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本会議 第289回本会議議案討論 つづき研二
2006年12月20日

国といっしょに県民負担増すすめる兵庫県政

こども医療費無料化条例案の賛成討論含む

私は、日本共産党県会議員団を代表して、認第1号ないし第4号、第6号、第8号、第10号、第12号、第20号、及び議案第190号、第193号、第196号、第197号、第202号、以上14件に反対し、議員提出第24号議案「こども医療費の助成に関する条例制定の件」に賛成する立場で、主な理由についてのべ討論を行います。
 まず、最初に、決算認定議案に関する討論を行ないます。

 政府は、「いざなぎ景気超え」とさかんに宣伝しますが、国民の実感はまったく逆です。私たち日本共産党県議団が取り組んだ県民アンケートでは、今も続々と県民の皆さんから生の声が寄せられてきていますが、「暮らし向きがよくなった」は、わずか1パーセント台、「悪くなったが」7割を超えます。これが国民の実感です。政府統計でも、この10年間で大企業の経常利益と大企業の役員報酬は2倍に伸びていますが、その大企業で働く従業員は10パーセントダウン、中小企業の役員報酬は15パーセントダウンです。マスコミも、ワーキングプア、医療を受けられない国民など深刻な状態を次々と報道する状況です。まさに、重大な政治問題、社会問題となっています。県議会でも、各会派、各議員がこの事実にどう対応するのか、その存在意義が厳しく問われています。私たち日本共産党県議団は、この間6年連続して予算組み替え案を提案し、県の施策の重点の転換を求めてきました。 
 ところが、県がすすめてきたことは、国と一緒になって負担増と悪政を県民に押し付けることであり、その責任はきわめて重大といわねばなりません。

 まず第1に、老人や重度心身障害者、乳幼児、母子家庭などへの医療費助成制度の改悪です。
 28万筆を越える県民の現行制度存続・充実を求める署名や町村会、神戸市長、医師会などの多くの反対の声を無視して、改悪しましたが、今、こどもの医療費無料化を求める声の広がり、高齢者、障害者の深刻な声を見ても、改悪が重大な誤りであったことは明らかです。福祉医療助成の充実こそ必要であり、福祉医療助成制度改悪など福祉切捨ての施策は認められません。

 第2に、教育に関わる問題です。
 安倍内閣、自民党と公明党が、教育基本法を改悪すると言う暴挙を強行しましたが、これは、憲法を蹂躙し、教育内容に行政が介入統制し、差別と選別の競争主義教育に変える重大な改悪であり、許すことはできません。私たち日本共産党は、県民と子供の教育をまもるためにも改悪教育基本法の実行を許さぬためにも全力を挙げる決意です。
 本来、教育は県民の中でよく議論も保障され、慎重に検討をして進めるべきものですが、本県では、教育委員会行政の事務当局による教育現場への介入がつぎつぎと行なわれ、高校改編や教職員への差別的給与制度の導入などが、地元住民と現場の声を無視して進められています。地域に開かれた教育、生徒父母の参加した教育とはまったく逆行するものです。また、教育の無償化が世界の流れですが、県立大学の授業料などの引き上げが行なわれており、認めることはできません。

 第3に、雇用の拡大、中小企業支援に関わる問題です。
 若者の非正規雇用、偽装請負などの劣悪な労働条件などが社会問題になっていますが、松下プラズマディスプレイ尼崎工場に莫大な補助をしながら、劣悪な労働条件を放置容認することは許されません。地元の中小企業が地元の青年を雇用することなどへの支援は、まったく行なわず、その一方で、ぼろもうけの超大企業には莫大な税金投入するのは、大企業優遇そのものです。認めることはできません。

 第4に、公共事業の見直しを行なっていないことです。
 全国で3人の知事が相次いで公共事業汚職で逮捕されると言う前代未聞のことが起きていますが、本県でも県が発注する公共事業は、落札率一つをとってみても、この3年間の5億円以上の大型公共事業では96パーセントと異常です。無駄なダム建設などに県が固執する問題、県幹部職員の天下り問題などについて解明が求められます。但馬空港では、着陸料300万円の収入に対して、空港管理費が3億円、赤字補填が1億3500万円と無駄な公共事業そのものですが、その上、新滑走路建設などは論外と言わねばなりません。公共事業の見直しがまったく行われていず認められません。

 第5に、今年に入って、県庁幹部職員をはじめとした自殺が相次いでいますが、この間の職員の削減と県の労務管理もと、職員はぎりぎりの状態にまで追い詰められていると言わなければなりません。知事は、この異常な事態について、自ら現場職員や県民の生の声を聞き、県のトップの仕事の進め方、人員削減について全面的な見直しをすべきです。
また、警察行政については、姫路2女性殺人事件での初動捜査問題などの反省が真剣に行なわれるべきであり、認められません。
 また、県は、国民保護計画作成に進めましたが、県民を戦争に総動員する計画作りは、憲法改悪と連動するものであり、認められません。

