コミュニティバスへの支援強化を
■質問■ 今、県下各地で、人間らしい暮らしを求める市民運動が広がっていますが、私は、地元、西宮で広がる市民運動に関わって質問いたします。
まず、コミュニティバスに対する支援についてです。
高齢化社会の中で、高齢者や市民の足の確保は切実で、県下でも、すでに25市町でコミュニティバスが実施されています。
西宮でも、コミュニティバスの実施を求める市民運動が広がり、いよいよ市が試行運転を始めます。西宮北部地域は、足の確保は永年の切実な願いですし、丘陵地帯に開かれた住宅街も高齢化の中で、急な坂の昇り降りはつらく、コミュニティバスは切実な要求です。さらに市や市民団体の調査では、交通不便地域は、20個所に上り、全市的な要求ともなっています。
さて、県は、コミュニティバス運行の赤字補填補助事業を、一昨年から始めています。赤字の8割を国が補填し、残りの2割を県と地元市町で負担するという考え方ですが、県の補助は限度額があるため、限度額を超えている市町は、13市町にのぼり、県の補助額が、約1880万円に対して、これらの市町の負担は、その2.7倍、5000万円を超える負担となっています。
とても、1対1負担負担とはいえません。
また、コミュニティバスには、ノンステップバスが必要ですが、このバスは一般バスの倍近い購入費です。しかし、このバス購入への県の助成は全くなく、市町がコミュニティバスを新たに運行、あるいは拡充する上で大きな障害になっています。
西宮でもいよいよ始まりますが、県民的要求となっているコミュニティバスへの支援強化が必要です。市町のバス購入への助成制度を新たにつくると共に運行費補助引き上げを求めます。知事の心ある答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:日本共産党議員団のつづき研二議員のご質問にお答えいたします。まずコミュニティバスに対する支援についてです。コミュニティバスについては近年の高齢化や市町合併に伴う生活圏の変化等に伴いそのニーズはますます高まっていると考えています。高齢者等の交通弱者の日常生活を支える必要な交通手段でもあります。県としては、市町内での生活交通の維持確保は、基本的には地元市町の仕事、役割だと考えていますが、市町からの強い要望もあり県民の足を確保するという観点で平成16年度からコミュニティバスを運行する市町に対して運行赤字に助成をしてきております。17年度からは無償運送に対しましても支援の拡充を図ったところであります。ご指摘の補助限度額については、効率的運行を求める目的で設定しており、当面、運行赤字の大きな市町に対しましては、利用促進や経費節減の努力を促し経営が改善されるよう適切な指導助言を行っていきます。
なおバス購入の助成については、市町の初期投資に伴う負担軽減をはかるために、国に対して既存の路線バス購入費用助成同様の制度をコミュニティバスにも拡充するよう働きかけ提言していきたいと考えます。今後とも地元市町等と連携を図りながら県民にとって身近な交通手段であるコミュニティバスを維持できるよう支援してまいります。
砂子療育園の未就学の重症心身障害者児の学校教育保障の本格実施を
■質問■ 次に障害児教育計画についてです。県教育委員会は、今年中に、特別支援教育推進計画を定めるとしていますが、私は、地元に関わる緊急重要課題として以下の点をきちんと位置づけて取り組むことを求めます。
その一つが、未就学の重症心身障害者児の学校教育保障についてです。
養護学校が義務化される以前に義務教育年齢を過ぎ、今なお、学校教育を受けられないまま過ごしておられる重症心身障害者の学校教育保障の問題を、私は再三議会で取り上げてきましたが、ようやく昨年から県教委のモデル事業が実施されました。
このモデル事業は、中学3年生に編入後、高等部へ進学ですが、その卒業式が今年おこなわれ、保護者の方々は、「やっと我が子が中学生活をおくれることができた」と喜びの声を上げておられます。
「反応の乏しかった方が、学校に行くようになって自分で車椅子に乗ろうとした」、「体の緊張が強く手を上げることの出来なかった方が教室では手がまっすぐ上がるようになった」、「自傷行為の酷かった方もそれが治まるなどの驚く変化がおきた」、「重い障害のため他者を受け付けられなかった方が、他の生徒と感動を共有できるようになった」と、保護者の方は「子どもの成長が見えてくる」と語っておられます。
