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本会議 第284回本会議議案反対討論 宮田しずのり
2005年10月06日

  私は、日本共産党県会議員団を代表して、上程中の議案のうち、第104号ないし第107号、第112号、第114号、第115号、第123号、第127号ないし132号、以上14件に反対し、討論を行います。

高齢者への新たな課税に反対

  まず、第104号、県税条例の一部改正の件です。
  この条例に含まれている法人事業税の超過課税の5年延長、障害者の自動車税について納期限後にも減免申請ができるようにすることについては賛成であります。しかし、このたびの条例改正は、小泉内閣の消費税率大幅引き上げを含む庶民大増税路線の一部を担うものであります。
  今回の主な問題は、個人県民税について年齢65歳以上で前年所得が125万円以下の高齢者に対する非課税措置を来年度から3ヵ年で廃止して、増税することです。
  これにより、全国的には課税対象者が100万人に上り、増税額は171億円と見込まれています。新たな課税対象となる世帯では、夫婦2人暮らしの増税額が、年間4000円ないし2万5600円、単身者では、4000円ないし4万1700円の増税となります。県下でも4万3000人が増税となります。
  この非課税措置の廃止による影響は、これだけにとどまらず所得階層があがるため、国民健康保険料や介護保険料などの負担増にもつながります。この増税が、ただでさえ不安を抱える高齢者の生活を大きく圧迫することは言うまでもありません。
  これまで、税の負担能力のない、または著しく弱い住民に税負担を求めることは租税政策上適当でないとして、生計費非課税とされてきたものを、「負担の公平」を理由に課税対象とすることは、税制そのものの本来のあり方にも逆行するものであり、この条例改正には反対であります。

知事の権限で上からの合併すすめる審議会は必要ない

  次に、第105号議案、兵庫県市町合併審議会条例制定の件は、県に合併審議会を設置し、知事の権限を強めて、さらに上からの合併をすすめようとするものであります。
  県下ではすでに県主導の強引な合併が強行され、来年4月1日には29市12町と基礎自治体数は半減することになり、すでに様々な矛盾や問題点も明らかになっております。
こうした中で、全国の都道府県のうち、「審議会設置の予定なし」が10県もあると報道されています。
  合併はあくまでも市町における自主的・民主的、かつ十分な議論が保障され、住民合意が前提でなければなりません。従って知事の権限でこれ以上合併を推進するための審議会を設置する必要性はありません。よって、本件については、反対であります。

国民健康保険への公的支援の後退に反対

  次に、第106号、国民健康保険調整交付金の交付に関する条例制定の件です。
  これは「三位一体改革」により、国の負担を都道府県に置きかえるものですが、これまでの定率国庫負担40%を、今年度36%に、来年度は34%へと減らし、その分を調整交付金として交付するものです。これによって国庫負担や交付金の総額がこれまでより減額となる市町が生まれます。
  この問題の第一は、国庫による定率負担を6ポイントも減額することです。
  現在、国民健康保険財政は、年々苦しくなっており、県下の市町別実質収支の赤字団体は、平成14年が10団体、15年が23団体と、2年前と比べて2倍以上になっています。
  この背景には、高い保険料を払えず滞納する世帯が1割前後もあることなどがあります。こうした状況のもとで、いま必要なことは、国の負担を増やし、高い保険料を軽減することであり、逆に減額することは実態に逆行することになります。
  また、もう一つの問題は、特別調整交付金によって、国保料の収納率を高める取り組みなどを行った市町に多く加算されることになります。もちろん収納率を高めるために努力することは必要ですが、一方で保険証を取り上げるなど、ペナルティーが強化されることが当然予測され、ますます弱者切り捨てにつながることが懸念されます。こうしたことから、この件については反対であります。

 第107号、県立総合衛生学院の設置及び管理条例の一部改正案についてであります。
  これは「県行革」により、県立総合衛生学院の学科を見直し、厚生専門学院を統廃合することにむけて、保健師および養護教諭の養成課程を廃止するものであります。
  わが党は、「行革」の議論において、超高齢化社会をむかえるなかで、福祉・医療・介護・公衆衛生など、広範な分野で保健師などの役割がいっそう重要になることを指摘し、県がこの分野の人材育成を継続・充実することを求めてまいりました。
  こうした立場から、本件には反対するものであります。

