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第276回本会議一般質問 筒井もとじ
2003年10月06日

国で制定される「住宅再建支援法」と同程度の支援を、県独自に

■質問■ 1995年1月17日午前5時46分の阪神・淡路大震災から8年半が経過しました。私は、自宅全壊、九死に一生を得て瓦礫の中からはい出し、近所の人々とともに救出活動・救援活動に奔走しました日々を改めて思い浮かべながら質問致します。
 その一は、被災者住宅再建支援問題です。内閣府は8月28日、自然災害で全半壊した住宅の再建支援に国と都道府県が最高200万円を支給する新制度を創設することを決め、年明けの通常国会で法改正を目指すと発表しました。被災者生活再建支援法と併せての法改正と思いますが、今後全国知事会や災害議連と調整が残されているものの、年内にも制度を固めると伝えられました。支給対象を始め長期避難の問題など問題は残るにしても住宅を個人の資産とみなし、税金投入に否定的であった国が安定した居住確保の重要性を認め公費投入に踏み切ったことはひとつの前進であり、阪神淡路やその後の自然災害の被害者を始め世論の大きな運動と影響がその第一歩を踏み出す力になったことは喜ばしいことであります。
 全国知事会の地震対策特別委員会は、持ち家だけでなく賃貸の新築・修理にも支援するという総合的な居住確保の支援の重要性を提言したことも前進です。知事は、これらの動きをどう評価されるのか。以下の点についてお答えください。

  • (問1)生活再建支援法に先立ち、復興基金による生活再建支援を行った兵庫県として、阪神淡路大震災での家屋喪失世帯に対して同程度の支援を県独自で公費で行うよう求めますがいかがですか。未だにローン・二重ローン等で苦しむ被災者へのあたたかい配慮をお示しいただきたい。

▼答弁▼井戸知事:被災者に対する住宅再建支援についてです。
 宮城沖北部地震などが頻発し、近い将来にも大規模災害が危惧されている中、住宅再建支援制度の創設が急務であるとの認識のもとで、本県ではかねてから住宅再建支援制度の実現を主張してまいりました。
 もともと公的支援のみでは限界があるので、共済制度との組み合わせが適当であるとの意思をもちながら推進を図ってきたところであります。これにつきましては、県議会のご協力も御支援もいただいてきたところであります。ようやく、制度創設に向けた本格的な検討がすすみつつあることに大いに歓迎しております。7月に行われました全国知事会でもその創設が決議されましたし、内閣府も制度創設へ概算要求をするという運びになりました。私も、この度防災担当大臣に就任されました井上喜一大臣をさっそくに訪ねまして、この件も要請したところであります。引き続き全国知事会等とも連携をいたしながら、早期実現を第一義として全力をあげて取組んでまいります。
 大震災の際にはこうした制度がなかったこともありまして、本県の場合、災害復興公営住宅の大量供給やその家賃低減対策、民間賃貸住宅家賃軽減補助、住宅再建資金に対します利子補給、ダブルローン対策など、住宅に関連する多様な限りの多様な支援策を講じてきています。これらの支援策を、被災者のみなさんが個々の実状に応じて選択し、御活用の上すでに住まいを確保していただいており、現時点で重ねて県単独の支援を実施することは、県民の理解が得られないのでないかと、このように私は今の時点では考えております。
 また、過去の災害に対する補填や保障を行うという性格のものではなく、このたびの制度は、今後の災害に対する「備え」として制度化しようとするものであります。したがいまして、県としては、今後の災害への備えとして、国の公的支援制度を土台としながら、助け合いを基本とした「共助の仕組み」の構築につきまして、共済制度の検討を引き続きすすめているところでありますのでご理解いただきたいと存じます。このページの上へ

