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本会議 第292回本会議一般質問 つづき研二
2007年10月2日

 さきの参議院選挙で自民党が惨敗するという劇的な変化が生まれました。これは、格差拡大と貧困化を進めてきた自民、公明の政治への国民の怒りの結果です。しかし、福田政権は、これまでの政治の踏襲を掲げ、これでは国民の声にこたえることになりません。今こそ格差と貧困を広げる構造改革路線の根本的転換が国でも地方でも必要です。以下、その立場から8項目の質問を行います。

県民犠牲のあらたな「行革案」でなく、県民の暮らしを守りながら、借金を減らす財政再建の道を

■質問■ 県議会の審議のさなかに知事は、突如、今年度620億円の歳入不足を発表しました。このことについて行革特別委員会でただすと、県は、入るをはかりて出るを制すのでなく、逆に、県がやりたいと考えている事業に必要な額を歳入として計上するというやり方をとっていることを認めました。入る保障のない歳入で予算を組み、足らずはやりくり算段で借金を繰り返す。借金を大きく膨らませた知事の失政の責任は重大です。歳入を膨らませて何をしたか。県は、復旧・復興事業に係る事業の財源手当てのために起債残高が8,500億円もあることが深刻な財政運営の原因とし、あたかも被災者支援に頑張ったから大変な借金になったかのように描いています。
 しかし、行革特別委員会での私の質問に対して、県は、震災にかかわる現在の起債残高のうち、関連公共企業、すなわち創造的復興事業などに係るものが68%に上ることを初めて明らかにしました。神戸空港、淡路交流の翼港、大阪湾横断鉄道構想調査、大規模再開発など、復旧と関係のない大規模開発事業を強行したことが莫大な借金を抱えた原因です。震災復興事業16兆3,000億円のうち、被災者の手元に届いた支援金はわずか2.3%にすぎません。
 さらにこの間、全国のほとんどの府県は、大幅に公共事業を減額し、長野県などはほぼ半減させているのに、本県は減らすどころか逆に113%と増額し、全国ワースト3位という異常な状態です。県は、これから一般事業3割削減としていますが、中身は住民サービスの大幅な縮小、切り捨てです。
 例えば、県が市町との協議に配った資料では、生活保護、障害者福祉、母子福祉、老人福祉、保健衛生などは、ほとんど市町に移管し、県の仕事はわずかに事業者指定、広域施設の設置、難病対策などを挙げているだけです。県は住民の福祉や暮らしの責任は負わない、財源で苦しむ市町に仕事だけ押しつける、これでは国の地方切り捨てと同じことを県が市町にするということではありませんか。
 この夏には、新行革方針と県民の願いの板挟みになった県庁幹部の自殺まで起きています。新行革が実行されれば、この自殺が県民にまで広がりかねません。今必要なのは、県民の暮らし犠牲のリストラでなく、県民の暮らしを守り抜き、かつ財政再建をする取り組みです。
 知事は、播磨臨海地域道路や高規格幹線道路など、県負担分のほとんどを起債に頼る、合わせて数兆円規模と推定されるこれらの大型開発は重点的に実施するとしています。削るべきは、これら大型開発ではありませんか。
 新行革方針は直ちに撤回し、国に対して、自治体に介入するなと真正面から戦うとともに、むだな大型投資事業を全面的に見直し、削減あるいは凍結中止し、地方自治法第1条の2の「住民の福祉の増進を図る」ことに県政機構の総力を挙げることを行革方針の大原則にして取り組むことを求めます。知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:まず、県民の暮らしと財政再建を両立させる取り組みについてです。
 本県のこれまで12年間の最大の課題は、あの阪神・淡路大震災からの復旧・復興であった、これは間違いないと思います。しかも、単純な復旧ではなく、21世紀の課題に立ち向かえる兵庫をつくる、基盤をつくることをめざして、創造的復興を目標としました。阪神・淡路震災復興計画──フェニックス計画を定め、いわば県民総意のもと一丸となって進めてきたのではなかったでしょうか。この努力もあって、人口も地域の活力も震災前を超えることができ、ようやく震災を乗り越えて新しい兵庫づくり、元気な兵庫づくりに全力で取り組むことができるステージを迎えたと言えます。
 しかしながら、この12年間で復旧・復興を遂げるためには、どうしても財政的には借金、地方債の発行と、貯金の取り崩し、県債管理基金の活用により事業を推進する必要がありました。このため、起債制限比率という財政指標が15%を超えないようにすることとして、行財政構造改革推進方策のフレームに基づき財政運営をしてきました。
 直接被害だけで10兆円という史上類のない大被害の復旧・復興に当たって、まず、人々の生活や産業の基盤となるインフラの復旧、生活の本拠となる住宅の復興、産業復興から順次ソフト事業に重点を移しながら、復旧・復興過程に応じて進めてきたものです。
 しかしながら、これまでの復旧・復興過程で生じた地方債残高約8,500億円、県債管理基金の積み立て不足を抱えた財政構造となっています。これからの少子・高齢化や人口減少社会を迎え、本県の直面する課題に対応していく必要が、財政を基盤として本県自身もあります。このためには、財政基盤を確固たるものにしておく必要があります。
 したがって、現在、組織、定員、給与、事務事業、投資事業、公社等、聖域を設けることなく、ゼロベースで点検・検討をしているところです。
 新たな行財政構造改革の取り組みは、元気な兵庫への基盤づくり、枠組みとして、県民の要請に的確にこたえられる持続可能な行財政構造、兵庫県づくりをめざすものだと考えています。 このページの上へ