生まれて初めて学校教育を受ける中で、どんな重い障害の方も、隠された能力が開花するのです。施設と学校が一体となったこのすばらしい教育実践は、新聞やラジオで報道され全国でも注目を集めています。
砂子療育園では、60余名の方がいつ自分が教育を受けられるのかと今か今かと待っておられます。障害の重さに関わらず、どの障害児も学校教育を受けることができると言うのが、障害児教育の出発点ではありませんか。
現在のモデル事業のままなら全ての待機者が終えるまでに26年はかかると言われています。40歳を過ぎた方々には深刻です。「命ある間に教育を受けることができるだろうか。あと2クラスだけでも増やしてくれれば」という悲痛な声にしっかり答え、障害児教育として位置づけ、来年度は必ず本格実施に移っていただきたい。
本県の障害児教育では、全国に先駆けて、高等部への希望者全員入学を実施するなど、画期的な取り組みも行ってきました。来年は、神戸で、重症心身障害者の保護者全国大会が開かれます。当然、知事も挨拶されるでしょう。兵庫県が素晴らしい取り組みに踏み切ったことを挨拶でしていただきたいと、関係者が待ち望んでいます。全国注目のモデル事業は知事の英断で始まりました。本格実施も知事の英断で行っていただきたいと、思いますが、知事の心ある答弁を求めます。
▼答弁▼吉本教育長:未就学の重症心身障害児の学校教育保障および阪神間の県立養護学校新設についてであります。平成17年度から試行的に実施しております就学猶予免除者の就学モデル事業は、砂子療育園の入所者を阪神養護学校、のじぎく療育園の入所者を北はりま養護学校、青野ヶ原病院の入所者をいなみ野養護学校の中学部関連に編入をいたしまして、17年度の中学部卒業者をそれぞれの養護学校の高等部で受け入れをしているところでございます。
現在、高年齢の方に対します年齢相当の教育課程のあり方や効果的な指導内容等について調査研究を行っている段階でございます。今後、中高等部における調査研究の成果や受け入れ体制のあり方を見極めつつ該当者への適切な対応について検討してまいります。 阪神間の養護学校の新設への決断を
■質問■ また、阪神間でのもう一つの緊急課題は、阪神間の県立の養護学校が超過密になっていることです。ついに、養護学校PTA会長から陳情が議会に出され、マスコミも取材に入っています。
県立こやの里養護学校は現在でも施設基準の2倍の生徒で、運動場のブランコも使うと生徒にぶつかりかねないと、使えないように縛ったままというほど超過密です。
もう一つの県立阪神養護学校も、昨年すでに教室不足で図書室もつぶすといういずれも深刻な事態です。更に来年は、いずれの学校も大幅に生徒数が増えると言われています。
ずるずると養護学校新設の決断を遅らせば遅らせるほど事態は深刻になるだけです。直ちに養護学校新設を決断し、今年中に養護学校新設にかかるべきです。
以上、二点を障害児教育として最優先で直ちに実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
いずれも、財政的支援が不可欠です。知事の財政的支援の決断を求めます。
▼答弁▼吉本教育長:次に養護学校についてでありますが、平成18年度3月に障害児教育のあり方検討委員会から地域の状況に応じた適正配置の観点から高等部生徒増加への方策の検討が必要であるなどの提言を受けております。現在、平成19年度を初年度と致します5カ年の整備推進計画について検討を重ねているところでございますが、該当児童生徒の増加が顕著でございます阪神地域の整備は優先すべき課題であると考えております。
県民無視の教育行政をあらためよ
■質問■ 次に高校改革に関わる県教育行政についてです。
西宮でも一人一人を大切にする総合選抜制度を守る市民運動が広がっていますが、兵庫県では、選抜方式や学区の変更など重要テーマが、教育委員会議の合議事項ではなく、事務当局の専決処分事項にされ、その経過はいっさい明らかになっていません。
芦屋学区と神戸第一学区の統合も県教委は単なる、報告の事項でした。
