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本会議 第281回本会議一般質問 つづき研二
2004年11月30日

■質問■ 私は、台風被害の風倒木処理、水害対策および災害救助法の適用問題、駅のバリアフリー化、大坂城東六甲採石場跡の調査と保存、障害者への公教育の保障、総合選抜制と高校改革などについて質問いたします。

台風による風倒木被害の調査と対策の徹底を

■質問■ 最初に、台風23号などによる県下の風倒木被害や水害についてです。
  私たち日本共産党県議団は、被災地各地を直ちに調査してまいりましたが、痛感した事は、今回の台風災害は、これまでの県土政策の根本的転換を問うものだという事です。

  そのまず第1に、森林政策、山林政策についてです。
  私たちが調査した宍粟郡一宮町の山では、何百本もの杉が土砂ごと崩れ落ち岩盤がむきだしになり、折り重なった倒木が川をせき止める寸前でした。また、木々が残っている地域でも、木が傾き根が浮き地面に亀裂が入り、今後豪雨が入ると地面の崩壊など放置すれば、確実に2次災害を引き起こす事態です。
  被害実態調査がもれなく行われなければなりませんが、森林作業班員の育成確保に努めてきた一宮町ですら、倒木が多くて入れないところや作業道もないような地域は全く把握できず、空中写真調査を追加したということですが、空中写真を実施した町は、被害市町51市町の内、5町にしか過ぎず、県は空中写真の調査費すら市町に支援しようとしていません。
  また、倒木処理は予期せぬ方向へ木が倒れるなど危険が伴い、相当の熟練が必要な作業で、県下では死亡事故が起こっています。ところが、県下の森林作業班員数は827人、そのうちの52パーセントが60歳以上という状態です。風倒木の被害面積が2160ヘクタールという中で他県からのプロの応援なしに不可能です。
  県は、倒木を山に積み残す事を想定されていますが、これでは、2次災害の危険を残したままです。かつて、京都などで風倒木の持ち出しをきちんとしなかったために後年の大雨で、流れ出し大洪水を引き起こしたことを想起すべきです。
  さらに風倒木処理は兵庫の木材の信頼性確保のためにも重要です。風倒木処理を機敏にし、兵庫県の木材の信頼確保をしなければ、県下の林業の崩壊、地域の崩壊につながりかねない重大な問題です。また30年40年かけて育成してきた生産物として最大限有効活用にあたるべきです。
  風倒木処理施策は、国の補助とともに地元市町1に対して県負担が2という割合になっていますが、元来財政力の厳しい地域に甚大な被害だけでなく、被害処理にも多大の負担を押し付けることになれば、結局、地元町の財政に合わせた施策しか実施できない事態を生みかねません。
  なぜ、県の風倒木被害の調査も対策も不徹底なまま、すまそうとしているのでしょうか。
  今回の国の「風倒木等緊急除却事業」では、1000メートル上流で谷筋から60メートルの範囲までしか事業の対象にしていません。知事も人家に影響を与える範囲についてしか言及されていませんが、結局、国の基準分しか風倒木対策をしないということではありませんか。
  風倒木被害の実態調査を徹底し、国の支援基準以外の地域も風倒木処理と復旧をおこない、県と国の責任と費用であたるとともに、風倒木を県などの公的土木建築物に利用するなど利活用の徹底をはかるべきです。知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事: 風倒木処理への支援についてです。森林の被害調査については、森林所有者等の申し出も踏まえ、県・市町・森林組合などの職員が一体となって行ってきました。車両の乗り入れが困難な箇所へは徒歩で赴くなど可能な限り現地調査を行うとともに、遠方からの目視や、航空機による空中写真の活用も図り、復旧が必要な箇所についてはおおむね調査を完了しましたが、今後整備名必要な箇所は判明次第、復旧計画に反映してまいります。風倒木対策については2次災害防止や、森林の公益的機能を保全する観点から、被害森林の復旧は、森林所有者の負担を求めず国県及び市町の全額公費負担により実施することとしています。伐倒処理した木材は、貯木場、ストックヤードに持ち込み搬出することを原則としておりますが、支障のないものについては山にそのまま置くこともありえます。すでに被災地について危険度から3ランクに区分して、危険度の高いところから取りかかることとしているところです。また、風倒木対策は危険を伴うことから、プロ・専門家による作業となりますが県内の森林組合や素材生産業者の労働力で対応可能と考えています。さらに必要ならば、広域的な協力を得るよう検討してまいります。さらに、国事業の最大基準に満たない0.1ヘクタール未満の被災区域については、数十本程度の小規模な倒木が中心と考えられますので、森林管理100%作戦の間伐事業によって対応できるものと考えます。なお、風倒木については森林組合等の貯木場に一時貯木する中で、木材市況を混乱させないよう、風倒木と、健全木を明確に区分するよう関係者に要請しているところです。合わせて、その利活用については森林災害復旧対策委員会の提言等も踏まえて、検討を行っていきます。また、地元市町の財政負担については、特別交付税措置等、極力財政軽減にも配慮していくこととしています。こうした総合的な取り組みを通じて風倒木の円滑な処理を進めてまいります。このページの上へ

