アスベスト被害対策の充実、被害者の健康管理システムを
■質問■ 私は、5点について質問致します。
第一は、アスベスト問題についてです。
アスベスト対策についてわが党議員団は、7月以来機会ある毎に知事への提言を行ってきました。また、当局もこの間一定の対策を打ち出され、その中には我々の意見もある程度反映したものと受け止めております。
しかし、ことが人の命に直結する問題だけに更に徹底した取り組みが求められています。
その一つは、健康被害に関する問題です。
政府が現在、来年の通常国会への提出をめざし検討しているアスベスト健康被害に関する新法は、国や企業の責任を一切認めず、被害者に対しては失われた損害に対する補償ではなく、「救済」するとしています。その救済の対象は労災保険適用以外の周辺住民や労働者の家族などで、療養中の患者には治療費の自己負担分と療養手当など合わせて1ヶ月10数万円。死亡した被害者の遺族には一時金240万円と葬祭料20万円、計260万円を支給する案が検討されています。これはとんでもない被害者の実態を無視したお粗末な内容です。
まず、40年も前から発ガン性を認識していながら石綿を大量に輸入し、製品を製造、使用を続けてきた企業、それを容認し、あるいは一部アスベスト含有の建築資材などの使用を法律で義務づけてきた国に責任が有ることは余りにも明瞭であり、その責任を認め反省し、被害者や国民に謝罪をすべきであります。
その上で、補償内容は療養中の患者については、医療費や通院のための交通費、本人の休業補償、家族の看病手当て、生活費などが支給されるべきであります。また、残念ながら亡くなられた方の遺族には労災保険に準じた補償が当然行われるべきであります
更に問題なのは、政府は1970年から2010年までの間の中疲腫などの被害者を最大2万人と想定。その内、06年度分までを公費負担するとして遺族一時金や療養費の支給総額を410億円と見込んで、その約二割に及ぶ80億円を労災件数に応じて都道府県に負担をさせると言われます。本県は最も大きな負担を強いられることは明らかで有り、到底容認できる内容では有りません。
そこで、知事は政府に対し、まず何よりも国と企業の責任を明確にして、補償給付の財源は原因者負担の原則に則り、全額国と企業で負担すること。療養中の患者と亡くなった方の遺族に対して労災保険に準じた補償を文字通り隙間なく実施するよう重ねて強く求めるべきであると考えますがいかがでしょうか。答弁願います。
▼答弁▼井戸知事:アスベスト対策についてです。まず国のアスベスト新法についての県の基本姿勢についてのお尋ねがありました。
今般のアスベスト問題はその規制に関する国の対応の遅れにより生じたものでありますので、地方公共団体に救済費用の負担を求めることは認められないとして国及び関係事業者の責任で対応するよう10月18日に既に申し入れを行っています。その後全国知事会でも本県等の意見を踏まえ10月27日国に申し入れを行いました。地方公共団体への負担を求める動きがさらにあるということですので、本日あらためて全国知事会から費用負担を求めないよう不合理であることを申し入れすることとしています。
一方被害者救済については、アスベストによる健康被害者の実態を踏まえ労災補償を受けずに死亡した労働者、家族及び周辺住民等の被害者に対し、十分な救済措置を講ずるよう国に申しれを行ってきています。昨日の石綿による健康被害に関する法律案大綱が関係閣僚会議において決定されたことは承知しておりますが、今後とも本県としては全国知事会とも連携しつつ、引き続き国に働きかけるなどアスベスト被害救済に向けて適切な対応をしてまいります。
■質問■ 健康被害問題の2点目は、国の新法により救済対象とされていない、つまり発症する前の検診制度、健康管理のあり方についてであります。
かって石綿に曝露し、あるいはその恐れがあり健康不安をかかえる人は早期発見のために問診、レントゲン検査を最低年一回以上継続する必要があります。
次にこの一時検診で、胸膜肥厚など石綿関連の疑いで精密検査が必要と診断された人は、CTなどの検査を受けることになりますが、保険が適用されても1万円前後の自己負担が必要です。
