私は、日本共産党県議団を代表して、議案第138号「職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例制定の件」について反対し討論を行います。
まず指摘したいのは、一般職員約1万人、教職員約3万4000人、警察職員1万1000人、合計約5万6000人とその家族に大きな影響があるにもかかわらず、兵庫県高等学校教職員組合など4つの労働組合との協議が整わず労使協議中であります。労働組合を持たない警察職員についても、犯罪多発の中、県民の安全のため献身している第一線警察官の理解が得られているとは到底考えられない中で協議を無視して見切り発車する県当局の条例改正案には同意できないということであります。
第二に、今回の県人事委員会勧告が、小泉内閣の公務員の総人件費削減という政策方針にそった人事院勧告をうのみにした内容を持つことです。
本来、国の人事院は公務員の労働基本権制約の代償措置機関としての役割を果たすことが求められています。ところが、人事院はその役割を忘れたかのように官民格差を理由に、連続して公務員給与の引き下げを勧告しています。公務員給与の引き下げは、民間企業の給与のさらなる引き下げ圧力となり、官民あわせての賃金引下げの悪循環を進め、社会全体の所得水準を引き下げ、消費の落ち込みや景気悪化を招くことになります。
第三に、県人事委員会の調査によれば、県の実質公民較差は民間が1.26%、5345円上回りました。これは2001年4月から実施されている12ヶ月昇給延伸措置のためです。
人事委員会の調査どおりで実施するなら、本来、職員の賃金引下げでなく、引き上げられねばなりません。
ところが、県は昇給延伸がなかったもの、すなわち賃金昇給が行われたと仮定して、実在しない架空の賃金水準を設定して民間との較差なるものを作り出しています。
さらに、この昇給延伸がなお続けられているにもかかわらず、支払われたと見なして今年4月にさかのぼって賃金を引下げるとして、その相当額を今年の年末一時金から引き去ろうとしています。給与遡及減額については県職員や教職員の提訴で現在裁判で争われていますが、なお強引なやり方が続けられるのは理解に苦しむものであります。
給与の減額分を四月にさかのぼり期末手当から減額することは、民間の労使関係でも確立している具体的に発生した賃金請求権を事後に締結された労使協約や事後に変更された就業規則により変更することは許されないとする不利益不遡及の原則を覆すものであり容認できません。
今必要なことは違法な遡及減額を是正し、架空の賃金水準などを設定するのでなく、公民較差を実質なくす賃金改定を行うべきであることを主張し、本条例改正案に反対を表明するものであります。
議員各位のご賛同を願い、私の反対討論を終わります。 |