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本会議 第283回本会議代表質問 毛利りん
2005年6月8日

■質問■ 知事選挙直前の議会にあたって、私は日本共産党県議団を代表して県民のくらしを守る立場から知事の政治姿勢について伺います。
  4月25日に発生したJR福知山線列車脱線事故は死者107名、負傷者549名にのぼる類例のない大惨事となりました。犠牲者やご家族、負傷者や関係者の方々に心からの御悔やみとお見舞いを申し上げます。事故原因は調査中ですが、背景にJR西日本の安全軽視の経営実態と過酷な労務管理があることが指摘されています。そして、根本的には民営化して規制緩和をすすめ、安全対策のおくれを容認した国の責任が重大です。
同時に、県が県民の安全安心を守るために十分な役割を果たしたのか。自治体としてのあり方を根本から問う問題としてはじめに質問いたします。

JR脱線事故にたいする県の対応

■質問■ 第一は、今回の事故に対する県の責任についてです。
  県は、震災の教訓が生かされてスムーズに対応したと言いますが、それは、近隣の住民や工場、自治体や医療機関の自主的で献身的な貢献によって支えられたものです。県災害医療センターは事故現場で救急医療や傷病者の受け入れ確保などを行いましたが、テレビをみて「とにかく現場に」と自主的にかけつけた19の医療チームがいなければどうなっていたでしょうか。現場には大阪や滋賀など県外の病院や赤穂市民病院、柏原赤十字病院など遠方からも救援にかけつけてくれましたが、事故現場から数キロ以内の県立尼崎病院や塚口病院などからは派遣されていません。県は、防災計画で、大規模事故の場合、災害拠点病院をはじめ各医療機関に対して救護班を編成し、現地に派遣するとしながら、これを実施しなかったのです。
また、事故直後、乗客の家族や知人が、安否情報の問い合せに自ら走り回らなければなりませんでした。今回のような、広域に渡る医療機関に負傷者が搬送された大規模事故の場合、情報収集は地元自治体では不可能であり、県が当然行うべき事です。事故直後、県が全体の情報の収集、伝達を行わなかったために、被害者の家族や関係者、周辺自治体などに多大な混乱をきたしたことは明らかです。県の防災計画には、初動時には、県が情報の収集、伝達などの業務等を重点的に行うとしているのに、ここでも防災計画をまともに実行していないのです。
県は、事故直後、午前10時に兵庫県事故対策本部を設置しながら、20分後、知事を本部長とする兵庫県JR福知山線列車事故対策支援本部に変更しました。事故を起こしたのはJR西日本であり、現場は尼崎なので両者への支援が役割だとして支援本部にしたとのことです。しかし、600名を超える死傷者が発生し、広域にわたる県民が被害を受けているのに県の姿勢がこれでよいのでしょうか。県民を守るのは県の仕事、知事の役割ではありませんか。本来なら、県が率先して救出・救援に取り組むことこそ求められていたのではありませんか。
現行の防災計画すらまともに実行せず、「支援」という立場で事故後の対応をおこなった誤りを認め、県自らが県民の安全を守る立場での対応の検証と、防災計画における県の役割について見直しを求めます。

▼答弁▼ 井戸知事:JR福知山線列車脱線事故について県の責任に関してお答え致します。
  県の地域防災計画によれば、局地的に発生する大規模事故災害は、基本的には事故原因者としての事業者と災害対応の第一次的責任を有する市町が中心となって対応し、県は原則として支援することになっています。
  県としては、こうした立場を踏まえつつも、今回の事故の重大性に鑑みまして、当初から、緊急消防援助隊の派遣要請、災害医療センターによる医療チームの出動を始め積極的に対応を図ってまいりました。
  体制についても、事故発生の報告を受け、直ちに防災監をトップとする任意の事故対策本部を設置致しましたが、さらに強化する必要があると判断し、20分後に、地域防災計画に基づき、知事を本部長とする事故対策支援本部に切り替えたのでございます。
  以後現在に至るまで、事故対策支援本部として総合力を発揮できる体制をとっており、応急対策終了後も、こころのケアや、地域経済への影響に対する金融対策など、幅広い視点から取り組んでいます。
  今回の一連の対応については、今後の参考、教訓として、今後、有識者による検証委員会を設置し、防災機関が行う救出救護や災害医療といった専門分野の検証も踏まえて、総合的な検証をおこなうことにより、今後とも、県民の安全・安心のための備えに万全をきしてまいります。前のページへ戻る

JR事故被害者への万全の対応を

■質問■  次に、今後の対応についてです。県は「こころのケア」の特別相談を4月27日から5月8日まで県こころのケアセンター等で実施しましたが、被害者の心の傷は日ごとに深くなっています。PTSDも含めて、こころのケア対策として継続して相談窓口を設けることや、精神科医師や保健師による訪問、カウンセリング、専門家の診察など長期的な対策が必要です。また、遺族や負傷者、マンション住民などの補償問題などはこれから話し合われます。滋賀県の信楽鉄道事故では長い年月をかけた裁判になりました。このような事態はできるだけさけなければなりません。県として、被害者の立場にたってさまざまな要望、相談に応えられるよう特別相談体制をとることが必要です。また、現在、厚生労働省は「DMAT」と呼ばれる医療派遣チームの体制などをすすめており、救急医療への対策を推進しています。東京都ではすでに新潟地震に「東京DMAT」を派遣しました。兵庫県としても救急医療体制をいっそう促進するために「DMAT」創設を含めた計画を進めることが必要と考えますが、相談体制の充実とあわせて知事の誠実な答弁を求めます。