医師不足対策の強化、特に丹波地域への支援を

■質問■ 県下でも、各地で深刻な問題が起きていますが、丹波地域では、柏原赤十字病院が2004年に常勤医16人が現在4人に。県が、丹波地域医療確保対策圏域会議で日赤の小児科を県立に集約する計画を1月に示すや、小児科医1名、産婦人科医3名が病院をやめ、県の集約化案が医師不足に拍車をかける格好で、重大です。
 一方の県立柏原病院は、院長を除けば、小児科医もこの4月から1名となり、小児科・産科機能の維持が心配され、地域医療が崩壊しかねない状況です。
 住民は、県立柏原病院の産科・小児科の充実を求める署名を5万5,000人、日赤病院の存続を求める署名を短期間に2万3,000人集め、丹波市議会は全会一致で同様の決議を上げ、市はこの9月定例会で県立柏原病院の小児科医師確保のために1,500万円を計上し、柏原赤十字病院の院長も、何としてもこの病院を守りたいと頑張っておられます。
 丹波医療圏は、周産期死亡率は県下で2番目に高く、本来県が県民の命を守るために手だてを尽くさねばならない地域です。ところが県は、この地域に地域周産期母子医療センターが必要としながら、肝心の県立病院は産科・小児科の存続の危機となっています。
 知事は、「医師数は足りている。地域的に偏在しているだけ」と医師をふやす抜本対策をとろうとしない国の姿勢に同調してきましたが、この知事の姿勢が対応のおくれを生み出してきたことは明らかです。
 人口10万人当たり医師数がOECD平均310人に対して、日本はわずか201人、ワースト4で本県は197人です。医師不足は明らかです。医師の偏在という姿勢を改め、将来の定員の先食いの暫定的な定員拡大でなく、大学医学部の抜本的な定員拡大を国に求めるべきですが、いかがですか。
 柏原日赤病院の存続を強く求める住民に対し、丹波地域医療確保対策圏域会議は、非公開で行われ、議事録すら公表していません。住民の命にかかわる問題を住民の知らないところで決めるなどはあってはならないことです。傍聴はもちろん、住民の参加を保障した丹波地域医療圏協議にすべきです。僻地や勤務医の過重勤務を改善するための新たな緊急医師確保対策として、仮称「地域医療確保枠」を設け、緊急に特別の財政投入を行い、地域医療の崩壊を食いとめる取り組みをすべきと考えますが、いかがですか。以上の点について知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:  国の「医師の需給に関する検討会報告書」によると、医師の総数は全国で年間3,500人から4,000人増加してきており、平成34年には医師の需給はほぼ均衡すると試算しています。このような中・長期的な需給を踏まえて、医師をどのように養成していくかが課題となりますが、当面は厳しい現実に直面しています。
 諸外国と比較しても、人口1,000人当たりの医師数で見れば、OECD加盟国の中で最も高いのはギリシャですが、医師数と医療内容が必ずしも同列ではなく、各国の制度も異なり、単純な比較は困難だと考えます。医師の数は足りていると私が認識しているというご指摘がありましたが、私自身、そのような認識を示したことはありません。医師不足だからこそ対応を迫られているのではないですか。
 医師確保のため、本県が暫定的な医師の定員拡大を特区制度等も通じて要請してまいりましたが、国において、一定基準を満たした10県10人までの養成増、地域枠として都府県5名、道15名までの定員増、自治医科大学について10名の定員増が認められたところです。これらを活用していきます。
 丹波地域医療確保対策圏域会議については、個々の病院の実情や特定の医師の個人情報も含め議論しているため、非公開としていますが、会議終了後の記者会見を通じて、主な協議内容の説明と資料配布を行っています。
 また、地域の方々の実情を正確に把握するための調査を実施しておりますので、これを通じて圏域会議の資料とするなど、住民の皆様の実情把握にも努めています。
 県は、医療確保対策事業費として、ドクターバンク支援事業や後期研修医の採用など、県内勤務医師の量的確保を初め、地域偏在や診療科偏在への対策など、それぞれ予算を計上して対策に取り組んできております。今後とも県下各地域での医療確保を図ってまいります。 このページの上へ

