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本会議 第281回本会議代表質問 中村まさひろ
2004年11月29日

■質問■ 私は日本共産党県会議員団を代表して、知事、教育長に質問いたします。質問に先立ち、相次いでおそった一連の台風により犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
  地方自治体の役割は言うまでもなく「住民の福祉の増進を図ること」が基本であり、知事は県民の命と暮らしを守ることが最大の任務であることは論を待ちません。
  その立場から今回連続して襲った台風・浸水被害への対応や、来年度の予算編成方針などについてわが党の考え方を示しながら知事の姿勢について問うものであります。

台風被害対策の強化を

■質問■ わが党県議団は、台風16号、18号、さらには9月議会まっただ中に襲った台風21号についてそのたびにただちに現地調査を行い、その被災実態をふまえて、前議会では代表質問と2回の一般質問で台風被災者への抜本的な支援の拡充強化を求めました。
  今議会に提案された補正予算案にはこれまでわが党が質問をしたり、数度にわたって行った申し入れなどに応える内容も含まれており、一歩前進と評価するものであります。しかし、一刻の猶予も許されない被災者の救済・救援という点で、支援策の発表が他府県よりも遅れたことと同時に、その内容も被災者の実態や他府県の施策と比較してこれで十分であるとは到底言えず、さらなる改善、改正が求められます。 
  その第1は住家被害の判定についてです。
  台風被害で浸水した住家の被害判定について、わが党は2001年に出された国の「新基準」が市町に充分理解されておらず、被害判定がちゃんと行なわれていないことを指摘し、知事は「必要であればさらに調査し、要請があれば県も応援する」との答弁を行ないました。その後、台風23号が本県をおそった翌日も、わが党議員団は直ちに被災地に入って被災者の声をお聞きし、翌22日には知事に「緊急要望」を、10月27日には私自身上京して、政府・内閣府に「床上浸水の被害認定基準の緩和」などを強く求めました。
  そして28日に、内閣府が台風による浸水被災者に被災者生活再建支援法の「弾力的な運用と積極的な活用」を行う通知を出し、それを受けて11月4日に県独自の「被害認定マニュアル」を発表しました。
  マニュアルでは一定の改善もありますが、被害の実態からみればまだ不十分です。実際、床上浸水被害は1階に大きな被害をうけ、その生活用具の大半を失ってしまい、生活の基本的な基盤を失いましたが、これらの実状はマニュアルには反映されていません。
  全壊や大規模半壊に等しい被害を受けているのに、被害認定が軽度になるのは、内閣府の「運用指針」が浸水では損壊されにくい屋根や天井の比重が大きいなどもともと地震被害の方式を踏襲しているせいです。
  今議会での補正予算において、一連の台風による住家被害は、全壊478世帯、大規模半壊1338世帯、など、床上浸水以上の住家だけで合計1万1075世帯と推計されています。この数字の基礎となっているのは、11月11日の市町からの報告ですが、全壊判定等については、少なすぎるのではないでしょうか。
  洲本市からの報告では、全壊は270世帯。県が推計した総数の56%を占めています。豊岡市をはじめ他の市町の全壊数の合計が、洲本市より少ないとは到底考えられません。また、今後も被災者からのさらなる調査の要望もあり、全壊・大規模半壊とみなすべき世帯数は増加することも予想されます。
 そこで、支援法や県独自の支援金を「積極的に活用する」という主旨を生かし、被災者の立場にたって、市町が最大限に被害の実態に則した被害判定ができるようにすべきだと考えます。あわせて、浸水の被害特質に着目し、浸水被害実態に則した被害判定になるよう、判定の抜本的な改正も検討することを求めますが、いかがですか。

  さらに、被災住家の判定に関わって、次のような問題もあわせて起こっています。
  11月20日の朝日新聞の声欄に「赤穂も被災地 見捨てないで」という投稿が掲載されました。台風21号による被害にあわれた東有年(うね)の被災者が、現在の状況を憂い、「災害救助法の適用地域にはなっていません」と、行政から見捨てられているという悲痛な訴えです。本来なら救助法により国負担で実施すべき炊き出しや学用品の提供が赤穂市だけが地元負担でされたのです。
  赤穂市からは、すでに救助法適用の適用基準を超える床上浸水戸数が県に報告されていますが、県はいまだに適用をしていません。救助法で救助が必要とされる被災者を放置してきたことになり、知事の責任が問われる事態です。今からでもただちに適用するべきであります。

▼答弁▼斉藤副知事: 住家被害の判定についてお答えをいたします。本年10月28日の内閣府の通知を受けまして、県では被災者生活再建支援法の積極的活用をはかる観点から、この通知の内容を解釈して、「浸水被害にかかる独自の被害認定基準運用指針」を作成し、11月4日に説明会を開催して市町に説明したところでございます。
現在、各市町において一連の台風被害認定のための再調査がすすめられているところでありますが、その際、県の提示をした指針に基づき、浸水被害の実態により適合した適正な調査が行われているものと考えているところでございます。
  この運用指針につきましてご意見をいただいたわけでありますが、県といたしましては、指針作成にあたって内閣府の通知を踏まえつつ、可能な限り弾力的に判定ができるよう検討を加えたところでございまして、今後とも指針のさらなる徹底をはかってまいりたいと考えているところでございます。
  なお、台風第21号被害にかかる赤穂市の災害救助法適用についてご指摘がございました。県として10月6日で被害の把握をうち切ったわけではありませんが、このケースにつきましては、9月29日の台風21号の被害発生から1ヶ月以上経過した11月4日の時点で240所帯という報告があったものでございまして、この時点では、被災所帯の大半が自宅で日常生活を続けている状況にあることや、市においても応急仮設住宅の供与、空き市営住宅の斡旋等を実施していないことなど、すでに救助が終了していると認められる段階でございまして、災害救助法を適用することは困難なケースであると考えておりますのでご理解を賜りたいと思います。このページの上へ