災害を教訓に林業施策の抜本的見直しを

■質問■ 林業被害対策の2点目として、林業施策の抜本的見直しについてです。
  関係者によれば雑木林では被害が少なく、ある生産組合長は「戦後に経済的価値だけ追求して杉ばかり植える策がとられてきた。清い水を蓄え災害を防ぐ雑木林を見直し、きちんと位置付けすべきでは」と話されましたが、今回の災害の原因は、人工林化を進めながら、人工林を成り立たなくする木材の輸入自由化を進めてきた国の林業施策にあることは明らかです。
広葉樹林・複相林や密植でないものは補助しない、地の植生のままで充分治山治水能力が認められる山にまで、ともかく苗木を消化しなければ補助しないなど、画一的に杉やヒノキなどの単相林化を進めてきた拡大造林路線の根本的転換が必要です。その点で、県下最大の林家ともいうべき「県みどりの公社」が率先して拡大造林路線を転換し、毎年、時価で評価し、新しい取組状況を県民に明らかにしていく事が必要です。また、県の林業予算をみても、大規模林道などの建設工事には、約100億円、林業予算の約4割を占めており、林業土木偏重型の予算の見直しが必要です。
森林には、産業、環境、水資源、治水、治山、災害防止、大気浄化、地球温暖化防止、都市住民のいこいの場など人と自然が共生できるための大切なさまざまな役割があり、各森林がどれに比重が高いかは地域地域でさまざまですが、このような役割を発揮できる管理と保全の取り組みにはボランティア頼みだけでは不可能であることは今回の災害が示しています。専門能力を要する技術者の確保育成と、現場の作業班員などへの所得保障と増員が不可欠です。
拡大造林路線を根本的に改め、県みどりの公社の経営内容の透明化と改革、混交林、広葉樹林造成への支援を行うとともに、森林の仕事で生計が成り立つように、スイスなどで中山間地所得保障を行っているように作業班員の所得保障と増員を県として行うべきです。知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事: 森林は、戦中戦後の軍需物資や復興木材として大量伐採され、拡大造林が推進されました。しかしながら、森林林業を取り巻く社会情勢などのさまざまな変化の中で、森林の多面的機能の持続的な発揮による森林整備が求められてきております。本県では、全国に先駆け、森林の公益的機能に力点を置いた「新・ひょうごの森作り」を展開しており、事業執行につきましても、公的管理による森林整備へのウェイトを高めてきているところです。今後は人工林の高齢林化が進む中、パッチワーク状に広葉樹を植栽する新たな森作りや、人々が里山に入りこむ環境を整備することによって環境保全を図る里山林の再生などに取り組むとともに、公社材を含む県産木材の利用促進などにつとめまして植栽・保育・伐採・利用の林業生産サイクルを円滑に促進させる施策の強化に努めてまいります。また、高度な林業技術の研修はもとより、森林技術者の月給制の導入や、他産業並みの退職金支給のための公的支援などにも努めており、こうした取り組みを通じて本県の森林整備等の需要に見合った林業労働力の育成確保にも努めてまいります。なお、「みどり公社」の経営状況についてはすでに9月県議会に経営状況を報告するとともに財務諸表等を情報公開しておりますのでご理解を願います。このページの上へ

