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第275回本会議議案反対討論 宮田しずのり
2003年6月30日

  私は、日本共産党県会議員団を代表して、今議会に上程された議案92件中、第74号、第76号、第82号、第84号、第91号、第114号、第154号、第156号ないし第158号、報第2号の以上11件に反対し、以下その主な理由について述べます。

小泉内閣の特殊法人整理合理化に伴う条例改正について

 まず、国の特殊法人整理合理化計画に基づく特殊法人等の民営化や独立行政法人化に伴う条例改正案についてであります。

 その一つは、議案第74号、知事の権限に属する事務に係る事務処理の特例に関する条例の一部改正案のうち、社会保険診療報酬支払い基金法の一部改正により同支払基金が民営化されることに伴い所要の整備を行う条例改正であります。
 これまで、同支払い基金は、レセプトの審査・支払いを集中して一元的に行う機関として設立され、全国同水準の審査や保険者と医療機関の事務を簡素化するなど大きな役割を果たしてきました。この支払い基金は、公的医療保険を支える上で重要な機関であります。 
 これを民間法人化することは、レセプトの審査そのものも民間委託するなど、本来、国の責任で行うべき公共性の強い基金業務を民営化し、ひいては医療を市場原理に導き、医療保険制度の崩壊にもつながりかねない問題として、全国の医療機関や医療団体も強く反対してきたものであります。
 今回は、国の法改正に伴っての条例「改正」であっても、法の改悪による特定疾患治療研究事業、小児慢性特定疾患治療研究事業のいわゆる難病患者の医療の給付などに影響することが懸念されることから本案に反対するものであります。

 その二は、第76号議案、兵庫県心身障害者扶養共済制度条例の一部改正案についてです。
 本案は、これまでの社会福祉・医療事業団が廃止され、新たに設立される独立行政法人福祉医療機構に一切の業務が引き継がれることに伴い、所要の整備を行うものであります。
 この心身障害者扶養共済制度は、障害者の生活安定のための給付とともに、親の死後において、障害者に終身にわたる給付を保障するという、いわゆる「親亡き後対策」として重要な制度です。
 しかし、国や県の負担と親の掛け金で賄われているこの制度をとりまく諸条件の変化よって共済年金財政は極めて厳しい状況にあると云われます。
 こうした状況下で事業団から独立法人に変われば、もし、独立法人の経営が困難に陥るようなことになった場合、たちまち給付の減額、掛け金の増大、ひいては制度そのものが崩れる恐れもあり、障害者とその家族の生活に重大な影響を与えかねません。
 こうした法改悪に伴う条例改正案には反対であります。

インターネットオークションの盗品対策について

 次に、第82号議案、警察手数料条例の一部改正案についてです。
 この条例改正案も国の古物営業法の改正に伴い、インターネット上で「古物競りあっせん業」を行う業者が、その業務の実施方法の認定を受ける際の手数料を定めようとするものです。
 しかし、様々な問題点が、多くの業者、業界団体の指摘や国会審議を通じて明らかになりました。例えば、インターネットでのオークションは、取り引きそのものはあくまで個人同志で行われ、オークション事業者は個人広告の掲載の場を提供しているにすぎないといわれています。
 これを"古物あっせん業"として刑罰法規を適用することには無理があります。
 また、事業者に盗品の疑いのあるものの届け出を義務づけていますが、業者は出品物を直接手にしていない場合も多く、品質保証もしないシステムとなっており、盗品かどうか業者が判断するとしても極めて難しく、しかも業界の納得なしには、協力は得られず、盗難防止の実効性が弱いと指摘されているのは当然であります。
 さらに警察がネット上の取り引きに関する個人情報に深く関与することは、憲法の保障する通信の秘密や個人情報保護の面からも大きな問題があります。以上の理由から盗品流通防止のためとはいえ、この改正については時期尚早ということで反対します。

加西南・東産業団地における土地開発公社の事業拡大に反対

 次に、第84号議案、兵庫県土地開発公社定款の一部を変更することへの同意案件であります。
 定款を変更して「構造改革特区」に指定された「加西南産業団地」と「加西東産業団地」の二カ所を対象に、今まで土地開発公社の事業には無かった「土地の賃貸事業」を新たにできるようにするという内容であります。
 この加西南産業団地は、バブルのはじけた1992年から事業を開始し、97年から分譲開始したものの分譲できたのは42ヘクタール中、わずか5.9%の2.47ヘクタールで操業しているのは一社だけです。
 この売れ残っている土地を、年間、処分価格の1.5%程度の借地料で賃貸しすると元を取るのに6、70年もかかることになります。また、借地にしても企業の進出見通しは極めて厳しい状況です。これはバブル期以前の計画を経済情勢が激変した後も何の見直しも行わず、そのまま開発を続けてきたことによる事業の失敗を糊塗するものに他なりません。
 これまでの開発に対する猛反省を求めると同時に、わが党は土地開発公社は今後縮小すべきと考えておりますが、定款を変更してまで同公社の事業を拡大することには反対であります。

