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第277回本会議県行革特別委員会 宮田しずのり
2003年12月22日

不公平を拡大する弱者ねらいの医療助成改悪

■質問■宮田委員:今日は3点にわたって質問します。まず一つは、医療費助成の問題であります。
 今回の提案で、高齢者、乳幼児、障害者、それに一人親家庭の医療費の助成が削減をされまして5年間で約170億円、年平均しますと34億円もの患者負担になります。これに市町の分が同じ対応をしますとこの倍の負担になるわけであります。当局は「ほんのわずかの負担だ」というふうに言われるんですが、そうではありません。
 乳幼児医療は、これまで入院については負担なしだったものが1割の負担になりますと仮にこれが10日間入院をしますと、入院給食費の補助も削減されますので合わせて1万600円の負担増になります。
 また、老人医療費は老健法において高所得者を対象にして2割負担にしているのですけれどもそれよりもずっと低い住民税の非課税者が2割負担になるということで、これも逆の負担増になります。それから重度心身障害者、一人親家庭も丸々負担増になるわけです。今回の負担増の提案理由として「負担の公平」ということが言われているんですが、これらの福祉・医療の対象者というのは、元々様々なハンディを抱えて支援の充実こそ今求められているというふうに思うんですね。そういう人に負担増を求めるということは、逆に「不公平を拡大する」ということになるんではないかと思うんですが、この点についてはどうでしょうか。

▼答弁▼吉川国保課長:福祉医療のありかたでございますけれども、今年の平成15年4月から社会保険の本人の負担割合が例えは3割に引き上げらるなど、福祉・医療をとりまく環境というものは大きく変化していると認識しているところでございます。そのような中で、制度を支えていくものと支えらるものとの均衡、いわゆる「給付と負担の公平性」の観点から福祉医療につきましても全くの無料ではなく、無理のない範囲で負担をお願いしたいということでございます。
 例えば、身障医療につきましては、本来制度でございます更生医療、育成医療におきましても入通院とも一部負担が導入されておりますし、老人保健、介護保険におきましても一部負担が導入されているところでございます。このような観点からいわゆる受給対象者になる方とならない方との負担の公平でありますとか、あるいは対象者の中でも制度を利用される方とされない方ということの公平性を考えた場合、例えば障害児でございますと無理のない範囲で、1日500円で2日を限度とするということをお願いしたいというふうに考えておりますのでご理解いただきたいと思います。

■質問■宮田委員:「無理のない範囲で負担を求める」と言われるんですけれども、こうした福祉・医療の受給者の対象者のおかれている「実態」というのが、理解されていないと思うんです。
 すこし具体的な例で申し上げますと、重度心身障害者の内、腎臓病の透析患者の場合を見ますと、1ヶ月だいたい10回ぐらい専門のクリニックで通院・透析をされると。その透析患者のほとんどの人が糖尿病だとか視力が低下をするとかあるいは歯だとか骨の間接障害とかいろんな合併症が出てくる。そうしますと、その治療というのは、ほぼ半永久的に生涯続けていかなけないという障害なんです。1医療機関あたり仮に1000円としても合併症いくつも持っている人というのは月何千円もかかるわけです。これが入院になりますとさらに入院給食費の補助も削減されますので、これが大きな負担になるということで、本当に今難病の人たちのお話を聞きますと、「こういうところまで情け容赦なく負担を求めるのか」とおっしゃるわけです。私は「ほんのわずか」と言われるけれども、「負担の公平」と言われるけれども、「本当にこれで公平になるのか、逆に不公平を拡大していくのではないか」と思うのですが、再度ご答弁願います。

▼答弁▼吉川国保課長:例えば重度心身障害者の方の助成につきましても、例えば透析とか言うことで月に何回かかれることがあろうかと思います。その際にも今回の見直しにつきましては1医療機関で1日500円で2日を限度とするということでございますので3日目以降は無料になるよう助成をするということでございます。500円が無理のない範囲かどうかということもございましょうが、私どもとしましては、2日限度ということで月1000円ということにしておりますので、無理のない範囲で応分の負担をお願いしたいと考えておるところでございます。

