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第277回本会議代表質問 ねりき恵子
2003年12月1日

 ■質問■ 私は、日本共産党県会議員団を代表して、知事に質問をいたします。

 「景気は持ち直している」と言われますが、それは輸出関連の一部の大企業であり、中小企業や地場産業は依然きびしく、企業倒産、失業は最悪の状態がつづいています。
 その上、医療費の連続改悪に加え、年金の大改悪。社会保障の財源を口実に庶民増税の強行や消費税の引き上げなど、国民生活はますます苦しくなるばかりです。
 先日、在イラク日本人外交官2名が殺害される事件が発生しました。犠牲となった2名の方に心から哀悼の意を表するものです。この事態そのものが、イラクの状況がきわめて悪いことを示しており、自衛隊は送るべきではありません。にもかかわらず、小泉内閣は、イラクへの自衛隊派兵をあくまでも強行しようとしています。本県においても、イラク戦争に参戦した米軍艦バンデグリフト号の姫路港への入港をなしくずしに認めるなど、日本の平和、県民の安全を脅かす事態が続いています。
 安全で安心して暮らしたいとの願いを実現するために、今こそ、国でも地方でも、くらしを支える政治への転換が求められています。

県「行財政構造改革」を県民本位に

■質問■ そこで、質問の第一は、県「行財政構造改革」についてです。
 県当局は、去る11月10日「行財政構造改革の今後の取り組みにかかる企画部会検討資料」を発表しました。
 これは2000年2月に策定した行革推進方策のままでは、今後新たに2,550億円の収支不足が生じるため追加対策が必要として、歳出面で人件費、行政経費を合わせて1,750億円の削減を行い、残り800億円は起債と基金の取りくずしで収支不足を解消するというものです。
 そのなかで、事務事業については、老人医療費、重度心身障害者、母子家庭、乳幼児の各福祉医療費助成事業がのき並み削減され、さらに社会福祉施設職員処遇改善の補助、重度心身障害者介護手当支給事業補助、高齢者対応住宅の改造助成など福祉施策がバッサリ削られています。
 一方、投資事業は、国庫補助事業で国の毎年度3%減という方針を見込んでいるものの、ほぼ当初の推進方策の水準に近い額を優先確保することになっています。
 このように、今回の内容をみると、投資事業優先、県民生活切り捨ての基本姿勢は、なんら変わらないばかりか、より改悪されたと言わざるをえません。
 いま県民が切実に求めているのは、小泉内閣の構造改革路線と全く軌を一にした"県民に痛み"だけを押し付ける「改革」ではなく、安心・安全に生活できる医療・福祉制度の確立です。今後の行財政運営にあたっては、わたしたちが一貫して提案してきたように、県民の切実な声に応えるため、予算つまり税金の使い方を、福祉・医療制度の拡充を最優先にすえるという方向へ大転換を図るべきだと思いますが、知事の決断を求めます。

▼答弁▼井戸知事:行財政構造改革の基本姿勢についてご質問がありました。
 本県の行財政構造改革は、成長から成熟へと時代が移行し、大幅な財政収入の増加が期待できない中で、既存の制度の見直しを図ることにより中長期にわたる健全な行財政運営を確保しつつ、少子高齢化に伴う健康福祉、教育や環境、産業雇用など今後ますます重要となる政策課題に的確に対応して県民福祉のさらなる向上を図ることを目的とおります。現在お示してしております「企画部会の検討資料」は、この目的を達成するため本年9月に取りまとめました「行財政構造改革推進方策の進捗状況と今後の課題」に沿って、組織、定員、給与、投資事業、事務事業など、行財政全般にわたって評価・検討を行ったものであります。今後、県議会はもとより県民のみなさまのご理解とご協力を得ながら新たな推進方策を策定しその具体化を図ってまいります。
 そして、安全と安心の確保、地域の元気と活力の創造、総合的な少子か対策をはじめとする未来への期待、共生循環型社会の実現、新しいふるさとづくりなどこれからの時代に求められる政策を重点的に展開し、県民の参画と共同を県政の推進を図っていく所存でございます。よろしく御指導とご協力をお願い申し上げたいと思います。このページの上へ

