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本会議 第304回本会議請願討論 杉本ちさと
2010年3月23日
私は、日本共産党県会議員団を代表し、請願第5号、第124号、第127号、第129号は不採択でなく採択を、請願第15号、第83号、第84号、第98号、第99号は継続でなく採択を求め、以下討論を行います。

義務教育での国の責任の堅持を

まず、請願第5号、「義務教育国庫負担制度を堅持するとともに充実・発展させることを求める意見書提出の件」についてです。
どの子にも行き届いた教育を行い、基礎学力をしっかりと身につけさせることは義務教育を実施する国の責任です。
義務教育費国庫負担制度は、全国すべての地域で必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることを目的にしています。しかし、小泉政権の「三位一体改革」のなかで、国庫負担率を2分の1から3分の1に削減されました。

「構造改革路線」からの転換を求めた国民の審判を受けて誕生した鳩山内閣は、来年度予算で教職員定数を差し引き300人の純増を打ち出しました。差し引きで純増となるのは7年ぶりのことです。
また、文部科学省は今年1月に、2011年度以降に学級編成及び教職員定数改善について、予算の概算要求時期(8月末)までをめどに本格的な検討に着手することを表明しました。
国民の願いを受けて、前向きに改善する国の政策を評価しつつ、さらに、すべての都道府県で実施されることになった少人数学級を、国の制度として実施することが求められます。
義務教育費国庫負担制度を2分の1に戻すなど充実・発展がいっそう重要になっています。本請願は不採択でなく、採択すべきです。

次に、請願第124号、「『もんじゅ』の運転再開に関する意見書提出の件」についてです。
日本原子力研究開発機構は、1995年のナトリウム漏れ、火災事故以来止まっている高速増殖炉「もんじゅ」を3月中にも再び動かそうとしています。政府も容認の姿勢ですが、日本科学者会議エネルギー・原子力問題研究委員会の舘野淳元中央大学教授が、「現在の技術水準で運転を再開すれば、事故の危険性がかなりある」と指摘するなど、もんじゅの安全性について、専門家や地元住民も含め、大きな不安の声があがっています。もんじゅはウランの数万倍の放射能をもつプルトニウムを燃料とする点でも、冷却材に用いる液体ナトリウムの扱いが困難だという点でも、既存の原発(軽水炉)以上に危険な原子炉です。原子炉内の放射性物質が外部に大量に放出されるような深刻な事故が起きれば、取り返しのつかない事態となります。原子力安全・保安院は、事故をおこした設備の改造と、ナトリウムもれ対策が行われたといいますが、改造工事後も、ナトリウムもれ探知機の取り付けミスや、排気ダクト(配管)の腐食が発見されるなど、トラブルが相次ぎました。その教訓も充分に検証されていないなか、今後もトラブルや事故を起こさない保障はありません。

また、もんじゅの直近には長さ15キロメートルの活断層があることも明らかになっています。中越沖地震後に原子力機構が実施した耐震性再評価では、許容値ぎりぎりの配管もあります。とても安全が確保されたといえる状態ではありません。

高速増殖炉は、消費した量以上のプルトニウムを作り出す「夢の原子炉」といわれ、開発がすすめられてきましたが、これまでに投入された予算は総額2兆円をこえ、もんじゅだけで建設費約6000億円、改造工事を含む運転費に約3000億円が使われました。日本に先行して開発を進めていたフランス、アメリカ、イギリス、ドイツなど欧米各国は、ナトリウムもれなど技術的困難や経済性の問題から、すでに撤退しています。

今回の運転再開をめぐり、日本の原子力安全規制のあり方も、あらためて問われています。原子力安全規制を担うはずの原子力安全・保安院は、原子力推進機関としての経済産業省のなかの内部組織でしかありません。ここに日本の原子力安全規制の根本的な問題があります。国際原子力機関は、チェリノブイリ原発事故の教訓から、規制機関を推進機関から切り離すことを国際基準として定めています。

危険な核燃料政策に固執し、もんじゅ再開を追認しようとする政府の姿勢は異常です。高速増殖炉を柱の一つにした核燃料サイクル政策の抜本的見直しが求められます。
よって、本請願は不採択でなく、採択を求めます。

