■質問■ わたしは、日本共産党県会議員団を代表して、県政の当面する重要問題について質問いたします。
質問に先立ち、一言申し上げます。
さる6月4日から6日にかけて、大阪湾・津名港沖合を利用した海上自衛隊による大規模な軍事演習・訓練が実施されました。
この演習に際して、港湾の使用をどこよりも早く許可したのが兵庫県知事でした。たいへん残念です。
いま、県民と自治体を戦争動員させようとする有事関連法案が国会で審議されているなかでの今回の軍事演習が、その地ならし的役割を果たすものであり、それに迎合することは、平和を願う県民に背を向ける態度だと言わねばなりません。
わたしたちは、イラクや北朝鮮問題をはじめとする国際的諸問題の、対話による平和的解決を追求し、自衛隊の海外派兵とアメリカの戦争への協力を押付ける動きをやめさせるために、全力をつくすことを表明して、以下、順次質問します。
▼答弁▼井戸知事:海上自衛隊呉地方隊の50周年を記念しての成果を国民に展示する訓練であると私は承知しておりまして、ご指摘のようなことではなかったと考えております。
「県行革」による福祉医療改悪の撤回を
■質問■ 質問の第1は、「県行革」特に福祉医療制度に関わる問題です。
県の新年度予算がスタートして、二ヶ月。県「行財政構造改革推進方策後期五か年の取組み」は、県民に痛みだけをさらにおしつけるものとなっています。
県民の怒りの声、県医師会、神戸市医師会など、署名活動の広がりや神戸市議会からの意見書提出など様々な分野からの県民の抗議の声の前に、県は今年2月に決定された「推進方策」では一定の「見直し」がされました。しかし、入院生活福祉給付金の廃止を決定。さらに、老人医療費二割負担導入や乳幼児医療費入院有料化、重度心身障害者・児、母子医療費有料化など88億円もの県民負担増をもたらす福祉医療切り捨て「方策」は、10月実施を断念となったものの、いまだ撤回していません。
先日、県「腎友会」の方にお聞きしました。透析をはじめて31年目の女性の話ですが、「血管壁にカルシウムが沈着するため、血管が細くなってしまい、少し歩いても息苦しく、そのためカテーテルを入れ、バルーンで血管を膨らませるのに、定期的な入院を余儀なくされる。さらには合併症で、眼科、歯科、腰に負担がきて、整形外科にも通う」とのことです。県の改悪で無料だったのに、毎月数千円もの負担増になります。ほとんどの患者さんに共通する状況で、必死に社会参加をされている方々で、これ以上の負担は耐えられないとの訴えでした。
また、兵庫県保険医協会の調査でも、この間の国・県の高齢者にたいする負担増が受診抑制にもつながり、薬を減らしたり、通院をやめたりして、結局重症におちいっているとのことです。
さらに、2003年度に県が実施した「県民意識調査」では、「理想とする子どもの数は3人がよい」そして、「安心して子どもを生み育てるために大切なこと」は、「子育てにたいする経済的支援」との回答がいずれもトップです。ところが、本県の合計特殊出生率は、1.29と減りつづけています。この現実を理想に近づけることが、まさに「少子化対策」です。
議会開会日には、若いお母さん方が、小さなこどもを連れて、乳幼児医療費無料化を求める県交渉を行ないましたが、乳幼児医療費助成の改悪は、まさに「少子化対策強化」の時代の流れに逆行しています。
「県は今後、制度の見直しにあたっては、事業主体である市町等との充分な協議検討を行うこととする」と明言していたので、わたしは、県当局にその後の市町との協議の状況をおたずねしました。ところが、全く話し合いがなされておらず、要するに、市町に押し付けようとする姿勢が明白です。
これでは、多くの市町や県民、団体などが反対を受けて、延期をしたことは、その場限りの苦し紛れの策であったのかと疑わざるを得ません。
市町は、国、県からの補助金削減などともあいまってより財政難が深刻です。県が福祉医療の助成を削減すれば、市町で県の分まで負担できる自治体は、ありません。
伊丹市や三田市など各市は、「県の制度では不十分」と、様々な上乗せの助成をしていますが、このまま県がバッサリ削ってしまえば、県に関わる制度だけでなく、県民への福祉医療制度が根幹から総崩れしかねません。少しでも県民の生命とくらしに心をくだくのなら、絶対にしてはならないことです。
入院時における食事は、その症例にあわせた治療の一環であり、入院生活福祉給付金は、廃止を撤回し、継続をすること。
そして、市町との十分な協議と、県民の声、実態を充分把握、理解し、福祉医療削減は、きっぱりと中止すべきと考えますが、明確な答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:県行革福祉医療制度の中止についてです。今回の行財政構造改革は、社会経済情勢の変化、特に産業面での厳しさ、国や他の制度との整合性、受益と負担とのバランス、目的を達した制度の見直し、ストックの活用、より県民本位の県政の運営といった観点から見直しを行い、そして新たな県民ニーズに的確に対応していこうとしたものであります。県議会での調査特別委員会でのご審議はもとより有識者や県民のみなさま方のご意見も伺いながら検討を重ねたものであります。ご指摘の入院生活福祉給付金は食事が入院在宅療養におきましても必要であり老人保険医療制度や介護保険制度においても食事療養費は自己負担とされていることを勘案して廃止することにしたものです。福祉医療制度につきましては、国の医療保険制度改革により平成15年4月から社会保険の本人および家族の負担割合が2割から3割に引き上げられたことにより福祉医療制度の対象者とその他の者との負担の格差が拡大しますし、厚生医療や育成医療においても所得に応じて一部負担制度が導入されていることなどから、制度を取り巻く環境は大きく変化しておりますので、制度を支える者と支える者との均衡や将来にわたり制度を維持する観点から一部負担のありかたについて見直しをしたものであります。制度の見直しにあたっては事業主体である市町とも十分な協議検討を行うとともに、新制度への移行にあたっては対象者に説明衆知してまいります。