重度心身障害者の医療費有料化など、医療改悪の撤回を

■質問■ この項の二点目に、福祉・医療について、質問します。
 今回の重度心身障害者、母子家庭、乳幼児にたいする医療費助成を削減する案は、4年前、現行の「行革推進方策」を策定する際、県当局からいったん提案されたものの、関係団体、医療機関から大きな批判や反対の声がまき起こって取り下げられたものです。にもかかわらず、再び持ち出された事に、強い反対の声が日増しに広がっています。
 国民の医療費負担については、健康保険本人3割負担、老人医療制度の相次ぐ改悪がおこなわれ、さらに「県行革」による老人医療費助成の削減等で、多くの受診抑制が指摘されています。この上、さらに提案されているような削減が実施されれば、県民生活と健康に重大な悪影響を及ぼすことは言うまでもありません。
 例えば、障害者の生活は、神戸市が2001年3月に発表した「市民生活実態調査報告書」によると、障害者本人の収入は「年金のみによる収入」が約7割を占め、「収入なし」は7.4%もあります。
 その年間収入は、200万円未満が全体の6割も占めています。また同居している生計中心者の収入も年間300万円未満が5割を占めるなど、これだけみても生活は極めてきびしい状況にあることは明らかです。
 重度心身障害者の中でも、人工呼吸器や抗てんかん剤、抗血液凝固剤、人工透析などを必要とする内部障害の人は、器具を一生涯装着し、薬を服用しなければなりません。
 また、多くの障害者にとっては、治療や検査、訓練・リハビリは欠かせません。その上、通院はタクシーを利用せざるを得ない場合が多く、入院すると「付き添い介護」などを求められ、個室入院を余儀なくされるなど保険外負担も大変なものです。
 こうした生活実態や医療費負担の大きさから、重度障害者の医療費負担を少しでも軽くしようとする取り組みが全国で行なわれ、「所得制限なし」が11県、入院時の食事療養費を含めて「自己負担なし」が兵庫も含めて33府県で実施され、さらに障害者手帳3級まで対象者を拡大してほしいなどの要求が障害者、関係団体から出されています。
 すべての人が人間らしく少しでも希望をもって生きられるよう暖かい手を差し伸べるのが本来の県の仕事ではないでしょうか。
 重度心身障害者をはじめ、老人・母子家庭、乳幼児の各医療にたいする助成を削るという冷たい「行革案」は、ただちに撤回し、充実こそ必要だと思いますが、知事の誠意ある答弁を求めます。

▼答弁▼藤本副知事:福祉医療についてでございますが、急速な少子高齢化の進展、右肩上がりの経済成長の終焉など社会経済情勢の大きな変化や医療保健改革の実施によりまして、サラリーマンの負担の割合が3割に引き上げられるなど厳しい福祉医療制度を取り巻く環境は大きく変化をしているところでございます。
 このような環境の変化に対応するとともに、例えば重度心身障害者児の医療費助成制度についてはその本体制度と言える厚生医療、育成医療においても一部負担制度が導入されることから、給付と負担の公平を確保するために、一部負担のあり方も含め、現行制度の見直しが必要と考え、現在「企画部会議の検討資料」として提示をしているところでございます。
 県としての最終案につきましては、議会の行財政構造改革調査特別委員会、外部の有識者で構成しております行財政構造改革推進委員会での審査を経て、来年の2月に決定をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜わりたいと思います。このページの上へ

民間福祉職員の処遇改善費の廃止に反対

■質問■ この項の3点目は、身体障者更生施設、児童養護施設、保育所などの、民間福祉施設職員の処遇改善についてです。
 現在、これらの社会福祉施設の多くは民間が支えています。その労働条件は、極めて劣悪な状況にあるため、県はこれまで民間福祉施設職員の労苦にたいし、慰謝・激励し、人材の確保と質の向上を図り、入所者サービスを向上させる目的で、特別養護老人ホームを含めて約9200人を対象に、処遇改善費の支給事業をつづけ、大変よろこばれていました。
 ところが、「行革推進方策」にもとづいて、2年前、特養ホーム職員については、介護保険導入を理由に打ち切り、そして、今回、残りすべての施設職員への支給を削減する提案が行なわれています。
 その打ち切りの理由として県は、「民間施設の設置者の自助努力による人材の確保等の対応が可能になった」と述べています。
 しかし、福祉施設の現場では、賃金の切り下げや労働条件の悪化、パート化など、ますます労働条件が悪くなっているのが現状です。
 支援費や運営費制度によって、施設設置者の裁量で人件費引き上げも可能になったと説明されていますが、介護保険導入により、特養ホームの多くの職員の賃金が切り下げられている現状から見ても、さらに、実質賃金引下げの心配が広がっているのが実態です。
 もし処遇改善費の支給が廃止されることになれば、県は県民の福祉を支える福祉人材確保対策から手を引くことになります。
 それは、児童虐待や子どもをめぐる様々な問題や事件がおこり、いっそうの子育て支援の充実が求められ、また、障害者に対する手厚い支援が求められているときに、きびしい条件の中でも必死にがんばっている民間施設職員の努力に逆行することになりかねません。
 もう一度福祉施設を利用する県民の立場にたって、また、福祉の現場に目を向け、この「処遇改善費」の廃止案は撤回し、充実する方向で再検討されるよう求めるものですが、明確な答弁を願います。

▼答弁▼藤本副知事:民間福祉施設職員の処遇改善についてでございますが、民間社会福祉施設職員処遇改善費の対象としている施設につきましては、支援制度や運営費制度等によりまして設置者の自助努力による職員の処遇向上が可能となっていること、福祉職場の就労希望者の増加など近年の労働市場の状況から優秀な人材の確保が可能となっていることから現行制度の目的が達成されつつあります。また、現行制度は在宅サービス事業者や民間企業との公平性に欠け制度そのものが時代に合致しなくなっていることなどから、本制度を廃止して、新たに障害者の自立と社会参加等の促進や少子化対策の充実の観点から、施設が行う利用者サービスの向上の取組みを支援する制度の創設を、今後検討していきたいと考えているところでございます。このページの上へ

