■質問■
私は、日本共産党県会議員団を代表して当面する県政の重要課題について7つの柱で質問します。
義務教育費国庫負担金制度の堅持を
■質問■ まずはじめに、「三位一体改革」と地方分権についてであります。
これまでわが党は、「三位一体改革」の議論が進むなか、その危険性、特に社会保障や教育などの国庫補助負担金の廃止について、住民サービスの低下や教育への国の責任放棄につながることを指摘して反対し、知事にもその立場にたつことを求めてきました。
しかし、全国知事会の提案では、3兆円規模の国庫補助負担金の提案を示すために、多数決で、中学校の義務教育費国庫負担金8000億円や私立保育園の運営費にかかる負担金などが、移譲する対象に入れられました。井戸知事が、それに賛成する立場をとったことは、大変に残念です。
「三位一体改革」での国のねらいは、地方財政の圧縮、住民サービスの切り捨てにあることは明らかです。
知事会提案では、「確実な税源移譲」「交付税による確実な財政措置」を前提にしています。しかし、小泉内閣は、経済財政諮問会議のなかで、補助負担金削減案を議論する一方で、まったく別個に、地方交付税の削減案が財界などの民間議員からの提言をもとに検討がはじめられており、来年度の概算要求でも、交付税や臨時財政対策債の額は、大幅削減された今年度とほとんど同額であり、まったく予断はできない状況です。
また、今年度、長年の県民要求である少人数学級が、小学校1年だけの35人学級ですが、ついに実施されました。しかし、これは、国の第7次定数改善や加配教員の活用の範囲内で行なったものであり、少人数学級に本格的に踏み込むには、国の計画の改定こそがもとめられます。
井戸知事は、「国の予算措置があれば少人数学級は実施する」と答弁してきましたが、国の責任で、30人学級・少人数学級を計画的にすすめるのではなく、むしろ、義務教育費国庫負担金が一般財源化されることによって、国の責任の放棄・教育予算の削減につながる危険もあります。
知事、地方財政の充実、国の財源保障の責任をはたさせ、義務教育費国庫負担金制度を堅持する立場にたって、知事会や政府にたいし改めて毅然と発言し、働きかけることを求めますが、いかがですか。
▼答弁▼井戸知事:
三位一体改革は、地方の自由度を高めて創意工夫に富んだ施策を展開することにより国民が豊かさとゆとりが実感できる生活を実現するよう地方公共団体の自主的自立的な行財政基盤を確立するための改革です。
こうしたことからまさに今これまで通り国に依存して、画一的標準的にやっていくのか、地方が自ら責任を持って地域の実情に沿った行政を推進していくのかの選択が問われていると認識しています。私は地方分権を進める観点から義務教育費国庫負担金も例外とすべきでないと考えております。
地方6団体も同様の考え方により、今回の改革案を取りまとめたものです。
なお、ご懸念の義務教育については、現行制度上学校編成や教職員定数にかかる水準が法定されており、これに必要な財源を地方財政計画に計上して確保するルールが確立しております。また、今回の改革案では、義務教育費国庫負担金の廃止に見合う額が税源移譲されるとともに、地域により財政力格差を生じないよう地方交付税等の地方財政措置がされることが前提となっております。従って、かえって地域の実情に応じた教育の実現ができるのではないか。
このように考えております。
福祉医療助成、入院給食補助の継続を
■質問■ 次に行財政「改革」について質問します。
井戸県政がスタートして3年。前貝原県政からの「行革」路線を継承するだけでなく、今年度から「行財政構造改革後期5か年の取り組み」を実施に移し、施策の面でも組織再編の上でも、福祉・医療・教育の分野がばっさり削られ、後退させられました。
これにたいし、広範な県民の間から批判の声が上がり、事業の存続を求める運動や取り組みが今も続いております。
その第一は、福祉医療についてであります。昨年来の広範な県民や関係方面の声によって今年度10月実施予定だった「患者の負担増」が見送られている、いわゆる老人・重度心身障害者・乳幼児・母子家庭等に対する医療費助成について来年度以降も「制度」の存続を求める声が益々たかまっています。現在も神戸市医師会はじめ多くの団体・県民の間で知事への要望署名が取り組まれており、それ以外に今県議会には多くの団体から請願も提出され、神戸・西宮両市議会では、県への「意見書」が採択されています。
知事が、いくら「会費程度のわずかな負担」とか「給付を受ける人と支える人の不公平」などと力説されても決して県民の納得は得られないでしょう。
もし、この「患者負担増」が実施されれば国の医療、介護、福祉制度などの「負担増」と相まって、県民生活に大きくのしかかってくるからであります。結局、知事が、県民のこの切なる願いに応える立場に立たれるかどうか、知事の決断1つにかかっています。
そこで知事、この福祉医療への助成は年間33億円、入院生活福祉給付金をあわせても40億円あればできます。県の一般会計のわずか0.2%で可能です。来年度予算で優先確保されるはずの公共事業3400億円の内、わずか5%削るだけでもできます。何としても福祉医療の助成制度を存続させるべきではないでしょうか。県民への思いやりのあるあたたかい答弁を求めるものであります。
▼答弁▼斎藤副知事:
