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本会議 第290回本会議代表質問 筒井もとじ
2007年2月20日

1.知事の政治姿勢と新年度予算

■質問■ わたしは敗戦による開放感と物資不足の異常な社会状況のなか、政治の世界に身を投じて60年、県議会にはじめて日本共産党議員が進出し、わたしも県政刷新をめざして40年、県会議員として20年、喜寿を迎えて日本共産党県議団の代表質問をさせて頂きます。
この40年は、金井、坂井、貝原そして井戸知事と4人の知事の時代であり、わが党とともに社会、公明両党議員団も、県予算に反対したり、知事選に社共の革新統一知事候補の擁立があったり、八鹿高校事件で暴力的利権集団にたいするわが党の断固たる闘争があったり、紆余曲折を経ながら、貝原知事の登場を期に、いわゆる「オール与党」体制の議会が誕生しました。一貫していたのは、自民党とその対極にあるわが党でした。
さて、本県議会における新年度予算などの知事提案でありますが、細かい施策をこまごまと説明紹介されていますが、元気な兵庫の飛躍という抽象的な言葉の強調以外に県民に県政の姿がうつる文言はありませんでした。
定率減税が全廃され、引き続く各種負担による影響で、03年税制改悪以来、県と国による増税、保険料その他にもはねかえり、県民生活を一層苦しくしていることは、全く触れられません。
また、一方、法人関係税は大企業減税のなかでも475億円と大幅な増収。しかし、地方交付税の削減や国庫補助負担金の廃止による大幅減収減さえ言われませんでした。
きびしい予算の中で、松下には18億円、新日鉄には4億円の設備投資補助など、大企業には「元気ひょうご」、県民には負担増をもとめる新年度予算こそ、説明させるべきではなかったのでしょうか。
「創造的復興」としてすすめた大規模開発の後始末による県の借金返しや実質公債費比率の引き下げのための県債管理基金への小手先対策で、問題を先送りする予算の説明こそ必要ではなかったのでしょうか。
庶民への負担増の一方で、大企業には優遇補助金という税金の使い方は、逆立ちし、まちがっています。庶民のくらしを応援する県政に転換する新年度予算案にすることを強く求めます。

▼答弁▼井戸敏三知事:日本共産党議員団を代表しての筒井もとじ議員のご質問にお答えいたします。まず19年度の予算編成についてです。19年度は言うまでもなく亥年です。亥年であるがゆえに新しいスタートの年にしなくちゃならない。私はこのように思っています。といいますのも、12年前のあの亥年には、あの阪神淡路大震災に見舞われ、その後、この12年間、復旧復興に軸足を置いた県政を推進せざるを得なかったからです。そのために、財政運営も膨大な復旧事業に対応するため生じた財源不足を補うため、地方債の追加発行や、県債管理基金の活用をしながらも、県民の総力を上げた努力とあいまってようやく人口も経済力も震災以前の水準以上となり、昨年は感謝国体を通じて復興のメッセージを全国に伝える一つの区切りを迎えたと考えています。だからこそ今年は、創造的復興を目指して培ってきたものを礎に、未来を開く活気に満ちた地域づくりをすすめることを基本に、元気な兵庫への飛躍をテーマに上げたものであります。19年度当初予算においては、税収の増加は見込まれるものの、地方交付税の大幅な減額等により、昨年以上に厳しい財政状況になりました。行財政全般にわたる抜本的な見直しを行い、選択と集中をはかり、限られた財源を県民ニーズの高い事業へ重点化することに心がけました。このため、元気な兵庫へ飛躍を目指して、ソフト基盤の確立した安心な兵庫、ハードの整備が進む安全な兵庫を基礎として、元気な兵庫をつくる基本目標を実現することとしたものです。元気な兵庫としては、人格形成の初期のころから自然体験を基本とする環境学習をすすめるための環境体験事業やひょうごっ子グリーンガーデンを実施しますし、小学校における35人学級編制の3年までの拡大を行います。中小企業に対する融資制度を前年同額3300億円確保することにしました。安心な兵庫としては、乳幼児医療費助成の対象を小学校3年生まで拡大し、小児救急医療体制の整備充実と、医療確保総合対策を推進しています。障害者の自立支援の促進もはかります。安全な兵庫としては、病院・学校・福祉施設等の耐震化を促進すること、くらしの安全安心サポートの強化、利用者の視点に立った生活道路の緊急整備等を行います。これらを通じて元気な兵庫の実現に意を用いたつもりです。今後とも県民本位・生活重視・現場主義の県政を推進し、県民生活の質の向上をはかりながら、元気な兵庫への飛躍を目指してまいります。このページの上へ

