私は、日本共産党県会議員団を代表して、上程中の議案第71号、第78号、第82号ないし第85号、第88号、第95号、第96号、第98号の10件に反対し、以下その主な理由を述べます。
まず、議案第71号、第98号、平成23年度兵庫県一般会計補正予算についてです。先の台風12号15号災害への緊急対策がとられたものの、被災者への補償はまったくありません。県の被害は全半壊6棟、一部損壊20棟、床上浸水1549棟、床下浸水5922棟、と決して小さいものでなく、浸水被害の数では近畿最大の被害となっています。ところが、県の支援策は、全壊20万円、半壊10万円、床上浸水5万円の見舞金と融資のみです。災害救助法を適用しなかったために応急修理の支援も受けられず、住宅再建支援制度も適用がありません。また、2年前には床上浸水に対し県として15万円の支援を行ったのに今回はそれもありません。法の適用がないことや、住宅共済制度を理由に県の独自支援を行なわないのは問題です。
また、関西広域連合分担金は、6月の「広域インフラ検討会」についで、国出先機関の廃止に向けた専任プロジェクトチーム設置のため、県負担分270万8千円を支出するものです。
国の出先機関廃止については、現在、「近畿地方整備局」「近畿経済産業局」「近畿地方環境事務所」の3つについて国に働きかけを強めていますが、その背景には、関西経済界の強い要求があります。
関西経済連合会(関経連)が5月に出した提言では、関西広域連合が、関西の港湾・道路・空港などの広域交通・物流基盤の一元的な管理主体となって、それを民間事業会社に貸与して事業運営を委託することが盛り込まれています。結局、企業の国際競争力や東アジア市場へ参入していくためのベイエリアへの集中投資が目的で、そのために、国の施先機関を廃止し、その役割を広域連合が肩代わりする体制作りであることは明らかです。
東日本大震災でも、このたびの台風災害でも、国民の安心・安全が重視されなければならない時に、経済界のねらいである「丸ごと移管、民間任せ」の方向では、安心安全の部門が削減され、国民の安全性が脅かされる危険性があり認められません。
つぎに、議案第78号「知事の権限に属する事務に係る事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」は、阪神間都市計画区域の用途地域に関する都市計画決定について、これまで県が行っていた事務を基礎自治体である各市町が処理するよう条例を改定するものです。
これは、地域主権改革の推進を図るための関係法の整備を行う一環として盛り込まれたものですが、都市計画分野の権限委譲は、財政や組織体制が万全でないため、基礎自治体にとっては大きな負担となること。民間開発業者からの提案制度があることで、行政負担の軽減から営利を目的とした民間開発業者まかせの都市計画になりかねず問題です。また、阪神間ではこれまで各市町の都市計画審議会で審査した意見をふまえ、県の都計審で再度審査するという二重のチェックを行って来ましたが、都市計画は今後も慎重な検討が必要であり、本案には反対です。
次に、議案第82号「国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての市町負担額の決定」、議案第83号「国営土地改良事業についての市町負担額の決定」についてです。
国がおこなう水利施設の管理事業と施設整備、国営土地改良事業について市町と農家負担を求めるものですが、もともと広域的な事業で、本来国で一元的、総合的におこなうべきものであり、市町負担そのものに反対です。
議案第84号「県が行なう建設事業についての市町負担額の決定」の件は、県が行う急傾斜地崩壊対策事業、街路事業、流域下水道事業などの建設事業についての市町負担額を決めものです。
尼崎市内を東西に走る園田西武庫線に係る街路事業は、三菱電機の敷地内わずか909メートルを、総事業費174億円をかけて整備しようとするものです。今年3月、三菱電機に対する用地買収と物件移転保障費の支払契約を締結しましたが、これは関連会社分を含め約100億円にものぼり、あまりにも高いものとなっています。昭和21年、今から65年も前に都市計画決定され、約50年近くも凍結されていた事業を、阪神淡路大震災の復興事業として位置づけ事業が再開されたものですが、私たちが当初から指摘してきたように、この財政難のおり、莫大な補償費を支払ってまで進める必要はありません。
また、六甲山グリーンベルト事業は、六甲山斜面の1600ヘクタールを買い取る事業で県負担は370億円にも上ります。開発規制強化などの対策を検討すべきであり、多額の税金を投入してすべてを買い取る必要はありません。
宍粟市の広域基幹農道は、ライスセンターへ行くのに、市街地の渋滞を避けるとして谷筋1.8キロメートルの農道を20億円もかけて整備するものですが、地元の反対もあり必要性に疑問がある道路です。国の事業仕分けで予算が大幅削減されたため、昨年10月、県はトンネル部分の工事契約締結直前に事業を凍結したにもかかわらず、トンネルに続く道路建設については再検討も行なわず工事を続けてきたことも問題です。
基幹林道千町段が峰線は、生態系の分断や破壊が問題で地元負担の合意もありません。これらの不要・不急の事業が含まれていること、急傾斜地など防災にかかわる事業や、広域的な事業は、県がおこなうべきで市町負担は認められません。
議案第85号「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額決定」の件についてです。
神戸地区と淡路地区合わせて約1000億円を投じて、330ヘクタールもの巨大な公園整備が進められています。今回の神戸市側の事業は、神戸市の「しあわせの村」の隣接地に234ヘクタールもの公園を整備するもので、事業そのものの必要性がありません。本来、国直轄事業は、地元負担を求めるべきでなく、反対です。
議案第88号「阪神高速道路株式会社が行なう兵庫県道高速大阪池田線等の事業の変更についての同意」の件は、阪神高速道路株式会社が距離別料金制へ移行し、料金改定を行うことに対する県の同意を求めるものです。
今回の料金改定により、兵庫県民の多くが利用する神戸西線など料金値上げとなり、住民負担増となること。また、同社の決算資料をみると、高速道路事業、国、地方の受託事業、休憩施設の運営などその他事業を含めて23年3月期決算でも黒字となっており、料金を引き上げる必要はありません。県は、平成26年度以降の料金制度については25年度までに改めて定めるものとするという条件をつけて同意するとしていますが、認められません。
最後に、議案第95号「主要地方道加古川小野線東播磨南北道路卸団地(第3)高架橋上部工事請負契約の締結」、議案第96号、「主要地方道加古川小野線東播磨南北道路水足中部1号高架橋上部工事請負契約の締結」の件についてです。これも従来から指摘しているとおり、南北交通は必要ですが、6キロメートルで660億円、1キロメートル110億円も投じる高規格道路ではなく、費用面からも生活利便性からも一般道形式で行なうべきと考えます。一方で財政難を理由に、県行革で福祉医療費助成や河川の浚渫費用など県民の命や財産に関わる予算まで削られているもとで強行すべきではありません。
また、今回の契約に際しては、去る6月議会で一端上程しながら談合が発覚し取り下げ、今議会に再提出となったものです。ところが、今回の落札業者「ピーシー橋梁(株)」はその直後、10月1日、事業の全部を「(株)イスミック」に譲渡。その「(株)イスミック」はまた同日付けで「(株)IHIインフラ建設」と商標変更し、最終的な契約相手方は「(株)
IHIインフラ建設」という、こうしたことが正常な契約行為といえるのかという問題も指摘し、本件に反対するものです。 |