すべての台風被災者への支援金の増額を

■質問■ 次に被災者への支援策についてです。
  提案された「台風被害対策」の補正予算776億円は、被災者の実態から見て、金額面でも内容面でも十分とは言えません。それは、今回の提案内容が、国の枠組みの中での対応であると同時に、住宅再建共済制度にこだわっていて、国に新たな支援金の増額や所得制限の撤廃を求めることが出来ないという姿勢が表れているからです。
  但馬の被災者から、「すぐ隣の京都府の収入制限なしに最高300万円を上乗せする『地域再建被災者住宅等支援補助金』に比べ、支援内容に大きな差があるのはどうしても納得出来ない」との声があがっています。
京都府は全壊23棟、半壊163棟を含め床上浸水以上の被害は約6000棟ですが、本県は、補正予算上の推計値でも1万1075世帯と1.85倍にもなっています。ところが補正予算額を見ると京都府独自の支援補助金予算約20億円に対し、本県の支援金は22億円。たとえ国の制度の補完事業拡充予算を加えても29億円と京都の1.45倍にしかなりません。本県の一般会計規模は京都府の2.7倍ですから、その気になれば京都に引けをとらない手厚い支援策は十分に出来る力はあるはずであります。要は、まさに知事の姿勢一つといえるのであります。
 そこで、改善・充実の一つは住宅再建等支援金について、最高額を100万円から300万円以上に引き上げて家具や電気製品等の購入にも充てられるように使途要件を見直すとともに、床上浸水全てを対象にして、せめて50万円以上の支援に引き上げることです。

▼答弁▼井戸知事: まず、台風被害対策についてです。住宅災害等の支援金についておたずねをいただきました。支給額の引き上げについてでございますが、被災者の住宅再建を促進するためには、自助、共助、公助あいまった制度が必要であり、本年4月に創設された居住安定支援制度に加え、共助の仕組みである住宅再建共済制度の創設が不可欠であると、今回の水害に遭遇してあらためて実感いたしました。
 公助の仕組みである居住安定支援制度は、住宅建築費を対象としない、あるいは全壊であっても補修した場合には補修費を対象としないなどの問題があることから、県独自の補完事業を実施するとともに、国に改善を求めておリます。
  しかし、公的支援には大規模災害時の財政負担や住宅非所有者との公平性の問題から、どうしても支給水準に一定の限界があるのはやむを得ないのではないかと考えております。このため昨年来、県で検討している共済制度ができるまでの「臨時的措置」として住宅再建補修などを支援し、被災者の負担を軽減する住宅再建等支援金を設け、これまで支援対象としていなかった、一定の損害を被った床上浸水被災者についても支援の対象としたものであります。
  一般の被災者については、実質無利子の貸付制度を設けているところであり。これらのりょうよん制度でもって対応周知しようとしておりますことにご理解をいただきたいと存じます。

■質問■ 二つには所得・収入による制限の撤廃についてです。世帯合計で800万円以上の収入があるからと言っても、これほど大きな被害を受ければ決して自力で再建できるような状況ではありません。ましてやローンがあったり、農業収入のように売上金のほぼ全額が「収入」となって、即所得に結びつかないものもあるわけです。また、今回年収要件見直しの理由の一つとして「多世代同居の世帯が支援を受けにくい面がある」ためとしていますが、それならばなおさらのこと制限を設けることこそが矛盾しているのではないでしょうか。この間、わが党がこのことを指摘するたびに、あなた方は「2億円もの収入のある人にも出すんですか?」という、極端な返事を返してこられますが、その姿勢こそが真剣に被災者の困難を解決しようとしていない証であります。収入制限の撤廃を強く求めます。
  また、このような性質の支援金は一刻も早く被災者に支給することが特に必要です。「り災証明」が発行されれば、その被害に応じて「先払い」をし、後で精算をするというシステムへの改善も合わせて求めます。          

▼答弁▼井戸知事: 自然災害からの住宅再建は、自力再建を促進するためその負担能力からみて支援する必要がある被災者を対象に、必要な支援を行うことを基本としております。従って、いかなる高額所得者をも含めて一律に支援を行うことはこの主旨に反することではないかと考えますし、県民の理解が得られないのではないかとも考えます。従って、収入制限を一律に撤廃することは妥当ではないと考えています。
  また、今回の措置は見舞金や損失補填金ではありません。被災者の自力再建へのとりくみを支援しようとするものでありますので、その計画は不明瞭の段階で「り災証明」の発行のみをもって支給することは公金の支出方法としてはいかがだろうかと考えます。
  しかし、一日も早い復興をめざす主旨からも、できるかぎり早く支給できるよう。「工事請負契約書等の確認により支給する」こととして「交付申請の手引き」を定め、先週末に県下全市町に通知をしたところであります。
  なお、国の制度によります支援金につきましては、「概算払いの制度」もあるところでございます。このページの上へ

