■質問■
私は、台風問題、中小企業支援、国民健康保険、姫路駅を中心とした「まちづくり」新日鉄裁判について質問いたします。
まず、台風被害対策についてですが相次ぐ被害にあわれた方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復旧を願いつつ質問に入らせていただきます。
台風被害の実態調査と被災業者への支援を
■質問■ この間の台風により、県下の床上浸水は1135棟(9月30日時点)にもなっていますが、床上浸水被害住宅へのこの間の県の支援策は、見舞金が3万円だけです。
しかし、内閣府が新しく定めた「新基準」では、損壊が激しい場合、床上浸水でも全壊や大規模半壊に認定され、県独自支援の居宅安定支援制度の100万円以上の支援を受ける道が開かれているのです。
先日のわが党の代表質問で、「床上浸水被害の住宅にたいし、きちんとした調査をすること」を求めたところ、知事は「市町が責任をもって適切に調査している」と答弁されましたが、本当にそうでしょうか。
知事答弁の根拠をお聞きしたところ、14市町に電話で聞き取り調査された結果が示されましたが、ほとんどの市町は1日か2日間の調査だけです。しかし、新基準の「運用指針」では、一次判定で「床上浸水」となった場合は、2次判定で、外観目視および内部立ち入り調査を行なうことになっています。この調査では、床、建具、内壁、外壁、屋根などについてそれぞれ、何割が傷んでいるのかを調査した上で、各家の損害程度を判定します。損害割合が2割から5割を半壊、その内4割から5割を大規模半壊、5割以上を全壊と判断することになっており、その一軒一軒の調査と判定には相当な時間を要します。わずか一日や二日で、このような調査ができるのでしょうか。
実際、私達が調査した床上浸水の被害地域では、「行政の人も来たが玄関に来ただけ。中に入って調査していない」と口々に話され、個別調査票にもとづく聞き取りなどは全くされていませんでした。県が発表している「全壊・半壊認定」の適格性が疑われる事態です。なぜ、こんなことになっているのか、ある市でお聞きすると、内閣府のあたらしく定めた「新基準」文書について、全くご存じなく、「被害調査認定」は、古い「基準」で行なっていたことがわかりました。
知事は、市町の調査を集約しただけと言われますが、災害復旧への支援は知事の責任ではないのですか。本来なら県独自の支援策を受ける資格がある県民が、支援対象からはずされてしまっても、市町の責任だといわれるのでしょうか。国の指針でも市町が十分対応できないときは、県が応援に入る役割があるのではありませんか。
新基準にもとづく床上浸水の調査をしていないことは、明白です。
床上浸水被害者を救済する立場に立って、独自の防災部局を持っている県として、各市町を支援して、床上浸水被害の調査を、市町とともに直ちにおこなうことを求めますが、いかがですか。
▼答弁▼ 吉野防災監: 台風被害対策についてのうち、床上浸水被害の調査についてご答弁申し上げます。災害の被害認定につきましては市町において内閣府が定めた統一基準およびその運用指針により市町が適正に行うことになっております。
今回の調査についても、市町が責任を持って適正な調査を行ったものを県に報告したものと考えているところです。現に複数の職員が調査班をつくって災害現場を確認したとの方向を受けており、現時点で再調査を実施する状況とは認識をしておりません。
ご指摘の新基準の適用についてもすでに平成13年に通知し、市町に対し周知をはかっているので、これに基づき調査されているものと考えているところです。
被災業者の実態調査と支援を
■質問■ また、中小業者の被害状況もほとんど把握されていません。
速報では、事業所別、市町別とありますが、台風直後の口頭報告の数値であり、その後の詳細な調査を行う予定もありません。「災害報告取り扱い要領」には工業原材料や商品、機械器具など商工被害を調査することになっています。私たちが調査に入った先々では住民だけでなく多くの業者も被害にあわれていました。長期の不況で営業が厳しいうえに台風被害を受け、商売が続けられるかどうかわからないと大変困難に直面しています。
県は融資制度の災害対策を打ち出しましたが、福井県では無利子の復興支援融資や越前漆器など伝統工芸品の産地被害にたいして300万円を限度に生産設備復旧支援事業を創設しました。
台風被災業者の被害実態調査を行うとともに、融資制度の利子補給や保証料の免除、直接助成制度の創設など支援策の強化を求めますが、前向きの答弁をお願いします。
▼答弁▼江木蚕業労働部長: 県下中小企業者の台風被害につきましては、台風直後、県民局を通じまして市町に調査を依頼をし、情報把握に努めてきたところでございます。事業所の被害は一部損壊が半分あまりという状況でございますが、床下、床上浸水等を含めまして、台風16号で約1100件、台風18号で約470件となっております。