後期高齢者医療制度の実施中止・見直しを

■質問■ この制度は、後期高齢者──75歳以上の人を他の世代から切り離し、国民健康保険や政管健康保険から脱退させて新しい独立した保険制度にするもので、保険料は家族に扶養されている人も含めてすべての後期高齢者から徴収されます。
 東京都広域連合の試算によると、保険料は平均で年額15万5,000円、現在の保険料の2倍から3倍になると言われていますが、本県もかなり高額になると予想されます。
 月額1万5,000円以上の年金の人は、介護保険料と合わせて年金額の2分の1以下なら平均月1万円を超える保険料が自動天引きされ、年金額が1万5,000円に満たない人は窓口納付ですが、保険料を払えない人には保険証の取り上げが可能となり、資格証明書では、医療費の全額を一たん病院窓口で払わねばなりません。
 既に、介護保険料を払えない高齢者が、普通徴収者の滞納が西宮では8.4%に上っていますが、この制度が実施されれば介護保険制度からも医療保険制度からも外され、路頭に迷う高齢者が県下で続出することになりかねません。
 さらに、診療報酬が定額制となれば、保険の枠内では十分な治療を受けられない問題が起きます。まさにマイケル・ムーア監督の映画「シッコ」で取り上げられたアメリカの貧困な医療制度の悲惨な事態が日本や県下でも起きかねません。
 75歳を超えれば、「元気になりたい、病気を治したい」という願いを持ってはいけないのでしょうか。県として患者の重症化や医療の排除、病院からの追い出し、医療難民をますます広げる後期高齢者医療制度の実施の中止と全面的な見直しを国に強く申し入れることを求めます。知事の答弁を求めます。

▼答弁▼細川裕平健康生活部長:後期高齢者医療制度は、国民皆保険制度を将来にわたり持続可能なものとしていくため、国の医療制度改革の一環として、一つには、後期高齢者の心身の特性に応じた医療サービスを提供するとともに、高齢者世代と現役世代の負担の公平性を図り、制度の運営主体を明確にすることを目的に、新たに独立した制度として創設されるものであります。
 現在、国において、制度の詳細や診療報酬体系についての検討が、また、制度の運営主体であります広域連合におきましては、本年11月の保険料条例の制定に向けた準備が行われております。
 制度を維持するためには、すべての被保険者が能力に応じた保険料を負担することは必要でありますが、制度創設に伴いまして、今まで負担していなかった本人からも直接保険料を徴収することに十分な理解を得ることは困難ではないかと考えております。このため、既に国に対しまして、扶養者または世帯主が負担する制度に見直すように提案しているところでございます。
 今後とも、広域連合や広域連合を構成いたします市町と連携を図りまして、この制度が適切に実施できるように支援を行うこととしており、制度実施の中止や全面見直しを国に申し入れることは考えておりません。 このページの上へ

障害者の「応益負担」撤回と、県独自支援の拡充を

■質問■ 障害者自立支援法が施行されて1年半近くが経過しましたが、私たちが再三指摘したとおり、応益負担の導入は、障害者に過酷な負担増を強い、深刻な不安を与えています。
 施設利用を中止、あるいは利用日数を減らさざるを得なくなった人は、制度導入直後の県の調査でも198名に上ります。また、知的障害者授産施設のA作業所でお聞きすると、今まで無料であった給食費5,000円に加え、所得に応じて1,875円から4,275円の利用料負担となります。この新たな負担は障害者にとって大変です。年1回の旅行も行けない人も出てくるなど、障害者の社会参加、何よりも人として生きることに重大な打撃となっています。
 報酬単価の引き下げと日払い方式への変更は、事業所経営を脅かし、職員の労働条件を引き下げ、人手不足の深刻化など、障害者支援体制を維持することすら困難になっています。ある作業所では1,200万円も年間収入が減り、そのため、少しでも人件費を浮かすために正規職員を非正規職員に切りかえなければならず、責任者の方は、ワーキングプアに加担するようで心が痛むと語っておられました。
 障害者の生活と施設に深刻な事態をつくっている応益負担制度は、撤回以外に解決の道はありません。
 国に対して、直ちに応益負担制度の撤回を求めるとともに、報酬単価の引き上げ、日額支払い方式を月額支払い方式に戻すこと、障害程度の認定区分が身体動作に偏重していることの見直しを求めるべきです。応益負担を軽減するための県の独自支援は負担ゼロに拡充することを求めます。知事の誠意ある答弁を求めます。