県営住宅の出訴について

 次に第91号、第114号の二件、つまり県営住宅の出訴の件であります。
 今議会にも62件の出訴の件が上程されておりますが、わが党議員団は入居者の状況を把握し、判断するために調査を行いました。
 その結果、もちろん、「立ち退きもやむを得ない」というのも多くありましたが、二件について反対するものであります。

 その一つ、第91号の件は、父子家庭で小さな子供が三人おり、働きたくても働けず、また、働く場所も見つからない、若いため生活保護を申請しても受けられない、どうしようもない状態で家賃滞納に至ったものであります。これに対する県の対応は、余りにも不充分で、督促状を出し、本人からの連絡を待つだけになっております。こうした家庭には、県の他の部局とも連携して、生活面を含めた何らかの相談・支援を講ずる必要があるのではないでしょうか。

 第114号議案については、2001年の秋に救急車で病院に運ばれ、その後、別の病院に転院し、本人の意思表示が不可能な状況になっておりますが、この件の対応も、病院に「通告書」や「催告書」を送るだけで、面接はされておりません。
 本人の今後の病状がどう変化するかは不明ではありますが、今後どう対応するかを検討しないまま、裁判にかけ、退去を迫るというやり方は問題があります。
 わが党は、議案が提案されてからの限られた時間での調査でしたが、住宅供給公社の現場の職員はそれぞれ一生懸命に努力していることもわかりました。
 しかし、全体として、公社と本庁の対応が単に家賃徴収のみになっております。現在の入居者の生活実態から見て、家賃の滞納克服だけでなく、福祉面も含めた対応ができるようなシステムを講ずることなど、必要な改善を求めるものであります。

北淡町の過大な下水道事業

 次に第154号議案、北淡町過疎代行下水道事業・北淡浄化センターの土木建築請負契約締結の件であります。
 北淡町富島地区は、阪神・淡路大震災後、区画整理事業、漁港整備とセットで2年後の2005年完成を目指して、下水道事業が進められています。
 ところがこの地域では、震災後、すでに数百件の住宅が新築され、すべて補助金を受けて「合併浄化槽」を設置、水洗化しており、本来、公共下水道はこの地域を除いて、計画すべきであります。しかし、この区域も計画に組み込まれ、過大な事業になっており、反対するものであります。

県営住宅を公社委託にせず、審議対象に

 次に、第156号、第157号、第158号の三議案についてです。
 この件は、県営明石守池住宅第二期建設工事、県営加古川神野住宅第七期建設工事、県営姫路白浜住宅第二期建設工事にかかる業務委託契約締結の件であります。
 わが党は、県民の住宅要求に応えるため、県営住宅を増設し、あるいは老朽化した住宅の建て替え等は積極的に推進するよう従来から求めてきました。こうした立場から建て替えそのものについては、おおいに賛成であります。
 問題は、県営住宅の建設、維持、管理のすべてを住宅供給公社に委託、いわゆる丸投げしていることによって、住宅供給公社が行う請負契約案件等が県議会に提案もされず、審議対象外になっていることであります。
 従来から述べてきたように、事業内容、入札業者の選定、入札の公平性、透明性などを確保するために、県議会の審議対象にするシステムに戻すことを求める立場から、この三件に反対するものであります。

「都市再生・大企業優遇」の不動産取得税減税

 最後に報第2号、兵庫県税条例の一部を改正する条例の専決処分の承認を求める件であります。
 地方税法「改正」に伴う今回の県税条例「改正」の中で特に問題なのは不動産取得税の税率の大幅引き下げであります。
 これは、2003年4月から今後3年間に限り、現行税率4%を一律3%に引き下げ、全国的には約1200億円の減収となるものであります。
 現在、勤労者の住宅取得に係る不動産取得税は、建物は1200万円控除、土地は二分の一評価など一定の措置がとられておりますが、今回の一律減税は「都市再生」の名によって土地の流通促進をねらう大企業への優遇措置であり、県にとっては大幅減収となるもので到底認めることはできないものであります。
 以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。

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