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本会議 第309回本会議一般質問 きだ結
2011年6月22日

 未曾有の大災害から3カ月。犠牲となられた方々に心からご冥福をお祈りしますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。この間、兵庫県が現地支援対策本部を立ち上げ、職員の皆さんが被災地で不眠不休の活動をされていること、そして残された職員の皆さんが日常業務を守っておられることに心から敬意を表します。
私も、5月に、東神戸病院の薬剤師として宮城県塩釜市へ医療支援に行ってまいりました。また、日本共産党県会議員団も先日、被災地宮城県の現地調査に参りました。TVの映像からは、伝わらないにおい・空気にふれ、その惨状を目の当たりにする中で、被災者の救援・被災地の復旧・復興はほど遠く、これからだと強く実感したところです。
被災者によりそった支援と、県民の切実な願いの実現に全力をあげる決意をこめ、以下7項目について質問します。

原発からの撤退を

■質問■ はじめに、東日本大震災関連についてです。ひとつめは、原発問題についてです。
福島第一原発の事故は、原発がどれほど危険なものかを、事実をもって明らかにしました。事態の収束に命がけで取り組まれている作業員の方々に心から敬意を表します。
日本共産党や市民団体などが世界有数の地震、津波国である日本に54基も建設されている危険性など、国会でも何度も訴え改善を求めてきた問題です。今回の事故は決して想定外などではなく、様々な警告を無視し、政府と電力業界が“事故は起こりえない”という安全神話に立ってきた結果起こったまさに人災です。
今回明確になったことは、現在の原発技術は、本質的には未完成であり、どんな事態が起こっても放射性物質を閉じこめておく技術は、存在していないということです。さらに、使用済み核燃料の貯蔵場所はすでに満杯で、処理方法も未だ確立していません。
福島の事故を受け、欧州ではドイツ、スイスが原発からの撤退を決定したのに続き、イタリアでは原発復活の是非をめぐる国民投票で94%の国民が「ノー」の審判を下しました。
国内でも、原発からの撤退を求める声が急速に拡がっています。
福井県の西川いっせい知事は、停止中の関西電力の4基の原発について、安全の確証が得られていないとして再稼働を「認めない」立場を明確にし、また、愛媛県の中村ときひろ知事も、伊方原発3号機の再稼動は「白紙」としています。
日本共産党は、6月13日、今後5年から10年以内を目標に原発から撤退するプログラムを政府が策定するよう提案し、国民的討論を呼びかけました。この間に電力消費量を1割削減し、現在、総発電量の9%程度の自然エネルギーを2,5倍に引き上げれば、現在の原子力の発電量をカバー出来ることを明らかにしています。
先日、私たち日本共産党県議団は、福井県の美浜原発と高速増殖炉「もんじゅ」を視察し、また、関西電力本社に対し、近畿の国会議員、府県会議員とともに申し入れを行いました。
関西電力は、“万全の安全対策をとっており、将来も原発が重要”という姿勢をとり続けています。
政府も、世界最高水準の安全基準を決めるなどと、原発依存を続けようとしています。
しかし、これまで述べた通り、最大の措置をとったとしても現在の技術水準からして安全な原発は有り得ないということを直視する必要があり、速やかに原発から撤退する以外にありません。
そこで知事にお尋ねします。兵庫県知事として、また関西広域連合の長として、県土と県民、そして近畿の住民の命を守る立場で、原発依存からぬけだす立場を明確にし、政府や関西電力に働きかけると共に、関西電力に対し、運転停止中の美浜原発1号機など4基の運転再開の中止を申し入れるべきと思いますがいかがでしょうか。知事の原発の危険性についての認識も併せてお答え下さい。

