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本会議 第306回本会議一般質問 杉本ちさと
2010年9月30日

急激な円高とデフレで、景気悪化がいっそう懸念されるなか、大企業応援と県民生活犠牲の新行革路線の県政ではなく、県民の雇用や中小企業、福祉の充実など、県民生活応援に軸足をおき内需を促し、兵庫県経済を健全に発展させ、財政再建をすすめる県政への転換を求めて、以下7項目の質問を行います。

安定した雇用と企業立地補助金の見直しを

■質問■ 大企業を誘致すれば雇用も地域経済も活性化するとの理由で、兵庫県は尼崎と姫路に立地したパナソニック4つの工場に、合計で218億円も補助金を出す予定ですが、その効果について疑問の声があがっています。内閣府も日本政策投資銀行も「中小企業への波及効果は弱い」「雇用の効果も見込めない」といっており、県がこれまで、総投資額や、総生産額、就業者数が大きいことを理由に、経済効果が大きいとする説明は説得力を欠いています。
姫路市に進出した液晶テレビのパネルを製造するパナソニック姫路工場は、4月から本格稼動していますが、地元では当初こそ期待しましたが、パナソニックが来たけども効果が何も見えてこない、わからないといった声がたくさん出されています。 建設時の2350億円の設備投資も、地元業者は孫受け以下の仕事ばかりで、過酷で単価が低いものばかりだったといわれ、操業後も、パナソニック関連で雇用や仕事が増えたとか、飲食店や商店が潤ったといった声は聞かれません。 地元の雇用や企業への取引について、県におききしても、パナソニックが明らかにしていないからわかりませんというばかりです。県民の貴重な税金70億5000万円がこの工場に補助されるのに、これでは無責任ではないでしょうか。 
また先月、尼崎プラズマ第一工場が上海に製造ラインを移転するとの報道がありました。 多額の税金支援を受け取りながら、企業の都合だけで、わずか数年で海外へ移転するのは、あまりにも身勝手すぎます。県の担当者にお聞きすると、パナソニックからはちゃんとした説明はなく、新聞報道で知ったとのことです。県は、企業にもっと堂々とモノをいい、必要な情報を開示させ、県民に具体的に説明する責任があるのではありませんか。   
パナソニック姫路工場で、ただひとつはっきりとわかっていることは、正社員の募集が一人もないということです。
 新聞広告に出されているのは、雇用期間を限定した期間工の募集ばかりです。
 企業が人件費を低く抑えるためや調整弁のために活用している、期間を定めた有期雇用については、厚生労働省の有期労働契約研究会でも議論され問題意識が高まっています。また、今年の労働経済白書は、大企業の非正規雇用が格差と貧困を拡大したと指摘し、経済発展のために長期安定雇用が有効と主張しています。
 県は、パナソニックに正社員雇用を何度も要請しているといっていますが、全く聞き入れられていません。
 このような企業に多額の補助金を出す必要があるでしょうか。 
今年は就職氷河期の再来といわれ、高校生も大学生も就職がない厳しい事態です。知事は、パナソニックに、地元の高校や大学、ハローワークに正社員を募集採用するよう強く求めてください。利潤のみを追求する企業に対して、行き過ぎを是正し、社会の総合的な発展をすすめるのが、政治の役割です。 
また、産業集積促進条例のなかの、投資額50億円以上の設備投資に対して3%補助する大企業向けの企業誘致補助メニューは、きっぱりと廃止することを求めますが、知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:まず、雇用と企業立地補助金についてです。現在のきびしい雇用情勢に対応して県として主要経済団体に対して雇用の維持、とくに非正規労働者の正社員へ登用等をつよく要請してきています。また、産業集積条例に基づく支援をおこなう企業に対しても、機会をとらえて地元雇用はもちろん正社員雇用のいっそうの拡大への積極的な対応を要請しています。パナソニックに対してもかねてより地元雇用、正規雇用化への要請しており今後もひきつづき要請してまいります。
なお、パナソニックプラズマディスプレイ社では尼崎工場を中心に正社員数が尼崎第一工場稼動前である平成17年3月末の約800人から平成22年三月末には約2100人に増加しており正社員雇用の拡大がすすんでいると認識しております。産業集積促進補助によって促進される新たな企業の立地は設備投資や雇用をはじめとする直接の経済効果に加えて、原材料、部品の発注や物品、施設管理等のサービスの購入などの経済効果、これらがひきおこす関連産業の生産誘発効果、関連企業の進出による産業の集積、さらには地域のイメージアップなど、本県経済全体のおおきな貢献が期待できます。産業集積条例が施行された平成14年から21年までの8年間で合計616件の立地があり、約1兆4000億円の設備投資、約3万2000人の雇用が創出されるなど、本件経済におおいに貢献しています。また、昨年度のように、国内設備投資が低迷する中でも54件、日本一の企業立地件数があったのもこの制度が下支えしたからだと考えています。
なお、パナソニックの尼崎第一工場の一部ラインの海外移設については計画の詳細や次世代太陽電池の生産など今後の利用内容が定まった段階で補助金の取り扱いについても的確に調整していきます。
今後とも産業集積促進補助を活用して企業立地を促進し本県経済の活性化に努めてまいりたいと考えています。