■質問■宮田委員:1日500円月1000円で一つの医療機関ではそうですよね。ですからいくつも病気を持っておりますからいくつかの医療機関にかかればそれだけ何千円とかかるわけです。その分とですね、障害者の方々は入院通院の際にどうしてもタクシーを使わなければならないとか、あるいは入院しますと個室に入ったりいろんなことで差額ベット代が必要だとか、ハンディのない人に比べて保険外の負担というのはものすごくかかるわけです。
 それからもう一つ、生活の面でいいますと、収入の面で非常に苦労されている。
 多くの方がなかなか仕事につけない。よしんば仕事についてもその治療のために仕事を休んだりして収入がものすごく低い状況におかれているということがもう一つあります。
 それから、結局今回こうやって有料かされますと生活に大きく影響してきますので、どうなるかといいますと、「受診抑制」、今まで何回かかかっていた分をその回数を減らしたりもうできるだけぎりぎりまで我慢するというふうな事態が起こってきますから、(病気が)重傷化していくということで、かえって最終的には本人の負担もあるいは保険財政からの負担も多くなってしまうということも懸念されているわけです。
 ですから、この点では「なんとか再検討していただけないか」というのがみなさんの要望ですし、私もそう思うんですがどうでしょうか。

▼答弁▼吉川国保課長:重度心身障害者に関わらず、その他の場合もそうでございますけれどもいわゆる医療保険の一部負担に対しまして一部助成をしているものでございまして、それも大きな意味で経済的障害者、また母子家庭等経済的支援の一環として行っているものでございます。まあ、「受診抑制」というお話がございましたけれども、私どもとしましては、1日500円で2日限度ということで無理のない範囲で応分の負担をお願いしたいと思っておりまして、受診抑制にはつながらないのではないか、と考えておるところでございます。

■質問■宮田委員:県はそう言われるけれども、これは県民合意になっていないんです。こういう問題というのは県民生活に非常に大きな影響を及ぼしますから。県民合意が前提になると思うんですけれども。
 例えば12日に、神戸の市議会が全会派一致で「意見書」を採択しました。これは県のこの福祉医療の削減に対してですね、市町と十分な協議を行ってそして市への負担転嫁につなげないことと。というのは、県が削減したら、その分を市が上乗せをしてそれを今までの給付を続けるか、あるいはうち切るか、ということになってしまうんです。そして市の負担転嫁にならないよう神戸市議会が意見書を採択していると。
 尼崎市も西宮市も伊丹も芦屋も意見がいろいろ上がってきていると思うんです。それから県下の医療団体である開業医の先生方の約8割・6千人を組織する兵庫県の保険医協会がありますけれども、そこの団体をはじめ多くの団体とか県民のみなさんから、「なんとかこれまでの制度を存続してほしい」という要望が上げられております。
 ですから、この点では県民合意という点でまだそこまで至っていないという現状を踏まえて、いったんこれは継続するという方向で考えなおしていただきたいと思うんですが、この点では、副知事一度答弁いただきたいと思うんですが、ぜひ県民の意見に耳を傾けていただきたいと、これだけたくさんの意見が上がってきているんだから、それでもう一度検討するということで、どうでしょうか。

▼答弁▼吉本部長:われわれ医療費だけを狙ってやっったものではございません。このたいへん厳しい状況がございます。その中で、この制度そのものは、全国的にもトップレベルの制度を維持をいたしております。そういう中で、なんとか制度を行財政の厳しい状況の中で維持していくための方途として、どのような方途があるかということで考えた時に、やはり「受益」が現にございます。給付を受けているということがございます。そういう中で一定の負担をいただくことの方が、かえってこの制度を存続するために必要なことではないかということでやらしていただきました。
 ただこのことにつきましては市町にもご説明申し上げ、あるいはまた団体にもご説明を申し上げ、そのような意見の状況を踏まえてご理解をいただいておるものと考えております。

■質問■宮田委員:理解が得られていないというのは、いま申し上げた通りです。それから県の「トップレベルの制度を維持していく」と言われますけれども、ほんとうに今の状況の中で、この福祉医療というのはこういう分野の人たちは、あえていろんな助成が必要だということで今までもこういう制度が続けられてきたと思うんですね。そういう意味では今の答弁では納得いきませんけども、時間の関係で次に行きます。是非これは存続の方向で検討していただきたいと思います。