被災農家、被災地場産業への支援強化

■質問■ 台風被害対策の3点目は壊滅的な被災を受け、再建できるかどうかの瀬戸際にたたされている地場産業や中小業者への支援についてです。
  豊岡の鞄製造業者のAさん、電動ミシンと裁断機を持って家族でカバン製造をしてきましたが、1メートルを超える水害に遭いこれらの機械や自動車が使えなくなってしまいました。「これまでの借金もあるので、何とか早く再開したいと、とりあえずモーターを取り替え、修理してビジネスカバンを縫い始めました。まだ自動車は修理出来ていないし、機械の修理費がなんぼ来るかわからへん」と大変不安そうな顔で話してくれました。
  豊岡カバン下請け業者3600件の多くが大なり小なり被害を受け、地域ではミシンの音もまだあまり聞かれない状況です。
  産地を支える下請け業者が仕事を再開出来なければ地場産業は衰退します。
  阪神・淡路大震災の時、長田のケミカル業は地元生産ができなくなり、海外に生産拠点を移して逆輸入したり、他府県で作られた製品を購入して販売する業者が事業継続できただけ、と言う経験もしています。「地場で生産できない地場産業」になってしまうのか、それとも零細な個人事業者が再び仕事を再開することによって地場産業の存続が図られるのかの瀬戸際に立たされているのが、豊岡カバン、播州織物、淡路がわらなどの業者です。「住む家も大きく損壊して、生活すら困難」になっている零細・個人事業者にはほとんど支援がないのです。たとえ無利子でもこれまでの借金も重なり、これ以上融資を受けることができないところが大半だからであります
【Q4】豊岡鞄、播州織物、淡路瓦など地場産業を立て直すには、もっとも底辺で支えている「個人事業者、家内事業者」が仕事を再開出来るよう、福井県が漆器業者等を対象に300万円を限度に助成する「地場産業復旧支援助成制度」と同様の直接助成制度を創設する事を求めます。 合わせて、今回の補正予算は、無利子融資や利子補給など被災業者の願いに一定応えるもので、西脇市のある播織り業者は「大変ありがたい」と評価しつつ、「出来れば2000万円までの利子補給を5000万円まで拡充して無利子になれば本当に助かるのだが」と期待も込めて話していました。経営円滑化貸し付け(災害復旧枠)は貸付限度額5000万円まで無利子にし、さらなる保証料の引き下げなど、被災業者へのあたたかい措置を求めます。

▼答弁▼井戸知事:地場産業等被災中小企業者への支援についてです。厳しい国際競争の中にある豊岡カバン等の被災地場産業の復旧復興のためには、産地の供給体制の一日も早い復旧が、なによりも大切であります。
  このため下請け企業群が支える産地実態や中小企業のニーズを踏まえつつ、中小企業の主体的な経営努力を喚起する。下請け事業者の負担軽減をはかる。金融機関からの借り入れが困難な事業者を支援するといったような観点から、地元とも相談した結果、補助金ではなく、兵庫中小企業活性化センターが無利子で直接貸し付けする「地場産業等振興資金」に事業者向けと設備貸与事業を実施する産地組合向けの「災害復旧貸付制度」を創設し、下請け事業者等を支援することとしたものです。
  また、経営円滑化貸し付けの災害復旧枠にかかります利子補給制度については、阪神淡路大震災における融資利子補給制度の利用実態を踏まえて、当初の3年間1000万円まで利子補給を行うこととして、あわせて融資据え置き期間の延長や、保証料の引き下げなどを行い中小企業の負担軽減をはかることとしております。
  これらの施策の利用促進を図りながら被災地場産業の早期復旧を支援してまいります。

■質問■ 次に農業被害の問題です。
  豊岡の農家の方は、「円山川の決壊で3ヘクタールの田畑と自宅が水に浸かり、収穫期のレタス、収穫間近のいちごがビニールハウスごと浸水。軽トラックやトラクターや農機具も含め被害総額は1000万円近く。共済に未加入なので、たて直すめどが立ちません。」と切実に訴えられました。たとえ農業共済に入っている人でも、収穫後の倉庫が浸水した場合は対象外です。また、淡路のある農家の方は、「自宅や倉庫が浸水し、農機具の被害だけでも1500万円に達するが、これ以上の借金はとてもできない」と言われました。県当局に聞いても農機具被害については把握すらしておらず、補正での対策もローンや貸与のみで、被害に見合う支援策になっていません。
  豪雨被害をうけた福井市では、生産経費の一部補助として、10アールあたり約2万円の「被災農業者支援事業」が行なわれ、埼玉県では農作物災害対策事業として、農薬・肥料・種苗の購入費補助をしています。このような被災農家の直接助成が切実に求められています。農地の復旧でも、問題なのは復旧事業にかからない一箇所40万円未満の被害箇所の農地です。このような箇所は、県の被害箇所数にも含まれず、市町まかせ農家まかせが実態です。
  また、今回の被害を受けた地域は、小さな田畑の中山間地が多く、多くは高齢化した兼業農家ですが、現在の「コメ改革」で一部の認定農家に再編しようとするなかで、今回の補正の対策も認定農業者への支援しかありません。

 知事、災害復旧の枠に入らない農業被害や、県の対策で手が届いていない事例が、たくさんあるのです。 県単独事業として、被災農家に対する生産経費や農機具への助成事業を追加し、40万円未満の小さな田畑の復旧事業への補助など、災害復旧事業の市町負担の軽減をすべきと考えますが、いかがですか。