▼答弁▼井戸知事:まず、原子力行政についてです。
今回の福島第一原子力発電所のように、原子力発電所でひとたび重大な事故が発生すると長期間にわたり広域的な被害が及ぶ可能性が示されています。
しかし、原子力発電の適否については、関西圏の発電電力量のおよそ半分を原子力発電が占めている状況では、ただちにそのすべてを再生可能エネルギーなどで代替することは現実的ではありません。
原子力発電の安全性が確保されるかどうか、福島原発の事故原因が究明され、これに対処することができるかどうか検証のうえで判断されるべきものと考えています。
このため国においては今回の事故原因の検証をもとに十分な安全強化対策を示されなければなりませんが、それまでの間でも現時点での知見をもとに、追加的な安全基準を明示し、基準に照らして電力会社の対応の適否を判断するという適正な手続きをとる必要があると考えます。関西電力の停止中の4基の運転再開に関してもこうした手続きをへて明らかとなった原子力発電所の安全性の評価のうえにたって判断すべきであります。今回の事故を契機として関西広域連合においては、広域防災計画の策定に当たり、被害想定や住民避難、受け入れ調整など原子力災害対策について検討を進めます。また、当面する電力供給不足に対応するため、本県としても関西広域連合の決定に基づき夏期の節電対策にとりくむとともに、再生可能エネルギーの更なる導入に努めてまいります。

被災者の生活再建支援の強化を

■質問■ ふたつめに被災者支援についてです。
被災地から「このままでは、先がみえない」という悲痛な声が寄せられると同時に、「復興への希望が見えるようにしてくれれば頑張れる」という強い要望も共通して出されています。
ところが、菅首相や宮城県知事は、被災者を置き去りにした「創造的復興」へ舵を切ろうとしています。阪神・淡路大震災の際、国と兵庫県がすすめた「創造的復興」が何をもたらしたか。震災前から計画のあった神戸空港や、高速道路網づくり、巨大再開発などを強行し、その一方で被災者の生活・営業の再建には自己責任が押しつけられたため、孤独死や自殺が相次ぎました。この悲劇を繰り返してはなりません。被災者の生活基盤の回復に、一刻も早く国が責任を果たし、被災者の生活・地域社会の再建こそ復興の土台という立場に立つことが必要ではないでしょうか。
そのための第1歩が被災者の住まいの再建、居住の場の確保です。この間、住宅再建への個人補償を拒否してきた国の姿勢を変えさせ「被災者生活再建支援法」を実現したのは、阪神淡路大震災等の被災者のねばりづよい運動と国民の世論です。
しかし、現状では、東日本大震災の甚大な被害に見合うものとなっていません。このことは、先の近畿ブロック知事会の「提案」でも示されているところです。
現状の深刻な実態を改善するためにも「被災者生活再建支援法」を改正し、支援対象を全壊・大規模半壊に限定する規定を撤廃するとともに、現行の最大300万円の支援金を抜本的に引き上げるべきです。
住宅とともに、地域の中小企業や農林水産業者が、一刻も早く事業を再開できるような具体的な支援が必要です。
岩手県では、店舗、工場等の修繕・再建に独自の直接補助を創設するという画期的な決断もおこなわれました。この制度は、「中小企業 被災資産 修繕費補助」と製造業を対象に原則5000万円以内を限度に補助する「被災工場再建支援事業費補助」の二つの事業です。
こうした店舗や工場への支援は、2009年8月、佐用町などをおそった兵庫県西北部豪雨災害で被災業者の窮状を打開するために日本共産党県会議員団がくり返し、その創設を求めてきたものです。
「被災者生活再建支援法」の住宅再建への支援額の抜本的引き上げと、店舗や工場等への修繕・再建支援を国にもとめること。同時に、岩手県のような補助制度を兵庫県として創設することを求めますがいかがですか。