福祉医療助成制度の存続についてお答えをします。今回の行財政構造改革は、社会経済情勢の変化、特に歳入面での厳しさへの対応、国や他の諸制度との整合性、受益と負担のバランス、目的を達した制度の見直し、ストックの活用、より県民本位の県政運営といった観点から見直しを行い。それを踏まえて新たな県民ニーズに対応して少子高齢化に伴う健康福祉など今後の政策課題に適格に対応するために行うものでございます。県議会のご審議はもとより有識者や県民のみなさまがたのご意見を伺いながら、検討に検討を重ねた上で実施をするものでございます。福祉医療制度につきましては、厳しい社会経済状況の変化に加えまして社会保険の本人及び家族の負担割合が2割から3割に引き上げられたことにより、対象者とその他のものとの負担の格差が拡大するなど制度をとりまく環境は大きく変化をいたしております。また厚生医療や育成医療におきましても所得に応じて一部負担制度が導入されておりこうした制度間のバランスについても十分考慮をする必要があると考えております。このような福祉医療を取り巻く環境変化に対応するとともに、制度を支える者と支えられる者との均衡や将来に渡り制度を維持するという観点から、一部負担のあり方について見直すこととしたものでございます。なお、入院生活福祉給付金は、老人保険医療制度や介護保険制度でも食事療養費は自己負担とされていることとの均衡を考慮して廃止するとこととしたものでございます。
保健所(健康福祉事務所)の統廃合をやめよ
■質問■ 「行革」問題の2点目は、健康福祉事務所を県民の利便性、サービス低下を無視して縮小再編することについてです。現在26ある健康福祉事務所の内12を地域事務所として機能を縮小し、相生・美方の両事務所が廃止するというものです。当局は、圏域事務所やそれに準じる施設で対応すると言われるものの、地域住民にとっては大きな問題であります。
たとえば、西播磨では現在5つある健康福祉事務所の内、龍野を圏域事務所に、赤穂をそれに準じる事務所として相生を統合、佐用と山崎は地域事務所とするというものであります。
つまり、相生健康福祉事務所を無くし、佐用と山崎については、精神保健対策の一部の相談業務だけを残し、感染症対策、食品の許認可業務などを廃止しょうとするものです。
これが実施されると例えば相生では現在行っている年間、特定疾患の申請など280件、食品許可など各種届け出 540件、子育て、精神、難病などの健康相談270件、合計約1100件からの業務が全て赤穂まで行かなくてはなりません。特に24時間対応が必要と言われる精神保健や子育て相談などはより身近に有ってこそ機能が発揮されるものです。感染症対策や食品監視業務も含めて今日の社会情勢から逆に充実こそ求められているものです。
こうした中で相生市長が、同市で唯一の県事務所でもある相生健康福祉事務所の存続要望を知事に提出されていることは良く理解できるものであります。
これらの声は、他の縮小対象の地域からも色々と寄せられています。
そこで、県民の声を無視した単に人減らしの為の再編は中止し、12の地域事務所の健康関係業務などを継続すること。また、とりわけ要望の強い相生事務所は充実して存続すべきだと考えますが答弁を願います。
▼答弁▼斎藤副知事:
このたびの県民局の業務再編は、社会情勢の変化に即応し現地解決型総合事務所として企画立案、総合調整機能、専門的技術的機能のいっそうの強化をはかるとともに効率的で県民に分かりやすい組織体制の整備をはかるものでございまして、単に人員の削減のために実施するものではございません。
健康福祉事務所につきましてもサ−ズ等の感染症対策など健康危機管理体制を強化し機動性をより発揮できる業務体制の整備をはかる観点から、検査・予防等の対物サービスにつきましては小さな単位ではなく拠点機能を持つよう業務を集約しようとするものであります。一方、精神保健や難病等の保健指導や栄養指導等の県民に身近な健康関係業務等の対人サービスは、地域事務所において今後も引き続き実施することといたしております。相生健康福祉事務所は現在、赤穂健康福祉事務所の内部組織でありまして基本的な対人保健サービスは、すでに同一建物内にあります市の保健センターとともに実施をしていることから、分室として単独で存置する必要性が乏しく、またより機能的に業務を執行することを目的といたしまして、廃止をすることといたしております。
しかし、精神保健、難病、栄養改善等の業務や特定疾患受給者証の更新申請等の県民に身近な業務につきましては、実施日を定め職員が現地で対応することといたしておりまして、このことにつきまして相生市から一定の理解も得ていると承知しているところでございます。
介護保険制度の負担増、軽度のサービス除外に反対を
■質問■ 次に、介護保険制度についてであります。
厚労省が、現在進めている介護保険制度の来年度見直しに対し、兵庫県も去る7月末、「見直しに関する提言」を国に提出されましたが、今、国民の間でその見直しの内容が大問題となっています。具体的には、利用料負担を現在の1割から2割〜3割に引き上げる、施設入所は「ホテルコスト」と称して部屋代、食事代を全て利用者負担とする、介護度の低い人の利用を制限するなどです。
もし、このまま実施されたら一体どうなるでしょうか。
特別養護老人ホームの入所者は、まず食事代の負担が現在の1ヶ月2万3400円から3倍近い6万3600円となります。それに部屋代を仮に3万円とすると、食事代と部屋代だけで9万4000円。更に他の介護利用料を加えると、1ヶ月13万円、15万円といった負担となります。一方、現在の施設入所者の約8割の人が月8万円以下の収入と言う中で、払えない人が相当数出ることは明らかです。結局、特養ホームも高額の有料老人ホームに変質し、金持ちか家族が負担出来る人以外は入れないと言うことになります
一方、自宅で居宅介護を受けている人はどうなるでしょうか。
今回の見直しの最大の目玉は、介護保険認定者の内半数を占める要支援、要介護1の軽度の人を介護保険から除外し、新しく筋力トレーニングや低栄養予防等を行う「新・予防給付」に移すことだと言われます。私の地元尼崎で一人暮らしの76歳、要介護度1の女性は、介護保険で電動ベッドを借り、週2回の訪問介護でヘルパーに買い物と掃除を頼み、週1回デイサービスを利用します。これで利用料は月7000円です。遺族年金、月8万円有りますが、今もし介護保険の対象外となれば自費ではとても払いきれず、今の殆どのサービスが受けられなくなります。また、この女性は週2回ヘルパーに手助けを得ることで料理など出来る限り自分でやろうという意欲がわいて来くるといいます。