こうした状況を踏まえまして、被害を受けた中小企業への災害復旧に対しましては、金融面での支援を行うこととしまして、経営円滑化貸付の災害復旧枠を適用することといたしました。この貸付にあたりましては運転資金だけでなく設備資金も融資対象といたしますとともに、金利は最優遇の1.1%といたしました。また、保証料につきましても通常融資額につきましても、通常融資額に応じまして0.72%〜1.2%でございますけれども、こういう状況のところこの資金につきましては、0.6%〜0.9%と引き下げをしているところでございます。これまで、100件をこえる相談がございまして利用の申し込みが現在始まりつつございます。円滑な金融支援に努めていきたいと考えているところでございます。
なお、21号台風につきましても現在被害状況を調査をしているところでありまして、その結果を踏まえ適切に対応していきたいと考えております。
中小業者への支援を
■質問■ 政府は景気の回復を強調し、県もまた景気が緩やかにではあるが確実に回復しつつあると発表しました。しかし、景気がよくなっていると実感する中小業者は少数です。
とりわけ中小の建設関連業者は大変厳しい状況です。そんな中、小規模工事等契約希望登録制度を制定する自治体が全国的に広がり、現在33都道府県で262の自治体において実施されています。小規模工事登録制度とは「随意契約」を創造的に運用したものですが、経営が大変な小規模事業者に公共事業を直接受注出来るようにするため、競争入札参加資格名簿に登録されていない業者を受注希望者として登録し、簡単な申請・審査で仕事を発注すると言うものです。
埼玉県ではすでに85%を超える79の市町村でこの制度が導入され、人口33万人の川越市では150〜170の業者が登録をし、毎年600件、約3000万円分の市の工事が入札参加資格のない零細業者に発注されています。さらに最近導入された「住宅リフォーム制度」の工事業者としてこの登録業者が活用されている例も多く、川越市では居宅改善資金助成、介護保険住宅改修などとあわせて総額3億円を超える工事が中小業者の「仕事作り」に役立っています。
埼玉県の担当者は、「この登録制度の業者名簿を活用した修繕についての通知を各庁舎管理者や地方庁舎などに出しているが、今年からは本庁各課にも通知をしている」そうです。
兵庫県では稲美町で2002年度からこの制度が発足し、小学校のカーペットの敷き換えや中学校のトイレ修繕などの工事が発注され、地元業者に喜ばれている実例もありますが、他の市町ではまだ実施されていません。
私は県がこの制度をつくり大いに発注し、広げることが必要だと考えます。
たとえば、県営住宅の建築・電気・衛生工事にかかる小口補修工事の発注について、住宅供給公社は、入札参加資格業者から団地指定業者を入札によって決め「単価契約」を行っていますが、播磨西事務所での2003年度の発注状況を見ると、平均10万6000円の小口工事を3260件、総額3億4550万円を20社に発注しています。
受注した企業は一社で270件、5550万円もの工事を独り占めしているのです。これでは小規模事業者への仕事の発注は進みません。
また、県立学校施設の日常的な小修繕については学校の判断で随意契約で発注することになっています。業者選定は学校任せで、地元小規模業者へ発注されているとは限りません。
そこで、本県においても小規模事業者の仕事確保を応援し、地域経済の活性化を図るため、全国各地で評価の高い小規模工事等登録制度を制定し、県営住宅や県立学校施設などの小口補修工事に多くの小規模事業者が参入出来るような手だてをとることを求めます。また、県下の市町がこの制度を積極的に導入するよう県としても指導することを求めますがいかがでしょうか。答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事: 小規模工事等の登録制度の導入についてです。県道や河川の維持管理、県営住宅や県立学校施設等の小規模修繕を含めた公共工事の発注にあたりましては、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の主旨に基づき事業の効果的効率的執行の範囲内で可能な限り分離分割して地元中小事業者へ発注しております。発注先の選定にあたっては、公共工事であるかぎり軽微な工事であっても、品質確保や履行の確実性が担保されるべきであります。
受注者の経営能力や施工能力等の評価をする必要があると思います。そのため、建設業法に基づく許可や経営事項審査を行い、その上で入札参加資格の登録を行っており、一番小規模なランクの名簿登録者約1800のうち約300もの個人事業者が登録されています。小規模事業者が参入しにくい状況にはないのではないか、このような実情から考えています。従って、現行の入札参加資格の登録制度の中で、地元中小事業者の公共事業への参入の機会は確保されているものと考えます。また、県下の市町の入札契約制度については、県の取扱いを参考にされるよう必要に応じ情報提供しておりますが、各市町が自主的に判断されるべきものと考えています。
