私は日本共産党県会議員団を代表して、議案第327号、第329号、第330号、第341号、第346号、第348号、第353号、第354号、第417号ないし、第422号、第424号、第425号、第443号に反対し、以下その主な理由をのべます。
小泉内閣が福祉・くらしを次々と切り捨て、痛みの押しつけが一層ひどくなっているもと、県の補正予算案は、県民のくらしを応援することを基本に組まれなければなりません。ところが、一般会計など今回の補正予算案は、先行取得用地の買戻しをはじめ、県が大型開発を優先してきたツケを県民にまわす内容が多く含まれています。以下、個別に反対理由を述べます。
はじめに、第327号兵庫県一般予算会計補正予算についてです。まず但馬路線運行に伴う日本エアーコミューターに対する赤字補てんの1億5千万円についてですが、この補てんは、1994年開港以来9年連続で行われています。但馬空港は、県が14億円で航空機を購入し、日本エアーコミューターに無料貸与、着陸料も免除した上に、但馬地方の1市18町が地元住民の運賃の半額助成をおこなっても、利用率は50%前後と低迷しており、赤字が発生しつづけているわけです。もともと同空港の需要予測を過大に見積もり、建設を強行したところに根本的な問題があり、今後も経営状況の改善の見込みはありません。このまま漫然と赤字補填を続けることには反対です。但馬空港のあり方を根本的に見直すことを求めます。
次に、道路など国直轄事業負担金50億98万円は、本来国負担とすべきものであり、反対です。情報管理推進費の共同アウトソーシング事業は、住基ネットと連動し、市町、県、国と国民情報の一元化のための基盤整備モデル事業ですが、個人情報の保護が確立されていないなかで認められません。また、後程述べる理由により土地先行取得に対する利子補給26億円も賛成できません。さらに、職員の人件費にかかわる問題です。これまでも述べて参りましたように、労働基本権が剥奪されているもとで、実態を無視した人事院勧告に追随し人件費が削減されたものです。2001年4月以来昇給延伸が実施されたうえ昇給延伸がなかったものとして昨年の年末一時金から賃金引き下げ相当分を引き去ったもので不当であり賛成できません。なお、第341号病院事業会計補正予算も人件費の削減であり同様の理由で反対です。
次に、第330号、第417号ないし第422号、第424号、第425号の「総合的な県先行取得用地対策」についてです。
活用の見通しがないままの兵庫県土地開発公社・兵庫県住宅供給公社などの保有土地が増え続け、借金の利払いがふくらんでいることが県民の厳しい批判をあびています。県も「行財政構造改革推進方策5ヵ年計画」ではじめて先行取得用地対策に触れざるを得なくなり、今回の買い戻し策と兵庫県土地開発公社への集約となったものです。土地開発公社と住宅供給公社が保有している先行取得用地3032ヘクタールのうち、今回は12箇所1307ヘクタール総額1118億円の土地が集約されます。簿価で買い戻すのに、新たに発行される県債発行は564億円、土地開発公社債は320億円にのぼっています。
わが党は、これらの議案を、以下の理由から認めることはできません。最大の問題は、県にこの問題で根本的な総括と反省がなく、県自身が大型開発をすすめてきた責任を棚上げにし、「乱開発防止に役立ってきた」と正当化するなど、これまでの姿勢をまったく改めようとしていないことです。
例えば、宝塚新都市は、「ゴルフ場などの開発抑制」のために買ったことになっていますが、兵庫県住宅供給公社への取得依頼状に「宝塚新都市として21世紀にむけた地域整備」とあるように明らかに開発目的で、1094ヘクタール・1074億円もかけて取得させてきたものです。しかし計画は行き詰まり、1999年に県が企業庁に事業をおしつけ買取らせようとしたがうまくいかず、今回県が買い戻すにもかかわらず事業化は企業庁に押付けられたままという奇妙なことになっています。
また、西淡町伊加利は、「リゾートの開発抑制」となっていますが、1988年の県自らの計画である「淡路島リゾート開発」の中で「ワールドレジャーランド」の設立が計画されていたのが、開発業者が手を引いて計画倒れとなった土地50ヘクタールを、バブル破綻後の1992年に取得依頼したものです。乱開発防止どころか、県自身がリゾート法におどって開発を手がけ、民間業者が手を引いたあとの後始末までやっているのが実態ではありませんか。
わが党はこれまで、県がムダな大型開発計画を立て見通しも持たないまま膨大な土地の先行取得を依頼してきたことを繰返し批判してきました。借金を重ねて取得してきた土地は値下がりを続け、県は先行取得用地の時価がいったいいくらになるのか明らかにしていませんが、平均して「取得価格の約6割程度」まで下がっていることを認めています。県民のこうむった損害は計り知れません。
県は、「乱開発防止に役立った」とごまかすのをやめ、大型開発優先で用地取得を続け借金を膨らませた責任を認め、これまでの姿勢を改める立場に立って対策を考えるべきです。
第329号 港湾整備事業特別会計補正予算は、姫路市広畑公共埠頭に8200万円をかけ、クレーン設置用地を買うものです。もともと、この埠頭は、姫路市広畑の新日鐵広畑製鉄所の遊休地に隣接してつくるもので、必要性は全くなく、14mの大水深バースの利活用のめども全く立っていないのに用地を買うもので反対です。
第346号は、ひょうご情報公園都市の土地を買うものですが、一工区だけでも分譲の見通しがたっていないのにさらに2.4工区に35億円分も土地を買うというもので反対です。
第348号、公の施設の指定管理者の指定等に関する条例制定の件は、公の施設管理を従来の委託契約方式から指定管理者制度に移行するものですが、規制の緩和により施設管理を民間に拡大し、「住民生活に不可欠の便益を直接提供する」という自治体の責務放棄につながるもので反対です。
第353号は、広域的に災害防止をおこなうもので特定の市町に負担をかけるべきでなく県が負担すべきものです。
第354号の国営明石海峡公園整備事業については、本来国が負担すべきもので反対です。
第443号、床上浸水対策特別緊急事業一級河川寺畑前川調節池整備工事請負契約締結の件ですが、川西市南花やしきをながれる小さな川の流下能力をわずかに引き上げるために、総額60億円を投入して、地下に調整池として、直径35メートル、高さ50メートル、底の厚みがなんと20メートルのコンクリートの巨大タンクをつくろうとするものです。この地域は、1997年にも220世帯が浸水するなど、たびたび浸水被害を発生する地域で、私たちも、早急に浸水防止対策の必要性を認めるものです。しかし、莫大な費用をかけて地下にこのような巨大タンクをつくる以外に、ほんとうに方法がないのか。その検討はきわめて不十分といわざるを得ません。
たとえば、比べものにならないほど低廉な費用ですむ河川拡幅方式や河床切り下げなどが考えられます。また、調整池や遊水池で対応するとしても、今回、巨大タンクをつくる短大のグランド全体の活用や、対岸の駐車場の活用、あるいは川に隣接する中学校のグランドの活用やポンプアップなど、多様な対策や組み合わせが考えられます。さらに、仮に調整池でする場合も地下構造でなく、オープン構造にすれば、日常的には公園やグランドとして利用でき、地域の住環境向上にも大いに貢献できるものです。また、これらの対案なら、工事の受注も、県外の巨大ゼネコンでなく地元業者で対応でき、工事費も大幅に削減できるものです。以上、公共事業の再検討が様々な面から指摘されているときに、代替案の検討がきわめて不十分なこの案件は認めるわけにいきません。
以上で反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。 |