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本会議 第285回本会議代表質問 中村まさひろ
2005年11月29日

■質問■ 私は日本共産党県会議員団を代表して知事に質問をいたします。
  「今、日本の国はかつて無い、異常な方向に進んでいる」と、国民の多くが感じているのではないでしょうか。
  この間、連日、マスコミで報道されているマンションやホテルなどの建物の耐震偽造問題は、国民に、大きな衝撃を与えています。1998年に建築基準法を改悪し、安易に民間任せにするシステムにしてしまい、行政によるチェックも責任もあいまいにしてきたことが、この事態を作り出してきました。まさに、「規制緩和」や「官から民へ」とすすめてきた小泉構造改革が、国民の安全とくらしをどこに導くか明らかです。
  また、庶民大増税や社会保障の大改悪に加え、雇用問題では正社員から非正規雇用への置き換えによって「人間らしい雇用」が破壊され、「少子化対策」を唱えながら、子育て世代への増税や負担増、保育料の値上げなど、貧困層の増大と社会的格差の新たな広がりが進んでいます。本県においても、公務員の嘱託化やパートへの切り替えなど不安定雇用増大に一役買い、今年7月から福祉医療の大改悪など、国の悪政に輪をかけて県民を苦しめています。
  一方、国と地方の1000兆円に迫る借金総額は、政府・財界の大失政の結果です。「一体誰が大赤字と大借金をつくったのか」。国民、県民に責任がないことは明らかであります。
  県当局は今、来年度の予算編成のまっただ中です。わが党は、すでに9月に133項目の「重要政策提言」を、先日11月14日には526項目にわたる「来年度予算編成に向けての申し入れ」を知事に行いました。国の大負担増の政治に対決し、県民のくらし・福祉・教育を守る県政実現のための予算編成を行うよう強く求めて質問に入ります。

JR脱線事故 被害者の立場にたってJRに働きかけよ

■質問■ JR西日本の事故発生から7ヶ月が経過しました。
  あの想像を絶する大惨事の被害者と家族の皆さんは、今も立ち直れず、悩み苦しんでおられます。
  4・25ネットワークの代表は、10月4日、国土交通大臣に要請書を提出しました。その要請文では「家族を失った遺族はもちろん、悲惨な光景を目の当たりにした負傷者までが奈落の底に突き落とされ、未だに事故そのものが信じられず、時間は4月25日から止まったままであります。わたしたちにとって事故の原因が徹底的に究明され、再発防止策が明らかにされることこそが事故の打撃から立ち直る第一歩なのです。」と訴えておられます。ところがJRは、被害者に対し全く不誠実な態度を続けています。
  10月23日に行われたJR西日本主催の「説明会」でも「事故原因の説明はしない」との姿勢に終始したのです。また、ATS−Pの速度設計ミスが96カ所であり、8月末に事故調査委員会から指摘されていたにもかかわらず、この10月の説明会でも一言も触れず、隠し通していました。そればかりか、「事故原因の説明会を遺族の主催で行うのでJRの責任者が説明してほしい」との要望も拒否しつづけています。
  このような時、事故現場を抱える本県の知事としての対応が問われています。
  とりわけ知事は、JRの垣内社長と同級生で親しい仲であると新聞報道されています。「慰霊と安全のつどい」も知事の肝いりで実施されたようですが、知事や大臣また、JRの社長などばかりで、遺族の声はついに聞かれませんでした。実行委員会から遺族に挨拶の要請もしていなかったのです。
  「来賓を招待するためのつどいだったのか」「これで、幕引きをねらったのか」と不満や反発の声が起こるのも当然ではないでしょうか。
  知事は被害者の方から直接お話を聞くこともせず、また、JRに知事自身が直接申し入れを行ったようにも聞いていません。知事として、被害者の方の思い・意見を直接お聞きし、JRの不誠実な姿勢を厳しく戒めるべきではありませんか。
 ・知事、ネットワークの「ニュース・レター」には、「乗客の過失度は絶対値のゼロ」と訴えておられます。JRに対し、「遺族が主催する事故原因の説明会」に責任者が出席し納得のいく説明をする、など、被害者の立場に立って誠心誠意、真摯に対応するよう、強く申し入れることを求めます。

▼答弁▼井戸知事:JR福知山線の列車事故についてであります。被災者に対する対応についてお尋ねがありました。今回の事故を受け、県としてJR西日本に対しまして、事故直後にご遺族や被害者への支援に誠実かつ万全を期すこと、原因の早期徹底究明と鉄道輸送の安全確保を図ることなど4項目につきまして申し入れを行いました。
  また、9月25日の「慰霊と安全のつどい」におきましても、改めて徹底した原因究明と安全対策を強く訴えたところであります。この他にも、現在県の役割として、精神保健福祉士等が事前に了解を得られた負傷者を戸別訪問して「心のケア」を実施しています。
  今回の事故原因の究明については、国土交通省の航空鉄道事故調査委員会が鋭意調査をすすめており、最終的な結論を得るまでには相応の日時が必要であると聞いておりますが、専門機関であるこの調査に待ちたいと存じます。
  また、当事者間の問題については、第一義的には、当事者で話し合われるべきでありますので、まずは引き続きJRの対応を見守ってまいります。
  なお「慰霊と安全のつどい」の当日はご遺族の意向を踏まえて、追悼と安全の言葉や安全の誓いなどを述べる人数を最小限に限定したものです。また式典に約2400名が参列したことで、式典終了後も約2800名の方々が献花されたことは、このつどいが多くの県民の方々からの慰霊と安全を願う気持ちを寄せる場であったことを示しているのではないでしょうか。議員ご指摘のような、「大臣や代議士ばかりの挨拶が続いた」とか「来賓を招待するためのつどいだった」というようなことはなかったことは明らかであります。
  また、私自身もJRには毅然とした態度で、その安全対策や被災者救済を申し入れていることを申しておきます。

