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本会議 第278回本会議議案反対討論 筒井もとじ
2004年03月25日

 私は、日本共産党県会議員団を代表してただいま、上程中の議案第1号、第3号ないし第5号、第10号、第13号、第16号ないし第19号、第21号、第 23号、第25号、第27号ないし第30号、第34号、第37号、第38号、第40号、第44号、第45号、第51号、第52号、第56号、第57号、第61号、第62号、第64号、第65号、第68号以上32件に反対し、その主な理由を申しのべます。

  国の三位一体改革で、地方交付税191億円と後年度に交付税として入る臨時財政対策債の326億円。合計517億円の削減が、重くのしかかり収支不足1390億円という深刻な県財政状態に陥っています。その対策として企業会計から100億円の借り入れと退職手当債発行などという借金依存体質の一層の強化となっているのです。県の借金は3会計総額4兆4000億円をこえ、ますます深刻さが増しています。
  もともと地方財政の借金増の最大の要因は、公共投資優先にあることは一貫して指摘してきたところであります。
  一方で県民は小泉内閣の年金改悪や庶民増税に不安や怒りがまし、県には国の防波堤となる事を求めています。国の三位一体改革で補助金や負担金が1兆円削減される中で社会福祉法人や市町の県への要望も高まっており、これらに答えられていません。
  このような中で、わが党県議団は無駄な事業や時代に合わない事業を思い切って削ること、不況と大震災の後遺症に苦しむ県民のくらしと健康、安全と安心を守る予算であるか否かを検討してまいりました。

  その第一は、福祉、医療、についてであります。
 県行革推進後期五ヶ年の取組み対象となる老人医療費、乳幼児・母子医療、重度心身障害者・児などに対する改悪が地域住民や医師会などの各団体。市町などの自治体の反対を受けて、16年度当初実施がみおくられたのは当然でありますが、手をつけてはならない弱者の福祉削減にまで踏み込む考え方は改められていません。入院生活福祉給付金制度即ち、入院給食補助金を負担の公平性を唱え廃止。民間福祉施設職員処遇改善費の廃止や厚生専門学院の統廃合も検討するなど依然として計画が見直されず県民不安は解消されていません。
  わが党県議団は、予算組みかえ提案のなかで、入院給食費補助の継続、老人医療費公費助成、高齢者のバリアフリー住宅改造助成、在宅老人や重度心身障害者介護手当てを行革以前の水準に戻すと共に、乳幼児医療費の通院無料化を提案したところであります。
  更に、内部障害3級の障害者や精神障害者1・2級を医療費助成の対象としたり、小児救急輪番制への支援強化、災害復興住宅の見守り支援の強化、公立保育所の増設など県予算の不備を見直し提案したところであります。
  第2は、不況打開、雇用の拡大と地域経済の活性化について県は、産業集積条例の一部を変え、先端技術型産業の設備投資額百億円以上の大企業に10億円を限度に補助することをはじめ新たな成長産業に手厚い補助制度をしているのに対し大多数の中小企業に対しては融資枠を増やしましたが、他にはわずかな支援しかありません。

  また、私共は、大企業の社会的責任を放棄するリストラや違法なサービス残業などの規制こそ雇用を守る基本であることを主張してまいりましたが、県は不安定雇用の増大につながる兵庫型ワークシアリングを進めています。
  私共は、青年向け独自の緊急雇用制度の創設や雇用を守る中小零細企業支援が重要であり、提案もしてまいりました。これらの立場から予算案に賛成は出来ません。

  第3に教育についてであります。
  35人学級が小学1年生にやっと導入されることになりました。
わが党は30人学級が完全に実現できるよう引き続き強く求めるものであります。
「兵庫県立学校教職員定数条例の一部を改正する条例制定の件」は、国の第7次定数改善により、289人の増員があるものの県行革により451人も減らすというもので、到底容認できません。また、景気低迷が続く中、授業料の滞納も増えておりそのことにより退学せざるを得なくなった生徒もふえています。子どもの教育に今こそ県が責任を持つべきであり、学業への不安につながる高校授業料や厚生専門学院などの授業料の値上げには反対するものです。
  また、『高等学校教育改革第一次実施計画」について、県立芦屋高校の単位制導入問題や、西宮今津高校の総合学科へ改編問題などで生徒、保護者や教職員はもとより同窓会や地域住民、さらに関係市教育委員会など広範な分野から反対や疑問が出されている中での計画推進は認められません。

