私は、日本共産党県議団を代表して、議案第69号、第71号に反対し、以下その理由をもうしのべます。
ガソリン暫定税、金持ち優遇税制に反対
議案第69号、兵庫県税条例の一部を改正する条例制定の件についてです。
まず、地方税法改正にともなうものについてですが、反対の理由の第一は、自動車税、自動車取得税及び軽油引取税の暫定税率を十年間延長するものとなっていることです。
10年間で59兆円をつぎ込む道路中期計画は、総額先にありきで、高速道路中心の道路計画をさらに進めるものです。こうした高速道路中心の道路整備が、地方自治体に借金を押しつけ、財政難に拍車をかけてきました。道路にしか使えない道路特定財源を一般財源化し、道路だけでなく、福祉や医療、教育にも使えるように改善すべきです。道路特定財源の仕組みをそのままにして、暫定税率を延長することは認められません。
第二に、上場株式等の配当・譲渡益の軽減税率を限定付きとはいえ延長していることです。本則税率20%のところを2003年から軽減され10%となっています。この軽減措置について「高額所得者優遇」だという批判を受け、2008年度末で廃止されるものです。にもかかわらず、経過措置で一部の減税を残すのは認められません。
第三に、上場株式等の譲渡損失と配当所得との損益を通算可能とする特例を創設したことです。
金融所得に対する分離課税20%は、もともと所得税の累進課税に比べて税率が有利になっており、今回の改正でも損益通算の上限はもうけられておらず、金融資産を持つ富裕層に対する優遇を、さらに広げるものであり反対です。
消費税引き上げの橋渡しの地方法人特別税
もうひとつは、地方法人特別税の創設に伴う改正についてです。
これは、都道府県間の税の「偏在是正」として、法人事業税の二分の一、2兆6000億円程度を国税化し、都道府県にあらためて地方法人特別譲与税として再配分するという、暫定措置がとられるもので、国から地方への税源移譲に逆行するものです。
この措置により、東京都と愛知県の税収減少分が地方交付税の総額の縮小となり、地方全体でみると、税収増になる道府県も交付税の減額を伴うので、地方税と交付税の総額は基本的には増えません。むしろ、5兆1000億円も削減された地方交付税の回復こそすべきです。
さらに、地方税制の改正計画の説明では、「税制の抜本的な改革において偏在制の小さい地方税体系の構築が行われるまでの暫定措置」と位置づけられており、国税となる地方法人特別税額2兆6000億円は、消費税1%に相当するもので、将来の消費税引き上げへの橋渡しとみられ、認めることはできません。
国民健康保険調整交付金条例の改正の問題点
次に、議案71号、国民健康保険調整交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例制定の件についてです。
今回の改正は、後期高齢者医療制度の導入を決めた医療構造改革に関連するものです。
「国民の老後における健康の保持」を明記していた老人保健法を廃止し、「医療費の適正化」を中心にすえた「高齢者医療確保法」の制定によって後期高齢者医療制度がつくられ、国保や政管健保、健保組合の負担区分が変更となって、関連する国民健康保険の政令がかわり、条例の改正が必要となったものです。
政府は、これらの改定を「世代間の負担の公平」と言ってすすめていますが、その内容は、これまで国庫負担の削減などで苦しめてきた国保財政などを抜本的に立て直すのではなく、高齢者を年齢で区分し、差別医療を導入するなどの医療費抑制を行い、その負担は、高齢者をはじめ、現役世代を含めたすべての世代に押し付けるもので、国民から猛反発を受けています。
もともと私たちは、国保の「調整交付金制度」について、収納率の低い自治体にたいし、ペナルティーとして交付金を減額する仕組みに反対してきました。その後、都道府県に移された交付金は、県が県下自治体の配分を決めていますが、ペナルティーの問題は改善されておらず、さらに今回75歳以上の国保加入者が脱退することで、市町によっては、国保の収納率悪化や調整交付金の減額などの影響が懸念されます。
また、いま国会では、全国の選挙で示された民意にもとづき、野党4党による、後期高齢者医療制度の廃止を求める法案が参議院で可決し、衆議院で真剣な議論が求められている重要な時期でもあります。
以上、後期高齢者医療制度の廃止を求める立場から、関連する今回の条例の一部改正には、反対をいたします。 |