保育所待機者の解消へ 施設の増設を
■質問■ 次に、保育所の問題です。
子どもが減っているにも関わらず、「保育所に申し込んでもすぐに入れない」というのが常識になっています。シングルマザーの会でも「一番大変だったのが子どもの保育所探しだった」と報告されています。
働く女性が増えているにも関わらず、保育所の創設はわずかしかありません。
待機児童を解消するためには国の責任が重大ですが、小泉内閣の「目玉」政策の一つである「待機児童ゼロ作戦」と新エンゼルプランは今年で打ち切るとの方針を出しています。このままでは「ゼロ作戦」が看板倒れとなる事は明らかです。
先日待機児童250人以上の自治体、神戸市・西宮市を含む18市の担当者が厚労省に呼ばれ、「今後国の予算枠でまかなえなくなる」と、国の財政難を理由に危機感をあおり、保育所整備を縮小すると言わんばかりの対応です。
これでは「待機児童の解消」ができないのは明らかではないでしょうか。
また、保育環境の質の低下も大きな問題です。
国は定員の25%増で「詰め込み保育」をすすめ、さらには保育所の設置、職員配置を決めた最低基準を「緩和」し、保育を民間営利企業などの手にゆだねようとしています。様々な問題をおこした「ちびっこ園」のような所をいっそう広げることになりかねません。
深刻な社会のゆがみや家庭生活の不安定さに大きな影響を受けている子ども達にとって、保育所の役割は、ますます重要になっていますが、県下の待機児童数は各年4月1日現在で、2001年から1589人、2125人、1814人となっています。この数字も、「待機児童の基準」改定後、公立や認可保育所に入りたくても入れずに、仕方なく「保育ママ」等を利用している場合などの人はカウントされず、その他、ベビーホテルの利用者なども考えると、潜在的な待機児童数は現れている数字の何倍にもなると考えられます。
以前、わが党の質問に対し、知事は「今後とも保育需要を的確に把握し、待機児童の解消を図っていく」という答弁をされていますが、県として本当に深刻な待機者の数や実態を把握されているとは思えません。
県の待機児童の解消策も「定員の弾力化」や「民間活力の導入」がほとんどで、市町任せの対策です。
「次世代育成支援対策推進法」の中にも、県として待機児童の解消にむけ、努力を義務づけています。
- 待機児童の解消のため、施設整備費等の増額を、国に強く申し入れるべきと考えますがいかがですか。
また、県としても待機児童対策を市町任せにせず、正確な実態を調査、把握し待機児童の多い自治体とともに、保育所のさらなる増設計画を持つべきです。明確な答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事: 本県では、保育所待機児童の解消は、子育て支援を推進する上で重要な課題であり、市町の待機児童解消計画を含めた計画として本年度末に策定する保育計画に基づきましてさらに待機児童の解消に努めてまいります。現在の取組としては、待機児童が恒常的に発生している地域や増加傾向にある地域における保育所の新増築、加えてNPO法人などの設置主体の多様化の推進。保育所の分園設置、基準を満たす認可外保育施設の認可化、保護者のニーズに直ちに応えられる定員の弾力化の活用などによる受け入れ児童数の拡大を指導してきています。さらに本年度から私立幼稚園において3歳児から5歳児の長時間の預かり保育の実施を要請しましたし、待機児童の解消に努めるため市町と連携して、一時保育やファミリーサポートセンターなどの子育て支援情報も提供しています。平成16年度におきましても、新設増設10箇所程度、710定員プラスアルファ増が予定されているところです。なお保育所整備や保育所運営費等に必要な財源の確保については、様々な機会を通じて国に要望しております。今年度においても重点項目として働きかけます。今後も将来を的確に見据えながら各市町とも連携のもと地域の保育需要に即応した待機児童解消対策を積極的にすすめてまいります。
明舞団地の「再生計画」を白紙撤回し、つくり直せ
■質問■次に、県民参加ですすめる「まちづくり」、についてです。
今年、「まちびらき40周年」を迎える明舞団地は、明石海峡を臨む高台の神戸市垂水区と明石市の境に位置し、面積197ヘクタールの広さで、兵庫県が開発した、初めての大規模なニュータウンでした。
住民は、眺望や見晴らしがよい街、公園や緑が多く潤いのある街、高層建築物が少なく、ほとんどが中低層の建物で落ち着いた街、歩行者や自転車の通行上危険な場所が少ない街など。良好な自然環境や立地条件が語られています。
その「明石舞子団地」の今後10年間ほどの「再生計画」が、兵庫県によってつくられました。しかし、その中身は、住民の望む、明舞団地の良さが生かされた方向とはほど遠く、大きな問題点を抱えています。
問題点のひとつ目は、計画のなかに、県が県営住宅事業から撤退する内容が盛り込まれていることです。
「再生計画」のなかでは「若年ファミリーや単身世帯を呼び込む」という点を重視されていますが、そのための方策として、「民間分譲マンションの建設」があげられています。
5階建ての県営明舞鉄筋住宅の建替え事業を「PFI的手法」で行い、県営住宅を238〜288戸減らして土地を産み出し、民間事業者が分譲マンションを建設するというものです。
県は、現在の638戸の4割もの県営住宅の居住者を追い出する方向ですが、そのうち100戸程度は近くの古い公団住宅に「住み替え」をさせるとしていますが、この公団住宅は、大規模改修もせず、エレベーターもない古い住宅のままです。
このようなことは、住民にほとんど説明されておらず、大変な問題です。
また、「できるだけ民間事業者にゆだねる」のがPFI方式ですから、建設後の「管理・運営」についても、民間事業者に任せてしまう危険性もあります。
実際、全国初のPFI手法の県営住宅の整備を行なった、広島県上安(カミヤス)住宅では、建設だけでなく、20年間の維持管理を民間事業者と契約しています。