尼崎市では、9月21日現在、一次検診を受けた372名中124人。実に3人に1人が精密検査が必要と診断されています。これは、クボタ周辺の住民が中心だと考えられますが、かつてクボタなどの工場周辺に居住していて、石綿を曝露し、現在他の地域へ転居した人も含めると該当者は相当数に上ることは明らかです。
そこで、この継続して検査を行い経過観察の必要な人については、労働安全衛生法で離職者を対象に行われている「健康管理手帳制度」と同様の制度を創設し、以後無料で検査が受けられるシステムが切実に求められております。これについては、全国的にも経験もあります。
私は、去る8月かつて石綿の採掘と製造が行われていた熊本県宇城市松橋町に調査にいってまいりました。
同市では、1988年に町が実施した肺ガン検査で受診者のうち(41%)から異常が発見された事から、熊本県と宇城が共同で「胸膜肥厚等対策事業」を実施し全住民を対象とした検診。精密検査を要する人には、県市2分の1づつの補助で本人無料のCT検査を実施。その結果異常のある人は、台帳に登録し、経過観察を行う健康管理システムがつくられました。
現在、死亡者や転出者を除き、1152人が登録され、精密検査については、市負担で個人は無料で検査が受けられるしくみになっています。大いに参考になる取組みだと考えます。
そこで、本県でも健康管理システムをつくり胸膜肥厚など石綿関連の所見が認められる人については、台帳に登録し、「健康管理手帳」を交付し、個人負担無料で継続して検査が受けられる施策を早急にたちあげるため、国に強く要求するとともに国が実施するまでの間、県として実施される事を求めますが、いかがですか。
▼答弁▼井戸知事:健診制度と健康管理システムについて提言がございました。
県としては市町と連携をはかりアスベスト関連疾患にかかる健診の結果、本年度特にアスベスト暴露者とされた者のリストを市町において作成し、県に報告していただくよう求めています。
今後これを元に継続して健診を実施していくための基礎資料としていくことにより、これらの被災者のフォローを市町の責任と県との協力により行うことができるので、被災者個人が管理する健康管理手帳システムにより適切な運用ができるものと考えております。
また、アスベスト関連疾患にかかる健診の無料化や継続的な実施については、これまで国に対してアスベスト関連疾患にかかる健診の助成制度を設けること等を要望していますが、引き続き実現に向けて努力をしてまいります。
建築物解体のアスベスト飛散防止対策を
■質問■アスベスト問題の三点目は、建築物の解体等に伴う飛散防止対策についてであります。
県は、追加対策として非飛散性の建築物も80u以上を規制対象とし、今議会の知事提案では、県民局の相談体制の充実と出張検査ができる分析機関を斡旋する対策が明らかにされました。
これには我々の提言も反映していると受け止めております。しかし、更に具体的に対策が急がれます。
その一つは、建築物所有者から石綿が使用されているかどうかの調査や分析検査依頼、解体等に伴う届出や住民から通報等に的確に対応できる体制整備が必要であります。
尼崎市における状況を聞きますと主に今年4月から11月までの大気汚染防止法に基づく届出8件。県条例にもとづく届出34件。住民からの通報、苦情31件。石綿含有の分析検査に関する問い合わせや依頼が103件。合計176件が市の窓口に寄せられております。
これに対し、わずか数人の職員で他の多くの通常業務をかかえながら、対応しておりますが、忙しさに悲鳴をあげているのが実態です。電話で済むものもありますが、基本的に現場確認が不可欠です。しかし、全県的には、必ずしも現場確認する状態になっていません。例えば、ある市では、大きな民間住宅の解体に際し当初、住民に対し図面だけを見て「石綿は使用されていない」と市当局は説明しておりましたが、さらに住民が要求し業者が調査したところ、トイレや洗面所などに使用されていることが判明した例もあります。
こうした問題を解決するためには、届出や住民からの通報に対して、必ず現場調査、確認を行うよう義務づける条例等の整備が必要であります。また、今回知事が表明された県民局の相談体制の充実や出張検査ができる分析機関の斡旋等については、政令市でも、県主導で積極的に住民要請に応えられる強固な体制が求められます。