▼答弁▼井戸知事:被災農業者への支援についてです。この度の災害は、その規模が甚大であったこと。被災地が農山村部であったこと、被災者が高齢化していること、地域の基幹産業である農業に多大な被害があったことなど、被災者の実状や、県議会や関係のみなさま等からの要望を踏まえながら、市町と協力し、必要な総合対策をとることとたものです。
  農地等の復旧はもとより、被災農家の農業再開を支援するため、農業共済の対象とならない野菜生産者への災害補償金の交付、再生産に必要な生産資材の購入や農機具等施設復旧に必要な資金の貸付限度額の拡大・無利子化を行っています。
  さらに中山間地被災の実状にかんがみ、集落ぐるみで農業や農村の再生を図る必要がありますので、地域ぐるみの再建プランを策定し、これに基づき高齢者や女性等の営農集団が行う地産地消の取り組みや農産物の直売、農産加工施設等へ助成を創設することとしたこと。復旧農地の管理保全を担う集落営農組織等への営農用機械導入助成を創設したことなど、地域農業を共同で推進するための取り組みや担い手が営農を継続するための支援を新たに実施することとしています。
  市町が実施する農地等の復旧は、復旧事業費が13万円以上については小規模復旧事業債の活用ができる上に、このたびの激甚災害の指定により市町負担が軽減される財政措置が強化されることなどから、この制度の活用をはかり事業を円滑にすすめるよう市町を指導しております。このような総合的な取り組みにより活力ある農業農村の再生に努めてまいります。このページの上へ

河川堤防の決壊防止のための点検・改修を

■質問■ 台風関連の最後に、河川堤防の補強・強化についてお尋ねいたします。
  大雨が降っても堤防が決壊さえしなければ、たとえ堤防を水が越えてもその地域は徐々に水位が上がり、避難する時間や余裕もあって命に直接影響することは比較的少ないのですが、破堤してしまえば出石川の鳥居地区のように即死亡事故につながったり、命を脅かすことになります。今回の台風23号では円山川や加古川をはじめ21箇所が破堤し、豊岡市、洲本市、出石町で6人が犠牲となっています。このような悲劇を防ぐために、堤防の強化対策を欠かすことが出来ませんが、県の河川計画の中に、堤防の決壊を防止する対策が位置づけられていないのです。
  また、県は台風16号の前、8月に国から要請された堤防の全県点検をしており、8月31日「9水系22河川24箇所の『要対策箇所』」を国に報告しています。それによりますと、その後の一連の台風で決壊した堤防のほとんどは「安全」とされているのです。
  実に「ずさんな」調査であったことが判明しています。しかも今回決壊したところの多くは、地元から再三改修要望があがっていたのに「先延ばし」をしてきたところです。
  上月町で千種川に合流している佐用川は、極端に「蛇行」しており昔から被害が絶えない川でした。近年を見ても1976年(S51年)と1998年(H10年)に堤防が決壊する大きな被害を受けましたが、決壊箇所だけを「復旧修理」しただけであったため、台風21号でそのすぐ近くが破堤してしまったのです。地元の人たちに聞きますと、ずっと以前から、土砂の浚渫や堤防の補強など改修を求めていましたが、この地域はいっこうに手をつけてくれなかった、と怒りの声でいっぱいでした。
  「治水」と言えばすぐ「ダム」。まさに「ダム先にありき」の考え方で、河川改修が常に後回しにされてきた県の河川行政こそ改めなければなりません。

  今回の災害の教訓として、人命を守り、被害を最小限に押さえる「減災」の考え方にたって、河川計画に堤防の補強・強化を位置づけるとともに、県下全河川について、堤防の土質も含めたきちんとした調査を急いで行い、緊急度の高いところから改修を進める計画をつくることが必要であると考えますがいかがでしょうか。
  以上、台風被害に対する各般の課題についてお尋ねいたしましたが、被災者の真の立ち上がりを積極的に支援するという立場で、前向きの答弁を求めます。 

▼答弁▼藤本副知事:河川堤防につきましては、従来より点検・補修に努めておりますが、7月の福井県の豪雨等を契機に8月に目視によりまして「緊急点検」を実施いたしまして、計画流量等に対する安全性を確保するための応急措置を講じたところでございます。
  しかし、台風23号では計画規模を大幅に上回る洪水流量が発生いたしまして、県管理河川におきましても施設被害や破堤など甚大な被害が生じたところでございます。
再度の災害を防止するために改良復旧事業等を実施するとともに、破堤を避けるために堤防の安全性を高めることが重要であると考えているところでございます。
このため今月、国において策定されました「中小河川におきます堤防点検対策ガイドライン」、(案)でございますが、等に基づきまして堤防のボーリングや土質の試験等を行う等、計画的に堤防の点検や強化対策の検討を行い、緊急度の高い箇所から補強工事を実施してまいりたいと考えているところでございます。
  なお、上月町の佐用川につきましては、地元と協議の上、支障となっている橋梁を撤去し、再度の被災を防いでまいりたいと考えております。
  また、治水対策につきましては、河川改修、ダム等の洪水調整施設及び流域対策等を組み合わせ、治水対策をすすめてまいりたいと考えているところでございます。このページの上へ