■質問■ 次に、今後このような事故は絶対起こしてはならないことは当然ですが、万が一起こった場合、県としてどう対応するのか、今回の事故の検証のあり方についておたずねします。
  事故当時「県から周辺市町への事故発生の情報がなかったこと」や「自治体(市町)間の連携が不十分」などの指摘があります。わが党は事故直後、阪神間各市の状況について調査しましたが、尼崎市をはじめ各市から、「安否情報も全然市に提供されなかった。問い合わせが来ても答えることが出来ず被害者の家族に、市に対する不信感を与える結果となった」「県の支援本部からはもちろん、県民局に問い合わせても情報はつかめなかった」との厳しい意見が出されました。
  また、救出・救援活動における医療機関のあり方、とりわけ県立病院の対応も問われました。要請が無くても県内外遠方から積極的に駆けつけてくださった各民間病院に比べ、本県県立病院の果たした役割はあまりにも不十分でした。
  わが党は6月議会で、現行の「地域防災計画」にある「大規模事故」の場合の対応すらまともに実行しなかった誤りを指摘し、県はその後、検証委員会を設置しました。まもなく4ヶ月になろうとしているのに、これまでわずか2回の委員会、それも資料説明の時間を入れてたった4時間会議をしただけです。開催結果の「概要」を見ると、今述べたような問題点はテーマとして提案されても委員会で議論にもなっていません。
  これで、被害者や県民が納得出来ると知事はお考えでしょうか? 検証委員会は第3回目を12月末に開き、それで最後と言うことです。
  今回のような事故災害時には、県が率先して救出・救援に取り組むと共に、総合的・広域的な観点から、情報収集、発信に責任を持つ体制、システム作りが必要です。
 ・なによりも被害者の立場からの検証が出来るように、被害者や被害者推薦の学者などをメンバーに加えるとともに、検証中の情報や議論の中身をすべて公開し、被害者の方たちや自治体の声、さらに県民の声など、もっと多くの意見が反映される検証委員会にすることを求めますがいかがですか。

▼答弁▼井戸知事:県においては、JR福知山線列車事故災害時の応急対策の課題等を抽出し、今後の大規模事故災害における県の対応等に生かすため、有識者による「JR福知山線事故検証委員会」を設置して第三者的視点から客観的総合的な検証を行っているところです。
  検証にあたってはこういった主旨に沿って、まず関係機関の総合的な対応体制のあり方がどうだったか、第2に人命救助活動や地域との連携協力はいかがだったか、第3に救急搬送や患者の受け入れはどうだったか、第4に安否情報の開示と提供システムのありかたはどうだったか、弟5に心のケアのありかた等、このような各分野ごとに専門的知見を有する検証担当委員を専任して、検証作業をすすめています。
  検証委員会は公開として、各検証担当委員は単に委員会の場で議論するだけでなく、各分野の課題に応じ自治体や防災関係機関、JR、マスコミをはじめ、多くの関係者への意見聴取や資料収集、分析などを重ねておりまして、12月下旬の最終とりまとめに向けて、鋭意このような検証作業がすすめられていることにご理解をいただきたいと思います。
  こうした取り組みを通じて大規模事故災害都市対策計画の見直しをはじめ、今後の県民の安全安心のための備えの充実につながる数多くの貴重な提言が得られることを期待しています。前のページへ戻る

昨年の台風被災者への支援の拡充を

■質問■ 次に、昨年連続しておそった台風被害についてです。あれから丸1年以上がすぎました。特に、死者26人、多数の重軽傷者をだした台風23号による被害は深刻で、応急仮設住宅で生活する人や、まだ被災前の状態にもどることができない人など、いまだに大変な状態が続いています。
  昨年の台風災害にたいし、被災者生活再建支援法と県独自制度の支給状況は、今年8月までで、全壊や大規模半壊のうち国の支援金は4割以下の805世帯に3.8億円。県の補完制度は1031世帯に7.9億円、県の上乗せ支援金は3,786世帯に18.2億円となっています。

 被災者のうち全壊から床上浸水まで、なんらかの被害をうけた人は11,200世帯であり、県の独自制度があっても、半数以上の被災者が、わずかな見舞金だけで、公的支援を受けられていないのです。
  わたしは、1年前、この場で、兵庫県として「すべての台風被災者に支援すべき」という立場から、支援金の増額と、所得・収入制限の撤廃を求めましたが、知事の答えは「支給水準には限界がある」「高額所得者にも一律に支援するのはいかがか」など、冷たく拒否されました。
  しかし、豊岡市が、今年8月に全壊と大規模半壊の全員を対象に行ったアンケート調査では、いまだに一部しか補修できていない」とか、「湿気が多く、かび・虫の発生が多い」など、大変な状態が浮き彫りになると同時に、最も多くの意見が集中したのが、生活の基盤となる住宅の再建についてです。「国からの資金が足りない」「借入金の返済が大変」「支援金の年収要件を撤廃してほしい」など、被災現場での生の声が出されているのです。特に、「800万円の年収制限で支援を受けられないのはあまりにも不合理でつらい」というのは大きな声となっています。
  知事はこのアンケートに目を通されたのでしょうか。被害から丸1年たった被災地の現状は、知事の認識を改めざるをえないものと私は考えます。それでも「支援の拡充はできない」とおっしゃるのでしょうか。

