備事業の創設、人生80年いきいき住宅改造助成事業の拡充等、介護保険制度の将来にわたる安定的運営に資する事業に充当することにしております。
 取り崩し額におきましては、本来の目的である市町への貸付、交付見込み額を控除した額とされておりまして、49億1900万円は、本県の状況をふまえて算定した、今後3年間に必要な金額であると考えております。
なお、現時点で集計した県平均保険料額は、4998円となっている。また低所得者にたいしては、介護保険制度において、保険料や自己負担額の軽減が図られていること、さらに、市町の判断で保険料が軽減できることなどから、県において、独自の減免制度を設ける必要がないと考えております。

塚口病院跡地に医療機関設置を

■質問■ 次に、県立尼崎病院、同塚口病院の統合新病院建設と現在の病院跡地活用について質問します。
 新病院建設は、新年度から着工となります。24時間365日断らない救急医療、小児救命救急医療、総合周産期母子医療などの充実、更には東日本大震災の教訓をふまえた災害拠点病院としての機能も備え、これまで尼崎市や阪神南圏域が抱えてきた医療課題を改善・充実する内容となっております。
 これらの医療内容は尼崎市及び阪神地域の医療関係者や県民の強い要望を反映したものです。しかし、1日1800人からの外来患者が見込まれるなか、バス路線など交通アクセスの整備に万全を期す必要があり、引き続く取り組みを強く求めるものです。
 さて、今後の最大の課題は、現在の尼崎、塚口両県立病院跡地の活用の問題であります。
この2つの病院の「統合再編基本計画」の中には、病院の跡地利用に当たっては、移転に伴う地域医療への影響を考慮して、「両病院の跡地に医療機関や福祉施設等の誘致に努める」と明記されています。
これは、2008年7月、県が「塚口病院を廃止し、尼崎病院に統合する」という一番最初の統廃合案が新聞報道された途端に[塚口病院廃止反対]の声がまき起こり、その後、わずか1ヶ月余りで8万人、尼崎市人口の17%に当たる署名が集まり、県議会に請願。その後、地元代表、関係団体なども入った「検討委員会」が設置され、丸1年かけて議論。その「検討報告」を受けて先に述べた「基本計画」の中に跡地利用が位置づけられたものです。
この統合を巡る議論の中で、最も焦点となったのが、外来・入院合わせて年間のべ22万人が利用する塚口病院が現在の位置から無くなることで、尼崎市北部だけでなく伊丹、宝塚両市の一定の地域を含め、地域医療の空白が生まれるということです。この医療空白を作らないために現塚口病院の跡地に一定の病床を備えた医療機関をどうしても誘致してほしいと言う声が、新病院着工の段階でも住民の間で強まっています。
又、塚口病院跡地への医療機関の設置は、新県立病院の後方支援としての機能からも重要です。主に急性期医療を担う新県立病院の在院日数は14日間程度とされており、すぐ在宅医療に移行できない回復期、あるいは疾病と障害のある患者などに対応できる病院としても必要です。
 そこで、「基本計画」どおりに県の責任で、とりわけ塚口病院の跡地に医療機関を設置されるよう強く求めるものですがいかがでしょうか。

▼答弁▼前田病院事業管理者:尼崎および塚口病院の跡地については、資産の有効活用を図るとともに、整備資源の確保を図る観点から、塚口病院用地を一部所有している地元尼崎市ととも十分協調のうえ、適切に売却を行うこととしております。それら資産の売却にあたっては、地元の意見を踏まえたうえで、現在の両病院が有する許可病床数から、新病院の整備病床数を減算した170床を活用を基本とし、医療機関や福祉施設等の誘致に努めることとしております。その際には、事業提案の公募方式を採用するなど、民間のノウハウができるだけ生かされる手法を導入する方向で検討をすすめていきたい。
なお、新病院の整備予定地は、両病院から約2キロメートルの距離に位置しており、とりわけ現在の塚口病院の立地場所からは、自動車での移動は5分程度ときわめて近接していることから、従来塚口病院が果たしてきた急性期医療の機能は、病院が移転しても空白が生じることはないと認識しております。

■再質問■ 2点ほど再質問する。
 一つは県立病院の問題です。「いまの位置から新しい病院まで5分しかかからない。だからあまり影響はない」という答弁だったが、この跡地に医療機関を設置してほしいという要望は、わたしだけが言っているだけではなく、尼崎市の共通した要求の一つとなっている。いま尼崎市長の今年度の知事に対する要望のなかでも、柱のひとつとして入っている。そういうことも踏まえて、今後の検討で、申し上げた内容を、もう一度加味して、民間の誘致になると思いますが、病院を設置する方向で検討していただきたい。答弁を。
 それから、ナイター競馬ですが、副知事が、「もしそういうことがあれば、警察に通報してほしい」。こんなことを地元の人が聞いたら、どう思うか。私が先ほど言ったのは、実際に被害にあった人から聞きました。その人は、警察に行くより、その前に子どもを病院に連れて行ったと、私に言われた。だから、そういうことが現実に起こったということを、ぜひ認識してほしい。知事も考えいただきたい。ナイターの来場者数は5000人と見られている。5000人が夜の9時前後にいっせいに外に出て、帰り道にバスを待ったり、あるいは歩く人もでてくる。たとえば、4000人がバスに乗ったとしたら、50人乗りで80台になるんです。これはバスがピストン運転するが、並んだら大混雑になる。そして、バスを待ち切れずに歩く人が出てくる。その人は、街中を通っていく。これだけ考えても、本当にどんな事態になるのか、そして何千人という人が夜の9時前後に園田駅に集中する。これも大変な事態になるわけです。ですから、私は市街地のなかで、ナイター競馬をやるというのは、もともと無理な方法だというふうに思う。ですから、撤回をして、別の方法で経営改善を図るということで、再検討していただくことを、知事の答弁をお願いします。

▼答弁▼井戸知事:園田の問題は、大変経営上の危機に瀕しております。このまま推移すれば、もうやめるしかない、という状況です。やめるにしても、関係者は非常に多い。したがって、残された唯一の手段は、ナイターをするかしないか、ということに追い込まれています。なぜかというと、ナイターでお客さんを来てほしいというのがもちろんありますが、一番の目的は、勤務時間後、インターネットと在宅投票で、ゲームが5時以降も続きますので、それに投票していただく人を増やそうというのが第一義です。ご指摘のように、遅く帰られる方、もちろんいらっしゃいます。ただそれに対しては、競馬組合として、通行路を確保するとか、輸送手段を確保するとか、万全の手配をしますし、他のところにご迷惑をかけない体制をとろうとしております。地元のみなさんにご迷惑がかからないように努力をしてまいります。どうぞご理解をいただきたい。それでも駄目なら、やめるしかない、こういう状況に追い込まれているということをぜひご理解いただきたい。

▼答弁▼前田病院事業管理者:尼崎・塚口統合病院は、24時間・365日、断らない医療を行う、ということが前提。その上で、役割分担による地域完結型の医療を行うということで、申し上げました。そのスタンスで、尼崎市あるいは尼崎市医師会等との協議のなかで、しっかりとした医療を確保してまいりたいと思います。


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