投資事業のあり方について

■質問■ 次に、投資事業のあり方についておたずねいたします。
 このたびの行財政構造改革の「見直し」では、投資事業について今後5年間平均して毎年3,400億円もの事業量を確保するとなっています。
 補助事業については「国庫補助事業量の水準を確保する」として、毎年度3%の減額にとどめ、県単独事業に至っては「行革」の最終年度でも「バブル期の事業量を確保」することを前提に毎年70億円程度、現状の4%を減額するだけです。
 その上、神戸空港や関西空港2期工事、過大な予測にもとづくダム計画、採算性のない道路など、県民の批判の強いムダには全くふれず、医療・福祉の削減とは対照的に、具体性がありません。県民の望んでいる改革の方向とは、まったく逆方向です。
 さらに、見直し検討資料では、事業を精査する上でもっとも大切な「投資事業の評価」について、「充実につとめる」というだけで、全く具体化されていません。
 わたしたちはこれまで、投資事業は段階的に半分に削減し、県民のくらし、福祉・医療、教育を優先した予算に組み替えることを求めてまいりました。そのためには毎年、前年度比1割以上の削減が必要です。
 そこで、来年の予算から、投資事業を半分に減らす方針を明確にし、不要不急のすべての事業を中止・凍結することを強く求めます。
 また、「幅広い一般県民の声」を直接評価に反映するために、評価委員会等のメンバーの半数は公募委員とするよう改善し、構想中や計画中はもとより、事業中も含める改善を求めますが、お答えください。


▼答弁▼井戸知事:今後の投資事業については、国の構造改革の取組みの中で公共事業や地方単独事業が抑制規制にあることを踏まえ、今後その規模を縮減していくと共に、その対象も行財政構造改革推進方策の検討の中で、県民生活の安全やまちづくり等に重点を移動させながら、整備の進め方や事業評価など総合的な見直しを行うこととしております。
 しかし、広い県土に多様な地域特性を持つ本県におきましては、地域間にぎやかに均衡のとれた社会基本整備をすすめる必要がありますし、既存ストックの機能を発揮させるためには今後とも一定の事業量を確保する必要があると思っております。特に県民の安全、安心を確保するための耐震化、老朽化対策、歩道のバリアフリー化や渋滞交差点解消、今後の地域づくりの基盤となる市町合併の支援等について集中的重点的支援を図らねばなりません。
 このため、事業のスピードアップや総合的コスト縮減、民間技術等の積極的な活用など整備の重点化効率化等をいっそう推進し、計画的重点的な事業展開を図る中で、必要な事業量を確保してまいります。
 また、事業の選択と実施にあたっては、すでに多方面にわたる委員で構成する審査会において厳正かつ公正な審査をいただいております。今後とも「事後評価」の導入など評価の充実に務め透明性をいっそうの向上を図ることとしたいと考えます。
 さらに事業の構想計画段階における合意形成手続きを導入してその推進を図りますほか長期計画への住民参加の促進や県民等とのパートナーシップによる維持管理の県民の参画と共同を積極的にすすめてまいります。このページの上へ

県営住宅の建替え・改修の大幅遅れをとりもどせ

■質問■ 2点目として、無駄な大型事業から、県民の安全や暮らしに密着した公共事業への転換を求めてお尋ねします。
 その第一は、老朽化した県営住宅の早期建てかえ・改修についてです。
 県は、2001年度から10年間の計画として「ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画」を策定し、おおむね1965年(S40)以前に建設した約6,500戸については建て替えを、1966年〜77年に建設した6,982戸のうち、5,000戸の大規模改修を行い、ストックの活用を図る、としています。
 ところが、建て替えでは前期5年間に3,250戸を目標にしながら3年目の今年度の予定を入れてもまだ目標の半分(1753戸)しかなく、あと2年間で1,497戸、年間748戸の建て替えが必要です。また、大規模改修はさらに遅れ、今年度の予定数を入れてもこの3年間で計画数のわずか13.8%、690戸だけ、当初目標を達成しようとすれば来年度から7年間、今年度の2倍以上の予算措置が必要となります。
 これらの事業予算は国庫二分の一、残りは全て起債でまかない、将来、この借金の償還は、家賃収入と一般財源繰り入れで行うため、家賃収入が大幅に減少すれば一般財源を増やさない限り整備計画がすすまないのは当然です。この「10カ年計画」は、予算要望さえすれば国は基本的に補助をつけることになっています。結局事業が進まない原因は「国」ではなく「知事」の姿勢そのものではないでしょうか。
 私の地元宝塚市内にある築後35年前後の4つの団地はいずれも高齢者が増え、エレベーター設置、改修、建替えなどの要望が数多く出されています。ところが、大規模改修の対象に上げられているのは「山本」鉄筋だけで、この団地も県の予算措置がないため、いつ事業に着手出来るのか全く見通しがない状態です。また、他の3団地については対象外という状況です。これでは、仮に現在の計画が完全に実行出来たとしても、10年後には、老朽県営住宅がさらに増え、問題はいっこうに解決しないではありませんか。
 県民が住みやすい県営住宅にするために、年度ごとの整備計画を具体的に明確にするとともに、当面、大幅な一般財源の繰入れも含め、「緊急3カ年計画」をたてて実行すべきですが、いかがですか。

▼答弁▼望月理事:県営住宅については兵庫21世紀県営住宅整備管理計画において前期後期に分けて対象候補団地をあげ、計画的に実施しているところであり、その内、建て替えについても平成15年度より借り上げ方式を導入しまして対象戸数の増加を図り計画戸数の確保につとめるところでございます。
 年度毎の具体的な実施団地につきましては、居住者同意など事業化の諸条件が整ったものについて毎年度の投資事業評価、予算編成等の所要の手続きを経て決定しているところでございます。
 事業の実施にあたっては、今後、性能発注方式を活用したコストの縮減などによる事業量の確保や戸あたり事業費が比較的少ない大規模改修の事業対象戸数の増加に努め、限られた財源を有効に活用し、より効率的な事業推進につとめてまいりたいと考えております。このページの上へ