問題のある条例案に反対

 次に、今定例県議会に上程された条例案についてです。
 まず、議案第190号、「職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例制定の件」です。
 今回の給与改訂条例では、公務員給与の引き下げにとどまらず、成績主義賃金を導入し、病気休暇中の給与引き下げ、休息時間の廃止など職員の労働条件の改悪、管理統制の強化・物言えぬ職員作りを狙うものです。また、学校現場でのさまざまな教育課題の解決には、教職員の一致した取り組みが不可欠ですが、学校現場への主幹教諭給与体系の導入は、教職員集団に新たな分断を持ちこむことであり、問題の解決とまったく逆行するものです。さらに、改悪教育基本法と連動し、政府と行政による学校現場への介入と統制の道をつくるものであり、認めることはできません。
 次に、第193号、「兵庫県立大学の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例制定の件」です。
 これは、中高一貫教育を県立付属大学として行なうもので、教育現場に競争主義を一層広げるものであり、賛成できません。
 次に第196号「収入証紙条例及び警察手数料徴収条例の一部を改正する条例制定の件」です。
 これは電子申請や警察手数料の徴収に当たって住基ネットの利用拡大を図ろうとするものですが、プライバシーの侵害として各地で住基ネットに反対する住民訴訟が行なわれ、住民側勝訴の事例も生まれているように、住基ネットは、個人情報の漏洩を防止する仕組みもなく、権力による個人情報把握と国民統制への道につながる危険があり、問題です。

住民合意のない高校統廃合に反対

 次に第197号「兵庫県立高等学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例制定の件」です。
 これは、鈴蘭台高校と鈴蘭台西高校の統廃合、三原高校と志知高校の統廃合による新たな高校を設置するものですが、住民の願いは、普通科高校への開門率を上げてほしい、子どもが地元の高校に通学できるようにしてほしいであり、普通科高校の統廃合・縮小を図る本条例は認められません。
 次に第202号「一般県道塩田一宮線よいたいトンネル工事請負契約締結の件」です。
 全国で談合問題が重大な政治問題となる中で、県としても談合問題に厳しい対応が求められるところです。ところが、本工事の契約締結予定業者は、和歌山県でゴルフ場経営者に金を渡し、知事による天の声を引き出して受注を図ったとして問題になっている工事の受注業者である熊谷組が入っており、本来、ただちに調査をして入札をやり直すべきものです。あまりにも談合問題に甘い県の姿勢であり、認めることはできません。
 なお、第200号「兵庫県立国際高等学校管理棟耐震補強その他建築工事請負契約締結の件」ですが、6億円に上る工事ですが、耐震補強工事の対象となる建物は、いくつかの分かれて建っており、分割発注は十分可能と考えられ、議案にあえて反対はしませんが、分割発注の努力するべきであることを指摘しておきます。

日本共産党提案の「こども医療費の助成に関する条例」案について

 最後にわが党県議団8名連名による議員提出議案、第24号議案「こども医療費の助成に関する条例制定の件」です。
 こどもの医療費の無料化を求める声は全国的にも大きく広がり、東京23区では、港区、北区、台東区、世田谷区などに続き、12の区とすでに半数をこえる区で、中学校卒業するまで入院、通院とも医療費無料化を実施もしくは実施を認めるなど、次々と自治体独自に、所得制限撤廃、無料化に向けての助成制度の拡充が図られ、また、東京都が、来年10月から、小中学生対象の義務教育就学児医療助成事業を新たに実施することを表明するなどの動きも起きています。本県でも小野市で小学校卒業するまでの医療費無料化の方針が決定されたことは大きく報道されているところです。
 こどもをめぐる様々な事件がおきていますが、かけがえのない子どもの発達を公的に保障していく取り組みが抜本的に強化されなければなりません。その意味で、本条例案は、子供の発達を医療の面でしっかり保障していこう、少なくとも義務教育を終えるまでは、医療を無料にしようというものであります。このような、次代を担うこどもの発達を医療の面でもしっかりと保障するという取り組みは、先進国ならどこでも行なっていることであります。わが国が大変な遅れをきたしていると言わなければならない問題です。逆に、子どもの医療費に自己負担を求めるなどと言うことは、発達保障に自己負担を求めるということであり、大変な逆行と言わなければなりません。本条例案のように、本県でも少なくとも義務教育を終えるまでは、すべてのこどもの医療費を無料にすることは、当然、行なわれてしかるべきものです。

