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本会議 第294回本会議一般質問 杉本ちさと
2008年2月28日

 「新行革」予算に反対、「プラン」は白紙撤回を

■質問■ まず、第一次新行革プランと、行革予算についてです。
 県の3000事業のうち450事業を廃止し、1400事業を大幅に削減する行革が実施されたらどのような事態になるのか、今県民のなかで心配が広がっています。重度障害者が多いある特別支援学校では、県の予算がないからと医療機器が故障しても買ってもらえずに困っています。「子どもたちの命を守る保障ができない。医療機器の購入だけは別枠で支給してほしい。」と言われています。また、理科の授業では実験の備品が買えず、生徒が新しい科学技術に出会う機会を失うと危惧する声もでています。
 また、非正規職員の賃金カットは県自らがワーキングプアを広げます。多くの県民の願いをばっさりと切り捨てるような行革では、県民の元気を奪い、安全安心も守れません。
 知事は、行革にいたった原因を、阪神淡路大震災からの復旧復興による支出、地方交付税の削減、財政健全化法の財政指標の変更と説明されていますが、本当の理由が語られていません。
 膨大な借金の要因の一つは、バブル崩壊後に政府の経済対策に呼応して、1兆円もの過大な公共事業をしたことです。ふたつは、阪神淡路大震災からの復興復旧事業といいながら、神戸空港や本州四国連絡道など殆ど震災とは関係ない大型公共事業で借金をさらに膨らませたことです。被災者への支援はわずかしかありませんでした。
 全国的にはどこでも投資事業を減らしていたのに、兵庫県は逆に増やして借金をさらに増やしました。宝塚新都市用地や播磨科学公園都市の2・3工区、使い道のない塩漬け土地や釣堀になっている淡路の交流の翼港など不要不急の投資事業がたくさんありました。財政悪化の原因は、過大な大型公共事業偏重の財政運営であり、これを変えなければなりません。
 ところが、今回の県行革も投資事業総額は減らしていますが、高速道路やダム建設など大型事業は重点的にすすめる計画となっており、これまでと同じです。責任がない県民ばかりに収支不足の大きなツケを負わせる県行革は、県民の福祉向上という地方自治体の役割を投げ捨てています。
 政府は三位一体改革で地方交付税を大幅に削減し、こんどは、新しい指標で行革を強制し自治体のリストラを促進しています。この道は県のリストラをすすめ、さらには道州制へと誘導する国と財界のシナリオではないのでしょうか。
 長年の国のあやまった政策をむしろ先取りをした県政運営が行き詰まった今、県民とともに新しい希望ある県政の方向を探求することが求められています。それは、住民の福祉向上が一番の目的とする、憲法が県政に生かされた兵庫県政です。
 今回の新行革プランは白紙撤回し、大型公共事業の大幅な削減で、県民の福祉とくらしを守る予算に抜本的に切り替え、自主的な財政再建を求めますが、どうですか。

▼答弁▼井戸知事:日本共産党議員団の杉本ちさと議員のご質問にお答えします。まず、新行革プランについてです。本県のこれまでの最大の課題は震災からの復旧復興でありました。単にもとに戻すだけではなくて創造的復興を目指して阪神淡路大震災復興計画フェニックス計画を定めて県民総意のもとに一丸となってとりくんできました。その努力の甲斐もあって人口も、地域の活力も震災前を上回り本県は今震災を乗り越えて新しい兵庫づくりへの新たなステージを迎えているもの、このように位置づけています。この復旧復興過程においては、住宅や生活の再建に合わせて、道路、鉄道、港湾など社会資本の基盤の整備が不可欠でありました。このような社会資本基盤の整備がなされて初めて産業や通常の生活活動が営むことができることになります。そのためにも社会資本の復旧復興は急がなければならなかったものです。しかも21世紀の課題に対応できる県政をつくるため創造的復興を目指しました。交通ネットワークの整備や産業基盤、科学技術基盤の整備などにも取り組んできました。いずれも将来への投資、未来への基盤づくりであります。新行革プランの策定にあたっては、歳入歳出の単なるつじつま合わせではなく、元気で安全安心な兵庫をつくるための財政的枠組みを確立することを目指したものです。このため、組織機構の見直し、仕事のあり方を見直しながら、職員定数の削減と、給与の見直しによる人件費の削減を行いました。選択と集中の徹底により、少子高齢対策等の重点課題に積極的に取り組むことを可能とする事務事業の見直しを含んでいます。復旧復興事業が一段落した投資水準の水準見直しも中に含まれています。また、独自歳入の確保もメニューに上げました。これら収支ギャップ対策をとるとともに、県債管理基金や特別地方債の活用など特別の対策をあわせて行うことにより、県行財政の運営枠組みを確立できたものと確信しています。平成20年度当初予算につきましても、新行革プランの初年度としての適切なスタートを切ること、少子化・高齢化・地域づくりなどめりはりのある事務事業対策を講ずることを目指しました。後期高齢者医療制度関係経費や、介護保険制度関係経など国の制度変更等に伴う事務的経費が増加をするなかにあっても地方債発行を抑制することにより、プライマリーバランス基礎的収支を平成2年度以来、18年ぶりに黒字化するなど、県民の要請に対応しうる持続可能な財政基盤、枠組みが確立できたものと考えています。これにより地方財政健全化法に基づく財政健全化団体に陥ることなく、自主的自立的な県政運営の元で、本県として本来めざすべき元気で安全安心な兵庫づくりが進められるものとなります。今後ともご協力ご指導をお願いします。