宝塚市・大堀川の浸水対策の推進を

■質問■ 次に、大雨のたびに「浸水被害」を起こしている、宝塚市内を流れて武庫川に合流している大堀川の問題です。
 向月町地区などは、1983年(S58)の大雨で大洪水となり、県は翌1984年(S59年)から武庫川合流地点から尼宝線との交差部まで約1,100mの 河道改修を始めましたが、19年が経過した現在においても西宮土木事務所旧宝塚出張所裏から上流約300mは未改修のままです。そのため、その上流に位置する向月町では毎年2〜3回浸水や道路冠水の被害を受けてきました。地元住民の強い要求にもかかわらず、県はいっこうに抜本的な改善策を採らないため、宝塚市が向月町南端から尼宝線まで約450mの間、サイフォン方式による雨水幹線(バイパス)を設置、その後洪水は減少してきました。しかし、雨水幹線との合流地点(尼宝線)から下流の改修が進まないことが原因で、今年4月・5月と相次いで洪水の被害を被りました。
 根本的には向月町の下流、国道176号や尼宝線との交差部の改善が必要としながら、いまだにその調査もせず、当面、緊急に必要な尼宝線の下流部分の改修も遅れるばかりではいつまでたっても浸水の危険性は解消されません。
 県は1998年(H10)から「大堀川流域水循環再生構想」の調査・検討を行っていますが、「治水対策を急ぐ必要がある」と言いながら、「武庫川の治水とリンクするので武庫川委員会の結果を待って事業実施する」として、この間何ら手を打ってこなかったことに住民の皆さんはいまも不安に駆られています。わたしたちは、武庫川の治水対策については、自然破壊につながるダム建設よりも危険箇所の改修こそ急ぐべきだと主張していますが、大堀川のような浸水被害対策こそ急ぐべきです。
 治水計画も作らないまま、毎年、予算がついただけのわずかな工事しかできない、そのため、たった1100メートルの改善が20年かかっても完成しないという現状を、知事はどう考えているのでしょうか。
 現に被害に遭っておられる県民の安全・安心を守ることに、もっと真剣に取り組むとともに、こういうところへの予算措置こそ最優先すべきであると考えますがいかがでしょうか。
 大型の公共投資でなく、河川改修、生活道路、特に歩道の整備、県営住宅の建設・改修などに予算を思い切ってシフトすることを求めて、次の質問に移ります。

▼答弁▼望月理事:大堀川の治水対策についてでございます。宝塚市と西宮市の市境付近で武庫川と合流いたします大堀川の治水対策につきましては、下流部から河川改修をすすめておりますが、密集市街地を流下する河川であり、施工の困難性並びに生活環境への配慮等、事業実施の制約も多く、これまで武庫川合流点から約800メートルの改修を終えたところであります。
その上流につきましては宝塚市公共下水道の雨水幹線合流地点までの区間を対象に、現在鋭意事業をすすめております。さらにそれより上流につきましては、常に河道改修や流域内の宅地や高低等を利用した貯留施設、さらには雨水浸透施設による洪水流出抑制など様々な治水対策の検討を行ってきたところでございますが、横断工作物の改築工法等より詳細な調査検討が必要になっております。
 今後とも武庫川流域全体の河川整備計画の検討はすすめていくものの、大堀川の安全安心な川づくりについては、引き続き現在実施中の下流部の河川改修の進捗をはかるとともに、上流につきましては今後検討結果を踏まえ計画的効率的な治水対策に取り組んでまいる所存でございます。このページの上へ

「貸しはがし防止」の地域金融条例の制定を

■質問■ 次に、中小企業にたいする金融問題についてです。
 2003上半期の企業倒産は、負債総額1000円以上で、全国8786件、兵庫は350件と、依然高い水準です。昨年より倒産件数が少し減少したのは、「政策金融」つまり資金繰りによるところが大きいと言われ、まだまだ不況は深刻な実態です。
 小泉内閣の「竹中プラン」は、国の政策によって多数の中小業者が苦境に陥る乱暴きわまりないやり方であり、地域経済にとっても、深刻な問題です。しかも、不良債権処理は今後も加速されていくのです。
 大手銀行は、先ごろ「9月中間期決算」を発表し、口をそろえて「不良債権処理の峠はこした」と強調しましたが、今後、大企業などの大口から中堅・中小企業の不良債権の処理に移ってきており、これからの処理は大変困難です。1 半の期間に不良債権比率の半減が約束させられているなかで、「貸し渋り・貸しはがし」も強くなるのは目に見えています。
 金融庁は、批判の高まりを受け、地域金融への査察基準の改定や、「リレーションシップ・バンキング」などを打ち出していますが、その中心はあくまで金融機関の収益性の向上、健全性の確保、経営基盤の強化などであり、真に中小企業の立場に立ったものではありません。いまこそ、「貸しはがし」などで地域を疲弊させる金融機関から、住民・中小企業・地域に貢献できる金融機関に変えていくことが切実に求められています。地方自治体としても住民・中小企業のためにできることをすべきではないでしょうか。
私達は、従来から、「地域金融条例」の制定を提案していまいりました。これは、銀行の収益性・健全性だけからしか判断しない金融庁の検査と違って、地域経済の発展、住民の目線で金融機関を育成する上で、大きな意味があると考えます。
知事は、このような提案にたいし「判断を保留したい」と述べられてきましたが、現実は待ってくれません。住民・中小企業のために、「貸し渋り・貸しはがし防止」「地域金融活性化」のための条例制定を求めますが、お答えください。