 また、県は独自の上乗せ支援金を、「臨時的措置」としてやめてしまい、今後の災害には適用しないとしています。一方で、9月にはじまった住宅再建共済制度は、県内いたる所に「のぼり旗」をたて、報奨金制度の創設、県職員への勧奨など、県をあげての大キャンペーンで、他の施策への取り組みに比べ異常なほどの違いです。
  国への来年度予算提案でも、「法のさらなる改善を」とはしていますが、公的支援の「抜本的」強化とは言えない内容で、被災者の望んでいる支援とは明らかにギャップがあります。知事は、今年の年頭あいさつで「現場主義が基本」だと言われました。知事自身にその言葉を実践していただきたい。被災地の現場の声は明確です。
 ・いまからでも遅くありません。困難をかかえている台風被災者にたいして、公的支援の強化、とくに「所得制限の撤廃」を再度求めますが、いかがですか。
  そういった立場で、国にも法改正を求めるべきです。答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:自然災害からの住宅の再建への公的支援は、被災者の負担能力に応じて自力再建が困難な者を対象に必要な支援を行うことを基本としておりますので、いかなる高額所得者も含めて一律に支援を行うことは、この主旨からみて県民の理解が得られないのではないかとこのように考えます。このため、今直ちに収入要件を撤廃することは妥当でないと考えています。
  また、国の居住安定支援制度には、建築費本体が対象とされていないなど、被災現場の実態にそぐわない不備があることから、その改善に向け引き続き全国知事会等とも連携しながら働きかけています。しかしその不備を放置することは問題がありましたので、県単独の補完措置を行ったものであります。
  なお、自然災害被災者の自助努力の限界やそれに対する公的支援の限界をお互いの助け合いで埋めてきた阪神淡路大震災の教訓を具体化する仕組みとして、住宅再建共済制度を本年9月にスタートさせたものです。所得の多寡を問わず誰でも参加できる相互扶助の仕組みにより多くの県民のみなさんに加入をしていただくよう、さらに広く徹底して呼びかけてまいります。
  なお、豊岡市による全壊・大規模半壊世帯のアンケート調査によりますと、「精神的な面も含めた家庭の全体的な復興度」の問いに対して、「おおむね被災前の落ち着きを取り戻している」と回答した人が85%を占めています。また、個別回答においても「支援金がとても役に立った」という意見が多数ありました。これを申し添えさせていただきます。前のページへ戻る

介護保険制度の利用者負担の軽減と施設支援を

■質問■ 次に、介護保険制度についてお尋ねします。
  介護保険法の改定により、10月1日から特別養護老人ホームなどの食費、居住費、ショートスティの食費や滞在費などが保険給付の対象から外され、利用者の自己負担となりました。11月になって、施設から具体的に請求書が届けられた人から、「こんなになるとは思いもよらなかった。とても払える金額ではない」と訴えが寄せられています。
  国の軽減制度はありますが、大変不十分なものです。これまでよりも負担額が減るのは年金収入が80万円以下というほんの一部の人で、額も3000円程度です。圧倒的多数の人は大幅な負担増となっているのです。
  9月議会の答弁で「負担増が2万2000円も軽減される」と例に出された所得に応じた利用者負担第3段階の人は、従来の4万円から7万7000円になるところが5万5000円になったと言うだけで、月に1万5000円、年額18万円の負担増になるのです。さらに、新規入所ならば、個室に入らざるをえない場合など最大9万5000円と2倍以上の大幅増を我慢せよという県の姿勢でいいのでしょうか。
 ・そこで、県として実態をしっかり把握して、国に対しさらなる負担軽減策を求めるとともに、保険料や利用料の軽減制度を県独自で作り、だれもが安心して利用できる「介護保険制度」となるよう、県の支援を強化することを求めます。

▼答弁▼斉藤副知事:今般の介護保険制度の見直しは、一つには同じ要介護状態であります者の在宅と施設における給付と負担の公平性を確保するということ、二つには将来にわたり持続可能な制度とするということなどから行われたものでありますけれども、低所得者の負担軽減につきましては、県といたしましても昨年の7月に「介護保険制度の見直しに関する提言」によりまして拡充を提案してきたところでございます。その結果、国におきましても低所得者の段階数を2段階から3段階に増やすとともに、市町村民税非課税所帯で年金収入等が80万円以下の者について保険料額を基準額の75%から最大50%に引き下げるとともに、1割負担上限額を月額2万4600円から1万5千円へ引き下げるなど、低所得者に配慮した仕組みが取り入れられたところでございます。
  また、食費・居住費につきましては、相部屋の多床室の場合あるいは10人程度が一つのユニットとして食堂、バス、トイレ等を利用するユニット型個室の場合等の部屋の種類毎に、所得段階に応じまして利用者負担が設定され、低所得者については一般の人に比べて低い負担がきめ細かく設定されているところでございます。
  このように今般の見直しでは、低所得者に対します配慮が行われていることから、現時点では、新たな負担軽減制度の創出は必要ないのではないかと考えているところでございます。