住宅リフォームや耐震化の促進で、中小企業の仕事おこしを

■質問■ 兵庫県経済の活性化には、中小企業を地域経済を支える大黒柱と位置づけた振興策が必要です。
秋田県では今年、「住宅リフォーム緊急支援事業」を実施しました。制度の内容は、県内の住宅リフォームに対し、工事費の10%、最大20万円まで補助するものです。「仕事を増やし、地域振興策としても有効」と導入し、県内でも16の自治体にひろがっています。当初予算額は12億6千万円でしたが、予想を上回る利用状況のため、8億4600万円を増額し、合計21億600万円、対象戸数も1万5000戸と拡大されました。住宅建設工事には、多くの業種と職人がかかわり、大量の材料・資材も動くため、経済効果は大きく、秋田県では、経済波及効果額で240億円といわれ、経済効果は11.4倍にもなります。
現在、住宅建設を巡っては消費低迷の影響で新築件数が前年比25.4%減と大変厳しい現状ですが、一方、住宅改善を求めるなかでは住宅リフォームの需要が大きく増えています。住宅リフォーム制度を今年度復活させた明石市では、実際に携わった建設業者にうかがうと「この制度があったから工事受注が増えた。」といわれており、仕事おこしに役だっています。他に稲美町や福崎町でも実施され、全国でもすでに、155の自治体でとりくまれています。 兵庫県全体で取り組めば、制度も安定して恒常的になり、経済効果がさらに大きくなります。
住宅リフォーム助成制度について、私有財産に助成することはできないとの意見もありましたが、住宅への公費助成は災害の住宅再建支援法でなされており、秋田県知事も直接助成は住宅リフォームを促進するために有効な制度といっています。
また、国土交通省は10年後の耐震化率95%を目指すとして、来年度から耐震改修に1戸あたり30万円程度補助する制度を導入しようとしています。
阪神淡路大震災の教訓から、わが党も一貫して住宅耐震化の促進を求めてきましたが、県の「わが家の耐震改修促進事業」は、補助率の拡充や部分的な耐震補修可能や、利子補給など一定改善されていますが、工事実施戸数は7年間でわずか合計1637戸しかありません。耐震化を推進するためには、県としてもさらなる支援が必要です。
 住宅リフォーム助成制度と住宅耐震支援が相乗効果を発揮すれば、中小企業の仕事おこしがより拡大し、地域経済が活性化するのではないでしょうか。
そこで、県民にも建設業者にも喜ばれる経済効果抜群の住宅リフォーム助成制度を来年度から実施することと合わせ、わが家の耐震改修促進事業の拡充を求めますがいかがですか。

