■質問■ 私は、多岐にわたる県民の要求に即し、順次質問いたします。
特養ホームの待機者の解消を
■質問■ 質問の第一は、介護の充実を求める問題です。
介護保険導入以来、「特養ホームに入りたいのに入れない」待機者が増え続けています。
県が、特養ホーム入所の優先順位を4項目により判定する「入所コーディネートマニュアル」を導入して1年が経過しました。待機者の増加で「真に必要な人の入所が、ただちに入所の必要のない人より後に」なっているからというのが理由でしたが、これで「真に必要な人」がすぐに入所できるようになったでしょうか。
先日、私が訪問した2箇所の施設を持つ特養ホームでは、入所の必要性が高いと判定された待機者が2箇所合わせて800人を超え、重複をのぞいても700人います。ところが、入所できるのは月に1人か2人で、1人も入れない月もあります。つい先日も、妻を介護している男性から「あと何人で入れるでしょうか。もう限界です」と泣きながらの電話があったそうです。こうした状況は県下の各施設にも共通しています。兵庫県老人福祉事業協会の「待機者情報」によれば、本年七月時点で兵庫県の待機者数は2万4000人近くに上り、その中で「入所の必要性が高い」と判定された人だけでも7700人もいるのです。それに対し入所状況は昨年10月からの半年間で1252人、重複申込みを含んでいるとはいえ、「必要な人がすぐ入所できる」こととは程遠い実態です。
マニュアルの導入により待機者をしぼりこんでも、根本的な解決にはなりません。今県がなすべきことは、実情に即して特養ホームの整備を進めること、利用料の軽減など安心して在宅介護が進められるようにすることです。そもそも「サービスを自由に選べる」というのが介護保険制度導入時のうたい文句だったのですから、入りたい人は誰でも特養ホームに入れるようにするのが当然ではありませんか。
同時に、現実にこれだけ待機者がいる以上、入所を調整して必要度の高い人の入所を優先することにはそれなりに合理性がありますが、県の「マニュアル」は、内容上も運用上も問題の多いものです。
「マニュアル」は、4項目それぞれについてAかBかの評価をし、すべての項目でAとならなければ「入所の必要性が高い」と判定されません。ひとつでもBがあれば、実際には在宅介護が困難な人でも必要性が「低い」と判断され、入所できにくくなってしまいます。
さらに問題は、「マニュアル」の運用が施設まかせであることです。「マニュアル」にもとづき申込者に優先順位をつけろといわれても、施設が持つ待機者の状況についての唯一の情報は、入所申し込み用紙の記入事項のみです。要介護認定の際、市町は詳しく実情を調査するはずですが、その時の情報は施設には提供されません。県が施設に行ったアンケートでも判断に困るとの困惑の声が出ています。
県は、運用の手引きを作成してより細かく基準を示すとのことですが、基準を示すだけで実際の調整を施設だけに丸投げしては一層混乱するだけです。入所の調整は、実態に合っていない県の「マニュアル」によるのでなく、利用者に身近な市町と施設の連携で行われるべきです。
(Q1)そこで、県の「マニュアル」は撤回し、入所の調整は、例えば特養施設代表や、在宅介護支援センターの職員などに行政関係者が加わった「入所調整会議」を市町ごとに設けるなどの方法で行うことを求めます。また、待機者問題の抜本的な解決のために特養ホームを大幅に増設することを求めます。
▼答弁▼神田健康生活部長: 私から特別養護老人ホームへの入所について、お答え申し上げます。介護保険導入後3年経ちました。それ以前は行政による措置ということで、行政が関係者のご意見をお聞きしながらどこそこへ入所と言うようなことを決定しておりました方策でございます。介護保険が導入されて利用者と事業者が契約で行うというような制度になりました。ご指摘のマニュアルにつきましては、そういった介護保険制度の趣旨を生かしまして、必要性の高い人がすみやかに入所できるよう、県として、県が県老人福祉事業協会と共同して策定したものでございまして、このマニュアルにもとづきましてそれぞれの施設が適切な入所決定を行うというような形になっているところでございます。今後そのマニュアルの運用につきまして、各施設で若干のばらつきがありますので、運用について具体的な事例を設けてこういうケースについてはこういう判断をすべきだというような手引きの作成をいたしまして、マニュアルのいっそう円滑適正な運用を図りたいというように考えております。