しかし、他府県ではまったく違います。高校の通学区域や入学者選抜方式は教育委員会に付議する事項、議決事項となっており、住民は、その審議を直接傍聴することも出来ます。
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第23条で、教育委員会の職務権限事項が挙げられていますが、これは、行政の長から独立して、公正な教育行政が行えるように、合議制の教育委員会議で、審議、議決して、教育行政を進める事を保障したものです。
学科の再編や学区の変更、各学区の選抜方式などの教育制度の重要な柱を事務局が、勝手に決める本県のやり方は、法の精神を踏みにじる逸脱です。
また、県民から寄せられた請願に対して、一度も教育委員会議で審議したことがなく、すべて、事務当局が処理しています。
これは、県議会に例えて言えば、県議会に出された請願を、県議会で審議もさせず、いわば議員をほったらかしにして、県議会事務局が、勝手に処理するようなものです。もちろんこんなことが、議会事務局で行われているわけではありませんが、今の県教委事務局では平然とおこなわれているのです。
しかし、他府県の教育委員会では、県民からの請願は、教育委員会議の場で審議・採決の対象にすることはもちろん、請願者の発言をも認めています。
実は、本県も、1978年までは、学区の変更も、選抜方式の変更も、請願の受理も合議制の教育委員会で審議議決する対象にしていたのです。この年に、規則の大改悪をしたのです。いったいこのとき何があったのか。
さらに、いわゆる第2次高校改革検討委員会についてです。すでに第1回が行なわれましたが、県民の傍聴も認めず、非公開を決定したと言います。教育委員会の議決対象からも外し、事務局の元で非公開で進める、これは、県民参加を排除する密室審議そのものではありませんか。
県教育長は、諮問の際、公開を求めなかったということですが、その教育長の姿勢こそ厳しく問われるものです。
本来、学校教育の基本方向に関わる問題は、県民参加を徹底して保障して取り組むべきものです。
先に指摘した合議制教育委員会行政をないがしろにするやり方を根本的に改めるとともに、高校改革検討委員会を県民の傍聴、発言を認めるなど県民に公開してすすめることを求めます。教育委員長の役割の発揮が求められます。教育委員長の答弁を求めます。
▼答弁▼吉本教育長:次に、高校教育改革にかかわる県教育行政についてでございます。
現在の、教育委員会事務局決済規則につきましては、事務処理の責任の所在を明確にし合わせて合理的で能率的な事務処理を図ることを目的に教育委員会の議決を経まして昭和53年4月に制定されたものでございます。事務局の権限が法の主旨を逸脱したものとなっているというご指摘でございますが、他府県と比較いたしましても、例えば入学者選抜要綱につきまして議決をしている府県が14府県それから基本方針について議決をしている府県がこれは兵庫県も含まれておりますが18府県、報告のみの府県が11府県、規定のない府県が4府県。また請願につきまして付議もしくは報告をすることを規定しております府県は8都府県、規定のない府県これは兵庫県もそうですが39府県となっておりまして、その権限が事務局に集中しているという状況が本県にはなく妥当な水準にあるものと考えております。
また、県立高等学校長期構想検討委員会の会議の公開や傍聴につきましては、検討委員会におきまして委員による自由な立場の率直な意見の交換や公平公正な協議を確保するために非公開とすることが各委員の総意により決められたところでございます。さらに検討委員会の調査内容につきまして県民に情報公開をするということについても決定をされております。会議の発言要旨について教育委員会のホームページに掲載するなど適切な方法で公開することといたしております。
西宮阪急スタジアム跡地開発について
■質問■ 次に、阪急西宮スタジアム跡地開発についてお聞きします。
阪急電鉄が、阪急スタジアム跡地9ヘクタールに阪急百貨店、250の専門店、合計2200席のシネコンなどを建設する計画を進め、2008年には開業するとしています。
計画では、駐車台数が2980台、一日あたり約1万台の車が集中するとなっていますが、現在でも日中の毎時間、容量いっぱいの山手幹線に、1時間に1000台前後の車が増えれば、深刻な事態になることは明らかです。