その2つは、費用負担についてでありますが、石綿使用の確認、調査、分析検査については公費で実施し、解体等に伴う飛散防止対策については、わが党が前議会でも提案したように、1u当たり3〜4万円もかかる除去費用への一定の補助と無利子の融資制度の創設が切実に求められています。
そこで、今後の被害拡大防止のために、届出等に対する現場確認の義務付け、そのための人的体制強化、石綿使用の調査や除去費用への助成と融資制度の創設を早急に実施して頂きたいと思いますが、知事の明確な答弁を願います。
▼答弁▼井戸知事:解体時の飛散防止対策についてです。現場確認についてはアスベスト含有建築物の届出があった場合にあっては、条例に基づく届出の内容を審査し、劣化状態と飛散の可能性の有無を判断した上で「立ち入り検査」を行うこととしております。
また、住民からの通報があった場合にありましては、原則として当該建築物の解体現場に立ち入り検査を行い適切な対応をすることとしております。
したがいまして、県として届出や通報に対する対応を行うこととしておりますので、さらなる立ち入り検査の義務化の必要まではないのではないかと考えています。
また人的体制の問題につきましては、県としては環境部局と建築部局が連携し、窓口業務の効率化をはかったところですが、立ち入り検査についても今後とも連携をはかりながら適切な措置を講じていきます。なお、政令市についても県と同様の体制をとるよう要請をしております。
アスベスト除去費用等の支援については、基本的には国がその責務を果たすべきだと考えておりますが、現在、国において除去に対する補助や低利融資制度などの支援措置が検討されておりますので、これらの国の検討状況や国の措置を踏まえまして、県として必要な場合には適切な措置を講じたいとこのように考えています。
障害者自立支援法の凍結と低所得対策を
■質問■ 次は、「障害者自立支援法」に関わる質問です。
障害者の福祉・医療サービスに一割の定率・応益負担を導入し、施設利用者に対する食費・医療費等も全額自己負担とし、障害者がサービス利用を断念せざるをえなくなり、結果的に親や家族の負担を大幅に増やし、障害者の自立への道を阻む障害者自立支援法が自民、公明の賛成で成立しました。
今、関係者は大きな不安を抱えています。私は 地元・尼崎のいくつかの通所授産施設を訪ね、その実態を聞きました。
ある福祉法人の通所授産施設では現在、通所者の98%が低所得のため無料です。ところが、1割負担になるとほとんどの通所者が月2万円もの利用料を払わなければなりません。授産施設の工賃は平均で月5000〜6000円です。障害者や家族からは「工賃より高い利用料を取られるということは、授産施設に通わず、家でじっとしていろということか」という怒りの声があがっています。
低所得者は減免制度があるといいますが、減免には二重三重の大きな壁があり、たとえ減免されても食費、光熱費で、負担は月1万2000円となり工賃収入を超えることは変らないうえ、この減免は3年間の経過措置にすぎません。
また、在宅で福祉サービスを受けている33歳のYさんの例です。彼は脳性マヒのため、両方の手足が思うように動かせません。住民税非課税所帯のため、現在は無料です。
一緒に暮らす母親も高齢、病弱のため、身体介助のヘルパーを1日約5時間は利用します。食事、歯磨き、洗顔、着替え、服薬、おむつ交換等々。朝、昼、夜、深夜に来てもらうヘルパーが頼りです。さらに、通院や外出のときも車いすを押すガイドヘルパーも必要です。しかし、今後「現在のヘルプサービスをそのまま利用すると減免されても2万4600円は負担しなければなりません。Yさんは障害年金1級の8万3000円、それに母親のわずかな年金を足しても家賃、食費、生活費を払っていけば今でさえ毎月ぎりぎりの生活です。これに大きな負担増になれば生活そのものが出来ないと訴えられます。
このように通所であっても、在宅であっても、「障害者自立支援法」は普通に生活をしたい、社会に役立ちたい、人間らしく生きたいと願う障害者の尊厳を根底から破壊するものです。