▼答弁▼本井まちづくり担当部長:住宅リフォーム助成と耐震化改修促進事業の拡充についてお答えいたします。
住宅のリフォームに際しまして建築主が地元施工業者に施工を依頼するということは、きめこまやかな対応でありますとか安心感が期待できるとともに、中小建設業者の受注機会の増大によります地域経済の活性化につながります。個人住宅の一般的なリフォームに対します助成につきましては、本県では通常の住宅建設との均衡から見て困難であると考えております。しかしながら特定の目的を達成するインセンティブといたしまして計画策定を含め最高百万円を補助するわが家の耐震改修促進事業でありますとか、高齢者や障害者世帯の住宅改修費に100万円を上限として経費の三分の一を補助します人生80年いきいき住宅助成事業等を実施しておりまして、平成21年度末までの実績はそれぞれ1400件、3万1772件となっております。さらに県民の方が安心して住宅リフォームをおこなうことができ、中小業者の受注機会の拡大につなげるため、ひとつには補助限度額の見直しや補助対象工事の拡充、二つには建築主への一定の要件を満たす住宅リフォーム業者の登録情報の公開やリフォームアドバイザーの派遣、3つ目に市町及び事業者団体等で構成いたします住宅リフォーム推進協議会によりますリフォーム支援制度の説明会や講習会の開催等をおこなっております。
県といたしましては、耐震改修に対します支援の強化をはかるため国土交通省が拡充要求しております耐震化補助制度の活用を検討するとともに今後とも市町や関係団体と連携いたしまして地域経済の波及効果が大きい住宅リフォームを促進してまいります。

国保の「広域化」でなく、国庫補助の増額こそ

■質問■ 国民健康保険料が高くて払いたくても払えない。窓口負担も高すぎ、病院にいくのをためらう。何とか安くして欲しい。これは、本当に多くの県民の願いです。
保険料が高くなった原因は、退職者や失業者、高齢者などが多く加入する国民健康保険が、社会保障制度であるにもかかわらず、国が国保の総収入に占める国庫支出金の割合を1980年代には50%程度あったものを、2007年度には25%にまで次々と引き下げているためです。
 県も、調整交付金の市町への交付にあたって、収納率によるペナルティを課してきました。また、医療費助成の実施にともなう国庫補助削減を補うものとして、市町への独自補助を行ってきましたが、「行革」による福祉医療の後退にともなって大幅に縮小され、今年度は7億円と8年前の半分です。
 こうした国保の現状に対して、民主党政権が熱心に推進しているのが「国保の広域化」です。国保の広域化とは、市町が運営する国民健康保険を、都道府県単位の運営に移行しようとするものです。 国保法の改定によって、都道府県は「広域化等支援方針」を定めることができるとされました。
なかでも重大な問題は、市町が一般会計から国保会計への繰り入れを行っていることを「早期に解消する」よう求めていることです。県下でも多くの市町が、保険料軽減のために一般会計から国保会計へ繰り入れをおこなっています。その結果、2008年度の各市町の単年度収支の合計は、県全体で約79億円を繰り入れし14億円の黒字になっていますが、一般会計の繰り入れがなくなれば、全体で65億円の赤字となります。これを保険料に転嫁すれば、大幅値上げとなり、ますます払えない人が増えるのは明らかです。
 知事は、市町国保を都道府県単位に再編することについて異議をとなえておられます。その一方、県は「財政安定化支援方針」という名前で収納率向上の方針をつくるため、8月に市町との検討会議を行っていますが、広域化のレールにのったやり方では国保は改善されません。財政の安定化をいうならば、減らされた国庫負担を元にもどすよう求めるとともに、保険料の引き下げにつながる財政支援を県としても増やすことこそ必要なのではありませんか。
そこで、「国保の広域化」に反対し、県の広域化方針は作らないこと。国に対して、ペナルティは無条件で廃止し大幅に国庫補助を引き上げるよう求めること。また県として、調整交付金の収納率によるペナルティをやめるとともに国保料引き下げのために大幅な新たな独自支出をすることを求めます。知事のあたたかい答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:続きまして、国民健康保険についてお答えをします。
 市町村国保は、他の被用者保険に比べて高齢者が多く、所得水準が低い一方、医療費が高額となるため、財政基盤が脆弱であるといった構造的な問題があります。
 国の高齢者医療制度改革会議は、市町村国保を都道府県単位に再編し、都道府県単位の運営主体を保険者とする方向を示していますが、本県としては、国民皆保険制度の維持のためには、被用者保険を含めたすべての医療保険制度を一本化し、国を保険者とした上で、保険料率の設定など、保険運営は都道府県単位に広域化すべきだと主張しています。
 国民の健康を守る医療制度が、企業の健保、中小企業の協会けんぽ、公務員の共済組合、一般の国保と分かれ、それぞれの負担が異なっているからこそ、先ほど述べましたように、一本化すべきなのではないでしょうか。
 広域化等支援方針は、県下の市町の意向を踏まえて、県としても策定することとしたものであり、内容についても、市町担当課長で構成する策定検討会議において、合意した項目を盛り込むことにしています。
 保険料収納率向上対策については、国保の特別調整交付金での評価を行うことにより、引き続きインセンティブを持たせることとし、普通調整交付金の減額措置は、国の調整交付金にあわせ、本年度から廃止し、手続きを進めています。
 また、福祉医療実施に伴う国庫負担金の減額措置については、従来から国に強く廃止を要請しています。市町に対する財政支援としては、県独自の事業費補助金を含めて、平成22年度において、約400億円の予算措置を行っているということを申し添えます。