「経営活性化資金」は中小業者すべてが利用できるように
■質問■ 県は、ことし、経営活性化資金融資制度を創設し、実績は利用数709件、融資額93億1800万円です。無担保・第3者保証人なし、申し込んでから短期日で融資されるというもので、資金繰りに困った中小業者のニーズに応えたものといえます。ところが、利用できるのは、法人か青色申告の業者と限定しています。
経営の実態が把握できれば申告区分で選別する必要はありません。
京都府と京都市は無担保無保証人制度融資「小規模企業おうえん融資」を4月に発足しました。スタートの4月19日から7月までに利用がすでに3484件、融資額は215億8900万円と活用が大きく広がっています。この制度は、過去の決算状況にこだわらず現在の事業内容を重視、赤字企業でも借入できるという画期的な内容です。金融の考え方として担保主義から経営計画そのものを支援する方向に変わりつつあります。
兵庫県においても柔軟な考え方を取り入れ、経営活性化資金融資制度については申し込み対象を県内すべての中小業者とするよう改善することを求めます。
▼答弁▼井戸知事: 物的人的担保に依存した融資から経営能力や将来性に期待する融資に転換することを狙って、本年度金融機関、保証協会と連係し、無担保、第3者保証人なしでかつ迅速に融資する経営活性化資金を創設しました。ちなみに融資目標額200億円に対しまして8月末の融資実績は、105億円と好評を得て使用されていると考えています。この資金創設にあたっては全国レベルの金融インフラとして構築されています。中小企業信用リスク情報データベースを活用しております。
そして、これをもとに新たな融資審査手法を導入しています。そのため融資対象者は、財務データを数値化でき法人と青色申告の個人事業者に限定したものです。
なお、個人事業者につきましては、限度額が少し低いものの、無担保、無保証人の貸付であります小規模事業貸付が活用できることとなっています。
また、経営活性化資金以外の県制度融資については、経営財務内容によっては、一定の要件のもとに法人、個人事業者の区別なくすべての中小企業者を対象として融資保証を行っているものです。今後とも中小企業者への円滑な資金提供に努力をしてまいります。
国民健康保険証の「未交付問題」の解決を
■質問■ 次に国民健康保険制度についてお尋ねいたします。
先の国会で国民年金制度の危機が論じられましたが、国民の5000万人が加入する国民健康保険制度もまた危機に直面しています。不況や失業で加入者が増大するとともに、保険料の滞納者も急増し、兵庫県では、昨年、加入世帯の2割近く、207195世帯が滞納となりました。そのほとんどは保険料が高くて「払いたくても払えない」世帯です。国民健康保険が社会保障制度としてしっかり位置づけられ、公的支援の強化が求められています。
しかし、滞納者への制裁措置は一層強化され、短期証や資格証明書の発行、保険証未交付の増加と悪循環が拡大しています。
知事は6月7日の記者会見で「6月1日現在未交付世帯は25000世帯で、前年12月1日より大幅に減少している」と発表されましたが、保険証切り替えの12月1日での未交付数に比べて半年経過した翌年6月1日時点での未交付数が減少するのは毎年の傾向であり、今年が特に大幅に減少したわけではありません。
問題は、未交付状態が依然として起こっていることです。知事は、保険料の滞納と居所不明で連絡が取れないことが原因と説明されましたが、居所不明はやむを得ませんが、わが党県議団が神戸市を除く県下22市を調査した結果、6月1日時点での未交付世帯1万5720世帯中居所不明は2370世帯とわずか15%程度で、圧倒的多数は滞納を理由にした未交付世帯であります。国保法では住所を有すれば資格が取得され、保険証が交付されることになっています。悪質滞納者には「保険証の返還を求める」制裁措置が儲けられましたが、これは保険証がすべての被保険者に交付されていることが前提です。
保険証の未交付は国民皆保険制度に反します。未交付の被保険者とその家族たちは滞納を理由に医療を受ける権利を奪われた状態にあるのです。姫路市で保険料滞納を理由に保険証が未交付となり、子宮ガンの治療が手遅れで死亡されたという痛ましい事件も起こりました。
一方、明石市ではこの夏、居所不明を除く国保加入者全員に保険証が交付されています。
保険証未交付状態を早急になくすため、全市町に対し「国保加入者全員に正規の保険証を交付するよう」指導することを求めますがいかがですか?