2.国保・介護保険で高齢者の負担軽減を

■質問■ 昨年の税金などの県民・市民の負担増には大変な怒りがまきおこりましたが、来年度もさらに続きます。定率減税の廃止分をはじめ、老年者控除など、新たに60億円近くの負担増が上乗せされ、合計191億円が、県民緑税も含めて税制改悪により県民に押し付けられます。
昨年6月に成立した医療改悪法では、高齢者に2〜3割の医療費負担、70歳以上の長期入院の食費・居住費の自己負担、来年は75歳以上の医療保険制度をつくり、死ぬまで保険料の天引き徴収、療養病床の38万床を15万床まで減らすことなどが盛り込まれました。県民を守るべき知事の正念場となるものです。
財源別に国民医療費のこの30年間を見ますと、政府の負担が10ポイント、事業者負担も17ポイントも下がり、地方自治体負担が倍増、被保険者も患者負担も激増しています。
もともと医療は支払い能力と関係なく必要が生まれるものであり、営利主義ではやれないものです。また先進国では企業の応分の負担が当然視されるものであります。
年金や医療や介護の制度がしっかりし、教育の費用も心配ない。憲法25条がしっかりまもられてこそ、個人消費がのびるのではありませんか。
生産と消費のサイクル、公共投資による消費や外国にまわす輸出のやりすぎ、ましてや軍事的破壊の消費の道は絶対に進んではならない、憲法9条の大切さ、社会保障の大切さを知事は肝に銘じていただきたいと思います。
神戸市の国民健康保険料は95年には4万4000円だったものが、現在8万円以上に上がっています。市民は負担増にあえいでいます。兵庫県としても、国保料を引き下げるための支援が必要ではないでしょうか。
現在、市町の国保にたいして県は、国庫ペナルティー分の補助と、市町が政令で定められた保険料の軽減措置の一般会計繰り入れの4分の3を補助する「国民健康保険基盤安定負担金」や調整交付金を支出していますが、不充分です。
そこで、高齢者の負担増にたいする県の支援として、高すぎる国民健康保険料の引き下げのための市町補助をすること、また介護保険の独自減免制度をつくることを求めます。

▼答弁▼井戸知事:高齢者への支援について、国民健康保険制度等についてお尋ねがありました。国民健康保険制度と介護保険制度は、市町が制度の運営責任を負っており、県は広域自治体として法令に基づき、制度運営にかかる技術的助言と財政支援を行うこととされています。県としては、国民健康保険についての市町への補助として、既に国保財政の安定化や保険料軽減のため、法令に基づき保険料の軽減分に対する保険基盤安定負担金、高額な医療費を対象とする高額医療費共同事業負担金、市町間の給付と所得の不均衡を調整する調整交付金を支給しておりますが、その他に、県単独として国庫減額分を対象とする事業費補助金を交付するなど市町に対する必要な支援を行っております。介護保険においても県は居宅給付費の12.5%、施設給付費の17.5%等を負担しています。また介護保険の負担軽減について、県として国へ要望を重ねた結果、新たに年金収入80万円以下の層に対する軽減措置や、地方税法の非課税措置の廃止に伴う2カ年間の激変緩和措置が講ぜられたところです。今後とも、県としては県としての役割を果たしてまいります。このページの上へ

3.こども医療費助成の充実を

■質問■ 次に、「こどもの医療費助成の拡充」についてです。
これまでわが党は繰り返し乳幼児医療費助成制度の拡充を求めてまいりましたが、少子化問題が深刻になるなかで、この制度を抜本的に拡充する必要を痛感し、先の県議会でも条例提案したように、「こども医療費助成制度」に名称をあらため、「中学校卒業まで医療費無料」、「所得制限なし」などを実現することを提案したものです。
日本共産党のこの取組みには、歴史があります。1971年に国会ではじめて取り上げ、兵庫県議会では72年9月に取り上げて以降一貫して追求してきました。日本共産党は全国の自治体で取り組み、いまや全国の自治体になんらかの助成制度があります。
兵庫県では、1971年の老人医療費助成につづき1973年に、1歳未満児の助成制度として開始され、その後3歳未満児まで(94年)、入院を6歳まで(99年)と無料制度が拡充されてきましたが、県の「行革」がはじまるなかで、通院を6歳まで拡大するとともに、一部負担が導入されました。
日本共産党は、福祉医療の改悪、一部負担の導入に反対しましたが、自民・公明、ひょうご県民連合など与党会派の賛成もあって、強行されました。
しかし、改悪された後も、県民からの「医療費無料に」という要望は強く、各議会に出される数多くの請願や、われわれの行った県民・市民アンケートなどに現れています。
「負担の公平性」と言って国などの制度改悪に追随することはまちがいであり、県民の要望にもとづく施策にすべきです。財源の問題も、われわれは具体的に、公共事業を中心とした不要不急の事業を見直すことを指摘しております。
来年度予算において、知事が4月から「小学校3年生まで」に対象を拡大することは、喜ぶべきことですが、県民の要望からすれば、まだまだ不充分です。
東京などでは、23区のうち、19もの区で中学校卒業まで無料、所得制限なしというところまで進んでいます。
県下の市町でも、昨年に小野市が先駆けて小学校6年まで通院・入院とも無料化を発表し、今年になって加古川市や佐用町などでも、充実の検討がはじまっています。
知事の決断で、「中学校卒業まで無料化」「所得制限なくす」など、さらに制度の抜本的な拡充をめざすべきと考えますが、いかがですか。

▼答弁▼井戸知事:次に、子どもの医療費助成の拡充についてです。本県の乳幼児医療費助成制度については、ご指摘もありましたが、これまでも対象拡大や、自己負担の定額負担への見直し、さらに所得制限の緩和など、制度の充実に意を用いてきました。自己負担は、福祉医療制度を維持し持続的で安定した制度とするために必要なものと考えていますが、低所得者には負担を軽減するなど、配慮をしています。また、この制度は、支援を必要とする者に対して医療保険制度の自己負担を軽減することを目的としておりますので、制度のあり方から見ても、所得制限は必要と考えていますが、ゼロ才児は医療の必要性が高いことから、所得制限は設けていないものです。このような取り組みにより、本県の制度は既に全国的に見て高い水準となっていますが、県議会少子対策調査特別委員会の報告や、当初予算編成に対する申し入れ、多くの県民のご要望にも応えるため、厳しい財政事情にもかかわらず、誰もが安心して子どもを産み育てる環境整備の一環として、本年4月から小学校3年生まで拡大することにしたものです。東京23区のように、税源が豊かな地域のみが特別な対策を講ずることは、あまりにも地域格差が生じすぎるのではないかと考えますが、兵庫として最大限努力したものであり、ご理解願います。このページの上へ