▼答弁▼井戸知事:被災者支援についてお尋ねがありました。東日本大震災では、被災者生活再建支援制度の所要額が巨額になると想定され、都道府県が拠出した基金では対応できないと見込まれ、特例措置として国の負担割合の大幅引き上げを要請しています。近い将来に首都直下地震や、東海・東南海・南海地震など、巨大災害発生が危惧される中、被災者生活再建支援法に基づく支援金が国及び地方の財政基盤に及ぼす影響は大きなものがあると考えられますので、現下の諸状況のもとでは、被災用件の撤廃や、支給額の引き上げはただちにはむずかしいのではないかと考えます。私はかえって、共助としての本県独自に実施しております住宅再建共済制度の全国制度化が有効なのではないかと考えています。また、被災商店や工場等の修繕・再建支援については、まちづくりの必要性など特定の目的を達成するための政策措置ならともかく、事業用資産でありますので、ただちに公的助成で対応することはむずかしいと考えられます。一般的には融資とか利子補給で対応されています。また、税制上の特例や、保険などの適用も考えられます。したがって、二重ローン対策のように、特定の困難な状況におかれている場合などの救済が制度かできないかどうかが課題でありましょう。こうしたことから、被災商店等の修繕・再建のために、補助金を支給するなどの支援のあり方については慎重に検討する必要があると考えます。
なお、平成21年の台風9号の被災事業者に対しては、本県として関係機関による被災事業者経営再建チームを設けて再建にむけた経営支援をおこない、経営円滑化貸付の災害復旧枠を適用した融資や、政府系金融機関の災害復旧貸付の利用者に対する利子補給を実施しました。

災害に強いまちづくりへ 県立淡路病院の移転見直し、職員3割削減は中止を

■質問■ つぎに、災害に強いまちづくりについてです。
東日本大震災をうけ、早急に県の防災計画の見直しが求められています。
県は、中央防災会議の検討を待たずに、現行のM8.4規模の東海、東南海、南海連動地震を想定した計画を、津波高想定を暫定的に2倍に引き上げ、浸水予想地域の警戒区域図を新たに作成するとしました。
しかしその一方で、現行の防災計画を前提にしたままの事業が十分な点検もなく進められようとしています。そのひとつが、県立淡路病院の移転計画です。洲本港の津波予測値は最大2.1mで、2倍になれば移転した県立病院も浸水を免れません。しかし県は、現行の建設を強行しようとしており、住民から不安の声があがっています。島内唯一の公立病院であり災害拠点病院にも指定されている県立病院の移転計画は、いったん中止し、立地を含め見直すべきです。
また、マンパワーの備えこそが重要です。
しかし、県は10年間に職員を3割削減する「行革」を強行し、災害の際、最前線で重要な役割を果たす土木事務所、健康福祉事務所なども統廃合や人員削減をすすめています。これでは、いくら防災計画を見直しても、防災対策を十分にとることはできません。
現に、佐用土木事務所が統廃合でなくなったあとの、兵庫県西北部豪雨災害の時には、県の職員が国土交通省主催の防災・減災フォーラムの中で、「実は、光都土木事務所本体の人間は、……当日はだれ一人佐用町の中心に到達することができておりません」と発言されたとおり、県の迅速な対応ができませんでした。
健康福祉事務所についても統廃合がすすめられ、2008年度に25箇所あった県下の健康福祉事務所は、14箇所に減らされました。人口10万人に対する就業保健師の数は25人と、全国平均の34人よりも低く、全国ワースト5位という実態です。
阪神・淡路大震災の時の保健師の活動をまとめた冊子のなかで、当時の全国保健師会会長、兵庫県 保健環境部 健康課参事の鈴垣育子さんは、「平時の保健活動で地域住民の健康・生活状況を把握している保健婦の力量がもとめられました」と述べています。
この言葉どおり、地域住民に密着した普段からの活動が非常時の支援活動の内容と質を左右します。職員を削減し、体制を弱らせる一方の行革をこのまますすめていては、いざというときに県民のいのちを守れません。
そこで、県立淡路病院をはじめ、地域防災計画見直し前の県の事業は、新しい防災計画に適応するものに見直すこと。また、現在すすめられている保健師などの専門職をはじめ、県職員の3割削減は中止し、少なくとも県行革前の体制に戻すよう求めますが、おこたえください。