そこで障害者の自立を疎外する「自立支援法」の実施凍結を国にあげるべきと思いますが、いかがですか。また、現行サービスが低下しないように、県としての支援策を講じるべきと考えますが、合わせてお答え下さい。
▼答弁▼下野健康生活部長:障害者自立支援法は、障害者が自立して普通にくらせる街づくり、地域に住む人が障害の有無等にかわらず互いに支え合う街づくりを理念としておりますことから、この理念の実現のために、一つには、身体・知的障害という障害種類にかかわらず共通のサービスを共通の制度のもとで一元的に提供する。二つ目は福祉施設から一般就労への移行をすすめるための事業の創設や地域の限られた社会資源の活用などにより、障害者が地域で自立して暮らす仕組みづくりをすすめるものであります。また、3点目として、利用の手続き、基準を明確化し、公平な負担を求めるとともに、国・県の費用負担を義務化することによりまして、制度の持続可能性を確保をはかるというふうなことで法律化されておりますことから、身近なところでサービスを受ける地域づくりがすすむとともに、障害者本人を中心とした個別の支援をより効率的に効果的にすすめることができる基盤づくりを促進するために、きわめて有意義な制度であると評価をしております。
制度の運用につきましては、現時点では、政省令がでていないことから、詳細は明らかではありませんけれども、制度の円滑な施行に取り組むこととしておりまして、凍結を国に提言することは考えていません。
利用者負担の軽減につきましては、県でもこれまでから提言してきたところでありますが、国におきましても所得に応じて4段階の上限額を設定する、あるいは同一世帯に複数のサービス利用者がいる場合は世帯単位に上限額を適用する、社会福祉法人が負担上限額を半額とする減免措置を創設するといった、低所得者に対しては一般の人に比べて低い負担が所得段階に応じきめ細かく設定されている。
このようなことでありますので、低所得者に対する配慮が行われているというふうに評価しておりまして、現時点では、新たに県での支援策を講じる必要がないのではないかというふうに考えています。
小規模作業所の県単独補助金の継続を
■質問■ また、小規模作業所はさらに深刻です。県下で授産施設等に通所する障害者は全体で5425人です。そのうち2944人を小規模作業所が受け入れています。障害者のための通所施設のうち、5〜10人の小規模作業所がなんと54、3%もになっているのであります。
ところが、小規模作業所はもともと無認可で国の補助も少なく、県単独事業で運営されています。といっても財政的には職員のボランティアにも近い給与と家族や地域を含めた資金づくりに支えられているのです。
尼崎市内に約50ヶ所ある小規模作業所が行ったアンケート結果からもよくわかります。福祉を専門で学び理想に燃えて仕事に就く若い人たちも、給料は僅か12万円程度で、結婚する頃には「生活出来ない」と仕方なく止めざるを得ない実態です。また運営費の3分の1は父母たちが苦労しながら行っているバザーなどの資金に頼っているのです。
私が訪れた5人規模の作業所の所長さんは「今でも運営を維持させるのに親も職員も所員も必至。これを後退させることは、この作業所を閉めろということです」と訴えられました。
そこで、県下の障害者の生活と社会参加を支える上で大きな役割を担っている小規模作業所に対する県独自の運営費補助制度は絶対に後退させない、今後も継続する事を知事に表明して頂き、障害者と関係者を安心させてほしいと思いますが、暖かい明確な答弁を求めます。
▼答弁▼下野健康生活部長:小規模作業所の支援についてのご質問でございます。障害者の地域での自立した生活を支えていく上で、小規模作業所は企業等で就労や授産施設等の法内施設への通所が困難な障害者の福祉的就労の場、日中活動の場として重要な役割を担っているというふうに認識をいたしておりまして、県としてもその支援に努めてきたところです。
障害者自立支援法によります新たな施設体系は平成18年10月からスタートすることになっておりまして、具体的な要件などについてはそれに関する政省令がまだ出ておりませんので、現時点では不明な部分があるわけですけれども、県としても作業所の永続性と運営基盤の安定化を図るために当面法内施設への移行をすすめる方向で指導することとしています。また小規模作業所の運営費について平成18年10月からの法施行を前提に支援のありかたについて引き続き検討をしてまいりたいというふうに考えています。