4.医師確保、但馬の公立病院再編問題について

■質問■ 次は、昨年来大問題となり、決算議会でも代表質問をはじめ決算特別委員会でも取り上げてきた医師不足とそれが引き金となって地域住民のあいだで地域をゆるがせる運動となっている公立病院の問題です。
西播磨や北播磨の市立病院の診療科の閉鎖が相次ぎ、但馬も含めた10の圏域で「地域医療確保対策圏域会議」が設置され、医師不足に対応した対策の検討が行われようとしています。
いま但馬全域にわたって“医師確保、公立病院守れと、但馬の9病院は住民の命綱、病床削減、診療所化は地域医療の崩壊だ”という声が沸き起こり、“安心安全を言うなら命の平等を”と切実な声があがっていることは、知事もご承知の通りです。
但馬の医療確保対策協議会によって、昨年末に集約化案が発表され、その後、公立豊岡病院組合が、4月から出石病院を病床ゼロの診療所化、日高病院を医療センターに改編する案を発表し、住民説明会を行いました。
旧出石郡の説明会では、出石で500人以上、但東では約360人の住民が会場からあふれるほど参加し、出石病院の病床ゼロとする案に、出石病院長も含めて反対を明言し、1人の賛成もありませんでした。説明した中貝豊岡市長も「持ち帰って、再検討する」と言わざるをえず、豊岡病院の案は、そのまま実行することができなくなっています。
その後、旧出石町や但東町や、新温泉町などでは有権者数に匹敵するほどの住民から、「公立病院守れ」の署名があつまっており、14日には「出石病院の存続」を求める要望書が住民から提出されました。
今回の計画はあくまで案であり、県派遣医師の人事を考慮して住民の理解をえたいと言われていますが、医師不足が原因であるのなら、本来医師確保対策が第一ではないか。
地域の市町が共同で出資してつくった病院で、なぜ集約化ありきから出発なのか。住民は全く納得できないままです。
地域医療に責任を持つ県は、医師不足対策に県職員として採用する医師を年間25名採用し、その半数を市町の要望に応じて派遣するとしていますが、これが着実に実行されれば、集約案は地元での検討期間をのばして、地元合意でつくり直すことができるのではないでしょうか。
わたしは、但馬の公立病院の院長に話を直接うかがって、大変な当直勤務をしながら、医師がなんとか確保されるまでの間、「医師が減る中でも、これまで苦労されてきた高齢者を守りたい」と「燃え尽きないように。過労死しないようにがんばる」という熱意と覚悟を感じてまいりました。
「救急医療を維持するために、集約するしかない」との意見もありますが、中心となる公立豊岡病院の「救急医療センター」については、もともと県の施設として出発しており、施設と人的体制の整備については、国と県がもっと責任を果たす必要があるのです。
知事は、企業誘致や但馬空港の東京便への熱意よりも、但馬の公立病院の医師の努力や覚悟に答える方向にこそ熱意や努力を振り向け、(今年度5名の実績となった)25名の県職員医師を絶対に確保するために知事としても最大限の努力を尽くされることを求めます。
その際、政府の医療費抑制政策と、それにもとづく医学部定員の削減で医師養成を抑制する政策にきっぱり反対をつらぬくこと、医師不足を逆手にとった公立病院の再編、統廃合をすすめるやり方に同調することをやめるべきだと思いますが、いかがですか。明確な答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:医師確保対策等についてです。新医師臨床研修制度により、特定の地域や診療科での医師の偏在が激しくなる中で、地域の医療供給体制を確保していくためには、医師の量的な確保と医師の偏在に対する対応が不可欠でありますので、昨年夏、本部を設置し対策を講じています。ご指摘の研修医師の県採用制度については、研修生からは多くの関心が寄せられたのでありますが、県の募集の前に、既に他の病院と接触しており、今回は見送らざるを得なかった等の意見もたくさん寄せられており、今年度5名にとどまりましたが、既に来年度の研修生が、説明会に参加していることなどから見て、来年度に向け働きかけを強化してまいります。また、短期的な効果が期待できるドクターバンク事業への支援をすすめてまいりますとともに、神戸大学での奨学金制度の創設や、鳥取大学等への寄付口座の開設に、退職医師の再就職支援センターの設置など、医師会・大学等のご協力のもと最大限の努力を続けています。また、医師養成大学の特別定員の増員についても国に強く働きかけているところです。今後県としても、医師会・地元病院等の参画する圏域会議において合意された体制整備への支援を行うとともに、ヘリコプター等を活用した搬送体制の整備、ドクターバンク登録医師が執務しやすい土日会員の勧奨など、あらゆる手段を尽くして地域の医療確保を支援して医師の確保に努めたいと考えています。

■再質問■ 筒井もとじ議員:一点だけお伺いいたします。知事にお伺いいたします。知事は、医師が偏在しているというお考えで、いろいろ努力をしていただいているのは今のご答弁で解りました。しかし、医師全体が不足している。療養病床のようなものをどんどん削るための口実になって医療費を押さえつけるために医師そのものが不足しているんだという認識をお持ちではないですか。そのことを私は国に向かって言えということを申し上げておるんです。その認識をお答えいただきたい。医師そのものが不足している、高齢化もしているし不足していると。いや違うんだ偏在しているだけなんだ。どちらなんですか認識は。