ムダを見直せば十分実現できる

 さて、経費を問題にする向きもありますが、子供の健全な発達保障は何事にも代えがたいものであり、財政的にも最優先で取り組むべきものです。県の歳出の実態を見るとき、県の一般財源の0.数パーセント程度の予算ですむこどもの医療費無料化を、後にまわさなければならないほどのものが山積みされているでしょうか。
 建設事業は談合問題など入札制度の抜本的改善は直ちに行なわなければなりませんが、談合をなくせば、1割以上は、落札率が落ちると言われています。県の年間の建設事業は3000億円を超えますが、その1割と言えば300億円です。あるいは、個々の事業でも、100億円をはるかに超える但馬空港滑走路新設やわずか数分縮めるだけのトンネル工事、松下プラズマディスプレイへの90億円の補助、園田西武庫線での大企業への玉突き補償、財源は特定財源とはいえ、県民交流広場事業など見直すべき事業、後に廻してもいい事業はいくらでもあるのではありませんか。
 要は、知事と議会が、こどもの医療費無料化をどれほど重要な課題と位置づけているのかと言う問題であります。
 なぜ、条例化するのかという点についてですが、今、県下の市町が、現行県制度を上回る乳幼児医療費助成を実施しています。市町が、単独で、市町財政の100パーセント負担で県民の声に応える取り組みをしているのです。このような中で、県が、こどもの医療費無料化を義務教育を終えるまで実施することを条例化することは、こどもの発達保障の取り組みへの県の不動の決意を名実ともに示すとともに、県の中心的施策であることを確固たるものにすることです。これは、県民の強い要求の中で、これまで県の事業を上回る取り組みをせざるを得なかった市町にたいして、今度は県が大きく下支えをし、県下でアンバランスのあったこどもの医療費無料化の取り組みを県下全体で大きく前進させるものです。市町と県民は大きく歓迎することは明らかです。少子化対策も問題になっているとき、その面からもまさに最優先で取り組むべき課題です。
 この取り組みを、市町を縛るなどと言うのは、事実をさかさまに描くものです。多くの市町は、こどもの医療費助成の強い県民の声があるために、県が負担すべき点も市町が負担して県の現行制度を上回る取り組みを実施しているのです。県の現行制度こそ、市町が県民に応えた取り組みをしようとすることの障害になっているといわなければなりません。
 他の社会福祉施策とのバランスを主張される向きもあるようですが、もともと社会保障に自己負担を導入してきたこの間の政治こそ、問題にされなければなりません。改悪してきたレベルに合わせるという考え方こそ、見直されるべきです。
 県が進めてきた「行革」に反すると言う意見もありました。これは驚くべき発言であります。認定議案討論のところでも述べましたが、今、県民は何に困窮し、何に不満を持っているのか。税金が県民が望んでもいないところに流れ、県民には負担増ばかりを強いてきた政治にこそ大きな怒りが巻き起こっているのではありませんか。まさに、県が進めてきた行革とは、無駄な公共事業には手をつけず、県民の暮らしの予算を削る、社会保障として実施すべきことにまで県民に自己負担を要求する、やることがさかさまであったと言わねばなりません。この「県行革」にあわせるのでなく、この間違った「行革」こそ見直すべきです。
 当局との調整うんぬんを主張される意見もあったようですが、議会としてなすべきことは、県民の声に応えて、その声を政策条例として提起していくことこそ必要ではないでしょうか。今、全国でも、行政をチェックするにとどまらず、政策条例提案機能を大いに活性化・発揮することが都道府県議会の重要課題とされていることころです。

県民の願いに背をむけてきた与党の「パフォーマンス批判」の道理のなさ

 さて、こどもの医療費無料化を求める声は、私たちが行なった県民アンケートでも、20代、30代では、ダントツの声となっています。また、この4年間を見ても、議会のつど、県民から乳幼児医療費助成の拡充を求める請願が出されてきたことからも県民の切実な声であることを示しています。
 日本共産党県議団は、この県民の声に応え、毎年、県への予算要求で取り上げるとともに、この間の乳幼児医療費の拡充を求める請願に一貫して紹介議員となり、採択を求めてきました。この県民の請願にこの3年半の間だけでも、9回も反対してきたのが、自民、公明、ひょうご県民連合の方々です。今回、すべての会派が、少子化対策調査特別委員会において、乳幼児医療費拡充を県に求める提言に賛同されるにいたったことは大いに歓迎するものです。しかし、今回の私たちの条例提案について、乳幼児医療費助成の拡充を求める請願に一貫して反対をしてきた方から、パフォーマンスなどと言われる筋合いも道理もないといことをはっきりと申し上げておきたいと思います。
 以上、第24号議案 こども医療費の助成に関する条例を制定して、名実ともに、こどもを大切にすることを県の確固たる施策にし、県民が安心して子育てのできる兵庫県としようではありませんか。議員各位の賛同をぜひお願いするものです。
 以上で、私の討論を終ります。

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