福祉医療制度 知事の公約違反追及

■質問■ 11月に新行革プラン第一次案が発表されて以来、とりわけ福祉医療制度の削減については、市町が削減の見直しや制度の継続を求め、多くの市民団体や医師会なども署名運動など要請を行っています。パブリックコメントでも現状維持を求める声がたくさんありました。県は県民の声におされて、1年間の周知期間を設けるとともに、一定期間の暫定措置をとるなど手直しをしましたが、基本的に障害者やこどもたち、高齢者、母子家庭の負担増はかえていません。さらに、県の計画では最終的には老人医療費助成対象者率は、12%しかなりません。知事は3年前の知事選挙で県民に「老人医療費助成の対象者率50%を堅持して助成水準を確保します」と公約に掲げて選挙をされました。これでは、公約に違反するのではありませんか。知事は県民への公約は守るべきです。県は、福祉医療助成を年間28億円削減する計画ですが、これによって80万人の弱い立場の人たちが負担増で苦しみます。しかし一方、企業誘致のための大企業立地補助の制度は今回の行革でも全く見直されず、尼崎に進出した松下プラズマディスプレイには175億円、今度姫路に進出予定の松下電器と、キャノン、日立の三社共同のアルファテクノロジーという液晶パネル製造工場には90億円も出す予定です。史上最高の利益をあげ、法人税の減税もされている大企業には手厚く支援をするのに、障害者や高齢者など弱い立場の人たちには「受益と負担の公平」とか、「自立」とかいって、わずかな医療費補助を削減するのは、あまりにも不公平です。弱者をいじめ、強者を保護する逆さま県政です。行き過ぎた大企業誘致補助を見直し、老人医療費をはじめ福祉医療費助成の削減を撤回し、公約を守る立場で現行水準の維持を求めますが、どうですか。

▼答弁▼井戸知事:このたびの福祉医療制度の見直しにおいては、県議会の行財政構造改革調査特別委員会の中間報告、各会派からの申し入れ、市町や関係団体等からのご意見等を踏まえまして、1年間の周知期間を設定することに加え、2年間の経過措置期間を設けたところです。老人医療については多くの都道府県が制度自体を廃止している中で本県では、昭和46年の制度発足時の主旨に立ち返り、その目的が社会的弱者である高齢者階層を対象としていたことに鑑み、助成の対象を医療費の負担が困難な低所得者層へ重点化することとして制度の維持をはかろうとするものです。しかも1年間の周知期間をおいた結果、来年度9月までは現行通りであります。そしてさらに2年間の経過措置をとることといたしましたので現行制度からの移行にあたり配慮されたものとなっています。また、重度障害者や乳幼児等医療は、所得制限を同じ医療費助成制度である自立支援制度と同一水準として整合を図ろうとするとともに、各制度とも低所得者の範囲を拡大するものであります。これらの見直しについても1年の周知期間の設定、2年の経過措置をとっています。福祉医療制度は、県民の安全安心の基盤の制度として大きな役割を果たしておりますので、今後とも制度を取り巻く環境変化に的確に対応しながら、将来にわたり持続的で安定した制度として維持することが適切であると考えております。