この阪急スタジアム跡地の周囲は、北側が第2種中高層住居専用地域、東側は住居地域、さらにその東側には、第1種中高層住居専用地域が広がります。阪急がつくった来客アクセスルート図を見ると、住宅街は通らないとしていますが、絵に描いたもちになるか、暮らしにくい街を住民に押し付けるだけです。
さらに、この計画は、次の重大な事実を隠しています。
一つは、大駐車場に入る車は、幹線道路の歩道と平面交差し、歩行者や自転車が通る都度、来客の車は当然ストップし、後続の車も止まり、事実上1車線が停まってしまうことです。これは進入車線を別に設けても歩道と平面交差のある限り起きる致命的欠陥です。
車両が本線に出てくる場合も本線の交通渋滞を起こすことは阪神高速を見れば明らかです。さらに、現在でも混雑度が1.79で、渋滞が慢性化しつつあるR171に1日5200台の車が増加することです。現在でも平均走行速度が時速18キロですが、大動脈が深刻な慢性的渋滞に見舞われます。
さらに、重大なのは、県は、同じ山手幹線沿いに、1キロ以内にこの阪急の開発と同じように施設規模の上限のない広域商業ゾーン・JR西ノ宮駅などの周辺開発、2キロ先に地域商業ゾーン・夙川駅などの周辺開発をすることを決めており、この阪急の開発の2倍、3倍の車がさらに走り回れば、一帯が深刻な事態になることは明らかです。これらの検討は何ら行われていません。
根本問題は、地域の商店を破壊し、大量の自動車交通を集中させるマイカー依存型・大駐車場型の郊外型開発を、街の中心、住宅街のど真ん中で行おうとしていることです。
阪急スタジアム跡地は、阪急神戸線、阪急今津線が交差し、阪急バスも発着し、大量輸送機関に恵まれた場所です。
同じ西宮の阪神甲子園球場では、電車の吊り広告やテレビで、「駐車場はありません、車はお断り」と大宣伝し、車による野球観戦を呼び込まない努力をしています。
住宅街にマイカー交通を大量に呼び込む開発方式を見直し、マイカーを規制し公共交通機関利用型の開発計画に転換させるべきです。明解な答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:西宮阪急スタジアム跡地開発についてです。このスタジアム跡地の開発が予定されている阪急西宮北口駅周辺地区は西宮市の総合計画等の中で、多様な都市機能の集積を促進する都市核として位置づけられています。
この地区全体の開発については、主要ターミナル駅周辺であることを踏まえて街づくりを推進する必要がありますので、平成15年に県、市両者が阪急西宮北口南地整備検討会議、通称3者協と言っておりますけれども、これを設置し、鉄道高架事業に伴う県道西宮豊中線の拡幅と線形改良や、乗換を円滑にする鉄道駅総合改善事業など、開発の基本的な枠組みにつきまして、協議を重ねてきております。現在これらを踏まえて市がスタジアム跡地について建築物の用途の制限や主要な道路、緑地等の配置等を盛り込んだ地区計画を作成中ということです。現在事業者がこの開発計画について地元説明を行っていると聞いておりますけれども、その詳細は、市の地区計画に沿ったものを整理されると考えられます。県としては、今後、大規模集客施設条例に基づく届出を受理した場合には、開発規模等を踏まえ広域的な観点から地元関係者の意見を聞くなど慎重に審査等の手続きを進めることになります。審査検討の視点としては、公共交通機関の活用を主体に、またその利用を促すための対策や山手幹線等を含めた広域的な交通対策、生活道路への進入防止対策、周辺の景観環境にたいする配慮など、同地域の都市機能との調和をどうはかっていくかを問うことになると考えます。いずれにしても西宮市がめざす魅力ある街づくりを担う都市施設になるようこの条例や大規模立地法に基づく措置として的確に指導を行ってまいります。
甲子園浜、香枦園浜、御前浜の保全と再生を行うべき
■質問■ 次に、甲子園浜、香枦園浜、御前浜の保全と再生についてです。
この三つの浜辺は、阪神間で唯一残された自然海浜で、鳥獣特別保護区もあり、野鳥や水生生物の観察、市民の貴重な憩いの場ともなっています。この浜辺の海は、かつては、魚介類の宝庫でしたが、いまは、その面影がなく、海底にはヘドロが堆積しています。
