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本会議 第281回本会議議案反対討論 杉本ちさと
2004年12月17日

■質問■  私は、日本共産党県会議員団を代表して、議会に上程されました議案42件のうち認第1号ないし認第4号、認第6号、認第8号、認第10号ないし認第14号、認第17号、認第20号および議案第165号、第166号、第170号、第171号の17件に反対しその主な理由を述べて討論を行います。

あいかわらず厳しい県民のくらし

  景気は回復基調にあるといわれていますが、県民の暮らしは厳しい状況が続き、中小企業も景気回復の実感はありません。決算収支はかろうじて黒字を確保していますが、実質単年度収支は今年も16億9600万円の赤字です。県税収入は5000億円を割り込み、16年前の水準にまで落ち込んでいます。消費低迷の影響は深刻で、個人県民税、地方消費税、不動産取得税などいずれも前年度を下回りました。
  法人関係税もピーク時である1989年の40%の水準にとどまり、そのうち資本金1000万円未満の中小企業の7割が赤字という状況です。このような時にこそ経済をたて直し、県の財政運営を正常化するために、県民のくらしを支援する対策が必要です。

問題その1 過大な公共事業

  しかし、2003年度決算はそうはなっていません。 
  その第1は、公共投資事業については相変わらず過大で財政を圧迫し、県民の暮らしを応援する中身になっていないことです。予算では「県行革」の指針どおり3900億円も計上しながら、決算では4697億円とさらに800億円も上積みし、前年比122%以上にもなっています。 
  2月補正で先行取得用地の買戻し、いわゆる塩漬け土地の買戻しのため1100億円を投入し、基金を大幅に取り崩し、県債を大量に発行して充当しました。そのために県債発行伸び率が全国平均1.6%にたいして、兵庫県は32.6%の伸びときわめて異常です。
  また、県債残高は4兆5976億円とふくれあがり、前年比106.1%、県民一世帯あたりに換算すると4人家族で331万円となり、それも毎年増え続けています。
  わが党がかねてより指摘をしているように、見通しもない大型開発計画をたて、膨大な土地を先行取得し、借金を繰り返してきたことへの根本的な総括と反省をしなければならず、その責任は重大です。また、高速道路建設事業費はますます増え、但馬空港の赤字の補填に1億5000万円が使われ、関空、神戸空港への出資補助金が増額されています。その一方で、今回の台風で多くの被害を受けた武庫川流域の武田尾地区やリバーサイドなどでの治水対策が遅れたのは「ダムありき」の県の姿勢が危険な地域を放置してきた結果です。住民の安心安全対策をなおざなりにしてきた県の姿勢は改めるべきです。
  また、県営住宅建設については、「建て替え10ヵ年計画」にみあったものにもなっていません。流域下水道事業も、加古川上流をはじめ全流域で需要予測を過大に見積もり、膨大な工事費が使われ、それが使用料にもはねかえって高い使用料を県民に課しています。公営企業会計では、地域整備事業の南芦屋浜のヨット系留付き超高級住宅などは県が行う事業としてふさわしくありません。県工業用水も、とくに揖保川第一工業用水については私が9月議会でも取り上げましたが、新日鉄に対してトンあたり4円30銭で提供するなど大企業には特別に低い料金で提供する一方市民は155円とあまりに不公平です。企業にも応分の負担を求めるべきと考えます。 

問題その2 福祉医療、教育費を削減

  第2は県民の福祉や医療、教育費などを削減していることについてです。年金給付の引き下げや介護保険料の値上げ、税金控除の廃止など国の社会保障費削減で高齢者のくらしはますます痛めつけられているうえに、県は老人医療費助成の対象者を減らした事も大きく影響し、医療費助成が6億6300万円も減っています。 高齢者いじめはやめるべきです。
  乳幼児医療費助成も小学校入学前までに拡大したものの、3歳未満児に通院1割負担を導入した事もあり、8億2800万円も削減しています。子育て支援と言いながら実際は逆行しているではありませんか。
また、私学助成費は行革により国の交付税措置増額に相当する県費補助金を3億2400万円も削減しており、私学に通う子ども達と父母に大きな負担を押し付けています。親の収入の減少のため、学校を退学せざるをえない子ども達が増えており、私学助成増額を願う県民の声にこたえなければなりません。