▼答弁▼細川裕平健康生活部長:障害者自立支援法については、利用者の現状から、国に対し、制度の充実に向けて、その改善を提案してきたところでございます。
 その内容といたしましては、一つには、利用者負担軽減措置の検証及び見直し、二つには、日額払い方式の中でも安定的な事業運営が可能となるような報酬単価の見直し、三つには、知的・精神障害者の特性を踏まえた障害程度区分の認定の見直し、四つには、小規模作業所が安定運営できるよう制度化された地域活動支援センターを初めとします市町地域生活支援事業への財政支援などでございます。
 応益負担につきましては、この制度の根幹にかかわるものであることから、その見直しについては、今後、国において検討されるべきものであると考えております。
 また、利用者負担の県独自施策につきましては、限られた財源の中で、市町等と連携しながら、真に負担の軽減が必要な者に対して支援策を講じたものであります。一定の負担能力に応じて、費用の一部を負担していただくことは、制度を維持するためには基本的には必要なものであると考えています。
 いずれにいたしましても、政府・与党において抜本的な見直しが検討されることとなっておりますことから、これらの動きを見守ってまいりたいと考えております。 このページの上へ

被災者生活再建支援法の抜本的な見直しを

■質問■ いよいよ来年は、被災者生活再建支援法の見直しです。
 現行では、支援対象被災者や経費の範囲が極めて狭く制限され、わずかな被災者しか支援を受けられず、支給限度額が低く抑えられ、再建にはほど遠いというのが実態です。国や県が公的支援に反対する中、私たち日本共産党は、住宅・生活再建に公的支援をと、被災者と一体となって議会内外で一貫して取り組んできましたが、ついに住宅本体への公費支援や支給額の引き上げなど、抜本的な見直しを求める声が全国で大きな流れとなってきました。
 ところが、知事の国への要望書では、住宅本体の再建を支援対象にとは書かれていますが、支援金の増額は一言も触れていません。支給限度額を引き上げるべきとの私の指摘に対して、県は「憲法上私有財産への支援は問題であり、公的支援には限界がある。足らずは県の住宅再建共済制度でやればよい」との答弁でした。政府は「300万円では住宅の再建はできないから住宅本体への公費支援をしても私有財産形成につながらないから問題ない」と発言したそうですが、国のこのおくれた認識から県は一歩も出ていないということではありませんか。しかも、問題なのは、そのおくれた認識を取り繕うために県の住宅再建共済が使われているということです。
 新聞報道によれば、最近、副知事は、県の住宅再建共済の加入者がふえないため、一人何口加入してもよいようにしようと言ったそうですが、一人で何口も加入すればするほど自分の再建資金がふえる、これがなぜ助け合いですか。自助そのものではありませんか。
 県の住宅再建共済発足の際、私たちは、公的支援に力を入れない県の姿勢のカムフラージュに使われるのではないかと危倶しましたが、危倶どおりです。住宅再建への公的支援強化にこそ全力を挙げるべきです。住宅本体の再建を支援対象にすることはもちろん、支給額を少なくとも500万円以上に引き上げること、支援対象を中小商工業者や商店街の再建に広げること、既存ローンの負担を軽減すること、阪神・淡路大震災被災者を初め、この間の災害被災者に対しても支援措置を講じることを国に求めることを要求します。知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:続きまして、被災者生活再建支援法の見直しについてです。
 被災者生活再建支援制度は、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、県と県議会が一致して国に働きかけた結果、生まれた制度であり、これまで29災害の被災世帯に132億円が支給され、被災者や被災地の復興に大きな役割を果たしてきております。
 しかし、住宅本体の建築費等が対象となっていないことや、年齢・年収要件が厳しいといった課題もあり、本県では、一貫してその改善を強く求めてきました。
 県としては、国の私有財産への支援が問題という考え方に対して強い異議を提示してきたのでありまして、県が私有財産への支援が問題という考え方を示したことはありません。
 また、共済制度は、共助の制度として、本来、本県独自に創設したもので、国の制度を補完するものではありません。公助と共助と自助とが住宅再建を支えるものと考えています。
 現在、臨時国会での改正をめざして、与党及び民主党において、この支援制度の改正案が検討されていますが、これらは基本的に本県や全国知事会の提案に即したものとなっており、一日も早い制度改正を求めてまいります。
 支給限度額の引き上げや商工業者など支給対象の拡大といった課題は、地方の負担増が避けられず、都道府県間の合意形成が不可欠です。このため、これらについては、今後、被災者支援に係る諸制度全体の見直しの中で検討していくことが望ましいと考えています。
 なお、阪神・淡路大震災の被災者に対しては、復興基金を活用して各種の施策を講じてきており、新潟県や石川県においても、復興基金により被害実態に応じた支援措置が行われるべきものと、このように考えています。 このページの上へ