こども医療費助成制度を中学校3年生まで拡大を

■質問■ 日本共産党県議団は、乳幼児医療費助成について、対象を中学校3年生まで広げ、無料にし、「こども医療費助成」として拡充するよう繰り返し求めてきました。
兵庫県では、通院・入院とも小学校3年生までの乳幼児医療費助成制度に加え、今年から新たに、入院費の3分の1を助成する「こども医療費助成」がはじまりましたが、中学校3年生までを対象にしたことは一歩前進です。
しかし、格差と貧困が広がるなか、子育て世代は経済的に厳しいもとでも懸命に子育てしていますが、こどもの病気が不安の第一番です。「1回800円というが、受診する科が複数になったり、薬の院外処方は別途取られるので負担は大きい」「入院だけでなく通院も、中学校3年生まで対象にしてほしい」など、窓口負担の軽減は切実です。
平成21年度の県民意識調査でも、子育てに対し行政に経済的支援の充実を求める声が42.8% とおおきく、特に医療費の心配をなくすことは大きな子育て支援であり、だからこそ全国にこどもの医療費無料化がひろがっているのです。
兵庫県下では小野市・西宮市・福崎町が通院・入院とも中3まで無料を実施し、全国的には、群馬県で実現し、大変喜ばれています。
また、民主党政権になって、こども手当て等が支給されているものの、一方で扶養控除、配偶者控除が廃止される影響で負担増となる世帯が約2割もあることが、内閣府調査でも明らかになったところです。これでは、すべての子育て世帯の経済的支援になりません。
どこに生まれ住んでも、こどもは、等しく大切に育てられるべき存在です。
そして、子ども医療費の無料化は、安心してこどもを産み育てられる社会をつくるための条件であり、子育て支援の大きな柱、全国の大きな流れとなっています。
そこで、こども医療費助成は、所得制限をなくして中3まで無料にし、こども医療費無料制度とするよう知事の決断を求めます。