結局、兵庫県が県営住宅の公的責任を投げ捨て、民間に丸投げする道をつくるものと言わざるを得ません。
2つ目には、建替えによる「高層化」の問題です。
PFI方式ですから、民間事業者が収益をあげるために、採算性を求めて、都市計画の規制の緩和も行なわれ、超高層になる危険性さえあります。
事業予定地の西側には、一戸建て住宅街などがありますが、その住環境に、取り返しのつかない悪影響をもたらすのは間違いありません。
「眺望や見晴らしのよさ」「中低層で落ち着いた街」という明舞団地の「良さ」が破壊されてしまうことになるのではありませんか。
県当局は、この間、住民参加によるまちづくりワークショップなど、県民の「参画と協働」ですすめてきたと言いますが、「ワークショップで住民の意見は聞くが、実際の計画を立てるのは県当局や民間事業者」というのが実態であり、先の県住の建替えやその方式もまったく議論されず、県が再生計画を出したときに盛り込んだものです。ワークショップでも、「実際の計画に参画したい」という意見が出されています。
- わたしは、この際、「再生計画」の白紙撤回で、公的責任の明確化、住環境の破壊をせず、住民の計画への参画を保障し、特に、全居住者の意向調査で、真の「再生計画」につくり直すことを求めます。
▼答弁▼井戸知事: 明舞団地再生計画は、平成15年度においてまちづくりワークショップで抽出した住民意見等を踏まえて、明舞団地が元気なまちであり続けるために、すべての世代の人々の自立した生活の実現や、既存ストックを活用した持続的な再生の推進等を基本方針として、今後の取組方策を定めたものです。当計画の中で提案しているPFI的手法による県営住宅建て替え事業等の構想については、その導入の適否も含めて今年度から具体的な検討をすすめていくことになりますが、仮にPFI的手法を導入することになりましても、入居者の決定、家賃の設定等の住宅管理の根幹にかかる部分に関しましては、県が責任をもって行うものです。また、現在の明舞団地の良好な住環境が維持されるよう地元、市、団地住民との連携のもとに今後、用途地域や容積率等の都市計画のありかたについても検討を行います。団地再生に向けた取組を今後具体化するにあたりましては団地住民との意思疎通を十分にはかる必要がありますので、その点にも留意しながら、いわゆるオールドニュータウン再生の全国的なモデルとなるよう先導的な施策を積極的に推進してまいりますのでよろしくご協力とご理解をお願い申し上げます。
35人学級の継続、拡大を
■質問■ 次に教育の問題、少人数学級の問題についてです。
今年度から導入された小学校1年生の35人学級を導入したことについては、私達は、従来から少人数学級を求めてきたもので、率直に評価しました。
実際にある学校の先生にお聞きすると、39人の2クラスの一年生が、26人3クラスになって、「子どもたちがゆったりとしたスペースで学習できる」「授業におちつきがでた」「児童の間のトラブルが少ない」などなど、教師の間でも、父母の間でも大変よろこばれています。
けれど一方で、「単年度実施で。来年度はわからない」という方針に不安の声が聞かれます。これは、新学習システムの運用で、少人数学級を実施しているからです。
この「新学習システム」について、以前にも本会議で「3つの欠陥」を指摘し、改善を求めてきました。それは、第一に、すべての子どもたちを対象にしていないこと。第2に、系統性がないこと。第3に生活集団の指導の弱さです。
今回の35人学級の導入が、新学習システムの転換ではなく、そのなかの「研究指定校」として実施されていることから、「1年かぎり」「来年はわからない」ことになっているのです。
知事、子どもたちや学校現場は、県の事業のように単年度・1年ごとに区切ることは出来ません。すくなくとも「1年ごと」の事業をやめ、来年度の実施、拡大をするべきです。
さらに、少人数学級の効果について、教育委員会がしっかりとした確信をもっていないことが、より根本的な問題です。
教育委員会は、いまだに「少人数学級にはデメリットがある」と言いますが、それは極めて「あいまいな」ものです。
今回、小学校一年生のみとはいえ、県下の数多くの学校で、少人数学級が実施されます。この機会に、少人数学級についての認識を深める絶好の機会です。
県教委のこだわっている「デメリット論」も、県下での35人学級の実際の現場から学べば再検討をせざるを得ないものです。
実際、少人数学級の先輩である山形県は、ていねいに「追跡調査」を行い、児童や保護者それぞれ2千数百人からのアンケート、実施したすべての小学校の校長や全学年担任から調査を行ない、その結果を確信にして、小学校全学年に広げているのです。
- 以上、35人学級の実施について、すくなくとも、1年区切りをあらため、来年度実施・拡大をし、実施したすべての小学校での教員や父母、子ども達からの「アンケート調査」を提案いたしますが、いかがですか。
また、知事は従来から「国の責任」「国が予算をつければ実施する」と表明されていますが、これまでの国への予算要望書には少人数「学級」ではなく、少人数「授業」の要望だけとなっています。知事、これまでの答弁の立場から、国に少人数「学級」の責任を果たさせる教員増を強く働きかけることを求めます。
