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第275回本会議請願討論 毛利りん
2003年6月30日

 私は、日本共産党県会議員団を代表して請願態度について討論を行います。
 今議会では、新しく提出された15件の請願について審議しましたが、私は、第1号ないし第5号、第11号ないし第14号の9件を、不採択でなく採択を主張し、以下、その理由を申し述べます。

イラク特措法反対、有事法制を発動させない請願の採択を

 初めは、平和に関する請願です。
 まず、請願第1号、第2号は、ともに「イラク復興支援特別措置法」に反対、また廃案を求める意見書提出の件です。
 この「法案」の目的は「イラクの復興を支援するため」とされていますが、自衛隊の派兵を求めているのはイラク国民ではなく、アメリカなのです。つまり、ブッシュ大統領が「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」つまり軍靴で上陸せよと日本に要求したのに応えて、小泉首相が、イラクを占領している米英軍を支援するため自衛隊を派遣することを約束したのです。
 イラクでは今も戦闘行為が絶えず、米英軍の死傷者も相次いでいます。現地米軍のマキャナン司令官も「イラク全土が戦闘地域だ」と述べています。こんな状態のイラクに自衛隊を派遣すれば、自衛隊が米英軍同様に、攻撃される危険性が大きく結果的にイラク国民に銃口を向けることも考えられます。いずれにしてもこうした事態は武力行使や交戦権を禁止した憲法に違反することは明白です。
 「イラク復興を支援する」のなら、国連を中心に医薬品や食糧などの提供をしたり、イラク国民自身による民主的政治の確立を援助すべきです。ASEAN外相会議のコミュニケで、国連主導のイラク復興への支持がもりこまれるなど、国連憲章に基づく、平和の国際秩序を求める声は日に日に強まり、世界の大きな流れになっています。イラクに自衛隊を派遣することは、イラク国民を裏切るばかりか、同法案に危惧や批判の声をあげるアジア各国をはじめ、国際社会から孤立する道を突き進むことになります。
 よって、本請願は不採択でなく、採択すべきだと強く主張します。

 二点目に、第3号「有事法制を発動させないことを求める意見書提出の件」です。
多くの日本国民の強い反対、アジア諸国民の深い疑念と憂慮の声を押し切って、有事関連三法の成立が強行されました。衆・参の国会論戦で明らかにされたように、有事三法は米軍が引き起こす海外での先制攻撃の戦争に、自衛隊が公然と武力行使をもって参加し、罰則付きで国民を強制動員するところに危険な本質があります。
 さらに、この「法」は、地方自治体と指定公共機関などに対し戦争協力を強制するものです。政府は、わが党の追及に、日本が武力攻撃を受けていない「予測事態」でも、この法律を発動し、地方自治体や民間機関に米軍支援を強制することを認めました。
 法の成立後も、こうした危険な本質が明らかになるにつれ、さらに批判が強まり、有事法制の発動を許さない世論と運動が広がっています。
 そこで、有事法制を発動させないこととする本請願は、不採択ではなく採択すべきです。

乳幼児医療費の通院1割自己負担をなくせ

 次は、第4号、乳幼児医療費の無料化を求める件についてです。
 本請願が指摘しているように、女性が一生の間に平均して産む子どもの数は、1.32人と、前年に引き続き減少、戦後最低となっています。兵庫県はさらに低く、1.29人で人口の維持に必要とされる2.1人を大きく割り込み、全国第38位というのが現状です。
 今こそ、若い世代が安心して子どもを産み、育てられる環境を保障することが必要です。そのために、まず求められるのは、子育てのための経済負担を軽くすることです。
 この間、就学前までの医療費無料化は全国的な流れとなり、本県でも対象年齢の拡大が実現しましたが、通院には1割の自己負担が課せられています。一方、乳幼児医療費助成制度を持つ都道府県のうち、通院時の自己負担はなしというところが半数をこえています。特に、対象年齢を就学前までとしている6都県のうち、兵庫県の自己負担は上限が5000円と突出しており、重い負担が押し付けられているのです。
 国の乳幼児医療費無料制度ができるまで待っていられないとの思いは充分理解できます。よって、「乳幼児医療費の通院時の1割自己負担をなくし、無料にすること」との願意は当然と考え、本請願の採択を求めます。