また、施設サービスを必要とする人がすみやかに入所できますように、介護保険者である市町が、向こう5年間における入所の必要数を見込んだ整備目標量をそれぞれ積み上げまして、県介護保険事業支援計画をつくっておりますが、それに基づきまして着実な施設整備を図ってまいりたいと考えております。なお、ご指摘の兵庫県老人福祉事業協会における待機者の状況の数字でございますが、ご承知の通りこの中には重複申込ということで2つ3つあわせて申し込んでおられる方がそのままダブル・トリプルカウントされておりますほか、神戸市分、あるいは県外からの申し込み者がふくまれ、また、すでに他施設に入居されておられる方等が多数入っておられまして、全体としては昨年のマニュアル導入前の数字とほぼ同じと言うように考えておりまして、県としては計画通り整備あるいは入所が進むものというように考えております。
国の米政策の押し付けをやめよ
■質問■ 質問の第2は、国の施策が大きく変わろうとしている農業問題です。
国は、来年から米政策「改革」を行うとして昨年「改革大綱」を発表しました。いま、農家と農協、市町の農政担当者は来年から始まる米政策「改革」にどう対応するか「地域水田農業ビジョン」をどう作るかが大きな悩みになっています。
生産者米価の暴落がとまらず、減反は毎年のように拡大され、いまや全水田面積の四割に達し、稲作所得は大幅に減少し続けています。とりわけ県が育成してきたはずの大規模経営が大きな打撃を受けるなど、まさに“閉塞感”に満ちています。そのようなときに国から米「改革」実行プログラムに基づいた生産調整に関する「改革」が押付けられようとしています。具体的にはまず減反がこれまでの面積方式から数量方式に変えられます。先月28日本県の数量が19万9590トンと決定されたところです。豊作になれば過剰米として加工米、飼料として安くたたかれます。また、不作の場合、銘柄などによる“投機”的要素が強くなり流通疎外が起こります。結果、農家に商業的負担がいっそうのしかかり、生産性の向上をはじめとする技術改革への熱意も、何よりも「つくる自由」が奪われてしまいます。
そして、この政策の実行は市町または合併農協の範囲で作る「地域水田農業ビジョン」に責任を持たせ、「担い手育成」を強制するのです。また、これまで声高に叫ばれてきた「担い手作り」にも大きな影響が出てきます。集落で4ヘクタール以上の農家か20ヘクタール以上の集落営農に携わっている農家だけに絞り込み、それ以外の農家は稲作を放棄せざるを得なくなります。そうなれば農機具も廃棄し、永久減反させられることになります。また、「担い手」にも需給対策費や担い手経営安定などの諸対策の拠出金など「応分の負担」が課せられ、結局資本力、経営力がある部分しか生き残れないという水田つぶし、農業つぶしになってしまいます。
さらに、この「ビジョン」を来年3月までにつくらなければ、産地作り推進交付金を出さないとしているため、地域が悩みを抱えています。これこそが、全国170万戸の米農家を8万戸にまで減少させようとすすめる小泉構造改革なのです。
本県はすでに60ないし70の市町で「ビジョン」の検討が始まっているといいます。けれども「『あなたは担い手』『あなたは米作りから手を引く人』などと決められない」「自分の集落には国の基準に合う農家はないのにどうやって担い手を決めるのか」など、現実を無視した「ビジョン」の強制に批判が集中しています。「基準」にあわせて「担い手」をむりやり決めることこそ、将来に禍根を残します。
(Q2)そこでお尋ねします。国の米政策「改革」を無批判に農家に押付け、無茶な「ビジョン」作りを強制する姿勢を改めることこそ必要ではないでしょうか。そのためには、集落はもとより、市町や農協などの議論を大切にし、真に米を作る意欲のある人、地域が培ってきたさまざまな生産組織を大切にした対策が盛り込めるようにすることが大切だと考えますがいかがですか。