▼答弁▼武田教育長:私から少人数学級の問題についてご答弁申し上げます。ご案内の通り小学校の1年生は学校生活に不慣れであったり学校のルールが理解できなかったりいたしますことから基本的な生活や学習習慣を身につけさせるために非常に重要な時期であると考えております。そこで就学前教育と小学校教育入学期とのスムーズな接続や基礎基本の確実な習得のための効果的な指導方法等として国の加配を活用して今年度から希望する学校に対して新学習システムの中で研究指定として35人学級編成を認めることとしたところであります。従いまして当然のことながら研究指定校からは、本年度末には就学前教育との連携など研究目的に対する事業結果報告がなされることになっておりますのでこれらを通じて当初の目的が達成されたかどうかの検証を行うことといたしております。しかしながら、ご提案のありました画一的な少人数学級のありかたにつきましては従来から国立教育政策研究所や本県におきましても調査研究を行ってきたところでありますが、現時点におきましてもメリットデメリットがあるところであり、実施するにあたってはなお解決すべき課題があるものと受け止めているところであります。本県といたしましては、国の教職員定数改善計画を最大限に活用し教育現場の主体性にも配慮をしながら少人数授業等学級担任以外の多くの教職員も関わるなかで柔軟に多面的かつきめ細やかな指導がはかれる新学習システムを着実に推進してまいる所存でございますので、ご理解をいただきたいと思います。
災害復旧融資のさらなる延長、被災者のローン調査を
■質問■ 次に震災復興の取り組みについてです。
大震災から9年を経て、ようやく被災住宅の再建への公費支援制度の枠組みがつくられました。私たち日本共産党が一貫して要求していたものであり、制度が一層改善され、被災者の生活住宅再建の大きな力を発揮する制度に発展するためにこれからも全力でがんばる決意です。
先日のある新聞では、「我が家再建 心も救った」との見出しで、鳥取県における住宅再建支援の取り組みが、住み慣れた地域での生活再建を保障するとともに、被災者の心の回復ももたらしたとこと。また、北海道平取(びらとり)町では、昨年台風10号による豪雨災害での半壊住宅への最高400万円に上る町独自の住宅再建支援で、町を離れた人は誰もいないことを報道しています。ところが、その同じ記事の中で、阪神大震災では、自宅を失った人々が転々とすみかを代えざるを得ず、人と人とのつながりも奪われて、孤独死が広がっている深刻な実態を指摘しています。
この記事にハッキリと現れているように、住宅再建支援制度があるかないかが、地域の復興、人々の生活と心の復興に明暗を分けています。
この事実は、震災から10年を迎える中で、県政に携わるものとして重く受け止めねばならない問題、これからの復興支援施策の考え方の中心に据えてかからねばならない問題です。
しかし、県は、震災の影響は少なく、今は、不況の影響が大きいとして、震災の支援策を打ち切ろうとしています。
県と神戸市が行った緊急災害復旧資金の融資は3万3551件、融資額4222億円にのぼり、資金繰りが付かずに返済不能となり、代位弁済となった企業や業者が、(昨年12月末現在で)3667件と、1割にものぼり、その額も325億円と、全体の代位弁済率4パーセントの2倍、8%となっています。
この緊急災害復旧資金は、保証期間が10年です。元本据え置き中は3087件、返済中1万3879件に上りますが、来年は、10年の保証期間が切れ、多数の企業が、期日一括返済か、その後7年以内で分割返済かを迫られる事態となります。もし、そうなれば、倒産、代位弁済が急増し、更には大量の連鎖倒産に発展しかねない状態です。
県は、基金事業を打ち切り、一般施策に転換しようとしていますが、深刻な事態を生み出すこのようなやり方は改めるべきです。事実上、融資期間と据置期間をそれぞれ延長することができる措置を講じるとともに、利子補給を引き続き行う事を求めるものです。知事の答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事: 続きまして、震災復興の取組についてです。緊急災害復旧資金融資についてでありますが、この融資期間は当初10年内据置3年とされていましたが、昨年12月にそれぞれ7回目の延長が認められ、融資期間17年内据置期間10年とされ本年1月から延長申請をつけているものです。このたびの延長申請にあたって信用保証協会では中小企業者に細かく対応するため特別相談窓口を設置し個別に経営状況を把握し、経営実態に沿った指導審査を行っております。利子補給については復興基金を活用して当初3年間であったものを7回延長して現在最長で10年間にすることにしています。中小企業の資金調達環境とりわけ被災中小企業者については、緊急災害復旧資金の請求中のものがまだ3千件あまりあるなどの実情にありますので、県としましては、融資期間と据置期間についてのさらなる延長を国に相談しているところです。また、震災関連融資や利子補給等震災復興事業の全体については、現在検証を行っています。この検証結果や中小企業者の経営の実態を踏まえながら国の取り扱いも見極めて緊急災害復旧資金等の今後の取り扱いを検討していくことになります。いずれにしても、緊急災害復旧資金の償還にかかります条件変更等の弾力的運用や、借換融資を活用する他の借換融資を活用するなど被災中小企業者が資金繰りに支障をきたさないように努力をしてまいります。
■質問■ 大震災のために、負担にあえぐ企業や業者、被災者が、今なお、その返済に苦悩しているのは、これにとどまりません。政府系融資でも同様の事態が起きているのです。また、住宅再建に関わる新たな住宅ローンはどうなっているのか、ダブルローンの実態はどうなのか、県のこれまでの資料には、その全体像を表すデータや資料は、全く明らかにされていません。わずかに、「倒壊」と本の中で、震災直後のデータとして被災地域の住宅ローン残高が住宅金融公庫で2兆4000億円、全国銀行で3兆3000億円と記されているだけです。この際、国や関係機関にも協力を要請し、全容を調査し、その結果に基づく支援策の充実を求めるものです。答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事: 住宅ローン債務者への支援策の充実についてです。被災者の住宅再建のための融資制度として、国では住宅金融公庫のローンがありますが、県では兵庫県民住宅復興ローンを設けており平成15年末で申請実績は5249件融資残高は約265億円となっております。また、ダブルローン対策としては利子の一部を5年間補助する住宅債務償還特別対策助成事業を設け、新規建築分にかかります利子補給と併せて10年間の利子補給を実施することとしておりますが、平成15年末で申請実績は2020件であります。いずれの制度においても被災者の要望に適切に対応してきたものと考えます。これらの事業の今後のありかたについては、復興10年総括検証提言事業の成果を踏まえ初期の目的を達成し終了することが適当な事業と先駆的な政策として定着させる事業とを見極めたうえで今後そのありかたを検討してまいります。なお、被災者にかかる住宅ローン残高の全体像を把握することは、民間金融機関が貸付にかかる内部情報を原則として公表していないことなどの理由からきわめて難しいことくをご理解いただきたいと存じます。以上私からの答弁とさせていただきます。