   第4に投資事業であります。
  今日の財政の困難そして、そのしわ寄せを受ける県民にとって最大の要因は90年代に入ってバブル経済が崩壊し税収減が明らかになっているにも関わらず、アメリカへの約束630兆円もの公共事業計画とそれに従って借金を重ねながら大型開発中心の公共投資を行ってきた結果であります。
  国が起債を箱物しか認めないやり方が公共事業の膨大な無駄を生み出し地方の借金をふくらませています。これに乗ってきた県政のあり方に反省が加えられるべきであります。
  にも拘わらず、新年度予算は、県行革の計画を上回る3483億円が投資的経費となり、そのほとんどが借金であります。どうしてここにメスが入らないのか。
  また、従来から指摘している神戸空港、関空2期や高速道路になどに160億円余が出されています。
  武庫川ダムや生活貯水池ダムなどをはじめ大規模林道、河川砂防、港湾事業など思い切った見直しこそ借金を減らし、県民の緊急に必要とする予算の原資を生み出す事ができます。本州四国道路公団出資や貸付けは、国が行うべき事業であり国が負担すべきであります。また阪神高速道路公団は、住民合意のない道路の調査費用も含まれており反対するものです。
  「つくる」より「つかう」と言いながら、相変わらずの投資を続けている時ではありません。予算組替えを提案することによってより一層その必要性を痛感するものであります。
  また、過去に不必要な土地買収による塩漬け土地の利子補給に宝くじ益金18億円を当てるなどという事は、県民の理解を得られるものではありません。
  明石の花火大会歩道橋事件、西区の大学院生殺害事件に引き続き、警察刷新に拘わる問題が出ています。
  北海道警の捜査に伴う報償費問題、静岡県警のカラ出張、裏金問題が明らかになりました。他にも疑惑が表面化している福岡・宮城・高知など各県警に及んでいます。
  犯罪多発の中、県は、地域の安全を守る「まちづくり防犯グループ」を3億円で支援しようとしていますが、肝心の警察に対する信頼が失われている問題は看過できません。
  県の公費(税金)の投入とその執行について知事は責任を負っています。
「会計検査院や県の監査委員の監査で適正とされている」と他人ごとのようですが、偽造領収書の廃止という新たな事態の中で特別監査がなされるべきであると付言しておきます。
  市町合併では、合併支援県道の強化など県は、国といっしょになって合併の押し付けをすすめ、今回の議案である氷上郡や三原郡などでも住民合意が充分でない中で新市が決められており反対するものです。

  次に今まで言及しなかった条例提案のおもなものについて討論を行います。
  住基ネットへの県民不安は解消されず、個人情報漏洩問題やネットワークシステムの中に国の行政機関が完全にくみこまれ情報が一元化される問題など、解決をみていない中で、利用を拡大する議案第28号「本人確認情報の提供、利用及び保護に関する条例制定の件」は反対です。
  それに関連して、情報漏洩防止・個人情報保護の為として第27号「個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例制定」と第29号「兵庫県本人確認情報保護審議会条例の一部を改正する条例制定の件」は、罰則強化など一定の前進面はあるものの、住基ネットの根本的な問題が解決されたものでなく反対するものです。

  第34号「県立大学 の設置及び管理に関する条例制定の件」であります。
  そもそも県立3大学の統合は、現在のキャンパスに敷地の余裕があるにも拘わらず、わざわざ神戸駅前のビルを借りて大学本部を設置するなど、「大学自治」という原則が保障されるのかと疑問視される中でスタートしました。
  その上に、今回の条例制定は教育研究に通じていない学外者が運営協議会の半数を占め、学長のトップダウンの下で、経営者の立場から大学経営までに深く関与することになります。今問題になっている「独立行政法人化」の動きと同じであり、大学の教育研究の基盤を崩し、自主性を奪う重大な問題を持つ事を指摘し、反対するものです。
  また、議案第37号「兵庫県立健康センターの設置及び管理に関する条例を廃止する条例制定の件」は、生涯をとうした健康づくり、特に生活習慣病などを防ぐための拠点を民間に移譲して廃止するもので、健康財団に1年間スタッフは移され指導はするが、結局県の責任放棄ともいうべきもので、行革の一環であり地域や利用者、職員の声を無視したものであり反対であります。

  議案第38号「こころのケアセンターの設置及び管理に関する条例を廃止する条例制定の件」でありますが大震災経験を教訓に「心の病」「精神的健康の保持・増進」に寄与する重要な施設でありますが、県独自でなく、指定管理者に行わせるのは反対であります。同じ理由で、第68号「公の施設の指定管理者の指定の件」も反対いたします。

  第44号「風致地区における建築等の規制に関する条例の一部を改正する条例制定の件」は、都市計画法の一部改正により風致地区内での規制が緩和され、宅地造成などを行いやすくし、風致地区での環境の悪化が懸念されるもので賛成できません。また、第45号「建築基準条例の一部を改正する条例制定の件」については、建築基準法の一部改正に伴い日影に関する規制を緩和するもので、住環境の後退につながるおそれがあり反対するものです。
  「前事の忘れざるは後事の師なり」中国の故周恩来氏は史記を引いてこう述べて、大東亜共栄圏の名の下に行った日本の侵略戦争の誤りを忘れないように述べたのを改めて私は想い出します。
  戦争の体験をしていない世代が増えるにつれ、この教訓を忘れ去られてはなりませんし、大震災の教訓も同様であります。
  バブルを経験した県行政も又公費の無駄を減らして金のかからない政治。公僕に徹する行政。論語に言う「用を節して人を愛す」の県政をすすめ、未来をつくる担い手となることを強く求めて私の反対討論を終わります。

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