被災高齢者支援の充実を

■質問■ 次に、災害復興公営住宅団地コミュニティー調査に関連してお尋ねします。初めての大規模な居住地調査で被災者の復興への歩みと現状が浮き彫りになっています。
 まず、復興公営住宅になぜ入居したのか、その理由に36.6%の方が「他に行くところがなかった」をあげ、25.6%の人が「以前住んだ地域に近い」をあげています。65歳以上が暮らす割合を示す高齢化率38.1%、これらから何が言えるのか。震災体験の過酷さは全壊・全焼75%、同居家族の人的被害28%、家族の死亡3%という数字と併せるといかに経済的・精神的被害が大きい人々が入居したかがわかります。
 さらに、将来は明るいと感じることの設問に「減った」が40.1%、「家の中にいる時間が震災前より増えた」が45.3%と、どのように暮らしていけばよいのか途方にくれる人々の姿が浮かび上がります。アンケートに答える気力のない人や字の書けない人のことを考えると、生活復興は未だしの感を強くするではありませんか。暮らしのめどが立ったと感じる人は「どちらかといえば」の人も含め3割にも達しないのです。また、神戸市以外の市町がほとんど同じ市町内の復興公営住宅に住めたのに対し、神戸市では例えば兵庫区内は30%、東灘、灘、長田、須磨では32〜48%で復興住宅が区内で対応できなかった状況がわかります。仮設と復興住宅への入居がそれまでのコミュニティーを無視して散らばされた点は否定できません。それが高齢化と生活難とともに団地でのコミュニティー活動に困難を増し、「住めば都」にならない人々が残される原因にもなっているのです。

  • (問2)そこで提案しますが、東灘区から須磨区までの各区に新たにコレクティブハウジングやシルバーハウジングなどを小規模のものでも新設し、もとの地域に戻りたいと希望する高齢者が今からでも住めるよう改善を求めます。また、LSA、SCSなどの増員もはかるなどの措置をとることを是非実行されるよう求めますがご答弁ください。
     兵庫区・長田区・灘区などの自殺率が突出している報道がありましたが、震災被害の大きな地域での深刻な状況が浮き彫りになっておりこれらの対策をぜひ実施していただきたい。

▼答弁▼陰山県土整備部長:阪神淡路大震災の復興にあたりましては、新規供給として災害復興公営住宅2万5100戸を計画いたしました。計画を上回る約2万5400戸の実績を達成したところでございます。居住状態につきましてもアンケート調査によりますと、団地の立地条件や規模、被災時の居住地と現在の居住地の移動距離の大小は、居住者の生活復興間にほとんど影響を与えておらず、現在の住宅に住み続ける意向も強く、近所付き合い等の良好なコミュニティ形成もすすんでいる結果となってございます。
 災害復興公営住宅の中で全国に先駆けてモデル的に導入いたしましたコレクティブハウジングの新設につきましては、施設効果等につきまして本年度検証を行う予定でございます。これを踏まえて検討する必要があると考えております。
 また、シルバ−ハウジングの供給につきましては、市町の福祉事業との連携が不可欠でございますので、これを強化するなかで検討することといたしております。
 また、市町が配置いたしておりますLSAにつきましては、県といたしましても派遣対象住宅要件の緩和を国へ要望いたしておりまして今後も行ってまいります。
 SCSにつきましては、市町から要員の要望がございましたら適切に対応する考えでございます。今後とも被災高齢者が安心して暮らせる居住環境の確保や良好なコミュニティの形成がはかられるように努力してまいりたいと考えております。このページの上へ

災害公営住宅の家賃滞納者への対応改善を

■質問■ このような被災者にさらに追い討ちをかけるようなことが進んでいます。 
 被災者の県営住宅からの強制退去は、1997年0件、2001年34件と急増しています。不況とリストラ、国保料や介護保険料の引き上げ、医療費負担の増額などが家賃滞納者を急激に増やしています。国際人権規約では、すべての人に居住の権利があるとうたわれています。大震災で多くの市民が住宅を失った被災地でせめて災害公営住宅が被災者の安住の「ついのすみ家」となるようにしたいものです。支払能力がありながら所得を偽るなど故意の不払いを続ける家賃滞納者と、震災によって家や仕事場を一瞬にして失って生活設計が成り立たなくなり、生活が破綻している家賃滞納者を同列におくことはできません。

  • (問3)現行の条例・規則・要綱などを機械的に適用せず、滞納者を一律に長期・悪質滞納者と見なして近傍同種家賃とせず、少額・分割返済をひろげること。生活保護基準を下回る世帯には家賃を免除するよう家賃免除制度を確立すること。また、ホームレスを家賃滞納で作らないため、強制退去者のその後の追跡調査をすることを求めます。日本政府の批准した国際人権規約などの条約並びに一連の国際基準を遵守する立場であたたかい答弁を求めます。