▼答弁▼下野健康生活部長: 保険証の未交付問題についてでございます。被保険者証につきましては、法律に定められた資格要件に基づきまして交付しなければなりませんが、特別な理由もなく1年以上も保険料を滞納した場合には、被保険者証の返還を求めることといたしておりまして、被保険者証に替えて資格証明書を交付することになっております。
資格証明書の交付の場合は、単に保険料の滞納のみをもって一律に行うのではなくて、被保険者に弁明の機会を与え、その弁明に正当な理由がない場合に限って行われているものであります。市町におきましては、被保険者証を取りに来られない方々に対して納付相談を休日、夜間にも開設をし、来庁されるように呼び掛ける他、文書、電話さらには戸別訪問によりまして繰り返し働きかけておりまして、このようなことを行った結果、被保険者証の取り扱いにつきましては、窓口を訪れない方、あるいは居所不明の方がいるために結果的に市町において交付できない状態が生じているものであります。県といたしましては、各保険者が積極的に納付相談を実施するなど、個々の滞納者の実情を十分把握した上で、被保険者証の交付事務が法例等に基づき適正に行われるよう引き続き助言を行ってまいりたいと考えております。
医療費一部負担金減免制度の活用を
■質問■ 保険料が高くて払えないという問題とともに、医療費の窓口負担が重いために病院に行きたくてもいけないという問題があります。高額療養費制度で医療費の払い戻しがありますが、それを利用してもなお医療費の支払いが困難で、病院にかかれないという人が増えています。失業や廃業などで収入が極端に減少したときに、患者の窓口負担を軽減する一部負担金減免制度が必要です。ところが、これを兵庫県下の市町はほとんど実施していません。私の地元姫路市でも、窓口負担が重いために受診をひかえるケースがあり、一部負担金減免制度を摘要するよう要望しましたが、申請用紙もないし、そんなことはしたことがない、福祉課にいってほしいとの対応でした。県下の昨年の実績は、神戸市と芦屋市の2市だけでしたが、神戸市では、2002年度この制度を470件利用されています。また、尼崎市でも今年度から要綱が設置されました。県国保課は昨年社会保障推進協議会の一部負担金減免制度の要望に対して「法律に定められているので、申請があれば受理せざるをえない」と答えられました。ところが、国保事業運営方針では説明程度で具体的な施策は全くありません。
一部負担金減免制度を市町に対して要綱等を作成し、申請用紙も作って積極的に実施するよう助言、指導することを求めます。
▼答弁▼下野健康生活部長: 一部負担金の減免についてのお尋ねでございます。国保制度は相互扶助共済の精神のもとに、保険給付を行うものでありますが、低所得者に対しては、高額療養費の算定の際、一般の方よりもさらに自己負担限度額を引き下げる特別の配慮が行われております。一部負担金の減免につきましては、この特別の措置に加えさらに特例的な場合の措置として一部負担金の支払いの義務を行う世帯主が災害、失・廃業により生活が著しく困難となった場合におきまして、その方の申請により各保険者が認めることができるとなっております。一部負担金減免の実施におきましては要綱等により基準を規定して実施している市町と規定していないで対応しようとしている市町があることは承知をいたしております。県といたしましては、一部負担金制度を被保険者に周知する観点から要綱等を設け基準を公表するよう引続き市町に対し助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
姫路駅周辺のまちづくりについて
■質問■ 姫路市は、人口48万人、兵庫県で2番目の都市であり、古くから山陽道と山陰道との分岐点に位置し、交通の要衝として播磨地方の中心都市として発展してきました。