今、このような軽度の人へのヘルパーなどのサービスを無くせば、他の人との交流や会話が少なくなり、部屋での綴じこもり状態が増え逆に身体的衰えを加速し、重度の人を増やすこととなり、結果的には近い将来、介護保険財政を圧迫する要因になると指摘されるのも当然であります。
こうした内容が一番わかっている兵庫県老人福祉事業会、兵庫県デイサービスセンター協議会など各団体から知事に対し、利用者の負担増や給付の削減に反対し、サービスの充実を求める要望書が提出されているところであります。
厚労省が検討していることは、いかに国の支出を抑えるかということだけを目的にした場当たり的な対応であり、制度創設の理念である介護を社会全体で支え、「だれもが安心して生活する」ことを根底から崩してしまうことになります。
ところが、知事が国に提出した「提言」は、部分的には県民の要望を反映したものも有りますが、全体として国の制度改悪を容認するものであり、とうてい受け入れることはできません。
そこで、知事は国に対し、介護の現場、利用者の立場に立って利用料負担の2〜3割への引き上げ、要支援、要介護度1を介護サービスから除外することに明確に反対を表明し、むしろ拡充を求める提言を改めて提出されるべきだと考えますがいかがでしょうか。
▼答弁▼井戸知事:国においては現在介護保険制度見直しが検討されており、この7月30日には介護保険審議会、介護保険部会におきまして、介護保険制度に関する意見が取りまとめられました。これに先だち本県といたしましても、まず地力支援の充実、2番目に給付と負担への納得、3番目にサービスの質の確保、4番目に保険者機能の重視この4つの視点から介護保険制度の見直しに関する提言をとりまとめて国に提言をいたしました。両者負担割合の見直しについて、この介護保険部会の意見では、現時点では慎重に考える必要とされているとこであり、本県の提言でも低所得者対策の拡充について具体的に提案をしています。
また、軽度者に対する介護保険サービスについて、介護保険部会の意見においては、一律、要支援、要介護1を除外するということではなく、その内対象者としふさわしい者をスクーリングして、新予防給付を提供することとされており、本県の提言においても介護予防を含め心身の状況に応じたサービスが提供されるべきである旨提案しているところです。
いずれにしても利用者の立場に立った介護保険制度の確立に向けた本県の提案の主旨が十分に反映されるよう働きかけていきます。
小規模多機能の施設への補助・支援を
■質問■ 県独自の施策として、依然としてして増加している施設への入所待機者や在宅での介護を充実していくために、特別養護老人ホームの増設を進めると共に、今、全国で注目されている小規模多機能施設の整備が求められております。この小規模多機能施設は、住み慣れた地域で、10人以内位のデイサービスやホームヘルプサービス、一時宿泊などを組み合わせて利用者が選択して利用し、同じメンバーが系統的な介護に当たるということで介護効果が大きいとして見直されています。県内ではNPO法人などが開設している「宅老所」もその中に含まれるものです。
その施設は民家を借上げたり、新たに建設するなど様々ですが、特に都市部で用地確保が困難な中で、今後重要な方策の一つではないでしょうか。しかし問題は、通所と訪問介護のみが介護保険の対象で一時宿泊や施設改修費等は、何の支援もないことです。
ところが、実際には特養ホーム併設のショートステイ等が満杯の場合が多く、家族の介護疲れや高齢者への虐待、冠婚葬祭など緊急の事態が起こる中でやむなく一時宿泊を受け入れている施設もありますが、利用者も施設側も大きな負担となっています。
全国的にはすでに富山県や長野県では数年前から独自の制度をつくり、「宅老所」等にも支援が行なわれています。
そこで、本県でも小規模多機能施設の位置付けを高め、施設改修費や一時宿泊費等にたいする支援を是非実施される必要があると思いますが、いかだでしょうか。
▼答弁▼副知事:
介助が必要な高齢者が地域におきまして安心にくらしていくため、託老所などの通い、泊まり、訪問、住居などを複合的に提供する小規模多機能サービスが重要であると認識をしております。このサービスを介護保健制度の中に明確に位置付けて介護報酬上適切に評価すべきであると国に対して提言を行っているところでございます。社会保障審議会介護保険部会が取りまとめました介護保険制度の見直しに関する意見におきましても、小規模多機能型を含みますサービス利用が主として市町村の圏域内に留まるような地域密着型サービスを新たに制度化していくことが考えられるとされているところでございます。
これらのサービスへの支援のあり方につきましては、国における議論の進捗状況を見ながら県としても適切に対応して参りたいと考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
若者、高卒の就職問題の解決を
■質問■ 次に、若者の雇用問題について質問します。
その1点目は、フリーターなど若者への就職支援の強化についてであります。
もはやフリーターは全国で417万人にも達し、最近では就職も進学もしない「ニート」と呼ばれる若者が52万人との発表もあります。こうした中、県下では30代前半までの失業者やフリーターを合わせると少なくとも20万人前後に昇ると推測されます。今後も大企業などの若年者雇用の抑制や非正規社員化の方向が強まる中で、更に増加することは明らかです。しかし、フリーターやニートと呼ばれる状況に置かれている青年の大半は「正規社員」としての就職を強く望んでいます。したがって今、この若年失業やフリーターの増大の流れをストップさせ、転換させる大規模な取り組みが求められています。この点では、一つは、県内の大企業をはじめとする経済界が若者の非正社員化と雇用抑制の方針を改め、正規雇用の拡大を図り社会的責任を果たすことが求められており、そのための県からの企業・財界への働きかけが重要であります。
