不要不急の公共事業の前倒しなどに反対
私は、今議会に上程中の議案15件のうち、第128号議案、第132号議案の2件に反対し、以下、その主な理由を申し述べます。
過大な高規格道路の建設に反対
まず、第132号議案、一般国道178号(余部道路)由良・間室トンネル建設工事請負契約変更の件についてです。
今回の契約変更は、当初想定していたよりも岩質がよかったので工法を変更したこと、鋼材の単品スライドを採用したことによるものです。
そもそも余部道路は、鳥取豊岡宮津自動車道の一部として、5.3キロを総額250億円もかける計画ですが、余部道路の道路区分は第1種第3級の自動車専用道路として2車線、設計速度80キロ、国の設計基準交通量では、一日1万台から2万台です。
ところが、余部道路の交通予測はわずか8100台で、道路区分の国基準にてらしても、過大な事業であることは明らかであり、一般道として整備すべきです。
県は、「高速道路6基幹軸」の日本海沿岸軸として位置づけているために、地域高規格道路として整備しているといいますが、はじめに地域高規格道路建設ありきで、国の基準に満たない交通量予測にもかかわらず、多額の費用を要する豪華な地域高規格道路として建設することは、過大な事業であり認められません。
県内1時間高速交通圏の確立を図ることを目的にした「高速道6基幹軸」そのものを見直すこと。また、兵庫県は、全国で北海道に次いで2番目に長い距離の高速道路を走らせており、道路建設関連の借金返済が公債費の約3割を占めるなど、県の財政を悪化させる大きな要因となっていることからも、コスト削減を含めた道路建設のあり方の見直しを早急におこなうべきです。
教育への不当な介入する基本計画
次に、第128号議案ひょうご教育創造プラン(兵庫県教育基本計画)を策定する件についてです。
2005年末、国民の広範な反対を押し切って、教育基本法が、行政が教育内容に介入する憲法に反したものに変えられました。本議案は、改悪された教育基本法にもとづき、県として「教育振興基本計画」を策定しようとするものです。
そもそも、教育とは人間の内面に深くかかわる崇高な営みであり、人生を左右するほどの影響力を持っています。しかし、教育内容には「これが絶対」というものはなく、子ども自身が教師との日々のふれあいや教材の中から自らの生き方を探り、選び取っていくものであり、特定の価値観を押し付けたり誘導すべきではありません。このことは、戦前・戦中の教育が大多数の国民を戦争へと駆り出し、日本だけでも310万人の犠牲者を出したという歴史から導き出された貴重な教訓でもあります。したがって、教育内容やその方法を行政が決めることは、教育の自主性を犯すものであり、地方自治体にとっては努力義務にすぎない「教育基本計画」を策定することに反対です。
国の「教育振興計画」は、こどもや学校間の競争をさらに激しくする「全国学力テスト」や、詰め込みすぎなどが懸念されている新学習指導要領の徹底など「学力」対策と、「愛国心」教育などこどもの心を鋳型にはめるような旧来型の「道徳」の押し付けですが、県の計画も同様の問題を持つものです。
こうした教育への不当な介入は、教育基本法が改悪されたもとでも憲法に違反するものであり許されません。最高裁でも、「国家介入については、できるだけ抑制的であることが要請される」と、法律や法令にもとづくものであっても、教育の不当な支配になる場合がありうるという判決が確定しています。
教育行政が行うべきは、教育条件の整備です。現在、日本の教育予算の水準は、OECD諸国の中で最低クラスであり、教育予算を抜本的に増やし、少人数学級の実現や高すぎる学費の問題などを早急にすすめることこそが切実に求められています。
なお、「教育基本計画」が基本計画条例に基づき議決対象とされましたが、このこと自身、教育内容に政治的介入を招くおそれがあることから、わが党は反対であることを表明し、討論を終わります。 |