PCB問題汚染対策
PCB汚染固形化汚泥について
■質問■ PCBは、死者28人、認定患者1283人を出したカネミ油症事件で、その毒性の恐ろしさが大きな社会問題となりました。PCBは、環境中に放出されても分解されにくく、残留性が高く、脂肪に溶けやすいために生物濃縮を受けやすく魚類、鳥類、土壌、底質、水中、母乳など、次世代へ影響し、地球規模の毒性汚染物質として、PCBそのものの製造が中止となりましたが、これは、決して過去の問題ではありません。
そのPCBの8割以上を生産していたカネカのある本県では、高砂西港のPCB汚染や安全性を無視したPCB焼却によって汚染を拡大するなど、重大な問題を起こしてきましたが、本県のPCB汚染汚泥は139万5588キログラムと固形化物では、全国の7割を占める異常な多さです。一方、これに算定されていない汚染汚泥が、高砂西港のカネカと三菱製紙の敷地に、高さ5メートル、5万1000平方メートルにわたって、積み上げられています。
まず、この安全性が確保されているのかという問題です。
県は、アスファルトで覆っているから安全としていますが、そのアスファルトの厚さは県の説明でもわずか5センチ程度で、しかも30年近く経過しており、アスファルトの耐用年数は完全に過ぎ去っています。事実、委員会の審議の中でも、たびたび亀裂が発生している事を県は認めています。亀裂があるのに密閉構造だといえますか。PCBは、摂氏20度程度から気化をはじめます。PCBの保管基準は、法律でも県条例でも密閉容器での保管となっています。また、土砂をかぶせているから安全と説明されますが、PCB保管場所は、ネズミやミミズなどの出入りをしない構造であることが厳しく定められているではありませんか。
しかも、どの程度の固形化なのか、スカスカになっているのか、カチカチなのかすらも分からないのです。
さらに、こんな危険物質が保管されていることすら明示されていません。
この高砂西港のPCB汚染問題で、県議会として特別委員会を設け、その審議の結果、議会の総意として県独自に県条例「ポリ塩化ビフェニール等の取り扱いの規制に関する条例」を設置したのです。条例制定当時の知事の主旨説明では、高砂西港の汚染の解決にふれて、「この条例でPCBにつきまして、完全な防止体制をしていまいりたい」と述べておられます。その条例の主旨をおざなりにするような態度は、県議会の総意を無視するものであり、何よりも県民への背信行為です。
- 密閉状態の安全な保管状態にすることとともに、安全な最終的な処理を、企業責任でさせることを求めますが、いかがですか。
▼答弁▼斉藤副知事:私からPCB汚染対策およびBSEにかかるご質問にお答えをいたします。まずPCBの安全性の確保についてお答えをいたします。ご指摘の盛り立て土につきましては、昭和49年から昭和50年にかけまして高砂西区のPCBに汚染されておりました推定土砂を関係企業が浚渫しPCBを封じ込めて溶出しないよう保管処理をした上で盛り立てたものでございます。この盛り立て土につきましては、アスファルト被覆などにより外部との遮断した構造となっており関係企業は被覆アスファルトの点検補修等を行い適切に管理されているところでございます。また、地下水、盛り立て地から流れます雨水、大気中への漏洩がないことを確認するため定期的な調査が行われているところでございます。この調査結果ではいずれもPCBは検出されておらず周辺環境への影響はないものと考えております。また浚渫土については、PCB条例の直接の適用はありませんがこの条例の管理の基準にてらしましても問題はないものと考えております。今後とも周辺環境へのPCBの漏洩がないことを地下水、雨水、大気につきまして調査を継続し状況を確認するとともに適切に管理が行われ良好な環境が確保されますよう関係企業を指導してまいりたいと考えております。
高砂西港のPCB汚染調査について
■質問■ 30数年前、高砂西港のPCB汚染が最大3300PPM、暫定基準の330倍という異常な汚染が明らかとなり、数年かけて海底の汚染汚泥の浚渫が行われました。ところが、浚渫直後の40地点における底質調査でも、暫定基準を上回る12PPMの値がでているにもかかわらず、平均値は基準値以下として、浚渫を打ち切っています。
しかし、その後の年一回わずか一ヶ所の調査でも、1993年に8.44PPM、94年に9.07PPMの値がでています。また、高砂市が行なう毎年の調査でも、この10年間で見れば、すぐ近くの曽根港の最高170倍という汚染状態を示しています。高砂西港のPCB汚染は今なお、きわだった高さを示しています。
しかも私が調査に行きますと、公共岸壁のはずの高砂西港は、フェンスで囲まれ立ち入り禁止の看板まで出ています。また、海底の汚染汚泥に関わる三菱重工との協議の事実すらひた隠しの態度です。
県は、基準値以内で問題ないとしますが、10PPMと定めた底質の暫定除却基準は、今から29年も前に定められたままの基準値です。ところが、1975年(昭和50年)環境庁水質保全局長通知では、「魚介類のPCB汚染の推移を見て更に問題があるような水域においては、地域の実情に応じたより厳しい基準値を設定するよう配慮する事」とあります。
それなのに県は、この間、近隣の海の魚介類調査は行なっても、肝心の高砂西港内の調査は全くしていません。怠慢そのもの、県民の安全をないがしろにする態度ではありませんか。