▼答弁▼久保健康福祉部長:子ども医療費助成制度は、子育て世帯に対する支援策として本年4月から全市町で実施されているところです。この制度は、心身・体力等の節目となる前青年期から思春期にいたる小学校4年生から中学校3年生について保護者の精神的・経済的負担が大きい入院医療費を対象に助成をおこなうものであります。自己負担は、受益と負担のバランスを確保し制度を持続的で安定したものにするためにも必要でありますが、低所得者には負担軽減がされるよう十分配慮をおこなっているところです。
また、所得制限については支援を必要とするものにたいして医療保険の自己負担を軽減するといった趣旨からしますと必要であると考えております。
制度をとりまく環境の変化に的確に対応し、将来にわたり持続的で安定した制度として実施して行くため、所得制限の撤廃や無料化は考えておりません。
また、通院まで対象を拡大することにつきましては現下の厳しい財政状況から見て困難であると考えております。

少人数学級を、国の計画より早めて実施を

■質問■ 日本共産党県会議員団は、30人学級、少人数学級の実現について、県議会の質問だけでも100回を超え、県民運動と結んで一貫して求めてきました。
今年8月、中央教育審議会が30人学級実施と義務教育国庫負担を2分の1に戻すことを求める提言を出し、文部科学省は、来年度から段階的に35人学級を導入し、さらに小学校1,2年生の30人学級をめざすと発表しました。
大いに歓迎ですが、政府は、これを来年度概算要求で特別枠扱いとしているため、確実ではありません。県は必ず実現するよう国に求めるとともに、この定数改善を非正規を増やすことで行うのでなく、正規の教職員で実施させることが大切です。
国の、定数改善は2001年の第7次以降行われず、抜本的には教師を増やしませんでした。その中で県は、臨時教員や非常勤講師を増やしつつ少人数学級をすすめてきました。2002年と2010年で比較すると、小学校では233人から655人へ2.8倍に、中学校では149人から622へ4.2倍に増えています。
教師の超多忙は限界にきています。 兵庫県の調査でも、残業時間が平均、小学校で一ヶ月で72時間、中学校で96.5時間で、過労死認定の基準を超えています。 私の地元姫路市でも、ここ数ヶ月、教師の死亡が相次いでおり、異常な状況です。
「一クラスの人数をへらしてほしい」は教師や、父母、県民の切実な願いです。
そこで県としては、現在35人学級が4年生まで実施されているわけですから、国の施策に合わせ延期することなく、来年度は、小学校5・6年生で、つづいて中学校全学年で35人学級を順次実施した上、早期に30人学級を中学校3年生まで実施するよう求めますがいかがですか。

▼答弁▼大西教育長:少人数学級の推進についてお答えします。
本県におきましては35人編成を小学校4年生まで実施し、小学校5,6年生では教科担任制と少人数学習集団の編成をくみあわせました兵庫型教科担任制を、中学校では基礎学力の確実な習得をはかる少人数学習集団の編成にとりくみ、成果をあげてきております。
国におきましてはこのたび、来年度から8年間をかけて学級編成基準を段階的に引き下げる新教職員定数改善計画案を策定しましたが、その内容は35人学級編成は来年度においては小学校1・2年生のみの実施であり、このため、小学校5年生以上への適用は平成26年度以降となっております。このため、国の定数措置や予算措置がないなかで小学校5・6年生や、中学校全学年への先行実施は基本的に困難な状況にあります。
今後は、概算要求をふまえ現在国において来年度予算の具体的な検討がされておりますが、具体的な措置状況に注視しながら、少人数学級の推進に適切に対応してまいります。

