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本会議 第298回本会議補正質問 ねりき恵子
2009年1月30日

派遣切りストップと対策強化

■質問■ 日本共産党県会議員団を代表し、今回提案された補正予算について、以下、質問をいたします。
 アメリカの金融危機に端を発した景気悪化は深刻さを増し、日本政策金融公庫神戸支店の調査でも、県内の中小企業の2008年10〜12月期の業況判断指数はマイナス35になり、さらに今年1〜3月期は、データが残る81年以降過去最悪の水準となることが予想されるなど非常に厳しい状況です。
このような中、麻生内閣は、国民からきびしい批判をあびている定額給付金や大銀行の救済を含む第二次補正予算を編成しましたが、政府がすすめた労働法制の規制緩和などで「非正規切り」が生み出されたという「政治災害」であるにもかかわらず、その責任と反省は一切言及されず、雇用や景気対策の抜本的な手立てが示されていません。
いま、派遣社員や期間社員などの非正規労働者を大量に解雇する「派遣切り」「雇い止め」が横行し、働く場所も住む場所も失うという深刻な事態が広がっています。
 県下でも、パナソニックプラズマデイスプレイ社で今月末の雇い止めが数百人に上るとされ、日立と三菱の合弁会社であるルネサステクノロジは、グループ全体の派遣社員1000人を今年3月までに削減、新明和工業でもすでに150人の派遣社員が解雇され、さらに正社員100人と派遣社員150人を削減するといわれています。また、先日もNECトーキン宍粟工場の閉鎖が発表されるなど、大量の失業者がつくられようとしています。
雇用対策には、まず失業者を出さないこと。企業に派遣や期間工の雇い止めをやめさせることが必要です。

 企業の責任を問う声もひろがっています。12月23日付け「東京新聞」が「当の企業が“知らんぷり”を決め込むつもりか」と書き、3月号の雑誌「ボス」では、東レ名誉会長が、労働法制の行き過ぎた規制緩和や安易な首切りに走る大企業を批判し、「アメリカナイズされたやり方で、すぐに人員削減などに踏み切ると、さらに不況が深刻になる」と述べています。
 日本の企業は「減益」だ「赤字」だと言っていますが、明日にでもつぶれるような状況ではなく、大手企業のほとんどが、株主に巨額の配当を続け、膨大な内部留保を持っています。ほんの一部、たとえば大手自動車7社と電機・精密9社の内部留保33兆円の0.2%を取り崩すだけで、計画している4万人の人員削減をしなくても済むのです。
 県民の雇用を守るため、県が企業に対して、大量解雇を未然に防止することを求めた厚生労働省通達も示し、あらためて非正規雇用や期間工などの雇い止めをやめるよう強くはたらきかけることが、兵庫県の姿勢として、切実に求められています。なかでも、県の補助金を受けた企業には、特別に強くせまるべきです。

 また、年末年始には、NPOなど市民団体や労働組合などの懸命な努力でつくられた「派遣村」は、「命をつなぎ生存権を保障する貴いものだった」と、その活動が注目を浴びました。こうした活動は本来行政の責任で行うべきものです。
今後「派遣切り」や「雇い止め」の発生に伴い予想される生活困窮者、住宅困窮者のためのセーフティーネットを行政としてつくることが重要です。たとえば東京都では、生活保護の活用について、失業者の「路上生活を未然に防止」すべきであり、「居住地を失う前に、適切に生活保護を適用」するよう求めた通知を、各福祉事務所にだしており、この内容を各地方自治体に徹底するよう求めたわが党の国会質問に対し、舛添厚生大臣も「国の責任において憲法25条に定められた、国民の文化的で最低の生活を守っていくことだ。周知徹底したい。」と答弁しているところです。兵庫県としても、このような運用が求められます。