少人数学級を中学校まで拡大を

■質問■ ことしは小学校3年生まで35人学級が県下で実施され、子供たちと父母、先生方に好評を呼び、中学校にまで少人数学級を実施してほしいとの声が大きく広がっています。
 先日、私は、少人数学級を小中学校で実施している愛知県の犬山市を調査しました。この犬山市での少人数学級の取り組みは、ただクラスを少人数にしただけではありません。兵庫県のように序列をつくる「個に応じた教育」でなく、すべての子供の学びを保障し、一人一人を大切にした真の個に応じた授業づくり、子供を競争で追い立てるのではなく、共生──ともに生きる、共同の教育、少人数学級だからできる授業づくりに教員の英知を発揮させているのが大きな特徴です。
 その結果、日本の児童の大きな問題点と言われる自己肯定感が乏しいという点が改善され、算数や数学の勉強が楽しいという児童が、犬山市では全国平均より、小学校4年生で15ポイント、中学校2年生で10ポイントも高くなり、学力の底上げの成果も生まれてきています。OECDで学習到達度、連続世界一となったフィンランドの教育と同じ方向が犬山の教育で実践されているのです。両方に視察に行った私の実感でもあります。
 また、学力面だけでなく、暴力行為、いじめや不登校の率が急激に減少していますが、県単独の財政措置で中学校でも全学年30人程度の学級にした福島県では、これらの数値が全国でも最も低いレベルです。文部科学省の全国調査でも、中学校で「不登校やいじめが減った」と答える割合は、少人数学級未実施校では4割しかないのに、少人数学級実施校では8割近くに上っています。
 県が、中学校での少人数学級に反対する本当の理由は、教科担任制の中学校で少人数学級を実施すれば、すべての教科で授業数をふやさざるを得ず、結果、多数の教員が必要となるという経費の問題ではありませんか。
 犬山市教育委員会が言うように、教育は最大の公共事業です。次代の兵庫県、日本を担う子供たちへの少人数学級の実施を、経費を理由に怠るなどということはあってはならないことです。中学校での少人数学級を兵庫でも実施することを求めます。知事の決断を求めます。

▼答弁▼吉本知之教育長:少人数教育を大別いたしますと、35人学級編制など、学級編制を少人数にいたします、いわゆる少人数学級と、児童生徒の学力などの状況に応じて柔軟な学習集団を編成いたします、いわゆる少人数学習集団の二つの方法がございます。少人数学級をまず必要教職員数で見ますと、中学校では、一般的には少人数学習集団に比べまして必要教職員数が多くなる状況にあります。
 次に、事業効果で見ますと、生活面では、基本的生活習慣の定着への効果が、少人数学習集団に比べ、より評価される一方で、学習面ではほぼ同様の評価となっております。これらを踏まえまして、本県におきましては、基礎学力の定着が重要な課題となります小学校高学年、中学校では、費用対効果も考慮し、少人数学習集団の充実に取り組むこととしたところであります。
 また、暴力行為やいじめ、不登校について、平成17年度の公立中学校での発生率の高い府県を見てみますと、暴力行為、いじめ、不登校のいずれの項目におきましても、上位10府県中6府県を少人数学級実施府県が占めておりまして、少人数学級の導入が直ちに不登校などの課題解決に結びつくとの結論は得にくいのではないかと考えております。
 なお、本県におきます不登校や問題行動など生活面への対応につきましては、全国に先駆けて実施をいたしましたスクールカウンセラーの全校配置や、本県独自のトライやる・ウィークなど体験学習の推進、学校支援チームの配置・派遣など、その未然防止や早期対応・解決に向けたさまざまな取り組みを推進しているところであります。 このページの上へ