その都心の姫路駅周辺地域が鉄軌道によって南北に分断され、都心の魅力ある発展にとって大きな障害と市民はかねてより改善を願っていました。現在、その解決をはかるため「JR山陽本線等連続立体交差事業」がすすめられています。しかしながら都心地区の地価が日本一に近い下落率を記録しその後も低迷を続けるなど、大きな投資で工事をすすめているにもかかわらず、将来への展望が開けていません。姫路市は都心のグランドデザインの見直しに着手し、「姫路市都心部まちづくり構想素案」を7月に発表しました。今市民のなかで、山陽本線等連続立体交差事業は、JRの高架で南北の交通が整備されて一体化する一方、山陽電鉄の切下げで今度は東西が新たに分断される。これではなんのための高架事業かと疑問をもち、姫路駅周辺市街地の将来の展望が持てないばかりか、姫路市の衰退につながりかねないと懸念する声が多数あがっています。そして、山陽電鉄切下げ工事が現在すすんでいるなか、市民や学者など専門家たちの中から「山陽電鉄新地下化計画」が提案され、新たな運動がすすめられています。
山陽電鉄については、1973年の「国鉄高架化基本構想」で地下方式ですすめるとなっていましたが、その後、姫路市が財政上の理由で切下げを決定した経緯があります。しかし、将来のまちづくりを考えればやっぱり山陽電鉄は地下化が望ましいという声が根強く、その声はさらに今大きく広がっています。ある商店街の組合長さんは「姫路が活気のある町になるために、市民誰もが自分の町に誇りをもてるようにすることが大切で、そんな町であれば観光客もきてくれる。ところが現状のまま、すなわち山陽電鉄の切下げでは、町の中に大きな壁が出来て東西が分断され、まちを落ち込ませることになる」と心配し、山陽電鉄の地下化を切に望んでおられます。山陽電鉄の地下化によってはじめて姫路駅周辺が東西南北一体化した市街地の広がりを確保することとなり、世界文化遺産の姫路城の魅力とともに、古くからの生鮮食料品卸売市場や船場御坊さんなど駅北西地域も含めた歴史と個性あふれる姫路の中心市街地を形成することが展望できます。
「山陽電鉄線新地下化計画」とは、従来の地下化案とはまったく異なるもので、現在進行中の山陽電鉄切下げ工事を仮設線として早期に完成させ、その後空地となる山陽電鉄本線を地下線として再工事し、それを本設線として整備しようというものです。
これなら露天掘りの工事が可能で、工事費も安くあがります。姫路市長も市議会で「地下化が理想的な案であるということは考えているが」と答弁されており、「姫路市都心部まちづくり構想素案」に対するパブリックコメントでも駅西を遮断する山陽電鉄の切下げでは中心市街地の活性化はできないとして、山陽電鉄の地下化を望む意見が数多く寄せられています。
兵庫県の西の都、姫路市の都心部再生まちづくりにとって山陽電鉄の地下化がどうしても必要です。現在の山陽電鉄切り下げ工事の後、速やかに地下化工事へとすすめる「山陽電鉄鉄新地下化計画」を応援し、県の積極的な支援を求めます。
▼答弁▼陰山県土整備部長:山陽電鉄新地下化計画につきましてご答弁申し上げます。
姫路市の一部市民団体が提案されておられます山陽電鉄新地下化計画につきましては、ご質問の中にありましたように、山陽電鉄の切り下げによって、JR山陽本線を高架化し、その事業目的が達成された後の事業の提案でございます。従いまして、連続立体交差事業の枠組みとは切り離して考えるべきご提案でございます。強いて言えば、長期的な町づくりの視点で姫路市において検討されるべき課題であると考えております。
この点につきまして姫路市長も現計画の山陽電鉄の切り下げによって高架事業等の早期完成をはかり、その完成後の地下化の問題につきましては、今後長期的な視点で町づくりを考える中で検討すべき課題であるとしておりまして、県と同様の考えでございます。
なお切り下げ方式でも地下化方式でも幹線道路網は同じく整備されるものでございまして、この事業の主目的であります都市形成上もっとも重要な南北東西の道路交通機能につきましては、道路整備によりまして分断されることなく改善されることに両者相違ございません。県といたしましては、今の現計画によります連続立体交差事業の一日も早い完成を目指しますとともに、この現計画の元に、現在姫路市で策定が進められております都心部街づくり構想に協力をいたしまして、中核都市としてふさわしい街づくりに対し支援していきたいと考えるところであります。