▼再答弁▼井戸知事:私の承知している限りでは、国全体としての医師の数は、厚生省等の発言によりますと、足りているというふうに、日本国全体では足りていると、こういうふうに言われています。ただし、兵庫県において、量的に足りているかと言うと足りてないからこそ、こういう状況に立ち至っている。従ってどのように努力をするかが課題になっている。私はこのように認識しております。東京にたくさん医師がいてもだめなんです。兵庫県にいてくれなければダメなんです。だからこそいろんな意味で医師確保に努力をしている。このように理解をしています。このページの上へ

5.松下PDP社にたいする補助金の見直しを

■質問■ わたしは、産業集積条例にもとづく松下プラズマディスプレイ(株)にたいする立地補助そのものについてお尋ねします。
知事は松下プラズマディスプレイにたいして、第3、第4、第5工場と相次ぐ尼崎進出を、「大きなお年玉をもらった」などの表現で手放しで喜んでおられます。そして総額にすれば約175億円もの補助金を支出することになりますが、松下プラズマの社長が新聞のインタビューで「企業は金だけでは動かない」とのべているように、補助金で進出するのではなく、立地のよさや工場操業の早さなどで、進出を決めたと言っています。つまり、「補助金をくれるならもらっておこう」という姿勢です。
それもそのはずです。2月1日に発表した松下電器全体の連結決算では、売上高が初の9兆円となり、営業利益が1358億円、当期利益が787億円と「16年ぶりの高水準」となっています。そのうち、プラズマなどのデジタル家電部門は、売上高1兆1451億円、営業利益710億円と、莫大な利益をあげているのです。
県は補助金を出す効果として、@雇用による効果、A関連産業への生産誘発効果、B従業員による消費拡大、税収増、C地域のイメージアップなどをあげられますが、具体的な数字で成果、予想を示すことはできないと、明らかにされていません。
県民にとっては、福祉医療を切り下げられ、増税を押し付けられている一方、大企業は減税を継続しておきながら、各種開発補助金などでも大きな支援を受けています。それなのになぜ、「きびしい」と繰り返す県財政からこのような莫大な支援をしなければならないのか。しかも、兵庫県の補助金は全国でも例のない「上限なし」・天井知らずの補助金となっています。
土地にしても、借地を予定しています。技術革新が加速するなかで、液晶テレビとの競争や将来見通し、早期撤退の可能性の問題、自治体間競争にまきこまれることの是非など、雇用のあり方ともあわせて疑問の声があがっています。
ちょうどバブル期のリゾート開発や、「景気回復のため」と称して長年つづいたゼネコンのための公共事業の破綻の二の舞をやっているのではないでしょうか。
県下の実質的な中小企業対策(融資のぞき約80億円)の2倍以上を、松下1社に支援する。このような偏った産業施策が、県内産業の振興に本当に役立つのか、県民への明確な説明が必要です。
知事、当面、松下の第4・第5工場への補助金の支出をやめるとともに、撤退した場合のペナルティも明確にすること。
さらに大企業優遇の補助金をやめ、中小企業むけの予算などを抜本的に増額することを求めます。ご答弁ください。

▼答弁▼井戸知事:産業集積促進補助金のありかたについてお尋ねがありました。もとより、雇用や設備投資のインセンティブは、企業から見た場合、立地要因の一つであると考えていますが、新しいエネルギーを誘致して、雇用や地域振興をはかり、地域間競争において優位に立つことには必要なものとして制度化し、相当な効果を上げているものと、私、評価しています。大型案件7件に限ってみましても、6千億円を超える投資と約6千人弱の雇用創出が見込まれる等、新たな企業立地は、雇用や生産誘発、消費等の拡大、それに伴う税収の増加等をもたらし、さらには地域のイメージアップや産業構造の転換にもつながるなど、本県経済全体への直接間接の大きな活性化効果が期待できるものではないでしょうか。この内、松下プラズマディスプレイ尼崎工場については、現在稼働中の分だけでも、関連企業の新増設が見られ、また神戸港の輸出入総額大幅増加にも薄型テレビ関連輸出が大きく貢献するなど、様々な具体的波及効果もあらわれ始めています。このように、本県経済発展のためには、企業誘致は不可欠のものであるため、設備投資が回復しているこの好機を逃さずに、今後ともこうした波及効果の大きな企業誘致に努めてまいります。従って立地補助金の現時点での廃止や、企業としても継続経営が目的としての立地進出であるので撤退のペナルティは考えていません。また高い技術力等を誇る中小企業の集積は本県の強みの源であります。19年度も中小企業金融制度枠3300億円と800億円の銀行等との連携による新型融資枠を確保したのも、設備投資意欲に対応するためでありますし、新製品開発の支援や、資金供給の円滑化、物づくり人材の育成等をいっそう強化するようにしております。今後ともさらなる中小企業の活性化と競争力の強化を支援してまいります。このページの上へ