武庫川リバーサイドはじめ県下河川の水害対策を

■質問■  今回の相次ぐ台風ののち、県は、さかんに青野ダムの効果を宣伝されています。
  しかし、今回、上流に多数のダムがある三原川や円山川でも大きな洪水被害を発生しました。三原川流域では、5個のダム、一つの大堰があり、それぞれ60年に一度の大雨対策のダムとして、すでに6年以上前に完成しています。この下流域で洪水が発生し、「ダムで水害がなくなるといったのに、莫大な税金を使ったのに何にも役立っていない」との住民の怒りの声に対して、県は青野ダムの例とは逆にダムの限界を説明するビラを配られています。今回、大きな水害を受けたリバーサイド地域も、武庫川ダムができても浸水することは幾度も指摘してきたとおりです。
ダムさえ作れば水害がなくなるかの雰囲気作りは厳しく戒めるべきです。
三原川流域では上流の4つのダムだけでも546億円をつぎ込みながら、下流の三原川広域基幹改修事業には、わずか103億円です。各河川の流下能力、洪水に対する安全度や予想以上の大雨の時はどうなるのかも公表されていません。
命にかかわる洪水被害は起こさない、そのためには、堤防の決壊が起きないように堤防補強を最優先するとともに、流下能力が乏しい箇所から順次治水安全度を高める取り組みが必要です。

 武庫川ダム計画が検討されてすでに20年以上になりますが、この間、流域の開発はとまらず、尼崎の面積の1.5倍、西宮の7割に匹敵する約7300ヘクタールもの森林や田畑が減少しています。みどりのダムを壊してコンクリートのダムをつくる。全く逆行です。しかも、流域治水をうたいながら、流域委員会の事務局は県の河川・ダム部局だけです。これほど、森林の保水力が問題になっているのに、武庫川流域についてその検討の形跡は一切ありません。すでに吉野川では自治体の公費で民間団体が検討していることと比べても大変な立ち遅れです。先のリバーサイド地域については、川を広げる方法や数年前から新たに国の補助事業となっている水防災対策や床上浸水対策事業などの活用をして実施するとともに、県下の各河川の流下能力や堤防の安全度を調査し、その結果をハザードマップとして、流域住民に配り、改善の取り組みを進めるとともに、河川ダム部局だけではなく、森林、田畑、まちづくり、開発規制、環境などさまざまな部局の横断的体制を県自らつくり、住民参加で、流域全体で治水対策の向上をはかる取り組みを求めるものですがいかがでしょうか。

▼答弁▼陰山県土整備部長: 武庫川のリバーサイド住宅地区につきましては、今年度末までに改修実施計画を策定することといたしております。今後事業説明を行うなど、理解を得ながら改修を実施してまいります。なお、主要事業・制度につきましては、種々検討いたしたいと考えております。
  県下の河川の流下能力、堤防の安全度の公表につきましては、ずばりそのものではありませんが、今年9月に重要水防箇所と言う形でホームページに掲載いたしましたところです。今後は、地図表示等も充実していきたいと考えております。また、河川管理者である県が、河川ごとに浸水予想区域図を作成いたしまして市町の方で洪水による浸水の深さや範囲を示した洪水ハザードマップの作成をすすめておりますが、今後は重要水防箇所等の情報も記載するよう市町に要請説明していきたいと考えております。なお堤防の安全性につきましては再度堤防点検対策ガイドラインに基づきまして点検公表いたしまして対策を講じていく考えでございます。住民参加ですが河川の整備計画策定に当たりましては住民の参画を得た流域委員会を設置することを基本といたしております。また、関係部局との横断的体制につきましては武庫川では農林・まちづくり・環境等の関係部局と検討会を設置しておりまして、その他の設置しているところです。このほかの河川につきましても、流域や河川の特性に応じ、関係する部局や関係市町と協議いたしまして総合的な治水対策を進めてまいるよう努力してまいりたいと考えております。このページの上へ