- 高砂西港を立ち入り禁止にして、市民の目から隠すという姑息な事を行わず、高砂西港の底質の詳細な調査、魚介類の調査を県民に公開して行う事を求めます。また、PCBに汚染した汚泥の除却など安全対策を、汚染者負担の原則により汚染企業であるカネかと三菱製紙などの責任で行わせる事を求めるものです。知事の明確な答弁を求めます。
▼答弁▼斉藤副知事:次に高砂西港の海底のPCB汚染調査についてお答えをいたします。高砂西港のフェンスおよび立ち入り禁止の看板につきましては、ゴミの不法投棄等への対策として地元の要請により設置をしたものでございます。また、高砂西港での底質につきましては、浚渫直後の昭和51年1月に詳細な調査を行ったところでございまして、国が定めましたPCB暫定除去基準の10PPMを下回る結果となっております。その後高砂市が毎年港内で実施しております底質調査では濃度に若干の変動はありますものの暫定除去基準値を下回っておりまた高砂西港の沖合で県が公共用水域の常時監視として毎年実施をしております底質調査でも1PPM未満でございます。さらに水質につきましては、港の内外とも基準通りPCBは検出されておりません。また高砂西港内および港外の航路部分は高砂地区の埋め立ての完成に伴い漁業の行われていない区域として昭和48年度から漁業権の除外区域となっておりますことから、西港内の魚介類調査は行っておりません。なお漁業権の設定されております高砂市地先水域では昭和47年度から魚介類調査を実施しておりましたが規制値を下回ったことから平成11年度で調査を終了しているところでございます。従いましてこれらのことからご指摘のような対策を講ずる必要はないと考えているところでございます。
兵庫県の「偽装牛肉」疑惑の解明を
■質問■ 次に、BSE牛肉の買い上げ・焼却処分の事業をめぐる「牛肉偽装事件」に関係して質問します。
一昨年の国会で、わが党の大沢たつみ参議院議員が、ハンナングループの偽装問題をとり上げて以来、中心人物であるハンナングループの浅田満氏の逮捕にまでいたっています。
そして、事件の舞台となった「全国同和食肉事業協同組合」(全同食)の肉のなかには、「兵庫県同和食肉事業協同組合」の897トンも含まれています。新聞報道によると、警察は、「愛知、兵庫両県同食からの買い上げ肉も含めた処分費の不正受給について、立件できないか検討している」(読売 5月18日付け)と言われています。
今回の事件は、国や自治体が、食肉関係団体と食肉業者の言うがままに、公金を使った買い上げ・焼却を、事実上ノーチェックで進めました。
その意味で、行政のチェック機能が問われていますが、兵庫県の担当課にお聞きすると、「国の事業」「どこで焼却処分したかもわからない」と、全く無関心な態度です。とんでもないことです。
わたしは、兵庫の「偽装牛肉」の疑惑を晴らすためには、以下の疑問を解決することが不可欠だと考えています。
まず第一に、兵庫の買い上げ申請者についての疑問です。
農水省の発表した「末端事業者名」の名簿によると、兵庫の897トンのうち、387トン・全体の4割以上を、「業界の有力者」である兵庫県同和食肉事業協同組合の会長本人とその親族が、「個人」で申請しています。公的な事業としては、「異常」と言わざるを得ません。
また、57トンの買い上げ申請している人物は、私達の調査では、以前やっていた精肉店をやめて、学校給食用の肉の納品の仕事をしているだけで、大量の肉を保管していたとは考えにくい人物です。
農水省の「実施要領」には、知事が「この事業の適正かつ円滑な実施を図るため、この事業の主旨、内容等の周知徹底、関係者に対する指導その他必要な支援に努める」とされています。
知事、このような状況で、「適正かつ円滑な実施」がされているとお考えでしょうか?お答えください。
第二に、焼却の疑問です。
わたしは、農水省などへ問い合わせ、兵庫県の肉、897トンは、2002年の3月14日から4月1日までに大阪府内の4つのクリーンセンターで焼却されていることを確認しました。この処理については、1月8日、国に対して、柏原市の焼却センターで3月までに焼却する計画が申請されていました。
一方、兵庫県は、国の通達をうけて、1月21日に県下の市町に市場隔離牛の焼却処理の「通知」を出していますが、この通知を出す2週間も前に大阪で焼却することが国に申請されているのは、どういう訳でしょうか。
焼却の相談は、本当に県になかったのかのですか? 大阪の焼却場で焼却する報告を、いつ、だれから聞いたのか?お答えください。
第三に、897トンの牛肉が、どのような経路で購入、買い上げ申請されたのか、はっきりとさせなければなりません。
そのためには、申請者に関係する食肉関係の協同組合、企業など、当時の牛肉保有の状況を調べる必要があります。
また、兵庫県の肉が保管されていたのは、食肉関係の協同組合の連合会の持っている加古川の「兵庫県総合食肉流通センター」の冷蔵庫です。
その冷蔵庫の受けた検査は、4月からの「全箱検査」ではなく、数箱分を抽出する「ロット検査」でした。つまり、ちゃんとした牛肉かどうか全部が確認されていないまま、焼却され灰になったのです。この「センター」の食肉の保管状況、出入庫の資料を明らかにすべきです。
中小企業協同組合の認可と運営指導する権限を有する県として、調査をすることを求めますが、いかがですか。
以上をあわせて、知事の答弁を求めます。