道路特定財源前提の播磨臨海地域道路やめよ

■質問■ 道路特定財源の見直しが大きな焦点となっています。これまで経済財政諮問会議でも道路の受益者・納税者は国民全体だと議論し、政府自らも一般財源化を閣議決定していますが、福田内閣は、ガソリン税などの暫定税率を維持し道路特定財源で、今後10年間に59兆円の「道路中期計画」をすすめようとしています。
 その中身は日本中に1万4000キロの高速道路つくる計画や拠点空港や港湾からのアクセスを10分以内にするため、今でも12分のところをたった2分短縮するだけに道路をつくる計画もあり、必要性や採算性を度外視した高速道路建設が大半の一方、こどもたちの通学路の安全のための歩道整備にはわずか5%、防災や雪害、耐震対策、踏切の安全対策など合わせても6%です。道路特定財源を廃止して一般財源化にし、住民の安全を守る道路にも福祉にも教育にも使えるようにすべきです。
 しかし、県は道路特定財源の維持を強く求め、中期計画の作成にあたって高速道路の早期実現を要望しています。そのなかには、姫路市から神戸市までの臨海部50キロを結ぶ播磨臨海地域道路建設も含まれ、道路特定財源をあてにして建設計画が熱心にすすめられています。
 国土交通省の調査で6000億円以上となっていますが、このような莫大な費用をかけて国道2号バイパスの渋滞緩和のために自動車専用の高速道路、播磨臨海地域道路が必要なのかどうか疑問です。また、県財政の借金返済の3割が道路関連で占められ、道路建設などが県財政の悪化の大きな要因となっているのに、このような高速道路をこれからも作り続けていいのか、改めて、検討し直すことが求められています。
 国土交通省の調査でも、2号バイパスからの播磨臨海道路への転換交通は多いところでも1割もないと示されており、渋滞緩和にならないことがはっきりしています。県独自の交通量予測は、国の予測と全く異なり説得力がありません。播磨臨海道路建設の本当の目的は、臨海部の企業の利益を確保するための産業道路をつくることではありませんか。
 高速道路建設は殆どが後年度負担です。子供や孫たちに大きな負の遺産を残してはなりません。また、人口減少社会や地球温暖化防止など、車に依存しない社会づくりがすすめられている世界の流れにも逆行しています。
 国道2号バイパスの渋滞緩和について、私はこれまでも電車やバスなど公共交通を利用して交通量を全体として減らすことや、2号バイパスの乗降口も含めた改良・改善、山陽自動車道への転換などいくつか提案しましたが、県は播磨臨海地域道路建設ありきで、他の渋滞緩和策を真剣に検討し県民に示したことは1度もありません。渋滞緩和のために、既存の道路の改良や改修工事をすすめることは、地元の中小建設業者の仕事にもなり、地域の経済活性化にも役立つのではないでしょうか。
 既存の道路の活用を中心にした国道2号バイパスの渋滞緩和策を検討し、播磨臨海地域道路計画を中止することを求めますがどうですか。

▼答弁▼井戸知事:播磨臨海地域道路計画についてです。播磨臨海地域では、慢性的な渋滞の緩和。解消が重要な課題です。そのため県実の参画と協働により策定した社会基盤整備プログラムに基づき国道250号飾磨バイパスの整備や、連続立体交差事業、歩行者の安全安心を確保する県道明石高砂線等の歩道整備、国道2号加古川新在家交差点での右折車線の設置など、既存道路の整備も含めた渋滞対策を進めています。また国においても国道2号加古川バイパスで出入り部も含めたリニューアル整備を行っています。しかしながらこれらの対策を進めましてもなお加古川付近で見た山陽道以南の東西幹線交通量は現在1日約20万台であり1日約8万台の交通容量不足を生じています。そのために抜本的な渋滞対策として国道2号バイパスの交通量を加古川付近で約4万台削減し約1日6万台の交通量を受け持つ播磨臨海地域道路の整備が必要と考えているものです。なお議員ご指摘の国土交通省の調査は平成18年に行ったナンバープレート調査の結果をもとに、4キロ程度の一部区間のみを供用した場合の国道2号バイパスからの転換交通量を推計したものです。本県が行った交通量予測は平成11年の道路交通センサスのデータをもとに一般に用いられている将来交通量の予測指標により全線を供用した場合の平成42年の交通量を予測したものであることを申しそえます。地元の市町や経済界、住民団体等も播磨臨海地域道路の早期具体化を求めており県としても本構想路線の実現に向け引き続き取り組んでまいります。