▼答弁▼井戸知事: まず、地域水田農業ビジョン作りについてです。このたびの米政策改革は従来の行政主導の生産調整から農業者と農業団体が主体的に取り組む米づくりへと転換しようとするものです。また、従来の減反政策である米を作らない面積を配分する生産調整、これは、技術革新によりまして、単収が増加したり、作況等により、米の需給調整機能が十分発揮されないことなどの問題がありますので、消費者や実需要者が求める米作り、すなわち何らかの形で全て消費される量を生産する調整方式に転換しようとするものです。このようななかで、多様な自然条件を有し、多彩な農業が展開されている本県では、それぞれの地域の特色を生かした将来のあるべき姿を明確にする必要があります。そのために、地域水田農業ビジョンの作成はきわめて不可欠・重要なものであると認識しています。本県は早い段階から、ビジョン作成の重要性の啓発をはじめ、まず地域の実態に即した作物の振興方針、そして産地作り対策の活用方法、ついで各地域の水田農業モデル手法等の提示など、現場との連携を密にしながら、準備を進めてまいりました。その結果各市町では、地域の営農は、地域自らが考えるという機運を生じておりますし、担い手の育成や、作物の振興等について関係者の真剣な議論が行われているところです。今後はビジョンを作成する来年3月にむけて、市町、農協、生産者と県関係機関との十分な連携のもと、今日までの取り組みをふまえた、検討、議論を一層活発化させ、地域の特色を生かした活力ある水田農業を構築するため、ビジョン作りをすすめてまいります。
障害児学級と通級指導教室の継続を
■質問■ 質問の第3は、「特別支援教育」に関わって、障害児学級と通級指導教室の継続・充実に関して質問します。
今年3月、文部科学省の「特別支援教育のあり方に関する調査研究協力者会議」が「最終報告」を行い、今後の障害児教育の内容を大きく変えようとしています。
「最終報告」では、通常の小中学校の中にこれまで障害種別で設置されてきた障害児学級や通級による指導の制度を廃止し、すべての障害のある子どもが通常の学級に在籍したうえで、必要な時間のみ「特別支援教室」で特別の指導を受ける制度に一本化するという提言がされました。このことが示唆された「中間まとめ」に全国連合小学校長会や全国特殊学級設置校長協会から「本会としては認めがたい」「極めて遺憾」という厳しい批判が出たにもかかわらず、そうした批判に一切耳をかたむけないどころか、「特殊学級」の障害種別設置「合理性」を認めた部分さえ「最終報告」では削除されています。
さらに、教員についても、かならずしも全ての「特別支援教室」に配置されるとは限らず、拠点校からの巡回指導もありうるとしています。これでは、これまでの障害児教育の低下をもたらすだけでなく、通常学級の教育にも大きな混乱をもたらすことになります。近年のノーマライゼーションの浸透の中で、本県でも通常学校にある障害児学級が果たしてきた役割は大きいものがあります。「障害児学級」はさまざまな学年、障害の程度、障害種の異なる子どもたちが適切な生活集団、学習集団をつくりあげ、全校の子どもたちとも交流を深め、障害児教育の全校的取り組みの拠点となる役割を十分果たしてきました。
それなのに、「障害児学級」を廃止し、「特別支援教室」に転換させることは、障害のある子どもの専門的教育を受ける機会の保障を後退させるとともに、現在8人に1人の教師配置から、1人の教師が何十人もの子どもを担当することになりかねない「特別支援教室」では、教師の負担も増加し、子どもの教育権も保障されません。
(Q3)そこで、通常学校における障害児教育を後退させず、すべての障害児に確かな教育を保障するため、障害児学級を必要とする障害児のために障害種別による設置を将来的にも維持させ、障害児学級の設置を更に積極的に行うべきだと考えますがいかがですか。
▼答弁▼武田教育長: 障害児学級の維持についてであります。特別支援教育のあり方に関する調査研究協力者会議からの最終報告の中で、従来の障害児教育対象の児童生徒に加え、LD,ADHD,高機能自閉症含めて教育的支援を行う特別支援教育のあり方について、示されたところであります。中間報告の段階で、ご指摘のような意見を含め関係者から多くの意見が出されたことは事実であります。これらの意見を踏まえ、最終報告におきまして障害児学級については障害のある児童生徒が交流学習のなかで他の子どもとともに学習することや生活する時間を共有することの意義が示されております。また、特別支援教育体制の推進にあたっては、個々の教育的ニーズに応じ必要な時間のみ特別の場で教育や指導を行う形態についての具体的な検討が必要である旨報告がなされたところであります。現在国において特別支援教育体制のあり方についての具体化に向けた検討が行われておりまして、県といたしましても国の動向を注視しながら、障害児教育のあり方検討委員会において検討を進めてまいりたいとかんがえているところであります。