▼答弁▼県土整備部長:次に災害公営住宅家賃滞納問題でございます。県では、災害復興公営住宅の入居者に対しまして例えば政令月収2万円以下の人で神戸市内1DKの本来家賃2万4千円台のところを6千円台に抑えるなど、特別な家賃低減措置を講じてまいりました。それにもかかわらず滞納した者に対しましては、生活援助員、ケースワーカー等と連携しながら「生き生き県住推進員」の派遣や、入居相談担当の配置によりまして生活困窮者の生活家賃納付相談などを行いまして、分割納付や家賃減免措置を講じるなどきめ細かな対応に努めてまいっております。条例等機械的に適用しているものではございません。
 ただし、家賃納付の意識を欠きまして誠意の見られない長期の悪質滞納者に対しましては、入居許可を取り消し、近傍同種家賃と同額の損害賠償金を課し、厳正な対応をはかっているところでございます。
 また、収入が生活保護基準を下回る世帯には、生活保護により住宅扶助費を支給していただくのが筋であり、たとえ資産がある場合や働く能力がある場合で生活保護が受けらない場合の家賃免除は講じる必要はないと考えております。
 退去者のフォローにつきましては、一つの例として平成14年度に県営住宅から家賃滞納により退去したもので新たに生活保護を開始したものは、神戸市内で約13件程度となっておりますが、これも本人からの申し出にもとづいて行っているものでございます。住宅管理の立場からは、退去時に退去先について聞いておりますが、回答していただけない方がほとんどでございます。このために実際上追跡調査をすることは困難な状況でございます。このページの上へ

神戸復興工場のケミカル業者の家賃減額を

■質問■ 次に、震災被災業者とりわけ神戸の地場産業であるケミカル関連や中小金属業者のために作られている神戸復興工場に関連して質問します。
 甚大な被害を受けた神戸市の地場産業の再建支援のため復興工場は震災3年後の1998年、国・県がそれぞれ融資して総事業費103億円をかけて建設され、現在114社が営業を行っています。
 しかし、入居業者は震災によるダメージが大きく苦しい経営を続けており、長引く不況と逆輸入攻勢で倒産・廃業が相次ぎ、自殺経営者まで出るという深刻さです。長田区・須磨区のケミカル産業は震災前に比べ製品出荷額は44.7%、従業員数も50%を切っています。
 操業中の114社のうち家賃3ヶ月以上滞納は41社、36%にも達しています。
 支援工場の建設財源は総事業費の95%、96億5000万円が国の高度化資金からの借入で、5年据置き20年償還で本年度から償還が始まっています。
 国への償還は全て入居企業の工場使用料でまかなうことになっています。
 ところが、この償還計画に狂いが生じています。それは20%もの空き室が生まれ、最近の地価下落で近辺工場家賃と変わらなくなり、さらに不況のなか工賃や水光熱費の支払いを優先せざるを得ず、使用料の滞納が大量に発生しています。神戸市は出訴してでも滞納を取り立てるという事態となっているものです。
 県としても地場産業、ケミカル産業等を守り発展させる上でも震災復興に責任を持つ立場からも放置できない問題だと思います。

  • (問4)例えば、滞納企業や、20%もの空き室を埋めるため使用料の減額も含めて償還計画の見直しを神戸市と協議すること。国に対して償還期限の延長の働きかけをするとともに県独自の支援策も考えるべきであると思いますがいかがですか。