▼答弁▼ 井戸知事:相談体制と救急医療体制の促進についてお答えします。
  こころのケア対策については、負傷者・遺族等への訪問による相談、調査による対応、及び家族や友人等を対象としたこころのケア教室、消防士等救助活動従事者への研修や個別相談を実施するとともに、ネットワーク会議を通じ、こころのケアについて情報の共有やフォローに取り組んでいます。
  また、被害者や地域住民等からのここのケア相談や中小企業者への金融相談については、個別に実施しているところです。
  今後、これらの相談窓口にあわせ、既存の県民総合相談センターや県民局の相談体制を利用して頂くことで、対応ができるものであると考えています。
  災害医療については、県では震災の教訓を踏まえて、全国に先駆けて平成9年度より県下14箇所の災害拠点病院に緊急時の救護班携行用医療資機材を整備するとともに、それらを活用した救護活動の実践的な研修や訓練を実施してきました。
  今回の事故におきましても、こうした取り組みが活かされたからこそ、多くの救援救護がなされたものと考えておりますし、さらに県内外の大規模災害に対応するディーマートについても、現在、検討を進めております。
  なお、今回の事案への県立病院の対応についてご指摘がありましたが、今回のケースでは、災害拠点病院である兵庫県災害医療センターと兵庫医科大学病院は、ただちに救急医療チームを現地に派遣し、いちはやく現地に到着した兵庫県災害医療センターの現状把握により、すでに活動しているチーム以外の、さらなる現地への救護班の派遣は必要ないと判断したものです。
  災害拠点病院でない、県立尼崎病院と塚口病院においては、関係機関からの派遣要請に備え救護班の派遣体制を整えるとともに、事故現場から搬送される患者の受け入れ体制も整え対応したところであります。前のページへ戻る

公共投資優先の税金の使い方の転換を

■質問■ 次に、公共投資優先の県政運営をやめ税金の使い方の転換を図る問題です。
 小泉内閣の7兆円大増税・負担増路線は、県民に暗い影を落としています。
 県の試算によれば、2003年度から今年度にかけての税制改悪の影響は、県民税だけで平年度ベース113億円以上の増税、影響を受けた人数はのべ143万人にものぼります。
 前県政の「行財政構造改革の理念を引き継ぎ着実に推進すること」を公約に掲げて就任された知事が行ってきたのは、国の悪政から県民を守ることでなく、負担増の押しつけ、県民生活支援の切り捨てでした。「行革」推進方策の2000年度から2008年度の福祉・医療・教育の削減などで押しつけられる県民負担増は1360億円にもなります。
  県民のために使うお金がなかったのではありません。本来「行革」でメスが入れられるべき大型公共事業は見直さず、浪費が続けられてきたのです。
  例えば、1993年から事業を開始した「ひょうご情報公園都市」は、産業用地4.8ヘクタールが3社に売れただけで、都市といいながら居住人口はゼロ、その後も宝塚新都市、小野長寿の郷など次々大規模開発を計画しましたが、この間に完成した新都市はまったくありません。企業庁地域整備事業についての包括外部監査でも、ひょうご情報公園都市の未造成地について、「含み損86億3500万円が生じている」などと指摘されています。
開発用地を買いあさったものの、開発がゆきづまった結果、県の未利用地などは、6300ヘクタールに及び、4000億円を超える投資をしているのです。単純に下落率をかけると2000億円近い含み損が推計できます。しかも、事業化のめどはなく、二重三重の県民負担です。
  大規模開発の問題は、震災復興計画でも顕著に表れています。
県は、「阪神・淡路震災復興十か年計画」の総事業費16兆3000億円の実績を明らかにしましたが、その6割、9兆8300億円を「多核・ネットワーク都市づくり」に投じています。その中身は、関西国際空港2期事業、神戸空港建設をはじめ、淡路交流の翼港、新都市の整備や、大阪湾横断鉄道・阪神疏水の構想費まで含まれ、震災復興と関係のない公共事業ばかりです。
 復興に名を借りたムダをかさね、県の借金は4兆円をこえるまでに膨らんでいるのです。
 このような「大型開発」のゆきづまりに直面しながら、知事は公共事業への投資額の3400億円枠を維持しています。しかも、2003年度普通会計決算では4700億円近くにも事業費を膨らみ、全国の公共投資削減の流れに逆行しています。
さらに、最近発覚した「鋼鉄製橋りょう工事」の談合事件は、三菱重工、新日鉄、川崎重工、神戸製鋼など、日本を代表する大企業が関わり、40年間も続いていたという大問題ですが、県も無関係とはいえません。
 ここ5年間の鋼鉄製橋梁工事等の県の発注について見ると、74件、契約額は97億円に上ります。このうち実に60件、93億円を、談合組織とされる「K会」または「A会」のメンバーのメーカーが受注。しかも驚くべきことに、40件では入札業者すべてが「K会」または「A会」のメンバーで、これらの工事での落札率は平均94.7%という高率、100%というものもあります。そして、年間契約額の約7割から8割を「K会」メンバーが受注し、1割から2割を「A会」メンバーが受注しているのが、各年度でほぼ共通しています。異常としかいいようのない状況です。
県は「直接の関係はない」と言いますが、「談合していた橋梁メーカー47社が、西日本でも組織を作り、地方自治体でも受注調整をしていた」との新聞報道もあり、県として黙過できないのではありませんか。
私たちは、10年間の資料を求めました。県は書類の保管期間などを理由に、5年分しか明らかにしませんでしたが、10年間の発注額は二百数十億円に上ると思われます。発覚した入札談合事件では、公正取引委員会によると不当利得の平均値が18.6%ですから、仮に県で同様の高値入札が行われていたとすれば、県民の損害は40数億円にもなる計算です。
本来県が自ら積極的に調査して明らかにすべきです。「長寿祝い金」などささやかな高齢者の楽しみまで奪うような予算カットを行っておきながら、莫大なムダ遣いの可能性を調査もしないなら、知事の見識が問われます。
知事、県の発注した鋼鉄製橋梁工事等で、高値で入札され県民の税金がムダに使われなかったのか調査し、是正することを求めます。そして、大規模開発がことごとく行き詰まり、ツケを県民に押しつけて来た責任を認めるとともに、今後、公共投資優先県政運営を改め、関空二期事業や神戸空港への出資・補助、無駄な大阪湾横断鉄道構想などの中止と、県行革の投資枠3400億円の大幅削減をすべきです。知事の明快な答弁を求めます。