福祉医療の改悪やめ、ムダな公共事業の見直しを

■質問■ 次に、来年度の予算編成についてお尋ねします。
  県民の命と暮らしを守るために、自然災害等への対応だけではなく、通常の県政運営についても同様の考え方は貫かれなければなりません。
  わが党県議団は、11月19日、知事に対し558項目にわたる「2005年度予算編成に対する申し入れ」を行いました。その内容は、台風被災者への支援とともに、中小企業支援や雇用対策、福祉・医療・教育の充実など県民の暮らしを守る対策や無駄な公共事業の削減を求め、積極的な提案も盛り込んだ内容となっています。わが党の提案をしっかり汲んで、県民の願いに応える来年度予算編成を行っていただきたいのであります。
  そこで次の質問は、老人・乳幼児・母子家庭・重度心身障害者に対する福祉医療費助成制度についてであります。県の「行財政改革・後期5か年の取り組み」に基づく福祉医療の患者負担増計画は、昨年来の県民の大きな反対の声、運動により、現在その実施が見送られているところです。わが党県議団は、機会あるごとに少なくとも現行の助成内容を来年度以降も継続実施することを求めてきました。これに対し当局は、「事業主体である市町との十分な協議検討を行う」という答弁を繰り返してきました。それでは事業主体である市町は現在どういう立場でしょうか。 
  さる9月以来、神戸・西宮・尼崎等に続いて、兵庫県町村会も来年度・予算要望のなかで医療費助成の継続を求めました。これで県下大多数の自治体が現行通りの継続を求めていることになります。これまで20数年間に亘り県と共同事業を進めてきた市町が、県よりもっと財政事情が厳しい中で、継続実施を求めているときに「削減」を強行していいのでしょうか。
  神戸市医師会では8万人の署名が集められたのに続き、現在、事業の直接の対象者である高齢者、子育て世帯、障害者はもとより多くの医療や福祉団体などの間で署名活動が取り組まれており、どれほど県民の要望が強いかを物語っています。
  当局はこれまで、「支える人と給付を受ける人との不公平是正」とか「制度の維持のため」などを患者負担増の理由にあげてきました。しかし、本来社会保障・福祉には、所得の再配分の機能を働かせ、その財源は累進性を強化していく方向で確保すべきでものであります。ところがこれまで所得税の最高税率が70%から37%に引き下げられるなど高額所得者や大企業には大幅な減税が行われ、低所得者には増税や福祉・医療・年金などあらゆる分野で負担増が押しつけられているのが今日のわが国の実態です。負担能力に応じた負担になっていない、この不公平を改めることこそが今重要であります。

  知事、来年度以降も少なくとも現行の医療費助成制度の継続を強く求めるものですが明確な答弁を願います。
  さらに、精神障害者に対する医療費助成を実施することについて、関係者からの強い要望が従来から出され、わが党も一貫して要望して来たところですが、もはや待ったなしの課題となっております。是非、来年度から実施して頂きたいのであります。合わせてご答弁ねがいます。  

▼答弁▼藤本副知事:福祉医療制度につきましては、厳しい社会経済情勢の変化に加えまして、社会保険の本人および家族の負担割合が2割から3割に引き上げられていること、対象者とその他の対象者との負担の格差が拡大するなど、制度を取り巻く環境が大きく変化をしているところでございます。
  また、更生医療あるいは育成医療でも所得に応じた最低でも月額2200円の一部負担が導入されていることもありまして、健康にも十分配慮する必要があるわけであります。
  このように環境の変化への対応、さらには制度を支える者との均衡、将来にわたり制度を維持する観点から一部負担のありかたについて見直しをすることとした次第でございます。
  精神障害者につきましては、「行財政構造改革特別調査委員会」で、「公平性の観点から早急に検討すること」と求められたこともございます。今後、この委員会からの提言に基づきまして、検討をはかっていきたいと考えているところでございます。

■質問■ 弱者への負担を強化する一方で、壮大な投資事業を温存する姿勢はいっこうに変わっていないのが本県であります。
  昨年度まで、「行革、行革」といいながら投資事業は3900億円という大きな枠を決め、基盤整備のためには「目いっぱい」使って当然と言う状況でした。ところが2003年度決算では、知事自ら決めたその枠をも取っ払って、一般会計と特別会計合わせた投資事業費は4697億円と約800億円もオーバーしています。全国的に投資事業はマイナス11.5%と大幅に減少している中で前年度比+22.2%はあまりにも異常であります。
  この原因は、これまで先行取得してきた膨大な塩漬け土地1209ヘクタールを2月補正で991億円かけて買い戻したもので、大型開発最優先で際限なく用地取得を続けて来たために借金を大きくふくらませた責任は重大です。
  先月12日、知事は各部局に対し「平成17年度の予算編成について」の方針と予算要求に当たっての基本的事項を通知しました。
  その中で、景気動向について「本県経済は回復基調にある」との認識を示していますが、すでに「名目GDPは0.0%」と発表されているように決して景気は上向いているとは言えないのであります。その様な中で、県民の生活に密着する福祉や医療、未来を担う子どもたちの教育予算などを拡充し、「無駄な事業」特に採算性もなく環境破壊にもつながる大型の「開発事業」の抜本的な見直しこそが求められています。
  ところが、これまでも県民や職員に多大な犠牲を押しつけながら徹底して削減してきた事務事業を、基本的方針ではさらに今年度比90%に押さえ込むと言うのです。福祉関連も含めた補助金の廃止などまさに「徹底した県民犠牲」を指示しているのです。
  それに対して投資事業については「削減・縮小・見直し」と言った言葉はいっさい見あたりません。公共事業、国直轄事業は「国の言いなり」、国庫補助事業は今年度比95%。県単独事業にいたっては、前年度比105%と全国的にみても異常に高い予算を組んだ今年度と同額の100%確保する方針が明記されているのも知事の「異常な」公共投資優先姿勢の表れであります。

  そこで、来年度の予算編成に当たっては、3400億円の県「行革」優先枠を廃止し、災害対策事業を優先しつつ、当面必要な生活密着型事業の積み上げ方式に改めること。そのため、これまで進めてきたダムや高速道路・空港など大型事業を見直し、大幅に削減することを求めます。