▼答弁▼井戸知事:災害につよいまちづくりについてであります。
本県では中央防災会議での地震・津波災害想定の見直しをふまえて、地域防災計画の見直しを行ってまいります。国の検討には一年程度の期間を要しますので、暫定的に現行津波高の2倍を想定した津波警戒区域図を作成し、緊急避難場所の検討や緊急避難経路の点検、避難訓練の実施など、住民の主体的な動きを加速させながら市町とともに、津波対策を充実強化してまいります。また、今後、地域防災計画の見直しを含めて、ハードソフト両面を含めた総合的な防災対策を検討してまいります。
一方、組織や定員の見直しは第2次行革プランにもとづく県民の夢や希望を実現するための持続可能な兵庫の基盤を確立するためのとりくみです。地方機関等の事務所の統合再編については、所掌事務の見直しや、人材の集約をはかることで事務所全体の専門性や総合力がたかまり、専門的な対応や緊急事案への機動的な対応が可能となったと考えています。一昨年の佐用の豪雨災害では、光都土木事務所は当日夕刻から佐用町内にのべ7班21名を出動させ、道路冠水等により佐用業務所にたどりつくことはできなかったものの、重要水防箇所等の現地点検や通行規制、流木撤去をおこなうなど、通常業務と同様に迅速な初動対応をおこないました。また、膨大な災害復旧・復興事業に対応するため21年度に光都土木事務所に河川復興室を設置し、機動的で柔軟な対応をはかっています。定員については、新規採用を必要最小限にとどめることにより、平成30年度までの間に3割削減をすすめていますが、災害復旧、児童福祉、地域再生をはじめとする当面の行政課題については限られた人員のなかにあっても配慮し、課題に対し適切な対応に勤めています。なお、県立淡路病院の建て替え整備に当たっては、免震構造の採用はもとより、より安全を期するため、地盤の1メートルのかさ上げや、機械室・電気室の2階以上への配置など、防災安全対策を予定しています。今後津波が既存の防潮堤をこえる可能性があるという想定がなされた場合にも、病院機能が維持できるように技術的な検討をすすめてまいります。ひきつづき、県民の安全安心を図る対策について、万全を期してまいりますので、よろしくご理解いただきたいと存じます。

借上げ復興住宅から被災者を追い出すな

■質問■ 次に、URとの20年の契約期限が切れるとして、県が神戸市や尼崎市などに設けていた復興県営借上げ住宅に入居されている被災者の方2134軒に住み替えを迫っている問題についてです。
入居者の方にお話を伺うと、「人生の終い支度を、と心穏やかに過ごしていたのに、通知があってから夜眠れない」「転居するとかかりつけのお医者さんに行けなくなる」など、様々な声をお聞きします。
日本共産党は、入居されているみなさんに面談や郵送で、アンケートを行いました。649通の回答があり、借り上げ期間について「聞いていない」という回答が37%もあり、「引き続き、現在の住宅に住みつづけたい」という回答が87%でした。
借り上げ住宅を「被災者のための恒久住宅」、つまり「ずっと住みつづけられる住宅」として県が位置づけていたことは、当時の貝原知事が、「恒久住宅への移行を円滑にすすめるため」、「借り上げ制度の活用等により確保」と議会で答弁していることからも明らかです。
そうであるなら、「被災者の恒久住宅」として、ずっと保障するのが当然です。
また知事は、13日の記者会見で「阪神淡路の反省」として、被災者が「バラバラにされて、コミュニティーが壊された」と述べています。それならば、築き上げたコミュニティーを壊す借り上げ住宅からの住み替えを押し付けることはできないはずです。
日本共産党としても、国やURをたずねて、「県や市が申し出れば住み続けられる方策はある。国の補助も受けられる」との回答を得てきました。
そこで、棟借り・一戸ごとのバラ借りの区別なく、買取りや契約延長などで、入居者が継続して、安心して住みつづけられるよう、知事の明確な答弁を求めます。