請願第5号「自動車NOx・PM法施行に伴う諸施策を求める件」

 自動車NOx・PM法の施行に伴い、不適合として規制対象となるディ−ゼル車は、後付けの排ガス減少装置をつけるか、新しい低公害車に買い替えなければなりません。
 今日の大気汚染、公害問題を引き起こした責任は、あげて国と自動車メーカーにあるにもかかわらず、この負担はすべてトラックなどを所有する中小業者などに押し付けられています。本請願が指摘するように、不況に苦しむ中小業者にとって死活問題です。
 基準適合車への買いかえについて、諸施策を講じるよう国に意見書を提出することや、県の助成制度を大幅拡充すると同時に、特別の税制措置、無利子、無担保、無保証人融資制度の創設・拡充などに取り組むことをはじめとする願意は当然です。
 自動車排ガス対策は緊急に取り組まなければならない問題ですが、こうした深刻な課題を早く解決しなければ本来の「法」の精神が生かされません。
 よって、本請願は不採択ではなく採択を強く求めます。

教育基本法を改悪するのではなく、基本法の精神で教育のたて直しを

 最後は、教育に関する請願です。まず、第11号ないし第13号の3件は、ともに教育基本法「改正」に関わる請願です。
 今年3月20日、中央教育審議会が「教育基本法の改正と教育振興基本計画の策定を進めること」とする答申をまとめました。
 いま、不登校の増加、いじめ、「学級崩壊」、学力低下など、子どもと教育をめぐる状況はかつてない困難を抱え、学校や教育のあり方が問われています。しかし、今日の教育が荒れている原因を教育基本法に求める根拠はまったくありません。
 現に中教審の鳥居会長は「基本法が悪いから教育の問題が起こる、だから基本法を直すんですね、という質問をよく頂くが、そうではないと答えている」と発言しています。
 中間報告にあった、現行法は「不充分」との評価が答申では削られたことにも見られるように、中教審ですら「教育基本法に問題あり」とすることはできませんでした。

 戦前の日本の教育は、国家による国民教化の道具とされ、国家主義・軍国主義を国民に注入することによって、あの無謀な戦争へと突入していった深刻な総括にたって、教育基本法は1947年に制定されました。その前文には日本国憲法において示された「民主的で文化的な国家の建設」と「世界の平和と人類の福祉への貢献」という理想の実現は「根本において教育の力に待つべきものである」とはっきりと書き込まれています。このことからもわかるように、教育基本法は憲法と一体のものとして生まれました。
 現行法は、教育の目的を「人格の完成をめざすもの」とし、国による教育への「不当な支配」を禁じ、教育行政の任務を「教育条件の整備」に限定しています。ところが、政府は学習指導要領をはじめ教育内容に介入し、そのことが学力問題など教育を行き詰まらせてきました。失敗済みの教育への「不当な支配」を正当化する改悪は許せません。

 全国の自治体104議会で「見直し」に反対の意見書があがっていることにも表れているように、国民的合意には程遠いものであり、いま大切なことは、教育基本法を改悪するのではなく、その精神を教育の立て直しに生かすことです。
 よってこれらの請願は不採択でなく採択すべきです。

30人以下学級で、ひとり一人に行き届く教育を

 教育の二点目の請願第十四号は、30人以下学級の実現を求める件です。この問題は、これまで私たちは本会議質問、委員会や請願討論のなかで繰り返し主張してまいりました。今議会でも代表質問で提案したところです。
 本県は、新学習システムが取り入れられ、一部の学年、教科に少人数教育を実施していますが、30人以下学級実施に踏み切らない理由はいろいろ述べるものの、知事が「要は財政問題だ」と明言しているように結局は財源なのです。
 山形県知事は、「未来を担う子どもたちのためなら橋の1本や2本建設が遅れてもよい」と言って少人数学級にふみきりました。本県も不要不急の公共事業をストップしてでも、将来を背負ってたつ子どもたちに思いを寄せて今こそ決断すべきときです。
 欧米諸国は20数人学級が定着しているとき、日本でもすでに少人数学級の取り組みは各地に広がり、全国29の道府県で実施され、世界の大きな流れになっています。
 30人以下学級の実現で、子どもたちに「わかる教育、楽しい学校」を保障し、一人ひとりに行き届く教育を実現させましょう。よって本請願は不採択でなく採択を主張します。
 以上、議員各位のご賛同を心からお願いし、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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