私は、日本共産党県会議員団を代表して、今議会提出の請願第100号ないし第107号の8件は、不採択でなく採択を、第4号、第5号、第15号、第83号、第84号は継続ではなく、採択を求めて討論を行います。
まず、第100号 兵庫県「行財政構造改革」の中止を求める件についてです。
県が推進する「行財政構造改革」は、2008年から2018年にかけて約1兆3000億円の事業費を削減し、その中身は、県民生活関連費や職員と給与を大幅にカットする一方、高速道路やダム建設、上限なしの大企業誘致補助金などは選択、集中してすすめるというもので、県民いじめの構造改革です。そもそも、兵庫県財政が悪化した原因は、国の経済政策を先取りして大型開発、公共事業を大規模に展開し、赤字を大幅に増やしてきたことと、阪神淡路大震災からの創造的復興と称して、震災とは関係ない事業も含めた大型公共事業に偏った復興事業によってつくられた赤字が大きな原因です。この根本的原因にメスをいれることなく、福祉医療制度の改悪にみられるように、多大な痛みを県民におしつけています。しかし、先の総選挙で国民は、政府の弱いものいじめの構造改革に対して「NO」の審判をくだし、暮らし重視の政治を求めて、政権を交代させました。県政においても、県民生活重視を県民は願っています。経済状況はいっそう厳しさを増し、雇用や中小企業をめぐる実態は極めて深刻となっており、県民生活応援こそ切実に求められています。「新行革プランが絶対」の立場で、生活関連の削減計画をすすめるのでなく、大赤字の真の原因である不要不急の大型公共事業を見直し、県民の暮らしがなりたっていけるように応援することこそ、求められているのではないでしょうか。よって行財政構造改革を中止し、県民生活と福祉向上への直接支援策を求める願意は当然であり、不採択でなく採択を主張します。
つぎは、請願第101号 後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書提出の件についてです。
10月23日、新政権の長妻厚生労働大臣は、後期高齢者医療制度の廃止を打ち出していたにもかかわらず、4年後に先送りすると発言しました。これに対して、高齢者をはじめ、多くの国民が批判を強めています。後期高齢者医療制度は75歳以上のお年寄りを家族から切り離して別枠の保険制度に集約し、高い保険料をとりたて、受ける医療も制限するという、世界でも類のない差別医療制度です。先の総選挙で政権交代となった国民の大きな怒りの一つが、後期高齢者医療制度です。見直しでなく、きっぱりと廃止が求められています。また、制度を続ければ続けるほど保険料が値上がる仕組みのため、ただちに廃止を求めるのは当然です。老人保健制度に戻すと混乱が生じるという意見もありますが、昨年3月まで実施していたのですから、そんな心配はいりません。昨年5月の当時の民主党も含めた野党4党の参議院提出の廃止法案は、負担が増える場合は国が手当をすること、ただちに廃止して、いったん老人保健制度に戻すこととしています。廃止は新制度ができてからということは、先送りにほかなりません。新政権のとりくみを見極めるということでなく、ただちに廃止するよう積極的に後押しすることこそ求められています。請願は不採択でなく採択を主張します。
次は請願第102号年金引き上げ等を求める意見書提出の件についてです。
1999年の賃金スライド制凍結以来10年となりますが、年金だけで生活ができない高齢者が増え続けています。国民年金の受給者は900万人、平均年金額は月額4万6000円です。2万円や3万円の人もたくさんおられます。高い介護保険料や増税、医療費負担増などが高齢者のくらしを直撃しています。高齢者の貧困問題は社会問題であり、憲法25条の「生存権」を守る政治が強く求められています。 年金3%引き上げを緊急に求めることや、無年金者や低年金者に生活支援を求める願意は当然です。財源がないという意見がありますが、大企業、大資産家への減税、優遇税制を是正することや、軍事費を減らせば財源はあります。高齢者の年金引き上げ等の願いを真摯に受け止め、不採択でなく、採択を主張します。
次は請願第103号最低保障年金制度の創設等を求める意見書提出の件についてです。
第102号と同様に、1000万人もの低年金者、無年金者の存在は、日本社会が直面する大きな問題です。また、年金未納者が4割もあり、年収200万円以下が1000万人を超えるワーキングプアの問題も、今後さらに無年金者の増大につながります。最低保障年金制度の創設の必要性は、いまや共通の認識となりましたが、早期に実現することが必要です。また、財源に消費税の引き上げを検討することは、年金の少ない人ほど重い負担を負わせるもので、最低保障年金制度の主旨にもっともふさわしくありません。また、2004年の年金課税の改定で年金生活者は大増税となり、暮らしがいっそう大変になっています。2004年以前の税制に戻すとともに、大企業や大資産家への行き過ぎた減税を元にもどし、応分の負担を求めて財源を生み出し、消費税を増税しないことを求める願意は当然です。よって、請願は不採択でなく採択を求めます。
次は請願第104号介護保険制度の改善を求める意見書提出の件についてです。