■質問■この項の2点目は「通級指導教室」の充実です。
文科省の行った全国調査の結果、新たに全児童・生徒の6.3%にあたる約67万人のLD・ADHD・高機能自閉症の子どもたちが障害児教育を受けることとなりました。この子どもたちへの教育的配慮はこれまで十分ではなく、保護者や関係者の切実な要望があげられてきましたが、真にニーズにあった教育を受けられる教育条件をこそ整えることが求められています。まず、県下のLD、ADHD、高機能自閉症などの子どもたちの実態調査が急がれます。そして、通常学級における条件整備ももちろんですが、教育条件の一つとして、LD等の子どもたちが必要とする「通級指導教室」の充実が大切ではないでしょうか。ところが、現在、軽度発達障害に対応している「情緒教室」は全県でわずか16教室と言う状況です。
すでに、加古川市では、最近新設された「情緒教室」が、関係者の間で評価されています。お聞きしますと、この3年間で4校「4教室」を開設、27校ある小学校全市の子どもたちが対象となって、1教室10名前後が通ってきます。もともと他人とのコミュニケーションがとりにくい、集団生活に対する困難性をもつ、発達障害の子どもたちにマンツーマンできめ細やかな個別指導が行われ、父母や通常学級の教師たちにも大変歓迎されているのです。同時に父母たちへの「教育相談」も行われています。このような「情緒教室」はあと神戸市に7校・11教室、播磨町に1校・1教室にしか開設されていません。通常学級で教育を受けながら他校へ通級指導を受けに行くわけですから当然あまり遠くだと通いたくとも通えないのが現実です。せめて、中学校区に一教室の開設が求められます。
(Q4)そこでおたずねします。今後増加するLDやADHD、高機能自閉症等の子どもたちへの教育的対応の一つの場として通級指導教室を新設するなど体制の充実を図るよう求めますがいかがですか。本県でも、児童・生徒の数が減少し続けている一方、養護学校や障害児学級在籍者および通級指導対象者は増加の一途をたどっています。積極的なご答弁をお願いします。
▼答弁▼武田教育長:通級指導教室の充実についてでありますが、先の協力者会議の報告書の中で、障害児学級や通級による指導の制度を通常の学級に在籍したうえで、必要な時間のみ特別支援教室の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化いたしますための具体的な検討が必要なことなどが示されたところでございます。あわせて、通級指導学級のニーズが高い現状や、LD、ADHD等障害の多様化をふまえ、柔軟かつ弾力的な対応が可能となるような制度のあり方等について検討していく必要があわせてうたわれたところであります。これらの報告内容を踏まえ、現在国においても検討が行われているところでありまして、県といたしましても、障害児学級同様、国の動向を見ながら、今後の特別支援教育のあり方の検討を進めてまいる所存でございますのでご理解をいただきたいと思っております。
神戸の「朝日ホール」の継続を
■質問■ 質問の第4は、県民の文化・芸術・レジャーを楽しむためのゆとりある生活を求める問題です。
その1点目は、県民に利用しやすい文化施設を提供する問題です。
県庁の所在地神戸は、江戸末期に開かれたミナト神戸の歴史の中で文化・芸術も育ってきました。ところが、文化・芸術を提供してきた神戸市中央区の神戸朝日ホールが来年三月いっぱいで休館されようとしています。席数505名の手ごろで交通至便な文化施設として利用されており、映画サークルはじめ利用してきた県民から困惑の声が上がっています。神戸の文化団体から県に「文化施設の充実」が要望されているように、神戸市内に文化施設が不足しています。
ホールが入っている神戸朝日ビルは、戦後映画館として親しまれてきた旧居留地に建つビルを1994年に建て替えたものです。その際、建築史上貴重な建物の景観を残してほしいとの運動があり、ビルの外観の一部に旧ビルのイメージを取り入れて建てられました。完成の際には、指揮者の故・朝比奈隆さんや、作家の小松左京さんら文化人が、旧ビルの思い出とともに新ビルへの期待を語っており、神戸の作家陳舜臣さんは、「戦後は…映画館や新聞社が入ることで文化の発信基地となりました。これからも格調高い文化の薫りがする施設として機能してほしいものです」と述べています。