▼答弁▼井戸知事:平成15年度当初予算編成におきます公共投資の見直しについてのご質問にお答えいたします。
本県は広い県土と多様な地域特性を有しております。地域間・分野間で均衡のとれた社会基盤の整備や、既存ストックの機能を有効に発揮させるためには、未だ整備すべき箇所も多く、それだけ一定規模の事業量が必要と考えております。
  また、県民生活の安全・安心、豊かさを実感できるまちづくりをはじめ、高等学校の耐震化、将来の地域づくりの基盤となる市町合併を支援する事業など、今後とも重点的集中的に取り組んでいく必要があります。
  昨年度「行財政構造改革推進方策の見直し」の中で、県議会のご検討もいただきながら、年平均投資額を3400億円として、その確保を図ったところであります。
  ご指摘のダムや高速道路、空港などは、やはり地域の安全対策、地域交通の利便性の向上に大きく寄与していくものと考えております。
  来年度の予算編成にあたっては、よりいっそう効率的重点的な整備をはかることはもちろん、事業のスピードアップや維持管理コストを含めた総合的なコストの縮減をはじめ、既存ストックの有効活用などの取り組みをすすめることとしています。
  もとより災害復旧復興事業の促進をはかることは当然であります。
  私は一律に公共事業を否定するのではなく、県民生活に必要な事業を財政バランスを確保しながら計画的に整備していくべきものと考えています。このような見地からは優先順位を十分に見極め、「社会公共ストック整備プログラム」を基本としつつ、公共事業についての予算編成作業を進めていきたい。このように考えているところです。このページの上へ

企業庁・地域整備事業の見直しを

■質問■ 「公共投資の見直し」については企業庁地域整備事業においても例外ではありません。企業庁は、昨年5月に「経営ビジョン」を発表しました。しかしその中身は、県土の活力と魅力を高めるために多核・ネットワーク型都市圏の形成や公園都市作りなど、これまでの開発姿勢を見直すどころかますます促進する方向が「目標」として掲げられています。
  地域整備事業はこれまで大規模な開発事業を長年にわたって先導してきました。特に大規模な公園都市の中では、造成しても純粋の民間企業への分譲がなかなか進まないため、「地域整備事業にはいっさい県民の税金は使っていません」と言いながら、公共用地としての利用推進ばかりが目立っています。もちろん、公共施設の建設全てを否定しているのではありませんが、誰もが「なぜこの場所で?」と疑問に思うような公共事業がどんどん呼び込まれて来たのです。
  企業庁は「民間的経営手法による自立した経営の確保」をうたいながら、公共事業を呼び込む際は、「公益性」をことさら強調するなど、都合のよい説明を使い分けながら「無責任」な事業展開を進めています。しかも過去の開発が失敗しても率直な反省すらしていません。これでは、今後10年先の見通しもおぼつかないではありませんか。それを、リースバック方式だ、定期借地権だと様々な手法を取り入れて50年先、100年先には採算がとれると言っても誰も判断出来ないし、信用もできません。一体誰が責任をとるというのでしょうか。
  さらに、南芦屋浜地区の1戸あたり1億円を遙かに超えるヨット係留付き超高級住宅の分譲事業のように、なぜ、公的事業として取り組まなければならないのか。どこに公共性があるのか。これで県民の役に立っていると言えるのでしょうか。
  しかも、企業庁が進める事業の評価は、身内だけの「評価」で すましている点も問題であります。パブリック・コメントの実施がうたわれていますが、その様な事業が進められていることすら知らない県民が大半であります。
  わが党のこれまでの追及によりようやく収益的収支を導入しましたが、それぞれの事業プロジェクト毎の収支がいっさい明らかになっていないため、県民が一番知りたい具体的な収支がわからないのです。

  そこで、過去の収支を事業毎に正確に分析し、県民誰もがわかるような「収益的収支」を策定し直し、全てを県民に明らかにすることを求めます。また、開発事業の終息をはかるために、「企業庁経営ビジョン」の抜本的見直しを求めます。

▼答弁▼吉本公営企業管理者:「経営ビジョン」は成長から成熟への大きな時代潮流の中で、企業庁が今後とも社会の変化や県民ニーズの多様化に的確に対応し、県民福祉の増進に寄与するためパブリックコメントによる県民にみなさまによるご意見などを踏まえながら策定したものでございます。
  本年度には、経営ビジョンにおける目標の達成に向けた具体の行動計画等を内容といたします「総合経営計画」を策定いたしますとともに、今後第三者を構成員とする委員会を設置をいたしまして、経営評価を実施することといたしておりまして、透明性の向上にも十分配慮しつつ、事業の効率的効果的な推進をはかることといたしております。
  さらに、地域整備事業の実施にあたりましては、個別事業毎に事業計画の策定や毎年度の予算編成等を通じまして、事業内容等の説明を申し上げて、ご理解を得ながらすすめてきたところでございますが、今般、仮勘定の精算を行い、事業収支の状況についてもできるかぎり明らかにしたところでございます。
  なお、精算にあたりましては、従来から申し上げている通り地域振興の観点から事業推進をしております3地域単位で行うことが適切であると考えております。また精算の結果、約470億円余の剰余金が生じる見込みでございますが、その処分につきましても減債積立金や経営安定積立金を予定するなど、将来的な健全経営の確保にも流用しております。
  いずれにいたしましても、企業庁といたしましては、引き続き公営企業としての経営の健全性を堅持しつつ、社会情勢の変化にも機動的に対応し、活力と魅力ある県土の創造に寄与してまいりたいと考えてございます。このページの上へ

