保育の現行水準を下回らないための修正案
認定こども園修正条例案
私は、日本共産党県会議員団を代表して、知事提案第194号議案「認定こども園の認定基準等に関する条例案」に反対するとともに、修正動議を提案致します。
「認定こども園条例」は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律にもとづいて、認定こども園の施設設備や職員配置、教育保育内容などを、都道府県が条例で定めることになったため、県が今議会に提案されたものです。
そもそも国が定めた「認定こども園」制度は、国や自治体の公的保育制度を崩すものとして各方面から様々な問題が指摘されており、本県がおこなったパブリックコメントでも、実施延期を望む声が多数寄せられました。
特に類型の中で、幼稚園型は、保育所の補助金がなく。保育所型は幼稚園の補助金がないことが大きな問題点です。また、特定認可外保育施設型は、幼稚園、保育所両方とも補助金はありません。公的支援がないところでは、良い環境での保育、教育は保障できません。少なくとも、新制度実施にあたっては現行水準を下回らないようにすることは必要不可欠です。
そのため、修正内容を、1つは、施設の類型を、幼保連携型認定こども園のみとしました。
二つは、認定こども園という非常に複雑な制度では、園長は、幼稚園、保育所の制度などを理解し、園全体のことを運営する高いレベルが要求されることから施設長の経験を2年以上有する者としました。
三つ目は、職員の配置は、現行水準を下回らないこと。施設設備についても屋外遊戯場や調理室は園内に設け、給食は自園調理とすること。
4つ目は、「子育て支援事業等」については、専用の保育室や相談室、職員の配置を義務づけること。
5つ目は、認定こども園の運営にあたっては、適切な保育料や公平な入園を保つ上でも各園に評議委員会の設置を義務づけるよう修正するものです。
修正の主な理由は、現行の保育水準を維持するため、こども園の認定を幼保連携型としました。
もともと国の法律自体が、4つの類型のうち、幼補連携型のみしか明記しておらず、その他は、告示で基準を示し、都道府県がそれを参酌することとなっているもので、参酌とは広辞苑で引けば、「参考」にしかすぎません。
参議院文部科学委員会でも「財政支援等の充実と幼保連携型認定こども園の設置の促進につとめる…」と附帯決議がつけられたことを生かし、施設の類型を唯一法律に明記されている「幼保連携型認定こども園」にしたものです。
国が補助対象としない無認可施設を広げるげることはこれまでの認可施設という公的保育を掘り崩すもので問題です。
また、園長の資格を義務づけることや職員の配置、屋外遊戯場や調理室を園内に設け、給食は自園調理を原則とするなど子どもの発育、発達に資するため最低限の条件整備をするものです。
そのほか、園の運営にあたっては、適切な保育料や公平な入園を保つ上でも各評議委員会の設置を義務づけました。
知事提案条例では、国の法律が示す直接契約制を導入し、施設ごとに保育料を自由に設定できるようにされたため、高額の負担を強いる施設も出てきかねません。これでは、本来どの子にも平等に保障されるべき就学前の教育、保育が、親の収入によってランクづけされてしまいますし、認定こども園と親との直接契約は、滞納、未払いを理由に子どもが退所しなければならないという事例も生じかねません。
また、知事提案の目玉にしている「0歳から2歳までの保育に欠けない子」の受け入れは、現在の子育て支援事業に専用の保育室や相談員の設置、職員の配置を義務づけ保育体制のを充実することで対応できることが求められています。以上が主な修正理由です。
なお、健康生活常任委員会の議論で、日本共産党の修正案について類型を一つにしたことを理由に、「法令違反とか不作為に当たるのではないか」や「民業圧迫になる」などの意見がありました。
しかし、政府から都道府県担当課へのQ&Aでも「地域の実情に応じて指針より厳しい基準とすることは可能である」との解釈も示されています。
また、条例と法律の関係をみても、自治事務であり、自治体の裁量権の範囲です。
「民業圧迫」という意見についてですが、保育料などを自由設定することは高額の負担を強いる施設も出てきかねませんし、保育料負担ができないから通園できないというような問題はさけなければなりません。これでは、待機児童は解消するどころか益々深刻になるのではないでしょうか。
民間業者に門戸を開くことを優先にした条例制定ではなく、子どもの保育や教育を公的な責任を堅持して、子どものために何が最良であるかを定めるべき条例を制定すべきではありませんか。
以上で修正動議の提案説明とさせていただきます。
よって、知事提案の第194号議案は、修正提案の説明で指摘したとおり問題が多く含んでいることから反対します。
最後に、子どもの権利条約に述べられているように「発達の権利」「教育の権利」「保育の権利」「遊びの権利」などの諸権利を乳幼児期の特徴を踏まえて総合的に保障することを目的とする施設であることが必要であり、最低条件を満たさない施設をひろげることは本末転倒であることを申し上げ、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。
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