またもう一つ、特に、県が取り組む事として、若者に対する手厚い就職支援を思い切って重視すべきだと考えます。
若者の中には、自分は何をやりたいのか、どんな仕事が向いているのか、などが分からずに定職に就けない、就かない人が数多くいると言われます。このような若者の雇用問題の解決のため、ワンストップで総合的相談に応じる取り組みが全国で開始され、兵庫県も昨年11月から国と県から委託を受けた兵庫雇用開発協会が「若者しごと倶楽部」を運営し、相談や情報提供などを行なっています。職員は国費採用17人、県費採用3人、計20人です。ところが肝心の最初の仕事探しから仕事に就く為のプランづくりなどの相談・アドバイスするキャリアマネージャーはたった2人で、時間的に一日平均8人しか相談にのれず、相談者は予約で二週間待ちの状況です。また、若者者元気アップサポーターは、阪神地域では以前2人いましたが1人に減らされ、県民局や西宮の勤労会館、阪神間のハローワークなどを曜日を決めて巡回しています。こうした実態ですから私の地元・尼崎で若者に聞いて見ますと「若者しごと倶楽部」があることすら知らない若者がほとんどです。
そこで提案でありますが、一つは兵庫県としても若年失業者やフリーターの増大の流れを転換するために、現在行われている「ひょうご経済・雇用戦略会議」でも真正面から議論し、次の「ひょうご経済・雇用再生加速プログラム」の中で例えば「5万人若者しごと・雇用創出」事業など大規模に計画し取り組んではいかがでしょうか。二つは、「若者しごと倶楽部」のキャリアマネージャーなどスタッフの増員、県民局単位に「若者しごと倶楽部」の設置と職員の複数配置、「若者しごと倶楽部」そのものを知らせ、働きかける宣伝の強化など行い、若者の雇用対策を抜本的に前進させるべきだと考えますがいかがでしょうか。合わせて答弁を願います。
▼答弁▼井戸知事:若者への就労支援の強化についてですが、フリ−タ−あるいはニートと呼ばれている若者の雇用問題については、本人のみならず経済社会問題として兵庫経済社会雇用戦略会議においても職業意識の欠如等若者側の問題点と即、戦力思考の雇用姿勢など企業側の問題点が指摘されており、課題解決に向けた取組方策などが幅広く議論されております。
昨年11月に設置した若者仕事クラブでは、オーダーメイドの個々人に応じた就職支援プログラムをつくるなど支援機能の強化をしておりますが、学校教育段階からの生徒に対します職業教育、教員の指導力の向上、インターンシップ制度など企業における体験心療や技能技術研修の充実等教育と産業界のネットワークを強化するための取組が提案されているところです。
今後こうした議論や指摘を踏まえて経営者団体や教育委員会と連携して若者仕事クラブや各県民局に設置しております地域労働相談、仕事情報広場の体制強化をはかるとともに、学校教育段階からの就業体験実施を強化するための仕組みづくりなどを行ってまいります。このような若者の就職支援の強化に繋がる効果的な方策を兵庫経済雇用再生加速プログラムの中に盛り込み、若者の雇用対策に取組んでまいります。また、ご指摘の若者仕事クラブの認知度をあげるためのPRや機能発揮にも努めてまいります。
■質問■ 2点目は、新規の高卒者の就職問題です。
この問題は、わたしも毎年本会議で質問しておりますが、今年もどうしても取り上げなければならない厳しい現状があります。
ことしの県内の就職希望者は、約7300人、これに対する求人は4400人。このままでは、就職希望者の約4割にあたる3000人ほどが、職が決まらないまま卒業し、社会生活への第一歩を「未就職者」として踏み出さなければならないという事態にあります。
この事態をなんとしても避けようと、学校現場では1学期から企業訪問を開始し、夏休みも返上、また、どこか出張があればその帰りに周辺の事業所へと飛び込みで訪問し、求人を要請するなど、涙ぐましい努力が行なわれています。
また先日、近畿高等学校職員組合連絡協議会は、関西経済連合会、同経済同友会、同経営者協会に直接訪問し、要請を行なっています。
そこでは、各経済団体から「若者の就職問題は、日本経済の根幹の問題の一つ」としながらも、「グローバル競争のなかではむずかしい」「即戦力がほしい」とか、「個別企業の対応ではどうにもならない。国の法律で定めるくらいの対応が必要」と語られたと言います。
しかし、ここでも雇用における大きな潜在能力を持つ大企業をはじめ、県下の企業、事業所が社会的役割を発揮してもらうことが最大の打開策であります。
そこで、当局が行なっている企業訪問、集団面接会等、さらに強化することはもとより、一昨年、昨年に実施された知事自ら企業へ手紙で訴えたり、経営者協会など経済団体に直接会って働きかけるなど、これまでの経験をくみ尽くして、さらには実質上の高卒枠である県職員「初級職」の採用定数を拡大することもあわせて、「1人も新卒未就職者を出さない」という新たな決意で取り組んでいただきたいと思いますが、知事の明解な答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:新規高卒者の就職対策についてですが、高校生の雇用機会の拡大をはかるため、一昨年あるは昨年と引き続き、私自ら経済界トップに採用枠拡大を要請しましたのをはじめ、この7月にも兵庫労働局、県教育委員会と連携して主要経済団体等に対して求人枠の拡大を要請しました。