▼答弁▼井戸知事:中小企業の金融問題です。地域金融条例を制定するべしとのご意見がございます。地域中小企業の再生と地域経済の活性化に向けた取組みをすすめるため県内各地域金融機関では、リレーションシップバンキング機能強化計画を本年8月末に作成し、地域の実状に応じた様々な取組みがなされようとしております。こうした取組みによる金融機関の地域への貢献度がどう評価されるかということについては、本来、顧客、出資者をはじめ市場において様々な観点から行われるべきだと考えておりまして、条例の制定により県が一律の基準で行うのは適当かどうか、十分に見極める必要があるのではないかと考えます。今後、県としても地域経済の活性化、地域中小企業の資金繰りを確保すると言う観点から県の制度金融を充実し、また保証制度等各種金融制度を活用することを通じまして地域金融機関のリレーションシップバンキングの取組みを促してまいります。
 また、地域金融機関との融資動向に関する情報交換会を通じて、中小企業金融の円滑化を要請してまいり、地域経済の動向に円滑な推進を図ることを基本としてまいる所存であります。このページの上へ

借換融資制度の改善を

■質問■ また、今年創設した借換融資制度では、8月末で実績が214件、融資金額が30億程度と、せっかくつくった制度も、県自身の目標額にもほど遠く、利用者がひろがっていません。 依然として不況はつづき、あい変らず資金繰りの要望は強いのに、なぜ利用がすくないのでしょうか。
 融資を希望する業者の方からは、「県の借り換え融資を使おうと銀行に相談したが、国の制度の方が毎月の返済が楽になる。結局、国の借り換え制度を使った」などの声を聞きます。せっかく中小業者のみなさんのためにつくられた制度ですから、よろこんで使ってもらうための改善が必要ではありませんか。
 わたくし達は、6月議会で、据置期間の設定と返済期間5年をすくなくとも他府県なみの7年〜10程度にするなど、改善のための具体的な提案を行ないました。そのとき県当局は、「県の他の融資制度も5年だから」とか「無理せず返済できるよう据え置き期間を置かない」などと答弁される一方で、「融資条件は、随時見直しをおこなっていく」とも言われています。
 制度の仕組みがちがうとはいえ、京都府と京都市が共同でとりくんでいる「中小企業あんしん借り換え融資」は、さらに実績を伸ばし、8千にとどく利用で、金額も1500億円を突破しています。中小業者の要望にこたえて、機敏に「使いやすい制度へ」と改善をしてきて、現在の大きな実績があるのです。このような立場に立って、地元・兵庫の中小業者・利用者の要望にこたえて、それにもとづいた借換融資制度の改善を、早急に求めます。

▼答弁▼井戸知事:「借換融資制度」の改善についてです。本県におきましても資金繰り円滑化借り替え保証制度の利用は10月末で1万1607件1649億円に達しております。
 ご指摘のように借り替え融資、資金繰り支援貸付は256件36億円という状況でありますが、これはさらに超低利の運転資金を対象としております特別経営資金等を用意しておりますので、その借り入れにより中小企業が資金調達を行っているためと見ております。既に特別経営資金の貸付資金は1万6600件余、約1800億円に達しているところです。しかしながら中小企業の資金調達環境はなお厳しい状況にあると考えておりますので制度融資の条件の見直しについては今後の金融関係の変化を見極めつつ先の経済雇用再活性化プログラム推進会議からの提言も踏まえまして資金繰りの状況やその円滑化対策、返済負担の軽減と言う視点でさらに検討をすすめてまいります。このページの上へ