▼答弁▼ 井戸知事:公共工事の発注等についてのお尋ねがありましたが、これは後ほど理事から答弁させていただくことにいたしまして、私は公共投資がすべて悪だと決めつけてかかることはいかがかと考えております。公共投資こそ、我々の基本的な生活基盤を整備する源でありますので、そのような意味から、きちんとした評価をしたうえで、すすめるべきものはすすめる、そのための枠組みをきちんと確保しておくことが大切だと思っております。

▼答弁▼ 大平理事:公共投資につきましては、県民生活の安全・安心の確保や豊かさを実感できる地域社会づくりの基盤となる施設整備のために行っているものでございますが、昨年の災害を見ましても、本県においては道路、河川等社会基盤施設整備状況は十分にあるとは言えず、着実な投資の継続が必要と考えています。
  また、21世紀の成熟社会を先取りしたまちづくりや大阪湾横断トンネル構想等のプロジェクトについての調査研究でございますが、これは将来の元気ひょうごづくりに必要と考え可能性を調査しています。さらに、最近は市町合併による地域づくりを支援する道路事業などの新しい時代の要請にも重点的に対応いたしているところでございます。
  年平均3400億円の投資の総枠につきましては、行財政改革の見直しにあたり県議会のご理解も賜り、設定したものでございます。
  こういった中、今後とも、一律に公共事業を否定するのではなく、県民の声を反映した社会基盤整備プログラムをもとに、優先順位や財政バランスに留意しつつ、県民生活に真に必要な事業を計画的に整備していくべきものと考えています。

 なお、本県の入札制度につきましては、入札参加者審査会を設置して、予定価格ですとか、指名の適切さですとか、そういった点についてきちっとしたチェックをしていただきながら運営をしているところでございまして、そのチェックのなかでは適切に運営されているというような指摘を受けているところでございます。
  そういったなか、落札率をもって県税の無駄遣いとのご指摘は、全く当たらないと考えております。
  ご指摘の談合事件については、今後とも東京高検の捜査状況等を見極めつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。前のページへ戻る

「応益負担」導入の障害者自立支援法案に反対を

■質問■  次は、社会的弱者である障害者、高齢者の安心・安全のくらしを充実させる課題です。
 一点目は、「障害者自立支援法案」についてです。
 法案の国会審議が始まっていますが、最大の問題は、「応益負担」の原則を導入しようとしていることです。
 障害者の日常生活は、社会的、福祉的支援や必要な介護などがあって初めて成り立ち、障害が重いほど、支援をより多く必要とします。ところが、この社会的支援を「受益」と見なし、支援の多さによって負担を増やすというのです。
 支援を受けることを「益」とする考え方は、国連で決議された「障害者の権利宣言」の「障害者は経済的社会的保障を受け、相当の生活水準を保つ権利を有する」という「人権保障」の理念を根底から否定するものです。
 もともと障害年金だけでは安心した生活などできず、そのうえに自己負担増を強いることは、人間としての当たり前のくらしを奪い、自立を壊すもので、それを「自立支援」と呼ぶことへの批判、怒りは当然のことです。
 さらに「法案」は、世帯構成員全ての所得をもとに、家族に利用料の連帯負担を求めようとしていますが、この発想そのものが、障害者個人の自立を認めないものです。
 このように問題がある「障害者自立支援法案」を今年の10月に強行実施しようとすることに、本県のみならず全国にも反対の集会、取組みが広がっています。
 県の幹部も参加された「障害者自立支援法案に対する緊急集会2」でも、参加者から「政治家を選挙でふるいにかけよう」の声が出たほどです。
 そこで、「応益負担」の原則を導入しないこと、また、利用料負担は障害者本人の収入を根拠にし、同一世帯の人に負担を求めないよう、国に意見を上げることを求めます。
 さらに、これまでなされてきた施設などへの県の独自支援、助成制度も削減されるのではないかとの多くの関係者の不安にこたえ、県の運営補助の水準を下げないこととあわせて明確にお答えください。

▼答弁▼ 斎藤副知事:障害者自立支援法案におきます利用者負担につきましては、従来の扶養義務者の負担を排し、利用者本人にサービス料に応じた定率負担を求めることを原則としておりますが、負担上限額を設け、その額は所帯の所得に応じて設定することとされているところであります。負担上限額の設定にあたりましては、法案では所帯全体の収入によるものとされていますが、障害者の自立という考え方から、本人のみの収入にすべきとの意見もあり、現在国会で議論されているところであります。利用者負担の見直しは、増大するニーズを皆で支え合い、制度の維持可能性を確保するため必要であると考えていますが、負担能力の乏しい人にたいする十分な配慮が必要であると認識しているところでございます。
  また、小規模作業所や生活ホーム等への県独自の助成につきましては、障害者自立支援法案により事業体系が見直され、新たな給付サービスに移行することもありうることから、その動向を見極めながら支援のあり方について検討してまいりたいと考えています。前のページへ戻る