これらの結果、来春の高卒者の求人状況を見ますと、7月末現在の対同月比で求人数は32.7%の増加、求人倍率は0.15ポイント好転し0.6倍となっています。
今後も引き続き兵庫労働局と連携しつつさらなる求人枠の拡大を企業に働きかけ求人の確保に努めてまいりますとともに、県内各地での就職面接相談会の開催や高校生に対する個別キャリアカウンセリング等のきめ細かな支援の実施等によりまして、就職希望者全員が就職できるよう最大限の努力をしてまいります。なお、初級職の採用数については年次計画で採用しており現下の状況から見てその拡大をはかることは難しいのでありますが、厳しい雇用環境を踏まえて実施しているキャリアアップ制度については今年度から増員しており高校生の就職促進に向け県内企業に対し、私自身もさらなる効果的な働きかけに努めてまいります。
台風被害対策の強化、支援法の改正を
■質問■ 次に、災害対策についてお聞きします。
相次ぐ台風被害の中、鳥取県、福井県、新潟県、徳島県、香川県、と国の制度を上回る住宅再建支援が行われ、いまや、住宅再建への公的支援は、当たり前のこととして進められています。十年前の兵庫県議会で、私たち県議団が、県に住宅再建への公的支援を求めた際、当時の知事は、「私有財産に税金を使うことは憲法上許されない」との答弁を繰り返されましたが、隔世の感があります。
ところが、阪神淡路大震災の被災者は、この10年、このような支援は全く受けられないまま、復興事業が打ち切られようとしています。
私たち県議団は、復興の残事業を明らかにするため、6月県議会で、ダブルローンの実態の把握など、被災者の実態調査を、復興10年総括検証提言事業として行なうことを求めましたが、「民間金融機関のことは調査できない」との答弁でした。しかし、阪神淡路産業復興推進機構(HERO)の調査でも、被災業者の5割近くが、今なお、震災の影響が残っているとこたえています。震災復興事業の課題はまだ残っており、震災の影響に苦しむ県民がいる限り、県は、一般施策への移行や総括部の解消は行なわず事業の継続をすべきだ、ということを強く指摘しておきたいと思います。ここでは、今回の台風被害への支援と、被災者生活再建支援法の見直しについて質問します。
わが党県議団は、先日県が発表した住宅再建支援で対象とされていない床上浸水被害を受けた住宅を調査しましたが、お伺いする家々で、「こんな家の中にまで入って調べてくれたのは初めてだ。」との声が寄せられました。
県当局は、床上浸水住宅には、最初から調査にすら入っていなかったのです。しかし、すでに内閣府は、「災害に係わる住家の被害認定基準運用指針」において床上浸水も被災が大きければ全壊、半壊の対象とするとしています。
私たちの調査では、床板が波打つ、床も壁も全面的に作り直す、屋根瓦が飛んでいるなど、国の「指針」に基づけば、床上浸水住宅のかなりが半壊以上の判定となり、国の支援の対象となる可能性があります。
今回、県が発表した被災状況報告は、床上浸水地域はまともな調査が行われておらず、被災実態を正しく反映していません。この際、県において、床上浸水など浸水被害地域について全面的に再調査することを求めるものです。
県が今回行った住宅再建にかかる支援内容は、国の制度の欠点を埋め、県の独自財源で行うものではありますが、所得制限を設け、全壊と大規模半壊のみを対象とし、支給金額も国の上限額を基準とするなど、全体として国の制度の枠内で隙間を生める改善にとどまっています。
しかし、福井県は、所得制限をはずし、全半壊に最高400万円、床上や一部損壊にも50万円支給、新潟県は、国の制度に100万円上乗せ、半壊に50万円、床上浸水にも30万円支給、そのほか徳島県、愛媛県、岡山県でも国の枠組を超える支援を実施しています。
また、被災者生活支援法では、その省令で、生活必需品の被害補償対象物品が上げられていますが、私たちの調査では、クーラーや電気冷蔵庫など、省令で上げられている費目の大半が床上浸水による被害を受けています。また、畳などの張替えは、何10十万円とかかりますが、支援の対象になっていません。
そこで、床上浸水地域の調査と、住宅本体への支援、床上浸水被害も条件をつけずそのまま支援対象とすること、適用基準戸数や収入基準の撤廃、支援金額の見直しなど被災者生活再建支援法の抜本的改善を国に求めるとともに、福井県などで行っているように、県としても収入基準を外し、住宅本体への支援、床上浸水被害への支援を行うことを求めるものです。知事の答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:台風被害への県支援の充実と被災者生活再建支援法の見直しについてです。災害の被害認定につきましては内閣府が定めた統一基準およびその運用指針により市町が適正に行うことになっております。
従って、市町が責任を持ってマニュアルに基づき複数の班別編成により適切な調査を行ったものと考えております。
次に、先の被災者生活再建支援法の改正では、本県や全国知事会等が求めてきた見直しは十分に実現できず。衆参両院の特別委員会の付帯決議において4年後を目途に総合的な検討を加えることとされています。
本県としては、頻発する自然災害への法適用の状況から、引き続き建築費本体への支援、被害戸数による法適用基準の撤廃などの早期改善を訴えてきます。
収入基準の撤廃につきましてはいかなる高額所得者をも対象とすることになり妥当ではないのではないかと考えています。また床上浸水については、その被害程度によっては、法律の支援対象となりますが、地震被害等の物理的な破壊に比べ浸水による畳の吸水や汚染等などの機能損失に対する損傷程度の評価がなかなか難しいとの指摘もあり、浸水被害にかかる被害認定基準の改善等を国に求めております。また支給金額の増額には大規模災害時の財政負担や住宅非所有者との公平性の観点から一定の限界があるのはやむを得ないものと考えています。
