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本会議 第300回本会議補正予算議案質疑 杉本ちさと
2009年5月27日

私は、日本共産党県会議員団を代表して補正予算案にたいする質問を行います。

県民の家計応援の真の経済対策を

■質問■ 5月20日、政府が2009年1月―3月期の国内総生産(GDP)は、年率換算で15.2%減と発表しました。 内需の落ち込みが主要な問題ですが、これは外需に依存した自動車や電機産業などの大企業が、景気悪化を口実に「派遣切り」「期間工切り」など大量解雇を強行したことが大きな原因です。失業率はさらに悪化し解雇は正社員にも広がっています。未曾有の景気悪化から国民を守るには、大企業に社会的責任を果たさせ、雇用破壊にストップをかける対策が必要です。そして、医療や介護や障害者福祉など社会保障の切り捨てをやめ、拡充に転換して、国民の懐をあたためる経済対策が必要です。しかし政府の総額15兆円の補正予算は、大企業に減税、ゼネコンへの大盤ぶるまいの一方で、生活関連では1回限り、1年限りのばらまきが殆どで、国民健康保険料の引き下げや後期高齢者医療制度の廃止など国民が切実に願っている対策にはなっていません。雇用対策においても、大本の雇用破壊をやめさせる派遣法の改正や社会保障費を削減する構造改革路線の転換はありません。しかも、与謝野財務相が「補正予算は相当な規模になるので、中期プログラムのなかで後々始末をつけていくのかということも考えなければいけない」と言っているように、経済対策のばらまきのツケも、消費税の増税で国民にまわすということが明らかです。このような政府の補正予算案を受けた兵庫県の補正予算もまた、基本的には国と同じ、内需の拡大につながるものとはいえません。 公共事業は前倒しですすめていますが、高速道路やダム建設,港湾建設、都市公園など大型公共事業を優先させ、緊急雇用対策でも新規雇用を1,497人創出する計画ですが、わずか半年間の雇用期間では全く一時しのぎに過ぎません。また、県は以前の「行革」で介護保険や障害福祉など福祉施設の職員の処遇改善費をなくしましたが、今回の補正で1人あたり1万5000円の賃上げが盛り込まれています。しかし、期間は3年間のみであり、将来の安心につながるものではありません。このように補正で一時的に補填しても、「県行革」を続けたままでは、県自らが景気回復の足をひっぱっているといわざるをえません。

今回の国・県の補正によって一時しのぎ対策にはなりますが、国の構造改革や、7月からの福祉医療改悪などの「県行革」路線は改めていません。その上、政府は巨額の借金の穴埋めを消費税増税でまかまうという姿勢です。このような立場でなく、県民の家計・ふところをあたためる真の経済・景気対策こそ、今回の補正予算に求められていると考えますが、知事はどのように考えておられるでしょうか。答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:まず、補正予算編成の考え方についてです。行財政構造改革についてもお触れになりました。行財政構造改革のとりくみは、大震災からの復興に伴う本県財政の改善を図り、今後の県民の要請に的確に対応できる持続可能な行財政構造を確立しようとするものです。改革を着実に実行していくことが県民生活の安定を確保し元気で安全安心な兵庫の実現の基本枠組みになると考えています。
この度の補正予算は現下の厳しい経済雇用情勢に的確に対応するとともに県民生活の安全安心を確保しようとするものです。国の経済危機対策で措置された公共投資臨時交付金や経済危機対策臨時交付金、補正予算債などの財源を最大限活用して有効需要の創出などの経済雇用対策の充実強化はもとより県内で発生した新型インフルエンザへの緊急的な対応など、健康福祉対策、安全安心確保対策、地域活性化対策に取り組もうとするものです。
特に、有効需要の創出では現下のデフレギャップに対応するため中小企業にも配慮して20年度補正予算とあわせ、前年並みで確保している事業量をさらに増額するとともに、上半期に可能な限り発注するなど、さらなる需要喚起を図ろうとしております。
雇用対策におきましても、就業機会の拡充に加え、生活資金の貸付や、住宅費用への支援、職業訓練の充実など総合的な対策を行おうとしております。
また、このたび積み立てた基金を財源として、介護職員の処遇改善などの介護対策、保育サービスの充実など子育て対策、自殺対策、消費者行政対策など、緊急性の高い事業について、2年から3年の期間に集中的かつ計画的にとりくもうとするものです。
今後の取り扱いについては制度的に継続できるように国に強く働きかけてまいります。
いずれにいたしましても、経済雇用対策など、県民生活のいっそうの向上をはかっていくことになると考えております。

私立高校生への支援を

■質問■ 経済危機は、高校生にも直撃しています。特に私立高校の生徒は大変です。経済的理由による退学者も全国で500人を超えているという調査もあります。
こうしたなかで、今回の補正では、授業料減免等事業基金をつくり、授業料減免や奨学金貸与の一定の拡充、私立学校の耐震化補助事業が盛り込まれました。
しかし、この制度も、3年間だけの措置であり、「貸与」の制度のままです。貸与の奨学金の返済滞納も各地で問題となっていますが、貧困の広がりや景気悪化のなかで、安定した就職につくことが困難になっているのが根本の原因です。欧米諸国では、学費は無償か安価で、奨学金も返還義務のない「給費制」が主流です。
また、私立学校の基本的な学校運営への支援である「経常費補助」について、兵庫県は、2000年の「行革」以降、一貫して県の補助を削減してきました。私学にたいする県の責任を果たしているとは言えません。
高校生、特に私立向けの「給付」の奨学金制度をつくることや、経常費などの私学助成の拡充を求めますが、いかがですか。

