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第285回本会議議案反対討論 毛利りん
2005年12月20日

  私は、日本共産党県会議員団を代表して、認第1号ないし第4号、第6号、第8号、第10号ないし第12号、第17号、第20号、及び議案第143号、第146号、以上13件に反対し、その主な理由について討論を行います。

 連続する年金や社会保障の大幅削減、そして大増税と、庶民の暮らしは一向に良くならず、低所得者層が増大しています。OECD加盟国27カ国のうち日本の貧困率は15、3%と5番目に高く、日本における社会的格差の広がりは顕著です。県内でも、四年ぶりに県税収入が増えたものの、個人県民税の所得割りは落ち込み、中小企業の多くが赤字経営で、うるおっているのは一部の大企業だけです。
  この間、「地方分権の推進」をうたった国の「三位一体改革」は、地方への財政支出削減だけがねらいだということがいっそうはっきりし、県でも昨年度は地方交付税約400億円が削減されました。
  いまこそ、「国の責任を果たすべき」との意見を強く国に主張し、県は県民生活にこそ税金をつかい、公的な責任を果たすべきです。「小さな政府」「民間まかせ」では県民を守れないことは、耐震強度偽装問題が証明しています。
  しかし、県の財政運営は逆立ちしたままです。昨年度の県債発行額は、2980億円、県の借金総額は全会計で4兆5400億円、県民一世帯あたり207万円にのぼっていますが、不要不急の事業で借金を重ねて県財政を危うくする一方、県民のくらしや安全を守ることには冷淡な財政運営が決算に現れています。以下、具体的に指摘します。

県民のくらし切り捨ての県政の転換を

 第1に、2004年度から実施に移した「行財政構造改革後期5カ年計画の取り組み」が、県民のくらしに暗い影を落としていることです。
昨年10月には、入院生活福祉給付金が廃止されました。かつて県自身が、制度導入の理由に「乳幼児や重度心身障害者、母子家庭等については、…日常生活においてハンデイキャップが大きい」とのべ、その状況は変わっていないのに、血も涙もなく切り捨てたのです。また、新型インフルエンザや感染症対策など、地域疾病対策の中核となるべき健康福祉事務所を縮小・再編しました。国民健康保険証の取上げや強制徴収もひどくなっています。県民の健康を守ることは最優先しなければならない課題であり、それは決してできないことではありません。入院給食費補助や、医療費助成など削減された福祉医療は、一般会計のわずか1%に満たない予算で復活できるものであり、認められません。

 第2に、教育問題です。
  高校教育についてですが、経済的理由で学校を退学せざるを得ない生徒、入学を諦める生徒が増えているときに県立高校や厚生専門学院の授業料を引き上げたのはとんでもないことです。世界の流れが高等学校を含め教育の無償化に進んでいる今、教育を受ける権利をきちんと保障するべきです。
  さらに、高校教育改革と称して県民合意のない入試制度の改変や統廃合などが次々進められています。昨年度は、県立芦屋高校を普通科から単位制に改編しましたが、このとき県教委は芦屋市から出された要望書を受け取らず、無視してまで強権的に進めました。広範な県民から反対の声や進め方への疑問が出されている「高等学校教育改革第一次実施計画」は、中止すべきです。
  なお、2004年度は、小学校1年生にだけ35人学級がスタートしました。私たちはこの間、繰り返し「少人数学級」を提案、要求してきました。一部分にしろ実施されたことは県民とともに喜ぶところですが、引き続き拡大実施および30人学級の完全実施を、強く求めるものです。

 第3に、雇用と中小企業対策、農業問題についてです。
  空前の利益を上げている大企業は、正規雇用を減らし、派遣・パート・業務請負など非正規雇用への置き換えをすすめ、労働者の3人に1人、若者の2人に1人は、不安定雇用のもとにおかれています。政府が大企業の横暴勝手を全面的に支援した結果とも言えますが、だからこそ、県が県民の雇用を応援すべきです。ところが実際は、県自らが臨時雇用をふやし、障害者雇用でも県教育委員会は法定雇用率を達成せず、厚生労働省から勧告・指導をうけながら、事実上放置しています。
  また、多くが赤字経営で、倒産の危機に瀕している中小企業への支援は不十分な一方、拠点地区に進出した資本金195億円のツムラなどの大企業には6億円の補助を出すという、条例をかえてまで推進する県の施策は大企業偏重となっています。
  さらに、「コメ政策改革大綱」が2004年度から実施されましたが、県でも担い手を絞り込む方向を打ち出しました。本県農家戸数の9割が兼業農家で、担い手を限定すれば圧倒的な農家は切り捨てられ、農業そのものの存続が危ぶまれます。国追随の農業施策をすすめるべきではありません。

 第4に、被災者対策についてです。
  2004年度は、阪神淡路大震災からの「創造的復興」の最終年にあたりました。総事業費16兆3000億円のうち被災者への直接支援には約2、3%程度しか使われず、被災者の暮らしの改善や失業、中小・零細業者の営業不振、相変わらず続く孤独死や自殺者など到底、真の復興などなし終えていません。
  そのことは、台風被害に対する施策にも表れました。全壊から床上浸水まで、1万1200所帯が何らかの被害を受け、半数以上の被災者が、わずかな見舞金だけで、公的支援を受けられていません。いまだ、仮の住まいで暮らす人々や、被災前の状態にもどることができないなど大変な状況におかれています。私たちは「支援金の増額と、所得・収入制限の撤廃」を何度も求めましたが、知事は「支給水準には限界がある」「高額所得者にも一律に支援するのはいかがか」など、県民の実態から目をそらし、冷たく拒否されました。例年より寒さの厳しい冬を迎えた台風の被災地に暖かい支援を行うべきであり、認められません。

