県民に痛みを押しつけ、県民生活を犠牲にする「新行革プラン」
わたしは、日本共産党県会議員団を代表して、認第1号、認第3号ないし認第5号、認第12号、認第15号ないし認第18号、認第20号の決算認定議案と、第101号議案の計11件について反対の立場から討論をいたします。
まず、認第1号議案「平成19年度兵庫県一般会計歳入歳出決算認定の件」についてです。県は昨年9月突然、620億円の歳入欠陥におちいるおそれが生じたと発表し、事務的経費の節減や執行留保、翌年以降への繰り延べなどでやりくりしました。原因のひとつに総務省の地方債の発行抑制方針をあげていますが、県は少なくとも通知がでた3月末の時点でわかっていたはずにもかかわらず、県民には公表せず、9月になって、財政難で大変だと強調して、事務事業の3割カットや職員給与の引き下げ、人員3割カットなど、一気に今後10年間に1兆2000億円の収支不足を補う新行革プラン策定へとつきすすみました。県民は、定率減税の廃止など大増税が強行され、生活も営業もやっていけないと悲鳴があがっています。この上に、いっそうの痛みを押しつけ、県民生活を犠牲にする新行革プランに明るい未来を展望することはできません。
一方で、至上空前の利益をあげた大企業には減税が続けられ、大企業優遇の国に追随した県政がすすめられるなか、格差と貧困はさらに拡大しています。
県民のなかに、高い国民健康保険料が払えず、無保険になっている家庭のこどもが781人いることも明らかになりました。こどもたちが必要な医療が受けられていない問題があるにもかかわらず、県は無保険のこどもたちへの保険証交付を不公平になると拒否をしました。なんと冷たい県政でしょうか。こどもの健全な育成に責任をもつ県の役割を放棄しているといわざるをえません。また、応益負担で障害者は苦しめられているのに、県の支援はあまりにも不十分です。一方で、松下電器など大企業立地補助に約26億円も出しているのは、支援する相手がまちがっているのではないでしょうか。農業でも、国の施策どおりに、小規模農家を切り捨て、コメの輸入を続けながら、生産調整をすすめています。食の安全がこれだけ問題となっているときに、農業費は「コメ」改革前の4割しかなく、食料自給率の向上に向けて基幹産業として農業を振興するものとなっていません。
財政難といいながらも、総事業費が6千億円以上はするといわれている播磨臨海道路建設をすすめるための調査費をはじめ新名神高速道路建設、神戸空港や但馬空港関連事業、など高速道路や空港、ダムなど不要不急の大型公共事業は相変わらず目白押しです。身近な生活道路や河川改修など県民の安全を守り、地元中小建設業者の仕事となる公共事業に軸足を移すことこそ求められています。
また、衛生看護学院の授業料の値上げや、高校の授業料の値上げは高い教育費の軽減を願う県民の声に逆行しています。また、高校改革による再編や学区拡大、総選制廃止等は、競争をいっそうあおり、学校間格差をさらに拡大することになり認められません。
次に認第3号「平成19年度兵庫県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算認定の件」について、姫路の広畑港は、122億円もかけて埠頭を建設しましたが、船の入港数は3年間で平均して月に2.6隻しかありません。このような船があまり入ってこない埠頭にさらに税金を投入して整備する必要があるのか疑問です。
認第4号、「平成19年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計歳入歳出決算認定の件」は、宝塚新都市用地や小野市山田地区、市場地区など、長年利用もされず放置された塩漬け土地を買い戻した借金の償還ですが、見通しのない大規模開発のために先行取得した、県自身の開発行政の失敗によるものであり、その責任も明確にせず、県民にツケを押しつけるのは認められません。
認第5号「平成19年度兵庫県県営住宅事業特別会計歳入歳出決算認定の件」は、県営住宅を6団地、建て替えましたが、戸数が678戸から、654戸に減らしています。県営住宅の建設は県民の根強い要望であり、増やすことが求められているところを減らすのは反対です。
認第12号「平成19年度兵庫県産業開発資金特別会計歳入歳出決算認定の件」は、地域改善対策高度化資金において1組合1億3000万円の未償還金を不能欠損処理するものが含まれていますが、県民に説明と納得がえられるためには透明性が必要です。一定の透明性が必要であり、県民には説明と納得がえられることが重要です。
認第15号「平成19年度兵庫県病院事業会計決算認定の件」は、県立病院の基本方向に基づいて、平成19年4月から塚口病院の呼吸器と脳神経外科が廃止され、尼崎病院に移されたため、塚口病院の診療機能が県の責任で低下させられました。県は、新行革プランで塚口病院と尼崎病院の統合・再編案を打ち出しましたが診療機能が充実される保障はありません。塚口病院の存続を求める署名が約7万8000筆が集まり、住民の願いが県議会にも寄せられるなど県立病院の地域での役割が強く求められています。東京都でも、妊婦が7病院に断られて死亡する事故がおこりましたが、産科や小児科、周産期医療など塚口病院がもつ機能を充実することこそ求められています。県立病院の公的な役割を後退させることは認められません。
認第16号「平成19年度兵庫県水道用水供給事業会計決算認定の件」は、神谷ダムなど過大な施設整備を行い、水需要は供給体制の半分しかなく大幅な水余りとなって、そのツケを県民と市町に2部料金制で高い県水として押しつけているのは認められません。
認第17号「平成19年度兵庫県工業用水事業会計決算認定の件」は、工業用水は極めて安く、なかでも新日鐵などの揖保川第1工業用水は1トンあたり4円30銭と破格の安い料金で水を企業に供給しています。自前で配管を整備しているからという理由ですが、昭和33年の料金が2円20銭でしたので、この50年間に2円10銭しか値上げがされてきませんでした。これをみても、大変に優遇されていると指摘せざるをえません。
認第18号「平成19年度兵庫県電気事業会計決算認定の件」は、売電単価が9円60銭と安すぎるため、これまでと同様に反対です。
認第20号「平成19年度兵庫県地域整備事業会計決算認定の件」は、(株)夢舞台は債務超過のために5年前にホテルを131億円で企業庁が買取り、リースバック方式で損失補填をしているのに、さらに今回、特別損失と財政支援を32億5000万円もしました。(株)おのころ愛ランドも前年に15億95百万円の損失補填がされ、さらに今回、18億78百万円の債権放棄で損失補填をしました。もともと県がすべき事業かどうかも疑問です。このような損失を出した責任も明確にされず、繰り返して損失補填することは県民の理解はえられません。
次は補正予算議案についてです。
第101号議案「平成20年度兵庫県一般会計補正予算(第2号)」の件です。
一般国道178号 余部道路建設は、間室トンネルの西、由良高架橋の東の部分の山を削る土工工事で来年度工事予定のものを前倒ししてすすめるというものですが、そもそもこの余部道路は、5.3キロを250億円もかけて自動車専用の高規格道路を建設しているものですが、交通予測も8100台で、現在の6880台とあまり変わりません。多額の税金投入の過大な事業であり、一般道のバイパス方式で充分です。この上に補正予算まで入れて、すすめることには賛成できません。
また、国直轄事業負担金については、本来、国直轄事業は、国の負担で行うべきであり、6億2900万円の県負担はすべきでないと考えるため、反対です。
さらに、歳入に関して、道路特定財源の地方「減収」分の臨時交付金については、暫定税率の廃止と道路特定財源の一般財源化を求める世論が大きく広がるなかで、政府は「一般財源化」を閣議決定しています。したがって、地方への補填は、使途を限定しない一般財源として交付すべきであり、道路特定財源に固執することは認められません。 |