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本会議 第311回本会議請願討論 杉本ちさと
2011年12月14日

 私は、日本共産党県会議員団を代表し、請願第12号ないし第19号、第23号、第25号、第26号、第28号、第29号は不採択でなく採択を、第10号は継続でなく、採択を求め、以下討論を行います。

教育費の無償化、教育予算の増額を

まず、請願第12号「教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件」と、請願第13号「教育予算の増額、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善を求める件」について、まとめてのべます。
昨年から、公立高校では授業料無償化が実現し、私立高校では就学支援金制度が作られました。 しかし、私立高校では、授業料全額が無償になった生徒は一部に限られ、兵庫県では、年収250万円以下の世帯でさえ、国と県合わせた授業料補助額が、平均授業料を下回っている現状です。
ところが、県は、授業料補助の単独予算を2010年度から従来の半分に減らしてしまいました。本来、国からの交付金をもとにつくられた高校生修学支援基金などをもっと活用し、授業料補助を充実すべきですが、執行率は全国平均を下回る18%にすぎません。
私学経常費補助も、県単独予算は「行革」で減らされ続け、一人当たりの県補助額は、4年前に比べて4500円も減らされました。耐震化を含む施設整備も遅れており、2010年4月現在で、県内の私立学校施設の耐震化は65%にとどまっています。
こうした現状を改善し、私学に通う生徒・保護者の学費負担を減らし、教育条件を整えてほしいという請願の趣旨は当然であり、両請願の採択を求めます。

次は、 請願第14号、「教育予算の増額、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善を求める件」についてです。
少人数学級が、行き届いた教育をすすめるうえで大変有効であることが国においても認められ、今年4月から小学1年生の35人学級がスタートしました。
しかし、国は定数改善をほとんど行わず、教員配置を地方自治体まかせにしています。 国の責任で教員を増やし、さらに30人学級を早期に実現すること、当面、県で35人学級を現行の小学4年生からさらに拡充することは、教職員や父母の強い願いです。
また、昨年4月から高校授業料の無償化や私立高校などの就学支援金が制度化され歓迎されていますが、実施2年で早くも見直されようとしています。
 授業料以外の教育費も家計に大きな負担となっており、すべての子供たちの学習権を保障する立場から、国に対して教育予算の大幅な増額を求める願いは当然です。
本請願は不採択でなく採択を求めます。

次に、請願第28号「教育条件を整備し、豊かな障害児教育の実現を求める件」についてです。
障害の有無にかかわらず、一人1人が自由で豊かな人生をそれぞれの地域で送ることが出来る社会の実現のために、障害者の権利条約に基づき、十分な予算を保障し、様々な教育環境を整えるべきだとする請願の願意は当然です。 
現状は深刻で、特別支援学校の児童生徒は増え続けているにもかかわらず、教室が不足し、先生も不足しています。また、体温調節の苦手な子供にとって必要な普通教室でのエアコンもほとんど設置されていません。卒業後の豊かな進路の保障や就学支援を拡充することも早急に必要です。深刻な現状からの切実な願いを十部に受け止めて、本請願は不採択でなく、採択すべきです。

中学校給食への県補助制度を

次は請願第29号 「県下の市町に中学校給食への財政支援を求める件についてです。
 中学校給食は、2009年5月の時点で全国82%の学校で実施され、実施されていない自治体は少数になっています。 しかし、兵庫県下の実施率は50.7%で、全国で下から4番目のひくさです。
兵庫県教育委員会は、「学校給食を通じて小・中の9年間にわたり、食に関して体系的、継続的に指導を行うことは、学校における食育の推進にあたり、おおいに意義がある」とのべ、その必要性をしっかりと認めています。
県下では住民の強い要望があるなか、中学校給食を新たに導入しようとしているところもあり、内容豊かな給食にするためにも、県が助言だけでなく市町に対して財政支援を行うことは、大きな後押しになります。本請願は不採択でなく、採択を求めます。