若者の就職支援の充実 しごと倶楽部の阪神間設置を
■質問■ 次に少子化対策の基本である、「若者の生活基盤の確保」という観点から就職支援の取組み強化について質問します。
今若者の失業率は他世代の2倍にもなっており、派遣労働やパート、契約で働く不安定な非正規社員は急増し、24歳以下では2人に1人が非正規社員です。
24歳以下の完全失業率は全国平均8.5%です。
この問題を解消しない限り若者の生活基盤は安定せず、「結婚などとても考えられない。親と同居しなければ生活できない。」という状況を解決することは出来ません。
県は年度途中で、少子局を立ち上げましが、少子化対策というなら、まず若者のしごと問題を大きな柱に据える必要があります。
そして深刻な若者の不安定雇用を解消するため、県下の企業と財界に対し若者の正規雇用を増やし社会的責任を果すよう、積極的にはたらきかける事が緊急に求められます。
また、若者の中には、学校は出てもどんな仕事があるのか、自分はどんな職業に向いているのかわからず職につけない場合も多いと言われます。その意味でも、兵庫県雇用開発協会がおこなっている「若者しごと倶楽部」はますます重要です。
私は、昨年9月議会でもこの問題を取り上げ、スタッフの増員を要望したところであります。
今年、キャリアマネージャーが2人増員されスムーズに相談活動が出来るようなり、利用者にも大変喜ばれています。
先日、私も改めて訪問しましたが、広々としたフロアでキャリアマネージャーが相談をうけたり、パソコンで自由に職業検索できます。
相談事業としては、就職できない原因の分析からはじまり、実践的な就職活動力の養成がおこなわれております。
今年度に入ってからは、職員が増員されたこともあり、利用者は延べ一ヶ月2000人〜2600人となっております。職業を紹介した件数は4月から10月までで1863件、実際に就職したのは412件、その内ほぼ7〜8割が正規雇用ということです。
神戸市の利用者が6割以上で、神戸市以外の若者達は「もっと自分達の近くにこのようなところを作って欲しい」という強い要望があります。
私の住む尼崎市などでは、神戸の「しごと倶楽部」の情報は殆ど知られておらず、実際にはなかなか利用されていません。
一方で、阪神南県民局で行われている月二回の巡回就職相談の件数は昨年度わずか100件余です。「若者しごと倶楽部」のような丁寧な相談活動や具体的な就職支援が今必要なのです。
そこで、若者の正規雇用を企業に積極的に働きかけるとともに、若者への就職支援をさらに強化するために「若者しごと倶楽部」を全県にひろげて頂きたい。そして、さし当たっては、阪神間に設置することを提案するものですが、知事の誠意ある答弁を願います。
▼答弁▼黒岩産業労働部長:若者の就職支援の取り組み強化についてお答えいたします。
まず若者に対します就業支援といたしましては、職業意識の醸成、能力開発から職業相談までの一貫した支援を行っております。
具体的には、様々な仕事体験事業による働く意欲の醸成、若者しごと倶楽部によるきめ細かな相談、さらにひょうご仕事カレッジシステムによる企業ニーズを踏まえた能力開発に力をいれております。
若者しごと倶楽部につきましては、キャリアカウンセラーの増員など体制の充実に努めてまいりましたが、さらに県内に支援を広げるため、若者への仕事相談施設の設置に取り組みつつある関係市町との連携をすすめてまいります。
また、ものづくり体験支援や実践重視の技能者育成体制の構築を内容とする、ものづくり人材大学校構想の検討をすすめてまいります。
求人企業への働きかけについてですが、一時5割台半ばまで低下した県内の常用求人の割合は、平成16年度に6割を上回ったところであり、こうした傾向を持続拡大するため、引き続き企業を訪問しての求人開拓を行いつつ、企業における長期的視点からの人材育成の支援、ワークシェアリングの推進による若者の正規雇用の拡大、経営安定化の融資制度によるリストラの回避にとりくみ、安定した雇用の維持創出にとりくんでまいります。