▼答弁▼斉藤副知事:次に、BSE牛肉の買い上げ消却処分にかかる牛肉偽装事件についてお答えをいたします。ご指摘の牛肉在庫緊急保管対策事業は、BSE検査を受けていない国産牛肉を市場から隔離し一定期間保管する事業でありますが、その実施は農林水産省および農畜産業振興事業団の指導に沿って全国農業協同組合連合会、全国食肉事業共同組合連合会、および日本ハムソーセージ工業共同組合の全国団体が事業実施されたものでございます。県が関与する仕組みとなっていないところでございます。また市場隔離牛肉の消却処分に関しましては農林水産省から12月27日付け実施要領の通知、環境省から12月28日付け市場隔離牛肉の処理に関する通知を受けそれぞれ関係団体、市町に通知したところでございますが、1月8日に消却計画の申請があったことにつきましては承知いたしておりません。また消却場については3月上旬に国および関係団体から大阪府下での消却方針について連絡を受け具体的な消却計画につきましては3月12日に近畿農政局から連絡を受け承知するに至ったところでございます。調査につきましても先ほども申し上げました通り、牛肉在庫緊急保管対策事業は農林水産省および農畜産業振興事業団の指導に沿って実施される事業でございまして、兵庫県総合食肉流通センターに保管されていました牛肉の現品確認調査につきましても当該事業団において実施されたものであると承知をいたしております。なお中小企業等共同組合法では、組合への検査等の範囲は、組合の業務や会計処理が法令や定款への違反または著しく不当な運営が認められる場合であります。従いまして補助金適正化法など他法令によります違反の疑いに対する調査は当該他法令の所管当局の調査が優先されることが適当であると考えているところでございます。以上でございます。
県立有馬富士公園の問題点を指摘
計画の全面的見直しを
■質問■ 最後に、県立有馬富士公園について質問します。
県立有馬富士公園の全体計画は、416ヘクタールと甲子園球場の100倍をこえる県下随一の広大な都市公園で、1期事業のうち66ヘクタールが既に開園されています。
この公園についての問題の1つは、その計画が過大なことです。
公園の基本構想や基本計画は、バブル時のまま、森林に「芸術センター」や「体育文化センター」、「陸上競技場」「野球場」「テニスコート」など箱もの計画がずらりと並んでいます。1期の事業決定は一部手直しされているものの、基本構想や基本計画が事業計画の上位計画として依然として残されています。
(Q)もともと素晴らしい里山になぜ都市公園を造るのか、しかも、なぜ広大な地区まで買収しなければならないのか。すばらしい里山をつくるには、開発を規制し、自然を守る取り組みこそ必要ではありませんか。バブル時の構想などは抜本的に見直さなければなりません。
また、事業決定している1期計画についても里山など自然を生かすためにも事業を大幅に縮小し、有馬富士公園の都市計画決定区域の縮小など、全面的な見直しを求めますが、知事いかがでしょうか。
▼答弁▼藤本副知事:私から県立有馬富士公園についてご答弁を申し上げます。まず1点目は、計画の全面的な見直しでございますけれども、三田市におきます県立有馬富士公園は、阪神間北部の豊かな自然環境を保全し、増大する多様なレクリエーション事業への対応、さらには青野ダムの水質保全こういった観点から平成元年3月に青野ダムの湖面約68ヘクタールを含めて都市計画決定をし事業に着手したものでございます。現在1期事業はほぼ用地買収が完了いたしまして、事業費ベースでは約8割の進捗状況となっているところでございます。この公園の計画内容につきましては、社会経済情勢さらには、県民ニーズの変化こういったことを踏まえて学識者、地域住民、県、市の関係者からなる運営計画協議会で協議を実施いたいまして平成12年の実施計画の全面的見直しによりまして、技術センターや体育文化センターを取りやめることにいたしました。まさに施設整備型から今議員ご指摘の自然活用型への見直しを行ったところでございます。そうしたなかで、里山の保全や棚田の活用など自然環境を生かした公園整備をすすめているところでございます。
用地取得の問題について
■質問■ 県当局はこれまで、2期の用地取得は行っていないと説明されていました。ところが、計画区域の三田市加茂の共有林25.1ヘクタールを16億4千万円で2001年3月5日に県土地開発公社に先行取得させているのです。
しかも、県自身、同時期に北摂整備局が公園設計業務委託調査の報告で「2期計画区域の広大な敷地を一時期に設計・整備を行うことは難しく用地取得や事業認可などの手続きを検討していく」といっていた矢先の先行取得です。
この経過は、1997年9(10)月に地権者から知事に「土地買取り希望申し出書」がだされ、3年間の土地調査を行い買収しています。なぜ「加茂の共有林」だけを優先取得したのですか。2期計画は、まだ事業決定をしていないのですよ。ですから地元でもおかしいと云われています。
私たちの調査では、この「加茂共有林」の地権者の1人は、当時、三田市長を5期務め、元県北摂整備局長として、北摂地域の計画に直接かかわった人です。市長当時の1999年6月15日、三田市議会本会議でわが党の市会議員が、県立有馬富士公園について質問、市長は「有馬富士公園の中に私の所有の山林は、ございません」と答弁していますが、全く事実と違います。未買収の2期計画地内に、この人の名義の土地があることも判明しています。
(Q)「買い取りの申し出」のルールにのって買ったと説明しますが、なぜ県が買収したのか疑惑が残ります。当時は副知事であった井戸知事としても疑惑解明の責任があります。知事の答弁を求めます。
併せて広域の県立都市公園なのに2期計画の加茂「国見」用地14ヘクタールを、なぜ三田市に買収させるのか。1990年3月に県と三田市が「覚え書き」をこっそり交わすやり方は異常です。県はこれまで、このようないきさつを一切明らかにしてこなかったのはなぜでしょうか。
2期計画の用地取得は行なわず、公園計画の抜本見直しを知事に強く求めて私の質問を終わります。ご静聴有り難うございました。