福祉医療の改悪やめよ

■質問■  この項の二点目は、福祉医療費助成制度についてです。県は、県民の怒りの声、医師会などの広範な署名活動など様々な反対の声の前に、実質凍結していた改悪を、いよいよ来月から実施することを決めました。
この問題を通して、地方自治体の役割が問われています。
 先の予算議会で、わが党が「福祉医療制度の改悪をストップし、少なくとも現行通り継続すること」を求めたのに対し、知事は「本体医療でさえ一部負担が求められていることとの均衡をとる必要がある」と答弁し、国の悪政に追随する政治姿勢を示しました。さらに、知事は、「会費程度の負担をして頂く」といいながら国が導入を進めている「応益負担」の考え方をそのまま県で先取りしていることは二重に問題です。
 「負担が増えれば何を削れというのか」と嘆かれるのは、障害者授産施設に入所している青年を持つ母親です。彼は、知的障害者ですが、自活するためにパンやおせんべいなどをつくる技術を身につけようと頑張っています。収入は障害年金の6万6000円と、給料1万円前後の月に8万円足らずです。今でも切り詰めた生活をしているのに、手元にはお金は残りません。それでも知事、あなたはこの青年に「わずかワンコインの負担です」と言えますか。500円の重み、障害者の実態がわかっていないから言えるのです。
 また、知事はさかんに老人医療費助成制度を「全国一の医療費助成水準を確保」と自賛しておられますが、今回の改悪、負担増の影響を受けるのは、十数万人にものぼります。非課税措置の廃止によってわずかな年金収入で課税対象となる高齢者にとっては二重の負担増です。
今こそ、県民のくらしに目線を向けた県政に転換すべきです。県の一般会計予算のわずか0.2%で福祉医療の現行制度が守れるのです。
 福祉医療の削減、改悪をストップし、現行制度を継続することを、実施直前にして改めて求めます。知事、障害者、高齢者などに優しい答弁を期待します。

▼答弁▼ 斎藤副知事:老人医療費助成事業につきましては、全国的に廃止の方向にあるなかで、カバー率約五割を確保することにより、制度の根幹を維持することとしたものであります。また、乳幼児医療費助成事業等につきましては、定額負担することにより利用しやすいしくみにするとともに、一つは重度精神障害者にたいする新たな福祉医療制度の創設、二つには4カ月以上の長期入院患者の負担を求めない措置、三つには低所得者についても老人医療費の一割負担据え置き、その他軽減処置、四つには災害失業対策等きめ細かな措置を講じることとしたところでございます。これらについては現在、各市町で本年7月の実施に向けた諸準備が行われているところでございます。前のページへ戻る

在宅老人介護手当の復活、特養ホームの抜本的増設を

■質問■  次に、介護保険の見直しについてです。
  介護保険制度が導入されて5年、導入にあたって国負担を大幅に削減したため、国民は高い保険料と利用料の負担に苦しんでいます。それなのに、財政支出を抑えることを最大の目的として、今国会に大改悪が提案され、さらなる負担をおしつけることに、国民の大きな怒りと不安がひろがっています。
知事は、2007年に「特別養護老人ホームを2万床」にし「待機者をゼロに」と公約されていますが、神戸市分が含まれた数字で、実際は、県は2007年までに約3000床しか増やさない計画です。しかも、国は施設整備の予算を、2004年度、5年度と大幅に削減し、抑制し続けています。待機者はすでに1万1000人をはるかに超えているのに、待機者ゼロどころか、ますます増えるではありませんか。
  また、改悪案では、施設利用者は、ホテルコストとして、居住費や食費が自己負担となります。平均で、一人当たり年間40万円もの負担増で、負担が年金額を大幅に上回ります。さらに、入所対象を介護度四、五に重点化しようとしており、入所が格段に難しくなります。
  では、在宅介護は充実されるのでしょうか。
  多くの人が自宅での介護を希望されており、知事は「一人ひとりのニーズに応じた24時間対応のサービスを普及する」とのべています。
  しかし、改悪案では、軽度者には、家事援助サービスは「自立の意欲を妨げている」などとして、ヘルパーやデイサービス利用なども制限され、「新予防給付」の筋力トレーニングや栄養指導に限定しようとしています。
  県下で要支援、要介護度一の認定をうけた人数は、昨年度末で約9万7000人、認定者の半数を占めています。その殆どの人が在宅サービスの対象外となってしまいます。家事援助がなくなれば、生活は成り立ちません。しかも筋力トレーニングのモデル事業では、状態悪化が2割から3割もあり、危ぶまれています。
  これでは、知事のいわれる「ニーズに応じた24時間」介護は絵に描いた餅でしかありません。
安心して必要な介護サービスを受けるため、介護保険制度の改悪をやめるよう国に強く要求するとともに、県として縮減した「在宅老人介護手当」の復活、減免制度の拡充と特別養護老人ホーム建設を抜本的に進めるよう求めますがいかがですか。