宝塚ファミリーランドの跡地利用を市民参加で

■質問■ 次に、まちづくりの問題です。
 わたくしの地元、宝塚ファミリーランドは、宝塚市民はもちろん、全国の多くの人たちに惜しまれながら、阪急の計画どおり今年4月7日、92年の歴史を閉じ、閉園しました。遊具や動物園・植物園が次々に取り壊され、こどもたちの夢、数多くの思い出が消え去ったのです。
 宝塚の「花の道」への人通りもめっきりと減り、周辺の商店も「客足が減って、売上げが激減」となげいています。ソリオ宝塚株式会社が今年5月に実施したファミリーランド閉園にともなうアンケート調査でも、「来客数・売上げが減った」と答えた店は全体の4割にものぼるなど、年間約98億円もの経済波及効果のあったファミリーランドの閉園は地域経済にとって、深刻な不況と重なり大きな打撃となっています。
 30万筆におよぶ存続を求める広範な市民の声があったにもかかわらず、一方的に閉園されましたが、阪急側のファミリーランド跡地開発計画は、市民・県民の声が一切反映されていません。9月に営業開始された「ガーデン・フィールズ(英国風庭園とペットランド)」は、人々の憩える場がなく、動物感染への心配の声も聞かれます。また、商業ゾーンや住宅ゾーンが計画されていますが、商業ゾーンについては、宝塚ソリオや花の道セルカなど再開発ビルが並び、日本ではじめての再開発となった宝塚南口サンビオラはすでに破綻するなど、既存の商業施設との競合が避けられません。
 存続を求める市民団体は「全国の文化発信の地となってきた宝塚のまちが壊されていくのを黙って見ていられない」と、宝塚歌劇、手塚治虫記念館、映画発信基地である宝塚映像を中心に、文化ゾーンとしてリニューアルする「宝塚ミュージアム構想」を提言し、9月の宝塚市議会では、ファミリーランドを再開させる請願が採択され、超党派の議員連盟もつくられています。
 さらに、撮影所(スタジオ)や旧宝塚音楽学校を保存してほしいという市民の強い要望もあります。とくに、スタジオは日本最大の映画スタジオであり、「姿三四郎」など176本もの映画が撮影されてきた歴史をもっています。現在すすめられているフィルムコミッション事業の中核ともなる施設です。
 国でも「文化芸術振興基本法」が成立し、映画振興も位置付けられ、あいつぐ撮影所の閉鎖・縮小、老朽化についても実態調査をすることになっています。取り壊してしまえば、とりかえしがつかない事態です。
 北九州市では、西鉄が経営する「到津遊園」(いとうずゆうえん)の閉園計画にたいし、存続を求める市民の声をもとに、行政自らが西鉄へ申入れを行い、専門家で検討委員会がつくられ、県も県立公園の一部を提供し、企業・行政・市民が力を出し合って「到津の森公園」として再生され、多くの親子づれでにぎわっています。
 兵庫県は、ファミリーランドの跡地計画についても、「民間の経営に県が関与するのは、いかがなものか」などと言われていますが、もともと県は、阪急の意向を受けて、当初事業費150億円におよぶ武庫川の「マイタウン・マイリバー計画」をすすめているではありませんか。その計画のなかで宝塚市の基本課題として「芸術文化都市としての役割をいっそう強める」ことを強調し、さらに「花の道」、観光ダム・エントランスコートの整備など「親水アメニティーゾーン」と位置付け、ファミリーランドを中心とする一体の周辺開発はすでに80億円も投入しているのです。
 撤退する時は「私企業の問題だ」と傍観しているのでは、あまりに無責任です。
 宝塚市では、「都市再生事業」による「歌劇の街・宝塚」再生のための調査をはじめられているところですが、市民の参加が保障されていません。
 県民の文化財産、観光資源を守り発展させるまちづくりをすすめるため、北九州の例のように、企業と行政、市民の三者が対等の立場で協議する場をつくるよう、県自ら阪急電鉄に働きかけるよう求めます。
 ファミリーランド跡地利用の三者協議の場作りと、映画スタジオの保存を阪急に働きかけることについてお答えください。

▼答弁▼藤本副知事:宝塚ファミリーランドの跡地利用についてでございますが、宝塚ファミリーランドの跡地利用につきましては平成14年12月に阪急電鉄から全体開発のコンセプトが示され、既に本年9月からガーデンフィルズの営業が始まっております。こうした中先般宝塚市が公募しました「歌劇のまち宝塚」再生のためのビジネスモデル構築調査が国の全国都市再生モデル調査に採択され、阪急宝塚駅周辺の活性化に向けたビジョンづくりが産学官の連係により着手をされたところでございます。
 県としてもこの成果を踏まえながら、宝塚ファミリーランドの跡地が宝塚歌劇に代表される華やかな文化都市・宝塚市の「顔」として、地元の方々の歓迎する形で活用されるよう引き続き宝塚市の意向のもと人ともに阪急電鉄に働きかけてまいりたいと考えています。このページの上へ

阪神間に児童虐待の一時保護所を

■質問■ 次に、児童虐待対策についてです。
 国では児童虐待防止法施行後3年目の見直し作業がすすめられていますが、全国的に痛ましい事件は後を絶たず、児童虐待防止のさらなる対策充実・強化がもとめられています。
 その一つは、一時保護所の拡充についてです。
 県下の一時保護の状況をみると、1998年度から5年間で、286人から367人と、約3割も増加しています。また、一時保護を児童養護施設へ委託する件数は、同じく71件から132件へ、約2倍にも増えています。
 この問題について、わたしたちは、児童養護施設への一時保護委託が増えている原因は、県下に4箇所あった一時保護所を、明石にある中央こどもセンターの一箇所に統合したためであることを指摘し、一時保護所の増設を求めてきました。ところが県は、「中央こどもセンターの一時保護機能を拡充することが、最も効果がある」といって、中央こどもセンターの定員を27人から40人に増やしただけです。
 その結果、児童養護施設への一時保護委託の件数は、2001年度(平成13年度)で121件だったものが、平成14年度には132件と、逆に増えてきています。ある施設の方も「一時保護所を一箇所に統合しておきながら、そこが満杯だから施設で受け入れてほしいというのは、本末転倒である。足りないのなら一時保護所を増やすべきだ」と指摘をしています。これが現場の声です。
 特に昨年の中央こどもセンターの一時保護人数は、中央こどもセンター分が133人に対し、西宮こどもセンター分が177人と44人も多い状況です。
 早急に阪神間に一時保護所を設置することを求めるものです。答弁を求めます。