震災前年に建設され、影響が少なかったため、復興イベントなどでも大いに利用されてきました。音響設備がよいことから、著名な音楽家を招いたものから住民の手作りコンサートまで、数々の音楽会が催され、市民映画劇場が毎月例会で内外の名画を上映しています。宇宙飛行士の毛利衛さんや、評論家の加藤周一さんが招かれるなど、講演にも利用されています。今年度も県主催のフォーラムなどが3回行われるなど、県も利用しています。
朝日ホールの閉館の原因として不況の影響はもちろんですが、背景には、高いチケット代に手が出ない、長時間労働でゆとりがないなど、誰もが自由に文化を楽しむことが出来ない状況があります。また、文化の創り手に対する公的な補助も貧弱です。この点でヨーロッパなどに比べ文化行政が非常に遅れていることは、従来から指摘されていることです。いうまでもなく、文化や芸術は効率ではかられるものではありません。不況の下、「市場原理」まかせにしていては、文化・芸術活動の場であり、住民の鑑賞を保障する場である文化施設はさびれる一方です。
一昨年「文化芸術振興基本法」ができました。県も、文化芸術振興ビジョンの策定に当たって「芸術文化は、人の豊かなこころを育むだけでなく、青少年の育成や産業の活性化、まちづくりにおいても大きな力を発揮するもの」と述べ、知事も「兵庫は芸術県」であると言われています。県の役割は、大規模で豪華なハコモノ施設をどんと作ることではありません。文化・芸術関係者の要望をよく聞き、地域の文化団体や住民が使いやすい施設を整えることが必要です。
神戸朝日ホールは民間の施設ですが、県の中心地、オフィス街のなかにあり、平日の仕事帰りにも立ち寄ることが出来る絶好の立地です。規模も手ごろで、もし低料金で借りることができ、鑑賞者も安くチケットが買えるなどの条件があれば、もっと利用されるはずの施設です。
(Q5)そこで、運営している株式会社朝日ビルディングに、神戸朝日ホールを継続するよう県として働きかけを行うとともに、文化施設の低料金化のための県の補助制度を設けることを求めますがいかがですか。
▼答弁▼井筒県民政策部長: 私から、県民の文化・レジャーの充実のうち、神戸朝日ホールの閉館問題についてお答えいたします。神戸朝日ホールは、平成6年の開館以来旧居留地の芸術文化拠点として親しまれてまいりましたけれども、ご指摘のように来年3月の休館が決定しております。こうした厳しい状況は実は大阪でも扇町のミュージアムスクエアが閉館をして、また、近鉄劇場の閉館が予定されている非常に厳しい状況にございます。このようななかにありまして県といたしましては、県民芸術劇場等の各種事業を通じて低料金での鑑賞機会の提供これに努めますとともに、民間の芸術文化活動については文化団体活動の支援、また、被災地における芸術文化活動の助成、こうしたことは行っておりますけれども、民間のホールや会館の運営について、これを支援すると言うことは想定をしておりません。神戸朝日ホールの休館は、運営会社の経営判断によるものでございますが、今後その存続につきましては、神戸市、あるいは文化団体、地元の盛り上がり、そして具体的な提案、こうしたものがない限り、県としてこれに対応することは困難ではないかと考えております。
プレジャーボートの放置問題の解決を
■質問■ 2点目は、「プレジャーボートの放置係留」についてです。本県は瀬戸内海、日本海と絶好の釣り場を持ち、釣り愛好家は増え続けています。さらに、これまでは高級なレジャーのイメージがありましたが、中古を安い値段で買えるとか、一隻をグループで購入するなど、小型船舶の保有数が急激に増加、その係留場所の不足が大きな社会問題となっています。
今から7年前の調査でも本県におけるプレジャーボートは約9000隻あります。ところが、そのうち7000隻が無秩序に係留され、防災や環境上さまざまな問題を起こしており、早急に対応が求められていました。
このような問題が起こる根本的原因は、車のような「車庫証明」が必要なく、係留地を特定しなくてもプレジャーボートを購入できることにあります。
現に、私の地元、垂水区内だけでも海岸や河川の河口付近に放置艇が多く見られます。私自身、自治会長からの訴えで塩屋浜の1500メートルほどの海岸を歩き、約70隻が放置され、そのうえ、2隻が海に沈んでいるのを目にしました。会長さんは、数年前は、わずか4、5隻しかなかったのに「最近急増した」と話しており、近隣の住民から、「何とかしてほしい。特に早朝、砂浜から海にボートを降ろすときガタガタと音がうるさい」「地震のときの津波が心配。放置ボートが護岸を乗り越えたり、河口をふさぐと防災上からも危険物となってしまう」などの苦情、訴えが届けられるとのことです。
