このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。
メニューをスキップする TOPページへ 本会議へ 予算決算特別委員会へ ニュースへ 政策見解へ 県会報告へ リンクへ スケジュールへ
本会議 第279回県議会「請願」反対討論 中村まさひろ
2004年06月11日

 私は日本共産党県会議員団を代表して、請願第58号ないし第61号、第63号ないし第67号の9件については不採択でなく採択を、請願第57号は採択ではなく不採択を求めて討論を行います。

教育基本法の改悪に反対

 まず教育基本法に関連する請願についてです。
  昨年3月、中央教育審議会が「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画のあり方について」の答申を出し、その後、教育基本法の改悪に向けた動きが本格化しています。
  請願第58号ないし第61号の4件はいずれも、教育基本法を「改正」するのではなく、法の趣旨を教育に生かすことを求めているものです。
  請願者は、教育関係者、女性団体、県内の弁護士44名が連名で出すなど、幅広い県民が教育基本法の改悪に危険な動きを感じていることを表しているものといえます。
  答申が出された当日、日本弁護士連合会(日弁連)はただちに会長声明を発表し、憲法や、子どもの権利条約などが示す国際準則に照らし、一つ、人権としての教育への権利の実現を危うくするものである。二つ、公教育の場において「国を愛する心」を押しつけて個人の内心の自由を保障する憲法19条に抵触するおそれがある。三つ、教育行政が「教育内容」にも積極的に介入することは、最高裁判決にも反するものである。等々、7項目にわたる問題点を指摘しています。
  今回の請願は、このような問題点を指摘しつつ、教育の危機や困難な諸問題の原因は、教育基本法が教育の諸施策として実施されてこなかったことにある。今やるべきは、国民の誰もが望んでいる30人学級の実現や、教育条件の整備などであり、教育基本法の理念と内容を教育現場で実践出来る諸施策を実施し、教育の隅々にまで教育基本法を行き渡らせることである、と明快に述べておられます。
  これら請願の願意は、真剣に子どもたちの健全な成長を望む県民にとって当然のことであり、採択を強く求めるものであります。
  一方、請願第57号「教育基本法の早期改正を求める意見書提出の件」は、戦後の教育は多くの課題を抱えるに至ったとしながら、なぜ現行の教育基本法ではだめなのかその中身にはいっさい触れることもせず、「教育改革は国民的課題、教育基本法の改正が必要」とことさら強調しているだけであります。そしてその中身は、ただいま申し上げた危険な内容であり県民が納得出来るものではありません。よって本請願は不採択とすべきであります。

住民や自治体を戦争協力させる「国民保護法」「有事法制」反対

 次に、請願第63号、「国民保護法案などの有事関連7法案に反対する意見書提出の件」です。
  先月20日、自民・公明の与党と民主党は、十分な審議もなく有事関連7法案の採決を衆議院で強行しました。
  また先日、イラク問題に関して、国連安保理の新決議が採択されましたが、イラクでは米英中心の占領軍の軍事弾圧と無差別殺りく、虐待などの無法が、イラク国民の強い怒りを呼び起こし、いまだに戦争状態か続いています。米英軍による戦争と軍事占領がいかに大義のない暴挙であるかは誰の目にも明らかです。
  このようなアメリカの戦争に、自衛隊をはじめ国、自治体、民間企業、国民を強制的に総動員する仕組みを具体化するのが、今回の有事関連7法案です。
  本請願の指摘は、とりわけ「国民保護法案」について、国民の財産取り上げや住民や自治体の戦争への協力を罰則までつけて強制する内容であり、憲法で保障された基本的人権を根本からくつがえすものであるとしています。その上、自治体は非現実的な「住民避難」計画作りも強制されることになります。
  また、「特定公共施設利用法案」は、自治体の管理する公共施設を首相の指示で軍事利用できるようにするもので、わが県民と神戸市民が30年間守ってきた「非核神戸方式」をも脅かすものであります。
  こんなことがまかり通れば、自治体が定める条例が国によって無力化されることになり、地方自治にとって致命的と言わなければなりません。 県議会としてただちに国に声をあげることを求める願意はまことに妥当であり、本請願の採択を求めます。