▼答弁▼ 井戸知事:現在、参議院で審議中の介護保険制度改正法案は、持続可能な介護保険制度の構築を目指して、予防重視型システムへの転換等を内容としておりますが、先に本県が国に提案した介護保険制度の見直しに関する提言と同趣旨の内容であると認識しています。
  在宅老人介護手当てについては、平成15年度から国の家族介護手当てとの整合を図るため、介護保険サービスを利用する場合との重なり合う部分について見直したところですので、これについては必要な見直しであった、不可欠な措置であったと認識しています。
  減免制度については、本県の提言においても、低所得者対策の拡充を具体的に提案しました。今般の改正において、低所得者対策の拡充が行われており、適切な対応ではないかと考えます。
  なお、特別養護老人ホームについては、ニーズを的確に把握し、着実な整備を促進してまいります。特養待機者については、申し込み者のうち、常時の介護や見守りが必要な方、介護者がいない方、在宅サービスを利用しても在宅生活の継続が困難な方等の事情があるにもかかわらず入所されていない方を優先すべきだと考えており、平成16年4月1日現在では、1383人でありましたが、16年度中にこれらの方々の入所が確保できたものと考えております。前のページへ戻る

乳幼児医療費助成制度の充実について

■質問■ 「少子化とまらず、出生率四年連続で過去最低を更新」、昨年の1.2905から1.2888に。一週間前の厚生労働省の発表です。本県は、その最低の全国平均よりも、さらに低い1.24、しかも、昨年の1.25から下がったことは極めて深刻な事態です。
今年も議会開会日3日に、小さな子どもたちを連れたお母さんたちの「乳幼児医療費無料化・完全実施」を求める県への交渉が行われました。「安心して生み育てたい」とのねばり強い運動のもと、対象年齢の拡大など前進をさせてきましたが、県は、この七月から入院した場合これまでの無料から一割負担に、通院でも一割負担から医療機関ごとに月1400円までの支払いを求めることを決めてしまいました。若い家族にとって、負担増となります。
この県交渉でも、「長引く不況と不安定な雇用のもとの収入から見て出費も多いので、所得制限の撤廃も強い要望です」「アトピーなど治療費の高い慢性の病気も増え、医療費は大きな負担です」と訴えられました。
そのことは、県民意識調査で、子育てを取りまく環境の問題点として「子育てにお金がかかる」が5割近くを占めていることにも現れています。
だからこそ、子育ての経済的負担を軽減する施策が今求められるのです。高齢者を除いて、最も受療率の高い乳幼児に対する「医療費助成」を強化することは、若い世代が子どもを生み、育てる意欲につながると同時に、病気の早期発見、治療で子どもの生涯の健康を確保する上でもきわめて重要です。
ところが、知事は、「少子化対策をすすめ、出生アップや子育ての環境を整える」といわれながら、肝心の経済的負担軽減や、子どもの健康につながる「乳幼児医療費助成制度」の充実にはふれずじまいです。
合計特殊出生率が全国38位の本県にとって「少子化対策の強化」は県として待ったなしの課題です。
少子化対策の重要な施策の一つとして「乳幼児医療費助成制度」を義務教育を終えるまでに拡大し、所得制限も撤廃して、完全に無料化するよう求めますが、知事の英断を求めます。

▼答弁▼ 斎藤副知事答弁)乳幼児医療費助成制度につきましては、現在の外来定率一割負担を定額負担とし、償還払いを廃止し利用しやすいしくみにするとともに、3回目以降は負担しないとすることにより、長期治療が必要となる場合の負担を軽減するなど、きめ細かな対応をはかったところでございます。
  乳幼児医療の対象につきましては、現行制度は外来・入院いずれにつきましても義務教育就学前としているところでございますが、この内容は全体的に見ますと全国的にはトップの水準になっています。所得制限限度額につきましては、児童手当ての支給基準に準拠していますが、ゼロ歳児につきましては受診の頻度が高いことに配慮し、所得制限は設けず、すべての乳幼児を対象としているところでございます。
  このような取り組みによりまして、本県の制度は多くの子育て世帯を対象として、わかりやすく利用しやすい制度として運用できるため、引き続き少子化対策として大きな役割を果たすものと考えております。前のページへ戻る

少人数学級の拡大を

■質問■  2月の衆議院文部科学委員会で、わが党議員の質問に、中山文科相は「現場の実態からもクラスの人数を減らすほうにいかないといけない」と答弁しています。
少人数学級の教育効果は、4月の文科省の調査でも「学力が向上した」「授業でつまずく児童生徒が減った」と評価する学校は、小学校98.7%、中学校で9割以上となっています。
また、約9割の小学校、約8割の中学校で「不登校やいじめなどが減少」「基本的な生活習慣が身についた」と生活面でも評価。わが党が一貫して主張してきた通り、教育面でも生活面でも大きく成果があがっていることが明らかになりました。
つづいて5月10日、中央教育審議会の義務教育特別部会が、公立小中学校の1学級当たりの子ども数の上限を「40人」と定めている学級編制基準を改善することで一致しました。
この「特別部会」のなかで、片山鳥取県知事は、小学一、二年や中学一年で少人数学級を実施している県内の実態を説明、小・中学校の教師の9割以上が30人学級を評価していること、また学級規模が少数になるほど基礎学力が上がっていることを報告され、改めて知事の姿勢が問われています。
全国で初めて「少人数学級」を実施した山形県に、当時は猛反対した国でさえ、教育効果を認め、「少人数学級」を進める動きに変わってきたのです。
「少人数学級」は、世界の流れだけでなく、いまや日本全国の流れとなりました。
知事、あなたは相変わらず「少人数学習集団」など新学習システムに固執し、国がすでに進めようとしている「少人数学級」を認めようとしていません。
未来の担い手である子どもたちのために思い切って財源をつくり、少人数学級の全県・全学年での実施を進めるべきだと思いますが、知事の英断を求めます。