■質問■ 利用者の負担が増やされる一方、介護報酬が大幅に引き下げられたため、施設運営にも危機的影響を与えています。尼崎市のある特別養護老人ホームでは、年間3,000万円もの減収になるそうです。
  その上、利用者負担3段階の人を対象に「法人による負担軽減制度」を実施するなど、特に良心的な施設は「もうやっていけない」と悲鳴を上げておられます。収入が減った分は結局人件費、すなわち職員にしわ寄せが行くばかりです。民間の福祉法人の職員は低賃金の上、利用者の重度化に加え、介護保険事務量が激増するなど、職員の「やる気」だけでは仕事が続けられず、退職者が増えています。そのため、経験豊かな人材が激減し、福祉サービスやケアそのものの空洞化が生じ、介護制度が崩壊するのではないか、と施設関係者は心配されています。
 ・そこで国に対し、財源は国が負担した上で、介護報酬の適切な引き上げを行うことを求めると同時に、県として、民間施設のサービス水準が維持できる職員費補助などを実施するよう求めますがいかがですか。

▼答弁▼斉藤副知事:今般の介護報酬見直しは先に答弁いたしました通り、在宅と施設における給付の負担の公平性の確保、あるいは将来にわたる持続可能性の確保等から行われたものであり適正な内容と認識をいたしておるところでございます。具体的には、食費として食材料費及び調理費相当額、居住費として多床室においては光熱費相当額、ユニット型個室についてはそれぞれに加えて室料相当額について、原則利用者負担とされたところでございます。
  ご指摘の介護報酬改定につきましても、従前の報酬額から直近の調査に基づきますそれぞれの実勢の費用額を差し引く等により設定がなされるなど、適正なものと考えているところでございます。
  一方平成18年4月の本格的に行われる介護報酬改定に向けては、国に対して施設サービスにおけるユニット型個室と多床室との介護報酬設定のバランス、質の向上の観点からの人員の配置のありかた、利用者の居住環境の改善等の諸課題について検討するよう提案することといたしております。
  また、職員の人件費を含む施設運営につきましては、介護保険制度導入の際に介護報酬と利用者負担により対応することとされており、県として人件費を補助することは考えておりませんのでご理解を賜りたいと思います。前のページへ戻る

小規模・兼業農家を含めた農業振興を

■質問■ 次に農業振興、とりわけ中山間地における農業振興について質問します。
  先月10月27日に「経営所得安定対策等大綱」が、農水省で決められました。
  国内補助金を制限するWTOの「国際ルール」に合わせるとして価格保障を廃止し、大規模農家にのみ交付金を支払う制度が柱です。これが実施されれば、食料自給率の向上どころか、農業と地域が崩壊すると不安の声がでています。
  私は、篠山市多紀地区に調査にいってきました。
  この地域は、農業立地に恵まれ、自然条件も水も豊かで、コメ、丹波黒豆、山芋などの特産物の品質も高い評価をうけています。しかし、人口減少や少子高齢化が進行し、後継者不足で農業は大変困難になってきています。
  高齢化率は、35.9%で、若者は都市部へ流出し、3つの小学校の生徒数は40年前には合計684人であったのが今は158人と四分の一以下にまで減ってしまい、統廃合の計画が持ち上がっています。
  篠山市まちづくり委員会の多紀地区部会では、昨年アンケートを実施しましたが、「5年先には半数以上の農家がリタイアしたい」と回答したことから、このままでは集落機能が喪失し、地域全体が沈滞してしまう。農業の原動力は家族経営であって、集落営農等が「多紀地区農業のすべて」とは考えがたく、家族経営を含めた両面が今後の農業生産方向。と結論づけています。
  また、3町が合併した但馬の過疎地域指定の香美町の実態も調査しました。
  林野が86%を占め、冬季は豪雪地帯。ここでも40年前から若者の都市部への流出が止まらず、出生数も年々減少。そのため、集落機能や地域活動、コミュニティー活動や文化の伝承の衰退、農地林地の機能低下、防災体制など様々な問題がでています。
  ここで、4.5fの田畑に両親と夫婦4人でコメとトマトやキャベツを作り、冬場はおじいさんが杜氏として出稼ぎし、一家を支えている、唯一「担い手」の要件に合う農家のお話を聞きました。
  「この集落は47戸の内14軒が高齢者世帯、私が作っている田畑の3分の2は耕作できない農家から預かっているもの。これ以上頼まれても家族4人では限界です。私は「担い手」になれたとしても、ムラの共同作業で成り立ってきた水路や農道の管理などは一人ではとうていできない。集落ごと崩壊するのではないか。ほんとに心配だ」といわれました。 本県には、このように家族営農で必死に田畑を守っている中山間地域がたくさんあり、兵庫の農業を支えています。このようなところに大規模農家だけしか支援しないという農業政策が当てはまるはずがありません。過疎地の集落ごと無くなる地域が続出すれば、兵庫の農村が崩壊し、県土が荒廃する危険が迫っています。
 ・国に対し「経営所得安定対策」は中止し、兼業農家も含めがんばっている農家すべてを地域農業の担い手にすること。再生産を可能とする価格保障により農業が継続できる制度の確立を要求するとともに、県独自の支援策を求めますがいかがですか。