6.不要不急の公共事業の見直しを

■質問■ 次に、不要不急の公共事業を見直す問題です。
ひとつは空港の問題、但馬空港と神戸空港の問題について伺います。
いま空港、とくに地方空港は、航空事業の規制緩和もあって、採算のとれない路線はすぐに廃止になるなど、はげしい動きとなっています。
神戸空港は、1周年をむかえ、開港以来の搭乗率は最低を更新しつづけています。開港後一年間の需要予測319万人を50万人も下回る乗客数になることは確実で、いままでは「達成できる」と言い続けてきた神戸市長も、「利用者の満足が第一」と言いだす始末です。JALとANAはそれぞれ2路線を撤退させ、将来の見通し・視界は不良となっています。
このような神戸空港に、県も合計75億円の補助をすることになっていますが、県民は納得していません。
県営の但馬空港は、収入が2百数十万円とわずかなのに、毎年2億円も管理費などの維持費をつぎこみ、赤字補填もしています。今年は補正で赤字補填するのではなく、当初から赤字補填の予算(1億4400万円)も組むほど赤字が確実な空港となっています。
その打開のためか、円山川工事による残土を利用し、空港そばの谷を埋め立てて滑走路を付け替え・延長する計画が浮上し、羽田直行便をつくる考えが知事から出されています。
これで、赤字を解消し、地域に役立つ空港になるのでしょうか。
今年度の県調査で、空港の利用促進の「先進事例」としている石川県の能登空港は、羽田便が1日2往復で、7割の搭乗率を税金で担保する仕組み(「搭乗率保障制度」)を導入し、様々な優遇措置もあります。
但馬空港が、羽田便路線を確保し、それを維持するにはこれまで以上の税金投入が必要になってくるのは確実で、とても地元市町の協力は得られるものではありません。
羽田便をきっぱり断念して、但馬空港の赤字問題の解決のため、拡張でなく、縮小の方向こそ検討をはじめるべきです。
神戸空港への県補助についても、県民や神戸市民の合意を得ておらず、見直すべきと考えますが、答弁を求めます。

▼答弁▼五百蔵副知事:私から2点についてご答弁申し上げます。まず但馬空港、神戸空港についてです。但馬空港は、年間2万7千人の旅客が利用し、但馬地域の貴重な高速交通手段として活用されております。地元では、観光をはじめとする産業振興、地域活性化の切り札として、首都圏と直接結ぶ羽田直行便を熱望しており、県としても但馬のさらなる高速交通の利便性向上を図るために、羽田直行便は必要と考えております。距離の長い羽田直行便では、航空の優位性がいっそう発揮され、利用者増による運航収支の向上が期待されるところですが、需要予測や採算性等、十分調査をするとともに、航空会社への運航要請、羽田への乗り入れ枠の確保等について、地元市町や経済界などと連携しながら取り組みをすすめてまいります。また、神戸空港は、開港1年間で第3種空港では全国1位となる270万人の利用客があり、県内における新たな交通拠点として利用され、企業の進出をはじめ、地元に様々な波及効果を生みだしています。この神戸空港が、本県の空の玄関口として神戸市民のみならず、県民に広く利用され、県民の利便に資する空港であるとの観点から、支援の必要性を議会に説明し、支出に際しましては、毎年度予算の議会議決を得て支援を行っているところでございます。このページの上へ

7.二つ目は、談合防止についてです。

■質問■ 福島・和歌山・宮城とつづいた知事がからんだ官製談合事件が相次ぎ、税金の使い方、談合の背景となった問題が注目されています。
兵庫県でも無縁ではない状況があります。わたしたち県議団は、これまでもあまりに高い落札率の問題や、全国的に摘発された鋼鉄橋梁や下水道プラントなどの談合で逮捕された企業が兵庫県の公共事業でも多く受注している調査結果をしめし、調査や改善を繰り返し求めてきました。
昨年の決算議会では、5億円以上の入札での3年間の平均落札率が96%であることや、県幹部がゼネコン73社に天下りをしている事実を示して、兵庫県においても談合防止対策が急務であることをただしました。
しかし、知事は「談合はまったくない」との認識のままで、異常な姿勢と言わざるを得ません。マスコミの知事アンケートでも、全国で唯一職員の天下りの規制の必要性は「ない」と回答し、選挙での業者の支援に伴う腐敗への懸念も「ない」。業者・業界からの支援も受けても「問題ない」という回答となっています。「住民意識とかけ離れている」と言わざるをえません。
談合防止をするためには、すくなくとも3つのことが必要です。
一つ、原則一般競争入札にするなどの入札制度の改革、二つ、天下りの全面禁止、3つ、ゼネコンからの応援や献金を受けることをやめることです。
今回、兵庫県は、一般競争入札を広げることを発表されましたが、これまでの公募型の指名入札を「公募型一般競争」と名称を変えたのと、あたらしく「制限付一般競争入札」を導入するとしていますが、不徹底なものです。
知事会や国が1千万円以上の導入を打ち出したように、談合防止の柱のひとつと言われる「一般競争入札」は、原則的に導入してこそ効果が発揮されます。様々な制限をつけても、業者が企業体(JV)をつくって、グループで競い合うふりをしながら、談合しているのは常識となっています。
また、電子入札になったからといって、談合業者の横のつながりがなくなるわけではありません。入札業務の効率化にはなりえますが、入札制度そのものが変わらなければ意味はありません。
知事、認識をあらため、談合防止のための入札改革を求めます。原則一般競争入札にすることや、談合で逮捕された場合の指名停止などの期間を厳しくして数年にするなど、「談合したらもう仕事ができない」といわれるような厳しい制度をつくる必要があります。そして天下りの全面禁止する真の改革を求めます。ご答弁ください。

▼答弁▼五百蔵副知事:次に談合防止についてです。今回の入札契約制度の改善におきましては、談合防止を第1義としながら、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の主旨も踏まえ、県内企業の健全な育成にも配慮し、公募型一般競争入札の範囲の拡大や、地域や企業規模等により参加条件を付す制限付き一般競争入札を導入することとしています。地域の雇用確保や活性化の観点から、一部の企業への受注の集中等も考慮し、今回2千万円以上の一般土木工事等について制限付一般競争入札を導入することとしておりますが、この制度改正の効果を検証しながら、一般競争入札のさらなる拡充について検討してまいります。
次に、ペナルティ強化につきましては、契約手続きにおいて、入札参加企業から公正な入札を害する行為があった場合には、契約解除、損害賠償等となることを約した誓約書を聴取すること。不当要求を受けた場合に、届け出義務を課し、義務違反に対して指名停止をすることなどを具体化するとともに、地方自治法施行令が定める談合等不正行為者の入札参加制限、現在2年でございますけれども、この延長について全国知事会を通じて国に要望することとしています。また、県職員の民間企業への再就職については、退職後一定の期間をおくことや、県に対する営業活動の自粛などの配慮を求めているところです。
再就職問題は個人として習得している経験・知識・技能を生かした社会参加の観点、職業選択の自由あるいは勤労の権利等の基本的人権にも関わる問題でもあることを考慮に入れながら、談合が懸念されることがないよう対応してまいります。このページの上へ