わたくしは、これまでも、再三、愛知県三河湾での豊かな海を取り戻す取り組みを紹介し、大阪湾の中でも貴重な、この三つの自然海浜と海を再生する本格的取り組みを求めてきました。
愛知県三河湾では、県立の研究施設に干潟を再現出来る大型実験装置も設置し、三河湾の在来の自然の力を生かした湾再生方法を研究し、実施に移っています。
しかし、本県での取り組みは、ようやく御前浜に実験施設が作られましたが、幅50メートルとは、あまりにも貧弱ですし、市で設置している学習交流施設もNPOへの委託に止まっています。
ヘドロ堆積の原因は、前に埋立地が作られ、その上、三つの浜辺をつなぐ海流が断ち切られてしまったからですが、水の流れが断ち切られている問題に県は、まったく手立てをとろうとせず、及び腰です。
県には県立人と自然の博物館がありますが、ここには、干潟の再生研究の部門はありません。
エメックスなどに県のトップが出席していますが、足元は、抜本的方策も検討の対象にしていない、まともな研究施設も体制もない。これでいいのでしょうか。
御前橋の周囲を開削するなど、三つの浜をつなぐ海流の復元に取り組むとともに、例えば、県立人と自然の博物館に干潟や浜辺の再生研究部門や、その分館をつくるとか、干潟や自然浜、海の再生を図る本格的研究施設と体制をつくることを求めます。
▼答弁▼井戸知事:甲子園浜、香枦園浜、御前浜の保全と再生についてです。甲子園浜、香枦園浜、御前浜は阪神間に残された貴重な海浜でありますので、これまで海気環境の保全に配慮しながら埋め立て事業を行ってきました。甲子園浜では約900メートルの自然海浜を残して養浜を行うとともに、埋め立て地が側にも新たに800メートルの人工海浜を整備する等の環境保全創造への配慮を行いました。
また、西宮地区では、当初、旧防波堤により埋め立て地と陸域が繋がっていましたが、昭和62年ごろ防波堤部分を一部開削したことにより海流の復元にも寄与しております。御前浜橋周囲の開削については、現状よりも海水が流れる幅が広くなりますが、逆に流れが遅くなることも予想されますので、そのことが御前浜等の環境改善に結びつくのかどうか不明確であるので慎重な検討が必要であると考えています。県としていは御前浜において、多様な生物が成育でき県民が浜や海に親しみ遊べるきれいな海浜を目指すための本格的な実証実験を行っていますし、その研究の場として、平成17年に浅場を造成しております。現在、学識経験者や市民が参画する組織体制のもとに、生物、水質、底質等の状況について観測を行っておりまして、合わせて浅場の効果を評価し今後の展開について検討することにしています。この成果を生かしながら甲子園浜、香枦園浜、おまえ浜の海域環境の保全再生に取り組んでいきたい、このように考えておりますので、この検討成果を待ちたいと考えております。
武庫川流域委員会の提言を受けての県が対応すべきこと
■質問■ 次に、武庫川流域委員会の提言を受けて、県がまず行うべき事について質問します。
武庫川流域委員会が、2年半にわたって、専門家や公募委員、傍聴者なども含めた多数の県民の議論で、当面の河川整備計画には「新規ダムを位置づけない」という画期的な提言を、すべての委員の賛成で決定しました。
これは、県が武庫川ダムの必要性を執拗に主張しても、県が推薦した治水の専門家を含めて流域委員会で支持を得られなかったということです。
さて、この提言を受けて、県がこれから作成する整備計画原案に必ず反映すべき点についてです。
その一つが、堤防の補強です。
アメリカのカトリーナ水害、円山川水害、上流に5ヶ所もダムがあったのに大水害を発生した淡路の三原川水害など、いずれも堤防の決壊が大水害の原因です。県が最近発表したハザードマップでは、堤防決壊による被害のひどさを図入りで示しています。
ところが、私たちの再三の要求でようやくはじめる武庫川の堤防補強は、計画水位を超える洪水や、堤防を乗り越える洪水への対策は考えていません。武庫川は、砂を積んだ堤防で、水を含むと大変弱い、洪水がきたら大変弱いことはこれまでも明らかになっています。異常豪雨を強調しながら洪水が堤防いっぱいになる事は想定しない、極めて無責任です。
洪水が堤防いっぱいになっても、堤防を越えても決壊しない堤防にする事こそ最優先で行うべき治水事業ではありませんか。
もう一点が、武庫川下流の10箇所のコンクリートの横断構造物、床止めや帯工そして、潮止め堰についてです。