台風21号被災の赤穂市に災害救助法を適用せよ

■質問■ 昨日の代表質問で、台風21号の被災を受けた赤穂市から救助法適用基準をこえる被災戸数が報告されているにもかかわらず、県が救助法の適用を怠っていることを取り上げましたが、知事は適用を拒む答弁を行われました。しかし、副知事は「被災世帯の大半」が避難状態でないと答弁し、事実上、避難生活をしている被災者が今もなおいることを認められています。実際、私たちの調査でも、大規模半壊の被害を受け、親戚などに分かれて暮らしている被災者が幾世帯もおられます。ある方は、一階に畳も建具も入らず、80歳の母親と別れて避難生活をされておられ、「名前も写真も何でも出してくれ」と怒りの声をあげておられます。もともと、災害直後に、私たちが申し入れたように、また、県が上月町などにしたように応援に入っていれば、すぐに救助法の適用を行えたのです。これをすべて市の責任にして、肝心の被災者を見殺しにすることは許されません。直ちに救助法の適用に踏み切ることを要求するものです。知事の決断を求めます。

▼答弁▼防災監: 台風21号おける赤穂市の避難の状況について市に確認いたしましたところ、台風が襲来した9月29日夜にはピーク時で172世帯、393人が避難をしておりましたが、翌30日にはほとんどが帰宅し、10月1日の夕方にはすべて解消したとのことです。昨日の中村議員の質問に対し、災害救助法の適用が困難な理由のひとつとして、斉藤副知事が、被災世帯の大半が、自宅で日常生活を続けている状況にあると答弁しましたが、これは避難した世帯のうち、被災時の家とは別の場所で日常生活を送っている世帯が数世帯あることが確認されているため、大半と申し上げたのであり、現に避難生活をしている被災者がいることを認める趣旨でのべたのではございません。また、被害認定調査について赤穂市からは上郡町や上月町のように県への応援要請があったわけではありません。いずれにせよ、赤穂市から被害数値の修正報告があった11月4日の時点で市における救助はすでに終了していると認められ、また市から災害救助法による救助を実施しなければならない状態にあったとの報告は受けておりません。そのような状況のもとでの災害救助法の適用は困難であると考えているところです。このページの上へ

JR甲子園駅のバリアフリー化を県としてすすめよ

■質問■ JR甲子園口駅は、1日の乗降客が3万人を超え、西宮市内でもエレベーターのない最大の駅です。そのため、高齢者や障害者は、わざわざタクシーを使って、隣のJR西宮駅や阪急西宮北口駅に行き、電車に乗るという状態です。これまでも地域住民が直接JRに要請するなどしてきましたが、未だにエレベーターの設置が行われていません。最近、JRは、住民や議会からの批判に対して、プラットホームを延長するなど事業費数十億円というエレベーター設置案を県や市に提示したといいますが、その図面や工事費積算根拠は一切明らかにされていません。これでは、どうしたら高齢者や障害者が利用できる改善が緊急にできるのか住民は検討することもできません。
 現在のJR甲子園口駅のプラットホームは、中ほどに自動販売機が据えられていますが、その場所を利用すれば、JR元町駅に設置しているエレベーターと同じものの設置は可能です。跨線橋方式なら、2〜3億円でできるとの指摘もあります。
JR甲子園口駅のバリアフリー化について、鉄道側に検討をゆだねきってしまうのでなく、県としても検討し、双方の検討内容を住民に公開して、エレベーター設置をすすめるとともに、一箇所あたり上限1億5千万円という現実に合わない基準は見直し、予算増を行うべきです。明確な答弁を求めます。