 派遣・期間工を雇い止めしている企業に対し、雇用維持の社会的責任を果たす立場で、ハッキリとものを言うかどうか。そして、失業者を路頭に迷わせないためのセーフティーネットをしっかりとつくること。生活や仕事、緊急避難の場所も含めた住宅相談など、困っているすべてのことが相談できる体制、窓口をつくって、生活保護の運用を含めて、県民を守るための万全の対策を講じるべきだと考えますが、補正予算を編成する上で、知事の基本的な考え方、姿勢について、答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事: 今回の補正予算の編成にあたりましては、契約期間満了や中途解除による非正規労働者の失業が急増するなど、いっそう厳しさをましている現下の雇用情勢も受けまして、国の第二次補正予算を活用しながら、本県として迅速かつ機動的に事業執行できるように整えたものです。非正規労働者の雇用の維持・安定については、すでに産業集積条例にもとづく雇用補助を受けた41企業に対し、正社員への登用を要請するとともに、主要経済団体に対しても、派遣労働者の直接雇用化を強く要請しています。年始におきましても、私から直に要請をした会社もあります。さらに今後とも状況に応じ、働きかけてまいります。
 生活相談の窓口においては、兵庫しごと情報広場を拠点として、総合的な就職相談を行っております。住宅等の生活相談においても、県民総合相談センターや兵庫労働局とも連携をはかることにより、的確に対応してまいります。さらに生きがい仕事サポートセンターを運営する6つのNPO法人の企画運営により、緊急・就業・企業合同相談の開催なども計画されている。セーフティーネットの確立につきましては、離職者生活安定資金融資制度におきまして、今回上限50万円の連帯保証人不要の緊急特別資金を創設いたしました。また一般生活資金の融資利率をこれまでの1.6%から1.0%に大幅に引き下げるなど、制度の充実を図っています。
 なお、失業等を原因とする生活困窮者への生活保護制度の適用については、従前から、単に住居の場所がないことや、稼動能力があることのみをもって判断することなく、相談者個々の状況から保護の必要性を判断しているところですが、今後とも指導を徹底してまいります。
 今後とも、予断を許さない諸情勢を見極めながら、経済・雇用の確保と生活の安定のために、機動的に対応してまいります。

銀行の貸し渋りをやめさせ、借換融資制度の延長を

■質問■ つぎに、中小企業制度資金貸付金についてです。
今回の補正で、中小企業の資金需要の増加に迅速に対応するためとして融資目標額の増額と経営円滑化貸付については融資期間の延長がはかられたことは評価するものです。
借り換え貸付については、わたしたちは、2003年の制度創設以前から、繰り返し実現を求め、その後も、他府県なみに融資期間の延長などの拡充を求めて、当初の5年から7年に延長されてきたところです。このたびの補正では、期間延長されず7年のままです。知事は、先の記者会見で「7年のままで対応できると判断している」といわれましたが、中小企業にとって、きわめて厳しい年度末を乗り越えるために、今回の補正予算の機会に、融資期間の延長と、据え置き期間を行い、月々の返済額をより少なくするなど、資金繰りを支援すべきではないでしょうか。
また、せっかくの制度融資が、銀行の貸し渋りにあって融資が受けられない事態も生まれており、一刻も早く是正が求められます。
神戸市内のある業者が、従来から取引のある三井住友銀行に信用保証付の融資を申し込みにいったところ、「決算2期以上の実績がないと受け付けない」と融資を断られました。この件だけでなく、県内の複数の金融機関で、制度融資の条件に全くないことを理由に融資を断っている、貸し渋りの事態が生まれています。せっかくの制度融資の拡充もこれでは実効あるものになりません。
中小企業がこの深刻な不況をのりこえられるよう、県として最大限の支援が必要であり、そのためにも借り換え融資制度の借換期間の延長と貸し渋りをしないよう金融機関への厳しい指導を求めるものです。ご答弁ください。

▼答弁▼中村産業労働部長: きびしい経営環境にあります中小企業の円滑な資金繰りのために、既往の融資の返済負担軽減も重要でございます。県では今回、借換貸付の融資限度額を5000万円から1億円に引き上げたところです。また借換貸付の融資期間を7年のままにした理由は、借換貸付を利用される事業者は、すでに他の融資を借りて期間が経過した方でございまして、7年以内でも当初の融資の期間を勘案すれば、実質の返済期間は7年以上となるためです。なお、借換貸付の融資期間の延長、据え置き期間の設置につきましては、すでに検討を行っておりますが、今後の資金需要や経済情勢を踏まえて、さらなる措置の必要性を判断してまいりたいと考えています。
 いわゆる「貸し渋り」につきましては、金融機関に対しまして、積極的な融資と柔軟な対応を要請してきた。特に経営円滑化貸付につきましては、昨年10月31日の緊急保証制度開始以来、融資実績が1200億円と昨年同期の15倍に達し、中小企業者に幅広く活用されている。金融機関にたいしましては、財務状況が貸し付けの前提であるとしましても、決算2期以上の実績といったものが要件となっておりませんので、今後とも制度融資の趣旨・目的を踏まえた適切な対応を要請してまいりたいと考えています。

■再質問■ 制度融資についてお答えがあったが、わたしたちも以前から借換融資については、せめて10年の多府県並みにしてほしいと要望してまいりました。この機会ですので、ぜひ延長を。貸し渋り対策についても、実際にこのような事案が生まれていますので、ぜひ現状も把握していただいて、貸し渋りが起きないように、再度求めるものですが、知事のご答弁をお願いします。

▼答弁▼井戸知事: 借換貸付の期間につきましては、本資金の期間が前提となっての借換ですので、7年が適当なのではないか、という判断をしておりますが、よく実態を見極めてさらに検討を加えてまいります。また、貸し渋り等の実態把握をつとめまして、資金需要に的確にこたえられるように協力を求め、指導してまいります。

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