▼答弁▼産業労働部長:復興支援工場の事業主体でござます神戸市とは、種々相談をいたしておりますけれども、市では収入の高、高度化資金の償還期間にかかわらず、使用料と一般財源で高度化資金を償還することといたしておりまして、当初計画通り償還するという考えでございます。県といたしましては、こうした市の意向を踏まえまして対応をしてまいりたいというように考えているところでございます。
 使用料の水準でございますけれども、平均で申し上げますと1平米あたり月額1300円程度というのが現状でございまして、民間の賃貸工場と比較いたしましても適切な範囲に設定渣れているものと考えておりますし、また、滞納企業などに対しまして、市では個々の状況に応じまして入居スペースの変更・縮小などによりまして、使用料の負担軽減を図っておりますし、滞納分につきましては分割納付といった措置も講じておりまして、適切な対応をしておるものと考えているところでございます。
 なお、現在入居率は80%となっておりますけれども、これは、高度化資金の制度上、入居できるのは「り災企業」に限定というこの要件が一つの原因となっていますので、この点につきましては、「現状から見ておかしいのではないか」というふうに考えておりまして、神戸市と歩調を合わせまして、その要件緩和につきまして国に要望しているところでございます。
 今後とも市と連係いたしながら県といたしましても特別経営資金貸し付け制度などを活用いたしまして入居企業等への支援をしてまいりたいというふうに考えている所でございます。

 NHKの報道によると、総額9兆9000億円の被害に対し、9兆1000億円の公費が投入されたとされています。しかし、インフラ復興には、被害2兆7000億円に対し5兆円の公費投入、片や民間住宅・民間事業には被害額の半分程度しか投入されなかったわけです。しかも民間事業の公的投資の大半は貸付金で回収が予定された支援であったのです。
 復興はほぼ終わった。後は、残務整理、支援への感謝・後世に教訓を残すこと、といった考えは改め、今こそ10年で真の復興をするための抜本的な対応策を立て国に対して被災者支援を迫るべきであると指摘して次に移ります。このページの上へ

東灘区の県立健康センターの民間売却をやめよ

■質問■ 次に、健康センターの民間移譲について質問します。
 本年8月、突然県立健康センターの民間への移譲が発表されました。
 県は、1982年に設置されたこのセンターを民間移譲する理由を、年間約1億4000万円の運営赤字が生じているなど5項目を挙げていますが、いずれも民間移譲の理由にはなりません。現に尼崎の森構想のプールは毎年2億円近い赤字を見込んでいるではありませんか。
 人口20万近い神戸市東灘区には県立高校と警察署以外の唯一の県立施設であり、交通の利便性のよい国道2号に面し、区の中心部にある健康センターが売却・民営化されることに利用者はもちろん、住民の中から疑問が生まれています。
特に、高齢の利用者や生活習慣病をもつ人々が安心して健康増進に努めているのに民間の管理運営となれば利用できなくなり代替の施設もなくなるのではないか、事業計画提案コンペで民間業者が安く手に入れれば、体育ホール、トレーニングルーム等を十年間は運営されてもプールの閉鎖取り壊しやマンション等の目的外利用が推進されてしまうのではないかなど疑問や不安が増しています。利用者や有識者をはじめ県民の意見等が出され検討される公開の場もなく、行革ありき、赤字解消ありきという一方的な決定ではないでしょうか。
 県は、今後の方向性として廃止後市町、民間への健康増進施設などに対する指導等の機能強化、先駆的プログラム開発などの情報提供を行うことで県民の健康づくりの実践活動の支援を行うとしています。
しかし、先導的な実践の場を放棄し、情報の発信を行うことは困難であろうと思われますし、そのような機能をもつ拠点をどこにおき、どのような規模と体制で行うのかも明らかにされないまま民間移譲が行われようとしているのは納得できません。
健康センターで働く職員の方々は、経費の節減に取り組みつつ増収のための努力を続けられ、大震災での落ち込み以来徐々に赤字幅も均衡に近づけられており、さらに塩素による腐食防止など5億円で改造計画を立案するなど仕事に誇りをもちながら発展方向を探る努力が続けられているのです。

  • (問5)健康ひょうご21を目指す県は、生活習慣病やその予備軍が大量に生まれ医療費押し上げの要因になっていること、それを防ぐ健康づくりの拠点としての健康センターの民間移譲を中止し、現在地で更に機能と役割を高められるよう求めますが、ご答弁ください。