県立こども病院は、防災優先で候補地選定を

次は、請願第15号「県立こども病院のポーアイ移転計画を中止し、拡充を求める件」についてです。
小児の3次救急を担い、総合周産期センターである県立こども病院をどこに置くかは、県民にとって重要な問題です。しかし、移転計画について広く県民の意見をきくこともなく、県と病院局は県立こども病院をポートアイランドに移転する計画をすすめています。
県立こども病院のポートアイランドへの移転は防災の面から非常に問題で、医師会や請願者である開業医の団体など、関係者の強い批判と反対の声があり、県民の合意を得られた計画とは全く言えません。
公立病院は、どんな災害であっても、県下に発生した大災害時の受け入れ拠点病院としての機能を果たせる場所にあることが、候補地の選定にあたり最優先で考慮されるべき事柄です。沿岸地に病院等の建設を避けるべきことは、東日本大震災や阪神淡路大震災の重要な教訓です。
また、県立こども病院の機能とスタッフの拡充を求めている願意は当然です。本請願は不採択でなく採択を求めます。

無年金・低年金者の改善、消費税によらない最低保障年金制度を

次に、請願第16号「無年金・低年金者への基礎年金国庫負担分3.3万円の支給を求める意見書提出の件」、請願第17号「年金受給資格期間の10年への短縮を求める意見書提出の件」、請願第18号「0.4%の年金引き下げをもとに戻すとともに、物価指数による年金引き下げを行わないことを求める意見書提出の件」、請願第19号、「消費税によらない最低保障年金制度の創設を求める意見書提出の件」、以上、4件についてまとめてのべます。
日本の年金制度は歴代政権のもとでの改悪により支給額が年々減らされ、本来は老後の保障であるはずの年金だけではとても生活できないという不安と怒りが拡がっています。
 日本の年金制度の最大の問題は、日々の生活をまかなえない低年金、無年金の人が膨大な数にのぼることです。厚生労働省の資料では、国民年金しか受給していない人は約1000万人、その平均受給額は4万8000円に過ぎません。
すべての人が現在から将来にわたって安心、信頼できる年金制度をつくっていくことが必要です。
受給に必要な25年という長すぎる受給条件の期間は、不安定雇用で働く若者をはじめ、国民のなかに年金制度に対する不信を広げている大きな要因の一つです。せめてアメリカ並みに最低加入年数を「10年以上」に短縮することをもとめる願意は当然です。
また、その際に、消費税に財源を求めるべきではありません。消費税は無年金・低年金者など所得が低い人ほど負担が重くなる最悪の不公平税制です。社会保障の財源は、大型公共事業や軍事費などの浪費を削減するとともに、「所得や資産に応じて負担する」という原則のもと、大企業や高額所得者に応分の負担を求めれば十分に捻出できます。「消費税によらない最低保障年金制度の1日も早い実現」を求める願意は当然です。
また、最低保障年金制度が実現するまでの間、せめて、現行の国民年金満額6万6千円が支給される場合の国庫負担分3万3千円を、支給額がそれに満たない低年金者や無年金者に支給することを求める願意も、憲法25条の「生存権」を保障する見地から当然と考えます。
このように厳しい年金生活者に対し、今年4月物価スライドによる年金額引き下げが行われました。請願がのべるように消費者物価指数の低下は、高齢者の生活に関連するものではなく、その是正を求める願意は当然です。
以上のことから、請願第16号ないし第19号の採択を強く求めます。

「子ども・子育て新システム」に反対を

請願第23号 「子ども・子育て新システム基本制度案要綱」に反対する意見書提出の件についてです。
「子ども・子育て新システム基本制度案要綱」は、児童福祉法第24条に基づく市町村の保育の実施義務をなくして、保護者と保育所の直接契約方式にし、保育料は所得に応じた負担から、保育時間の長さやサービスなどに応じた応益負担にするなど、保育を市場原理に委ね、公的保育制度を解体するものです。
保育の市場化・営利化は、保育を「お金次第」とするもので、こどもの健やかな育ちを保障することとは相容れません。「要綱」は撤回すべきです。
本県議会は、昨年12月に、「児童福祉施策としての保育制度を維持することを求める意見書」を提出していますが、政府が「子ども・子育て新システム」を来年通常国会に提出しようとしていることから、これについて反対し、公的保育を守る立場を表明すべきと考えます。よって本請願は不採択でなく採択を求めます。