イヌワシを風力発電から守る取り組みの強化を
■質問■ 次ぎに風力発電における環境保全対策について質問します。
風力発電は、空気を汚さず地球温暖化対策としても期待され、わが党も大いに推進すべきものと考えます。
一方、県でも環境影響評価に関する条例の対象となっておらず、景観への支障、騒音問題、貴重種の野鳥の衝突事故いわゆるバードストライクなど環境アセス面での対応がまったく追いついていません。
とりわけバードストライク問題は、昨年2月、北海道の3つの風力発電施設で、絶滅危惧種のオジロワシの胴体を真っ二つに切断された死体が発見されたことで、環境保護の観点から大きな社会問題となっています。
兵庫県下の風力発電は、淡路島などで5基が稼動中、さらに南淡路市で15基、朝来・宍粟両市で22基が計画中です。このうち、朝来・宍粟両市境に計画中の仮称・段が峰ウインドファーム事業は、風力発電としては国内最大級といわれます。その建設予定地周辺で環境省のレッドリストの絶滅危惧種になっているイヌワシの生息が確認されています。
2004年に国が公表した希少猛禽類調査結果では、全国に200ペア、幼鳥などの単体を含めると約500羽のイヌワシの生息が確認されていますが、兵庫県内ではわずか4ペアしか確認されておらず、30年前の20ペアから5分の1に激減し、繁殖率も20%台に落ち込み極めて危機的な状況となっています。
今回の風力発電計画地である段が峰に生息するイヌワシのペアは、環境保護団体の兵庫県イヌワシ協会でも長年観察が続けられ、県の調査でも営巣地ではないが山頂付近を餌場としていることを確認するなど、この計画地はイヌワシにとってわずかに残された生活の場であります。
しかし、もしこの計画が進められれば、バードストライクの危険性はもとより、道路や送電線建設のため森林が伐採され、餌となる動物の減少を招きイヌワシの生息が脅かされ、豊かな生態系のバランスが崩され、重大な環境破壊を引き起こします。この計画にたいして、全国規模でイヌワシの研究保全に取り組んでいる日本イヌワシ研究会は、資源エネルギー庁長官あてに「兵庫県段が峰ウインドファーム事業に対する意見書」を提出し、事業者に対し、計画中止を含めた指導を行うよう求めています。また県は、先般立地の妥当性を含め環境保全措置を検討させるとして「風力発電所環境配慮暫定指導指針」を発表。現在計画中の事業に対しても、環境影響評価審査会の意見を踏まえ、環境保全の立場から知事が助言を行うとしました。しかし確実に保護を図るためには、更なる取組みが必要です。
そこで、イヌワシの生息と県内に残された豊かで貴重な自然環境を守るため、段が峰の風力発電施設計画は中止するよう国と事業者に求めること。また、風力発電施設も環境影響評価の対象とするよう条例を改正するとともに環境影響審査会に猛禽類の専門家の意見を反映させるなど保全策の強化が必要と考えますが、知事の答弁を求めます。
▼答弁▼下野健康生活部長:風力発電所はグリーンエネルギーとして温室効果ガスの排出効果抑制に資するものでありますが、一方で、景観の変化、騒音の発生、猛禽類の衝突事故といったことの懸念がございます。
ご指摘の段ヶ峰周辺におきましては、2業者が風力発電所を計画しておりますが、当該周辺地域ではイヌワシが生息しているということから、事業者に対し学識者の意見を踏まえた環境保全上の見地からの助言を行うべく調整を行ってまいりました。
10月26日に、要綱で「風力発電所環境配慮暫定指導指針」を策定致しまして、環境に及ぼす影響について調査、予測、評価を行うことと致しております。
現在2業者ともそれぞれ風力発電所建設の環境影響調査、特にイヌワシの生息に関する調査等を実施しておりまして、その結果に基づき順次予測・評価を行うことといたしております。
その結果につきまして猛禽類の専門家の意見も聞いた上で審査を行い、必要な助言を行いたいと考えています。
また、この指針によります手続きは要綱に基づくものでありますが、風力発電所の建設については、今後事業の増加も見込まれますことから、条例の対象事業とすることについて検討をすすめてまいりたい。
住民への説明不足の緑遊新都心計画への指導を