被災者の立場から震災10年の検証と対策拡充

■質問■ 次に、震災問題についてです。
  新潟中越地震や台風被害の現実を見て、被災直後の苦労を思い出した阪神・淡路大震災の被災者は、多いのではないでしょうか。
  ダブルローンをかかえ苦しんでいる被災者、失ったものから立ち直れていない人。災害公営住宅で1人さびしく暮らす被災者など、様々な被災者の苦悩が、いまも続いています。このように人間の復興がされていない被災地の現実は、真の意味の震災復興とは呼べないのは明らかです。
  一方県は、今年「復10年総括検証・提言事業」をすすめ、10月に「中間報告(案)」をまとめました。「創造的復興へのラストスパート」、「10年間の長きにわたる取り組みを総括的に検証し、その結果や教訓を次世代への提言として国内外に発信」するとしています。まるで「震災復興は、順調にすすみ、終わりを迎えようとしている。あとは記念のセレモニーを迎えるだけ」という姿勢に見えてなりません。
  わが党県議団は、地震直後から「個人補償の実現を」「震災復興計画にゼネコン型の大型開発を入れるな」「住民無視の都市計画の強行やめよ」「仮設住宅や災害公営住宅を被災地に建設し、建設戸数の大幅増を」「中小商工業者への支援強化」など、真剣な議論をしてきました。
  これらの問題は、この10年のなかで深く分析する必要がある問題ですが、「中間報告(案)」では、まったく不十分となっています。たとえば、「個人補償」の問題では、当時の貝原知事が「憲法上認められない」と拒否し、国にも迫らない姿勢をとってきたことを直視せず、むしろ「総合的国民安全安心システムを提唱した」と、過大に評価しています。
  災害公営住宅については「被災者の要望とのミスマッチ」を認めつつ、「被害実態の正確な把握がむずかしく必要戸数の推計は困難を極めた」と責任をあいまいにしています。
  都市計画決定でも、「充分な住民合意の成立を待たずに行なわれ、混乱を生じた地区も多数あった」と指摘しながら、「平素からのまちづくり方針を住民に周知してこなかったことが混乱の原因」と、住民無視で行政が強行した責任をすりかえています。
  また、被災企業がいまだに5割近くも「震災の影響が残っている」と答えているのに、「県の中小企業政策は、非常に有効」と乖離した認識となっています。
  わたしは、兵庫県の震災対策は、被災者の実態から出発せず、国の制度の枠やこれまでの開発計画をそのままにしてきたことに問題があると考えています。実際、被災者の「悉皆調査」は行なわれず、県外被災者は元の街に帰れず、まちの担い手の中心となるべき人が、ダブルローンなどで生活と営業に苦労し、コミュニティーの崩壊にも繋がっている問題は、データとしても欠落しています。

  知事、「震災10年の検証」について、なによりも被災者の実態から出発し、国や県の支援策についても厳しく問題点を明らかにするとともに、「10年で震災対策は終わり、あとは一般施策で」という姿勢をあらため、被災者の人間としての復興ができるまで、対策を拡充・継続していくことを求めますが、いかがですか。  

▼答弁▼斎藤副知事:震災復興10年検証についてお答えをいたします。復興10年の総括検証は、申し上げるまでもなく震災復興を締めくくるものではなく、10年間の取り組みの経過と課題を明らかにし復興10年以降への的確な対応をはかるため、行政のみならず県民・企業・団体・NPO等の視点から客観的多角的な検証を行うものでございます。
検証にあたっていただいております各検証担当委員は、関係資料や各種調査データをもとに、必要に応じ現地調査等を行うほか、ワークショップによる県民の復興意識やNPO等による自己検証結果を総合的に分析し、「できたこと」「できなかったこと」等について検証していただいているところでございます。
  例えば、「中間報告」では中堅所得層への支援のありかた等について厳しい指摘もなされているところでございます。
来年1月には、将来の災害への備え等の観点から、多くの提言を盛り込んだ提言の「最終報告」が行える予定であり、また、このほかに市民主体の検証や多様な分野のシンポジウム等が予定されており、多くの有意義な提言がなされるものと期待をいたしているところでございます。
  県といたしまして、検証結果や提言の方向を踏まえ、復興計画の達成状況を見極めて、残された課題として対応すべき施策、成熟社会を支える仕組みとして定着・拡充すべき施策、震災の経験と教訓を継承・発信する施策については、継続的、発展的に展開したいと考えているところでございまして、こうしたことによりまして震災経験を踏まえた真に安全で安心な社会の実現をめざしてまいりたい所存でございます。このページの上へ

少人数学級・35人学級をさらに広げること

■質問■ 最後に35人学級の拡充について質問します。
  今年度から県の新学習システムに「小学校1年生の弾力的学級編制に係る調査・研究」が追加され、県下187校の対象校のうち93%にあたる173校で35人学級が実施されました。
  尼崎のある小学校では、今年の新学期が始まる前、新一年生の数が39人とわかったとき、先生方は「地域の状況や一人一人の家庭の実情を考えたとき、1クラスで39人もの人数の子どもたちでは、担任がどんなに頑張っても一人では限界がある。大きな集団の中で子どもたちをどう教育できるか」と深刻に悩んでいました。ところが35人学級が実施されたことで、20人と19人の2クラスになって大喜びしたそうです。
  同じ小学校では現在の2年生が41人のクラスです。このクラスは1年生入学時21人と20人の2クラスでした。ところが1年生の途中で一人転出したため、2年生は40人学級でスタートし、学級確定後個人的な指導を必要とする児童が一人転入してきたので41人の子どもを一人の先生が担任しています。この女性の先生は「宿題を見るにも、授業の合間や給食時のわずかな時間にしかできない。トイレに行く時間もないのでお茶も飲めない、一人一人の子どもの話に丁寧に対応することなどほとんど不可能で、とうとうストレスでのどが異常に渇く病気になってしまった。」とうち明けられました。
  2学期になって尼崎市が単独で補助教員を配置したため少しはましになったとのことですが、補助教員は週24時間勤務の臨時教員のため、児童に直接関わり責任を持つことが出来ないのです。やはり少人数学級が望まれます。
  先日、兵庫教職員組合が、35人学級を実施した小学校1年生の担任100人にアンケート調査を行い発表しました。「学習効果が上がった、75%」「子どもの落ち着きが見られる、69%」「保護者にとって好評である、95%」「小2などに継続・拡大して欲しい、97%」など、高い数字が出ています。
  具体的な声としても、「クラスのなかでこども一人一人が大きな存在になり、こどもたちの活躍の場が増えた」「授業での発表の機会が増え、自信につながっている」。また保護者も異口同音に「落ち着いた学校生活が送れている」など、喜びと今後への期待の声は、県下のあちこちで広がっています。一方で、「来年2年生になると35人以上の学級1クラスにもどってしまい、せっかく出来てきたクラス集団のつながりが壊れてしまう」と大変心配もしておられます。