▼答弁▼井戸知事:続きまして私立学校生徒への支援の強化についてです。
本県では私立高校生の修学機会を確保するため、経済的理由で学費負担の困難な私立高校生を対象に、授業料の一部を給付する事業をすでに授業料軽減補助として行っています。
また、その充実にも努めています。今年度当初予算においては、経済雇用情勢の悪化に対応して、対前年度比8.4%増の12億1400万円の予算措置を講じています。この度の補正予算においても、対象者が増加することを想定し、緊急支援として基金交付金を原資とした8億円の基金造成を行い、支援の拡充を行います。
 なお、県教育委員会が実施しております奨学資金事業につきましては、授業料軽減補助とあわせて利用することができます。
 限られた原資の活用や、生徒自らの責任により返還するという自覚などの観点から、無利子での貸与制度としております。
 また、私立学校に対する経常費補助については、本県では過去から全国トップレベルの水準を維持しており、一人当たり補助単価は平成11年度32万3309円から平成21年度33万3755円と、1万446円増加しており、21年度での全国の順位は第10位と依然として高い水準を確保しているものと考えています。今後とも私立学校やその生徒に対する支援の充実をはかり、私立高校生の修学確保に努めてまいります。
私から以上お答えしました。

新型インフルエンザ対策について

■質問■ 療養されている皆さまに改めて心からお見舞いを申し上げます。
先週末、軽症者は自宅療養を基本とするなど国から新たな方針が出され、今週から学校等も再開されました。
この間の教訓も生かして、引き続き感染拡大防止に全力をあげ、県民だれもが安心できる医療・保健体制を築くとともに、県民の生活と営業の安定をはかることが重要です。
一般医療機関が発熱外来に協力することになりましたが、抗インフルエンザ薬、マスク・ゴーグル・ガウンなど感染防護装置の確保や、診察スペースを分けたり、スタッフを増員するための費用など、充分な支援が必要です。
また、発熱相談センターとなった健康福祉事務所では、職員が徹夜で相談を受け、仮眠もせずにそのまま翌日の勤務につくという状況がありました。県は2005年に26箇所あった健康福祉事務所の一部を地域事務所として機能縮小し、さらに、今回の行革で事務所数を14箇所に減らしましたが、今回の新型インフルエンザの経験からも、地域の保健衛生の最前線、拠点としての機能を強化すべきです。国の構造改革や県行革で弱体化している保健・医療体制を見直していく必要があります。

課題は山積していますが、2点お聞きします。
今回の新型インフルエンザは早めの治療がカギだといわれています。
これまでも指摘してきましたが、高すぎる保険料を払えずに保険証を取り上げられている人が増大しています。保険証がないことや、医療費を心配して受診をがまんすれば、重症化や死亡に至ったり、感染が拡大することにもなりかねません。
 国によって、資格証明書でも3割で受診できる措置がとられていますが、発熱外来だけでなく一般医療機関でも適用されるようにすべきです。
堺市が実施したように資格証明書発行世帯に保険証を発行するよう市町に要請するとともに、自己負担金が払えないために受診抑制をまねくことのないよう、一部負担金の軽減・免除を行うべきだと思いますがいかがですか。
2点目に、社会活動の制限にともなう対策に関してです。この間、県民の生活と営業が受けた影響はたいへん大きく、施設等の休業による減収や、休職を余儀なくされた労働者が首になったり減収になったりするなど不利益が生じたり、風評による営業への打撃などがおこっています。影響を調査し、損失補てんや支援策を講じることが大切になっています。
なかでも福祉施設が受けた影響は深刻で、ある障害者の通所施設では、障害者自立支援法で報酬が日額制になっているため、この1週間で400万円の減収となり、経営危機に陥っているといいます。
県は、損失補てんを国に求めていますが、緊急に県として制度をつくるべきです。答弁を求めます。

▼答弁▼久保健康福祉部長:私から新型インフルエンザ対策につきまして2点ご答弁申し上げます。
 まず、医療費の自己負担額の軽減免除についてであります。国民健康保険の被保険者資格証明書の交付を受けた方につきましては、医療機関で受診した際には、医療費の全額を支払っていただくことになっていますが、今般の新型インフルエンザに係る発熱外来の受診に当たっては、当該非保険者資格証明書を被保険者証とみなして取り扱う旨厚生労働省から示されたところであります。
したがいまして、被保険者証の交付を受けていなくても、医療費の全額ではなく医療保険各法に規定されている一部負担割合で受診できる取り扱いとされています。また、入院に係る自己負担は感染症法の規定に基づき、原則無料となっています。
本県では、発熱外来で対応しきれない場合は、基礎疾患のある方をのぞきまして、発熱相談センターから案内された一般医療機関であっても発熱外来と見なして同様の取り扱いをすることといたしております。県といたしましては、市町のほか、関係機関に対し、これらの取り扱いにかかる周知をはかるとともに、適切な対応を行うよう助言しているところであります。
次に、福祉施設に対する損失補てん制度の創設についてであります。
今回の休業に伴い、報酬が日払い方式である障害福祉サービス事業所や、高齢者通所介護事業所等において、減収が生じてきており、現在その実態の把握に努めているところでございます。
また、県としては、福祉施設において生じる特別な損失に対しては、補償制度を創設するなど適切な措置を講ずるよう国に要望しているところでもあります。
今回の新型インフルエンザに伴う休業措置は、本県にとどまらず、どこの都道府県においても発生しうるものであり、今後の発生に備えるためにも、将来にわたるしくみとして全国的な対応が必要であることから国の対応をひきつづき求めていきたい、このように考えているところでございます。

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