▼答弁▼川端まちづくり部長:県営借上げ住宅についてご答弁申し上げます。
借上げ県営住宅については、基本的には契約期限までに都市再生機構に返還することとしておりまして、募集の案内や入居のしおりにも記載している通り、入居者には期限までに円滑に住み替えていただくこととしております。昨年10月に実施した入居者への意向確認調査では、高齢や健康上の理由などにより、住み替えは困難だという意見も寄せられていることから、第3者も含めた協議会での意見を聞いたうえで、現在相談窓口の設置や、移転に要する経費の取り扱い、コミュニティに配慮したグループでの住み替えなどの検討を行っております。また、借上げ県営住宅の再契約や棟単位での買い取りについては、他の県営住宅入居者等との公平性の確保、棟を買い取った場合の住み替え先としての有効活用の方策、その場合の第2次行革プランにもとづく県営住宅の建て替え計画との整合性、再契約や買い取りに対する国の助成制度の詳細と県財政にあたえる影響などを見極めながら十分な検討を進めてまいります。今後、個別の状況に応じた住み替え先住宅の情報を提供しながら入居者の意向を把握し、借上げ県営住宅からの円滑な住み替えがすすむよう、高齢者・障害者等にも配慮したきめ細かな対応につとめてまいりますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。

高い国保料引き下げを
 保険証取り上げや差し押さえの制裁やめよ

■質問■ つぎに、国民健康保険についてです。
「国民健康保険料をもっと安くして欲しい」の願いは本当に切実です。
県も「保険料は所得に対して高い」と認めています。だからこそ、社会保障制度として支援強化が求められていますが、国も県も逆に減らし続けています。保険料を滞納する世帯の割合は県下で加入者の2割にまでのぼっています。 
高い保険料が払えない滞納者に容赦ない制裁措置が強行されています。その一つが保険証の取り上げです。正規の保険証がないのは県下で8万3千世帯、滞納世帯の46%にもなります。
神戸市のある鮮魚店の40代の男性は、売り上げが落ちて国保料を滞納し、保険証がありませんでした。背中が痛くてとうとう我慢できず病院に運ばれたときは、膵臓ガンが手遅れの状態で見つかり、2ヶ月後に亡くなられました。全日本民医連の調査では、生活困窮で受診が遅れ、亡くなった患者は昨年だけで71名で前年調査の3倍に増えています。
 現行の 保険料の減免制度が十分な対策になっていないことは、滞納世帯が増え続けていることで証明されています。
また、医療費の窓口負担の減免も、災害の場合以外は、県下の市町でほとんど行われていません。神戸市では、国保料を滞納していれば減免できないとしている区役所もあります。昨年9月13日厚生労働省が出した、「保険料の滞納の有無にかかわらず一部負担金の減免も行うべき」との通達が現場には届いていません。
 国保料滞納者への制裁措置のもう一つは、容赦ない差し押さえの強行です。その件数は2005年度に684件でしたが、2009年度には3405件にと5倍にも増え、年金や給与など生計費まで差し押さえられています。
姫路市の塗装業のMさんは、仕事がなくて国保料を滞納し、毎月市役所で面談し、保険料の支払いと引き換えに、1ヶ月の短期保険証を受け取っていました。ところが、昨年末、滞納している保険料をまとめて全額払わなければ差し押さえると口頭で言われ、今年2月、こども手当しか入っていない預金5万円余りを差し押さえられ、即日引き落とされました。
この預金は、中学2年生の子どもが高校へ行くときのためにとおいていたものです。あまりにも非情だと、取り消しを求めて審査請求しましたが、県の国保審査会は却下しました。
 県も国も、納付相談をして分納している場合は差し押さえされないと明言しています。また、生活の維持や事業の継続はもとより、こども手当などをねらい撃ち的に差し押さえるのは法の主旨に反する、生存権を侵害する滞納処分は許されないと、財務大臣や副総務大臣は国会で繰り返し答弁しています。しかし、容赦ない差し押さえが強行されているのです。 
そこで、法令で定められた支援や福祉医療に伴う補助だけでなく、市町に対し保険料引き下げのため思い切った独自支援を強化するとともに、生活実態を無視した強権的な差し押さえを止めること、窓口負担の免除制度の改善を指導助言することを求めますが、知事の誠意ある答弁を求めます。