再三要求する中で、ようやく提出された、県の「昭和57年度武庫川流量・河道検討業務報告書」の中では、床止めを取り除けば、毎秒300立方メートル(以下トンと略します)の流下能力が増えるとし、宝塚大橋までの「環境整備工事完了後は、(六樋堰と百間樋井堰以外の)堰堤は撤去されるものとする」と明確に書かれています。毎秒300トンの流下能力向上の効果は、いわば武庫川ダムでいえば半個分の治水効果量に相当します。
ところが、下流の環境整備工事が終わって20年近くになるのに、この間折角、一帯の河川掘削工事を莫大な金をかけてやりながら、自ら報告書に書いたことも検討せず、床止めは撤去されるどころか、7カ所で41億円、全体では私の推定では50億円から60億円以上も投入して床止めを新たに作り直しています。それが今、流下能力不足の原因になっています。やることが全くちぐはぐなのは、武庫川ダムを前提とした治水対策しか考えないからです。
床止めは、鮎の遡上を妨げるなど水生生物の生息や生態系の連続性にも大きな障害になっています。
また、潮止め堰を撤去すれば、鮎の遡上と河口一帯に干潟が再生できる可能性も生まれます。かつて潮止め堰の工事を担当した現場では、「堰の上流の尼崎市の取水は、なくなっているのに、潮止め堰を新たにつくる意味があるのか」と、工事をする前から、必要性に疑問の声が上がっていたのに20億円もの工事を強行しました。
知事は、ダムの先延ばしなどと提言を批判していますが、先延ばしにしてはならないのは、床止めの撤去、潮止め堰の撤去です。すでに、神戸の都賀川では、コンクリートの川底を削り落とし、流下能力も向上させ鮎の遡上できる川に戻しているではありませんか。
ダム半個分も流下能力があがり、武庫川の環境再生、鮎の遡上する武庫川に戻すことが出来る、床止めの撤去、潮止め堰の撤去こそ、直ちに実施すべきです。整備計画原案に、これを入れるべきです。
さらに、武庫川下流部は、流下能力が毎秒2500トンしかないといいながら、2004年の23号台風では、2900トンの水量が1メートル以上も低い位置で流れたと言う点です。水位が1メートルも低いほうが、400トン多く流れる。誰が考えても不可解極まりないことです。
県は、突如大変な水量が流れたからだ、などと弁解しますが、大変な水量が一度に流れるのを洪水と言うのです。
県の資料でも、23号台風の洪水実績から逆算すると、3200トンないし3300トンの流下能力があることが明らかになっています。700トンから800トンも県は流下能力を過小に見積もっているのです。
武庫川ダムの効果量は、下流で毎秒637トンの流量抑制としていますが、まさに県は、流下能力を武庫川ダム一個分以上小さく見積もって、ダムがいるといっているのです。
整備計画原案の作成にあたっては、河口3キロ地点の河床材料調査を行ない、基準にもとづいて推定粗度係数を算定し、流下能力の再検討をすべきです。
さて、知事は、流域委員会の提言に対して、実効性があるのかと否定的発言をし、説明会は県がおこなうとしていますが、流域委員会をないがしろにする態度です。
本来、提言を行った流域委員会が、直接流域住民に説明会を行うのが道理です。
提言を受けた知事としてまずやるべき事は、第1に流域委員会が直接、提言の説明会を流域住民に行えるように保障すること、第2に宿題の解決、すなわち先に指摘した治水計画を左右する根本問題について検討を行い、必要な改善は直ちにおこなうとともに、整備計画原案・治水基本方針原案作成に反映させることです。知事の答弁を求めます。
▼答弁▼池田理事:武庫川流域委員会の提言を受けた取り組みについてお答え致します。流域住民の方々への説明会は提言内容の説明のみならず今後河川管理者が策定する武庫川の河川計画に対する住民の方々の意見を聴取するため開催するものでございます。従いまして流域委員会ではなく県が中心となって流域市と協力を実施することとしております。堤防補強につきましては、溢水しても決壊しにくい工法として、堤防全体をコンクリートで覆う工法などございます。
これらの工法は事業費が膨大となる他、樹木の伐採など景観や環境への影響も大きく、現時点での実施は困難と考えております。
