郵便サービスの切り下げ、ムダな公共事業などに反対
私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程中の議案のうち、第64号、第65号、第67号、第68号、第71号、以上5件に反対し、討論を行います。
第64号議案は、郵政民営化法等の施行に伴う法律の改正を受けて条例を改正するものですが、その中に、道路占用料を徴収しない占用物件のうち、郵便などの業務の用に供するものを削除するとの内容も含まれています。
これまで、公益性が高いということで免除されてきたポストなどに道路占用料が徴収されることになれば、ポストをもっと設置してほしいという住民の願いに逆行するばかりか、現在設置されているポストも、利益優先、効率優先で削減されるおそれがあるなど、住民のサービスの切り下げにつながるので反対です。
第65号議案、兵庫県警察本部の組織に関する条例の一部を改正する条例制定の件についてです。
これは、国の犯罪収益移転防止法の成立に伴って、兵庫県警察本部の刑事部の所掌事務に、犯罪による収益の移転防止に関することを追加しようとするものです。
マネーロンダリングやテロ資金の移動を防止する対策を行うことは必要ですが、そのことを理由に国民の自由や権利を過度に制限することがあってはなりません。ところが、この法律は、法律で定めた特定事業者において、疑わしい取引が行われていると公安委員会や警察が一方的にみなしさえすれば、その特定事業者への立ち入り、検査、質問などが令状なしで行うことができるというものです。
この特定事業者には、金融機関、クレジット業者、宅建業者だけでなく、現在は適用されていなくとも、仕組みとしては弁護士や司法書士、会計士、行政書士なども対象とされています。法律そのものに国民の自由と権利が侵害される重大な問題があり、よって本議案に反対です。
第67号議案は、兵庫県道路公社が遠阪トンネル有料道路、西宮北有料道路、播但連絡有料道路の障害者割引の条件や内容を変更するときに、事業簡素化のためという理由で、議会を通さずに決めるというものです。
変更内容は、自動車の種類や親族等の条件、ETCカードの条件、支払い手段などとしていますが、仮に変更されて障害者に不利益をもたらすものとなる場合でも、議会のチェック機能が働かなくなるのは問題です。
第68号議案、出訴の件です。これは、緊急自動車による交通事故での損害賠償請求事件に対する反訴を県が行おうとするものです。
この事件は、昨年10月に加古郡稲美町の県道の交差点で緊急走行中のパトカーが赤信号の交差点に進入して、市民の車と衝突し、双方の車両が損傷したものです。道路交通法39条第2項では、緊急自動車は、法令の規定で停止しなければならない場合でも停止することを要しないとしていますが、他の交通に注意して徐行しなければならないと定め、さらに、兵庫県警察運転及び車両管理規定では、その法規定にかかわらず、信号機のとまれの表示などにおいては徐行または一時停止し、必ず安全確認することとして、特別に慎重な運転を求めています。
県警は、事故時点のパトカーの速度が時速30キロであったとしていますが、これは、徐行または一時停止し、必ず安全確認することに沿ったものと言えるでしょうか。今回の事故を受けた県民は、緊急自動車の運転に携わる方であり、その意味では、緊急自動車の運転に当たっての注意事項などもよくわきまえておられ、それだからこそ事故後の県警の対応に全く納得がいかず、今回の事態になっていると考えられます。したがって、提訴されたから反訴などということではなく、事故の原因がパトカー側にあるとの立場からの解決を図るべきです。
第71号議案は、一般国道178号(東浜居組道路)の県境トンネル建設工事の契約金額を減額するものですが、車の交通量が1日2,647台しかない道路に、総額130億円、うち県費41億円をかけて、わずか10分短縮するだけのトンネル工事を建設しており、また環境影響調査でも、クマタカ、ハヤブサなど絶滅危惧種の生息が確認されているのに、調査をわずか9ヵ月で打ち切ってしまって建設を進めるなど、もともと問題のある工事であり、減額ですが、賛成できません。
なお、第72号、総合リハ・小児リハ病棟等建築工事請負契約締結の件については、賛成ですが、これは県立のじぎく療育センターを廃止し、移転する施設として建築されるものです。当初、のじぎく療育センターの機能を大幅に縮小する計画だとして、保護者や関係者から大きな反対の声が上がっていました。こうした声を受け、県は、新たな施設でも従来の機能を基本的に維持するとしています。医師やスタッフの確保を含め、肢体不自由だけでなく、重複障害や心のケアにも対応するなど、従来の機能が十分に保障されるよう強く要望しておきます。
以上、議員の皆さんのご理解とご賛同を求め、私の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。
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