■質問■ 次に、大型店の出店計画について質問いたします。
現在、尼崎市が進める「尼崎緑遊新都心開発事業」の関連で、JR尼崎駅北側のキリンビール跡地に、キリンビール社が阪神百貨店やスーパー「平和堂」など六万平方メートルの大型商業施設の導入を計画、すでに9月26日、大店立地法に基づく県への届け出を行っています。
この計画どおり立地が進められると商業の面では、隣接する「アミング潮江」の商店街はもとより尼崎市内の市場・商店街が大きな打撃を受けることは必至であります。尼崎市の財団法人「尼崎地域・産業活性化機構」が昨年10月から1年かけて実施した「尼崎の小売業の経営環境と商業集積に関するアンケート調査」結果がごく最近発表され、それによりますと尼崎市内の商店街や市場で「過去三年間の売り上げが減少した」とする商店が8割にのぼり、「私の代で店を閉じてもよい」と考えている商店主が四割前後もあるという深刻な実態が明らかになりました。
小売業の販売額が年々減少する一方で、相次ぐ大型店の出店などにより尼崎の商業は極めて深刻な事態を招いております。
こうした中へ更に巨大な商業施設が立地すればどうなるか一目瞭然です。
とりわけ、道路1つ隔てて東側に隣接する尼崎市の市街地再開発事業でわずか6年前完成した「アミング潮江」という商店街からは大きな影響が懸念されることから、共存共栄を願って尼崎市やキリンビール社に対して、「商業施設の北側にアミングの街との導線が出来るように通路、エスカレーター等の設備を設けること」「保留地に商業施設を導入しないこと」「駅前二号線を遊歩道として、「アミング」の街と一体となった街づくりにする」など多くの要求が提出されています。
また、この地域は、密集した住宅地も隣接しており、休日などは一日1万台からの車の集中で生活環境の破壊も大問題になっています。
これらの要求は、地元として当然の要求であります。
ところが、キリンビール社からは、何ら納得のいく具体的な回答は示されていません。 こうした中で、去る11月16日、同17日の2回地元説明会が開催されました。
しかし、キリン社は、最初から1回、1時間30分と限定し、一日目が3人、二日目が6人の質問を受け付けただけで、まだ多くの住民が質問を希望しているにもかかわらず、一方的に打ち切り、退場するという全く住民にたいして誠意のない、むしろ敵視する態度でした。
形式的に説明会を実施したとして、強引に計画をすすめようとする態度は断じて容認出来ないものです。
そこで、知事は、地元商店街との共存共栄を図り、県民の生活環境を守る立場から、まずキリンビール社に対し、商店街や住民への説明会を再度開き、十分話し合いを行い、納得と合意を得て進めるよう強力な指導を行うべきだと考えます。合わせて、商店街や住民から提出されている要求が実現するようキリンビール社に働きかけるべきだと考えますが、知事の答弁をもとめます。
▼答弁▼佐々木まちづくり復興担当部長:尼崎緑遊新都心に立地が計画されております「(仮称)キリンガーデンシティ」につきましては、設置者でありますキリンビール株式会社が9月に大規模小売店舗立地法に基づく届出を提出し、同法に基づく地元説明会を開催するとともに、現在県において届出書の縦覧および意見書の受付を行っているところでございます。ご指摘のようにキリンビール社が2回の説明会を開催したところ、出店計画に対する住民等の関心が高く、予想以上の質問希望者があり当初予定の1時間半の時間を延長して対応したが、一部の方が質問を受けられなかったという報告を受けております。
県としては、地元住民からの質問希望が非常に強いことから、同社に対し再度質問を受ける機会を設けるように強く指導をしており、同社もその方向で対応を検討していると聞いているところでございます。
なお、阪神間で県と市が共同で作成中の「広域土地利用プログラム」におきましては、尼崎緑遊新都心は大規模店舗を誘導する「広域商業ゾーン」として位置づけられる予定でありまして、大規模店舗自体の立地は土地利用計画上適切であると考えております。