▼答弁▼井戸知事:地域農業の担い手に対する支援についてです。農業従事者の減少、高齢化、遊休農地の増加は県民への食料の安定供給、あるいは県土の保全など農業農村の多面的機能を維持増進する上で直面する重大な課題です。
  この場合、本県農業の特性を踏まえて、「産業としての農業」と「生活としての農業」の二つの方向で農業振興を考えていかなければなりません。認定農業者や集落営農組織など産業としての農業を支える担い手を育成する一方、自給的農家をはじめ地域住民等が共同して多面的機能を維持する生活としての農業の活動を促進し、農業農村の持続的発展を図ることとしています。
  地域ごと集落ごとに国の農業振興施策と合わせて、県独自に元気な農業集落を育成する農業振興と地域づくりを一体としたプランづくりをはじめ集落営農組織等の担い手育成に資する農業機械の導入や棚田保全等の共同活動等への支援施策を積極的に展開してまいります。
  国はこのたび、担い手の経営の安定化を図る「品目横断的経営安定対策」を、また多面的機能を保全する地域の共同活動を支援する「農地・水環境保全工業対策」を創設する事としていますが、これらは本県の農政と軌を一にするものと考えます。
  農業者はもとより市町農業団体と一体となって産業としての農業の担い手育成、生活としての農業を中心とする地域保全活動の取り組み主体の育成を加速化し、本県農業の振興と農村の活性化をすすめてまいりますのでご支援下さい。前のページへ戻る

無駄なダムを中止し、公共事業にメスを

■質問■ 次に、公共事業についてです。
  県財政の借金の大半を占める公共事業の見直しは遅々として進んでいません。逆に、安全や災害対策を名目にした不要不急事業が数多くあり、公共事業のチェックのあり方も含めて、真に実効ある改革が不可欠です。そういう立場から、治水事業を例に質問します。
  いまや、流域全体で総合的な治水対策の検討については、誰も否定できない時代に進んでいます。たとえば武庫川流域委員会では、相変わらずダムに固執しダム計画を押し付ける動きがありますが、ここでも総合治水の検討が始まろうとしています。また、県の西部でも、清流を誇る千種川の治水計画も、洪水時に一部の水を氾濫させたり、溢れさせたりして河川の水位を下げる霞堤や越流堤など、日本の古来からの知恵を生かした遊水機能確保の検討が始まっています。
  ところが、同じ千種川流域の支川、鞍居川では、早々とダム建設の結論が出されています。この金出地ダム計画は、河川改修とあわせて60年に一度の洪水対策としていますが、当面は既往の洪水に対応できる=10年確立程度が整備目的で、60年確立に見合う改修計画はないとしています。
  県の資料では、10年に一度程度の洪水に対する流下能力不足個所は、延長約3kmほど、全体の3割程度でほとんどが固定式取水堰を設けている個所です。本来、固定式取水堰を設ければ、河床があがるためその分堤防をかさ上げしなければなりません。
  すなわち、堤防のかさ上げをするか、可動堰に切り替えれば、流下能力の不足は解消でき、ダムよりもはやく安くできます。ところが、県は、この取水堰の個所の改善とダム建設の比較検討すらしていません。
  しかも県は、いまごろになって、ダムをつくれば昨年並みの洪水は防げるといいますが、それは固定堰個所が危険であることを知りながら、改善を放置してきたことになり、その責任は重大です。また、昨年発生した千種川との合流点での洪水も、千種川本川の洪水時の水位よりも合流している鞍居川の堤防が低かったために起きたものであり、堤防をかさ上げすれば解決することです。このままではダムができても合流点の洪水は防げません。
  さらに、60年に一度の洪水対策という点でも、通常、本川の千種川の抜本的改修が先行しますが、その時点では、鞍居川も川底を下げることができ、60年に一度の治水レベルの確保の可能性が生まれますが、この検討は一切していないのです。
  結局、当面の洪水対策も、60年に一度の洪水対策も、通常考えるべき比較検討が行われず、いったん消えた金出地ダム計画の復活を狙ったものであると言わざるをえません。

 県下のダム計画を見ると、往々にしてこのような恣意的なやりかたが目立ちます。
  たとえば、八鹿ダムについても、よく水があふれる危険個所は、いずれも取水堰を設けながら、堤防のかさ上げをしてない個所です。鞍居川と同じように、やるべき対策もせず洪水被害を生み、ダム建設に誘導するやり方です。わが党は、水需要計画そのものが極めて過大と指摘してきましたが、ついに、地元養父市は、新たな水資源開発は不要として、先日八鹿ダム計画を断念するとの説明を地元住民や区長会でも行っています。私たちの指摘どおりの事態です。
  問題は、なぜこんなひどいことが相変わらず進められるのか、です。金出地ダムにしても、八鹿ダムにしてもこの間、県の公共事業等審査会にかかっていますが、指摘したような当然比較検討すべきことが議論もされず、ダム建設の結論を出しているのです。県当局言いなりの、追認機関に過ぎない実態です。住民の傍聴も認めず、県言いなりの審議メンバーでは、公共事業にメスを入れよという県民の声に応えられません。武庫川流域委員会がすでに行っているように、住民側推薦の専門家を委員に加え、住民の傍聴と発言を認めるべきです。知事は、なぜ、この最低限の改革すら実施しようとしないのですか。 
  ・八鹿ダム、金出地ダムについては直ちに中止するとともに、公共事業等審査会の抜本的な改革を行い、両ダムに関わる治水対策の再検討を求めるものです。知事の答弁を求めます。