8.教育問題

全国学力テストの中止を

■質問■ 次に、教育の問題です。教育基本法が改悪され、今後の教育行政を懸念する声が大きくなっています。なかでも特に、安倍内閣がこの4月に実施する予定の「全国学力テスト」(全国学力・学習状況調査)について、多くの問題が残されたまま強行されようとしています。
県教委は「学校ごとの発表はしない」「テスト結果の説明の仕方はこれから決まる」といわれますが、文部科学省の要綱によると、都道府県や市町教育委員会には「各学校に関する調査結果」が提供され、各学校には「各学級に関する調査結果」「各児童生徒に関する調査結果」が提供され、「学校は、各児童生徒に対して、調査結果を提供する」となっています。実質上の「学校ランキング」がされるという懸念は払拭されません。
東京で04年から行われている一斉学力テストでは、23区の中で、平均点が最下位とされた足立区で学校ごとの平均点も公表され、大問題となりました。
各学校の校長が対策を競わされ、過去にテストにでた問題をするなど、テスト対策の授業が中心になり、平均点をあげるために、テスト前日に成績の悪い生徒を休ませる指導をして、少なくない生徒が欠席する事態まで起こったのです。
全国学力テストは、足立区のような大変な事態を、全国の学校と子どもたちに引き起こす危険があるのです。
また、問題を発送・回収し、採点と集計を民間業者がしますが、小学校ではベネッセ、中学校では旺文社系の研究機関と協力したNTTデータ株式会社となっています。テスト関連業者に受験産業が入っているのです。
平成17年度兵庫県が行った「総合的な全県基礎学力調査」の報告書に、児童・生徒に質問ペーパーによる回答がありますが、児童生徒の学習にたいする目的意識について、「受験に役立つように勉強したい」の回答が、小学5年で74%、中2ではなんと9割近い数字となっています。
また、「学校生活のなかで楽しいこと」を選んでもらう質問では、「友達との交流」や「クラブ」「学校行事」が6割から9割の高い比率ですが、学習面の「教科の学習」・「総合的な学習」は10〜20%台で、それも年齢があがるにつれて、低下しています。
この結果からは、学校の授業が、高学年になればなるほど、受験目的となって、勉強が楽しくなくなっているとの意識が、明瞭となっています。いまでさえ、「受験目的の勉強」「楽しくない勉強」を、全国学力テストが、劇的に強めることは確実です。
子どもたちの学力の到達や状況を把握する目的であれば、「悉皆」でなく、「抽出」調査で十分なはずです。結局、すべての児童生徒に参加させる全国学力テストは、導入を推し進めた当時の中山文部科学大臣(「甦れ、日本!」・04年11月4日)が言うように「競争意識」を育てるためにならざるを得ません。
学校ランキングをつくる「全国学力テスト」の導入は、いまからでも中止することを国に求めるべきです。いかがですか。

▼答弁▼吉本教育長:教育問題の2点についてお答えいたします。まず全国学力テストの導入中止についてであります。今回実施される全国学力学習状況調査につきましては、学力に関する調査と併せて生活習慣や学習環境に関する調査を実施するものであります。調査結果につきましては、すべての児童生徒の学習到達度を把握することにより、教育水準の状況をきめ細かく検証し、義務教育における機会均等や、教育水準に維持向上の観点からの適切な改善をはかること。全国的な状況との関係における学力の状況、教育条件の整備状況、児童生徒の学習環境や、生活状況等を把握することにより、教育委員会、学校等が主体的な指導改善につなげることなどに活用することとされているところであります。また、調査結果の取扱については、序列化や過度の競争等につながらないように十分な配慮の上で公表すべきものとされております。調査の実施にあたりましては、平成18年7月に各市町教育委員会に対し、調査の目的主旨等について説明会を行い、12月に全県の公立小中学校の参加確認を得たところであります。県としましては、学力学習状況調査の結果につきまして、専門的な知識を有する学識経験者や教員等からなる基礎学力向上検討委員会を設置し、生活習慣を含めた全県的な課題と地区別の課題を整理分析し、具体的な指導方法の工夫改善方策を検討してまいります。また、調査結果の取扱にあたりましては、市町教育委員会に対し、序列化や過度の競争にならないように十分配慮するよう再度指導の徹底をはかることとしております。このページの上へ