住民からの要望等につきましては、大規模小売店舗立地法が出店際し施設の配置および運営方法について合理的な範囲で配慮を求めるものであり、国が定めた指針に基づいて駐車場の必要台数や周辺道路の交通への影響、騒音などについて審査する仕組みとなっていることから、その同法の主旨に従って、キリンビールに対して必要な指導を行ってまいりたいと考えています。
【再質問】
阪神間に若者しごと倶楽部を
■再質問■ 二つ質問をいたします。一つは、答弁漏れで若者しごと倶楽部ですけれども、私はやっぱり阪神間に必要だと、そこに作るべきじゃないかという提言をしたんですけれども、これは答弁漏れになっていますのでお答えいただきたい。
アスベスト被害住民にも健康管理手帳を
それと、もう一つは、アスベストの問題で健康管理手帳は個人が持つのは必要ないという答弁だったかに受けたんですが、今の被害者というのはかって尼崎のクボタの近くに住んでいて、そして結婚したり就職したりあるいは転居したりと方々に行っているわけですね。やはりそういう症状のある人あるいは懸念のある人は、きっと管理手帳をもって全国どこでも受けられるようなあるいは健康管理が継続してできるようなそういうシステムが必要だと。だから既に労働衛生法では、労働者の場合はそれが実現しているわけですから、この周辺の住民に対してできないわけはないと思うんですね。ですから、これはぜひもう一度検討していただきたいということで、知事に答弁をお願いしたい。
小規模作業所の県単独事業を「後退させない」と約束せよ
それからもう一つですね、支援法の関係で、結局、小規模作業所の県単独の補助事業についても今度の法の改正に伴って見直しをすると、まあ色々いわれたけれども結局見直しをすると私は理解をしたのですけれど、もしそうだととしたらこれ大変なことだと思うのですね。
今作業所は、わずか数人の職員とかあるいは親たちが1万円をバザーなどで稼ぐのにも四苦八苦してやっているんですね。そこへ県の単独事業がわずかでも削られるということになったらたちまちこの運営に大きな支障がでてくるということですから。この県の単独事業は絶対に後退させないと、続けるということを知事表明して安心させてほしい。よろしくお願いします。
小規模作業所の補助金は「大切にしていきたい」
▼答弁▼井戸知事:まず若者しごと倶楽部で尼崎に作るか作らないかということについては、失礼しました。阪神間に作るか作らないかということは、今県一本でクリスタルタワーに置いていますが。利便性を考える必要があるのではないかという声もございます。
今のお話もあります。よくこれからそれこそ予算の編成作業の中で検討してまいりたいと思っております。
それからアスベストの暴露者の健康診断のフォローアップをどうしていくかということでありますが、私お答えしましたようにきちんと市町と県とで把握をしておりますので、あえて手帳というものまで必要ないのではないかというのが私どもの見解でありますが、手帳とか何らかを称するものを持っていた方が、状況を説明するのに望ましいのかどうか、そのようなこともあるとしますと、両方やるということも考えられますからその適否につきましての検討をさしていただきたいと思います。
小規模作業所の運営に支障を生ずるようなことを今の時点で法律が変わったからと言って考えているはずはありません。答弁でも政省令で法律上法人でなくちゃいけないと書いてあるんですね。答弁で申しましたように4分の3が法人格をもっていないんです。ですから、法律上の助成を受けようとすると法人格を持つ必要があるんですね。従って法人格を持てるような対応していかないといけない。そういう指導をしていきますよと申し上げたんでありまして、単独事業を見直しますとかそれ以上のことを言っているつもりはないんで、もし単独で運営助成をしているものを見直すとすれば、非常に手厚い法律上の措置が行われるということを踏まえたらそれはそれで見直しをさせていただくということがあるかもしれませんが、現状とほとんど変わらないということだとしますと、今の時点では障害者のみなさんの働く場の確保とあわせて社会復帰の一つの糧になっておりますから、私は非常に小規模作業所については、大切にしていきたい。このように考えております。
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