▼答弁▼藤本副知事:県の道路、河川、砂防、公園等社会資本整備におきましては、県民局毎に参画と協働を基本といたしまして、市町議員、住民代表と十分検討協議をされ策定されました社会資本整備プログラミングに基づいて、事業を実施しているところでございます。
  そうした中で河川の整備の具体的手法につきましては、河川法に基づく河川審議会や流域委員会の審議を通じて、学識者や地元関係者の意見を踏まえ、総合的な治水対策の観点から、各河川や流域の特性に応じた基本方針や整備計画を策定して事業を実施しているところでございます。
  鞍居川につきましては、金出地ダムの利水者撤退によりまして計画を一から見直すために、千種川委員会に鞍居川部会を設け、傍聴者の参加も含め全面公開で検討をされてきたところでございます。その部会では河川改修のみの案、ダム・河川改修併用案、遊水池地案および放水路案の4案について事業費、社会への影響、自然環境整備期間など、様々な視点から検討が行われたところでございます。
  案のうち、例えば河川改修のみ案では、全線の改修が必要で、これには数十年の工期が長くなる。そして遊水池案では多くの田畑がくずれ住民の生活基盤が失われるうえ事業費も高額となる。また、集水堰の嵩上げ等の築堤方式は、破堤した場合の被害が大きくなるため原則的に採用しないこと。まあそういったことの中で、4案の内整備効果の高い、河川改修案、ダム・河川改修案の2案に絞り込んで、治水効果、環境、経済性比較などの視点から詳細に検討ががされました。
  以上の案を2年間15回に及ぶ審査を行い、ダム・河川改修併用案は望ましいとの結論を千種川委員会に報告し、了解をされたところであります。
  さらに、本年度の公共事業等審査会でも事業継続は妥当との審査結果が出され、県といたしましてはダム事業を継続し、早急に流域の治水安全度を高めてまいりたいと考えております。
  また、八鹿ダムにつきましては、現在養父市で水事業を見直しており、その結果を踏まえて県としても対応してまいりたいと考えております。
  なお、公共事業等審査会は、多方面にわたる学識者や有識者により様々な角度から審査をいただいておりまして、審査結果や議事録等を公表するなど評価過程の透明性の確保にも努めております。今後とも当審査会の意見を踏まえ投資事業の適切な執行に努めてまいりたいと考えているところであります。前のページへ戻る

県職員による入札腐敗事件の全面解明を

■質問■ 公共事業に関連して先日明らかになった社土木中町事務所の腐敗事件について質問します。今回の事件は、設計価格を事前に業者に漏らしたとの容疑ですが、問題となっている落札は予定価格の99.7パーセント、10万5000円低いだけです。あらかじめ予定価格を知っていなければ、とてもできない芸当です。しかも、当該業者は、2001年受注の3件の工事も、落札率98.8%から97.1%。2002年は、落札率99.6%。2004年も97.4%。予定価格がこの業者に筒抜けになっていたのではないかと疑わざるを得ない実態です。
  しかし、県の基準では、予定価格は、本来、逮捕された中町土木事務所長に決定権限はなく、知るところではありません。また、これらは、いずれも指名競争入札ですが、問題の業者は、多くの入札に参加していますが、それはなぜでしょうか。予定価格のもれや業者指名に社土木事務所外からの、あるいは、県の外部からの圧力はなかったのか。この点の解明は不可欠です。
  わが党は、6月議会で全国で問題になっていた橋梁談合事件に関して、県でも落札率は平均94.7%、中には100%というものもあることを指摘し、調査と抜本的改善を求めました。ところが、「適切に運営されている」と、何の問題もないという姿勢でした。
 ・そこで質問します。知事今になって、高落札率についてのチェックシステムを作るとしていますが、「100%の落札率でも問題なし」とした6月議会の答弁はまちがっていたということではありませんか。明確にしてください。
  そして、今回の事件も一職員の腐敗事件として済ましてしまうのでなく、事件の全面的な解明をまず進めるべきです。知事の明確な反省と答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:今回の事件は、特定の業者に設計金額の金額を教示したとして幹部職員が逮捕されたもので、そのような事実があったとすれば県民の信頼を大きくそこね、きわめて遺憾で残念なことであります。
  県では従来から綱紀粛正や服務規律を確保するため、守秘義務の遵守やモラルの向上等機会あるごとに職員を指導してきました。また、入札契約業務の執行にあたっては、競争性や公平性、透明性を確保するため、単独ではなく合議制による入札参加者審査会での氏名設定、入札時の積算内訳書提出の義務づけ、さらには、入札契約手続きのチェック機能として外部委員による入札監視、苦情処理委員会の運営等を行ってきております。
  容疑については現在警察において取調中で、事実関係はつまびらかではありませんが、県としては捜査の行方を注視しておりますとともに、このたびの事案を踏まえ、これまでのとりくみ等の緊急点検を実施しております。
  今後は、綱紀粛正、服務規律の確保等の人事管理面と入札契約制度の両面から検討をすすめ、再発防止に必要な対策を講じてまいります。
  なお、6月議会での答弁は、公正取引委員会が東京高検に告発した段階で、単に落札率が高いという事実だけを持って、談合等の不正についての具体的調査に入れない旨を答弁したものでありまして、この考え方は現在もかわっておりません。前のページへ戻る