問題その3 中小企業、農業対策が不十分

 第3は中小企業、農業についてです。中小企業の営業と生活はいっそう厳しくなるなか、地域経済を発展させる中心的役割にふさわしい、きめこまやかないっそうの支援が必要です。
  農業については、相変わらず土木事業に偏っており、小規模な兼業農家を切り捨てる一方、認定農家や集落営農のみの支援に限定しています。食料自給率を上げるためにも、すべての農家に価格保障や所得保障など支援を行うべきです。

問題その4 災害対策

  第4は自然災害対策です。今年、相次ぐ台風や地震による大きな被害が発生し、被災者の住宅や生活再建の拡充の取り組みが全国的に広がっています。一方で、阪神淡路大震災から10年を迎えようとしていますが、大震災の被災者は、住宅や生活への支援がなされず、いまもダブルローンなど困難が続いています。家賃減免など支援策を次々と打ち切る計画をすすめていますが、大震災の被災者を見放すのではなく、あたたかい支援を引き続き行うことが被災地兵庫の責任ではないでしょうか。 

問題その5 県警の文書ねつ造事件

  第5は、県警察における不祥事問題です。平成15年12月に発覚した自動車警ら隊による文書ねつ造事件は、県民に大きな不信を与えました。ねつ造件数は約230件で163人にも及ぶ処分が行われました。 
  特に高い目標やノルマが設定される「職務質問強化月間」の11月はねつ造が集中し、通常月の3から4倍にもなっていることや隊員288名のうち133名がねつ造にかかわっていた事から見ても、組織的に改ざんがおこなわれていた事は明らかです。ところが、県警はあくまでも「個人の問題」と結論づけ、「第三者機関」の外部調査を行うことに背をむけた態度は許せません。真に再発防止をすすめ、県民への信頼回復に応えることが重要です。

3分短縮のために18億円のトンネル工事は問題

  次は、その他の議案についてです。
第165号議案、「卸売り市場条例の一部を改正する条例制定」についてですが、卸売り業者への委託手数料が自由化されることにより、手数料引き下げの競争が激化し、中小卸売り業者の弱体化が促進されるおそれがあるため賛成できません。 
  つぎに第166号議案「市町の廃置分合の件」ですが、わが党は市町合併すべてに反対しているのではありません。国や県の押し付けではなく当該市町自身が判断している事。また、地元住民の意見を良く聞き、住民自治が守られているかどうかを検討した結果、この議案には反対です。この議案は、宍粟郡の山崎町、一宮町、波賀町、千種町が合併して宍粟市を設置するものですが、合併協議のなかで、新庁舎問題などまちづくり構想の重要な内容が新市発足後に先送りされ、住民への説明も充分に行われていません。千種町では住民投票が行われている最中に合併議案が可決されたなど、住民の合意と納得をえる手続きも不充分であるため反対です。
  次に第170号議案、浜坂漁港関連道整備事業についてです。浜坂漁港と諸寄漁港をつなぐ為に18億円余をかけて764メートルのトンネルを含め、889メートルの道路工事を行うものです。現在でも、車で5分で走れるのにわずか3分短縮するためにこのような多額の税金をつかう必要はありません。   
  次に、第171号議案、一般国道178号道路改良事業県境トンネル建設工事についてです。 浜坂町と鳥取県を結ぶ地域高規格道路東浜居組道路のトンネル工事で、総額130億円のうち県費41億円を投入するものです。現在、車の交通量は1日2647台しかなく、わずか10分ほど短縮させるだけのトンネル工事です。
  環境影響調査もクマタカ・ハヤブサなど絶滅危惧種の生息が確認されているのに、調査は少なくとも1年半の期間が必要であるにも関わらず、わずか9ヶ月で打ち切っています。もっと丁寧な調査をおこなうべきであり、賛成はできません。 
  以上主な議案について反対の理由をのべましたが、その他の議案については、従来申し上げてきたとおりの理由により反対です。 議員のみなさんのご理解とご賛同を求めて私の討論といたします。ご静聴ありがとうございました。 

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