▼答弁▼陰山県土整備部長: 既存鉄道駅舎のバリアフリー化については法令上鉄道事業者の努力義務とされていますが、福祉のまちづくりを推進する観点から県としては補助制度を設け整備してきたところです。これにより県内においてはバリアフリー化の対象となっている1日の乗降客数が5千人以上の駅のうち75%の駅ですでにバリアフリー化が完了しております。その達成率は全国的に見ても高い水準にございます。JR甲子園口駅のエレベーター設置につきましては、JRによれば駅舎の構造上大規模な改修が必要であるということですが県からは実現可能な方策を検討立案するように申し入れているところです。また、この一方で県といたしましても鉄道事業者側の検討にまかせるだけでなく、鉄道事業者にバリアフリー化の推進を促すためには、独自に構造上バリアフリー化が困難な駅舎における対応方策の調査・検討が必要と考えまして、本年度末を目処に調査を行っているところでございます。JR甲子園口についても検討対象といたしております。現在検討中ですが、今後鉄道事業者に対しまして具体的なバリアフリー化仕様を提案して協議検討を進める考えです。このページの上へ

貴重な遺跡 再建大坂城採石場跡の調査と保存を

■質問■ 次に再建大坂城の採石場の調査と保存についてです。
 太閤さんの大坂城として親しまれていた現在の大坂城の城郭が、実は、徳川幕府の徳川秀忠、家光による再建であり、太閤さんの城郭は、現在の大坂城の地下に眠っている事は、多くの人々におどろきと衝撃を与えています。太閤さんの時代までの城郭は、自然石を積み上げただけなのに対して、徳川になってからの再建大坂城は、巨大な石を加工して、積み上げていったものです。石積の技術集団の穴太(あのう)衆や石加工技術集団、石割技術集団、石運搬技術集団などの職人、技能集団の成果の結実といわれ、東六甲山系では、石運搬などでもすでにパナマ運河方式を実行していたと指摘されるなど、日本に世界に誇るべき技術水準と技能集団が存在していたことを証明するものとしても歴史的遺産と言われています。また、それらの各集団を統率し、動かす組織についても大きな関心が高まっています。
何トンもある巨大な石を寺勾配状に数十メートル隙間なく積み上げ建設していくその技術水準は、土木工学的にもいまだ未解明の事も多いといわれ土木史学会では、京大名誉教授天野光三氏を会長に文部科学省の科学研究費によって歴史学、考古学、文化財保存学、地盤工学、土木計画、土木施行学などの総合的視点から数年前から新たな研究がはじまったばかりです。
 そういう中で、芦屋岩園一帯で大坂城の石垣採石場が発掘され、多数の矢穴石や丁場跡、加工石、石引き道、さらには工具補修用の鍛冶炉跡まで発見され、いろんな分野からの新たな解明ができる場として大いに期待されていました。
ところが、この発掘調査では、全体の本格調査を終えないまま、開発業者に渡されてしまっています。しかも、県教委による本格調査と保存の取り組みはなく、この貴重な遺跡について県民に対する県教委による現地説明会や報告会も開かれていない状態です。
 これまで、小豆島などが採石場として知られていましたが、実は私たちの目の前の東六甲一帯には、多数の採石場があり、大坂城の城郭の3割から4割の石が東六甲一帯から運び出されたといわれていますが、世界に誇るべき大坂城を解明する貴重な歴史と資料と現場が私たちの足元にあるということです。
この際、芦屋岩園の遺跡の調査を徹底させるとともに、現地の保存について専門家や住民の参加で検討し、さらに東六甲一帯の採石場や石の調査と保存の取り組みを進める事を求めますがいかがですか。