30人学級・少人数学級を、他学年にも

■質問■ 次に、教育問題について、まず少人数学級の推進について質問します。
  私たちは、9月県議会「少人数学級推進」の質問の中で、国際学力調査で世界一を続けるフィンランドの教育の取り組みを例に取り上げましたが、その後、朝日、毎日、産経新聞、など全国紙が次々特集記事を組み、テレビでも報道されました。日本のような競争主義による差別選別の教育ではなく、一人一人の子供を大切にする教育、それを保障する少人数学級に大きな注目が広がっています。この状況はフィンランドに加え、イタリア、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスなどOECD諸国の国々は、いずれも30人程度の学級編制で、日本が極めて立ち遅れた実態であることを示しています。
  知事は「全国一律に学級編制を引き下げるのでなく、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取り組みを進める」と言われますが、私どもが調査をしたフィンランドでは、国の制度で30人程度学級を全国的に保障した上で、学校現場では、例えば、算数の授業は12人の生徒できめ細やかな授業形態を取るなどもっと少人数のグループで授業をしています。それも現場の先生の判断で、子供たちの到達点に合わせた教育が次々と展開されているのです。
  まず、国の責任で教育条件の土台を良くしてこそ、教育現場の取り組みが生きます。OECD諸国の中で最低レベルでの40人学級に固執する時代遅れの姿勢は、きっぱり改めるべきです。
  ところが、今、文科省で議論されているのは、加配教員などを使えば「5年間で全国的に35人学級が可能」と試算している程度で、知事も30人学級を求めない。全国知事会の要求も35人学級を実施する財源にも満たない程度です。このような低レベルでは、国民や県民の教育充実の願いに応えることはとうてい出来ません。
 ・知事、国が財政責任をもって30人学級の実施を行うことを求めるべきです。
  もし、国が来年度実施に踏み切らないのであれば、今県が行っている35人学級を、小学校低学年、さらに、思春期に課題を多く抱え、教育指導上も困難性が大きくなる中学校にも広げていくべきです。知事の決断を求めます。

▼答弁▼吉本教育長:まず少人数学級の推進についてでございます。今日の義務教育を取り巻く様々な教育課題の解決のためには、発達段階に応じたきめ細かな教育を推進していくことが重要でございます。このため小学校では1年生の35人学級編成、低学年の複数担任制や少人数学習集団、高学年の教科担任制、また中学校では少人数学習集団、選択履修幅の拡大などに取り組んできたところでございます。
  その際、発達段階に応じ、小学校低学年では基本的生活習慣の定着、小学校高学年及び中学校では基礎学力の定着に配慮した教育の展開が望まれるところでございます。
  このようなところから、学級編成基準を一律に引き下げるのではなく、小学校低学年では、基本的生活習慣の定着、小学校高学年および中学校では基礎学力の着実な修得をはかる学級編成等のありかたについて、真摯かつ前向きに検討をすすめ、個に応じたきめ細かな教育を推進してまいりたいと考えてございます。前のページへ戻る

障害児学校の過大・過密、長時間通学の解消を

■質問■ 次に本県における障害児教育の在り方について質問いたします。
  先日、中央教育審議会の特別支援教育特別委員会が障害児教育に関わる答申案の内容を示しました。本県においても「障害児教育のあり方検討委員会」の最終報告が出されると聞いております。
  問題は、障害種別を超えた特別支援学校制度への転換、すなわち、各都道府県において盲・聾・知的障害・肢体不自由・病弱の5種類の障害種別をなくし、複数の障害に対応した学校を設置できること。また、当面は障害児学級を存続させるとしながら、「交流及び共同学習」を口実に、将来的に障害児学級をなくし「特別支援教室」とする方向が示され、いずれの場合も教職員の大幅削減を最大の目標と考えられていることです。
  これらの方向については多くの教育関係者などから「障害児教育の後退が危惧される」と批判の声が上がっています。しかし、県のあり方検討委員会では、「国の方向性を見ながら検討する」としており、本県独自の取り組みの弱さが表れています。
  本県では、義務制実施後25年の間、すべての障害児に行き届いた教育をとの障害児の家族や関係者の長年の運動と努力によって、障害児の教育権保障と全面的な人格発達に大きく寄与してきました。たとえ一人の障害児でも障害種別に応じて地域でも受け入れ、障害児学級設置が進みました。
  一方、知的障害養護学校の入学希望者は県教育委員会の予想を遙かに上回って増加したにもかかわらず、既設校の部分的な手直ししかされず、阪神養護学校やこやの里養護を始め、姫路、いなみ野養護などでの過大・過密、長時間通学は解消していません。
  私は、今後の兵庫の障害児教育は、これまで積み上げてきた教育実践を大切にして発展させると同時に、積み残してきた課題を解決することであると考えます。
  もし、中教審が答申した内容に飛びついて、「特別支援学校や支援教室に変えていこう」と考えておられるならば、それは本県の障害児教育の歴史を大きく後退させるものと言わなければなりません。
 ・そこで本県においては、これからも障害種別の学校の必要性を認めるとともに、障害児学級は今後も継続発展させることを求めます。その上で、長年にわたって課題としながら解決を先送りにしてきた、養護学校の過大・過密、長時間通学の解消に直ちに取り組むことを9月議会でも求めましたが、とくに、喫緊の課題として、まず、阪神間に知的障害児の養護学校を新設することを強く求めます。