子宮頸ガン予防ワクチンの公費助成を

次に、請願127号「子宮頸ガン予防ワクチン摂取の公費助成を求める件」についてです。
20代から30代に急増している子宮頸ガンを予防するワクチンが開発され、日本でも昨年末に承認・販売されるなか、公費での接種を実現してほしいと、女性たちの運動が広がっています。子宮頸ガンの99%は、ヒト・パピローマ・ウィルス(HPV)の感染ですが、予防するワクチンができたというがんはほかにはないので、大変、画期的なことです。5、6年前から100カ国を超える国の予防ワクチンが承認され、先進30カ国では公費による接種がひろがっています。ワクチンは、感染する前の接種が効果的で、日本産婦人科学会など専門家会議は11歳から14歳の公費接種を推奨し、WHOは9歳から13歳の接種を推奨しています。接種は3回必要で、4万から6万円の費用がかかります。全額自己負担となっているため、公費助成が求められます。本議会には、同様の主旨の子宮頸ガン予防ワクチン接種に対する公費助成等を求める請願第126号が出され、健康福祉常任委員会で採択されました。それと同じ主旨の本請願が同委員会で不採択となりましたが、その主な理由に無料化を求めていることと、県の全額支援を求めていることがあげられました。しかし、公費助成を求めていることを、全額県支援と決めつけることは、願意ではありません。また、すでに公費助成を開始している、新潟県魚沼市、埼玉県志木市、兵庫県明石市、東京都杉並区などでは、小学6年生から中学3年生、また小学6年生から中学1年生を対象にして、いずれも全額補助をしています。無料化が当然となっているのです。女性の命と健康を守るという視点にたって、本請願は、第126号と同じように採択することを主張します。

次に、請願129号、「与布土ダムの本体工事契約の先送りを求める件」についてです。
請願の趣旨・要望は、「国の新たな基準に沿って、与布土ダムの再検討」を行って、それが「終わるまでは、本体工事契約を先送りする」というものでありました。しかし、契約案件については、審議をいったん先送りにしながら、結局は、前原国土交通大臣が会見で「補助金支出を示唆」したということで、先日(18日)本会議で議決してしまいました。

与布土ダムについて、わたしたちは、本会議討論でも述べた通り、以前から、利水・治水・環境面で問題があり、いったん凍結し、見直し・再検討を行うべきであると考えてきました。
国は、「有識者会議」で、「できるだけダムによらない治水」への政策転換を議論しており、意見募集も行われ、夏ごろまでに基準を定めるとしていますが、「個別ダム検証のための治水対策の立案」として、「河川を中心とした対策」で「遊水地」や「耐越水堤防」「決壊しづらい堤防」などもとりあげられています。本会議一般質問で、武庫川水系河川整備計画に関し、わが党が求めた「耐越水堤防」についても、真剣な議論が行われています。ダム優先の河川行政は見直しへと動きつつあります。しかし、県は、旧来からの国の見解を踏襲し、新しい流れをみようとしていません。このようなダム固執の姿勢を転換する意味でも、本請願は、不採択でなく、採択を主張いたします。

次に、請願第15号、「政務調査費の領収書の公開範囲拡大を求める件」についてです。
政務調査費がどのように使われたのか、議員が税金の使途を領収書をつけて1円から明らかにすることは、当然のことです。これまで、事務所、事務費、人件費をのぞく、1件5万円以上の支出の領収書を添付公開していますが、このような基準にしているところは、和歌山以外になく、全国的に一番遅れた状態になっています。
現在、おそまきながら、公開のための検討の議論がはじまっていますが、私たちは、これまで、1円から全て領収書添付で公開する条例案を、単独で3回、共同で1回にわたり提案してきました。兵庫県議会としても、継続でなく、今請願を採択し、ただちに全面公開に踏み出すべきです。

次に、請願第83号、第84号「裁判員制度の適切な実施にむけた諸条件の整備と取調べの可視化を求める意見書提出の件」は、昨年5月から裁判員制度が始まり、裁判員として参加しやすい環境の整備や裁判員のこころのケアなど様々な条件の整備が求められています。また、再審が始まった足利事件でも、当時の取り調べテープが公開され、自白の強要のひどさが浮き彫りになっています。冤罪(えんざい)を生まないために、取調べの全てを可視化することは不可欠であり、 本請願は継続でなく採択を求めます。