救急医療体制充実を

■質問■ 昨年12月、姫路市の男性が自宅で吐血して倒れ、17の病院に救急搬送の受け入れを断られ、やっと赤穂市民病院に搬送されましたが、亡くなられるということがおきました。この問題の背景には、病院が救急医療から撤退し、救急医療体制が成り立たなくなっていることがあります。
 姫路市では、30年前から「一次救急」は、姫路市休日・夜間急病センターが、「二次救急」は、後送の各輪番病院で担ってきましたが、内科の後送輪番参加病院は14病院から6病院へ、外科では16病院から7病院へと減り、さらに撤退が続いてこの4月からは365日の輪番が成り立たなくなると言われています。
 医師不足や経営難から救急医療に参加する病院が減少する中で、残った病院にさらに負担がかかり、医師が疲弊し、一人辞めると残った医師に負担がかかり、さらに退職が増えるという悪循環を招いています。現場の医師やスタッフの必死の努力は、限界に近づき、姫路市医師会では、「このままだと救急医療は一年後には崩壊する」と言われていましたが、姫路市だけの問題ではありません。
 この間、私たちは、姫路の医師会や循環器病センター、県立柏原病院、関西労災病院など各地で救急医療の実態をうかがってきましたが、県下どこでも同様の状況がおこっています。
 根本には、国の医療費抑制政策があり、医師数を抑え、診療報酬のあいつぐ引き下げが今日の医療危機を招いています。特に、救急医療は、もともと不採算部門であるうえ、輪番制に対する公的補助も減り続け、経営が成り立たず離脱する病院が増えてきています。
 こうしたもとで、「最後の砦」の三次救急も本来の役割が果たせなくなっていることが問題をより深刻にしています。本来、救急救命センターには原則として24時間重篤患者や複数の診療科にまたがる患者をすべて受け入れる体制が求められています。
 中播磨・西播磨地域では、県立姫路循環器病センターが三次に位置づけられていますが、診療科目を心臓や脳などに特化しています。それ以外の診療機能を担う体制を確保するよう、市や消防長会から要望が出され、県の保健医療計画でも体制の充実をうたっているにもかかわらず、県は対策をとってきませんでした。
 三次救急に責任を負うべき県の責任は重大です。
 姫路の救急医療関係者からは、三次救急の機能を補うものとして「新型救命救急センター」の設置が望まれていますが、開設医療機関に3分の1の財源負担があり、軽減が課題となっています。また、病床数もせめて20床は必要だといわれています。
 そこで国に対し、医療費抑制策を根本的に改め、医師不足の解消と診療報酬の保障を行うよう求めること。県として、二次救急輪番病院への補助制度を創設するとともに県の責任で三次救急体制の充分な機能確立をはかること。とくに姫路では、今後整備が望まれる新型救命救急センターについて、せめて20床程度とし、医療機関分の負担をなくす財政支援をおこなうなど、早急に三次救急の機能拡充を行うことを求めます。県民の命を守る責任ある答弁を求めます。

▼答弁▼細川健康生活部長:私からは救急医療の充実についてと後期高齢者医療制度についてお答えします。まず救急医療の充実についてですが、医師不足や診療報酬の問題に関しましては、本県といたしまして、全国知事会等あらゆる機会を通じまして医学部入学定員の緩和、診療報酬の引き上げ等について要望を行ってまいりました。2次輪番制については県は従来より応益的観点から地域を越える輪番日の調整などを行ってきました。その財政支援につきまして平成17年度から税源の移譲によりまして市町が2次輪番病院に補助することになっております。2次救急輪番病院が減少していることや、救急患者受け入れに支障をきたしていることにつきましては、各医療機関の財政的な問題がむしろ医師不足に起因していることが大きな要因であり、県として2次輪番救急病院への補助制度を創設することは考えておりません。3次救急医療につきましては現在県下を6ブロックに分け7救命救急医療センター等で重篤患者に対応しておりますが、21年度には新たに整備する県立新加古川病院の救命救急センターを加え、体勢の整備充実をはかることにしております。ご指摘の中播磨、西播磨地域の3次救急医療体制については、県立循環器病センターが心疾患と脳卒中を中心に対応しており他の重篤疾患への対応は近隣医療機関との連携のもと実施しています。今後は、近隣医療機関との連携のさらなる強化を図ることとしています。また今回の事案を受けて開催されました姫路市の救急医療体制検討会で新型救命救急センター設置について意見が出ていることは承知しておりますが、その必要性も含めて議論していきたいと思います。