 第112号、風致地区内における建築等の規制に関する条例改正案であります。
  現行の法及び条例では、風致地区内における建築等に関し、第一種電気通信事業として国が指定したNTT、KDDI、日本テレコムなど7社については、公益性、公共性が高く、企業の信頼性も担保されているとして知事の許可を要せず事業が行えることになっており、第二種事業者については、知事の許可が必要でした。
  ところが、今回の法改正により、第一種・第二種の区別をなくし、認定事業者として一本化し、料金・契約約款の事前届出義務の廃止、参入届出の許認可も廃止されます。
  そして、条例改正によって、すべての認定事業者は、風致地区内において「線路または空中線など、その高さが15メートル以下のものの新築、改築、増築、または移転」が知事の許可無く出来るようになり、更に、電気通信設備の収容施設の設置も、許可でなく通知するだけでよくなります。
  こうした建築等が、「業者まかせ」で進められることになれば、良好な住環境保全のために規制が行われている風致地区の指定の意味もなくなってしまいます。
  以上の理由から、この件には反対であります。

環境に問題がある事業、市町負担を求めるべきでない事業に反対

  第115号、県が行う建設事業に市町の負担を求める件についてであります。
  上山高原のエコミュージアムや氷ノ山遊歩道の整備事業は、年間何万人もの人が訪れ、広域的な県民の利用に使われる場所であり、市町負担はふさわしくありません。
  事業のあり方についても、地元や自然保護団体などから様々な意見があり、これらの意見を十分尊重することが重要であります。
  林道の千町・段が峰線や浜坂漁港トンネル工事については、これまでも繰り返し「ムダな公共事業」として指摘してきたとおりであり、事業そのものに反対であります。
  また、急傾斜地崩壊対策事業や公共事業街路事業など災害対策や広域的な事業は本来県で行うべきです。また第114号、国営加古川水系広域農業水利施設についても、本来国が一体的総合的に管理すべであり、市町負担を求めるべきでなく、反対です。

不可解!疑問だらけの2.5億円もの工事契約変更

  第123号、一般県道大和北条停車場線歩道設置工事の請負契約変更の件です。
  当初4億8090万円で契約したものを、今回7億3420万円に変更しようとするものであります。実に1.5倍余りもの大きな変更です。
  当局の説明では、設計時に想定していた岩盤の位置がより地表に近いところにあって、掘削にかかる土工や法面の植生工が増えたためと言います。
こんな説明で通用するとでも考えているのでしょうか。
  第一の問題は、最初の落札価格が妥当なものだったか、どうかということです。
  県の最初の予定価格は6億218万円で、それに対する落札価格は1億2000万円余も下回っています。また他社の一番低い入札価格と比べても8000万円も低い価格となっています。
  このような低い価格で、本当に設計どおりの仕事ができると判断したのか、最低価格との関係はどうなのか、疑わざるをえません。現在、最低価格は入札後に公表するのが原則となっておりますから、わたし達は、当然のこととして「入札時の最低価格」を明らかにすることを求めましたが、当局は明らかにしませんでした。
  第二に、このように低い価格で落札しながら、今回、2億5000万円も契約金額を引き上げて、結局最終的には、当初の予定価格を上回る工事金額になっていますが、このことにも、重大な疑問があります。
  契約変更の主な原因となった、硬い中硬岩掘削による岩盤の量の変更は、当初の1万2600立方メートルから、2.5倍の3万800立方メートルに増えたとしています。あわせて法面部における中硬岩の植生工の面積が900平方メートルから、6730平方メートルと7.5倍に増加したとしています。
  県は、工事前に、専門の機関に依頼し、3箇所のボーリング調査や、露出している岩石の現地踏査(とうさ)、弾性波探査など、詳細な調査を行い、それに基づいて設計しておきながら、現地踏査をしたその岩石露出部分も含め、調査地点の同じ場所をほってみたら、もっと硬かったというのは、まったく不可解きわまりないものです。
  もし当局の説明どおりとすれば、ボーリング調査は全く信頼できないものだったという事ではありませんか。
  また、これほどの変更が必要になる状況であれば、当然掘削中の調査データを保存し提出すべきでありますが、岩盤の硬さが変わったことを証明する現物試料は一切提示されておらず、人の手による、硬さ判定に使う簡易の測定器(ロックシュミットハンマー)による手書き記録のみが示されました。
  このように、どの角度からみても納得できる資料はなく、当初の設計の段階、入札、契約の段階、工事中の管理にいたるまで、極めてズサンとしか言い様の無い内容であり、何億円もの工事費増額を行う根拠としては、きわめて不透明であり、反対するものであります。