「核密約」を廃棄し、「非核兵庫宣言」を

次に、第98号「非核日本宣言を求める意見書提出及び県として「非核兵庫県宣言」を行うことを求める件」についてです。
2010年5月3日にニューヨークで開催されるNPT核不拡散条約再検討会議を前にして、核兵器のない世界をめざす世論がたかまっています。世界で唯一の被爆国である日本が核兵器廃絶の先頭にたつことが求められています。一瞬にして何十万人もの命と都市を破壊した広島・長崎の原爆の悲惨な体験をしている日本国民は、人類と核兵器が共存しないことを身をもって知っています。日本が世界にむかって、「非核日本宣言」を行い発信することは、核兵器のない世界に向けて大きく前進することにつながります。

また、先ほど「核兵器廃絶と恒久平和の実現に関する意見書」が採択されましたが、これは、広島市長と長崎市長などが入る平和市長会からの要請にもとづき、すべての会派の賛同で、採択されたものです。
兵庫県に「非核兵庫宣言」を求める県議会の意思を示すことは、先の意見書の主旨にも合致するものです。本請願を、不採択でなく採択することを求めます。

次に、請願第99号、「核密約の全容の公表、破棄、非核三原則の厳守を求める意見書提出の件」についてです。
我が国は非核三原則、「核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず」を国是にしてきました。ところが、日米両政府の間で、核兵器の日本持ち込みに関する密約があり、長期にわたって国民に隠して、核兵器持ち込みを容認してきたことが判明し、「日米核密約」問題が昨年の総選挙の争点の一つとなりました。

日本共産党は日米核密約の解明について一貫してとりくみ、とくに2000年の国会審議で、当時の不破哲三委員長は、独自の調査で入手した、1960年の日米安保条約改定時に結ばれた「討論記録」、核持ち込みの密約そのものの文書を政府に示し、「日米核密約」の存在を明らかにしてきました。

鳩山新政権は発足後、「密約をめぐる過去の事実を徹底的に明らかにし、国民の理解と信頼に基づく外交を実現する必要がある」として調査を開始し、外務省は3月9日、日米核密約の調査結果「有識者委員会」の「報告書」を公表しました。核密約を認めたかのように報道されていますが、報告書は、日米核密約の文書である公文書の「討論記録」の存在を認めながら、結論は「日米両国間には、核搭載艦船の寄港を事前協議の対象か否かについては、いまに至るも明確な合意がない」として、核持ち込みの密約を否定しています。 政府は「広義の密約」と「狭義の密約」という表現で使い分け、核持ち込みの密約を否定したことを隠しています。

「討論記録」は、日米両政府の代表が了解して作成され、代表が頭文字署名を行い、秘密の文書として扱う確認も行っており、核持ち込みの密約そのものであることは明らかです。
また、討論記録の核兵器に関する内容は、第2項Aで「事前協議」の対象となるのは、核兵器の日本への持ち込み(イントロダクション)と基地の建設と限定し、同じく第2項Cで、「事前協議」は、米国の軍用機の飛来や艦船の港湾への立ち入りは、「現行の手続きに影響をあたえるものとは解されない」と明記しています。「現行の手続き」とは、自由に行っている米軍の核持ち込みのことです。

政府は、今後の対応について、アメリカに働きかけを行う考えはなく、非核三原則の法制化も行わないと表明しました。核持ち込みの密約を密約と認めない立場にたっているため、密約を廃棄することもできなくなります。核持ち込みの密約問題は過去の問題だけではありません。2000年から2009年に、核トマホーク搭載可能な原潜の日本への寄港は500回近くにものぼり、平和な姫路港にもこの間、米艦船が3回も入港しました。政府は、米国が1991年と1994年に水上艦などから戦術核兵器を撤去する方針を決定したとして、「今後は日本に核が持ち込まれることはない」といっていますが、これは「通常」の場合についてであり、「将来の危機」や「必要な場合」には随時、攻撃型原潜に核巡航ミサイル「トマホーク」を搭載し、核兵器の再配備をすることを宣言しています。岡田外務大臣は3月17日の衆議院外務委員会で、米軍の核兵器搭載艦船の日本寄港に関して、「非核3原則を堅持する」としながら、「緊急事態」など有事の場合は、核持ち込みの可能性を認める発言をしました。日米核密約があるもとでは、核兵器が持ち込まれる仕組みと体制は引き続き日本列島をおおっています。「非核三原則」を守る保障はありません。
核持ち込みの密約の存在をきちんと認め、廃棄してこそ、非核三原則を厳守することができます。

政府に対して、日米間の核密約の全容を公表し、核密約を破棄するとともに、非核三原則を厳守することを求める意見書提出の請願は、不採択でなく、採択を求めます。
以上で、私の請願討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。

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