▼答弁▼武田教育長: 再建大坂城の採石場の調査と保存についてです。芦屋市岩園町所在の遺跡につきましては当地が周知の埋蔵文化財包蔵地でありますことから、芦屋市教育委員会が文化財保護法等に基づきまして民間業者の開発事業が行われます前に業者と協定を結び発掘調査を行っているものです。当該遺跡の文化財的価値につきましては当初同市教育委員会が確認調査をした結果、記録保存とする調査報告を提出してきたところでありますが、私どもといたしましては、学術的・専門的問題でありますことから、文化財の権威であります兵庫県文化財保護審議会史跡埋蔵文化財部会の委員でありますとか、専門家等に判断を仰ぎますとともに、文化庁とも協議をし、さらに万全を期するため市教育委員会に追加調査の実施を求めたところであります。その結果、史跡として保存を図るべき重要な成果が得られず、当初どおり記録保存とし出土した刻印石等は公園内での展示で十分であるとの市教育委員会からの報告を受け、県文化財保護審議会では、史跡相当としての評価を行うことは難しい旨の最終的な学術判断にいたったところであります。なお、確認調査及び本発掘調査の過程において調査主体であります市教育委員会は発掘調査現場での見学会あるいは現地説明会は実施をいたしておるところであります。今後は東六甲全域を対象とする徳川大坂城の採石場調査につきましては学術的な評価が必要でありますことから専門家等の意見を踏まえ、文化庁や関係市とも連携をしながら計画的な調査に取り組んでまいりたいと考えているところであります。このページの上へ

義務教育を受けられなかった障害者に公教育の保障を

■質問■ 1999年の大分の新聞で、「母親の働きかけ実る 40歳、35歳男性が養護中学部で頑張ってます」の見出しの報道がありました。「重い障害のために、義務教育が受けられなかった県内の40歳と35歳の男性が別府市の県立石垣原養護学校に入学、中学部一年生として勉強している」「未就学の高年齢障害者が就学するケースは珍しい。県教委は教育効果が高い事を認め、今後も希望者があれば、検討」と報道し、学校に通うようになって「明るい笑顔を見せる事が多くなり、車椅子を使う事が多かった生活も、病室から学習棟まで歩くようになった」と教育が果たした大きな役割を記しています。
関係者の調査ではすでに高知県、熊本県、和歌山県、大分県、岩手県、宮崎県、滋賀県、徳島県、東京都でかつて就学免除を受けた障害者の受け入れを実施し、鹿児島県や鳥取県など次々と準備が始まっています。岩手県では今年3月から実施をはじめましたが、その文書の中で、「教育はすべての国民に認められる基本的な権利である事を踏まえ、このような方への教育の場の用意について検討する必要がある」と指摘し、段階的に受け入れる学校を拡大していくとしています。
本県ではどうでしょうか。
 ある施設では、障害者の訪問教育が確実に成果を上げ、病棟では泣いてばかりいる障害者が、訪問教室の場に行くとニコニコ顔に代わってしまうといいます。障害者の訪問教室の保障が、障害者に生きる希望と元気を与えているのです。しかしその一方、わずか一歳年上というだけで、何の教育も受けられないままの方もおられます。
本県では、昭和54年(1979年)に養護学校義務制が実施されてからすべての障害者に義務教育の門戸が開かれましたが、受け入れ体制がないなどのさまざまな事情で就学猶予免除を受けたそれ以前の障害者は、その後も公教育を受ける道を閉ざされたままです。わずか一歳早く生まれたがために教育を受けられない、なんと理不尽な冷酷な仕打ちでしょうか。
重症心身障害者の大川よしのぶさんのお母さんの手紙を紹介します。「中一の時の就学猶予免除は、病状が悪く仕方なくしたものです。高等部がスタートしたときに、義務教育を終了していないからと受け入れてもらえず悲しい思いをしました。中学部に他の生徒が入ったらという約束でしたが、だめでまた悲しい思いをしました。就学をお願いに行きましたが、「何でいまさら、そんなに行きたいの。穏やかにベッドで寝ていたら」といわれました。隣のベッドの同年齢の方が、毎日、先生と一緒に授業したり教室に出かけるのを見ていたら、情けなくてわが子が不憫に思います。・・・どうぞ一日も早く、よしのぶにも教育の機会を与えてくださるようにお願いします」と訴えられています。
 現在、県下の6施設のうち、約150名の方が就学猶予免除者ですが、その人々や父母は、「学校に行きたい」「学校に行かせたい」「一度は学校の時間と場を保障してやりたい」と切実な声を上げておられます。
ところが、県教委は就学猶予免除を受けた障害者の実状調査すら拒んでいます。
  障害者と父母の悲痛な訴えをしっかりと受け止め、かつて就学免除を受けた障害者の実態調査を行い、希望者には公教育の場を保障する取り組みに進むことを求めますがいかがですか。知事の温かい答弁を求めます。

