■質問■ 私は、日本共産党県議団を代表して請願第76号、第77号、第79号ないし第86号、第93号、第94号の各不採択に反対し、採択を求め、第89号については、採択に反対し、不採択を求め討論を行います。
イラク派兵を延長せず、撤退を
まず、第76号、第77号、即ち自衛隊派兵を延長せず、直ちにイラクからの撤退を求める件で有ります。
小泉・自公政権は、去る12月9日、イラクへの自衛隊派兵の一年延長の決定を強行しました。小泉首相は、その直前の国会ではまともな議論を避け、また世論調査でも派遣延長反対が6割超えているにも関わらず、その声を無視したやり方に、「あまりにも国民を愚弄した話だ」「なぜ堂々と議論しない」という社説等マスコミを初め、国民の厳しい批判があがっているのは当然であります。
イラクでの自衛隊の活動についても、来年初めに日本が提供した6基の浄水器で自衛隊の16倍もの量の給水がイラク人によって始まるなど、自衛隊の役割は終わったとの報道もあります。
米軍によるファルージャへの無差別攻撃でイラク全土が戦場となる中、撤退する国も相次ぎ、自衛隊の警護を行ってきたオランダ軍も撤退します。
日本がアメリカに無条件に追随し、自衛隊が多国籍軍の一員として実質的な占領支配に加わることは、取り返しのつかない泥沼にはまり込む事になりかねません。
自衛隊は直ちに撤退させるべきであります。よって本請願は「不採択」ではなく「採択」を主張します。
障害者制度の介護保険との統合反対を
次に第93号、障害者支援費制度を介護保険制度に統合することに反対する件についてです。
来年4月の介護保険制度見直しに当たり、障害者支援費制度を統合しようとする議論が政府内で行われております。しかし、もともと理念も制度の内容も全く違うものを統合することによって制度内容が大きく後退させられるということから障害者や福祉の関係団体、全国の多くの自治体などから統合反対の声が上がっています。
結局、政府の統合のねらいは、障害者本人の負担を増やすと共に、介護保険の被保険者を現在の40歳から20歳まで拡大し保険料収入を増やすために、若年層の理解をうる口実として持ち出して来たというのが本音だといわれます。統合によって制度が後退するだけでなく、若い層の負担が増えれば、将来制度そのものが立ちゆかなくなる問題を含んでおり、統合はすべきではないと考えます。
こうした立場から本請願は「不採択」でなく「採択」を主張します。
保育所運営費・整備費の削減に反対を
次に第94号、保育所運営費の一般財源化、施設整備費の削減をしないことを求める件であります。
少子化対策として保育所の役割は益々重要となり、国の財政保障の拡充が求められています。ところが2004年度から公立保育所運営費の国庫負担金が一般財源化され、その結果、全国の四割の市町村で保育予算が減少し、保育材料などの買い控え、新規職員の採用抑制、保育料値上げなど、政府の担当者でさえ「予想以上」と驚くほどの深刻な影響がでています。更に今後、全国知事会などの負担金・補助金削減リストの中に私立保育所運営費削減が盛り込まれています。これらは幼い子供達に大きな影響を及ぼし、少子化対策に逆行するものであり、本請願の趣旨は当然であり「採択」を求めます。
小学校1・2年に35人学級を
次に、第79号「小学校1年生35人学級を2年生以上にも実施することを求める件」です。本請願では、兵庫県でこの春から小学校1年生の35人学級が実現したことによって、一人一人に行き届いた教育が進められていることを紹介しています。また、全国に先駆けて3年前から少人数学級実施にふみきった山形県では、不登校の減少、算数、国語の学力向上、欠席日数の減少、保健室駆け込みの減少など確実に効果が上がっていることが報告されています。県教委は、こうした成果にこそ学ぶべきではないでしょうか。本請願が、せっかく少人数学級でいきいきと学んでいる今の1年生が、2年生になったとたん、40人ものクラスでひしめきあって学ばなければならない事態を心配し、2年生以上でも引き続く少人数学級の実施を切実に求めている願意は当然であり「採択」を求めます。
教育基本法を生かそう
次に、第80号「教育基本法の改定ではなく、その理念の実現を求める意見書提出の件」についてです。教育基本法は、戦前、こどもたちに「忠君愛国」を植えつけ戦争を賛美する国民に仕立てて戦争に動員するうえで、教育が重大な役割を果たしてきた、この大きな反省から、準憲法的性格をもつ法律として位置づけられてきたのです。即ち、国家が教育に不当な介入を行えないようにするところに、教育基本法の核心があります。ところが、政府与党の改悪案は、教育内容に対する国家の介入を許す内容になっており、百八十度逆転したものに変えられようとしています。
こうした方向は、子どもたちが主権者として自由で豊かな人間性をはぐくむこととまったく逆行するものです。本請願が指摘するような現在の教育の危機は、教育基本法にあるのではなく、教育基本法の民主的理念を生かしてこなかった歴代政府の教育行政にこそ責任があります。議会として、かつての誤りを二度と繰り返さない決意を示すためにも、本請願の採択を求めます。
県立高校などの教育条件の改善を
次に、第81号「県立高等学校の教育条件の改善を求める件」、第84号「教育予算を増額し、行き届いた教育の実現を求める件」、第85号「私学助成の抜本的拡充で行き届いた教育の実現を求める件」など、教育条件の改善に関する請願についてまとめてのべます。