「県行革」による入院給食費助成などの改悪撤回を

次に、第64号、「入院給食費助成の継続と患者負担増計画の完全撤回を求める件」です。一昨日の代表質問で、わが党は「県行革」による福祉医療制度改悪が、いかに県民に負担増をもたらし、いのちと健康をそこなうことになるかを明らかにしました。知事は、「受益と負担」のバランスといううたい文句を繰り返し、「国も医療費の負担を導入しており、なぜひとり兵庫県だけが〜〜」など答弁されましたが、住民の命とくらしを守ることは、自治体が最優先しなければならない責務ではありませんか。国が負担増を押しつけてきたら、それに反対して県民をまもる立場に立つべきです。ところが、県「行革」を振りかざして、社会的弱者に追い打ちをかけるがごとく負担増計画を強行することは、県としての責務を放棄するだけでなく、県下市町が住民の健康を守る施策を続けようとすれば、市・町に負担を肩代わりさせることになるのです。
  今回、この請願は1万7556名の署名とともに提出されましたが、1月からの累計では14万筆をこえているとのことです。県民の切実な声に応え、本請願は採択されるべきであります。

少子化対策の強化となる乳幼児医療費の完全無料化を

 次に、第65号、「乳幼児医療費の無料化を求める件」です。
  本請願が指摘しているように、国でも県でも子どもの数は減少を続けており、少子化の克服はもはや待ったなしの課題となっています。運動の高まりによって、子育てにかかるお金、中でも医療費負担をなくして子育てを支援しようという動きは全国的な流れとなりました。県が乳幼児医療費の通院1割負担を続けていることや、入院給食費補助を打ち切って収入の少ない若い親に新たな負担を導入しようとすることは、この流れに逆行するものです。
 自治体が乳幼児医療費無料化などをおこなうと、国がペナルティーを課し、国保への国庫負担を減額することをわが党は批判し、全国自治体で様々な取り組みが進んでいる乳幼児医療費無料化は、国として実施することを求めていますが、県として、親たちの願いにこたえ、少子化克服の課題に率先して取り組むためにも、本県での無料化実現は急務であります。よって、本請願の採択を求めるものです。

生活保護制度の改悪でなく、充実こそ

 請願第66号、「生活保護の国庫補助の削減と基準引き下げの中止を求める意見書提出の件」についてです。
  今年4月から、生活保護の老齢加算の縮小と物価スライドによる支給減が開始され、高齢の生活保護受給者から「もともと大変なのに1万円以上も支給額が減り、これでは生きていけない」と悲鳴があがっています。老齢加算は、高齢者の肉体的・社会的条件から必要な生活上の配慮をしたものですが、政府はこれをなくす根拠もまったく示さないまま、廃止を決めてしまいました。厚生労働省の担当者は「財政的効果を得たい」ためだとあからさまに語っています。
  その上、来年度以降は、生活扶助基準のいっそうの引き下げと、国庫負担の大幅削減が計画されています。
  不況で住民の生活が厳しい状況のもと、生活保護の役割はますます高まっています。
  兵庫県下でも、生活保護世帯は、98年度の3万1824世帯から、2002年度の4万5289世帯とわずか4年間で1.42倍と急増しています。このような中で国庫負担の削減は地方財政にも深刻な影響を及ぼします。
  生活保護基準は、不十分ながらも、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」に必要な生活費の基準となっており、引き下げは生活保護世帯だけの問題ではなく、賃金水準や社会保障など、住民生活全体に影響するものです。本請願が「必要なことは改悪でなく権利として安心して生活保護が受けられるようにすること」としている願意は当然であり、採択を求めます。

県営住宅からの追い出しを行政まかせにするな

 最後に、請願第67号「『兵庫県営住宅の明け渡し並びに滞納家賃及び損害賠償金の支払いを求める訴えの提起』を兵庫県議会の議決事項として存続を求める件」についてです。 先ほどの県営住宅立ち退きの「出訴」に関する議案討論で、生活苦から滞納した家賃を少しでも納入しようと努力をしている入居者を、他の悪質入居者と同様に「画一的」に「出訴」にかける不当性を具体的事例を挙げて示しました。
  また、議員提出第6号議案として出された「県議会の権限に属する事項中知事の専決処分事項指定の件」への討論では「居住権は個人の権利に関わるもので、決して軽易な事項でない」ことを明らかにし、「大震災の被害を受けた本県被災弱者への居住保障」の観点から、さらに「県議会の役割放棄の危険性」から問題点を指摘しましたが、本請願も「国連社会権規約及び『最終見解』を尊重、遵守し、兵庫県議会のより一層の機能充実のため、県議会の議決事項として存続」することを求めています。本請願の願意は当然であり、採択を求めます。
  以上、議員各位のご賛同を期待いたしまして討論を終わります。 ご静聴ありがとうございました。

前のページへ戻る このページの上へ
Copyright(c)2001-2018 日本共産党兵庫県会議員団