▼答弁▼神田健康生活部長:健康センターは健康づくり施策のモデル施設としてご指摘のように21年前に開設いたしました。当時、市町の保健センターが28しかございませんでした。現在86市町で整備されるなど一定の役割を終了したものというように考えております。
 しかし、施設の利用につきましては現在の利用者への便宜をはかろうという観点から、プール、体育館等を一定期間継続運営することを条件として、現在提案協議を実施しているところでございます。
 また、生活習慣病あるいはその予備軍が大量にでてきたというご指摘がございました。まさしくその通りでございまして、だからこそ県といたしましては、特定の施設運営に縛られることなく、機動的に県下各地での健康づくりに、当該施設で培われましたノウハウを活用したいということで、健康財団を拠点にいたしまして、市町・民間事業所等とも連携して、例えば現在もやっておりますが、脊椎ストレッチウオーキングあるいは個人の健康度に応じた生活習慣改善指導事業、高齢者筋力向上プログラム、こういったものの開発等を行いまして、全県的に健康づくりに積極的に取組んでいきたいというように考えております。このページの上へ

NOx・PM法、運行規制条例にともなう業者への支援の抜本的強化を

■質問■ 次に、自動車NOx・PM法による車種規制への対策と、県の流入規制についてうかがいます。
 NOx・PM法が施行され、また、兵庫県では、法規制だけでは環境基準の達成が難しいとして、阪神と神戸市東部への流入規制を行う条例改正案が提案されました。公害に苦しむ県民の長年の願いを反映したものであり、一歩前進だと考えます。
 ただ、県条例案では、流入規制対象区域を法規制の対象区域すべてとせず狭めており、環境基準の達成がほんとうにできるのかが危惧されます。必要な措置を講じた上で、法規制対策地域全部で流入規制を行う方向が必要です。
 今、一番の中心問題は、規制の対象となる県下25万台の排出基準不適合車への対策、運送業などを営む業者への支援です。
 わが党が開発支援を繰り返し求めてきたNOxとPM両方を取り除く後付装置は、先日やっと第一号が認可されましたが、現在は使用が限定されています。資力がなく買い替えできない業者は廃業の崖っぷちに立たされているのです。融資が中心の支援策では、不況下で新たな借金を抱えること自体に耐えられない中小・零細業者を救済することは出来ません。
 第一義的責任は自動車メーカーと国にあります。使用者は国と自動車メーカーから保安基準に適合しているとお墨付きをえた車を購入したのに、突然耐用年数を残して乗れなくなり、買い替え等にかかる負担は使用者にのしかかっているのです。
 今回の県の支援策は、8トン以上の車両3万台だけを対象としていますが、国の法規制で不適合となる車両のうち、8トン未満の車についてはほとんど使用者まかせにして本当に環境対策といえるでしょうか。国道43号をかかえる「公害県」として国の支援より手厚い支援策を講じるべきではありませんか。
 県は今回融資制度に加え、担保提供が困難な業者を救済するため、設備貸与制度を行うということですが、3億6000万円、たった30台分です。規制の対象となる8トン以上の車両だけで3万台もあるのに、焼け石に水ではありませんか。
また、補助制度も設けられていますが、購入価格の2%相当額に過ぎず、しかも使用期限から2年以上はやく買い替える場合に限られているため、おおむね平成5年以前に初めて登録した車は使えません。問題解決にはほど遠いものです。

  • (問6)そこで、NOx・PM法の車種規制に伴う負担が使用者に押しつけられないよう、後付装置への開発支援、買い替えへの補助を含め、抜本的な対策を行うよう国に働きかけるとともに、県としても抜本的な支援策を講じることを求めます。
     また、県の流入規制の対象となる8トン以上の車両に対する支援も、枠を拡大し、補助金制度の創設など大幅に拡充することを求めます。県は、今回改正しようとする「環境の保全と創造に関する条例」のなかで、県民や事業者が環境対策をとる時、県が必要な経済的措置を講じることや、事業者への援助の際には、中小企業者に特に配慮することを定めているのですから、あたたかいご答弁をお願いします。