後期高齢者医療制度の中止を

■質問■ 今年4月からの実施予定を前に、後期高齢者医療制度についての「通知」が届き始め、「どうしたらいいのか」「年寄りは長生きするなということか」と怒りや驚きの声が高齢者に続出しています。75歳以上の高齢者を他の医療制度から切り離して加入させる後期高齢者医療制度は年齢によって差別する世界にも例を見ない差別医療制度です。
 兵庫県広域連合議会で発表された平均保険料は、全国平均の年7万7718円を上回る、年9万3100円で月額7758円となり、全国8番目と大変高いものです。保険料は年金から天引きされ、低所得者からは滞納すると保険証がとりあげられます。
 国民から大きな批判の声があがるなか、政府与党は4月から実施の医療制度改革の一部延期、見直しを決めましたが、後期高齢者1300万人の85%は初めから見直しの対象外です。
 さらに、75歳以上は、受けられる医療が制限される大変な問題があります。
 対象となる病気は、糖尿病、高血圧性疾患、高脂血症、脳血管疾患、不整脈、心不全と認知症、便秘症などに事実上限定されようとしています。また、診療報酬を「包括払い(定額制)」にすることで、75歳以上の高齢者に、あまり治療をしないようなしくみをつくろうと厚生労働省で検討されています。
 いま、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める運動が全国的に広がり、2月3日現在、後期高齢者医療制度の「凍結」「見直し」などを求める地方議会は、福島県議会を初め503議会にも上っています。県内でも、12市町議会が国に対し意見書を上げ、今月18日には県後期高齢者広域連合議会としても、国に改善を求める意見書を採択したところです。
 このような切実な声にこたえ、全国で「後期高齢者医療制度の保険証は取り上げない」と明言する自治体も生まれ、東京都では、市区町村からの一般財源の投入と都からの独自の財政支援により、保険料を全国平均並に引き下げる軽減策を打ち出しました。
  兵庫県としても切実な県民の声にこたえて、いのちに格差をつける、高齢者いじめの後期高齢者医療制度の中止・撤回を国に求めること。保険料滞納を理由に保険証の取り上げは行なわないこと。兵庫県独自の減免制度をつくるよう広域連合議会に働きかけるとともに、県として財政支援をすることを求めますが、知事の誠意ある答弁をもとめます。

▼答弁▼細川健康生活部長:後期高齢者医療制度についてですが、後期高齢者医療制は高齢化の進展に伴い今後ますます増加することが見込まれます75才以上の後期高齢者の医療費を国民全体で支えることに将来にわたり安定した制度とするために独立した制度として創設されたものであります。国に対して制度の中止撤回を求めることについては考えておりません。保険料は都道府県毎の医療費と所得水準によりその高低により異なります。本県の高齢者の所得水準が全国平均より高いため軽減後の平均保険料は年額8万1400円と全国8位となっておるところであります。滞納者対策としての資格証明書は、国民健康保険と同様あくまで正当な理由なく1年以上滞納した場合にのみ広域連合に交付が義務づけられており、個別の事例の即して適正に対応していくこととしています。また、独自の減免制度につきましては既に広域連合の保険料条例に自然災害等の場合の減免規定が設けられております。県としましては、広域連合に対して医療給付費や保険料軽減分に対する財政支援として、総額約430億円を負担することにより制度の安定的な運営を支援することとしています。また国に対しましては世帯主が後期高齢者の保険料を負担するよう見直しを提言したところであります。今後ともこのような課題について国に改善の要望や提言を行い制度の適正な運営の確保に努めてまいりたいと考えています。

