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第277回本会議請願討論 筒井もとじ
2003年12月19日

 私は、日本共産党県議団を代表して請願第24号、第25号、第27号ないし第29号、第30号ないし第35号、第38号、第39号の13件の不採択に反対し、採択を求めて討論いたします。

 本県議会に提出された請願は総数20件、その内訳は文教関係12件、健康生活関係5件、行革関連3件であります。
 委員会審査の結果は採択3件、不採択13件、継続審査4件となっております。

 まず、教育に関する請願についてです。いま、全国各地で30人学級にふみだそう、子ども中心の教育をすすめようと教育をめぐる新しい流れがおきています。その背景に、学力の問題や激増した不登校をはじめ教育問題への住民の熱い思いがあります。今回文教関係で13件もの請願が出されたのもその現われといえます。
 ところが、国では教育予算が削減され、県も大型開発のツケを教育にもしわ寄せしています。今大切なことは、教育の目的は「人格の完成」をめざすものであるという教育基本法の立場に立ち、学校が子どもの人間形成を助けるという本来の仕事に専念できるよう、国と自治体が環境や条件を整えることです。この立場から、以下の請願の採択をもとめるものであります。

 請願第25号、第30号、第34号、第35号など30人学級の実現を求める請願であります。
少人数学級は全国30の道府県で実施され全国的に大きな流れとなってきました。少人数学級の実現が子どもの学ぶ権利の保障の中心的課題であることが国民的合意になりつつあるといえます。本県でも尼崎市、姫路市からの県への予算要望にあげられるなど、実現への願いは切実です。文科省も最近複数担任教員など教員加配を条件緩和し、少人数学級にも使える見通し方針を明らかにしています。少人数学級の教育的効果が明らかとなり、国の態度も変わりつつあるとき、県としても子どもたちのために実施にふみこむべきであり議会としてぜひ請願を採択し、その責任を果たすことが求められております。

 請願第24号、障害児教育の充実を求める件でありますが、「特別支援教育のなかでLDやADHDの子どもたちへの支援が位置づけられたことは評価しますが、この「支援教育」によって障害児学級が縮小・廃止されたのでは、障害児教育の大きな後退につながります。請願の願意通り、障害児学級や通級指導教室の拡充が必要です。
 エアコンやプールの設置など、障害児学校の施設整備やスクールバスの介助員の複数配置など安全面からも必要です。さらに、養護学校への入学希望者が増えている現状から考えても養護学校の新設も急ぐべきであります。
 請願第31号ないし第33号、高校改革に関わる請願です。県教委は総合学科や単位制など学校の「特色化」をすすめ、さらに高校の統廃合や複数志願制を導入、これらは「学びたいことが学べる学校へ」「行きたい学校へ行ける」などの県教委の見解とは異なり、一部のエリート作りとなっています。人格の完成をめざすという教育基本法の精神に則って基礎・基本をしっかり身につける高校教育を願うこれら請願は採択すべきであります。

 次に、請願39号は、30万人をこえる署名つきで出されている私学助成の拡充を求める件であります。
 深刻な不況のもと、私学入学者の父母にとって、授業料や施設整備費、入学金などの負担が重くのしかかり、公私間格差は六倍以上にもなっています。25都道府県・228校の調査で、経済的理由で学びたくても退学せざるを得ない生徒が過去最高の355人に及んでいる結果からも、さらなる授業料の軽減補助の拡充が求められています。就学援助や奨学金制度についても同様です。金がないため学校に行けない子どもに希望を与えてほしいと願う願意を受け入れ、本請願を採択しようではありませんか。

 次は、健康生活に関連する3請願のうち、社会福祉法人の施設産休等代替職員制度に関する請願第27号についてです。
 障害者支援費制度の実施に伴い、厚生労働省は突然、産休等代替職員制度の対象から特養や障害者福祉施設を除く通達を出しました。福祉関係の低い賃金ベースから、さらに代替職員への手当がなくなれば、労使交渉で決まるとはいえ一層低い賃金水準となることは目に見えています。福祉の水準を落とさないため、県が国に対して異議申し立てをすることが必要であり、本請願の採択を願うものであります。

 請願第28号は保育所運営費負担金を一般財源化しないことを求める請願であり、請願第29号は幼保一元化及び保育所調理室の必置規制撤廃について慎重な検討を求める意見書提出の件であります。
 保育所運営費は、今でも国の基準額が低いために、市町や父母の負担にはね返っている現状です。一般財源化されれば、自治体の財政力によって保育予算に格差がうまれ、保育の水準の低下を招くのではないかと危惧されています。国が財政支出を減らし、公的責任から後退することを許すべきではありません。
 県は一般財源化により負担増になることには反対であるといいながら、国に明確な反対の態度を表明もせず、一般財源化された場合に、保育所運営費予算を県として確保するとも言っていません。そうなれば負担は市町と住民に押しつけられることになります。県として住民負担を増やさないと言う立場に立ち、国に意見を出すべきです。
 また、いま出されている幼保一元化と給食調理室の必置規制撤廃も結局は国の財政削減策であって地域の実情や親の願いを省みた議論ではありません。給食調理室で言えばアレルギー対応の調理などむしろ充実が望まれています。
 市町の財政の状況でその地域の子どもの状況が変わってしまう、住んでいる市町で子どもの育つ環境に差が生じてしまう、そのようなことを認めることはわが国の福祉水準のいっそうの引き下げにも通じ憲法二十五条をはじめその精神を踏みにじるものであります。
 すべての子どもに等しく発達に必要な環境を保障するため、これらの請願の採択を求めます。
 以上、議員各位のご賛同を心からお願いし、私の請願討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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