私は、日本共産党県会議員団を代表し、議案討論を行います。
はじめに、東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げ、犠牲となられた方に哀悼の意を表します。
ただいま上程中の第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第8号議案、第16号議案〜第18号議案、第20号議案、第22号議案〜第25議案、第29号議案〜第32号議案、第37号議案〜第42号議案、第45号議案、第46号議案、第48号議案〜第51号議案、第53号議案、第54議案、第56号議案について反対し、以下主な理由についてのべます。
はじめに、第1号議案「平成23年度兵庫県一般会計予算」をはじめ、新年度予算関係議案についてです。
政権交代しても、くらしはよくなっていない。多くの県民の実感です。
失業者は300万人を超え、新卒者の就職決定率が最悪になるなど、雇用改善の見通しは立っていません。民間給与は12年連続で減り続け、年収200万円以下の労働者が増えて全体の4分の1を占め、貧困の広がりもますます深刻になっています。
ところが、国の新年度予算案は、内部留保を244兆円も持ち、空前の金余りになっている大企業の法人税を5パーセント引き下げ、アメリカ軍への「思いやり予算」を1858億円支出する一方で、年金の引き下げ、扶養控除の廃止、期待されていた少人数学級は小学校1年生しか実施しないなど、国民のくらしにしわよせしています。
このように国の政治が悪いときだからこそ、県民の「福祉の増進をはかる」自治体としての役割を発揮し、苦しい県民の家計を支え、地域経済を振興させる予算編成が求められています。しかし、知事提案の新年度予算案は、そうなっていません。
第1に、8年間で101億円、年間12億円余を削減し、行政経費で420億円の削減をおこなう第2次行革プランの実施初年度として、県民にさらなる犠牲をおしつけています。
重複した重度の障害を持ち、医療・看護、介護、療育を必要とする方たちの命を守るために欠かせない施設への支援であるである重症心身障害児指導費交付金を、一昨年につづきさらに削減し単価を引き下げています。もっとも弱い立場の人たちからわずかな支援をしぼりとるものです。知事が支援の継続を約束している小規模障害者作業所への補助が減らされ、多くがワーキングプア状態にある福祉現場で働く人たちの給与改善をおこなう民間社会福祉施設運営交付金も減らされています。
老人クラブ助成金の減額には、現行の補助制度を維持してほしいとの切実な声があがっています。高齢者の足であるコミュニティバスへの支援の削減も認められません。
3万人の廃止反対署名が集められた県立西武庫公園はじめ、市町が受けなれれば県立都市公園を廃止するとの方針は、県の責任を放棄するものです。
歳入面でも、景気悪化により増えている個人県民税の滞納の徴収をタイヤロックや差押など強権的なやり方で強めていることは認められません。
あわせて、第45号議案「行財政構造改革推進方策変更の件」についても以上の理由から反対です。
第2に、県民の福祉、医療、くらしの予算を削減していることです。
2008年度からの新行革により、65歳から69歳の高齢者、乳幼児等、重度障害者、ひとり親家庭の医療費助成が削減されましたが、本年7月からは、経過措置の終了により新たに3万人が助成を受けられなくなります。
福祉医療の削減にともなって、国民健康保険会計への県独自補助も6億8千万円に減り、8年前の半分以下になっています。
県内でも、高すぎる国保料を払えず、滞納世帯が加入世帯の2割を超え、子ども手当や年金の差し押さえなど容赦ない保険料の取り立てや保険証の取り上げが行われています。無保険に陥った県民や、医療費の窓口負担が払えないため医療が受けられず、亡くなる方も出ています。
このようななか、医療費助成や国民健康保険の補助を減らすことは許されません。
あわせて第5号議案「県営住宅事業特別会計予算」は、低所得者むけの住宅が大幅に不足しているなか、新規建設がなく、行革により建て替え戸数を減らし、集約による戸数減を行うもので反対です。
第3に、「新行革」による3割の人減らしと、人件費カットを続けていることです。
「削減ありき」の組織見直しにより、県民に身近な県事務所が、111箇所から71箇所に統廃合され、今度の「第二次行革」では、さらに土地改良事務所を農林水産振興事務所に統合することにより63箇所に削減されようとしています。これまでも、統廃合により、「新型インフルエンザで健康福祉事務所が対応不能に陥った」「佐用の水害で土木事務所の対応が遅れた」などの事態が指摘されています。今回の大地震を考えても、マンパワーが確保されなければ県民の安全を守ることはできません。