原油高騰対策を求める

■質問■ 原油価格の高騰が県民生活に大きな影響を及ぼし、いっそう深刻な事態になろうとしています。わたしは、現場の切実な声をおききしてきましたが、あらゆる物価の値上げのラッシュで基盤の脆弱な中小企業や農林業などが危機に直面し、地域経済がいっそう疲弊すると懸念されます。   
 南あわじ市の瓦産業は、今回の燃料の高騰で大変な状態にあります。瓦1枚の値段が70円のうち、燃料代が4、50円かかるので「窯を焚くのがこわい」といわれています。経営者の中から自殺者も出ています。
 漁業でも深刻です。軽油も重油も値段は5年前の約2倍になっており、小さな船でも1回の操業で1万数千円以上もかかり、燃料を焚くだけ赤字を覚悟しなければならず、沖には行けない状態になっています。ある漁師さんは、「今年のいかなご漁で利益が出なければ破産する」状況だといわれました。
 また、ハウスでいちご栽培をしている農家も直撃を受けています。2年前に20代の息子さんが跡継ぎとなり、2000万円の融資を受けて新しい設備で、1万株のいちごを栽培していますが、月に1000リットル使う灯油の値段が1年前に比べて約3割アップになり、生活費もままならず経営は厳しくなるばかりです。
原油価格高騰は県民にとって放置できないところまできているにもかかわらず、県の対策は独自のものはなく、窓口相談も22件しかないなど実際にはほとんど活用されていません。
福祉灯油制度について、北海道をはじめ、鳥取県など11道県が市町への助成をおこなっていますが、兵庫県はまだ助成をしていません。 
 県として原油価格高騰による影響の調査をおこなうとともに、原油価格高騰の要因である国際的な投機マネーを規制するルールを確立するよう国に要望し、中小企業や農業、漁業への緊急対策融資制度の創設とともに制度融資の返済猶予を含む経営対策、低所得者や福祉施設に対する福祉灯油制度への助成をおこなうことを求めますが、どうですか。

▼答弁▼表具産業労働部長:私から原油高騰対策について答弁いたします。原油価格の高騰により、中小企業者や農林漁業者の経営環境が厳しくなっているそういた認識をしております。そういった意味から中小企業等の経営実態を把握いたしますため、地域ごとに、産業振興パートナーヒアリング調査などを実施しており、きめ細かな対応をするように努めております。国際的な投機マネーの規制につきましては、国際石油市場の安定に向け、経済産業省が国際協議を推進しているところでありますので、国際的な議論に期待したいと考えております。具体的な原油高騰対策といたしましては、高騰が始まりました平成17年12月に早速に個々の企業の経営安定に支障が生じないよう中小企業者向けの経営円滑化貸付の融資対象者の要件を拡充したところであります。最近の12月1月の融資実績はそれぞれ約60億円とそれまでの月平均融資額の約20億円を大きく上回って利用されております。次に、農林漁業向け対策では、農業者が原材料等の資金を借入するための美しい村づくり資金でありますとか、県漁連の燃油購入資金借り入れへの利子補給等により経営の安定を図っているところであります。ご提案のありました福祉灯油制度につきましては県内では、小野市が福祉灯油券の支給を実施しているのみです。その他の市町は実施していない状況にあります。市町から県に対しまして助成の要望も出てきていないところでありますので、県としては福祉灯油制度への助成は考えておりません。今後とも、中小企業者や農林漁業者等の経営安定をはかりますため、円滑な資金繰りを支援するなど、国の緊急対策等と連携してひきつづき原油価格高騰対策を講じてまいります。