新日鉄広畑争議の早期解決への働きかけを
■質問■ 今年3月29日、神戸地裁姫路支部は、新日鉄が日本共産党員であることを理由に人権侵害や賃金差別を行ったのは不当として、新日鉄広畑製鉄所の5人の労働者が是正を求めていた裁判で、原告勝訴の判決を言い渡し、原告全員の救済のために慰謝料の支払いを命じました。
新日鉄はこれを不服として大阪高裁に控訴しました。5月に新日鉄広畑争議支援兵庫共闘会議が県に対して、裁判の早期解決にむけて行政として強く指導するよう要請しましたが、県は係争中のことなので関与できないとの答弁でした。
新日鉄広畑製鉄所は、我が国の鉄鋼産業の発展を大きく支えるとともに、地域では企業町姫路の象徴として雇用と経済の発展に大きな役割を果たしてきました。
しかし、新日鉄といえども法と社会的ルールを守らなければならないことは当然です。経済産業省は企業と消費者、従業員、地域社会との関係が改めて問われているとし、厚生労働省も、賃金や労働時間など「雇用の質」の充実は喫緊の課題として、人員の削減ではなく労働力の人的能力の向上に取り組むことが重要と報告や白書で指摘しました。
新日鉄の職場では、死亡事故をはじめ労災事故が近年多発しています。
厚生労働省の異例の通達にもかかわらず労働災害は増え続け、広畑製鉄所でも一昨年には2名の死亡事故が発生し、今年に入ってからでも49才の男性が、梱包用紙供給機の紙詰まりを処置中に、腰部を挟まれ、重症を負うなど17件の重大事故やヒヤリ事故が続発しています。労働者は「生産最優先、設備の老朽化、大幅な人員削減による過密労働と熟練労働者不足が事故多発の原因になっている」と告発、同様にマスコミ各社も指摘しています。
大幅なリストラ計画に反対した労働者らをみせしめに差別し、隔離までして、自由にものが言えない職場にした会社の姿勢が、重大災害事故を相次いで引き起こした背景にあると思います。
また、昨年12月公正取引委員会は、新日本製鉄など6社に対してステンレス鋼板などの販売分野において独占禁止法違反として排除勧告を行いました。ヤミカルテルは重大な社会的背任行為です。
また現在、広畑製鉄所遊休地に、超大型ショッピングセンターが次々と建設中です。店舗面積3万3000平方メートルの巨大スーパー「イオン」などですが、住民が実施したアンケート調査では福祉施設などの要望が70%に対して商業施設はわずか5%でした。大型店への提供は市民の願いを全くきかないないばかりか、地域経済を疲弊、衰退させる要因をつくっており、交通問題や青少年の非行問題など地域住民の不安が大きく広がっています。
これまで新日鉄広畑製鉄所は国、県、市から土地、水、港湾、道路や橋に至るまでありとあらゆる優遇策で支援を受けてきました。最近でも、国、県含め百数十億円をかけて水深14メートルの5万トン級の船舶が接岸できる公共埠頭を建設しましたが、臨港道路は広畑製鉄所の構内を通り、高炉休止でいらなくなった土地にルートを変更して接続道路をつけ、高炉の付帯設備などの解体撤去費用などの移転費用まで税金で補償するなど最大限の協力をしました。県水使用料は、新日鉄にはトン当たり4円30銭で提供する一方姫路市民には155円です。配水施設は会社が所有しているからと県は説明していますが、これほどまでの格差に県民は納得できません。
また、今年「兵庫エコタウン構想」にもとづき新日鉄広畑製鉄所の子会社が行う廃タイヤガス化リサイクル施設に国、県、市は15億円余りの多額の支援を行いました。「環境・リサイクル」と大々的にいっていますが、地元住民からは悪臭に対して苦情の声もでています。
このように最近だけをみても、私たちが調べただけでも新日鉄広畑製鉄所に対して県は多額の税金を注ぎ込み、いたれりつくせりの便宜をはかってきました。