あわせて、第16号議案「兵庫県病院事業会計予算」、第25号議案「兵庫県職員定数条例等の一部を改正する条例」も、病院の技能職員以外の職員、社会教育主事など教育委員会事務局員、警察用務員などを含む人員削減を行うもので反対です。庁用自動車運転手の給与カットを行う第8号議案「兵庫県庁用自動車管理特別会計予算」にも反対です。
第4に、大企業への補助金を聖域化し、大企業呼びこみ型の経済対策を続け、中小企業や農林水産業への支援・雇用対策が少ないことです。
企業立地補助金は、7年間で120億円を費やしており、パナソニックには合計で218億円の補助をする予定ですが、「新行革」でも「聖域」となっています。しかし、雇用は改善されておらず、地域経済も冷え込んだままで、大企業を応援すれば県民が潤うというやり方は破綻が明らかです。
一方中小企業予算は、融資をのぞけば一般会計のわずか0.35%しかありません。
政府が検討しているTPPに参加すれば、兵庫県では、コメで生産が93%減少、小麦は99%、牛乳・乳製品で99%減少、牛肉で83%が減少し、全体で現在1478億円の産出額が半分以下の702億円まで下がってしまいますが、新規施策はTPP参加を前提としたもので、農林水産業と食料自給率、食の安全安心を守る立場がありません。
第5に、不要不急の大型開発を進めるとともに、これまでの破綻のつけを県民におしつけていることです。
6キロに660億円の東播磨南北道路の建設やさらなる延伸の検討や、播磨臨海地域道路、新名神などの高速道路や大規模林道の建設、三菱電機に対する過剰な移転補償を決めた園田西武庫線、但馬空港や神戸空港への補助、金出地、西紀、与布土ダムの本体工事および取り付け道路など、不要不急の事業に多額の税金をつぎ込もうとしています。
第2号議案「兵庫県県有環境林等特別会計予算」では、計画が破綻し、塩漬け土地になっていた三木新都市や、淡路多賀用地などの取得費用の償還のため公債費を繰り出すとともに、さらなる取得を目的につみおくものです。当初の開発計画の破綻についての説明や時価を明らかにしないまま、失敗のつけを県民に押しつけようとするものです。
第4号議案「兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」も、小野長寿の郷や宝塚新都市など無駄な用地取得による借金返済の増大があり、反対です。
第20号議案「地域整備事業会計予算」についても、大規模プロジェクトなどの行き詰まりを事業ごとに明らかにし、縮小すべきであることから反対です。
第6に、教育予算を削減し、合意のない「教育改革」を押し付けていることです。
授業料の実質無償化で公私間格差がひろがるなかで、行革により私学経常費補助をさらにけずっています。私立高校の平均授業料は昨年度より6万円も上がっているのに、授業料補助単価はまったく見直されておらず、国からの修学支援基金があるにもかかわらずほとんど活用せずに来年度末に20億円ほどを返還しようとしています。
県民合意のない高校教育改革で、定時制高校の廃止や、通学費や通学時間の負担を増やし、競争をひろげる通学区拡大を進めようとしていることも認められません。
そのほか、第17号議案「兵庫県水道用水供給事業会計予算」、第37号議案「兵庫県水道用水供給条例の一部を改正する条例」は、第36号議案で計画給水量を75万トンから48万トンに引き下げることで単価を値下げしていることは評価できますが、それでも全国4位の高い県水を2部料金制の継続などで市町に押し付けていることから賛成できません。第18号議案「兵庫県工業用水道事業会計予算」は新日鉄の水道料金を不当に安くしていることから反対です。
次に、条例等関係議案についてです。
第22号議案「兵庫県立但馬文教府の設置及び管理に関する条例及び兵庫県立文化会館の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」は、県立但馬文教府・県立文化会館を指定管理者に管理させようとするもので、利用料金制の導入により、議会のチェックなく一定の範囲で料金の値上げができることにつながることから反対です。
第23号議案「使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例」は、新たな手数料設定や、県立スポーツ施設を障害者が利用する場合の料金の有料化などが含まれており、反対です。