少人数学級の拡大を

■質問■ 今年4月から「35人学級」が小学校4年生まで実施されることになり、保護者や学校関係者から歓迎されています。さらに「少人数学級」を小学校高学年・中学校へと広げることは、こども、父母、教師の切実な願いです。
 今、姫路市では、「教育改革」と称して、「小中一貫校」や「学級数の適正規模」の名による小学校の統廃合が計画され、地域住民から反発の声があがっています。
 こどもたちは育った地域から切り離され、遠距離の通学を強いられます。
 住民からも、小学校がなくなることで、コミュニティの中心が失われ、地域崩壊につながるのではないかと危惧の声があがっています。
 「小中一貫校」や「適正規模」の教育効果が強調されていますが、行政の都合、教育予算の削減が優先されていると考えざるを得ません。
 少人数学級こそこどもたちとゆっくりと向き合うことができ、「ひとりひとりの子どもを大切にきめ細やかな指導をする教育」ができるというのが学校現場の声です。県は、少人数学級の拡大の方向で人員配置を増やすべきです。
 ところが、新年度予算では、県は「全国学力テスト」の結果分析にもとづいて独自の「学力向上対策」にとりくむ小中学校にたいして315人の非常勤講師を配置するとしています。
 県下市町の中には、学力テストの平均正答率を発表し、競争をあおっているところがありますが、県教委は、これをおさえるどころか、むしろ、一部の学校に手厚く予算をつけ、競争をあおろうというのでしょうか。
 このような差別的予算配分はやめ、少人数学級を小学校高学年、中学校にひろげることを求めますが、いかがですか。

▼答弁▼吉本教育長:少人数学級の推進についてお答えいたします。少人数教育につきましては、従来から申し上げているとおり、個に応じたきめこまかな教育を進めるため、小学校低学年では基本的生活習慣の定着に重点をおいた35人学級編制を複数担任制等との選択制により、小学校高学年および中学校では、基礎学力の定着に重点を置いた教科担任制や少人数学習集団の取り組みを進めることとしております。35人学級編制につきましては、少人数学習集団などの法定数の活用をはかりつつ、段階的に導入をしてきたところであり、平成20年度目標としていました小学校四年生まで拡大することとしました。今後は、小学校高学年等に基礎学力の定着に重点をおいた、教科担任制等の導入を順次進める必要がありますが、国・地方を通じた厳しい財政状況や、国の定数改善計画が見送られている状況をふまえますとともに、学習指導要領の改訂に伴う学習内容の把握に努め、実施の可能性について検討する必要があると考えております。
 なお、国庫補助を活用する学力向上実践推進事業は、現場を熟知する市長教育委員会の創意工夫ある取り組みを支援し、県全体の学力をひきあげようとするものであり、格差を助長するものとは考えておりません。また、35人学級編制は学級担任として常勤職員を加配する必要があり、非常勤講師を配置する当該事業予算を活用することは制度的に不可能であると考えております。

産業界にCO2総排出量の削減義務づけを

■質問■ 次に地球温暖化対策について質問します。
 昨年12月に180カ国以上が参加したバリのCOP13では、2020年までに先進国が温室効果ガスを1990年比で25―40%削減する目標が提起されましたが、日本はこれに反対し、国際的な批判を浴びました。97年の京都議定書で、日本は2012年までに1990年比で6%の温室効果ガス削減を公約していますが、逆に約6.4%も増加しており、達成のめどさえありません。
 大幅削減に成功しているEU諸国が、排出量の大半を占める産業分野へ実効ある規制措置を行っているのに対し、日本では、8割を企業・公共部門が占めているのに、政府と産業界との協定すらなく、日本経団連の「自主行動計画」まかせになっています。
 気候ネットワークによれば、国内のCO2の総排出量約12億8400万トンの半分以上が、わずか180の電力会社や製鉄所からのものです。なかでも、発電において天然ガスの約1.8倍ものCO2をだす石炭火力発電所が増えていることが、世界銀行の調査で「日本の地球温暖化対策は先進国中で最低」とされた原因になっています。
 兵庫県内には、神戸製鋼、新日鉄など日本有数の製鉄会社があり、神戸市には、国内最大規模140万キロワット出力の神戸製鋼の石炭火力発電所があり、CO2排出量の相当部分をしめています。
 「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」では、これら大口排出事業所をふくめて、「事業者の自主的取組の強化」となっているだけで、エネルギー転換部門の排出などは2012年で90年比2割増が前提で、削減の考え方すらしめされていません。
 県条例では、温室効果ガスの大量排出事業所は、排出状況、排出の抑制目標達成のための措置など排出抑制計画を作成し提出することとなっています。また知事はこれを公表し、その実施に対し事業者へ必要な指導助言をするとなっています。
 しかし、計画は自主目標で、個々の事業所の排出量も公表されていません。「排出量取引ひょうご方式」が検討されていますが、各事業所に総排出量の削減を義務付け、公表させなければ実効あるものになりません。
 待ったなしの地球温暖化を防止するため、国に対し経済界とCO2総量削減を義務付ける公的協定を求めること。県としても各事業所ごと、とりわけ大口事業所のエネルギー使用量にみあったCO2 削減目標を設定の上公表し、総排出量削減を実効あるものにすべきと考えますがいかがですか。

