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本会議 第279回県議会議案反対討論 ねりき恵子
2004年06月11日

 私は日本共産党県議団を代表して議案第70号・第75号・第92号・第97号・第114号・第115号・第125号ないし第127号・第129号ないし第132号・ 報第2号に反対の立場で討論を行います。

保育士試験の民間委託に反対

 まず初めに、議案第70号「委員会の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例制定の件」についてです。
  これは児童福祉法の改正により、各都道府県で行っていた保育士試験を社団法人全国保育士養成協議会に事業委託するのに伴い、これまで県が行っていた試験問題の作成や委員を置く必要がなくなり、その費用等に係る規定を削除するものです。
  保育士試験実施内容の平準化と試験合格者の質について均等となることをうたっていますが、保育士試験を保育士養成学校の経営者の全国組織に委託して本当に公正な試験が保障されるのでしょうか。
  「一級小型自動車整備技能検定」の国家試験問題をトヨタが系列の300社にもらしていた事件がおきており、公正な試験を保障するために県が直接責任をもつべきです。
  本来保育士は乳幼児の豊かな人間性の発達を促す重要な専門性が必要とされ、行政が責任をもつべきであり民間に丸投げするのは認められません。

県営住宅の追い出し議案の一部に反対

 次に県営住宅の出訴議案のうち、第75号、第92号、第97号、第114号、第115号の5件について反対するものです。
  「長期間家賃滞納」「督促しても支払われない」とすべて悪質滞納のように言っていますが、実際には以下のような様々なケースがあります。
  例えばあるケースは、減額申請のことは知らず、悩みあきらめている内に近傍同種家賃となって払えないまま現在にいたっているという事です。この方は仕事がなくなったため、2002年3月頃から滞納が始まり、その後遅れながらも数ヶ月分納入していました。しかし、給与所得が激減したため昨年の12月に妻が来庁し、「期限を延ばしてほしい」と相談しています。このケースの場合は減免申請について丁寧に教えてもらっていれば解決の方向に向かったのではないでしょうか。
  二つ目のケースは、にはもともと母子家庭で収入が少ない上18歳を超えた息子も怪我をし仕事ができなくなり、本人もリストラで失業し収入がなくなりました。それでも、2003年2月に2ヶ月分を納付し、その後所得証明をある住宅公社に持っていきましたが「担当者がいない」と受け取ってもくれなかったとの事です。その後近傍同種家賃になってそれまでの5200円から一気に3万6000円に跳ね上がりとても払えなくなり、悩み途方にくれていたというのです。
  この2世帯も含め今回反対する5件すべての世帯の収入は生活保護基準以下であり、様々な理由から今回の事態になっているのですから、直接当人と出会って対応出来ていれば・・と思われるケースばかりです。                  
  また、当局は「分割納付や減免等の相談をしてくださいとお知らせしている」と言われますが、実際にはほとんど説明されていないのが実態です。
  もっと丁寧な対応があればここまで至っていない人は多いのです。「悪質滞納者」と、このようなやむをえない滞納者を同一に見るのは問題があり、住宅の追い出しに反対するものです。

利水・治水・環境の面から生活ダムに反対

  次に議案第125号「西紀ダム用地取得の件」です。このダムの計画予定地はなだらかなほじょう整備された水田が続く場所であり、「ここになぜダムが必要なのか?ここにダムをつくるのが適当なのか?」と誰もが思うような場所です。
  旧西紀町の水使用実態は平均1000立方メートルに対し需要見込みは2000立方メートルを見込んでいるなど、実態と全くかけはなれていますし、洪水対策についても「河川改修」の方がはるかに安くすみます。また、ここには県のレッドデーターブックで絶滅の危険があるといわれる植物が多くあります。移植は非常に困難と言われている「ヒナノシャクジョウ」や環境庁レッドデーターブック「絶滅危惧2類」である「ラン科のエビネやキンラン」などが生息しています。利水・治水・環境のどの面から考えても必要のないダムであり、用地取得は中止するべきであり反対するものです。
  議案第127号「但東ダム建設工事業務委託契約締結の件」についても、人口が減少しているのに1日の最大給水量を3割近くの増加をみこんでいます。
  代替案の河川改修案もわざわざ勾配の緩い護岸にして、費用を過大に見積もるなど真剣に比較検討されているとは考えられません。
  環境調査報告書によると兵庫県の記録が極めて少ないとされる水辺の鳥であるアオシギがダムの建設で「生息環境がすべて改良されて大きな影響を受ける」とされています。その他「ゲンジボタル」がすこし上流に生息し、環境庁のレッドリスト「準絶滅危惧種」であるワシタカ科の「ハチクマ」なども生息し、調査では古い巣もみつかり繁殖の可能性もあります。自然豊かな環境を保全するべき地域であり、ダム建設は認められません。

必要のない道路建設工事の見直しを

 次に議案第126号「緊急道路整備事業朝来町道釣坂線あすなろトンネル建設工事請負契約変更の件」です。地元でも必要性が疑問視されており、わずか10分間を短縮するために16億円も投資してきた事業です。
  国道429号線は冬でも積雪で通行不能になる状況でもなく、他にも代替道路があり、無駄な事業です。
  減額の変更とはいえ、その額もわずかであり、事業そのものをしていなければ16億円もの費用が必要なかったわけです。この際、公共事業の抜本的見直しを真剣に考えていく立場でも賛成は出来ません。
 
  次に議案第129号ないし第132号「県営住宅建設工事業務委託締結の件」です。
  私たちは、住宅に困っている県民に低廉な家賃で住みやすい住宅をもっと供給すべきであるという立場から、県営住宅の増築は勿論、古くなった住宅の建て替えは必要であると考えています。
  しかし、県営住宅でありながら、住宅供給公社へ設計、建設、管理をすべて委託してしまっては県として公的な責任が果たせるのかという大きな問題があります。
  また、業務委託の相手方は住宅供給公社となり入札の際の透明性や公平性、業務内容など議会のチェック機能が果たせないなど、問題を指摘してきたところです。県はこの業務委託について「県にとっても県営住宅は建て替え等の業務の効率化が図られる」と言われますが、委託が始まって4年目になってもそのメリット、デメリットを評価もしていないことは問題てす。よってこの議案には賛成できません。

 最後に報第2号「専決処分をしたものにつき承認を求める件」です。
  国の地方税制の改正によって個人住民税の老年者控除の廃止、均等割りの引き上げが行なわれ、庶民に負担増をおしつけられました。
  その一方で、法人に対しては法人事業税の個別の課税標準の特例で、税負担能力のある法人が恩恵を受ける税制改正もおこなわれており、庶民には負担増、大企業には減税と全く逆立ちした施策です。
  今回の県条例の見直しでも個人県民税の所得割の非課税限度額が36万円から35万円に引き下げられるもので、県民にとっても増税となり賛成できません。
  以上議員の皆さんの賛同をお願いして私の討論を終わります。

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