年金・介護保険の改善、後期高齢者医療制度の廃止を求める請願採択を
私は、日本共産党議員団を代表し、請願第88号、第89号、第90号は不採択ではなく採択を、請願第4号、第5号、第15号、第83号、第84号は継続ではなく採択を求め、討論を行います。
請願第88号「物価に見合う年金引き上げを求める意見書提出の件」についてです。
2004年の年金制度改定によって導入されたマクロ経済スライドとは、賃金または物価が上昇しても「調整率」(2025年までの平均で0.9l)を差し引いた残りの率しか年金を引き上げない仕組みのことで、物価が1%上昇した場合でも、年金は0.1lしかあがりません。
つまり、年金は改定のたびに、事実上引き下げられることになり、年金だけを頼りにしている高齢者にとっては、ますます苦しい生活を強いられることになります。
わが党は、特に今議会で「外需中心から内需主導の経済へ」と主張してまいりました。経済危機脱出のためには購買力の強化がまず必要であることから考えても、少なくとも物価に見合った年金の引き上げと無年金・低年金者への「生活支援金」の支給を求める、本請願に賛同するものです。
よって、不採択ではなく、採択を求めます。
請願第89号「後期高齢者医療制度の廃止等を求める意見書提出の件」についてです。
後期高齢者医療制度が実施されてから1年になりますが、その間、高齢者の怒りは収まるどころか、ますます拡大しています。医療費の限度額を月6000円とする医療包括制や短期入院で在宅介護を推進したり、応益割によって所得ゼロの人でも保険料を負担しなければならないなど、多くの問題点が明らかになりました。
このような中で、年金天引きでない普通徴収の保険料未納者はすでに1割にも達しています。厚生労働省は「一律に保険証を取り上げることはしない」とは言っておりますが、無保険者が出てくることは必至で、病院に行きたくても行けず、病気が重症化する人が出ることも十分予想できます。
全国自治体の3割が国に意見書を上げ、政府も何度か修正をしてきましたが、この後期高齢者医療制度は廃止しかないというのが大方の国民の意思であることは明白であり、制度の廃止とともに、制度存続の間は国民の負担を最大限引き下げるよう、意見書を国に提出すべきです。
よって、本請願は不採択ではなく、採択を求めます。
請願第90号「介護保険制度の改善を求める意見書提出の件」についてです。
介護保険制度は来年度が見直しの年にあたっており、すでに改悪されることが予想されています。これまで、介護保険料も利用料も引き上げられ、サービスは後退してきました。
今回の第4期事業計画でも要介護認定方式が大きく変えられます。例えば、重度の寝たきりで移乗・移動の機会がない人が、介助されていないと見なされるなど、要介護認定度が引き下げられ、サービスが減らされることになります。
一方、介護労働者の労働実態はひどく、44%が離職する状況で人手不足は深刻です。今回の「報酬3%アップ」では実態はほとんど良くなりません。高齢社会が進むなかで、介護を受ける人も介護をする人も、ともに安心して暮らせる制度にしていくためには、介護保険制度導入時に、介護にかかわる費用が引き下げられた国庫負担を引き上げることが必要です。
よって、本請願は不採択ではなく、採択を求めます。
請願第4号「次期定数改善計画の策定・実施、義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書提出の件」及び第5号「義務教育費国庫負担制度を堅持するとともに充実・発展させることを求める意見書提出の件」についてです。
政府は第8次教職員定数改善計画の策定もせず、国庫負担金の負担割合を2分の1から3分の1に引き下げ、さらに縮小・廃止を検討しています。
この国庫負担制度を縮小・廃止することは、教育に対する国の責任の放棄であり、戦後教育の根幹である「教育の機会均等」の理念を崩し、教育に格差を持ち込むことになります。自治体や保護者の経済的条件によって教育に差がついてはなりません。
文部科学省は、2009年度から小・中学校で授業時間を増やし、その措置として非常勤講師を2万人増やすことにしています。しかし、全校に配置されるわけではなく、学校現場では非常勤講師ばかり増え、正規の教職員はますます多忙になっています。このような状況は、子どもたちにとっても決してよいことではありません。
将来を担う子どもたちが、落ち着いた環境で等しく確かな学力をつけるためには、国が責任を果たさなければならないことは明らかです。そのためには、定数改善の実施で正規の教職員こそ増やすべきです。「もっと少人数学級を進めてほしい」という県民の声に応えるためにも、県議会として国に意見書を上げることが求められています。よって、継続ではなく、採択を求めます。
請願第15号「政務調査費の領収書の公開範囲拡大を求める件」についてです。
本請願が議会に提出されてから7回目の議会になりますが、この間、全面公開を決めた自治体は6割に達しています。今や、政務調査費の領収書添付・公開は、県民感情からみれば当然のことであることは明白です。ましてや、「公開範囲拡大」というのは厳しいものとは言えませんし、充分合意できるものです。政務調査費は県民のみなさんの大事な税金が原資であることから、継続ではなく是非とも採択を求めます。
請願第83号、第84号「裁判員制度の適切な実施に向けた諸条件の整備と取り調べの可視化を求める意見書提出の件」についてです。
いよいよこの5月から裁判員制度が実施されますが、精神的・物理的な条件が整っていないこともあって、今に至ってもなお拒否を表明している人がいるという報道もありました。
出頭が最低でも3〜5日必要で、原則として拒否できないのに、その期間が公休扱いになるかどうかは不明です。また、守秘義務に罰則があったり、殺人や放火といった重大事件を扱うことから生ずる大きな精神的負担へのケアが未確認であることも問題です。何よりも、短期間の審理であることから、冤罪を生まないためには、捜査全過程の可視化は勿論のこと、検察手持ち証拠の事前全面開示、公判前整理手続きの開示も必要です。5月実施が迫っていることから、継続ではなく採択を求めます。
以上、各議員のご賛同を期待致しまして、討論を終わります。 |