このため共済制度がぜひとも必要であると思います。このような考え方を基本に今回の居住安定支援制度補完事業の拡充は、建築費本体を結果として対象とすることになることと加えまして、法が適用されない小規模災害での住宅再建を支援するために実施したものであります。いずれにしましても自然災害に対する供えに十全を期してもらいたい。このように考えております。
県教委の総合選抜入試制度つぶしの転換を
■質問■ 次に教育の充実についてです。その一つは、県が進める「高校改革」についてです。
現在、西宮、尼崎、伊丹、宝塚、明石の各地域では、高校入試において総合選抜制度が実施されていますが、それぞれ地域にあわせた総合選抜制度として50年間続いており、地域になじんだ特色ある教育制度として定着しています。
ところが、県教育委員会は、「特色ある高校」作りと称してこの総合選抜制度を破棄し、単独選抜制度に切り替えようとしています。今、日本の教育については、国連から「過度な競争に子どもたちをさらしている」として、その是正勧告が出されていますが、県の教育行政としても、国連のこの指摘を真摯に受け止めて、過度な競争の是正に取り組む事が求められています。
私はその点で、先般出版された「こころの叫びが届く――つくりませんかこんな学びと学校」という本で紹介された西宮の中学校での教育実践は、おおいに学ぶべきところがあると考えるものです。子どもの声しっかり受け止め、みんなで学び成長し合う教育実践の記録です。「時間をかけてやれば、立派に才能を開花できる。」「早くから人間を振り分ける過酷な状態が、芽を摘んでしまう」と語っておられます。公立中学と同じように高校間に学力格差やランク付けが基本的にない選抜制度、総合選抜制だからこそ、このような教育を可能にするのではないでしょうか。
逆に子どもたちを成績順にわけ、選別と競争を押しつける高校選抜制度は、子どもの真の意味での成長を抑える事になるということではないでしょうか。
また、この問題では、何よりも主人公たる住民や子どもたちの声を聞き、それを生かした取り組みが保障されなければなりません。県教育委員会は、この間、さかんに「県民の声は聞いた、フォーラムをしてきた」と説明してきましたが、その実態は阪神地域のフォーラム参加は、例えば西宮ではわずか6人だけ、西宮学区協議会には一般市民の参加は一人もなく、全く形式的なものに終わっています。しかも、参加者の声も「中学校から高校への受験の時の競争原理が少ない方が良い」と中学校の校長先生が述べるなど大半が、西宮での総合選抜の長い歴史の尊重と維持を求めるものです。
そこで総合学科などの総選制つぶしの動きを直ちに中止し、総合選抜制の良さがいっそう発揮できる高校改革を進めることを求めます。答弁を求めます。
▼答弁▼武田教育長:
まず本県におきましては、これまで県立高等学校教育改革第1次実施計画に基づきまして、ご指摘のありました総合学科あるいは単位制高校合計14校すでに設置をいたしました。それ以外に新しいタイプの学校のほか、国際人間科や環境防災科などの設置をはじめとした魅力ある学校づくりの推進に努めてきたところであります。これら、前期計画の実施状況について後期計画推進委員会から一定の評価を受けたことを踏まえ基本的な変更をすることなしに本年度から後期計画を着実に推進しているところであります。
本県の選抜制度につきましては歴史的経緯の中で県下で単独選抜、総合選抜、連携校方式が実施されていることはご案内の通りでありますが、社会が成熟化し世の中の価値観が多様化する中で高校の個性化、多様化の推進が求められておりまして、学びたいことが学べる学校選択をいっそう可能とする入学者選抜制度の導入が急務となっております。そのため15年度選抜から単独選抜と総合選抜の長所を取り入れました複数志願選抜と特色選抜からなる新しい選抜制度を神戸大3学区に導入したところであります。導入後2年後の検証結果を見ましても、学校選択幅の拡大、学校間の序列の緩和といった初期の目的がほぼ達成されたものと受け止めているところでございます。
県教育委員会としましては、これらの成果を踏まえ今後も第一次実施計画にもとづき着実に高校教育改革を進めてまいる所存でございます。
尼崎に新しい養護学校の建設を
■質問■ つぎに阪神地域における養護学校の建設についてです。
私の地元の阪神地域にある阪神養護学校、こやの里養護学校の2つの学校は、入学生が増え続け超過密状態となっています。
私たちが、阪神地域に養護学校の新設を求めた際、教育長は、「特に過密で危険という状況になっているものとは受け止めておりません」と答弁されましたが、いったい、学校現場の実情を本当に把握しているのか疑わざるを得ません。両校の児童数は、近年増加傾向にあり600人に近い状態となり、とりわけ、こやの里養護学校は(建蔽率いっぱいとなり、いっさい増築不可能という異常な状態で)、校庭が狭く危険なため、ブランコに鍵をかけるとか、学習室や女子更衣室を教室に転用しているのが実情です。
また、阪神養護学校は、7つのトイレのうち1カ所だけにしかシャワーがないため、障害児がトイレで失敗したとき、子どもの尊厳も守ることができない実態です。校舎も築36年、養護学校の中でも古く、障害児が利用しやすいということがほとんど考えてられていない設計で、その上、図書室を削って教室をつくっているという実態です。
なぜこうした状態になっているのでしょうか。
学齢人口あたりの養護学校の数は、本県はワースト14位、全国の大規模養護学校40番の中に阪神養護、こやの里養護が入っているように、阪神地域に養護学校の数が少ないために、異常な過密過大養護学校となっているのです。
また、障害児の中で養護学校に通う子どもの比率は、全国でワースト3位という低さです。本来養護学校で学ぶべき子どもたちが、養護学校に入学できない状況にあるのです。