重大な問題のある「武庫川治水計画案」の全面見直しを

■質問■ 現在、県が武庫川流域委員会に提示している武庫川流域河川整備基本方針原案は、流域対策による流出抑制量を毎秒80立方メートル──以下トンと言います──で固定し、残りの流出量4,610トンを洪水調節施設と下流の武庫川河道で分担するとしています。
 重大な問題の一つは、流域対策による流出抑制を80トンに固定しているということです。
 大量に降った雨が一度に川に流れ込めば洪水となりますが、洪水のピークの時間は県の想定でも2時間程度です。降った雨を森林や田畑や調整池など流域全体で受けとめ、一度に流さず、時間をかけて流すようにすれば、流量のピークの山を抑え、洪水の危険を抑えることができます。これが流域対策です。
 21世紀の治水対策は、洪水の大もとの流出量を抑える、これが柱にされるべきで、既に宝塚市や伊丹市では、開発による調整池設置を県基準より厳しくし、流出量を抑える努力をしています。
 しかし、県の治水計画では、今後、流域でどんなに流出抑制に取り組んでも80トン以上は絶対見込まないとしているのです。しかも、今後、流域で新たに20万平方キロメートル──調整池設置義務づけの県基準の2,000倍の面積が開発されると見込みながら、新たな調整池は一つも設置されないとしています。それはなぜか。それは流出抑制が進み、その効果を数値として見込むようにすれば、流出量が減少し、ダム建設の前提が崩れるからです。つまり新規ダム導入のための80トンの固定なのです。
 県は、森林や田畑の流出抑制は未解明な点があると言いますが、30年以上前から武庫川ダム計画を検討しながら、流域対策による流出抑制はまともに検討してこなかったのは県自身ではありませんか。流域対策による流出抑制を進め、ピーク流量を抑えることは、膨大な費用の新規ダムを必要とせず、むだな投資を抑えよという国民的要求にこたえることにもなります。県はダムに固執せず、流域での流出抑制に真剣に取り組み、その成果が数値としても反映される基本方針にするべきです。
 また、武庫川下流の流下能力の疑問も解明されていません。
 県は、計画水位での武庫川下流の流下能力は2,500トンしかないとしていますが、3年前の23号台風では、その計画水位よりも1メートルも低い水位で2,900トンの洪水が流れました。さらに、この水量から逆算すれば、計画水位で三千数百トンも流れることが県の資料で判明しました。2,500トンしか流れないのではなく、三千数百トンも流す能力があるということです。この差約700トンは新規ダム1個分であります。
 県は、3年前の台風のとき、たくさん流れたのは鉄砲水で川底がえぐられたからだと説明しましたが、洪水時には川底の砂が深さ数十センチにわたって巻き上がり、洪水流と一体となって動くことはよく言われていることであり、武庫川の洪水時ではいつも起きることではありませんか。
 流出量を過大に見込み、ダム1個分に相当する流下能力の疑問を解明しないまま基本方針を強行して決め、数百億円のダムを建設する。この間の県のダム事業は、当初の事業予定額よりも最高で1.8倍、平均でも5割も増額し、243億円も増額をしています。小さく産んで大きく育てる、受注はすべてゼネコンです。
 原案を全面的に見直し、以上指摘した点を踏まえた武庫川河川整備基本方針案に改めることを求めます。知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井上俊廣県土整備部長:武庫川水系河川整備基本方針では、流域対策を総合的な治水対策の柱としております。この基本方針に位置づける流域対策は、将来にわたり洪水時に安定的かつ確実に流出抑制効果が発揮される必要があり、最大限見込める施設として、学校112ヵ所、公園78ヵ所、ため池90ヵ所、防災調整池53ヵ所を対象に合計約220万トンを貯留することにより、甲武橋地点での洪水のピーク流量を毎秒80トン低減させることとしております。
 なお、洪水のピーク流量につきましては、森林や田畑等が有しております保水機能を流出モデルに組み込んで算定し、流域対策の効果も踏まえ、毎秒4,610トンとしております。
 流下能力の算定につきましては、ご指摘の1回だけの推定流量から逆算した粗度係数を用いることは適切ではなく、河床砂れきの大きさや水深等の関係から求めた推定粗度係数を用いて算定することが、河川砂防技術基準等に準拠しており、合理的と判断しております。この手法により求めた流下能力毎秒2,500トンは、河川工学の専門家からも妥当であるとのご意見をいただいております。
 以上のことを踏まえ、河川管理者の責務として、県民の安全と安心を第一に考え、河川整備基本方針を作成していくこととしております。 このページの上へ