▼答弁▼垣内環境担当部長:私から地球温暖化対策につきましてご答弁申し上げます。「環境の保全と創造に関する条例」では、年間のエネルギー使用量が原油換算しまして1500キロリットル以上の事業者は温室効果ガスの排出状況、排出の抑制目標等を定めました排出抑制計画を作成、提出するとともに、毎年削減結果を知事に報告しなければならないこととしております。また、条例におきましては、知事は、県内事業者が提出した排出抑制計画および毎年の削減計画をそれぞれとりまとめまして公表することとしておりまして、事業者は排出抑制計画、その他の取組状況を公表するよう努めることとしているところであります。このため、県は、県内事業所の排出抑制計画や毎年の削減結果をそれぞれ取りまとめ、県のホームページで公表しているところであります。また、条例対象事業者、とくに、大規模な事業者は自社の環境速報報告書等でCO2削減目標あるいは毎年度のCO2排出量取組状況をホームページ等で公表しているところであります。事業者から提出されました抑制計画につきましては、県の推進計画の目標であります6%削減を基本にしまして条例に基づく指導権限によって厳格に査定しております。したがって自主的な目標ということではございません。また、議員からエネルギー転換部門の排出量が2012年で90年比二割増が前提で削減の考え方すら示されていないとご発言がありましたが、推進計画では、エネルギー転換部門等におきます目標年度、県の目標年度は2010年でございます、その排出量は基準年度比で3.5%削減することとなっております。なお、二割増といいますのは、2004年度の排出抑制結果報告の数値でありまして、これは施設の増説があったためでございますが、当該施設の高効率発電機の採用あるいは既存工場での工程のみなおしなど最大限の省エネ対策を実施してもなお避けられない分でございます。なお、これらの新増設に対します増加分を吸収しますために各部門の削減強化を追加対策として行ってきているところでございます。
 
     
■再質問■ まず福祉医療制度についてです。先ほど知事が答弁いただきましたけれども、カバー率が12%にしかなりません。質問のなかで言いましたが、知事は、選挙の中で、50%のカバー率をを公約されました。これはやっぱり、県民に対しての約束ですので、途中で変えるということはあってはならないと思うのですが、そういう立場からも、福祉医療制度、老人医療費のカバー率については、公約を守るべきではないのか。その立場でもう一度考えていただきたいと思うのですが、答弁を求めます。
 もう一点は、救急医療の姫路の件です。いま、関係者等が熱心にお話をされています。三次救急が機能を果たすことができない状態にあるということは、みなさん重々承知ですが、ミニ救急のセンターをなんとか設置したい、問題になっているのが財政支援なんですね。医療機関が、何箇所か手をあげようとしているということも聞いていますが、財政的に非常に困っている、ここが課題です。やはり県が三次救急の責任を負うという立場にありますので、必要かどうかも含めて検討する、とさきほどの答弁にありましたけれども、必要であるということでぜひ支援をしていただきたい、そこへ踏み込んでいただきたいと思うんです。命がかかっている救急医療の問題ですので、そして地域がいまこういう方向を考えておりますので、ぜひ応援をしていただきたいと思いますが、その点について答弁をお願いします。

▼答弁▼井戸知事:私の任期は来年の7月いっぱいであります。一年延ばしましたので結果として6月までは現行制度がそのまま続きます。その後の経過措置も講じておりますので、私としては公約違反にはまず当たらないとこのように考えておりますので、ご了解いただきたいと存じます。
 また、いまの新型救急救命センターの整備につきましては、運営費等の財政フレームにはセンターの受け取る診療報酬等も考慮して負担区分が定められたと承知しております。さらに杉本議員がおっしゃるような踏み込みが必要かどうかも含めて、充分議論を深めたい、このように考えております。原則としては、制度上もとめられている負担は県としてはきちんとしますが、それ以上の必要性は充分吟味する必要がある、このように考えております。

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