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本会議 第306回本会議大阪空港意見書反対討論 新町みちよ

2010年10月26日

大阪国際空港及び神戸空港の活用・運用等に関する意見書案提出についての反対討論

私は日本共産党県会議員団を代表して、意見書案第85号「大阪国際空港及び神戸空港の活用・運用等に関する意見書」案提出について反対の立場で討論します。

今回の意見書の提出は、伊丹商工会議所、伊丹商店連合会と大阪国際空港及び園周辺地域活性化促進協議会の三者から陳情書がだされたことによるものです。国土交通省の成長戦略会議では、関空と経営統合するため、大阪国際空港を民営化し、将来的には「廃港・関空への一元化を検討する」とされています。 意見書では、大阪国際空港が、関空のバランスシート改善のためだけに使われるのは困ると述べながら、統合を前提として、大阪空港の価値を最大に高めた上で、事業運営権を民間にできるだけ高く売却できるよう、関空の補完的空港でなく「基幹空港と位置づけ」、「需要を最大化する」ため、ジェット機の運用を「総枠内での柔軟な運用」と増便等を求めています。加えて、神戸空港を含めた関西3空港の一体運用をと、神戸空港の規制緩和撤廃実施を求めるものです。
この大本は、関西空港の、1兆3000億円を超える負債です。しかし、成長戦略会議で、その解決方法は明確になっていません。これが一番の問題ですが、今回の意見書は、そのような国の方針を前提にしています。
そもそも関空の建設については、国の法律で、第1種国際空港は国の責任でつくるとされていたものを、中曽根「民活」第一弾として、法律を変え、関西財界主導で株式会社(民間活力方式)で建設・運営するとし、地元も負担して建設されました。1期工事は1兆5200億円、2期工事は1兆1千億円。合計2兆6000億円かかり、内兵庫県負担は、138億4900万円です。日本共産党県会議員団は、「関空は国の責任を明確に」、震災の「創造的復興事業」はムダ遣いのオンパレードであると「2期工事は中止を」と一貫して主張してきましたし「神戸空港の建設にも反対」してきたところです。

旅客数をみてみると、関空開港以前の大阪空港の国内線では、およそ1800万人だったものが、関空開港後は、合計で2400万人と増えています。しかし、大阪空港でみれば、2004年の1932万人をピークに減少しつづけ、昨年2009年は、1456万人まで落ち込んでいます。さらに日本航空グループの松本空港2便撤退、松山空港10便運休、三沢空港2便運休とつづき、全日空グループも来年1月から、大館能代空港2便、石見空港2便、佐賀空港4便がそれぞれ撤退予定といわれています。旅客数の減少の理由は、2006年の神戸空港の共用開始です。 (2007年度)で約300万人の利用者数となっています。新幹線との競合もあり、来年全面開通の九州新幹線でさらに競合は激化するといわれています。また景気の悪化も大きく影響しており、結局、3空港を建設した、供給過剰が根本原因であるわけです。従って意見書が述べているように、柔軟な運用で、ジェット機を増やす等をおこなったからといって改善される保障はありません。

さらに、大阪空港の安全・環境対策については、長期にわたる歴史的経過を重く受け止めなければなりません。大阪国際空港は、1936年豊中市と伊丹市にまたがる田園地帯を「大阪第2飛行場」として1939年に開設し、戦時中は軍用飛行場に転用、戦後は米軍伊丹基地として使われました。1958年に米軍が返還し、1959年第一種空港の「大阪国際空港」となりました。1970年ごろジェット機が増やされ、騒音公害が大問題になり、周辺住民3970人が5次にわたって、損害賠償や夜9時以降の飛行差し止めを求めて裁判を起こし、1981年には最高裁が原告の損害賠償請求を認めました。関空開港前の1990年国の責任において、大阪空港の存続を国が決定し、「存続協定」のなかで、関空との機能分担や運用制限が取り決められました。発着枠についてはジェット機200、プロペラ機170とされ、その後プロペラ170枠については、YS代替ジェット機枠や2002年からCRJ(リージョナルジェット)30枠が設定されています。これらはいずれも国の要請により、市民が認めてきた経過がありますが、しかしその場合でも、その必要性等を慎重に論議し、テスト飛行を実施させ、騒音環境への影響を最大限考慮した後、了解をしてきたという経緯があります。

こうした点で、意見書では「現行便数の総枠内での柔軟な運用とか「国内長距離路線の増便・復便」を要望しています。ジェット機は騒音が少なくなっているといいますが、近い将来就航が予定されているB787型機やMRJ機も含め全体としてどの程度の騒音の値になるのか予想できない情況です。また、環境基準を超える地域が依然として存在することから、引き続き「航空機騒音の発生源対策を充実し、環境基準の達成に向けて負担の努力を行」うことは、厳格に守られなければなりません。
以上の理由から、本意見書提出に反対するものです。

最後に、本来、意見書の採択は、県民の総意に基づき全会派一致を原則としなければいけないものです。全会派一致でこそ、県民の総意を代弁してこそ重みを持つ内容となるものです。にもかかわらずわが党の反対を押し切って、多数会派の意見だからと兵庫県議会として意見書を上げることは、議会制民主主義を脅かすものであること。今後、このようなことのないよう指摘し、討論を終わります。

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