以上県とのかかわり、県民とのかかわりは大変大きいものがあります。県として、新日鉄に環境保護、労働基準法順守、人材育成、地域貢献などを求めるべきではないでしょうか。
新日鉄広畑争議はすでに10年の歳月が経過し、原告と家族にとってはたいへん過酷なものです。神戸地裁姫路支部の判決は思想・信条による差別を断罪しており労働基準法第3条に抵触しているのは明確です。
企業の社会的責任を果たさせる意味においても、新日鉄が裁判所の判決を真摯に受け止め速やかに解決を図るよう県として積極的に強く働きかけることが必要と考えますが、答弁を求めます。
▼答弁▼陰山県土整備部長:企業も地域社会に一員であり、法令の遵守はもちろんのこと地域活動への貢献など社会的責任を果たす必要があると考えております。労働面につきましても労働基準法等の関連法規の遵守は当然のことでございます。しかし、個々の労働紛争については、労使の真摯な交渉を基本に早期かつ円滑な解決がはかられることを望むものでございます。新日本製鉄広畑製鉄所における労働問題につきましては、当事者双方が控訴し、現在、大阪高裁で審理中でございます。司法の場でしかるべき判断がなされるものと考えております。
県といたしましては、司法の場で係争中の個別件に関する会社への働きかけは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。なお、新日鉄広畑に対する県の対応について種々ご意見がございました。担当部長からも再々説明をさせていただいていると思いますが、広畑地区の水深14メートル岸壁や埠頭用地につきましては、姫路市など背後圏の外国貿易の拠点として、また、船舶の大型化にも対応可能な港湾として整備しているものでございます。また、タイヤガス化施設につきまして悪臭の指摘がございました。
これは試運転中一時的に燃焼不良により黒煙が発生したもので、燃焼部分の改良を行い早急に解決がはかられているところでございます。決して、1社のために整備するものでも、便宜をはかっているものでもございません。ご理解をお願い致します。
台風調査を新基準でおこなうべき
■再質問■ 再質問をさせていただきます。時間の関係上一問に絞りますが、台風被害の床上浸水の調査の件です。さきほどの答弁では市町はそれぞれ基準にもとづいて調査をしているというふうに答弁をされましたが、私の質問の中にも具体的な事実をあげて、この新しい基準での調査がなされていないことを指摘しています。そしてこの災害復旧に関する一番の責任者は知事であります。新しく県独自の支援策、居宅安定支援制度をつくりましたが、今、この支援を受けられるかもしれない、また、受けるかもしれない被災者が今のような調査の仕方では受けられないことになってしまいます。是非とも新しい基準での調査、再調査を市町含めてやっていただきたい、そのことを改めて知事に対してご答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:調査の責任者は市町でありますので、私にもその市町からの報告に基づいて、しかも災害現場を確認しながら認定したと言う報告に基づいてご報告申し上げたところであります。新基準の適用につきましてもすでに3年前に通知をして周知をはかっておりますので、そのような意味で十分現実の基準に即して調査されたものとお答えを申し上げたわけでございます。
そのような意味で、私は何も再調査をしませんとかしたくないと言っているわけでありませんで、そのような状況であることをご説明を申し上げているわけでありまして、必要があると市町の方でご判断なさるならば、再調査をなさるということも市町が主体的にですねご判断されるべき問題だろうとこう思っております。ですから、私そういう判断できる材料を持っているわけでありませんので、市町の方でそのようなご判断をされて再報告をされてこられたとすれば、それはそれとして尊重させていただく、これが基本スタンスであると思っております。念のために申し上げておきます。 |