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本会議 第297回本会議議案討論 星原さちよ
2008年12月16日

 私は、日本共産党県会議員団を代表し、第108号議案、第113号議案、第114号議案、第120号及び第121号議案の5件について、反対の立場から討論を行います。

第108号「本人確認情報の提供、利用及び保護に関する条例の一部を改正する条例制定の件」について

 わが党は、住民基本台帳ネットについては、そもそも国による一元的な個人管理・監視につながる重大な問題があり、反対してきました。がん・結核・肝炎など重大な疾病対策のために、患者の住所確認を早急にとることは必要ですが、「住民票コード」が、医療、福祉、納税、治安など、あらゆる情報を管理するシステムに連結される可能性が避けられず、そうなればプライバシーの漏洩・侵害は計り知れません。疾病情報は住基ネット上には残らないと言いますが、行政側にはその情報が蓄積され、住民番号でネットワーク化される懸念は充分にあります。
 現に、市民団体から公開質問状や陳情が出され、医師会からも「住基ネットのためにする患者情報の利用」であり、「納得できるものではない」と、文書で各会派に要請がありました。
 病歴という高度なプライバシーにかかわる問題であり、反対です。

第113号議案「第3次兵庫県環境基本計画を策定する件」について 

 本議案に反対する最大の理由は、温室効果ガスを2050年までに現状比で60〜80%の削減が必要との国の方針を示しているだけで、中期目標がなく、総排出量の8割を占める産業界の削減については、あくまでも「自主目標」としている点にあります。
 国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告書によると、長期目標とともに「2020年までに25〜40%削減する」中期目標が重視されています。京都議定書で公約した、2012年までに1990年比で温室効果ガスを6%削減するという目標に対して、逆に6.4%も増加している現状をみれば、企業に中期目標を義務付けることは、まさに地球温暖化防止のカギと言えます。
 先のIPCCの報告によれば、産業革命以前に比べて平均気温が2度以上上昇すると、土壌からの二酸化炭素やメタンガスの発生が加速し、水温の上昇によってさらに大幅な温度上昇が起き、二度と元に戻れない状況になるといわれています。私たちの予想を遥かに超えるスピードで進行しつつある温暖化の抑制に、今真剣に取り組まなければ、人類の生存を脅かす破局は避けられません。
 なお、排出量取引制度は導入すべきですが、中期目標の設定と各事業所への義務づけをしなければ、その効果を期待することは出来ません。中期目標も示せない日本は、「気候行動ネットワーク」から「化石賞」という不名誉な賞を送られました。不名誉なことで国に追随するのではなく、産業界に対して県として毅然とした姿勢を示すべきです。
 その他、「生活ごみの有料化の促進」については、効果があるとはいえず、浮遊粒子状物質の測定、瀬戸内の環境対策など不十分なものがあることから、本議案には反対です。

第114号議案「兵庫県国土利用計画を変更する件」について

 今回の計画は、減災の考え方や、自然環境の再生とか、都市部の土地利用については開発を抑制するなど、積極面も入っていますが、六甲山系の南側市街地に面する斜面1600ヘクタールで、六甲グリーンベルト事業をすすめる計画や、これまですでに1500億円をこえる事業費を投入し、3万人の都市を造る計画だったのに、今にいたってもわずか1700名の住民しか居住せず、計画倒れとなっている播磨科学公園都市のまちづくりを引き続いて推進する計画となっています。
 さらには、「つくる」から「つかう」といいながら、新名神高速道路や多額の税金を投入する高規格の余部道路や東浜居組道路などを含む鳥取豊岡宮津自動車道など問題のある計画が数値目標に盛り込まれ、既存の大型開発計画がすすめられる内容となっており、賛成できません。
 さらに、農用地は、6,590ヘクタール、8.5%が減少する計画で、国に追随して農用地の利用集積を図ろうとしています。しかし、今求められていることは、食の安全や食糧自給率の向上であり、農業を兵庫県の基幹産業に位置づけて農業の再生をすすめることです。農用地の削減はすべきではありません。
 これまでの大型開発計画優先の土地利用が、県の財政を悪化させ借金を膨らませた大きな原因です。このことを真摯に反省し、今後の土地利用計画策定にあたっては、県民の生活、福祉の向上に重点をおき、中小企業や農漁業の振興などを柱にすえた県土の均衡ある発展と国土の環境の保全を図ることを重視した計画にするよう、再検討を求めます。

 第120号議案及び第121号議案「公の施設の指定管理者の指定の件」について

 明石西公園も三木山森林公園も施設の利用料金制度があり、指定管理者が利用料金を1.5倍まで引き上げることができる仕組みとなっていますが、県立で税金で運営されているにもかかわらず、議会のチェックができません。よって、本議案には賛成できません。
 また、明石西公園の選定にあたっては、管理者に決まった園芸・公園協会は、他の応募者とは最終審査で指定管理料金を低い金額を示して、評価値で逆転して指定された経緯となっています。経費削減の工夫の主因が人件費だということですが、労働者に過大な負担や安すぎる賃金をおしつけることのないように、県として注視しておくことを求めておきたいと思います。

 なお、第116号及び第117号議案「出訴の件」については賛成をいたしますが、納税は納税者が自主的に行うことが原則であることを忘れてはなりません。したがって、今回のように、多重債務者本人に代わって、県が相手方に不当利得返還請求をする場合、滞納税を回収することのみを目的とするのではなく、生活創造センター等と連携して、その後の本人の生活が立ち行くようにきめ細かな援助をしていく必要があります。
 最後にこのことを指摘しまして、議案に対する私の反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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