▼答弁▼藤本副知事:次に第2期計画用地の取得問題についてですが、三田市加茂地区の共有林は都市計画公園の2期計画区域内にありまして公有地拡大法に基づき地元地権者から買い取りの申し出があったものでございます。県といたしましてはこれが一つのまとまりのある土地であることや地権者の多数が高齢化するなかで今後相続により権利が細分化され複雑になること、こういったことから円滑な公園事業の推進のために平成12年に県の土地開発公社に取得を依頼したものでございます。国見地区につきましては都市計画公園、有馬富士公園の区域内にあるわけでございますけれども、当初から三田市が市立都市公園として整備を予定しておりましてその用地の一部を市の土地開発公社が取得したものでございます。なおこの第2期事業区域内の整備につきましては1期の事業が完了した時点で既存の淡路島公園と県立都市公園全体の進捗状況を勘案しながら運営計画協議会等での協議を踏まえて検討していきたいと考えているところでございます。
■再質問■ 再質問はぜひ知事にお答えをいただきたいと思います。知事はいつも県民の目線でとか県民の共同と参画ということで政治姿勢、行政姿勢を示していらっしゃいますが、まさに有言実行でいっていただきたいと。今の答弁を聞く限りにおいては大変むなしく聞こえてまいります。
その一つは、行革の問題ですけれども、県民の声を聞いたとか今財政難だと言われますが、一つには税金の使い方が問われている中で本当に困っていらっしゃる方々の声を直接お聞きになっていただきたいということです。その聞くという姿勢も単に誰かを通してということではなく知事自身が自ら出かけて行かれて、例えば先ほど透析をされておられる方の体験談をお話をしましたけれども、患者さんの団体であるとか障害者の団体であるとかあるいは医療関係の団体であるとかこういったところにまさに県民の目線で訪ねて行って聞いていただきたい。その実態は単にいつも言われるように会費程度の負担であるとかあるいは無理のない範囲での負担であるとかそういうようなことでは済まないという実態がおわかりだというふうに思いますから、まず足を運んで行っていただきたい。お会いをしていただきたい、その一つをお聞きしたいと思います。
それから2つ目です。これはPCBの汚染問題ですけれども、これも県民の安全を守ろうという態度に知事が立ってらっしゃるのかと疑いたくなります。いろいろ問題点あります。今の答弁の中でやはり企業を守っているということがはっきりしてまいります。県民の本当に安全を守るというならば、まだまだ今できていない課題、これをやっていただきたい。たくさんの課題繰り返す訳にはいきませんから。一ついますぐでもできることというのは、高砂西港の港内の中の、この魚介類、底質なんかにいる魚介類を調査をしていただきたい。漁師の方が魚を捕るための調査ではありません。PCB汚染がどうなのかという調査ですから。ぜひその高砂西港の湾内の魚介類の調査、いますぐでもできますからやっていただきたい。答弁を願います。
それから最後ですけれども、有馬富士公園について答弁が抜けていると思います。それはですね、知事にお答えいただきたいのは、疑惑の問題なんですけれども、先ほど言いましたように2期の中でまだその事業を決定していない、ましやその県みずからその事業決定を行うにおいて公園設計の業務委託をされてその中ではまだ買収もあるいは計画も足踏みをしている、まだどうなるか分からないといったときに、この2期の部分をですね、加茂の共有林の部分だけを優先して買ったという点で疑惑が残るんですよ。その例えば高齢の方がいらっしゃるというのなら他のところもみんないっしょです。それなのにここだけを何故買ったか。さきほどいいましたように、元市長、そして県の幹部の土地を買うといういくら公有地の拡大法を使ったといっても、それとは違いますよ。県民は県民の税金がどこに投入されているかということを疑問に思っているわけですから、このことについての知事の評価です。本当に県民から見ればおかしい、間違っている、こういうふうに思っているはずです。ですからそういうことについて知事はどう思っているかということを一つには最後にいわば県民を遠ざけているという意味でこの問題についてもPCBの問題についてもそうでしたけれども、みなさんに要求を資料請求してもなかなか出て来なかったんです。県民に本当に公開をする気ならば、そういうことももっとはっきりさせるべきだと思いますので3点お答えいただきたいと思います。
▼答弁▼井戸知事:福祉医療等の行財政構造改革におきます見直しにつきましては、私はやはりなんでも負担ゼロが良いということではないのではないか。やはり、受益と負担とのバランスということを考える必要がある。他の国の制度との比較をして見ても国の制度自体が負担制度を導入してます。なぜ県一人、国の制度がこのような状況でもあるにもかかわらず、負担と受益とのバランスを考えたときにしかも負担できる程度の負担をお願いしようとしているにもかかわらず県だけがどうして負担しないことが正しいのか、私は逆にお聞きをしたいと思います。そのような見地から見直しをしたんであります。
それからPCBの問題につきましては、先ほど副知事からご答弁したとおりで、わたしどもは安全性について疑問をもっておりません。さらに、西港の魚介類の調査をせよということについては、するかしないかを含めて検討させていただきます。
それから、有馬富士公園のまだ2期工事を行うということが決まっていないにもかかわらず用地を買うということは、それはなんかおかしいじゃないのというご指摘でございますが、私は実をいいますとこの時は副知事としては担当外でございましたが、ですから全く今日の質問で初めて承知したということが実情でありますけれども、これは不問を恥じておりますけれども、それはともかくとして事業決定があって初めて用地を買うという場合と、元々基本的な計画があったなかで例えば当時の価格からして、用地取得を先行しておいた方が有利な場合がある。そのような有利な場合に取得をするということは十分考えられるケースではないかと思います。従いまして、これに私はどういう意味で毛利議員が疑惑があるとおっしゃっておられるのか、逆に疑惑の根拠を明確にしていただかないと逆にこのような公式の場所でのご発言として適当なのかどうか逆に問われることになるのではないか。そのようにご心配申し上げたいと存じます。
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