▼答弁▼井戸知事:児童虐待対策についてです。まず一時保護所の拡充についてですが、一時保護を必要とする被虐待児童等の増加に伴いまして一時保護所につきましてはこれまで以上に専門性の高い行動観察や対応、夜間の管理体制の強化等に十分配慮することが求められます。県としましては先の事件の直後作りました専門家会議からの提言も踏まえ中央こどもセンターの一時保護所の受け入れ体制を拡充整備することが最も効果的であると判断して一時保護所の増築整備を行うとともに、児童指導の増員など体制を強化して本年度から受け入れ児童数を拡充しています。こうした対応から一時保護所が定員を越えて受け入れを拒否したことはなく、受け入れ拡充での一時保護委託の減少からも現在のところ一時保護所を新たに設置する必要なないのではないか、こう考えています。現に児童福祉施設への一時保護委託の件数につきまして一時保護所の増築整備後の今年10月末現在、県の4センターの合計の実人員は53人で、昨年度の数が同時期95人でありましたのと比較いたしますと下回って推移しているところであります。このページの上へ

児童養護施設への支援強化を

■質問■ 2点目に、児童養護施設への支援についてです。
 昨年11月、宝塚市に地域小規模児童養護施設「御殿山ひかりの家」がオープンしました。県下ではじめての小規模施設であり、定員は6人、虐待など様々な理由で親から離れて暮らす子どもたちが家庭的な雰囲気のなかで、安心して当たり前に暮らせる環境づくりがされています。
 その他、ショートステイや一時保護機能に加え、24時間子育て電話サービス(ハッピートーク)や、虐待ハイリスクの親のための支援講座、毎月2回お菓子づくりをしながら地域の子育て世代が語り合える場を提供するなど、総合的な地域子育て支援を展開しています。
 このように、児童養護施設は、入所している子どもの自立を支援することはもちろん、虐待予防活動をはじめ、地域の子育て支援など重要な役割を担ってきています。しかし、児童養護施設の職員配置の最低基準は、小学生以上6人につき職員1人、満3歳以上児が4人に1人、満3歳未満児2人に1人で、1976年以来、約30年間まったく見直しが行なわれていません。
 虐待を受けている子どもの受け入れ施設としての役割が高まっているなか、子どもにもっと手厚くかかわるこことが求められているのにもかかわらず、これでは十分な対応ができません。職員の配置基準の改善を求める声は切実です。国に対し、職員の配置基準など児童養護施設の最低基準の引き上げを求めるべきです。
 しかし県は、支援するどころか、「処遇改善費の廃止」を打ち出し、現場からは「虐待対応をはじめとする職員が確保できなくなる」と不安の声がだされています。
県として独自に人員配置や施設改善への財政支援を行なうべきと考えますが、いかがですか。ご答弁ください。

▼答弁▼井戸知事:児童養護施設への支援につきましてもご指摘がございました。被虐待児等の受け入れ増加に伴いまして、各施設においては県の指導のもと国の制度を活用しスポーツ等の指導員や心理療法士、被虐待児個別対応職員の加配のほか、自己努力もいただきまして国の基準を上回る職員配置を行い入所児童の処遇向上に努めておられるところです。県としましても多様な処遇を要する児童が多く入所する傾向から施設の最低基準の引き上げが必要と考え、現行の職員配置基準の改善を国に継続して強く要望しております。また、職員の処遇技術の向上を図るためのオープンセミナーの実施や施設、大学、こどもセンターとも連係して被虐待児の心をいやす野外キャンプ等の各種行事等に財政的かつ技術的な支援を行っております。施設精微にあたりましても県単独の上乗せ措置をかなり充実して行っております。今後とも児童養護施設の整備運営に配慮してまいるのでご理解をいただきたいと存じます。このページの上へ

30人学級の実施を

 質問の最後は、教育の問題、30人学級の実施についてです。
 「少人数学級」はすでに全国30道府県で実施され、一人ひとりにゆき届いた教育実現のために、教育的効果をあげていることが明らかとなり、大きな流れになっています。
 県内でもいくつかの市が少人数教育への独自の努力をしています。姫路市では、今年度より、小学校1・2年生で、一学級に36人以上のクラスがひとつでもある学校に複数担任の教員を配置するとして、27校に45名の教員が増やされ、大変よろこばれています。しかし、今回の姫路市のとりくみは、県の新学習システムにあわせるために、「複数担任制」で実施されました。本来のぞまれていたのは「少人数学級」でした。実際、姫路市の来年度の「県への予算要望書」では、「少人数学級の実現」をきっぱりと求めています。そのほか、尼崎市からも35人学級の実現の要望があげられています。全県の6分の1の人口をかかえる市から、予算要望の「重点項目」として、「少人数学級の実現」があげられていることは、県民の切実な願い、真の願いがはっきりとあらわれています。知事としてどう受け止められているのでしょうか。
 文部科学省は最近、複数担任教員(T・T)など、教員加配の条件を緩和し、「少人数学級」にも使える見直し方針を明らかにしました。40人以下の少人数学級にも国庫負担がはじめてつけられるのです。「少人数学級」への全国の大きな流れ、一人ひとりにゆき届いた教育的効果がますます明らかになり、ついに国も、予算をつけるところまで来たのです。
 もう「国からの財政措置がないから」と放置せず、30人学級実施を求める切実な声を真摯に受け止め、実施に早急に踏み出すべきです。
 30人学級実現には、わたしたちがこれまで提案してきたように3ヵ年計画で実施すれば、初年度65億円あれば実施できます。新学習システムを一部見直し、複数担任や児童生徒支援などの加配教員を活用すれば、さらにすくない金額で可能です。財政難を理由に未来を担う子どもたちの問題を後まわしにすることはできません。
 来年度予算編成にあたって、兵庫県でも30人学級の実施にふみだすよう、知事の決断を求め、私の質問を終わります。