▼答弁▼武田教育長:障害者への公教育の保障についてであります。学齢期を過ぎた障害者の就学につきましては、本県では全国に先駆けまして養護学校高等部における訪問教育を平成9年度から実施をし、過去に中学校や養護学校中学部を卒業したいわゆる過年度生も受け入れるなどその時点ごとに対応できるものにつきましては弾力的に取り組んできたところであります。しかし、義務化以前の就学猶予免除について、中学校もしくは中学部を卒業していない者の高等部入学については学校教育法によりますと「中学校もしくはこれに準ずる学校卒業した者もしくは文部科学大臣の定めるところによる同等以上の学力があると認められる者」と定められておりまして、文部科学省におきましても、これらの資格を有しない者の高等部への入学は困難であるとしておりまして、現時点での制度的な対応は困難であると考えております。今後は他府県の実態把握に努めますとともに、文部科学省とも協議しながら現行の弾力的運用に加えてどのような支援の方法があるのか、生涯学習の観点からも研究を進めてまいりたいと考えているところです。このページの上へ

総選制を堅持し、西宮今津高校の総合学科導入は中止を

■質問■ 総合選抜制堅持と県が進める特色ある高校作りに関してです。
  県教育委員会は、県下全体で特色ある高校作りを進めるとし、「高校改革」を進めています。しかし、その内容においても、進め方においても重大な問題を起こしています。
  県教育委員会は、「特色ある高校作り」で子どもたちの選択を広げるのだと説明しています。そして、すでに県下では、単位制高校、総合学科高校などへの変更が進められています。確かに、さまざまなメニューが多く作られているかもしれませんが、本当に子どもに豊かな人生の選択の自由を保障しているのでしょうか。
  県教委の高校改革説明のビデオでは、環境防災学科の紹介にバケツリレーが防災教育として紹介されていますが、これが今求められている防災教育か疑問の声があがっています。ある総合学科の高校では、調理師のコースという事でしたが、肝心の調理台は二人で一つしか配置されていない実態でした。また、国際教育を標榜するある高校では、事前の説明はアメリカ留学といいながら、予算がないから東南アジアになったということです。
県教委が西宮で行った説明会で、県教委の幹部は高校改革の目的の説明に「子どもの頃から目標をもって勉強している子どもにこたえる高校と、」そうでない「子にはそれなりの高校を」と説明されましたが、これが本当にすべての子どもたちに豊かな人生の選択を保障する道でしょうか。結局、15歳になるまでに県教委が選んだメニューに合わせた選択を子どもたちに迫るだけではありませんか。
  しかも、これらの内容が、市民の声を聞かずに進められている事です。
  私の地元西宮では、戦後50年余に渡って総合選抜制度が守りぬかれ、西宮の公立高校8校は地域の高校として定着しています。昨年末、県立西宮今津高校を総合学科高校にするという案が急浮上し、卒業生や生徒、地域住民から県立西宮今津高校を守れとの声が広がり、この件に関して市民からの4回にわたる請願が県教育委員長に提出されましたが、一度として県教育委員長、県教育長は回答せず、担当参事名で返事が出されたのみです。これは県教育長や県教育委員長は憲法や請願法で定められた請願権を否定する態度ではありませんか。
  また、最近では、県立西宮今津高校を総合学科高校にするということは、すでに5年も前に県教委と校長の間で話は進めていたという事も明らかになっていますが、父母や市民、教職員に隠して進めるなどということは教育行政として許されない事です。
  なぜ、このようなことが行われているのでしょうか。
近隣の京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、そして滋賀県でも、高校入学の選抜方式や校区の決定は、重要問題として、各教育委員会の合議による決定事項とし、県教育長への専決委任処分事項にしていません。ところが、本県では、この子どもや地域に重大な影響を与える高校入学の選抜方式や校区の決定を、県教育行政当局がおこない、今年3月の県立芦屋高校の例でも県教育委員会には報告事項扱いです。多くの権限を県教育長に委任して、事務当局が巨大な権限を持つという際立った状況です。
  今、地域に根ざす教育が叫ばれていますが、私の地元西宮の各高校はまさに地域の中でつくられ、はぐくまれてきた高校です。そして、総合選抜制こそ、このことを実践できる制度です。制度の持つ教育力が指摘されていますが、中学生の時期に、輪切りや競争の強要をするのでなく、それを抑える総合選抜制こそ今充実をしていくべき制度ではないでしょうか。
子どもの荒れが大きな社会問題になっているときこそ、総合選抜制堅持の声に耳を傾け、西宮での総合学科高校導入は、いったん中止するとともに、現在進めている「高校改革」についても県民の声を聞く場を各地で設け、議論検討する場を保障し、見直しを図るべきです。答弁を求めます。