県は、特別支援教育の実施を見てからとの態度ですが、阪神地域での養護学校の建設は喫緊の課題ではないでしょうか。
この阪神養護とこやの里養護の2つの養護学校に通う子どものうち、3分の1が尼崎の子どもです。関係者からは、尼崎に養護学校を一校つくってほしい、との声が挙がっています。西宮の阪神養護、伊丹市のこやの里養護、それに尼崎に新しく養護学校が建設されれば、それぞれ、200名弱の養護学校規模となり、それぞれの養護学校の改善、充実にも大きな条件をつくるものです。
そこで是非、尼崎に新しく養護学校の新設を求めるものですがいかがでしょうか。
▼答弁▼武田教育長:阪神、昆陽の里養護学校、両校の児童生徒数は、平成元年度に618人とピークとなり平成2年度に尼崎分校を開校し対応をはかってきたところであります。
その後、平成8年度までに減少傾向にありましたが、年々高等部への進学率が高まりましたことから、高等部を中心に生徒数が増加して来たところであります。現在、本年度を見ますと両校の児童生徒数は、597人でございまして、平成元年度当時のピークを下回っている状況にあるわけであります。
このような児童生徒数の増加等の状況に応じまして特別教室の増築、スクールバスの増車などの対応をはかってきたところでありますが、今年度は、先程ご指摘がありましたけれどもシャワー設備の整備にすでに着手しているところであります。現在国において中央教育審議会特別支援教育特別委員会が設けられ、盲聾養護学校制度の見直しや小中学校における学習障害児等特別支援教育の推進体制の整備等について審議が進められているところでございます。
年内に答申が出されると聞いているところでございます。今後県といたしましても答申内容を踏まえながら盲聾養護学校のありかたについて検討することといたしておりまして阪神地域の養護学校についても多角的な観点から、その中で検討してまいりたいと考えているところであります。
なお障害児の中で養護学校に通う比率は全国でワースト3という低さであり本来養護学校で学ぶべきこどもたちが養護学校に入学できない状況にあるとの指摘があったわけですが、本県におきましては養護学校あるいは普通校の障害児学級いずれの進路選択におきましても児童生徒や保護者の希望を尊重し、養護学校への希望者は全員入学をしてきたところであります。その結果として障害児学級につきましては、全国平均の56.5%を大きく上回る86.4%の小中学校に設置がなされており、とりわけ阪神地域におきましては、95.1%と全国でも特に高い設置率となっているところであります。御理解をいただきたいというふうに思っております。
阪神養護 こやの里養護の耐震改修工事を早急に
■質問■ さらに、南海沖地震が近づく中で、学校の耐震化などが、強く求められていますが、特に養護学校は防災対策が急がれます。ところが、2校とも指摘したような超過密状態にありますが、災害が起きた時の児童の安全が保障されるのか極めて危惧されます。特に阪神養護学校は、県が行った建物の耐震性の(一次)検査でも、安全性の診断結果が0.1から0.3程度という驚くべき低さで、大地震で地盤が2メートルも沈下した武庫川堤防と同じ砂地盤であること、震度5以上の地震が想定される場所である事などを考慮すれば、耐震性が全くないに等しい状態です。阪神養護学校は直ちに耐震化工事をすべきと考えますが、いかがですか。答弁願います。
▼答弁▼武田教育長:学校施設は生徒達が一日の大半を過ごす学習あるいは生活の場であり地震等の発生時には、応急避難所としての役割も果たしますことから、早期に耐震化をはかる必要があるものと考えております。このためすべての県立学校施設の耐震診断を今年度中に完了させることしておりまして、阪神養護学校につきましてもこの中で適切に判断してまいりたいと考えておりますの御理解をいただきたいと思っております。
県警の自動車警ら隊書類偽造事件
第三者機関での徹底した調査と再発防止を
■質問■ 次に警察問題についてであります。
兵庫県警にかかわって、この間、明石の歩道橋事件、神戸西区の大学院生殺害事件に続いて運転免許証に拘わる事件。加古川七人殺害事件。自動車警ら隊の事件など県警に拘わる重大問題が相次ぎ、また北海道警をきっかけに組織的裏金作りの疑惑が各府県に広がるなか、本県でも捜査協力費の領収書問題が明らかになりました。
このような問題は、警察官個人の不祥事だけではなく、警察組織そのものに拘わる重要な問題であり、警察法でうたっている「個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持する」組織とは、全く異なる組織になっていることを示しています。
特に自動車警ら隊の書類偽造事件については、「2年間で200件の書類ねつ造。50人以上関与」とか「20年前から書類偽造」、「三文判や異動隊員の印鑑を収集してねつ造に使っていた」など各新聞が一斉に報道したように、その悪質性、組織的犯罪性は驚くべきものです。県警は7月の警察常任委員会ではじめて県議会に報告し、「現段階で200件の不正が確認された」「自浄作用を発揮し、再発防止に取り組む」としました。
しかし先日、昨年の問題が発覚し調査が行われている最中にさらなる偽造が繰り返されていたことが明らかとなったのです。「あらたに関与した隊員に事情を聞き、2000件の追加調査を開始」する事態です。
2004年は調査の対象に入っていないから「調べられないと思った」という今回の隊員の言葉は、長年にわたり「ばれないと思った」と偽造を慣例化させ、横行させた理由と同じ姿勢で、事件への反省が全くないことを示しています。「綱紀粛正」の掛け声だけではどうにもならない、もっと根深い問題があるのではないでしょうか。