▼答弁▼久保健康福祉部長:国民健康保険制度は、市町が運営責任を担っておりまして、県は広域自治体として国民健康保険法第4条第2項にもとづき、制度運営について技術的助言や財政支援をおこなうこととされているところでございます。このため、県は財政支援といたしまして、国保財政の安定化や保険料の軽減のため400億円をこえる助成を行っているところです。加えまして、現在国におきましては社会保障制度改革のなかで国民健康保険の低所得者対策について公費拡充によるあらたな取り組みが検討されているところでございますので、その検討状況を注視しているところでございます。
市町では滞納者対策として納付相談や訪問聴取、生活実態を含めた実態把握、被保険者資格証明書または短期被保険者証の交付、分割納付の実施など、滞納者の実情にあわせてきめこまかな対応を行ったうえで、なお、滞納する特別な事情もない方にたいして滞納処分が行われているというふうに認識をいたしております。したがいまして、滞納処分は市町が加入者の負担の公平性や、国保の健全な運営の確保を図る観点から、判断したものであると考えています。また、一部負担金の減免につきましては、災害・失業等により生活がいちじるしく困難になった場合において、世帯主からの申請により各保険者が判断して実施する制度となっております。県といたしましては、県下41市町のうち減免基準の身制定の3町に対して積極的なとりくみを促しているところであります。

中学校卒業まで医療費完全無料化を

■質問■ 次に、子どもの医療費助成の拡充についてです。
これまでも、私たち日本共産党は、くり返し子ども医療費を所得制限なしに中学校卒業まで通院・入院とも無料に、と拡充を求めてきました。私たち子育て世代が子育てしにくいと感じる大きな要因の一つが、この子どもの医療費の負担の重さにあります。
県民の皆さんの強い願いを反映し、子どもの医療費助成の対象は、入院は2010年4月から中学3年までに、通院は今年10月から小学6年生まで広がることになりました。これはもちろん、歓迎すべきことです。
しかし、小学校3年までの通院の一部負担は、2009年7月から1回の受診につき700円から800円にあがり、また所得制限も強化され、7700人がこの7月から助成を受けられなくなります。この上に、新行革プランで所得制限が世帯合算方式になると、さらに5万5000人が助成の対象外となります。
子育て世帯の圧倒的多数の願いは、いざというときにお財布の中身を心配せず子どもを病院に連れて行けるようにしてほしいということです。神戸市では、通院で無料なのはわずか0歳児だけです。このことから、例えば子どもが熱を出した、転んでけがをしたという時も、医療費の心配から病院にいくことを控えざるを得ない。これが、実態です。
これまで知事は、子どもの医療費助成の一部負担は、「受益と負担とのバランスを確保し、制度を持続的で安定したものにするために必要である」として無料化を拒否し、所得制限は、「支援を必要とするものに対して、医療保険制度の自己負担を軽減することが制度の趣旨なので必要である」など、国の医療費抑制政策と同じ立場を表明しておられます。
しかし、「保険料は所得などに応じて負担し、必要な医療は平等に保障する」これが公的医療制度の本来の原則です。欧州などの先進国では窓口負担ゼロが当たり前です。
しかも、全国的には、子ども医療費の助成は、少子化対策、子育て環境の充実、つまり子どもの健全な成長に行政が責任を持つ、親にはできるだけ負担を求めないという位置づけで行われています。都道府県の助成制度では、一部負担金がないところが9県、所得制限がないところが14府県に上ることが、それを示しています。
群馬県では、県下の市町村が次々と中学卒業まで医療費の無料化をするもとで、県がやるべきことを市町村が先んじてやってきたことを評価し、「県はそれ以上の助成をする必要がある」、と2009年10月から県の制度として、所得制限なし、入院・通院とも中学校卒業まで無料化に踏み切りました。
当初、無料化すると“安易な受診が増え、医療費がかさむ”という反対意見も出されていたそうですが、群馬県当局にお聞きすると、無料化実施後も想定通り医療費は増えていない、そして休日・夜間診療の受診率はむしろ減っているとの答でした。患者の負担を下げるとモラルハザードを起こしいわゆるコンビニ受診が横行するといった論調に事実でもって反駁する結果になっています。
そこで、所得制限の世帯合算方式への変更を中止し、子どもの医療費助成制度を所得制限なしで、中学校卒業まで通院・入院とも無料に思い切って拡充することを求めますが、いかがですか。