これらの請願は、就学援助や授業料減免、奨学金制度の拡充・手続き改善や、私学助成・経常費補助の拡充などを求めており、経済的理由で就学が困難な子どもたちが増えている深刻さを物語っています。たとえば、授業料減免を受ける生徒は都市部では増え続けており、私の地元尼崎市では、学校によっては4割の生徒が受けているなど深刻な実態です。
しかし、請願が指摘するように、減免を受けるには保護者の所得証明だけでなく同居の兄弟や祖父母の所得証明まで必要とするなど、複雑な手続きが要ります。必要な生徒が速やかに受けられるための条件緩和など制度改善を行うなど、経済的理由で教育を受けられなくなる事が無いよう、子どもたちの学ぶ権利を平等に保障してほしいという願意をしっかりと受け止め、これらの請願の採択を求めるものです。
次に、第82号「県立高等学校の教育条件の改善を求める件」、第86号「教育予算を増額し、行き届いた教育の実現を求める件」に関してです。本請願は、高校統廃合を行わず、希望する子どもたち全てに高校教育を保障することを求めていますが、尼崎市では、全日制普通科の開門率は、約48%と減っており、阪神間の他都市に比べても低くなっています。子どもたちが全日制普通科にいく枠は狭くなり、むしろ子どもたちが行きたい学校に行けなくなっているのが実態です。これは、わが党議員が今議会で指摘したように、県教委の進める「特色ある高校づくり」が、子どもたちの人生の選択の自由を減らしていることの現れです。単位制高校をこれ以上増やさず、普通科に通いたい子どもたちに門戸を広げてやりたいという声は当然であり、採択を求めます。
教育復興担当教員の継続を
次に、第83号、「新たな自然災害にも対応できるよう『教育復興担当教員』の継続配置を求める意見書提出の件」です。
新聞報道によれば、震災10年にあたって神戸大学発達科学部の教授が行った小中学生らへのアンケートで、前回調査に比べてPTSDが悪化した項目もあり、「相次ぐ大災害が心の傷を呼び起こした可能性もある」と指摘されています。国による「教育復興担当教員」廃止の動きがありますが、PTSDの残る子どもたちの心のケアに大きな役割を果たしてきた「教育復興担当教員」の役割は引き続き重要といえます。今回の台風や新潟地震など自然災害が相次ぐ中ではなおさらです。また、今議会には、請願第87号および88号、「『心のケア』を必要とする子どもたちの対応に当たる教員配置などの支援措置」などを求める請願が提出され採択となっており、同様に加配教員を求めている第83号だけ不採択とするのは道理がありません。採択を求めます。
「人権」の名で不公正な同和施策の継続を図る請願と意見書に反対
最後に、第89号 「人権侵害の救済に関する法律」の早期制定を求める意見書提出の件で有ります。
本請願は、表題は「人権」一般を指しているものの、内容は「同和地区を特定した誹謗・中傷」や「差別落書きなどが多発している」「よって人権救済に関する法律の早期制定は不可欠である」と述べ、部落問題を人権の中心に据えた法律の制定と「地域での差別事象を処理する地方組織体制の設置を求めたものであります。
この内容は、どの角度から見ても容認出来ないものであります。
まずその一つは、部落問題は今や長年の国民の努力と運動で解決に向かい、国では昨年3月、同和対策の特別法体制が失効し、全国の自治体でも同和行政終結が基本的な流れとなっています。こうした中で本請願は、「人権」の名目で同和特別対策終了後の新たな同和対策と利権・特権の維持を狙ったもので有ることは明らかであり、全国の流れに逆行するものです。
その2つは、2003年10月に国民の大きな批判と反対によって廃案となった「人権擁護法案」との関連です。わが党も本来的には人権侵害の救済は司法による解決が基本と考えますが、同法案は、肝心の国家・行政権力や大企業などによる人権侵害は除外する一方、いくらでも拡大解釈出来る「不当な差別言動」などを処罰対象とし、言論・表現の自由や心の持ち方まで行政が介入しようとする内容であります。ところが政府は、批判の強いメディア規制部分を削除して再提出の準備を進めていると言われます。今、本請願を採択し意見書を送ることは政府の法案成立に手を貸すこととなります。「人権」の名で人権を侵害するような法律の制定を求める事は認める訳にはいきません。
その3つは、人権問題の原因を国民の心の問題、国民相互間の問題に転嫁し、また「差別」問題に矮小化していることです。
何をもって「差別」とするか、先の人権擁護法案でも「相手を畏怖、困惑させること」と抽象的な表現だけで何の明確な定義もありません。その立証は極めて難しく、恣意的に「差別」が作り出される余地が十分にあります。この間、部落解放同盟による不法な「確認・糾弾」、行政・教育への介入、人権侵害が繰り返されてきました。もし、この法案が成立すると「解同」の糾弾に法的根拠を与えかねない危険性をはらんだものとなりかねません。奇しくも今年は県民と兵庫県政にとって忘れる事の出来ないあの八鹿高校事件から30周年の年であります。二度とあの悲劇を断じて繰り返してはなりません。
以上の理由から、本請願は「採択」ではなく「不採択」を強く主張するものであります
尚、本請願をもとにした意見書についても今述べた趣旨から反対であることはいうまでも有りません。
以上で、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。 |