鳥獣被害対策の強化を

■質問■ 鹿、猪、猿、アライグマ、ヌートリアなどによる鳥獣被害が激増し、県下各地に広がっています。
被害にあっている農家の声は本当に切実です。鹿やイノシシに稲を広範囲に倒されてしまった農家は、「このような被害をいたるところで受けている。何とかして欲しい。」「ヌートリアやアライグマは川から這い上がってきて、柵を破って侵入し、稲やスイカやとうもろこしなど、収穫直前に食べられてしまって、本当に悔しい。
 もうつくるのを辞めようかと思う」と、このまま放置すれば、鳥獣被害が耕作放棄につながりかねない問題になっています。
 防除対策、駆除対策が急務です。ところが、民主党政権に変わった昨年秋、防除柵の設置等を支援する国の鳥獣被害防止総合対策の補助事業が「事業仕分け」により交付金化され、予算額が大幅に減額されました。兵庫県でも、昨年度県下市町への補助額が1億1707万円あったものが、交付金6957万円に減り、要望額の30%にしかなりませんでした。そのため県が負担割合を53%から12%に下げて市町に配分したため、県下各地で、予定していた防除柵設置の事業が実施できないなど、深刻な事態がおこっています。
 ある地区では910万円で防除柵設置を行う予定で、当初の説明にそって県からくる交付金を500万円、地元負担を130万円と見込んで事業を進めていました。ところが、5月末に県から交付金が8割カットだと通知をうけました。ただでさえ、重い地元負担をさらに増やすことはできず、事業は頓挫したままです。県は1億4262万5000円の有害鳥獣対策緊急措置を今月15日に発表しましたが、防護柵の設置については、特別交付税措置を活用するとしているだけで、県としての予算の上乗せはありません。市町任せにするのでなく、せめて県の負担割合をもとにもどし、予算の増額を行うべきではありませんか。
駆除対策もいっそうの充実が必要で、そのひとつが、捕獲後の処理の問題です。現在捕獲した獲物は、その処理も捕獲者まかせになっています。とくにシカのような大型で食肉などとしての活用も限られる動物は、処理に困るので捕獲をためらうことにもなっています。県は、今年度シカの捕獲目標を3万頭に増やしており、大量の捕獲で現状では処理仕切れなくなるとの声も出されています。県として、捕獲後の処理施設を整備するなどの対策が必要です。
そこで、国に対して鳥獣被害対策の強化を求めるとともに、県として防護柵の設置予算を緊急に増額すること、また、有害鳥獣捕獲後の処理施設の整備の実施を求めますが、お答えください。

▼答弁▼井戸知事:鳥獣被害対策についてであります。
野生動物による農林業被害は依然として多く、農業者の生産意欲の低下も懸念されます。
とくに今年はどんぐりなどの不作の年であり、夏の暑さも厳しかったこともあり、人里への出没もめだっておりますのですでにイノシシや熊などに対する警報を発したところです。
また、今年シカの捕獲については2万頭から3万頭へ捕獲目標を1万頭ふやしたのでありますが、天候不順の影響により有害鳥獣の捕獲もすすんでいないため緊急対策として今年追加した1万頭の捕獲については県が主体的に実施することとしました。
シカ捕獲目標数が多い6県民局にしか捕獲対策チームを設置して捕獲体制を強化するとともに、猟友会の協力をえてシカ捕獲専任班を編成し平日においても捕獲をおこない約5千頭の捕獲を実施します。また狩猟者のおこなう狩猟期間中のシカ捕獲に対して捕獲頭数に応じた報奨金を支給するとともに、シカ大量捕獲用わなによる捕獲をおこなう集落に対してえさ代の実費支援をおこなうなど、強化しております。あわせて特定の市町に定着している日本ザルの追い払いを効果的に実施するさる監視員の設置や、いのししの被害を防止する箱わなの整備に対して支援しております。
防護柵の設置については、国が大幅な補助金の削減をおこないましたので、従来スキームが機能しないため、法律にもとづく事業として位置づけられている特別地方交付税措置、市町負担の80%が特別交付税措置がありますが、これを最大限活用して残りの20%、最大20%になる市町の実負担の3分の2を県が負担するしくみにより農家の負担を増加させずにすべての要望に対応できることにしたものであります。一方国に対しては鳥獣被害防止総合対策事業の予算拡大を提案しており平成23年度概算要求では本年度予算の5倍の約113億円が要求されています。
また、捕獲後の処理については、シカなどを焼却できる民間施設などの確保に努めますとともにシカ肉等の有効活用をはかるため、県民農林漁業祭などのイベントにおけるPR活動と需要拡大に取り組んでおります。加工施設については市町や地元の意見をふまえながら、配置や実施主体など、整備のありかたについてさらに検討してまいります。
ともあれ、今後とも市町ともども有害鳥獣対策に全力をあげてまいります。