▼答弁▼ 吉本教育長:少人数学級編制につきましては、小学校1年生が基本的な生活や学習習慣を身に付けさせる非常に重要な時期と考え、就学前教育と小学校入学期とのスムーズな接続や基礎・基本の確実な習得を図る効果的な指導方法等として、平成16年度に引き続き希望する学校に対し、新学習システムの中での研究指定として、35人学級編制を認めているところでございます。
  また、小学校1年生以外につきましても、従来から弾力的学級編制の調査研究を進めてきたところでございますが、少人数学級と少人数学習集団はそれぞれにメリットがございまして、少人数学級を全学年に画一的に実施することについては、課題があると考えているところであります。
  本県におきましては、従来から、複数担任制や教科担任制、少人数学習集団などを内容とする新学習システムを着実に推進してきたところでございますが、本年度からは、新たに児童生徒等の問題行動等に対応する自立支援活動補助員や生徒指導推進協力員の配置、教職員のカウンセリングマインド実践研修の実施など、多くの教職員等が児童生徒に関わる支援体制の充実教化を図っているところでございます。
  一方、国では、義務教育費の財源問題や少人数学級編制を含めた学級編制基準の在り方など、中央教育審議会による義務教育改革の審議が重ねられており、その動向等にも留意しつつ、平成18年度以降の新学習システムの充実発展について私共も更なる検討をしてまいりたいと考えてございます。前のページへ戻る

住宅のバリアフリー・耐震化の促進、中小企業の仕事づくりを

■質問■ まず、現在の安心安全、高齢者が在宅で暮らせるための住宅のバリアフリー化についてです。
住宅の事故死の七割が高齢者との調査もありますが、高齢者や障害者が在宅で安心して暮らすためには、住宅のバリアフリー化が不可欠です。ところが、1998年の調査では、手すりの設置、広い廊下、段差の解消が実施されている住宅はわずか4.5%で、その5年後でも、5.4%です。今なお、約109万戸が、手すり設置などのバリアフリー化すら実施されていない状態です。
バリアフリー化事業への県民の期待は強く、予算は年々増額されてはいますが、希望者が多いために窓口の市町は予算不足となる事態が毎年続いています。知事は、5年で1万5000戸のバリアフリー化を進めると言いますが、手すりすら設置されていない住宅が109万戸以上にのぼることに対して、5年で約1%をバリアフリー化というのでは、計画とはとてもよべません。
また、将来の安心安全、住宅の耐震化ではどうでしょうか。
知事は、わが家の耐震化50%を進めるといいますが、そのための県の施策はありません。阪神淡路大震災では、犠牲者の八割が建物などの崩壊による圧死であり、新たな地震の発生が指摘されているとき、県民の命を守るには、住宅の耐震化は緊急・不可欠の課題です。ところが、2003年の住宅・土地統計調査では、新耐震以前の住宅は、80万戸、全住宅戸数の約4割にのぼっています。また、新耐震以降の木造住宅でも、阪神淡路大震災では、2割以上が大きな被害を受けていることを見れば、県の施策の実態は、昨年度の耐震補強の工事補助は、わずか74件であり、今年度の予算措置も制度が改善されたとはいえ、対象件数は耐震診断設計を入れてもわずかに200件です。
現在の安心安全も将来への安心安全も、県民の自助努力頼みで、結局、住宅は私有財産という大震災前の旧態依然の一面的な発想にとどまっているからではありませんか。住宅の耐震化も、県民の命を守る公共的取り組みとして位置づけ、耐震補強への補助額を一戸あたり100万円程度に引き上げ、計画的に県民の住宅の耐震化を図るべきです。
住宅の耐震化、バリアフリー化の潜在需要は、県下だけでも、1兆円をはるかに超えるものと推定され、社会的に有用な事業です。自己の力で実施される住宅が一定あるとしても、放置していては進まないことは、この間の県下の実態で明らかです。この事業に、県が助成し、効果を生み出せば、県民の安心安全の確保、県下の中小企業の仕事確保に貢献し、ひいては雇用拡大、青年の働き場所確保にもつながることは間違いありません。県民の安心安全確保と経済対策としても位置づけ、住宅の耐震化、バリアフリー化に本格的に取り組むことを求めるものです。

▼答弁▼ 井戸知事:住宅のバリアフリー化については、平成15年度時点で、65歳以上の高齢者がいる世帯76万戸のうち約5割が既に手すりがあるなど、着実に整備が進んでいます。今後5年間で、「人生80年いきいき住宅助成事業」を約1万5000戸、介護保険による住宅改修が約13万戸、これに加えまして、住宅の新築又は建替えなど自主的なバリアフリー化が約4万4000戸見込まれることから、兵庫県においても、国が検討中の平成27年度目標「高齢者世帯の4分の3で一定のバリアフリー化」は達成可能だと、このように考えています。また、達成しなくてはなりません。
  住宅の耐震化については、平成15年度時点で県内に約42万戸の地震に対して危険な住宅が存在しますが、今後5年間で、新耐震基準での約13万戸の建替え、約9万戸の耐震改修を見込んでいます。この耐震改修促進のため、昨年度から「わが家の耐震改修促進事業」の助成額を最大50万円に増額しました。本年度よりさらに簡易耐震診断補助を開始しますし、あわせて耐震計画なしでも改修工事に着手できるパッケージ方式を導入しました。
  今後、これらの制度活用に向け、大工・工務店等からなる「推進協議会」などを通じて、県民の需要促進についての意識喚起に努めますとともに、地元建設業者の活用を図ることによりまして、バリアフリー化の推進とともに、今後5年間で地震危険住宅の半減を図って参ります。前のページへ戻る