▼答弁▼井戸知事:自動車NOx・PM法による車種規制と県の流入規制に関わる業者支援についてであります。
 このたびの条例は、環境審議会でも多角的技術的な検討を経て、法規制対策地域の内、平成22年度の目標年次に環境基準の達成が危惧される地域に限り、しかも大気汚染の寄与度の高い大型車に限り、経過措置を講じながら環境基準の達成が可能な最小限の規制として推進しようとするものであります。
 規制対象車両の買い替え等については、対策地域内外を問わず、中小企業者に対し、特別の融資制度や割賦販売制度の創設など国よりも手厚い措置をすることといたしました。ご指摘の3億6千万円30台分の措置は、「賦販売制度」にかかります平成15年度末までの当面の見込みとして措置したものであります。もとより必要があれば対応が可能となるような十分な資金を、手当て・確保していくこととしておりますのでご理解をいただきたいと存じます。
 また、県といたしましては、平成20年度までに規制内容や支援制度の見直しを検討することといたしております。このことは条例にも「付記・付則」に規定させていただいていることでありますので、必要があればその見直しを行ないたいと考えます。
 国に対しましては、「後付け装置の開発」等について、メーカーを含めて要望を行っているところでもありますし、今後ともさらに行ってまいります。
 また、阪神高速湾岸線への流入車両の拡大について、3号線等のロードプライシングについても、今年度中にさらなる社会実験ができるように検討をすすめてまいる所存でございます。このページの上へ

ヤミ金対策の強化を

■質問■ 被害者100万人を超えるといわれる多重債務者をむしばむヤミ金融に関して質問します。全国の摘発件数は昨年は288件と統計開始以降の最高を記録、446人の摘発、法外な金利の要求と事件の3分の1に暴力団が関与、被害者は年々増加、摘発業者と契約していた被害者は12万2115人になっています。
 県内でもヤミ金融被害は後を絶ちません。その背景には震災の後遺症と不況にあえぐ兵庫の深刻さがあります。
 神戸地裁によると昨年の自己破産の申し立て件数は、前年比37%増の9466件にも及びます。多重債務に至った理由に生活費を挙げる人が45%と第1位、失業倒産を挙げた人も20%あります。
 一方、消費者金融大手5社の2002年3月期決算では総貸付残高6兆4000億円、総口座数は1052万7000件にのぼり、国民一人当たりに換算すると約5万円にもなります。アコムの不当利得隠蔽工作や、CFJ社員による顧客名簿横流し、武富士による貸金業規制法違反での支店の営業停止や、警察官による捜査情報を漏らす事件などに加え、サラ金企業従業員に対する過酷な労働基準法違反など次々と起こっています。
 更に問題なのはヤミ金融です。サラ金から流れ出た多重債務者リスト利用で違法な金利でしばるだけでなく、新手の詐欺までが横行し架空の債権を譲り受けたと督促状を不特定多数に送りつけ金をだまし取る。個人の口座に勝手に金を振り込み返済を迫る押し貸し、オレオレ詐欺などの横行でヤミ金対策法が成立しました。
 県警は金融事犯対策本部を設置し取り締まり強化に乗り出しましたが、大島対策本部長は表面上の検挙ではなく、突き上げ捜査による重罰の徹底と不法収益の流れの解明に全力をと訓示されたと承知していますし、県産業労働部などが連携推進会議を発足されたとも聞いております。

  • (問7)警察庁は9月を取り締まり強化期間とされたようですが、ヤミ金被害防止の上で、ヤミ金に利用されている金融機関口座についても調査し、必要な場合は金融機関に社会的責務として閉鎖等の適切な対応を求めるべきだと思いますがいかがですか。また、ヤミ金チラシ作りも取り締まり対象だと思いますが、あわせてお答えください。

▼答弁▼警察本部長:ヤミ金融の取り締まり状況でございますが、本年は、本日までに31件31名を検鏡したところでありまして、昨年同期と比べますと約4倍という数に登っております。
 ヤミ金融業者が使用する銀行口座につきましては、ヤミ金融業者を利用している方からの相談を受けまして判明した銀行口座につきましては、取り引き事実等の確認を行いヤミ金融業者を無関係な他人名義の口座が使われているような事例につきましては、当該銀行に対する注意喚起を行い、銀行独自の判断による対応をお願いしているところであります。
 また、ヤミ金融業者のチラシに関係する印刷業者につきましては、その関与の度合い等について十分検討した上で、法と証拠に基づいて厳正な取締を推進してまいる所存でございます。このページの上へ