第24号議案「兵庫県県税条例等の一部を改正する条例」は、株式配当及び譲渡益等に対する減税をさらに延長する内容が含まれていますが、本来の税率に戻すべきです。
第29号議案「認定こども園の認定基準等に関する条例の一部を改正する条例」は、満3歳以上の給食を園内調理でなく外部搬入することを可能とするものです。こども一人ひとりの発育や体調、食物アレルギーに対応するためには自前の調理が必要で、外部搬入で子どもの安全がおびやかされるおそれがあり、反対です。
第30号議案「兵庫県立生活科学センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」は、姫路生活科学センター等を廃止し、消費者相談の機能を県民局の一部に改組するほか、生活創造プラザを県民局あるいは指定管理者運営の会館におこうとするものです。
姫路生活科学センターでは、中播磨地域の生活創造活動の拠点として多くの登録団体が集会室や調理室などの施設を利用していますが、県民局内で同様の施設が確保できるかわからず、利便性をそこなうおそれがあります。
また、市町の消費相談センターは人員や情報が限られており、市町間の格差も大きいなかで、中核的な消費相談センターとして県民から直接相談を受けたり、市町からの相談に乗る県の生活科学センターの役割はますます高まっているにもかかわらず、生活科学センターの消費相談機能を県民局の一課室にうつすことは、活動の縮小につながることになり賛成できません。
第31号議案「健康づくり推進条例」についてです。健康でいたいというのは条例で規定するまでもなく多くの県民の願いであり、健康づくりそのものは県民が自主的に行うものです。
その前提づくり、環境整備をおこなう自治体の公的責任こそ問われますが、現状は、保健所(健康福祉事務所)を行革で統廃合したり、収納率向上の名で国民健康保険証のとりあげを進めています。条例案は、こうした行政の責任はあいまいにする一方で、「県民の責務」を定め、健康づくりを「自己責任」にするもので反対です。
第32号議案「産業集積による経済及び雇用の活性化に関する条例の一部を改正する条例」は、さきほど述べたとおり、大企業向けの設備補助や雇用補助を延長し、破綻した大企業呼びこみ型の経済対策を続けるもので反対です。
第38号議案「兵庫県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」は、県立リハビリテーション中央病院と西播磨病院を病院事業に追加するものですが、あわせて運営を指定管理者にまかせることになっており、県が直接責任をもって行うべきことから反対です。
第39号議案「教育委員会の権限に属する事務に係る事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」は、教職員の手当の認定事務を市町に委譲しますが、煩雑で教育事務所の指導を受けながら行っている事務について、学校現場が責任をおわなければならなくなり、負担が増えることから反対です。
第40号議案「兵庫県立高等学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」、第42号「兵庫県立特別支援学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」は、それぞれで存続してほしいと要望がつよかった龍野実業高校の龍野北高校への統廃合、淡路特別支援学校と淡路聴覚支援学校の統廃合を行うもので反対です。
第41号議案「兵庫県学校教職員定数条例の一部を改正する条例」は、地元で反対の強い小中高等学校の統廃合にともなう定数減を含んでいること、また、生徒の自然減にあわせて削減するのでなく少人数学級を拡大すべきであることから反対です。
第46号議案「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対する出資」は本四架橋等に多額の出資を行うもので反対です。
公の施設の指定管理者の指定についてですが、第48号議案〜第50号議案、第53号議案、第54号議案については、県の施設でありながら議会の承認なく一定の範囲で値上げが可能な利用料金制があることから、また、第51号議案、第56号議案については、保健衛生の機関である心のケアセンターやリハビリテーション病院など、本来県が直接責任をおって運営すべきものであることから反対です。
県民のくらしの願いにこたえる県政への転換と、県民の立場で議案について議論を深める議会への脱皮が求められています。そのために奮闘するとともに、被災者救援に力をつくす決意を申し上げ、私の討論を終わります。 |