天然アユの遡上できる武庫川をとりもどそう

■質問■ 今、東京の多摩川、九州の筑後川、次々と天然アユの遡上できる川に取り戻す取り組みが進んでいます。
 武庫川もかつては、生瀬地域にはアユを食べさせる店が立ち並ぶほど、豊かな自然に恵まれた川でした。
 私が先日参加した武庫川に天然アユの遡上を取り戻す市民の集いでは、千種川圏域清流づくり委員会の代表の方が、天然アユの遡上の条件の一つは、河口部にアユの稚魚の育つなぎさがあるかどうかだが、武庫川には甲子園浜があるではないかと語られました。議会内外で甲子園浜や御前浜の保全とともに、武庫川にアユを取り戻すことを繰り返し提案してきた私は大いに意を強くした次第です。
 さて、その方は千種川流域で実施している水温調査では、いわゆる風船ダムの箇所は35度にもなり、これではとても水生生物はすめない、多くの魚は死滅する。千種川では、風船ダムや堰が障害になっているが、武庫川でも川を横断している床どめ工や潮どめ堰が問題と指摘されました。
 私も、武庫川の水温をはかって見ますと、国道2号真下の床どめ工では、激しく水が流れている魚道の川底のところでも34度の水温でした。9月中旬でもこの水温ですから真夏は大変な高さの水温でしょう。水温上昇を抑えるには、水が滞留せず、絶えず流れ続けるという、みお筋を確保することが必要ですが、床どめ工で水がたまり、みお筋確保の障害になっています。アユの遡上に現在の潮どめ堰や床どめ工が障害になっていることは明らかです。
 また、県は、潮どめ堰の撤去や常時転倒は、塩水が地下水にはいり、井戸水を利用している人が困るといいますが、ほとんどが家庭でのまき水などに使っているのが実態です。試験転倒などを行い、影響が本当に出るのか調査をすべきです。
 千種川の方は、長年の取り組みの中で、川でとったアユを食べるなど、子供たちの五感を伴う原体験がふるさとの思い出を形成すると語っておられました。武庫川流域の子供たちが、ふるさとの思い出と自然を大切にする原体験を持てるためにも、武庫川河川整備基本方針に、アユの遡上する武庫川に取り戻すことを明記し、指摘した具体的な検討を実施することを求めます。
 知事は、事あるごとに共生──ともに生きる、環境学習を言われますが、ここにこそその立場が求められます。知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井上俊廣県土整備部長:武庫川峡谷より下流区間では、河川改修に合わせて、井堰や床どめに魚道等を設置してきており、魚類が上下流に移動できるよう連続性の確保に努めてまいりました。
 平成15年に、学識経験者の指導を得て実施いたしました「ひょうごの川・自然環境調査」では、アユの生息を確認しており、遡上が可能な連続性は確保されている旨の報告を受けております。
 武庫川水系の河川整備基本方針では、「魚類にとって、より望ましい武庫川とするため、産卵や生息の場として利用されている瀬、淵の保全や移動の連続性の向上に努める」こととしており、その具体的な向上策につきましては、今後、実施の段階で検討していくこととしております。
 なお、潮どめ堰は、地下水への塩水遡上を防ぐ目的で、周辺井戸への影響について調査を行い、従前あった床どめ工にかわる施設として、平成4年度に完成したものでございます。
 現在、塩水遡上の影響を受ける尼崎市、西宮市の地域には50ヵ所以上の井戸があり、樹木へのかん水、ふろ等に利用されていることから、潮どめ堰は、これらの生活用水の確保にとって必要な施設であり、転倒できないと考えております。 このページの上へ