  県として、このような期待にこたえ来年度も引き続き小学校1年生の35人学級を実施すると同時に、2年生にも拡充していくことを求めますが、いかがですか。
  教育の現場からの大きな期待の声をうけとめた、積極的な答弁を求めます。
  以上で私の代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

▼答弁▼武田教育長:私から35人学級の拡充についてお答えをいたします。
  小学校1年生では学校生活に不慣れであったり学校のルールが理解できなかったりすることから、基本的な生活や学習習慣を身につけさせるために非常に重要な時期であると認識をいたしております。
  そこで、就学前教育と小学校教育入学期とのスムーズな接続や、基礎基本の定着をはかりますための効果的な指導方法として、今年度から、希望する学校に対し「新学習システムの中での研究指定」として35人学級編成を認めることとしたところであります。
研究指定校からは、一部課題があるものの話の聞き方、発言の仕方など、入学当初の初期指導に十分な時間をとることができた。あるいは、あいさつ、時間を守る、給食時のルールの体得など生活指導面においても早い時期に定着させることができた、などの成果について報告を受けているところであります。
  小学校1年生での35人編成にかかる研究指定の事業の継続につきましては、今後これらの成果や課題、並びに国をあげての現在取り組まれております「教育改革」の動向等を見極めながら、検討をすすめてまいりたいと考えているところであります。
  一方、小学校1年生以外での少人数学級につきましては、ご案内の通り従来から研究指定による調査研究を進めてきたところでありますが、きめ細やかな指導ができる反面、子ども同士の序列化、グループの固定化や学習場面において自由な発想が広がらないなど、課題も多く報告を受けているところであります。
  県教育委員会といたしましては、現在、新学習システムを計画的に推進しているところでありますが、同システム推進教員に加え、生活指導のため加配をしました教員やスクールカウンセラーなど学級担任以外の多くの教職員のかかわるなかで、柔軟で多面的かつきめ細やかな指導がはかれるなどの成果が見られますことから、少人数指導や教科担任制などを内容とする現在進めております新学習システムのさらなる充実に努めてまいりたいと考えているところであります。このページの上へ

赤穂市の救助法適用は、知事の責任問題(再質問)

■質問■中村県議:ただいまの答弁の中では、例えば河川計画に堤防の強化をということについての答弁がなかったとか、あるいは知事が言われました県独自の100万円の支援金について上乗せの分ですけれども、これまでは補完事業分を加えれば京都に遜色ないといわれていたのですけれども、そういう言葉が今日は聞かれなかったということで、内容についてはさらに私はこれから議論もしていきたいと思うんですけれども、2点について、それ以外について質問をいたします。
  1つは、赤穂市の問題についてであります。赤穂市は確かに県への申請というものが遅れたのは事実でありますけれども、少なくとも11月4日には確かに基準通りの申請を行っておりますし、11日の県の発表でも基準をはるかに超える被害を県は認定をしているわけであります。
災害救助法について、「遅れた」「遅れた」とは言っておりますけれども、この被害実態が、今後ずっと残っていくわけでありますから、この際「なぜ赤穂が救助法の適用にならなかったのか」ということが非常に重要な問題になってくるのではないか。知事の責任になるのではないかと思いますので、私はこの問題について、さかのぼってでも直ちに救助法の適用を行うように強く求めて答弁を願いたいと思います。このページの上へ

精神障害者の医療費助成実施の知事の決断を

  それからもう1点ですけれども、精神障害者に対する医療費助成の問題について「早急に検討する」ということでありましたけれども、これは、いつまでに来年度の予算に反映されるのかということについて、改めて知事に答弁をお願いいたします。

赤穂市の救助法適用を拒否、精神障害者の一般医療費助成も明言せず

▼答弁▼井戸知事:まず赤穂の取り扱いでございますけれども、斉藤副知事から答弁をさしていただきましたように、すでにかなりに時間が経過をした後でのご報告でございましたし、災害救助法という法律の性格は、緊急対策、災害直後の緊急対策を適切に行っていく、被害者の救助をいかに適切に直後においてやっていくのかというのがメインでありますので、そのような状況を考えました時に、すでに救助が終了しているような実態等であると考えられる段階で、適用するのはなかなか難しいではないかと考えております。
  また、福祉医療につきましては、「次の点に留意する」ことというのは、「行財政構造改革調査特別委員会の報告」でございまして、「福祉医療の見直しの考え方は基本的に理解できる」とされた上で、「公平性の観点から重度心身障害児(者)の医療費助成事業について、その中で対象外になっている精神障害者に対する措置についても検討すること」、「早急に検討することとされていること」、この旨を申し上げたわけです。

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