姫路市エコパーク爆発事故について

■質問■ 今年3月25日、姫路市網干沖の埋め立て地のエコパークあぼしの爆発事故で、建設作業中に、爆発で吹き飛ばされ、2ヶ月間意識不明の重症になり、足首が粉々に壊れて、一生車いす生活をよぎなくされた岡山のAさんは、「事故から半年が経過した。仕事に復帰することができず、不安で仕方がない」と訴えました。また、大やけどを負った22歳の青年は、半年たってただれた顔面は少しよくなっていますが、太陽にあたらないよう、いつも顔と耳と手を布でカバーしています。片方の耳は鼓膜が破れ、もう片方の耳も聞こえにくく、手も不自由になりました。事故のフラッシュバックで苦しんでいます。
 私は、このような被害者の痛切な声を受け止めて、兵庫県の責任について、問いたいと思います。
 爆発事故の原因は濃度の高い可燃性のメタンガスと言われています。
 メタンガスを発生させた有機物は、市の調査・安全対策検討委員会でも「埋立に使われた浚渫土砂に含まれる有機物ではないか」(松藤福岡大教授)と指摘されています。
網干地区の埋め立てに使われた浚渫土砂には、揖保川に流れ込んだ皮革排水を主な原因とする、有機物を多く含む汚泥の堆積したものが、多く含まれています。
 本来、最終処分場は、その危険性から、廃棄物処理法の適用を受け、構造・管理、廃止基準など、規制とチェックを受けることになっています。しかし、この網干廃棄物最終処分場は、公有水面埋立法に指定された「水面埋立地」の関係で、法の適用を受けませんでした。
 そのため、法的なチェックは行われず、埋立事業者である県の外郭団体の環境クリエイトセンターが自主的にチェックしただけでした。しかも、県は国の基準に従ったと言われていますが、チェックもゆるいものでした。 たとえば、ガス発生調査は、爆発のおきた第4工区の造成が終了した後、わずか3ヶ月後の2000年11月と2001年2月の2回、実施しただけでした。メタンガスが発生する有機物の分解は、東京港の夢の島などの埋立地でも明らかなように、数ヶ月から数年、10年以上つづくものです。埋立が終わった後の数ヶ月後の2回のチェックだけで、ガス発生がなかったと判断したのは、調査不十分だったと言わざるをえません。しかも環境クリエイトセンターが調査を依頼したのは新日鉄子会社の「ニッテクリサーチ」で、新日鐵グループは、その後、埋め立て地に建設した姫路市ゴミ処理施設を含むエコパークあぼしの設計、施工、管理運営を契約し、請負い、現在に至っています。
 環境クリエイトセンターの冊子・「網干地区埋立地の歴史」には、「環境保全対策」として、悪臭や汚水処理とともに、「廃棄物の腐敗分解による有毒ガス対策」の必要性が書かれていますが、その対策を行ったことは書かれていません。 必要な対策を怠ったことは明らかです。
県は「ガスがでるのは常識、対策しなかったのは市の責任」と言っていますが、爆発事故のあった第4工区の埋め立て事業は、県のクリエイトセンターが行ったものであり、県としてガスや土壌調査など責任をもって行い、原因究明や対策を行うことは当然です。
ごみや有機物の海面埋立は、埋立完了後も長期間にわたりガスの発生や沈下等もあり、不安定な状態がつづきます。そのような埋立地に高温の焼却炉を持つゴミ処理場などの施設を建設すること自体に、無理があったのではないか。ある専門家も「ごみ処分場の上に、処理場をつくるのは危険性があり、聞いたことがない」と言っていました。
県は、エコパークあぼしの隣の埋立地で行っている下水道事業に関係する部分だけの調査をする予定ですが、委託先は、環境創造協会で、この埋め立て事業を行ったクリエイトセンターも所属しています。ガスのチェックの責任を問われている県の関連機関が、ふたたび調査するのでは、本当の原因分析にならないのではないでしょうか。
そこで、現在、再稼動しているゴミ処理場にたいして、市民は不安な思いでいっぱいです。 爆発事故のあった埋め立て地のガスや土壌調査をはじめ、「あぼし地域環境改善計画」も含めて、第三者を入れた検証委員会をつくり、兵庫県としての責任を含めた徹底した調査を行うことを求めますが、いかがですか。