▼答弁▼久保健康福祉部長:本県では昨年4月に、中学校3年生までの入院を対象に子ども医療費助成制度を創設し、さらに、今年10月からは、たいへん厳しい財政状況の中ではありますけれども、選択と集中を行いながら対象を小学4年生から6年生までの通院にも拡大することにしたところでございます。この結果、助成対象年齢は全国第4位の高い水準となっておりまして、当面はこの制度の定着をはかっていきたい、このように考えております。
自己負担につきましては受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定したものにするためにも必要でございまして、低所得者の方々に対しましては負担軽減の配慮をおこなっておることから無料化は考えておりません。
また、この制度は支援を必要とする者に対して医療保険制度の自己負担を軽減することが趣旨でございますので、所得制限は必要であります。現行の所得基準につきましては、子ども医療費助成事業等が対象とする一般医療にくらべまして、より医療の必要性の高い更生医療等を対象とする自立支援医療制度との均衡に配慮して設定したものでございます。所得の判定単位につきましては世帯合算で行うほうが、世帯の実力をはかる方が望ましいと考えておりまして、自立支援医療や老人医療に準じ、より公平性をはかる観点から見直しを行おうとするものでございまして、撤回をする考えはございません。

中学校給食の全市町実施に県の財政支援を

■質問■ 最後に、中学校給食についてです。            
地域で私が子育て世代の方とお話をすると、中学校給食を多くの方が切望されます。日本共産党神戸市議団が実施した子育てアンケートでも望むことの第1位にあがるなど、中学校給食実施の要望は、非常に強いものがあります。
05年に制定された食育基本法に基づいて、国は、学校給食の主な目的を「栄養改善」から、食の大切さや栄養バランスを学ぶ「食育」の観点に改め、学校給食の普及と充実を掲げています。
こうした立場から中学生の食生活の乱れを改善して、その健全な育成のために中学校給食の実施が今や当たり前となっており、09年5月現在で全国の公立中学校の81.6%で完全給食が実施されています。最近中学校給食が実現した播磨町でも、子どもや保護者から歓迎されるとともに学校長も、給食を軸にした「食育は大事な教育の一環です」と述べています。
また災害が起きたときにも、中学生の最低限の食の保障となるのが給食です。
中学校給食を県下全域で実施すべきであることは、もはや論を待ちません。都道府県別の公立中学校の、実施状況をみると、実施率が90%を超えるのは47都道府県のうち30道府県にのぼります。
ところが、兵庫県の中学校給食の実施率は50.7%で全国で下から4番目です。県は、実施については市町の教育委員会まかせで「県は学校給食を通じた食育推進の重要性を啓発する」というだけです。
なぜ普及が進まないか。中学校給食導入を検討している市町の一つ、加古川市に状況の聞き取りをしました。住民からの要望も強く「中学校昼食検討委員会」で給食導入を検討しているが、「厳しい財政事情の中、(実施する事業に)優先度をつけざるを得ない」として初期投資の経費が中学校給食導入の足かせになっていると訴えられました。大阪府では、全国でも実施率が最低の中学校給食を府下全域に普及させるため、市町の財政負担がその導入にあたっての課題となっているという認識にたち、初期の施設整備に対して総額246億円の補助を出すことをきめています。
そこで、県下全市町の中学校給食導入に県が責任を持ち、啓発だけでなく財政援助をすることで、県のイニシアティブを発揮されることを求めますが、いかがでしょうか。