県といたしましては、専門家の意見も踏まえ、現在、溢水しても一定の効果のある堤防補強に取り組んでいるところでございます。ご指摘の床止め溝につきましては、これまでの河川改修工事で撤去済みであり、すでに毎秒300立方メートルの流下能力の向上が図られております。このご指摘の区間の下流にございます床止め溝や潮止め堰につきましては、計画河床に合わせ整備したものであり、流下能力を阻害しておりません。
床止め溝を撤去し河床を下げますと橋梁などの横断構築物の改築等が必要となり河川整備計画上現実的でないと考えております。
潮止め堰につきましては、地下水量に対し塩水遡上を防ぐ必要があり、現段階では撤去できません。平成16年10月洪水時に毎秒2900立方メートルが流れた実績がございますが、洪水時は、河床変動が生じている可能性もあり必ずしも同一条件でいつも洪水が流れる保障はございません。
河川工学の専門委員から現時点では県が行った算定方法による流下能力の評価でございます。毎秒2500立方メートルが妥当であるとする意見が出され、流域委員会でも了承されているところでございます。
今後提言内容につきまして、専門家の助言も得ながら検証し、流域市や流域住民の意見もお聞きしながら、河川管理者として責任ある立場で河川整備基本方針、河川整備計画を策定する考えであります。
西宮市甲陽園の地下壕の調査・保存をすべき
■質問■ 戦後61年。戦争体験世代を第1世代とすれば、本人もその親も戦争を知らないと言う、第3世代、第4世代が増えてきています。戦争体験の語り部が少なくなってきましたが、戦争を2度と起こさせないためにも、今、第1世代の方々がおられるときにこそ、地域に残されている戦争の傷跡をきちんと調査し、保全、保存し、継承していくことが必要です。
私の地元西宮にも、戦争末期に作られた広大な地下壕が甲陽園一帯に残されています。1987年に在日の方々の取り組みで発見され、その後の調査で、7箇所に地下壕が存在していることが明らかになっています。
現存する「4号」壕は、壕内の壁に「朝鮮独立」「緑の春」の文字が残され、朝鮮から強制連行された朝鮮人労働者によって作られた地下壕であることを示しています。これらの地下壕は、軍部の命令で当時の川西航空機の疎開工場や軍指令部の地下壕として建設されたと言われています。
一方、これらの壕が、皇族や東條英機がよく宿泊したという「はり半」という有名な高級旅館のふもとを取り巻くように点在していることから、壕の一部はこれらの人物の避難壕でもあったのではないかと言う声もあります。
現在は、開発でなくなった壕もありますが、アメリカの公文書の中で存在が明らかになりながらも未調査のままの第6号、第7号、赤さびたレールがそのまま残っている第1号、先に指摘した第4号など今なら調査や保存が可能な壕もあります。この当時の工事を知りうる人々も大変少なくなっていますが、今なら、当時の状況を知る人々への聞き取り調査や、文献や資料の収集も可能です。
甲陽園一帯の地下壕の調査、関係資料の収集、関係者からの聞き取りをし、さらに必要な地下壕を保存し、甲陽園地下壕資料館として展示するなどの取り組みをすすめることを求めます。知事の答弁を求めます。
▼答弁▼吉本教育長:次に、地下壕の保存についてでございます。西宮市甲陽園所在の甲陽園地下壕につきましては、第二次世界大戦ごろ秘密裏に掘削されたものと考えられ、川西航空機の疎開工場などの施設がございます。
平成8年から10年にかけまして文化庁の依頼を受けまして、政治、文化等をはじめといたします11分野の近代遺跡の所在調査を行った際、当該地下壕につきまして西宮市教育委員会からの報告をもとに各地域における近代史の特徴を示すものとして文化庁に報告をいたしました。その後平成17年4月に国の登録文化財制度は建造物以外の分野でございます記念物等に拡大をされましたことから、西宮市教育委員会が当該地下壕を登録記念物の候補物件として文化庁に提出をいたしております。登録記念物として登録をされた場合には測量および塚等の調査費、現状維持のための修理等が補助の対象となりますが、現在のところ国全体の優先順位の関係から登録されるには至っておりません。
これまでの経緯からいたしますと当該物件につきましては、地域の文化財として西宮市において主体的に保存活用することが望ましいと考えておりまして、今後県といたしましても市からの要請に応じ必要な協力をしてまいりたいと考えております。