看護師養成のため、奨学金復活などの支援策を

請願第25号「看護師の増員等に関する件」について、県は、看護師は「一定充足している」といわれますが、現場は看護師不足で特に中小医療機関で慢性的に不足しています。看護師不足から病床閉鎖などの実態もあります。日本医師会も、新卒看護師の多くが7:1看護の届け出を行っている大規模病院に吸収されたとの調査結果を発表しています。こういった看護師不足の中で、長時間夜勤など看護師の労働条件がいっそう厳しくなり、離職に追い込まれ、さらに不足に拍車がかかるという悪循環がおきています。
抜本的には、削減され続けてきた医療・社会保障予算と1ベッド当たりの看護師数を先進国並みに増やすことが必要です。しかしそれまでにも、看護師の養成の促進、働き続けられる勤務環境に改善するなどの定着促進、再就業支援などの対策を強めることはすぐに求められることです。
しかし、県は「行革」により看護師養成のための奨学金制度を廃止し、このたび、淡路・柏原の県立看護学校を廃止しようとしていますが、これらは看護師確保対策に逆行するものです。
県として、震災でも改めて明らかになった地域医療とその担い手の役割を踏まえて、看護師増員に取り組んでいくべきと考えます。
看護師養成や勤務環境の改善などの対策を求める、本請願は当然であり、採択を強く求めます。

所得税法56条の廃止を

請願第26号「中小業者の家族従事者の自家労賃を必要経費として認めることを求める意見書提出の件」についてです。
 所得税法56条は、「配偶者とその親族が事業に従事したとき対価の支払いは必要経費に参入しない」としています。これは、明治時代は家族全体の所得を合算して戸主の名義で納税させる制度でしたが、この封建的な家父長制度が税法のなかにいまだに残っているものです。同じ労働で働き分を認めないのは、法の下の平等に反するものであり、諸外国では家族従事者の賃金を経費として当たり前に認めています。 
所得税法56条廃止を求める意見書は、宮城県や三重県など7県と兵庫県内の福崎町、太子町、宍粟市、市川町などはじめ全国338の自治体で採択され、自由法曹団や全国各地方税理士団体、全国女性税理士連盟なども同様の意見書を国にあげています。
委員会審査では、反対理由として、家族従事者の給与を必要経費にすれば家族間の恣意的な所得分割を認めることになり、税負担の不公平をもたらすといった意見や、青色申告で正確な申告を行っているものとの差が生じることは、受任すべき範囲のものといった意見等が出されましたが、申告納税制度のもとで白色申告をしている事業納税者は大阪国税局管内でも平成21年度をみても、事業申告全体の約半数を占めています。多くの白色申告者のことを、正確に申告していないように決めつけることは、なんら根拠のない不当な意見です。
自営業者の家族従事者の働き分を税法上、必要経費に認めることを求める本請願は、憲法で保障された個人の尊厳を守り、経済的、社会的地位を認めることを求めるものであり当然のことです。よって 不採択でなく、採択を求めます。

高校通学区の拡大の請願、継続でなく採択を

最後に、請願第10号「公立高等学校普通科の通学区の拡大をしないことを求める件」についてです。
11月28日、県高等学校通学区域検討委員会は、県教委に最終「報告」を提出しました。検討委員会の素案に対して、県下半数を超える市町議会から反対の意見書が出され、多くの市長、町長や教育長が反対の意見を表明し、但馬地域では有権者の過半数を超える反対署名も集められました。
また、各地で開催された説明会でも保護者や教員から、遠距離通学で負担増となることや受験競争激化、郡部での統廃合など反対や疑問の声が相次ぎ、パブリックコメントは、2362名から4180件の意見が寄せられ、その圧倒的多数が反対や懸念を示す意見です。
通学区拡大案が県民の願いからかけ離れていることは明らかであり、検討委員会でも反対の意見が出ているにもかかわらず、素案通りの最終報告が出され、これを受けて県教委は今年度中にも決定し、2014年度から実施しようとしています。
そのような意味からも、今議会で意見を表明することが重要です。よって本請願を継続にするのでなく、採択を強く求めます。

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