▼答弁▼武田教育長:私から、30人学級の実施についてご答弁申し上げます。本県といたしましては、現在一律に30人以下学級を実施するものではなく、「新学習システム」推進教員に加え、学級担任以外の多くの教職員も関わる中で柔軟で多面的な教育を推進しているところでございます。
 議員から紹介のありました文部科学省が現在検討中の加配条件緩和につきましては、新たな予算措置がなされるものではなく、既に配置済みのチームティーチングなどの指導方法を工夫するための加配を振り返るものであり、加配の総数は変らないことはご案内の通りでございます。
 このため、議員ご指摘のような活用をすれば現在すすめている小学校低学年での複数担任制や高学年での教科担任制、主要科目での少人数による授業への取組みに影響を与えるばかりではなく、不登校や生徒指導等に対応する教員の配置ができず、現在実施しているきめこまやかな取組みができなくなる恐れがあるわけであります。
 いずれにいたしましても、義務教育費国庫負担制度そのものが流動的な状況にあります。私どもといたしましては、これら国の動向を見きわめながら、児童生徒の発達段階に応じたきめこまやかな指導ができる仕組みづくりに、今後ともつとめてまいり所存でございます。このページの上へ

宝塚の映画スタジオ保存、医療改悪の撤回を

■再質問■ねりき恵子議員:2つについて再質問させていただきたいと思います。1つは、ファミリーランドの問題です。このファミリーランドの問題は市の地域再生事業の調査が始まっていろいろされているわけですけれども、ここに住民の意見が保証されていない。住民参加が保証されていないということが一つ問題にあります。それと市とともに阪急に意見を言っていくということですけれども、やはり県として責任を持って独自に意見を言っていただきたいと思います。そして、映画スタジオの件ですけれどもこの映画スタジオ取り壊してしまえばもう元には戻らないということで、今日か明日にでも取り壊すという状況となっています。ここを今住宅ゾーンの開発計画もまだあいまいな中で取り壊さないよう県として阪急に働きかけていただきたいというファミリーランドの問題よろしくお願いします。
もう1つの問題やはり行革の問題です。住民の福祉の向上のために推進方策の再検討をしているということですけれども、その方向は全く逆の方向にいっていると思うんですね。だからこそ福祉医療団体から中止を求める請願が上がってきていると思います。
本当にわずかな年金暮しわずかな収入の中でこの医療を受けていこうと思うと、一医療機関の金額も先の予算要望の中で、知事は「会費程度の負担はお願いしたい」と言うことをいわれました。その会費程度のお金が払えないという状況、それが苦しいという状況があるわけです。
 そういった意味からも本当にだれもが人間らしく生きるということがあたりまえにできるような県政実現のためにもこの福祉医療の削減案は撤回をしていただきたいということを再度求めるものですが、ご答弁願います。

▼答弁▼井戸知事:行財政構造改革の推進方策の見直し検討の状況等については繰り返しませんけれども、私、やはりこれからの時代、無尽蔵に財源が生みでてくるような時代ではないなかで、どう経費を厳選していくかということが基本にならざるをえない。そうした時に受益の大きさとの中で若干の負担をしていただくことがそれほど社会全体として難しいことなんだろうかということを私は問うてみているつもりでございます。
 現に、国におきます例えば身体に障害がある方々への医療制度、更正医療や育成医療につきましても一部負担制度が導入されておりますし、今回お願いしておりますのはその2200円よりもさらにわずかな負担でございます。従いまして、そのような他の制度との均衡や負担と受益とのあり方ということを考えました時には、やはり今後の将来的な財政の状況ということを見て、必ず実施しなくてはいけない事業にいかに対応していくかということを考えました時に、やはりこの際ご協力いただきたいなとそういうご提案を申し上げているつもりでございますので是非ご理解をいただきたいと思います。
 それから、宝塚のファミリーランドの問題。これは私も以前答弁したこともありますし、地域の方々から御要望を受けたこともございます。
 現にすでに全体計画の中で一部計画に即した対応が始まっているわけであります。ガーデンフィルズの営業が始まっているわけであります。まだ未定の部分があります。そういう中で県としてどういう対応をしていくのが適切なのかということであろうと思いますが、ファミリーランドそれ自体の規模や大きさからしますと、北九州の例を上げられましたけれども、県が直接に対応しなくてはならないかどうか、これは他の地域の県民のみなさんや他の県民のみなさんの見方というものも考えながら、対応するとするとよほど地元のみなさま方の盛り上がりなり対応方向が明確になっていかないと県が先頭を切ると言うことはなかなかいかないプロジェクトなんではないだろうかということを感じております。
 ご指摘の映画スタジオにつきましては、貴重の度合いがどの程度であるということはまだ私も承知しておりませんので、例えば文化財的価値があるのかないのか調査が必要であるならば、そのような観点から調査をした上で保存をするかしないかを決定すべきだろうと思います。お聞きしている限りではそういう文化財的な価値があるという方もいらっしゃいますけれども、こんなものかという方もいらっしゃるということも聞いて、その辺よく調べさせていただけたらなと、こう思っております。

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