国は、海岸法、港湾法、河川法などの各水域管理法を相次いで改正し、放置艇対策に係る規定が整備されました。それを受けて県も2001年7月「プレジャーボートによる公共水域等の利用の適正化に関する要綱」を制定しました。その際、県は要綱の趣旨、目的は「プレジャーボートを単に規制するだけではなく、健全な利用を促進する必要があった。このため係留・保管場所の計画的な整備や放置艇の適正保管場所への誘導、各水域管理者、国や市町との調整等について、実効性のあるプレジャーボート対策を実施」とあります。この趣旨にもとづいて2006年までに七千隻の放置艇を解消する計画があるものの、見通しすら立っていません。
民間マリーナなどもありますが、利用料が高すぎます。県民の望む豪華ではなく簡易だけれど安全な施設こそが望まれているのです。
(Q6)とくに放置艇隻数の多い瀬戸内海側への係留施設を増やすため、安全を保障する必要性の強いところ、住民からの苦情があるところは、最優先して県の管理する港湾等を利用して整備を進めていくことを求めますがいかがですか。
▼答弁▼陰山県土整備部長: 私から放置プレジャーボート対策についてお答え申し上げます。プレジャーボートの放置艇対策につきましては、県では港湾法や河川法等に基づいて規制するだけでなく、安全で快適な海洋レクリエーションの促進に資するため要綱を制定し取り組んでいるところでございます。現在この要綱に基づきまして、関係する全ての県民局が地元の市町長、海上保安庁、漁協等の意見を踏まえまして、すでに利用調整計画を策定いたしました。この計画では、放置等禁止区域や、係留誘導区域の設定と、係留施設の整備計画を内容としておりまして、今後港湾の公営ボートパークで約1000隻分、公営簡易係留施設で約2800隻分を整備し、すでに整備して来ました整備済みの施設でまだ収容可能な隻数約600隻、それと漁港、あるいは民間マリーナ等での収容等と合わせまして本計画策定時点での放置艇約6300隻を収容することといたしております。すでに東播磨県民局では利用調整計画のモデルケースとして、播磨町と共同してキセ川の全ての置艇をボートパーク等に収容いたしました。このように全体としては着実に対策を進めております。今後とも各県民局におきまして、保管場所の整備や地元調整など、地域の実情に合わせ、計画的に放置艇対策を進め、良好な生活環境の保全と、公共の水域等を利用する県民の安全を図っていく考えでございます。
県の持っている未利用地の問題
■質問■ 質問の最後は、県が保有する莫大な未利用用地などの土地問題についてです。
11月17日付の日経新聞は「『売れない』塩漬け・保有地、兵庫県土地開発公社の保有地面積1724ヘクタール、全国最大。安易な開発計画を基に用地取得を続けてきたツケに今、直面している。」と報道し、「甘い需要予測で誤算」を招いたと厳しい指摘をしています。
私たちはこれまでも、但馬空港周辺整備事業や宝塚新都市など大規模開発に対し繰り返し凍結や中止を求めてきましたが、県は当時「ゴルフ場など乱開発を防止する」と称して開発計画を強引に押し進めてきました。そして土地バブルが弾け、乱開発などの心配が全くなくなった90年度以降も4000千ヘクタールもの土地を買い続け、借金で3000億円を超える投資を行っているではありませんか。県の政治責任を厳しく問うものです。
現在、未利用地などの土地保有はこれだけではありません。私は、県の保有地が一体どれだけあるのか調べてみました。県住宅供給公社や企業庁、行政当局からの提出資料を集計してみればなんと6000ヘクタールを超える保有地で甲子園球場が1500も入る広大な面積です。しかもその内、いわゆる五年以上の「塩漬け土地」の未利用地は六割を超えています。用地費も4000億円をこえており、ほとんどが借金づけになっているのです。
現在県の借金は、一般会計など4兆円を超える県債残高をかかえています。そのうえ県土地開発公社などが保有している未利用地を買い戻す時には新たな借金額はうなぎ登りになり、しかも買い戻しても利用見通しも売れるメドもありません。
このなかで、県は、「行財政構造改革の今後の取り組み」方針で「先行取得用地」の問題をあげていますが、「厳しい社会経済情勢を」理由に「公社での土地保有の長期化が進んでいる」とまるで他人事のように県の責任を棚上げし、反省がまったく示されていません。それどころか「将来の本格的な事業化に備える」とあくまで開発ありきの姿勢です。