再質問

■質問■ まず、教育長の答弁、本当に都合のいい数字だけを並べたというような内容で、本当に子供たちが今置かれている状況はどうか、これはぜひ知事に考えていただきたいんですね。今、子供をめぐるいろんな事件が起きて、本当に子供をはぐくむ教育の充実というのは待ったなしの状況だと思うんですけれども、私が質問で取り上げました内容もですね、これはちゃんと文部科学省の調査に基づいて言っているんですけれども、例えば、同じように、この文部科学省の調査の中ではですね、少人数指導がいいか、少人数学級がいいか、どちらの方が効果があると考えるか、学校現場に直接尋ねているアンケート結果なんですけれども、少人数指導、少人数学級ではなくて少人数指導をしている学校ではですね、学級編制を少人数にした方が効果的だという回答結果が、小学校で80%、中学校で85%あるわけです。みんな、やはり少人数指導よりも少人数学級編制にした方が効果的だと、はっきり学校現場から実践によって答えが返ってきているわけです。現実に中学校で少人数学級にしたところは、確実に子供の状態がよくなっている、そういう点でも、問題は予算措置をするかどうか、犬山市にしても、あるいはまた福島県にしても、独自の予算措置をして、中学校にまで少人数学級を実施をしている。まさに、これは知事にその決断の権限が、責任がある、財政措置の問題ですから、そういう意味でも、知事の決断次第でこれが進むと、やはり国の動きに手をこまねいて見ているんではなくて、英断すべきときだと、実施に向けてその少人数学級、中学校でも実施をする。そのことについて検討を進めていくべきだと思うんですが、まず、この点について答弁を求めたいと思います。
 もう一つは、武庫川の問題ですけれども、本当にいいかげんな答弁になっていると思うんですね。
 一つは、地下水が塩水で、潮どめ堰を外したら地下水が塩にまみれてしまうと。しかし、阪神間には、宮水という地下水があるんです。あれは六甲の水と海の水がまざってなっている。だから、あたり一帯は、もともと海からの塩水の影響が地下水には影響している。だから、川の中の水には塩どめ堰があるかないかで塩の影響が出ます。ただし、それは1キロ程度の上流までですから、ほとんど地下水には関係ないと、だから、こういう地下水に本当に影響するのかどうか、まともな検討もなしに、ああいう答弁はけしからんと思うんですけれども、そういう意味でも、実際にどうなのかということは、転倒堰を倒してみたらすぐわかるわけですから、ぜひそれは検討するということで、まともな検討もせずにね、反対ばかりしないで、アユの遡上する武庫川を取り戻すというために検討していただきたい。これも知事の答弁をお願いします。
 もう一つは、同じ武庫川の問題ですけれども、流出抑制の問題ですけれども、私は、80トンというのが少ないから問題だということだけを言っているんじゃないんです。なぜ固定するのか、未来永劫固定すると、こういう考え方自体がおかしいんではないか。現に宝塚市や伊丹市では、県の基準よりも3倍厳しい基準で流出抑制をやっている。これを県もやり、流域各地も全部やれば、流出抑制が大きくさらに働いてくる。こういう努力を治水計画に反映させないという、頭から否定をしているというやり方がおかしいと言っているわけで、だから、話をすりかえた答弁ではなくて、そういう流出抑制の取り組みが、効果が上がれば、それはきちんと評価をすると、数値にも反映させるという内容にぜひ変えていただきたいと思うんですが、これも知事の答弁をお願いします。

▼答弁▼井戸知事:非常に文部省の調査を踏まえて再質問いただきましたが、それならば文部省の方で財源手当ても含めて、直ちに標準法を見直していただければ、私、いつでも実施をいたします。三位一体改革で、私どもが義務教育費国庫負担金はすべき引き受けます、だから、税源移譲してくださいと言っても、義務教育費国庫負担金は義務教育制度の根幹だから、必ず文部省が握ってなきゃいけないという姿勢を通したのが文部省ですよ。
 ですから、文部省がまずそうおっしゃるなら、少人数学級ができるような措置を講じていただくべきだと、そのように思っております。(「そんな情けない姿勢ではだめです」と呼ぶ者あり)いえいえ、違いますよ。全然違うじゃないですか。何を言っているんでしょうか。補助金の制度を確保するために頑張り通そうとしたのは文部省ですよ。私どもは、自由に任せろということを言ったのに、自由に任せないと言ったのが文部省ですよ。そのような姿勢をとっている文部省に対して、我々は、少人数学級にしても、いろんな形にしても、教育の自由化ということを申し述べているんです。
 それから、2番目、潮どめ堰の効果については、私が答えるべき専門家能力はありません。ただ、いずれにしても、潮どめ堰は、潮が上るのを阻止するために設けているので、潮が上ってもよければ潮どめ堰なんかつくるはずがない。したがいまして、何で潮どめ堰を、潮を上らせるためにだったらわかりますけれども、影響がないだろうということで、あけてみろという方が、よほど暴論じゃないでしょうか。
 それから、流出抑制につきましては、開発者が原因者として、今までの現状を変えないために流出抑制のための調整池等を設けるというのが基準ですので、宝塚ですとか伊丹の基準が、もし県の基準よりも高いとすれば、伊丹とか宝塚における実情に即した基準をつくられているということだと考えます。 このページの上へ

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