厚生専門学院の存続を

■質問■宮田委員:次に、医療問題でもう一つ、厚生専門学院の廃止案がでておりますが、それに関連してうかがいます。
 厚生専門学院は1965年から38年間にわたって看護師を養成して、医療および公衆衛生の分野で働く優秀な人材を輩出してきました。この学院を「補完的な役割が終わった。後は民間に任せる」ということで3年後の2006年に廃止をするという案が出ておりますけれども、学校関係者はもとより、われわれもそうですし多くの県民の方が驚いているという実態だと思うんです。「説明を聞いても、なかなか納得ができない」という思いがしているんですが、もう一度、「この役割が終わった」ということは、どういう内容なのかということを、まずお聞きしたいと思います。

▼答弁▼大橋医療課長:厚生専門学院のほぼ40年にわたる活動の中で、県下の看護職員の確保に非常に重要な役割を果たしてきたということは認識しておるところでございます。県下の看護師養成所等の現状を見ますと、民間養成所等の設置が進んできておりまして、平成12年に行いました看護職員の需給見通しでは、平成17年度にほぼ看護職員の需給は見合うと見込んでおるところでございまして、こうしたところから、「県が先導的補完的機能を果たすために設置した施設で、民間における同種の施設の増加によりその先導性とか補完性とかが低下しているものにつきましては民間移譲または廃止する」という評価基準に基づきましては廃止したいと考えておるところでございます。

■質問■宮田委員:これは平成17年度に看護師の需給が充足するという見通しだというお話なんですけど確かに今病院のベット数は増えていないし、そういう面では違いがあるんですけれども、今訪問看護だとか介護保険の導入に伴って、新しい分野の需要ってのはたくさん出てきていると思いますし、それから、民間は自前の病院の看護師を養成するということを中心にやってきて、そしてその中で国と県が主導的に医療従事者を養成するという役割を担ってきたと思うんです。決して補完的な役割ではなかったと。現に、兵庫県の保健医療計画を作ってこれを実践をするという責任は県にあるわけですから。そういう中に看護師の養成等もきちっと位置づけられているわけですから、決して補完的な役割ではなくて主導的な役割を担っているしその役割というのはまだ終わっていないというふうに思うんです。その点を指摘して、次の点、看護大学とか民間との関係と言われますけれど、やはり看護大学と違って、厚生専門学院というのは臨床看護ができる非常に質の高い看護師を養成するという点で大きな役割を担ってきたと思うんです。民間との関係でも、この民間に比べて統計的にわれわれ資料は持っておるんですけれど、看護師国家試験の合格率も高いとレベルも非常に高いということで看護師の全体のレベルをアップしていく上で県の厚生専門学院なり総合衛生学院が非常に大きな役割を果たしてきたんじゃないかというふうに思うんです。また、入学者の希望者という点から見ても、例えば昨年の受験者でも1部が4.7倍、2部が2倍ということで、非常に希望も強い学校です。
 2001年に作成した兵庫県の保健医療計画でも、「今後は医療の高度化とか専門化それから高齢化、長期慢性疾患患者の増加に伴う在宅看護等の新たな需要に対応できる質の高い看護職員が求められている」というふうにこの保健医療計画でも定められているんですけれども、こういう役割から見ても厚生専門学院というのは存続の方向で検討すべきじゃないかと思うんですが。もう一度お願いします。

▼答弁▼大橋医療課長:厚生専門学院につきましては、補完的というよりは「先導的な立場」で頑張ってきていただいたと思っております。今現在3年課程と言いまして看護師の養成課程につきましては、施設がどんどん充実しておりまして、医師会はじめいろんな民間の学校学院が設置しつつあります。さらに現在260名に及ぶ看護大学での養成ということもございます。そういう中で、県の果たすべき役割ということにつきまして、資質の向上という点を上げておりますが、現在准看護師の看護師を養成する2年課程、この課程におきましては、資質向上の意味から、また民間の学校がこの点にはなかなか手を出してくれないといいますか養成できていないという点がございますので、その部分は残させていただきまして総合衛生学院の方に統合するという形で対応していきたいと考えておるところでございます。

■質問■宮田委員:この問題に関連して、もう一つ別の問題で、この学院は在学期間が6年ということになっていますよね。来年の4月の入学者というのは、もし3年後に廃止をされますとその途中で病気をしたりいろんな事情で停学や留年をするということになりますと3年間で卒業できないと。そうすると国家試験も受けられないとこういう問題が出てきますわね。これはどういうふうにするのですか。