▼答弁▼吉本教育長:現在、中央教育審議会において答申に向け検討されております特別支援教育は、LD等を含めた障害のある児童生徒の一人一人の教育的ニーズに応じ、自立と社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するものでありまして、従来の障害児教育が果たしてきた役割や実績をさらに継承・発展させていこうとするものであります。
  養護学校の課題につきましては、各学校の状況に応じまして施設の増改築やスクールバスの増車などに取り組んで来たところでございますが、国の状況などを踏まえつつ、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた障害児教育のあり方について検討委員会を設置してきたところでございます。
  現在これまですすめてきた障害児教育の成果を一層充実させる視点に立ち、地域の実情や障害の重度重複化、多様化等に適切に対応しうる障害児教育のありかたについて検討をすすめていただいているところでございます。
  本年度中には、検討委員会からの提言をいただき、引き続き特別支援教育の具体的な推進計画の策定に向けた作業をすすめることといたしておりまして、その中で阪神間の養護学校のありかたについても検討してまいります。前のページへ戻る

県民不在の国民保護計画でなく、平和への取り組みこそ

■質問■ 最後に、武力攻撃事態法や有事法制三法と国民保護法など関連7法案の成立にもとづき、作成されようとしている兵庫県の国民保護計画について質問します。
  この保護計画の基準となる政府の基本指針や、消防庁が本年3月に発表したモデル計画では、各種の統制や人権侵害が発生するおそれがありながら、それを防止する具体的な規定が全くおかれていません。
  また、去る11月6日開かれた県主催の「兵庫県国民保護フォーラム」では、講演を行った軍事評論家が、「北朝鮮は日本に攻めてくる国力は無い。テロとちがって、国家で管理できる軍隊なので、国家間の交渉で解決できる」と話され、それを聞いた参加者が、フロア−から、「そうすると、この計画はいらないではないか」と発言する一幕がありました。
  さらに、このフォーラムで配布された内閣官房の「武力攻撃やテロから身を守るために」のパンフレットの中は、「核攻撃の際には、失明するおそれがあるので見ないでください」など、まったく荒唐無稽な説明のオンパレードです。このような計画に県民は協力させられようとしています。パブリックコメントでも、様々な疑問や意見がだされましたが、まともな説明すらしていません。
  もともとこの計画は、自然災害と異なり敵を想定するものであること。言論統制や国民の知る権利、表現の自由が侵害される危険性が極めて高いこと。更に、地方自治体などを使って住民に協力を強制するなど、大変危険なものです。
  政府発表のスケジュールでは来年3月末までには全都道府県が計画を作成し、その1年後には全市町村で作成することになっていますが、法的拘束力はありません。上位計画との齟齬を理由とした国の関与は強制力をもたないものです。急いで3月までにつくる必要性は全くありません。現に、広島県や長崎県は国の指針のような細かな内容をやめ、簡単な記述にとどめた「素案」としています。
 ・そこで、県民を置き去りに拙速に国民保護計画を策定し、武力攻撃事態と自然災害を混同させた「危機管理」体制づくりを中止すること。そして、憲法の平和原則を守り、平和外交への更なる努力を政府に求めること。合わせて、在日外国人の権利擁護と自治体・民間の文化・人材交流、経済技術協力の促進を一層すすめるとともに、県民にたいする平和・人権思想の普及・啓発、平和教育の推進に力をつくすことを求めますが、いかがですか。

▼答弁▼井戸知事:国民保護法は、武力攻撃事態等から県民を守る仕組みを定めたものであり、この法律の施行によって関係機関の有事における行動を民主的にしかも事前のコントロールする枠組みができたと考えています。
  このような法律による仕組みがあって初めて民主主義国家の安全システムが機能すると考えます。もしこのような仕組みがない場合の重大な問題を考えてみる必要があります。この法律を実効性のあるものとするためにも県の保護計画をできるだけ早期に作成する必要があると考え、現在鋭意検討中です。
  計画の作成のあたっては県民の生命、身体、財産の保護を第一に、関係機関との調整をすすめながら国民保護協議会でご審議いただいておりフォーラムやパブリックコメントを実施したところです。また、武力攻撃災害と自然災害とは災害に対して県民の安全を確保するための方策を講ずる点では共通項が多いところから、武力攻撃災害への検討をすすめていくことによって自然災害への備えも高まると考えています。
  なお、外交防衛の分野は政府の専管事項でもありますが、県としては、経済、文化、環境、防災等の多様な分野において、地域と地域との草の根交流による相互理解を深め多文化共生社会づくりをすすめることが地域からの国際平和に貢献するものと考えて積極的に取り組んでおりますし、これからも取り組んでまいります。前のページへ戻る

JR西日本は「犯罪者である」という認識があるのか

■再質問■ ところどころ反論したいですけれども時間がありませんので、また、土木事務所の問題については、決算特別委員会等でも追及して行きたいと考えておりますので、ここでは一点お聞きをします。
  JR西日本の事故の問題です。知事は本当に今の答弁聞いていても人ごとのように考えておられるんじゃないかというふうに思います。JRは犯罪者であるという認識をお持ちなのかどうか。そこだけを聞きたいと思います。

▼答弁▼井戸知事:犯罪かどうかということは私は今判断できませんが、事故を起こした張本人であるということは間違いないとこのように考えております。

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