危険なゴミ処理施設建設の白紙撤回を

■質問■ 次は、環境を守る問題です。一庫ダムの上流部・川西市国崎地域に、兵庫県と大阪府にまたがる一市三町による広域ごみ処理施設建設計画が進められています。
建設予定地は、無数の坑道跡が残る銅山の跡地で、土壌の鉱毒汚染が明らかとなっています。しかも、下流には川西・宝塚・伊丹・尼崎・西宮・猪名川の水がめである一庫ダムがあり、水源が鉱毒で汚染される不安や、豊かな自然の破壊につながると、建設反対の声があがっています。
この計画を進める「猪名川上流広域ごみ処理施設組合」が行った環境アセスによる土壌調査は、不十分なものでしたが、それでも、基準値を超える鉛が検出されました。しかし、「予定地全体の詳細な調査を実施すべき」という住民や専門家の意見は退けられてしまいました。
環境アセスとは別に昨年四月からごみ処理施設の造成設計を請け負った企業が綿密な土壌調査を行った結果、58箇所中46箇所で安全基準を上回る鉛が検出され、含有量の最大値は基準値の42倍、溶出量は76倍にものぼりました。河川底質から高濃度のヒ素・銅なども検出され、深刻な土壌汚染が明らかとなりました。
ところが、この事実は住民には知らされないまま、昨年11月には「十分な調査を行い、施設建設に一切の支障はない」とする「環境影響評価書」がまとめられてしまいました。
一方、施設組合はこの調査結果を県環境局には報告をしていました。結局、県は土壌汚染の実態を知りながら、国に施設建設補助金の申請していたのですから、責任は重大です。「安全な防止対策がなければ土壌はいじらないほうがよい」と専門家も指摘しているとおり、古い鉱山を掘り返すことによる水や土壌の汚染が明らかなのに、安全性も立証されないままの工事着工を許してはなりません。
住民合意もなく、問題も山積みで、阪神間五市一町の水源の上流で人体にも影響を及ぼしかねない危険性が指摘されている猪名川流域ごみ処理施設建設計画は、白紙撤回するよう、市町へ働きかけるよう求めるものです。

▼答弁▼ 斎藤副知事:猪名川上流広域ゴミ処理施設組合では、施設建設にあたりまして、環境影響評価の実施手続きに関する条例を制定し、環境調査、予測及び評価をおこない、平成15年11月に評価準備書にまとめ、公告縦覧、住民説明が開催されたところでございます。この評価準備書にたいする住民及び専門家の意見をふまえ、詳細な路上調査をおこない、調査結果及び施行方法を環境影響評価書にとりまとめ、平成17年11月から12月にかけて住民への公告縦覧がおこなわれました。建設予定地の土壌中の鉛等につきましては、土壌汚染対策法の規制対象外の自然由来のものであるとされておりますが、同組合では、建設中の鉛等の溶出防止及び濁水の凝集沈澱処理等下流への流出防止に対する対策を講じる旨、環境影響評価書に記載しているところでございます。
  また、廃棄物処理法に基づきます施設の設置届けにつきましては、この環境影響評価書が添付されておりまして、施設の技術上の基準を満たしていることから受理したものでございます。今後、同組合では、建設工事中及び稼働後、環境影響評価書に記載の対策が適切に履行されているか監視する機関として、学識者、住民代表、行政等で構成する環境保全委員会を設置することといたしておりますが、この委員会に県からも参加することを予定しておりまして、県としてはその中で適切な指導・助言を行っていきたいと考えております。前のページへ戻る

憲法9条守る立場の表明を

■質問■ 最後に、憲法・平和問題でお聞きします。
任期満了を前に、知事が遵守義務をもつ行政の長として憲法擁護の立場に確固として立ち、平和を求める県民の声にこたえてきたのかが問われています。知事は、就任直後、核積載の疑いがある米艦船ヴィンセンス号の入港を認め、その後も、イラク戦争に参戦したヴァンデグリフト号の入港を許可し、自衛隊による軍事演習のための津名港利用もいち早く認めるなど、非核と平和を願う県民の声に背を向け憲法九条をないがしろにしてきました。
  これまでに全自治体の八割をこえる自治体が非核宣言を行った中、非核宣言自治体協議会がNPT再検討会議を前に、政府に核兵器廃絶の先導的役割を果たすことを求め、核保有国に核軍縮に取り組むよう要請したのと対照的です。
また、憲法を真っ向から否定し、県民を戦争に巻き込む有事法制の制定を、知事は容認し、「国民保護法は武力攻撃事態等から国民を守る仕組みを定めたもの」などと、国の言い分そのままの答弁を繰り返してこられました。有事法制は、地方自治体をとびこえた総理大臣の指示権が認められるなど、地方が自主的に判断し対応するという地方自治の仕組みそのものを否定する内容を持つのに、知事はいっさい異をとなえませんでした。
一方で、知事は、憲法に地方自治が明確でないから改定を、という旨の発言をされていますが、現憲法が保障する地方自治の原則を自ら投げ捨てておきながら、地方自治が憲法に不足していると言うのはおかしな話です。現にある平和と地方自治の破壊にこそ、ものをいうべきではありませんか。
いまの改憲論の焦点は、憲法第九条の改変にあり、とくに、自民党などは、「自衛軍」の明記など、憲法第九条の二項「戦力保持の禁止」を廃棄しようとしています。
戦後、自民党政府は、憲法に違反して自衛隊をつくり、アメリカの要求にこたえて増強し、ついにはイラクへの派兵まで行いましたが、九条二項が歯止めになって、直接に戦争に参加することにはなりませんでした。それを取り払うことは、アメリカとともに自衛隊が海外で公然と武力行使を行うことができるようにすることです。
こうした動きに対し、多くの国民、県民が危惧をいだいています。ノーベル賞作家の大江健三郎さん、故三木武夫元首相夫人の三木睦子さんなどが呼びかけた「九条の会」は、県内でも次々結成され広がっています。
このような中で、知事が現行の憲法を守る立場に立つか立たないかは、県民の選択にあたっての試金石です。憲法を生かし、アジアの平和に貢献する県政にするのかどうか、県民を戦争の危険にさらし地方自治の蹂躙を許すのか否かが問われる問題であり、態度をあいまいにすることは許されません。
現行の憲法、特に第九条を変えるべきでないとの意志を明確に表明していただくことを求め質問を終わります。