 第5に、公共事業に関してです。
県財政の借金の大半を占める公共事業の見直しは遅々として進んでいません。それどころか、中型機しか発着予定がなく、開港前から採算見通しのない神戸空港や、関空二期への県費投入など、不要不急の事業を推進しています。さらに、県・公共事業用地先行取得事業特別会計に関わって用地の買い戻し、いわゆる塩漬け土地の買い戻しのため、昨年度も534億円を投入しています。目的もなく買い、今度は今後の活用見通しもなく買い戻す、これでは県民の理解など得られません。また、県・地域整備事業会計も、新都市づくりなど県民にとって必要性の乏しく過大なものが含まれており反対です。いま県がやるべきは、投資事業を大幅に抑制して県債発行を大きく減らすことです。そのためにも、県に都合のいい方法だけが議論されて住民の傍聴も認められず、事実上の追認機関となっている公共事業等審査会のあり方を抜本的に見直すべきです。また、公営企業会計でも、県工業用水、とくに揖保川第1工業用水については、新日鐵に対してトンあたり4円30銭と特別に低い料金で提供するなど、県民には平均155円、35倍とは余りに不公平であり認められません。

 第6に、警察行政についてです。
  兵庫県警にかかわって、この間、重大事件が相次いでいるとき、自動車警ら隊による書類偽造事件が発覚しました。さらに、「現段階で200件の不正が確認された。自浄作用を発揮し、再発防止に取り組む」とし、調査が行われている最中に事もあろうに偽造が繰り返されるという事態に、その悪質性、組織的犯罪性は驚くべきものでした。
  長年にわたり「ばれないと思った」と偽造を慣例化させ、横行させたのは、検挙ノルマによる管理、点数制による昇進がどのように影響したのか。幹部が部下にノルマ・命令を押しつけることや部下が上司に対して批判できない非民主的体質など、原因と組織的問題の徹底解明こそが求められています。私たちは、内部調査を県民に公開した上で、外部の識者、第三者も入れた機関で、原因解明と防止策の検討をオープンに議論するよう求めましたが、県警はあくまでも内部調査・捜査に固執し、警察刷新とは言葉だけであり、認められません。また、テレビでも大きく報道された「交通安全協会」の問題では、人件費に関わる委託料の使い方、幹部の天下りは問題です。

絵画の損害賠償で回収不能な事態

 さて、一般会計の歳入に関わって諸収入の未収についてです。「県立近代美術館に係わる絵画引き渡し請求事件」の和解及び損害賠償の額を定める先決処分が知事によって行われました。この事件は、昨年8月、県立近代美術館に寄託された小磯良平氏らの名画を仲介した画商が所有者に無断で請け戻し流用した問題です。ところが、県が損害賠償金1億9500万円を立て替え払いしたのに、1年以上経ってもこの画商から立て替え金が全く回収できていないのです。さらに問題は、すでにこの画商が8月末には画廊を解散、動産も金融会社に処分されていることを県は知りながら、9月議会に知事専決処分案件として提出、議会には画商に請求し支払わせるので県の損害は生じないとの説明をしています。議会軽視も甚だしく県民が納得できる内容ではありません。

グリーンピア三木の購入に反対

 次は、事件議案についてです。
  まず、第143号議案、三木大規模年金保養基地(グリーンピア三木)用地及び建物取得の件です。
  全国にあった13カ所の「グリーンピア」は、年金加入者から集めた保険料で厚生労働省所管の年金福祉事業団が建設し、年金資金運用基金が運営をしていました。ところが、経営が破綻、国民には納得のいく説明もなく、だれも責任をとらないまま、今年度末までに全てが廃止・売却され、「グリーンピア三木」は最後に残った施設でした。それを今回、総事業費299億円のものを約10億円で買おうとするものですが、単純に安価に買えて良かったとは言えません。
  まず、県民に利用をしてもらうと言いますが、三木周辺には同じような施設は多くあるうえに公共性がどう担保されるかと言う問題です。民間会社(エムアンドエム)に貸し付け運営するとのことですが、利潤があがらなければ利用料の値上げにもつながります。また、県への土地・施設賃貸料収入は年間6000万円とのことですが、10億円で購入し、10年間で6億円の収入しかありません。そして、賃貸契約が終了した10年後には耐用年数40年に近く大規模改修が必要となり、一方で県民の福祉を削りながら莫大な費用をかけることには県民の納得は得られません。これでは、どこから見ても買わなければならない理由はなく、賛成できません。

みくまりダム建設の見直しを

 最後に、第146号三熊川総合開発事業みくまりダム建設工事請負契約締結の件です。
  ダムの必要性について県は、利水面から「市街地の人口集中が急速にすすみ、水道用水の需要急増が予想される」として新たに1160トン開発するといいますが、果たして この地域で人口が増えているのでしょうか。多紀町では1999年の人口が4782人でしたが、2004年には4028人と減り、わずか5年間で15、8%も減少しているのです。また、治水対策でも、わざわざ過大な河川改修を見積もってダムと比較しています。水需要予測の面からも治水の面からも必要性はなく、反対です。

 以上、主な議案について反対の理由を述べましたが、その他の議案については、従来申し上げてきたとおりの理由により反対です。議員各位のご賛同を期待し、反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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