▼答弁▼武田教育長: 総合選抜制堅持と「特色ある学校作り」についてであります。本県で推進している県立高等学校教育改革第一次実施計画につきましては、全日制高等学校長期構想検討委員会の審議及び高校教育改革フォーラムでの意見等に基づきまして策定をされ、教育委員会の議決を経て平成12年2月に決定されたものであります。この第一次実施計画に基づきます前期計画ではすでに総合学科10校、全日制単位制高校4校などの新しいタイプの学校や、国際人間科など特色ある学科の設置が着々と進んでおります。また、阪神間におきましても、総合学科の伊丹北高校、生涯学習社会に対応した多部制の西宮光風高校等を設置いたしたところであります。これらの学校では志願者も増え目的意識を持ち意欲ある生徒が入学をし、学校が活性化するなどの成果が報告されているところであります。こうした前期計画の推進状況につきましては、後期計画推進委員会からも一定の評価を受けたところであります。また、平成15年度から導入したしました複数志願選抜と特色選抜からなる新しい選抜制度につきましては、学びたいことが学べる学校選択や、学校間の序列の緩和など所期の目的がほぼ達成できたものと受け止めております。今後は後期計画通り学区内の学校の個性化多様化の進捗状況や地域の意見を参考にしながら導入を検討してまいりたいと考えております。県教育委員会では、後期計画につきましても前期計画の成果を踏まえ魅力ある学校づくりを着実に進めてまいる所存でございますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。なお、本県教育長に権限が過度に集中しているとのご指摘でございますが、近畿各府県に比較して、特段私に権限が集中していることはございませんのでご理解願いたいと思います。このページの上へ

就学免除を受けた障害者に公教育の場を

■再質問■ 一点だけ、ぜひ知事に答弁していただきたいが、障害者の方への公教育の保障の問題です。今教育長が高校へは入れない、高校部入学は困難だ、だから別の方法だという答弁がありましたが、私はなにもすぐに高校に入れるようにしてほしいといっているわけではなくて、全国の実施している県では学校に行ったことのない学籍のない人々にまず小学校6年の学籍をあたえて、その後中学校、高等部への公教育を保障するという取り組みが現実にこういう形で進んでいるわけです。そういう点から兵庫県でもこれができるということは明らかですから、これは知事が決断をして、教育委員会としての取り組みはどうか、ここにかかっていると思います。知事のあたたかい答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:  教育長が答弁しましたように他県の状況を調べるとともに、どのような支援の方法があるのか生涯学習の観点からも研究したいという答弁がありました通り、私も生涯学習の観点からのサイドというのがひとつの視点ではないかとこのように考えております。

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