▼答弁▼佐藤環境担当部長:エコパーク網干爆発事故についてお答えします。
事故のありました網干埋立地の第4工区は兵庫県環境クリエイトセンターが埋め立てをおこなった土地を企業庁が姫路市土地開発公社に平成17年2月に売却したものであります。埋め立てにあたりましては、構造・維持管理は廃棄物処理法の基準に準じております。たとえば埋立地からの浸出液による公共水域、地下水への汚染防止措置を講じますとともに報流水の水質が排出基準に適合するよう維持管理をおこなうといったようなことを適正におこなってきました。
また、環境クリエイトセンターは、廃棄物等の受け入れ状況や排水の管理状況などについて、県及び姫路市で構成する専門の職員も入った網干地域環境改善事業公害防止監視委員会に毎年報告をおこない、問題がないとの評価を得ています。
姫路市サイドに土地を引き渡す際には、埋め立てた廃棄物等の種類ごとの量や地盤特性についての留意事項などを記載した資料「網干地区埋立地の歴史」を示すなど適正に情報を引き継いでおります。
なお、当該埋立地は、当時すでに旧西エース施設などが創業していた土地であり、そのなかの隣接地に姫路市がごみ処理施設等を建設したものだということをつけくわえさせていただきたいと思います。
また、現在爆発の原因調査や安全対策については姫路市の設置した外部の有識者で構成する網干健康増進センター事故にかかる調査安全対策検討委員会において、調査検討が進められております。
可燃性ガスを拡散させる安全対策をおこなうなど委員会の判断に基づき市は5月にごみ処理施設の稼動を再開しています。
県といたしましては、姫路市における原因の調査や安全対策の検討に対して必要な協力をおこなってまいります。

<再質問>

■再質問■ パナソニックの姫路工場の雇用の問題ですが、さきほど知事の答弁では非正規雇用から正社員雇用にということを県としても繰り返し求めているということでした。
姫路工場ではいま募集しているのは正社員はひとりもありません。2年三ヶ月の期間工ばかりなんですが、ぜひ姫路工場でいま募集することを直接強く求めていただきたい。これをかならず実行していただくということを再度求めたいと思います。
網干の爆発事故現場について先ほどの答弁では姫路市等にごみ処理場に爆発するメタンガスの情報については適正に伝えているという答弁でした。また毎年調査報告をおこない問題はなかったという答弁ですが、姫路市や建設現場で働いていた人たちにお話をききますと、ガスの問題についてはいっさい聞いていなかったということも、私は聞いております。その点についてほんとうに適正に情報を伝えていたのか答弁をお願いします。

▼答弁▼井戸知事:パナソニックの子会社のIPSアルファの社員募集の件でございますけれども、現時点で募集されている内容を変えろというのはなかなかむずかしいのではないかと思いますがいずれにしても基本姿勢として正社員化していく、正社員の募集を基本として行くという姿勢をとるように申し入れをさせていただきたいと考えます。

▼答弁▼佐藤環境担当部長:エコパーク網干の土地におけるガスの発生状況等についてのおたずねです。土地の状況をしめした「網干埋立地区の歴史」という詳細な資料を示して適正に説明をしております。埋立地が完成した段階でガスの調査もおこなっておりまして、その時点において、ガスは非常に低い濃度であったということでその点についてはふれておりませんが、ガスは当然こういう土地では発生しうるということは姫路市当局も理解していたものと思っております。

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