▼答弁▼ 井戸知事: 日本国憲法の前文及び第9条に示されている恒久平和主義は、憲法の基本原理の一つであるとともに、戦後の日本が誇るべき崇高な理念であると考えます。この理念のもと、我が国が、世界の平和の確立に積極的に貢献すべきであることは、私も含め、全県民、全国民の願いであるとも考えています。
  平和な国際社会の実現に向けて、外交・防衛の分野については、専ら政府が責任を持つべき分野でありますが、少なくとも現在の自衛隊が、自衛隊として機能を果たしているにもかかわらず、かつ、国の基本にわたる存在であるにもかかわらず、未だその存否について論議が続いている事態はいかがかと考えています。今後、国会において十分議論された上で、判断されると考えますが、やはりそれなりの明確な位置付けをすべきではないか、このように考えます。
  県としては、「共生と連帯」を基本に、安全・安心な地域づくりを行うとともに、防災や環境、文化、経済など国際交流や国際理解を促進し、多文化共生の社会づくりを進めること、そのことが、国境の壁を越えて、草の根の地域、地域との国際交流による国際平和につながり、地域から国際平和に貢献していくことになる、そのように考えているところでごさいます。前のページへ戻る

ゴミ処理施設問題について

■再質問■  危険であるということだけは認めていらっしゃるわけです。そういう危険な場所に、あえて危険なゴミ処理施設をつくるということ、これを撤回してくれということを市町にいっていただきたい。

少人数学級について

■再質問■  かつて知事は財源問題であるとか、私の代表質問にも「国がまだまだそういう手当てをしていない」とおっしゃいました。いまは前へすすんでいるんです。時代遅れではなく、未来を担っている子どもたちのために、すばらしいプレゼントをしていただきたい。そのためには、財源をつくっていただきたい。少人数学級への決意をお聞かせいただきたいと思います。

鋼鉄性橋梁工事の談合問題について

■再質問■  まともに答えていらっしゃらない。調査をするか否かということ、調査をしなさいといっているわけですが、入口のところで止めていらっしゃる。告発されている三つの地域より兵庫県の落札率は高いんですよ。そのお金が不正に使われたとしたら、それは県民の税金ですから、あえて県がないというなら、それを実証する意味でも、こういう大きな事件が起きたときには、県は大丈夫かな、県民の税金が本当に正当に使われたんだろうか、こう思われるのが知事の役割ではないでしょうか。今度の政策でも、知事は県民の生活の安定と安心を第一義的に、そして参画と共同、県民本位の県政ということをうたってらっしゃるわけです。そのために、有言実行していただきたいと思います。

▼答弁▼ 井戸知事再: 答弁いたしましたように、土壌汚染対策法の規制の対象にはなっておりません。自然由来の鉛等が出てきたという事実がありますので、本来自然由来ですから、対応の有無についての議論は同組合がするかしないか、義務ではないのかもしれませんが、鉛の溶質を避ける、またにごり水の沈澱をきちっと処理する、そして下流への流出を阻止するとそういう施設整備をするということを前提に作業をしようとしているし、監視委員会もきちっとつくって、そこで問題が生じないようにするといますすめているので、きちっと答弁をしていると、きちっと聞いていただきたい。

 少人数学級の問題はですね、私何も否定している訳ではないんです。もともとね、もともと否定している訳ではない。ただ、画一的に少人数学級だけがいいんだというふうに決めてかかるのは、いかがか?という問題と、それから、ですから「も」いいんです。「も」はいいんです。しかし、少人数学級でなければならないと決めてかかるのはいかがか?やはり新学習システム・少人数グループ学習の良さというのも、きちっと評価していかなきゃいけない。最近ですね、ようやく文部科学省も少人数学級についても、研究指定校制度の中で取り組んでみようというところまできた。今、中教審で、財源負担についても含めて議論がされているということです。
  義務教育費国庫負担金2兆5000億、全部いっさいがっさい早く地方によこしていただいたら、私だってすぐに決断ができるかもしれません。やはり、一般財源化をぜひ応援していただきたい、このように思います。

 橋梁の工事について調査しないのかという問題については、はっきり言いまして、「無い」という証明・調査はもの凄く難しいんですね。
  ですから、これは立証責任の転換をすれば、裁判でも「無い」という証明をしろと命じられた方は殆ど勝てません。
  ですから、私どもとしては、そういう具体的なまだ情報もありませんし、公取の調査が行われてもいませんし、現に公取は問題はあるとして摘発を高検に依頼しているわけでもない。
  こんな実情のなかで、傍証に過ぎない、落札率が高いぞというだけでは、我々としては具体の調査に入れない。手続としての健全性は十分確保しているということを申し上げた次第でございます。ご理解をいただきたいと思います。

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