見直しの具体的内容についても「公社での長期保有地の縮減、買い戻し価格の抑制」など利活用の促進や管理の明確化など小手先の対策にとどまっています。
(Q7)知事、今必要なことは、県民の目線に立って、今後の開発用地など先行取得用地の買収計画全体をいったん白紙に戻し、事業ごとの未利用用地など取得理由、「塩漬け」などの経過、規模や簿価、利息など全容を明らかにするとともに、保有用地の時価を調査し県民に公表すること。そのもとで県民参加の下で抜本的な見直しを求めますがいかがですか。明確な答弁を求め、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
▼答弁▼井戸知事: 次に県の保有土地についてです。本県では、土地開発公社等を活用し、用地の先行取得を行い、将来の計画的な地域整備に備えるとともに、高速道路網等の整備周辺地域の乱開発や無秩序なゴルフ場開発等の抑制をはかってきました。あの際限のない開発パニックの嵐のなかで、このような土地公有化による開発抑制が県土を守る試みとして大きな成果を挙げたものと考えています。また、このような先行取得された土地が、県民ニーズの具体化に合わせて、こうのとりの里公園、神戸東部新都心、三木震災記念公園等の整備など、順次有効活用にまわされ、その活用がはかられるとともに、良好な地域環境の保全に寄与しているものと考えます。しかしながら、最近の厳しい社会経済情勢や、土地需給状況に鑑みまして平成十一年以降は原則として、震災復興事業あるいは公共事業等、事業計画を円滑に進めるための先行取得のみにとどめています。近年の社会経済状況や、土地需要の減退、自然を守るという環境条件など、鑑みましたとき、先行取得土地の事業化がスムーズに進みにくい実情にあります。公社での保有が長期化するなかで、まずは土地の事業化の促進が基本であることはもとよりでありますが、事業化までの間、有効利用するなど、土地と言うストックの活用を検討すべきであり、あわせて、資産デフレの進行のもと、簿価による買戻しが必要となることから、将来の事業化に当たっての阻害要因となる買戻し価格の抑制を図ることが課題となっております。このため、行財政構造改革の一環として、先行取得用地の保有状況や、取得目的別の状況などは、すでに説明しているものの、全体の先行取得土地を総括して対策を講ずることとして、まず、本格的な事業化に向け、事業目的の見直しも含めたはばひろい利活用方法の検討を行いますとともに、この事業化を行うまでの間の有効活用や暫定利用、例えば里山林等としての有効活用なども検討してまいります。県による買戻しをすすめるとともに、買い戻し価格の抑制をはかるため、土地開発公社債の発行や、県からの税によらない特定財源による利子補給の検討などを行うこととしているものです。いずれにしても、先行取得用地は有効すべき、県の貴重な財産であると考えており、事業化の促進や、暫定的な有効活用を含めた、適正管理を行いながら、県民ニーズをふまえた利活用を進めてまいる決意でありますし、そのような方向に進めてまいります。
土地問題 県民への情報公開を前提に解決を
■再質問■ 二点について再質問させていただきます。知事にぜひお答えいただきたいと思います。ひとつは土地問題です。先ほどお話がありました乱開発防止のためにということで買った、それが今他の利活用を考えると言うお話がありました。当初土地を買うときにはその目的が必ずやあったはずです。何のために買うかと。それが今事業化されていないということに今大きな問題があるわけで、そこに対しての反省がないということ、それともうひとつ質問しました中身は、県民にその全容を公開せよ、公表せよと言うことなんです。それは先ほど県の財産と言われましたけれども、これは結局県民の財産ですから、その土地がいったいどれだけあるのか、そして先ほど言いましたように簿価はどうだった、利息はどうだ、今の時価はどうだという全容が分からないわけです。最後に県民ニーズにこたえた利活用を考えるとおっしゃいました知事は。けれどもそれを知るためにも、ニーズを発表するためにも県民にすべてがわからなければ何をどんな風に使いたいかというというのはいえないはずです。ですから、県民参画をよく言われる知事ですから、それについてこのお答えがなされていないのでぜひ答えていただきたいと思います。