保険料は上がるのに、受けるサービスは減らされる、まさに保険あって介護なしが介護保険制度だと批判の声が大きくなっています。そのようななか、今年4月、介護保険の積み立て金が全国で3800億円も残っているとの報道がされました。保険料はあがるのに、利用が少ないので積立金が増えているというのです。4月に改定された介護認定判定基準は、寝たきりの人を「自立」と判定するなど、実態と異なる認定基準で、介護認定を低くおさえる内容に改悪されました。介護給付費の抑制が目的だったことが、厚生労働省の内部文書で明らかとなるなか、先の総選挙で、このような社会保障削減路線に国民は怒りの審判をくだしました。保険料を引き下げ、必要な介護が安心して受けられるように、国が責任をもって国庫負担を増やし、介護保険制度を改善してほしいとの願意は当然です。財源がないとの意見もありますが、誰もが安心できる介護制度に見直すことは、高齢者の生活と権利を守るだけでなく、介護分野に新たな雇用を生み出し、内需を基調とした、経済発展につながるものです。よって本請願は不採択でなく、採択を求めます。
次に請願第105号高校授業料の無償化を来年度から実施することを求める意見書提出の件についてです。
授業料や入学金、学費が払えないこどもたちが増えています。親の経済的な理由で高校教育が受けられないというようなことがあってはなりません。新政権が高校授業料の無償化を打ち出しているもと、来年度からの実施を求める意見書を提出することは、政府に対して、いっそうの後押しとなります。世界では、高校の授業料の無償が大勢となっている今日、無償化に疑問だという意見は、国内でも、もはや時代おくれとなっています。請願は不採択でなく、採択を求めます。
次は請願第106号、高等学校と大学の授業料を段階的に無償化することを求める国際規約を今すぐ批准することを求める意見書提出の件 及び
請願第107号、 国際条約である国際人権規約のうち批准を留保しているA規約第13条第2項を批准することを求める意見書提出の件についてです。
貧困と格差が広がり、こどもたちへの影響が大きな問題となるなか、高等学校の授業料が払えず退学するなど、学びたくても学べない高校生がふえています。また、大学や専門学校への進学を希望しても、高い学費のために断念せざるをえない高校生も増え続けています。国際人権規約は、中等教育及び高等教育のぜんしん的無償化が定められ、世界は高等教育や大学、専門学校など教育の無償化が大きな流れとなっており、ヨーロッパ諸国ではおおむね実現しています。国連人権規約の中等・高等教育の漸進的無償化を批准していない国は、条約全体を批准していないアメリカを除いて締約国160カ国中、マダガスカルと日本だけとなっています。国は、中等・高等教育の漸進的無償化を求める国際人権規約を批准し、世界と呼応して、教育の無償化に向けて大きく具体的にすすむことが求められています。奨学金制度があり現実的に対応しているとの意見もありますが、授業料の無償化のうえに奨学金を給付制にしているのが世界の流れです。日本は大きく遅れているのです。よって、請願は不採択でなく、採択を求めます。
次に請願第4号 次期定数改善計画の策定・実施、義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書提出の件 及び 請願第5号 義務教育費国庫負担制度を堅持するとともに充実・発展させることを求める意見書提出の件 についてです。
義務教育費国庫負担制度は、全国すべての地域で必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることを目的にしています。しかし、国は国庫負担の範囲を縮小し、さらに「三位一体改革」のなかで、国庫負担率を2分の1から3分の1に削減しました。また、第8次教職員定数改善計画が策定されず、教員や子供たちなど教育現場に深刻な悪影響を与えています。このようななか、8月の総選挙で誕生した民主党中心の新政権は、国民の願いを受けて、教員数の拡充と少人数学級の推進の方針を打ち出しました。高校教育無償化の費用のために、国庫負担率のさらなる引き下げが検討されているという報道が一部にあるなかで、今請願は継続ではなく、採択することが強く求められます。
次に請願第15号 政務調査費の領収書の公開範囲拡大を求める件についてです。
政務調査費の使途を県民に1円から明確にすることは、税金である以上当然のことです。今や兵庫県は全国からみても遅れた県となり、和歌山県、茨城県と並んで全国ワースト3となっています。いつまでも継続にしておくことは、もはや許されません。採択すべきです。
次に請願第83号、第84号 裁判員制度の適切な実施に向けた諸条件の整備と取り調べの可視化を求める意見書提出の件 についてです。
本年5月より裁判員制度が始まりました。裁判員として参加しやすい環境の整備や、裁判員のこころのケアなど様々な諸条件の整備が求められています。また、17年半ぶりに釈放されました足利事件の管家利一さんの再審が先日から始まりましたが、取り調べにおける自白の強要が争点となっています。冤罪を生まないために、取り調べの全てを可視化することは不可欠です。請願は継続でなく、採択を求めます。
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