少人数学級の拡大を

■質問■ それでは、いまの教育、子どもたちの成長、豊かな真の学力にとって、真に求められているのは、なんでしょうか?
日本の学力が問題になったOECDの国際学力調査(PISA)はこれまでの質問でも取り上げてきました。日本などの競争・つめこみ教育の反省から、「脱競争」をかかげて実施し、そうした方向から成果をあげて連続世界一になったフィンランドが注目されたのです。
最近もNHKで放送されましたが、フィンランドの教育改革で一番の要は「落ちこぼれをつくらないこと」「楽しく学ぶこと」です。つまり「脱競争」です。
世界では競争では到達しづらい学力を探求しているのに、日本では「学力テスト」で競争を強めようとしています。まったく逆向きです。
今すべきことは、競争強化ではなく、「条件の整備」です。教育の現場で、子どもたちの「つまづき」を把握し、しっかりとサポートしていくことが求められているのです。
とくに、現在低学年で導入されている35人学級を、より拡大し、小学校・中学校全体にひろげる、さらに30人以下学級などにすすむことこそ求められています。
そのなかで、教員を報告・レポートでしばるのではなく、十分な教材研究を自由に行い、ゆたかな教育をできる教員集団をつくること。学習指導要領の押し付けによる「つめこみ・暗記型」から、たのしく理解し、市民として生きること、成長することのできる学習内容に見直していくことができるのではないでしょうか。
知事、小学校高学年や中学校に、少人数学級をひろげ、条件整備こそ充実するべきだと思いますが、いかがですか。

▼答弁▼吉本教育長: 次に少人数学級の拡大についてであります。少人数学級に実施にあたりましては従来から申し上げている通り、個に応じた教育活動の展開をはかるため、基本的生活習慣の定着に効果が高い、教育効果面での評価を踏まえ、平成19年度につきましては、少人数学習集団の編制等との選択により35人学級編制を小学校3年生まで拡大することとしたところであります。中学校におきましては、基礎学力向上への対応として引き続き少人数学習集団等、柔軟な学習集団の編制支援をすすめますとともに、創意工夫による確かな学力を育成するため、兵庫学力向上推進プロジェクト事業の拡充をはかり、学習や生活の基礎となる読解力の向上をはじめといたします全県および地域毎の課題解決をはかり取り組みを推進することとしております。今後とも児童生徒の発達段階に応じた生活学習環境の構築に向けまして、これらの取り組みを着実に進めてまいります。

9.拡声機規制条例の改悪の撤回を

■質問■ 次に、「拡声機による爆騒音の規制に関する条例の一部改正案」について、反対の立場から質問いたします。
一部右翼による街頭宣伝の悪質化、巧妙化への対応のためとして、拡声機から10メートル未満の地点で測定し、その音量を10メートル地点における音量に換算する方式を導入すること。さらに、警察署長に再発防止措置命令で、拡声機の使用による一切の表現行為を禁止する措置を認める、予防的な街頭宣伝活動の禁止も盛り込まれました。
15年前にこの条例が提案されたとき、わが党議員団は、代表質問、一般質問で疑問と主張をのべ、その撤回を求めました。当時の長倉県警本部長は、通常の政治活動・市民運動・労働運動に伴う拡声器の使用は取り締まりの対象とならない、と言明し、また、条例案に対する付帯決議がつけられた経過があります。それだけこの条例は、もともと大きな問題があり、濫用される危険性を持っているものですが、今回の条例改定は、表現の自由を侵害する恐れが極めて大きなものであります。
10メートル未満での測定は、威嚇効果や萎縮効果をねらったものであり、聴衆に対するマイナス効果をねらったものとしか思えません。拡声機の前やそばに警察官が立ちはだかり測定することとなり、警察官がただちに停止命令を出すことが可能になります。
この案が検討された手続きも、パブリックコメントの募集だけで、県民の意見を充分聴取することがされていません。
改定の必要性、改定による人権制限の内容、程度なども、憲法上許される最小限度のものであるか否か、を慎重に検討すべきであり、他県の改正を理由に安易な条例改正をすべきではありません。
悪質な事案には、威力業務妨害罪、道路交通法その他の現行法令での取り締まりも可能であると思われます。
条例はいささかも恣意的運用や濫用で“表現の自由”を侵害する余地のないものにすべきであり、慎重に検討し、議会への提案を撤回すべきであります。

▼答弁▼末井誠史警察本部長:拡声機による暴騒音の規制に関する条例の一部を改正する条例制定の件についてのご質問にお答えをいたします。条例は、いささかも恣意的運用や濫用で表現の自由を侵害する余地のないものにすべきであり、慎重に検討し、議会への提案を撤回すべきある、とのお尋ねご指摘でございましたが、現行条例は表現の自由等の基本的人権の尊重と、公共の福祉との均衡に十分意を尽くしたものであり、県民の日常生活を脅かすような拡声機の使用を規制することをその第1条で明示し、義務履行の確保は、第4条の規定の通り、まずもって命令によることとしておりますほか、条例の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意すべき旨が第9条に規定されており、以上の点は改正後の条例においても変更はございません。条例施行以来の運用につきましては、本県会でのご議論と付帯決議を踏まえ、また、さきほど申し上げた第1条の目的規定と第9条の適用上の注意規定を十分に尊重してきたものであり、今後も適切に運用を行ってまいる所存であります。換算測定方法の導入の目的等、数点のご指摘がございましたが、今回の改正につきましては、規制の対象に変更を加えるものではなく、近年の悪質巧妙化する違反行為、すなわち、騒音計を配置している地点から10メートル未満の地点で意図的に暴騒音を生じさせる行為、あるいは、停止命令を受けた後に、さらに反復して暴騒音を生じさせる行為等に対しまして、的確に対処することが困難な状況が生じてきていることに鑑み、拡声機による暴騒音の取締りの実効性の向上性をはかり、地域の平穏を保持するために行うものであり、県民意見提出手続きを経たうえでご審議をお願いしているものであります。ご理解をいただきたいと存じます。このページの上へ