それともうひとつは介護保険制度の問題で特に特養ホームの建設の問題ですけれども、ちょうど3年前2000年の3月の予算委員会で、準備がずいぶん遅れていましたので非常に心配しまして、総括質問を行いましたところ、こういうふうにお答えになっているんです。「4月1日にサービスを受けたいという方々についてはもれなくサービスの提供ができる体制ができると認識している」というふうにおっしゃっているんですね―知事ではありません。前の当局ですから、健康福祉部長がお答えになったんですが、当時知事は副知事で横に座っていらっしゃいました―そういうことで十分足りるよと言うことをいわれました。そもそもこのマニュアルを作らなければならないと言う事態になってるのがそのサービスを受けたくても受けられないから、そういう必要性のある人の順番をつけようと言うわけですよね。本来の介護保険というのは保険制度ができたときに保険料を払いながら介護はずっとありますよということの約束でした。ですから、都道府県の役割なり、財政の補助をするというようなことも含めて介護保険法にはしっかりとうたわれています。ですから、そういった意味から介護保険法を必ず県としても責任もって推進すると言う意味からも、すべての人が要求しているサービスを受けたいという人のために特養ホームを建設すべきだと思います。この二点でお答えください。
▼答弁▼井戸知事: まず、保有土地に関連してであります。土地を取得したときの事情は、いろいろその土地土地の事情がありますけれども、基本的には乱開発防止のためにあるいはゴルフ場開発を抑制するために、しかしゴルフ場開発や乱開発防止というためだけではなかなか先行取得ということになりませんので将来の利用を実現することができるだろうということも含めて、事業化を検討して取得をしたと。だからそういう意味で私は、乱開発を防止したりゴルフ場開発を防止したと言う効果だけで十分に先行取得の役割を果たしてきている土地が多いのではないかとこのように感じております。そのような意味で、しかしそうは言いましても事業目的をそのときに掲げた事業目的を実現するためにいろんな努力をしてきたわけですが、いかにも環境が悪すぎます。実現できるなら実現できる方法を逆にお教えいただきたいと思うくらいでありまして、そのような意味の中で少なくとも先行取得している現在の土地を、全体として総括的に対処する必要があるのではないか、そのような意味で今回行財政構造改革の総点検の結果を踏まえて総括的な対応方法を明らかにしていきたいこのように考えたわけであります。
ですから、それぞれの取得目的ごとに、どのような対応をしていくべきなのかあるいは暫定利用を考えていくべきなのかということについては情報提供をする、そしていい方法があるならぜひ積極的な提言をいただきたいと思います。
それから、介護保険の実施に当たりまして施設が十分かどうか、その時点におきましては介護保険の介護サービスに対して見込まれておりました需要と施設内容とを比較しましたときに十分対応できると言う認識であったがゆえにそのようにおこたえしたんだろうと存じます。しかし、その後介護保険制度が定着してまいりまして、介護保険サービスについてのニーズが増えてまいりました。その結果介護サービスに対する需要が非常に増加していることもありまして保険料負担も増えざるをえないそんな状況になっております。そのなかで例えば特養に対する入所申込でありますけれども、将来の自分の安全のために確保しておきたいと言うニーズもかなりありますし、それから一人の人がA,B,C重複して申し込んでおられるケースもあります。それから介護度5とか4、常時介護を要する方でなく、介護度1とか2という方々が申し込まれている。つまり自由にまだまだ自活できる状態のなかでも申し込まれている。そういう方々がいらっしゃいますので、マニュアルを作成して優先度の高いかたがたに対する優先入所を促進しようと言うことで実施しているわけであります。ですから、実態まさしくその通りでありまして2万件以上の待機申込者単純に累計すれば事業協会が出している通りでありますけれども、その内容を分析してみますとそのような内容になっておりますので私どもとしてはもちろん施設整備の促進も努力しなければいけませんが、あわせて真に施設サービスを受けられる方を優先せざるをえないということにつきましてご理解をいただきたいと存じます。
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