警察の体質改善、県民に開かれた警察を

■質問■ つづいて、巽新県本部長にお尋ねいたします。あなたは、警察庁採用直後兵庫署からスタートをきられたようでありますが、警察刷新会議では警察庁の事務方として努力されその一部始終をご存知と思います。
 着任後本部長訓示で「県民のための警察活動をより適切に行うため絶えず知恵を出し考えること。部下の報告を鵜呑みせず上司の指示に唯々諾々と従うのでなく現場を見、書類を読み自分なりに考える明るいやりがいのある現場、努力が報われる職場を理想とする」と言われました。その言やよしでありますが、問題はその中身であります。県民生活、労働や教育などにゆがみや困難が広がり、社会の道義的危機とも言える深刻な状態が子どもたちに最も深刻な影響を与えています。少年犯罪の激増、刑法犯の増加と検挙率の低下、一方で警察官の非違非行、不祥事の続発であります。いまさら指摘するまでもありませんが、歩道橋での圧死事件での食糧費問題や、大学院生殺害事件での対応問題などとともに、宝塚署の四件、尼北署の二件の事件、高砂署員の事件など続発しており、いまや県警察はまったく自浄作用なしの感であります。
 いずれもあなたの着任前のことではありますが、警察改革要綱が出て以来のこの状況をどのように認識されているのでしょうか。
 第一線警察官の中にストレスや仕事についての希望を失わしめるような要因はないか。年休の取得を始め労働基本権が行使できていないのではありませんか。警察は強力な警察権・強制権を与えられているが故に、人権の教養が重要であり、そして警察官自身の人権が階級制度の中にも貫かれなければならないと思います。それが自浄作用につながります。

  • (問8)以上のような警察本部の体質改善をはかるとともに、県民に開かれた警察にするため、国から県警本部に直接入る公金も含め、予算及び決算を議会に報告することを求め、県警本部長に答弁を求めます。警察は取り締まりは出来ても犯罪の防止は県民の理解・地域の力なくしてはできません。県民に信頼される開かれた民主的な警察に発展するために御所見を伺っておきます。

 人間社会の発展とは、物質的な富の発展にあるのではなく人々がそれぞれに望む様々な潜在能力を開花させることではないでしょうか。人々は能力を高めて長寿を全うすること、健康を楽しむこと、人類の知識と情報のストックにアクセスし、そしてコミュニテイにおける文化的生活に参加すること、食料・衣服・住宅を手に入れるのに十分な所得のあることであります。すべての人々が、これらを平和と安全の中で獲得できるよう、私も一層の努力をつくすことを申し上げ、質問を終わります。

▼答弁▼警察本部長:県警察が県民の安心と安全を守りその責務をまっとうするためには、時代の変化や県民の要望等を把握して的確な警察活動を展開していく必要があります。そのため、警察では効果的かつ積極的な公報活動、適正な公聴活動、適切な市民応接等をすすめ、県民の理解と協力の確保に努めているとことであります。
 また、警察力の基盤は最終的には人でありますところから、各種教養を繰り返して実施し、ひとり一人の職員に「治安のプロ」としての誇りと実力を持たせるとともに、警察改革のいっそうの推進、風通しのよい職場づくり、明るくやりがいのある職場づくりをすすめているところであります。
 また、県警の予算につきましては県費と国費がありますが、これは警察法第37条において県と国で経費の負担区分が定められていることによるものであります。それぞれについて、県議会あるいは国会の議決を得ているところであり、また決算についてはそれぞれ報告をしているところであります。県費、国費いずれにつきましても関係法令に基づき適正かつ効果的な予算執行に努めているところであります。このページの上へ