再質問
コミュニティーバスの県支援の改善を
■質問■ 再質問します。一つは先ほどコミュニティバスの答弁がございましたが、元々の出発点は一対一で県と市町とで負担しようやないかということで始めたわけですね。それが今言いましたように2.7倍という格差になった。
当然当時の思惑と違う状況に今広がっております。そういう実態になってきております。赤字路線を元々赤字路線だから民間でできないだからこれをやろうということですすんでいるわけですから、当初の思い通り一対一になるように見直しをする補助を基準にして考え直していく、改善をぜひ求めたいと、その点1点。
▼答弁▼井戸知事:まずコミュニティバスですけれども、特別交付税で80%の補填がある残りを県と市町とで持ち合いましょうということで始めておりますので、その考え方を貫くことが基本だと考えておりますので、もし現実がそこからかなり広がっている違っている形で運用されているとすれば、それはそれで来年度の当初予算の編成の中で当初の考え方をどのように貫くかを検討していきたいとと考えています。
障害児教育支援について
■質問■ もう一つは障害児教育支援についてなんですけれども、重症心身障害児への学校教育を保障する。先ほど紹介しました来年度おそらく知事は、来賓であいさつされるような場があるんじゃないかと思いますが、これは私が決めることではないんですが、しかしですね神戸でこういう全国大会が行われるとこういう時に兵庫県がモデル事業のままでしたということなのか、せめて一クラス二クラスでも増やしておいて、切実な願いに応えるのかどうか。
施設は今の施設でなんとかやると。先生を増やしていただいたらいいんだというふうにちゃんと答えるというのが知事の役割だと思う。財政的な費用を是非知事として決断をしていただきたい。
もう一つは、障害児教育の問題で今答弁ありましたが優先すべき課題ということなんですが、そう言われたままずーっと来ているんですね。
だから問題なのは、直ちに新設に取り組もうという方向をはっきりと示すかどうかということなんです。このことが今年にそれに着手していこうということを知事の方から言明したような答弁を求めたいと思います。
▼答弁▼井戸知事:全国大会までに未就学の障害児・者の教育をきちっとシステムを確立しろというお尋ねでもあったわけですけれども、教育長から答えましたように現在モデル事業をしながらその取扱の研究をしているわけでありますから、その教育委員会での検討を待って、私は措置をすべきものだと考えております。
それから、3番目の養護学校の整備につきましては、3月にようやく基本的な今後5カ年の方向がまとまったわけでありますので、この5カ年の方向を踏まえまして、教育長答弁しましたように最優先する課題を持っている地域が阪神南部地域だということを答弁したわけでありますので、そのような実状を踏まえて予算編成の過程の中で検討させていただきたいと思います。 自然の再生の問題
■質問■ それから自然の再生の問題ですけれども、人と自然の博物館には山と川の専門家はいるけれども、干潟の方はいられないんです。だから、これは改善が当然いると。山と川があって下流の干潟。当然干潟の研究体制がいると、当然知事にぜひこの点は答弁求めたいと思います。
▼答弁▼井戸知事:自然の再生については、ただいま申し上げましたように、海浜の養生についていろんな実験も行っております。それを見定める必要があると思います。 武庫川問題
■質問■ もう一つは同じ武庫川でも今指摘しましたように鮎が戻れる自然な川にするということは是非とりくんでいくべきでしょう。30年も40年も先に考えようというんじゃなくて今からそれを取り組む。少なくとも検討しようということを姿勢の答弁を知事から求めたいと思います。以上です。
▼答弁▼井戸知事:それから、武庫川の流域再生は、それは長期的な課題であろうかと思っておりますので、現時点で手をつけなくてならないことがあるのかないのか。
これは武庫川の環境調査も合わせて行うことにしておりますのでその一貫の中で充分に検討していきたいと、このように考えております。
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