芦屋山手幹線は住民合意がない

  第127号は、山手幹線の芦屋川トンネル部分の工事を立替施行する事業で、総事業費47億4500万円のうち、今年度は3億3000万円の予算を措置し、平成22年まで続きます。芦屋市は国庫補助分以外を10年据置き、20年分割で返済することになっています。
  芦屋市の立替施行の事業とはいえ、地元の住民から「無駄で環境破壊ではないか」 「4車線分もの広い道路によって、地域のコミュニティーが南北に分断されるのではないか」と心配の声が出されています。
  このように地元合意がない事業であり、反対します。

アジアでも例のない豪華なテニスコート

  第128号は、三木総合防災公園内に多目的な屋内防災機能を有する施設と、平時に使用するテニスコートを整備するものです。
  その内容は32億円もかけて、1万6000平方メートルの鉄骨ドームを建設し、そのなかに九面のテニスコートをつくるとしています。
  この平時に使用するテニスコートは、公共施設として「国内でははじめて、アジアでも例の無い」施設で、「ジュニアの国際大会を誘致するなど、ジュニア育成のメッカにする」としていますが、平常の具体的な使用方法や管理のあり方等は決まっていません。
  同規模の他の屋内施設の例では、空調だけで1ヶ月300万円の維持費がかかると言われ、プロ用のテニスコートであれば、維持・管理の費用も相当額にのぼることが予測され、その採算が取れるだけの利用が見込めるのかどうか、極めて疑問であります。
  また、「三木総合防災公園テニスコートゾーン基本計画報告書」によると、このゾーンは防災時には自衛隊員の宿泊、駐車場エリアとなり、一人あたり15平方メートルとして、1400人の隊員の駐屯が可能であるとしています。
  しかし、限られた期間の駐屯のために、恒常的かつ大規模な施設が必要なのか、自衛隊保有のテントでも可能なのではないでしょうか。
  また、この施設は災害時に「三木市緑ヶ丘住民の一次避難所としても利用可能である」としていますが、住民の避難場所の大半は屋外になっています。
  以上のように、どこから見ても、どうしても必要な施設とは到底思えません。県民にたいしては、福祉医療費公費助成まで削減しながら、一方でこうした建設事業に莫大な予算を使うことも容認しがたいものであります。
  この件については、発注を中止し、再検討することを求めて、反対するものであります。

 最後に、第129号ないし第132号、県営住宅の建て替え事業を住宅供給公社に委託する議案についてです。
  わが党は、県営住宅の建て替事業については戸数の増加もあり賛成するものです。
  しかし、わが党は、これまで、業務委託契約については、「行財政構造改革」と称して、住宅の管理・運営や今回のような建てかえ建設の設計、施工も含めてすべて公社に事実上の「丸投げ」の形で業務委託することは、公営住宅法で定める地方公共団体としての責任が果たせなくなること。
  二つには、県営住宅に関する議案が、議会の審議対象から外れる為、例えば、入札の際の透明性や公平性などがチェック出来なくなるなどの問題点を指摘してきました。そしてその後の経過を見ると、これまで指摘してきたことの改善がみられないばかりか、県として蓄積されてきた「公的財産」ともいうべき公営住宅建設の技術的ノウハウなどが継承されないこと。また、県と住宅供給公社のそれぞれの責任の所在があいまいになっている面が見受けられるなど、業務委託による問題点も明らかになっています。
  よって業務委託契約は見直しを行い、県が直接、公営住宅の建設、管理・運営を行う方向へ改めるよう求めるものであります。
  以上、議員各位のご賛同をお願いし、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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