10.被災者支援、被災者生活再建支援法の2度目の法改正について

■質問■ 最後に、阪神・淡路大震災問題です。あれから13年目となりました。
わたしの人生でも県議活動でも忘れ得ない出来事です。
知事は震災当時の水準をこえ、21世紀を先取りする事業もはじまった。復旧復興事業では実績をあげ、いつまでも復旧復興ではない。国体のじぎく兵庫大会で感謝の心を伝え、今後震災体験を教訓として伝えていくと胸をはられました。
私は、震災当日から全壊した自宅を捨て、避難所をまわりながら、被災者に寄り添い、「最後の1人まで救済を」をスローガンに議員活動をつづけ、現在も被災者を見守りつづけています。
あの自然の強烈な一撃から立ち直れない人々もまだまだ多い。しかもその後の格差拡大、貧困化社会を産み出した政府の(負担増)施策が、マイナスからの出発である被災者に「自助」の努力ではどうにもならない打撃を与えています。
被災後、多くの死者や病苦、貧困を生み出していることを本当に行政や議会がわかっているのか、の思いは捨て切れません。
知人・友人がいない。近所付き合いが深まらない。楽しみはテレビと買い物だけ。頼みの綱は敬老優待乗車証(敬老パス)のみ、相変わらず続く孤独死、年収100万円弱、住み慣れたところに戻れない。二重ローンと失業・苦闘している被災者の顔がいまも各所にあります。
高齢者の「見守り」を先導的にしてきたと知事は言われますが、同時に「行革」と称して、国と一緒になって、高齢者の生活基盤を掘り崩して来たではありませんか。福祉医療の改悪し、多くの対象者から取り上げた上に、負担を2倍にする。在宅老人介護手当てや長寿祝い金を打ち切るなど、なんとも冷たい仕打ちです。
阪神淡路大震災復興フォローアップの総合的推進と銘打った3ヵ年推進方策は、大震災復興計画の10ヵ年事業の流れを継承するものです。
私が以前にも指摘したように、16兆3000億円の投入した創造的復興の中身は、多核ネットワーク型都市圏の形成と称して9.8兆円使われたが、災害復旧事業2兆8800億円をのぞくと、神戸空港・関空2期もあわせ、本州四国連絡道、山陽自動車道や阪神高速湾岸線等々の高速道路建設、流域下水道や六甲グリーンベルト整備など、復旧と直接関係なく、つくられました。
既存産業の復興には、被災中小企業への貸付金や緊急災害融資の利子補給をのぞき、ポートアイランド2期や大蔵海岸コミュニティーゾーンなどに使われて2.9兆円。
期待された福祉のまちづくり2.8兆円は、自立支援金や住宅再建利子補給、仮設や災害公営住宅など、役立ったもの以外に新都市の住宅・宅地供給など、無関係のものも含みます。
被災者の直接の支援金は、たった2.3%、3720億円にすぎず、大震災の影響で県財政が大変になったという中身はこのようなものだったのです。
そして今、推進方策では、一般施策への移行として、災害援護資金や生活復興資金の償還対策、中小企業緊急災害復旧対策、および災害公営住宅の家賃の減免制度をなくすなど、終結をめざす対策の強化となっています。
知事、被災者の家賃滞納による追い出しや災害援護資金の延滞利息、年10.75%加算、被災した保証人への強制とりたてのような機械的な冷たい対応を改めるべきです。
そして、被災者生活再建支援法の2度目の見直しが来年予定されていますが、それを目指して、被災者支援金の引き上げ、所得制限撤廃、住宅本体への適用や、店舗の再建も対象にする法改正を国に働きかけるべきと思いますが、知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:震災被災者への支援等についてお尋ねがありました。震災からの創造的復興をはかるため、ライフライン等、被災者や被災地に欠かすことのできない基盤作りを始め、生活再建支援金など、従来の枠組みを越えた生活対策、福祉、文化、産業、防災、街づくり等、総合的に取り組んできました。この結果、ようやく震災を乗り越え、兵庫づくりのあらたなステージに立つことができたのではないか、このように考えております。しかし、これで震災復興が終わったは考えておりません。高齢者の見守りや失った町のにぎわい回復等、残された課題に引き続き重点的に取り組んでまいります。特に、ご指摘のあった災害援護資金の返済困難者に対しては、少額返済や支払い猶予等を認めていますし、また、県営住宅入居者に対しては、生活実態に応じた家賃減免や、分割納付等、弾力的な対応をしております。しかし、悪質な滞納者に対しては社会的公正の見地から毅然とした対応をとっております。一方、被災者生活再建支援法の見直しについては、住宅建築本体への支援や、年齢年収要件の緩和等、被災者や被災地の実態に即した制度となるよう、国に強く求めています。この公的支援には、住宅を持たない者との公平性の観点や、財政支出の制約など、一定の限界があることも事実です。このため本県では助け合いの仕組みとして住宅再建共済制度を設け、取り組んでいますのでご理解を願いたいと存じます。いずれにしても、震災に起因する、被災地固有の課題解決を加速させるとともに、復興の成果を県政にいかすために策定した3カ年推進方策を着実に推進し、震災の経験と教訓を一人ひとりが共有する社会づくりにつないでまいります。

■質問■ 私は、一たび指を弾ずる間に老病死、朝露の如き人生を痛感する年齢となりましたが、年取った名馬は馬小屋につながれているが、なお千里をかける夢を見ている。
人生をたたかい抜いた人間は晩年になお盛んな心をもっている。

▼答弁▼井戸知事:最後に、筒井もとじ議員が、政治家としての半生を振り返られて所感を述べられました。まさしく、人生の生き様を披瀝された感慨であったと存じます。そのような先輩の努力や行動を、今後の県政の推進にあたって、私としても十分参考とさせていただき、生き様の確立をはかってまいりたい。このように考えているところでございます。さらなるご健闘をお祈り申し上げます。

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