▼答弁▼大西教育長:私から中学校給食についてお答えいたします。
学校給食を通じて、小学校・中学校の9カ年間にわたりまして食に関して体系的・継続的に指導を行うことは、学校における食育の推進に当たりまして、大いに意義のあるものとこのように考えております。県教育委員会としましては、平成17年度以降、市町教育委員会に対しまして、食育推進体制の整備を促進するよう指導するとともに、食育推進校等におけます研究成果を広めることによりまして学校給食を活用した食育の推進をはかってまいりました。その結果、平成17年度に42.3%でありました中学校給食の実施率は、平成22年度末には54%と徐々にではありますが着実に増えてきております。学校給食は、学校給食法に基づきまして、学校設置者が実施するものと定められており、地域により保護者の意向や状況が異なっていることから、市町教育委員会が、地域の実情や教育的効果等を総合的に判断のうえ決定し実施されるものであると考えております。
現在、学校数が最も多い神戸市をはじめ、芦屋市、加古川市におきまして、市民や保護者等へのアンケート等によりまして、学校給食について検討され、またされる予定とこのように聞いております。
また、学校給食の実施に必要な施設整備等に要する経費につきましては、国の学校施設環境改善交付金制度の対象となっておりますことから、積極的に活用していただきたいと考えておりまして、その活用につきまして、県としましても積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、今後とも市町教育委員会に対しまして中学校給食導入に向けた助言をおこなうとともに、研修会、研究会等さまざまな機会を通じ、生きた教材である学校給食の重要性について、教職員、保護者等の理解をいっそう深めること等によりまして、中学校給食の普及充実に努めていくこととしております。
どうぞご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。

自治体本来の役割発揮を

■質問■ 災害から命を守るという自治体の責務は、住民の福祉を守るという自治体の原点と一体のものです。ふだんから医療・介護・子育て支援など、あたたかく強い基盤があってこそ、災害時にも大きな力を発揮します。東日本大震災という国難に直面して、国も自治体もそのあり方が根本から問われる今、阪神・淡路大震災を体験した兵庫県こそが、この自治体本来の役割を発揮すべきときだと訴えまして、私の質問を終わります。

(きだ結県議の再質問)

いま教育委員会から、給食を軸にした食育が大事だという認識が示されました。そこで知事にお答えいただきたいんですが、いま実施率がすこしのびて54%とおっしゃってましたが、それでもなお全国ワースト4位、こういう状況をやはり打開しなければいけないと思います。最下位の大阪府は先ほど申しましたが予算をつけていよいよ府下全域で実施するというふうにで踏み出しました。大阪市も中学校給食実施を決めました。こうなると兵庫県の遅れがいよいよ浮き彫りになってくると思いますが、市町への財政支援で県がイニシアチブをとることが重要だと思いますがいかがでしょうか。

▼答弁▼井戸知事:大阪府と兵庫県とは相当の格差があります。順位でいうと4位であるんですが、大阪府の普及率は10%台と承知しています。兵庫は54%、ですからこの格差を前提として考えましたときに大阪が焦られたのは無理はない。このように思っております。
また、教育長からもお話があったと思いますが、給食ではなくてやはり心をこめた弁当を出したいという父兄の願いもあるようであります。そうすると一律に学校給食化することが適当なのかどうか、もし工夫ができるならば給食希望者には給食、弁当持参者には弁当持参という方法もとれないわけではない。つまり、配食サービスなどをうまく活用すれば献立は全部栄養士さんが献立を考える。こういうことも考えられないわけではないのではないかと私自身も考えますので、その点、中学校における教育上の配慮からの学校給食の実施に当たってはいまのような課題もありますので、このような課題も十分に検討を加えた上で、教育委員会において適切な指導がなされるであろう、このように期待しております。


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