これでは県民は、県警の言う「自浄作用」や「内部調査」「再発防止策」についても疑問をいだかざるを得ません。
徹底した調査や関与した隊員の厳正な処分は当然ですが、なぜこうした犯罪が警察で長年横行し、反省もされないのか。検挙ノルマによる管理、点数制による昇進がどのように影響したのか。幹部が部下にノルマ・命令を押付けることや、部下が上司にたいして批判できない非民主的体質など、原因と組織的問題の徹底解明こそが求められています。
その解明は、内部での調査では、到底不十分で、内部調査を県民に公開したうえに、外部の識者・第三者も入れた機関で、その原因解明と再発防止策の検討をオープンに議論することが不可欠です。
そこでこの間の問題点、教訓を客観的に引き出し、真に県民の声に応える警察に改革していくために県警本部長として、第三者機関をつくって徹底した調査をすることを約束していただきたいと考えますが、いかがですか。答弁を願います。
▼答弁▼辰巳警察本部長:
自動車警邏隊員による文書偽造容疑事案につきましては、警察組織の自浄機能を十分に発揮し信頼回復に努めることは何より肝要であると考えているところであり、すでに特別体制を組み公安員会の管理の元、徹底した調査捜査を行っているところであります。県警察としては、早急にその全容を解明して事件として立件すべきものは立件し、また処分すべき職員は処分するという方針で厳正に対処すると共に、本件の原因、動機、背景等を把握して再発防止の諸対策を講じる所存であります。またこれらの内容につきましては、県民のみなさんにも明らかにしてまいりたいと考えております。県警察といたしましてはこうした一連の措置によりまして公正さや客観性の確保につきましても、十分に実効を期することができるものと考えているところであります。今後は、早期に本件事案の全容を把握し厳正な措置をとるとともに、職員の職務倫理の向上にいっそう努力し、また目に見えるかたちで仕事の成果を上げることにより県民のみなさまも信頼の回復に努めてまいりたいと考えておりますのでご理解いただきますようお願い申し上げます。
■質問■ 一つ答弁もれがありますので、それは台風被害の床上浸水の調査をしていないではないかということを質問したんですけれども、答弁ではその制度の説明だけで終わっておりますので、その制度を現場では実行していないではないかということを聞いております。その点についてもう一度答弁をお願いします。
■再質問■ 1点に絞って行いますが。ぜひ、知事にご答弁願います。
それは福祉医療についてです。先程これまでの答弁を繰り返された。
しかし、今ですねこの福祉医療につきましては本当に医療費の助成の削減そのものに多くの県民が反対しているところに真摯に目を向けていただきたいと思うんです。例えば、神戸の医師会が、今年1月と8月9月も署名に取組まれて、この神戸市だけで1月を上回って約8万人の署名が集まっております。
この神戸医師会の会長名で各会員に出された反対署名の運動への御協力に対するお礼というこういう文書がでているんです。私も拝見させていただきますとこういうふうに書かれています。いろいろと反対署名の結果を報告しながら、「例え兵庫県が助成金削減を強行しても、神戸市単独ででもこの助成制度を続ける方向で話が進んでいます」という報告がされています。これは、神戸は、県以上に財政が厳しい状況の中でなんとか県にやってほしいと。しかしどうしても強行するのであれば市独自でも続けたいとそういうことが今検討されているということですね。それともう一つ今回神戸と西宮の両市議会で意見書が採択されています。この神戸と西宮併せますと200万人の人口が住んでいる。そこを代表する市議会が反対決議をして県に上げてきているわけですね。これらは本当にどれだけ多くの県民が福祉医療制度の削減に反対をして存続を求めているかということを示していると思うんです。本当にいま知事ですね、この県民の「助成をなんとか続けてほしい」という声を一度真正面から真剣に検討していただきたいと。ここでぜひ検討するということをここで表明していただきたいと思います。知事お願いしたい。
▼答弁▼井戸知事:まず災害の被害認定の件につきましては、運用指針より市町村が行うことになっています従って市町が責任を持ってマニュアルに基づいて複数の班別編成により適切な調査を行ったものと考えています。申し上げておりますので答弁もれをしているつもりはございません。
現に私の手許にある資料を見ましても調査日数はばらばらでありますが、それぞれの被害に応じて体制を組んで適格な担当職員によります現認あるいは、町内会長等によります現場確認等もなされているところでございますので御理解いただきたいと存じます。
それから福祉医療につきましては何回も申し上げておりますように、私は制度をこのまま根幹を維持するためにも今のあまりにも不均衡になっている是正がそのまま放置しておいたら制度の根幹そのものに対する疑問が生じてくるのであり、逆に非常に方々にとっては負担の差があるかも知れません。
けれども、例えば障害者につきましては、国の制度は、育成医療は2200円から数万円の月負担になっている状況の中で2200円程度の負担になるような、それ以上の負担を求めないわけでありますので、そのような負担程度は、御協力頂くことにより制度全体を今後とも維持していく、そのような考え方をとるべきではないだろうかとこのように申し上げているわけでございます。
県としての考え方を踏まえてそれぞれの市が独自にどのようにご判断されるか、それについてまで私はとやかく申し上げる立場ではありませんけれども、県の考え方自体は県議会の特別委員会でも再三ご議論を賜った上でその方向性については良としていただき、「実施時期についてよく市町と協議をせい」というご宿題をいただき現在実施時期について市町の意見を伺っている。このような実情であることに御理解をいただきたいと存じます。 |