「共済制度」にこだわらず、二重ローンなどに苦しむ被災者への支援を

■再質問■ 時間の関係があって1、2点だけご質問をしたいと思います。知事は先程、「遡及はとらない」ということをおっしゃいました。しかし、実際に被害を受けて何の補償もされなかった多くの方がおられる。それぞれ仮設やいろんな形で入られて、いろいろとそれぞれのところできちっと対応されたように言っておられますけれども、実際に所得制限、年令制限等が、この震災の支援の中で強められた。義援金ですら所得制限が加えられてもらえなかった人もいるんです。震災の復興の「中堅」になるような人たちが、ほとんど自分のローン、二重ローンで苦しみながら今再建に努力をしている。こういう人たちに対して、なんらかの支援策というものが、私はどうしてもいるというふうに思うんです。
 知事は先ほど、「共済制度」を提案するとおっしゃいました。「掛け金をかけてそして自分を守る」こういう基本的な考え方に立ったものは、「共助」でしょうか。私は、共助というのは公金が出されて税金が出されてそれを一部の人が受け取ることが共助であり、本当の意味での共助であると思うんです。公助と共助との間というのはそういうものである。しかもあの震災の最中にボランティアやお互いに助けあったこれが共助だとするならば、この共済には全くなじまない。なぜなら震災が起こった時に、お互いが助け合うそして知らない人たちがそこへ応援へかけつける、不特定多数に対して行うのがこれが共助ではありませんか。自分のために掛け金をかけるのならそれは自助と同じじゃありませんか。そんなことに公金を一部注ぎ込んだからといって共済やから「共助」になるというような考え方おかしい。私はそう考えます。
 そういう意味でのなんらかの措置が、何の支援も受けなかった住宅喪失者に対して行われるのが、震災を真に平等に救うというその精神を生かす道になるんではありませんか。国がそういう制度を作る以上、県としても後追いであってもなんらかのことがやられるべきだ。私はそのことを主張いたしますが、知事の考えをあらためてお聞かせ願います。このページの上へ

県民・県議会にわかる「警察予算」を

 それから県警本部長にお尋ねいたしますが、国から来ている金と県からでている金とこれは両方ともきちんとしておると言われておりますが、兵庫県警でありますから。分権の元で兵庫県警というものがどういう総額、どのくらいの予算でどのような分野で予算が配分され執行されているか。これが国から来る部分が情報公開をされてやっと一部が手に入るというような状況では審議ができない。私はそう思います。
 分権の時代に警察法を変えることを警察庁に申請なさってでも、これは兵庫県民に兵庫県警の全予算、全決算がわかるように議会で取り上げることができるようにお答えをいただきたいと思います。

▼答弁▼井戸知事:まず「今回の住宅支援制度をなぜ遡及しないのか」ということだろうと思いますが、私は生活再建支援法の場合とかなり事情が違う。といいますのは、生活再建支援法の場合は、高齢者生活再建支援制度というのを、私どもがすぐスタートをさせておりました。そのスタートさせておりました制度を拡張するかたちで生活再建支援法が制度化され、そのためにわれわれとしてもその法律の付帯決議によりまして、その拡張した上での実質的な対応をさせていただきました。
 今回の場合は、先ほども答弁の中でふれましたように住宅再建の支援制度そのものにつきましては、現時点でわれわれとしていろんな諸施策を講じてまいりましたけれども、現在構築を是非したいと考えております制度自体は、これからの課題でございます。そのような事情もございまして、これを「遡及」ということは口でいうのは非常に簡単でございますけれども、現実的にいろんな諸制度との関連から既に行ってきてしまっている諸制度との関連から見た時も、十分に納得が得られるのであろうかと。私はそれよりも今回のわれわれの苦労を、将来の大災害にあう方々に対して二度と再び味わってもらいたくない、そのような教訓を踏まえた上で、正々堂々と主張するからこそ、ようやく公的支援をまずすすめて行こうかという国民的な理解が得られつつあるのではないかと。そのために被災地だからこそ努力をする、これが一つ大切なことなんじゃないだろうかと思っております。
 「共済制度」につきましては、いろいろな考え方あります。自分のお金をそのまま積み立ててそしてそれをいざと言う時に備えておくという考え方もありますが、われわれが今考えておりますのが、必ず自分が被災にあうかどうかわからないにしても、前もって一定の負担をプールしながら被害に備えておこう、そのことそれ自体が公助ではないかと考えて理解を得ようとしているものでありますので、ぜひ御支援をいただきたいと存じます。

■答弁■警察本部長:ただいま議員おっしゃいました報告という言葉でございますが、その意味については必ずしも明確ではございませんが、もし報告をして審査を受けると言う主旨であれば、現在の法令の元におきましては国費につきましては国の会計法令に基づく手続きをする仕組みとなっておるということでありまして、県議会で審議いただく県費とは別のものであります。そういうことで国費については県議会の審査になじまないものというふうに考えております。

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