▼答弁▼大橋医療課長:いちおう3年間で卒業という原則はございますけれども不幸にして卒業できないという自体が生じた方がおられましたらその方々の対応については検討させていただきたいと考えております。

■質問■宮田委員:卒業できる措置を考えられるということですね。
 もう一つ、廃止の方針というのを出すのが「あまりにも唐突だ」ということで、学校関係者とくに先生を始め職場の人たちが非常に困っておられるんです。学校に伝えられたのは11月10日以降ですね。まだ1ヶ月ちょっとしか経っていない。こういう中で本当に職場での議論が十分なされていない、納得もいっていない。こういう状況の中で、みなさんが今おっしゃるのは、「こんなほんのわずか2、3ヶ月の間に方針を決定してしますのはあまりにも乱暴じゃないか」「なんとかここで一旦白紙にして、みんなでどうするか」。廃止の議論の人もありますので、そういう意見も含めて、結論はともかく話し合う時間を与えてほしいというのが関係者の意見なんですけど、その点どうなんでしょうか。

▼答弁▼大橋医療課長:現在の方針が確定といいますか固まりますればまた現場のみなさん方と話し合いを持って検討させていただくというふうな場を設けることにしています。

■質問■宮田委員:是非十分な議論をしていただきたいんですが、一つだけ例を申し上げますと国立病院の付属の三田の養成所があります。あそこが2008年の3月に閉校するということになっていますけれども。もうすでに今いろんな関係者の情報が伝えられて、いろいろな準備に入っているとそういうものと比べても、県のやり方というのは非常に唐突で住民の側から見ると乱暴だと言われておりますので、なんとしても一旦白紙にし、みんなと議論する時間を保障してほしいという要望に、是非応えていただきたいというふうに思います。

民間社会福祉施設処遇改善費の継続を

■質問■宮田委員:もう一つは民間の社会福祉施設に対する処遇改善費の問題です。4年前の推進方策では特養ホームがなくなって、今回、保育所、児童養護施設それから障害者の施設で処遇改善費を廃止をするという提案がなされているんですけれど、しかし、実態としては職場ではこの処遇改善費はなくてはならないものとなっているんですね。そこで、まとめていいますけれども、県のこの提案の中では、「措置施設に対する財政支援が改善された」ということですとか、「支援費とかあるいは運営費制度が導入をされて、そして施設の財政が改善された」というふうなこととか、あるいは「設置者がいろんな補助金と財政の運用が、弾力的に行えるようになって、設置者の判断で人件費を増やせる。とそういうような可能性が出てきた」と。だから今回は廃止をするんだという理由になっていると思うんですけれども、運営制度、支援制度が入っても施設の収入は増えていないと言うことと。それから設置者の判断と言うことが言われていますけれども、介護保険制度が導入されて人件費はどこでも下がっているんです。今まで約7割が人件費だったものがどこの施設も、だいたい54〜55%まで落ちている。それは、設置者の判断でやれるようになって、さらにコスト意識が高まってこの人件費を削って行くというのが実態としてあるわけです。この点から見ますと、本当に保育所とかあるいは今回対象にされている福祉施設でも人件費がさらに下がっていく可能性がありますし、公立と民間との給与格差というものは厳然としたものがありまして、例えば、保育所で10年間勤務した人が、大体1年間で50〜60万円の賃金格差がある。どの角度から見ても、民間の施設は非常に劣悪な状況にあるので、この社会福祉施設の処遇改善費というのは、どうしても続けてほしいというのがみなさんの本当に強い要望なんです。ですからこれをなんとか応えてやっていただきたいと思うんですけれども一つご答弁をお願いします。

▼答弁▼吉田社会福祉課長:施設長につきましては運営費あるいは補助費によって弾力的な取り扱いが行われるようになっておりますし、近年、福祉職場への就労が非常に増加しておるといった労働市場との状況ともございます。したがいまして、制度目的を達成したというのが一つ目でございます。
 二つ目には、在宅事業者あるいは民間企業とのバランスに欠けるということから、制度目的が合致していないということ等を踏まえまして、制度を廃止しようというものでございます。要は、施設設置者が人件費あるいは事務費にどのように配分するかにつきましても、創意工夫をこらすなかで効率的な事業運営をはかっていただきたい、はかっていける時代にはいったということでございます。

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